JP2798822B2 - 通風製麹装置 - Google Patents

通風製麹装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、醸造工業における製
麹工程を実施する際に利用する装置に係り、麹層の乾燥
を防止するよう改良した発明に関する。
【0002】
【従来技術】製麹工程は麹菌を植え付けた麹層を高湿雰
囲気で、しかも適度な温度条件下に置き、製麹を行うも
のであるが、麹菌が発芽成育するにつれて多量の熱を発
し、麹層の温度を上昇させる。適度の温度上昇は好まし
いものであるが、過度になると例えば40℃を越えると
麹菌を死滅させてしまう危険性がある。そこで麹層を収
容している製麹室に所定温度の高湿空気を供給して、こ
れらの温度を制御している。
【0003】かかる見地から麹層に高湿空気を供給する
ものとして、従来本出願人は「通風式製麹又は製麦芽装
置」(特公昭52−31036)、「通風式製麹装置」
(特公平2−6510)を出願した。前者は麹層に空気
を供給する送風機の吐出口側および吸引口側に、スプレ
ーノズルを設置し、加湿効果を向上させたものである。
一方後者は調湿装置におけるスプレーノズルに、水を円
環状に噴霧する空円錐ノズルを用い、水滴を微細化して
やはり加湿効果を向上させたものである。
【0004】またその他として「自動製麹装置における
空気調和装置」(特公昭62−32916)を挙げるこ
とができる。この装置は製麹室内の培養床の下部空間に
噴霧装置を設け、該空間に温湿度調節装置を配置し、製
造コストを低減すると共に、熱効率、温湿度条件の安定
性を計ったものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術で述べた
如く製麹工程において、通風空気の作用は麹層の加熱を
防止するものであるが、同時に通風により麹層の水分も
運び去り、結果として麹の最も重要な機能である酵素の
力価を低下させる傾向があった。この現象は麹層と接触
する前より後では、空気の温度が5〜7℃程度上昇し、
通過空気の相対湿度が低下するため、麹層表面からも水
分が蒸発し、その傾向が促進される。
【0006】しかしながら前記従来例ににおいては、麹
層と接触する前の空気については湿度が上昇するよう工
夫がされているが、接触後の空気の湿度については何ら
対策がされていない。従って従来方法においては出麹時
の水分が低く、酵素力価の向上を阻害していた。そこで
麹層に、盛り込み時に水分をより多めに加水することも
考えられるが、あまり多すぎると、汚染の原因となり易
く有効な方法とは言えない。
【0007】かかる現状に鑑み本願発明者は鋭意研究の
結果、麹層を通過した空気に加湿すれば、その空気の湿
度をほぼ100%にすることができ、麹層からの水分の
蒸発を押さえることができ、麹の酵素活性を向上させる
ことが可能であることを知見し、本願考案を完成させ
た。
【0008】すなわち本願発明は、中段部に水平に多孔
板を配置し、上部に麹室下部に空気室を形成して成る製
麹室、該製麹室における空気室に調湿された空気を送る
調湿装置より構成され、麹室に噴霧装置を設置したこと
を特徴とする通風製鞠装置である。
【0009】
【課題を解決するための具体的手段】1は麹菌の培養を
行う製麹室で、製麹室1の中段には平板に小孔を多数穿
孔した多孔板2が水平に設置され、その上に麹層3が静
置できるよう構成されている。そして多孔板2により製
麹室1は上下に2分割されるが、上を麹室4、下を空気
室5とする。
【0010】多孔板2は、その下方から空気を上方に向
けて麹層3を通過させ、それを冷却あるいは加温する作
用するもので、金網等を用いてもよい。前記空気室5に
は空気入口6が設けられており、送風機7の吐出口8と
ダクト9を介して連結されている。
【0011】ダクト9には調湿装置10が設置されてお
り、調湿装置10は、加湿水を噴霧するスプレーノズル
11、該ノズル11が固定されるスタンドパイプ12、
該パイプ12と連通設置されるスプレーポンプ13、お
よび気流中の過剰な水滴を捕らえるエリミネータ14よ
り構成される。
【0012】15は、麹層3を通過した空気を加湿する
ための本願に係る噴霧装置で、該装置15による水滴は
できるだけ細かい粒子、例えば10μm以下の水滴を噴
霧するものが好ましく、加圧ノズル式噴霧装置、回転板
噴霧装置、超音波噴霧装置等を挙げることができるが、
二流体ノズル式噴霧装置が特に好ましい。その他水蒸気
を噴霧してもよい。
【0013】図1では噴霧装置15を二流体ノズル16
で示しており、二流体ノズル16は図2のごとく中央に
噴霧水通路17、その周囲にリング状をした高圧空気通
路18が配置されて成る構造をしている。噴霧水通路1
7は液体導入管19と、高圧空気通路18は高圧空気導
入管20とそれぞれ連通され、噴霧水通路17より噴霧
されたスプレー水を、高圧空気通路18より噴射された
高速気流によってさらに微細化する構成をしている。
【0014】このように微細な水滴を噴霧することによ
り、空気への吸収が確実なものになるが、仮に吸収され
ずに麹層3に落下しても、局部的に水滴となって落下す
ることはなく、汚染の原因となることがない。また噴霧
量は、10%程度の過飽和となるような量でよい。
【0015】一方通風空気の温度は、麹菌の発育段階に
よってそれぞれ異なるが、概ね25〜32℃程度で、麹
層3を通過後は5〜7℃上昇する。このとき麹層より水
分を吸収しても、相対湿度は90〜95%であるため、
麹層3からの水分蒸発は依然続行するのである。噴霧装
置15の設置位置および設置数は、麹層3の表面近辺に
多数設置すると良い。また図3のごとくシリンダー21
等により、移動自在に構成してもよい。22は麹室4に
設けられた空気出口で、必要に応じ送風機7の吸引口2
3と連通させ通風空気を循環させる。
【0016】次に本願装置の作動について説明する。先
ず製麹室1内の多孔板2の上に麹菌を植え付けた麹層3
を載置したのち、送風機7を作動させて送風を開始す
る。そして空気は調湿装置10のスプレーノズル11か
ら噴霧される水滴と接触し、所定の湿度まで増湿され
る。増湿された空気はエリミネーター14で余分な水滴
を除去され、空気室5を通って麹層3へ送気される。麹
室4内で通風空気は、麹層3を通り抜けて該層3を冷却
または加温した後空気出口22から排気される。このと
き噴霧装置15からは霧状の水滴が噴霧されており、麹
層3を通過した空気は加湿されることになり、麹室4全
体が高湿に保持される。
【0017】その他麹層3の直上部の湿度を測定し、そ
の値に応じて噴霧装置15の作動あるいは噴霧量の制御
をすれば、より効果的である。またシリンダー21を作
動させ、その位置を制御するのも有効である。
【0018】
【発明の効果】本願発明は以上のごとく構成されてお
り、麹層の水分減少をおさえられるので、適切な微生物
の培養条件を維持することが可能で、酵素力価の高い高
品質な培養物を得ることが出来る。
【0019】
【図面の簡単な説明】
【図1】 通風式製麹装置の概略図
【図2】 二流体式ノズルの正面断面図
【図3】 噴霧装置の設置手段の他の実施例図
【0020】
【符号の説明】
1 製麹室 2 多孔板 3 麹層 4 麹室 5 空気室 10 調湿装置 15 噴霧装置 16 二流体ノズル 19 液体導入管 20 高圧空気導入管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−129684(JP,A) 特開 昭58−86075(JP,A) 実開 平4−68699(JP,U) 特公 昭39−7381(JP,B1) 実公 昭43−30946(JP,Y1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12M 1/16 103

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中段部に水平に多孔板を配置し、上部に麹
    室下部に空気室を形成して成る製麹室、該製麹室におけ
    る空気室に調湿された空気を送る調湿装置より構成さ
    れ、麹室に噴霧装置を設置したことを特徴とする通風製
    鞠装置。
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