JP2797868B2 - ミシン - Google Patents

ミシン

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JP2797868B2
JP2797868B2 JP30653292A JP30653292A JP2797868B2 JP 2797868 B2 JP2797868 B2 JP 2797868B2 JP 30653292 A JP30653292 A JP 30653292A JP 30653292 A JP30653292 A JP 30653292A JP 2797868 B2 JP2797868 B2 JP 2797868B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はミシンに関するものであ
り、特に、縫製材押さえ部材による縫製材の押さえに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】ミシン中には、縫製材を一平面内の任意
の方向に送り得る縫製材送り装置を有するものがある。
この縫製材送り装置と、針棒,主軸,針棒用運動変換装
置を含む縫目形成装置との共同により縫製材に所定の縫
目が形成されるのである。針棒は軸方向に往復運動可能
とされ、針棒用運動変換装置は、ミシンモータにより連
続回転させられる主軸と針棒との間に設けられ、主軸の
回転を針棒の軸方向の往復運動に変換する。
【0003】このようなミシンにおいて縫目を形成する
場合には、縫製材押さえ部材を設け、縫製材を押さえる
のが普通であり、縫製材押さえ部材には、縫製材を押さ
える前進端位置と、その前進端位置から最も後退した後
退端位置との間で往復移動して縫製材を押さえるものが
ある。この場合には、主軸と縫製材押さえ部材との間に
縫製材押さえ部材用運動変換装置が設けられ、主軸の回
転を、前進端位置と後退端位置との間の往復運動に変換
して縫製材押さえ部材を移動させるようにされる。そし
て、従来は、縫製材押さえ部材用運動変換装置は、主軸
の回転により往復動させられる針棒の運動を縫製材押さ
え部材の運動に変換するものとされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この場
合には縫製材押さえ部材の移動が針棒の動きにより拘束
されるため、自由度が少ない問題がある。針棒は上死点
から下死点へ移動する往動と、逆向きの復動とを繰り返
すのであるが、縫製材押さえ部材の往復運動を針棒の往
復運動に合わせることが必要であり、縫製材を押さえる
タイミングが制限される。つまり、主軸の回転が一旦針
棒の往復運動に変換され、さらにそれが縫製材押さえ部
材の運動に変換されるため、主軸の1回転全部を縫製材
押さえ部材の往復運動に自由に利用できず、縫製材押さ
え部材の移動時期,移動形態が規制されるのである。本
発明は、縫製材押さえ部材の移動の自由度の高いミシン
を提供することを課題として為されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するために、前記縫製材送り装置,針棒,縫製材押
さえ部材,針棒用運動変換装置および縫製材押さえ部材
用運動変換装置を含むミシンにおいて、縫製材押さえ部
材用運動変換装置と針棒用運動変換装置とを互に並列に
主軸に接続するとともに、縫製材押さえ部材用運動変換
装置を、主軸に固定され、主軸と共に回転するカムと、
そのカムに追従して移動するカムフォロワと、そのカム
フォロワと縫製材押さえ部材とに連結され、カムフォロ
ワの移動を縫製材押さえ部材の往復運動に変換するリン
ク機構とを含むものとしたことを要旨とするものであ
る。
【0006】
【作用】このように構成されたミシンにおいて縫製材押
さえ部材は、カム,カムフォロワおよびリンク機構の変
換により得られる運動によって往復運動させられ、縫製
材を押さえる。縫製材押さえ部材用運動変換装置と針棒
用運動変換装置とが互に並列に主軸に接続されているた
め、縫製材押さえ部材用運動変換装置は、針棒の動きに
拘束されることなく主軸の回転を縫製材押さえ部材の往
復運動に変換し、縫製材押さえ部材は針棒に対して独立
して移動させられる。
【0007】
【発明の効果】このように本発明によれば、縫製材押さ
え部材を針棒の動きに拘束されることなく移動させるこ
とができ、主軸の1回転全部を縫製材押さえ部材の移動
に自由に利用することができ、縫製材押さえ部材の移動
時期および移動形態を適正に設定することができる。特
に、縫製材押さえ部材用運動変換装置がカム,カムフォ
ロワおよびリンク機構によって構成されているため、縫
製材押さえ部材の移動時期および移動形態の適正な設定
が極めて容易である。例えば、縫製材押さえ部材用運動
変換装置を複数のリンクのみによって構成する場合に
は、縫製材押さえ部材は常に移動させられることとなる
が、カムであれば、その形状設定により、実施例におい
て述べるように前進端位置において一定時期停止状態に
保つことができるのである。また、縫製材押さえ部材用
運動変換装置と針棒用運動変換装置とを互に並列に主軸
に接続すれば、縫製材押さえ部材用運動変換装置を針棒
の近傍に設ける必要がなく、縫製材押さえ部材のストロ
ークを大きくすることができる。針棒の運動を縫製材押
さえ部材の運動に変換する場合には、スペースの少ない
針棒近傍に縫製材押さえ部材用運動変換装置を設けるこ
とが必要であり、縫製材押さえ部材のストロークが制限
されるのに対し、十分なスペースのある位置において主
軸に接続すればよく、ストロークを大きくできるのであ
る。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図3において10はミシンテーブルであ
り、このミシンテーブル10にミシン機枠12が固定さ
れている。ミシン機枠12は、ミシンテーブル10から
立ち上がる脚柱部14と、その脚柱部14の上端から片
持ち状に水平に延びる上方アーム16と、脚柱部14の
下端から上方アーム16と平行に延びるベッド18とか
ら成る。
【0009】上方アーム16とベッド18との間には、
本発明の縫製材としての加工布20を保持する布保持枠
22がX軸方向およびY軸方向に移動可能に設けられて
いる。ミシンテーブル10にはY軸方向に延びる一対の
ガイド(図示せず)が固定され、それに一対のY方向移
動枠26(それぞれ図には一方のみ示されている)が移
動可能に取り付けられており、Y方向駆動モータ28
(図10参照)によって移動させられる。また、これら
一対のY方向移動枠26にX軸方向に延びる支持板30
の両端が固定され、その支持板30に図示しないガイド
が固定されている。このガイドにX方向移動枠32が移
動可能に取り付けられており、X方向駆動モータ34
(図10参照)によって移動させられる。X方向移動枠
32には支持板36が取り付けられるとともに、その突
出端部に布保持枠22が取り付けられており、布保持枠
22により保持された加工布20は、X方向移動枠32
およびY方向移動枠26の移動によりミシンテーブル1
0に平行な面内を任意の方向に移動させられる。本実施
例においては、Y方向移動枠26,Y方向駆動モータ2
8,X方向移動枠32,X方向駆動モータ34,布保持
枠22等が本発明の縫製材送り装置としての加工布送り
装置38を構成しているのである。
【0010】前記上方アーム16の突出端部には、可動
ケースとしての針棒支持ケース40がX軸方向に移動可
能に取り付けられている。図4に示すように、針棒支持
ケース40の上方アーム16側である背面下部には、ガ
イドプレート42が固定されている。ガイドプレート4
2は針棒支持ケース40のX軸方向の長さにほぼ等しい
長さを有し、上方アーム16の前部下面に回転可能に取
り付けられたローラ43と、上方アーム16から前方へ
延び出させられた押さえ板45との間に嵌合されてお
り、これらローラ43およびガイドプレート42によっ
て針棒支持ケース40の移動が案内される。また、針棒
支持ケース40の背面上部に一体的に取り付けられたフ
レーム44の底板46と、上方アーム16の上面との間
にリニアガイド48が設けられている。リニアガイド4
8は、底板46に取り付けられ、針棒支持ケース40の
X軸方向の長さにほぼ等しい長さのガイドプレートと、
上方アーム16の上面に取り付けられ、ガイドプレート
が嵌合されたガイドブロックとを有し、針棒支持ケース
40の移動を案内する。
【0011】前記フレーム44の底板46は、針棒支持
ケース40のX軸方向の寸法とほぼ等しい長さを有する
とともに、上方アーム16の基端部側に延び出させられ
ており、その突出端部には複数のローラ56がX軸方向
に間隔を隔てて回転可能に取り付けられるとともに、カ
ム58のカム溝60に係合するようにされている。カム
58は上方アーム16上にブラケット62によって回転
可能に支持されており、かさ歯車64,66を介して伝
達される針棒支持ケース移動モータ68の回転により回
転させられる。カム58の回転に伴って複数のローラ5
6がカム溝60に順次嵌合し、針棒支持ケース40がX
軸方向に移動させられて、針棒支持ケース40に支持さ
れた12本の針棒70(図3には一部のみが示されてい
る)が交替させられて縫製位置に位置決めされる。ロー
ラ56,カム58,かさ歯車64,66および針棒支持
ケース移動モータ68等が可動ケース移動装置としての
針棒支持ケース移動装置を構成しているのである。
【0012】これら12本の針棒70の各下端部には、
図4に1本のみ代表的に示すように縫針72が縫針抱き
73によって着脱可能に取り付けられており、これら針
棒70および縫針抱き73が縫針保持部材を構成してい
る。12本の縫針72の各糸通し穴74にはそれぞれ異
なる色の上糸76が通される。針棒70は、針棒支持ケ
ース40に取り付けられた2個のガイドブロック78,
80によって上下方向に移動可能に支持されるととも
に、針棒70の2個のガイドブロック78,80の間の
部分に固定された針棒抱き82と、針棒支持ケース40
に固定のばね受け84との間に配設されたスプリング8
6により上方へ付勢されている。
【0013】針棒70の上昇端位置である針棒上死点
は、針棒ストッパ88が上側のガイドブロック78にク
ッション89を介して当接することにより規定される。
針棒ストッパ88は針棒70に位置調節可能に取り付け
られており、その位置調節により針棒上死点を調節する
ことができる。
【0014】針棒70は、ミシンモータ90(図3参
照)を駆動源として昇降させられる。上方アーム16の
突出端部には案内棒92が固定され、昇降体94が昇降
可能に嵌合されるとともに、案内棒92に昇降可能に嵌
合された係合体96が回転可能に嵌合されている。係合
体96には、図5に示すように上下方向に距離を隔てて
設けられた一対の係合片98,100によりX軸方向に
延びる係合溝102が形成されている。この係合溝10
2には、前記針棒70に固定の針棒抱き82に突設され
た係合突起104が係合可能であり、その係合により針
棒70が係合体96と一体的に昇降させられるようにな
っている。また、係合体96は図示しないスプリングに
より、図5において上方から見て時計方向に回転する向
きに付勢されている。
【0015】上記昇降体94には、図4に示すように、
コネクティングロッド106の一端部がピン108によ
って連結されている。上方アーム16内には主軸110
が回転可能に配設されるとともに、前端部に駆動カム1
12が固定されており、コネクティングロッド106の
他端部は駆動カム112の前端面に固定されたクランク
レバー114に図示しないピンによって回転可能に連結
されている。したがって、主軸110がミシンモータ9
0によって回転させられるとき、クランクレバー114
の回動がコネクティングロッド106により昇降体94
および係合体96の直線往復運動に変換され、針棒70
が針棒上死点と針棒下死点との間を昇降させられる。針
棒抱き82,昇降体94,係合体96,コネクティング
ロッド106およびクランクレバー114が主軸110
の回転を針棒70の軸方向の往復運動に変換する本発明
の針棒用運動変換装置を構成しているのである。
【0016】針棒抱き82に突設された係合突起104
は、図5に示す針棒切離し装置としてのジャンプ装置1
20によって係合溝102から離脱させられる。係合体
96の針棒70とは反対側の部分には、下方ほど針棒7
0から離れる向きに傾斜する傾斜面122が形成されて
いる。また、上方アーム16にはジャンプ用ソレノイド
124がX軸方向に配設されている。ジャンプ用ソレノ
イド124が消磁された状態ではプランジャ126は傾
斜面122に係合しない引込位置にあるが、ジャンプ用
ソレノイド124が励磁されれば傾斜面122と係合す
る係合位置へ突出させられる。
【0017】ジャンプ用ソレノイド124は常には消磁
されており、後述するように、係合体96がプランジャ
126より下方に位置する状態で励磁される。したがっ
て、係合体96の上昇に伴ってプランジャ126が傾斜
面122に係合し、係合体96はスプリングの付勢力に
抗して上方から見て反時計方向に回動させられ、係合溝
102が係合突起104から外れさせられて針棒70は
スプリング86により付勢され、針棒上死点へジャンプ
させられる。針棒用運動変換装置により得られる上下運
動が針棒70に伝達されず、針棒上死点に留まった状態
に保たれるのである。
【0018】ジャンプ用ソレノイド124が消磁され、
プランジャ126が引っ込まされれば、係合体96は図
示しないスプリングにより付勢されて上方から見て時計
方向に回動させられ、係合突起104と係合する位置へ
復帰する。係合体96が針棒70を針棒上死点に移動さ
せる位置より低い位置にある状態でジャンプ用ソレノイ
ド124が消磁され、係合体96が上昇させられれば、
係合突起104が係合溝102と係合する。係合溝10
2を形成する上側の係合片98には傾斜面128が形成
されており、係合突起104はまずこの傾斜面128に
係合し、係合体96の上昇につれて前記スプリングの付
勢力に抗して係合体96を回転させる。そして、係合溝
102が係合突起104と一致するに至れば、係合体9
6がスプリングの付勢力により回転させられ、係合溝1
02と係合突起104とが係合するのである。
【0019】なお、係合溝102と係合突起104との
係合後も係合体96は僅かに上昇させられるが、前述の
ように針棒ストッパ88がクッション89を介してガイ
ドブロック78に当接しているため、係合突起104は
上昇しない。そこで、係合溝102が係合突起104よ
り僅かに広くされて、係合体96の上記僅かな上昇が許
容されるようになっている。針棒上死点は、係合体96
の上昇端位置より僅かに低い位置に設定されているので
ある。
【0020】針棒支持ケース40には、12本の針棒7
0にそれぞれ対応して12個の天秤130が取り付けら
れている。上方アーム16上に設けられたスプール(図
示省略)から繰り出された上糸76は、糸調子器134
(図3参照)を経て図4に示すように針棒支持ケース4
0の前面に取り付けられた糸掛け部材136に掛けられ
た後、天秤130に通され、再度糸掛け部材136に通
された後、案内部材138に通されて縫針72の糸通し
穴74に至る。また、案内部材138の前面には、上糸
76の糸端部を掛けるフック140が取り付けられてい
る。
【0021】天秤130は、図4に示すように、針棒支
持ケース40に固定の前記フレーム44に支持された軸
142に回動可能に取り付けられており、各天秤130
にはヨーク状部材144が固定されている。これらヨー
ク状部材144は、上方アーム16に軸146により回
動可能に取り付けられたレバー148の先端部に保持さ
れたローラ149と係合可能である。この軸146には
別のレバー150の基端部が固定され、レバー150の
自由端部に回転可能に取り付けられたローラ152が、
前記駆動カム112に形成された天秤駆動用カム溝15
4に嵌合されており、駆動カム112が主軸110によ
って回転させられるとき、ヨーク状部材144を介して
ローラ149と係合している天秤130が天秤上死点と
天秤下死点との間を往復回動させられる。駆動カム11
2の天秤駆動用カム溝154が形成された部分が天秤駆
動用カムを構成し、ヨーク状部材144およびレバー1
48,150等と共に主軸110の回転を天秤130の
往復回動運動に変換する天秤用運動変換装置を構成して
いるのである。
【0022】なお、フレーム44に支持された軸160
に、天秤130と同数の天秤支え162が回動可能に取
り付けられ、各々それらに対応するねじりばね164に
よって各天秤130に係合する向きに付勢されている。
したがって、常には各天秤支え162が対応する天秤1
30をそれぞれ上死点付近の位置に保っているが、針棒
支持ケース40の移動によってある針棒70が縫製位置
に移動させられるとき、その針棒70に対応するヨーク
状部材144がローラ149に係合することによって、
その針棒70に対応する天秤130が駆動カム112に
より駆動される状態になった後、その天秤130に対応
する天秤支え162がカム面168において上方アーム
16から上方へ突出させられた案内棒92の突出端部に
係合して天秤130から離れる向きに回動し、天秤13
0の回動を許容する状態となる。
【0023】主軸110の回転により、針棒70の昇降
と天秤130の回動が同時に行われるのであり、天秤駆
動用カム溝154は、それら昇降と回動とが図1のタイ
ミングチャートに示す所定のタイミングで行われる形状
に形成されている。このタイミングチャートについては
後に説明する。天秤130はその回動により、図示しな
いスプールから上糸76を引き出すとともに、下糸と絡
んだ上糸76を引き締めて縫目を形成する。以上の針棒
70,縫針72,天秤130,針棒用運動変換装置,天
秤用運動変換装置,図示しない釜,主軸110およびミ
シンモータ90が縫目形成装置を構成しているのであ
る。
【0024】上方アーム16にはまた、図1および図2
に示すように、縫製材押さえ装置としての布押さえ装置
170が設けられている。上方アーム16の前端部には
押さえ足棒172が昇降可能に嵌合されており、その上
方アーム16から突出した下端部に本発明の縫製材押さ
え部材としての布押さえ足174が着脱可能に取り付け
られている。布押さえ足174の下端部は縫製位置に位
置決めされた針棒70の縫針72側に延び出させられ、
その布押さえ足174のベッド18に平行な押さえ部1
76には針穴180が形成されている。また、布押さえ
足174は、押さえ足棒172,針棒支持ケース40や
上方アーム16等、周辺の部材の各色とは異なった目立
つ色で着色されている。
【0025】押さえ足棒172には昇降部材184が相
対移動可能に嵌合されている。昇降部材184は枠状を
成し、押さえ足棒172に固定された駒186が相対移
動可能に嵌合されるとともに、駒186と昇降部材18
4の上壁188との間に配設されたスプリング190に
より下方に付勢され、昇降部材184の下壁192上に
設けられたゴム製のストッパ194に当接させられてい
る。駒186の前面には係合突起198が突設されると
ともに、上方アーム16の前面に固定のプレート200
に形成された長穴202に嵌合され、押さえ足棒172
の移動を案内するようにされている。
【0026】昇降部材184には軸208が突設される
とともに、リンク210の一端部が回動可能に嵌合さ
れ、リンク210の他端部は連結ピン212によってレ
バー214のアーム部216に回動可能に連結されてい
る。レバー214はL字形を成し、上方アーム16に軸
218により回動可能に取り付けられ、アーム部216
の先端には円弧状の長穴220が形成されている。連結
ピン212は、図2に示す軸部222と、図1に示すよ
うに小判形を成す嵌合部224と、嵌合部224に突設
された雄ねじ部226とを有し、軸部222においてリ
ンク210に回動可能に嵌合され、嵌合部224におい
て長穴220に嵌合されるとともに、雄ねじ部226に
ナット228が螺合されることにより、アーム部216
に固定されている。
【0027】レバー214の他方のアーム部230の先
端部には長穴232が軸218の軸心を中心とする円弧
上に形成されるとともに、図2に示すように、本発明の
カムフォロワとしてのローラ234が支持ピン236に
より回転可能に取り付けられ、前記駆動カム112に形
成された布押さえ足駆動用カム溝240に係合させられ
ている。支持ピン236は、小判形の嵌合部242にお
いて長穴232に嵌合され、嵌合部242の一方の端面
に突設された軸部244にローラ234が回転可能に取
り付けられ、他方の端面に突設された雄ねじ部246に
ナット248が螺合されることによりアーム部230に
固定されており、嵌合部242と長穴232との相対位
置を調節することにより、レバー214の回動位置を調
節することができる。
【0028】主軸110がミシンモータ90によって回
転させられるとき、布押さえ足駆動用カム溝240の回
転によりレバー214が回動させられるとともにリンク
210が昇降させられる。それにより、昇降部材184
が昇降させられるとともに押さえ足棒172が一体的に
昇降させられ、布押さえ足174が加工布20を押さえ
る前進端位置と、前進端位置から最も後退した後退端位
置とに移動させられる。このとき、スプリング190は
伸長したままであり、昇降部材184と押さえ足棒17
2(布押さえ足174)とは一体的に昇降させられる。
【0029】駆動カム112の布押さえ足駆動用カム溝
240が形成された部分が本発明のカムとしての布押さ
え足駆動用カムを構成し、昇降部材184,リンク21
0およびレバー214により構成される本発明のリンク
機構ならびにローラ234等と共に、主軸110の回転
を布押さえ足174の昇降運動に変換する本発明の縫製
材押さえ部材用運動変換装置としての布押さえ足用運動
変換装置を構成しているのである。また、布押さえ足駆
動用カム溝240は、針棒70を昇降させるためのクラ
ンクレバー114と一体的に主軸110に設けられてお
り、前記針棒用運動変換装置と布押さえ足用運動変換装
置とは互に並列に主軸110に接続されていることとな
る。
【0030】布押さえ足174の前進端位置は、リンク
210のレバー214に対する連結位置を調節すること
により変えることができる。本実施例において布押さえ
足174の前進端位置は、加工布20を押さえず、僅か
な距離を隔てて加工布20に対向する位置に設定され、
加工布20の厚さに応じて調節される。調節時には、レ
バー214を布押さえ足174を前進端位置に移動させ
る位置で停止させ、上方アーム16の右側面に形成され
た開口249(図2参照)から作業者がナット228を
緩め、連結ピン212の嵌合部224の長穴220内に
おける位置を変えるのであり、布押さえ足174と加工
布20との間に適切な隙間が得られる位置において連結
ピン212をレバー214に固定する。
【0031】また、長穴220は、布押さえ足174が
後退端位置にあるときの軸208の軸心を中心とする円
弧に沿って形成されている。したがって、上記のよう
に、布押さえ足174の前進端位置を調節するために連
結ピン212が長穴220内のいずれの位置に固定され
ても、レバー214が後退端位置側の回動端に回動した
とき、軸208は常に長穴220を画定する円弧の中心
に移動することとなり、布押さえ足174の後退端位置
が一定となる。
【0032】ただし、このように布押さえ足174の後
退端位置が一定となるためには、レバー214が後退端
位置側の回動端にある状態で、長穴220が軸208を
中心とする円弧に正確に沿っていることが必要である。
もし、この条件が満たされていない場合には、ローラ2
34のレバー214に対する結合を解いてレバー214
をローラ234に対して移動させ、レバー214の位置
を調節して長穴220が軸208の軸心を中心とする円
弧上に位置するようにする。布押さえ足用運動変換装置
を構成するリンク210とレバー214とが長穴220
および連結ピン212によって位置調節可能に連結され
るとともに、長穴220が後退端位置において軸208
の軸心を中心とする円弧上に位置するように形成されて
いる部分が、布押さえ足174の後退端位置を一定に保
つとともに、前進端位置を調節する位置調節装置を構成
しているのである。
【0033】上方アーム16の左側面には、図6に示す
ように糸払い装置250が取り付けられている。糸払い
装置250は、縫針72から加工布20へ延び出た上糸
76の糸端部252をつかむ装置であり、図7および図
8に示すように、上方アーム16の左側面に固定された
支持板254を有している。支持板254には、糸払い
用ソレノイド256が取り付けられている。糸払い用ソ
レノイド256はロータリソレノイドであり、励磁,消
磁により駆動軸260が正逆両方向に一定角度ずつ回転
させられる。この駆動軸260にはレバー262の基端
部が固定され、レバー262の自由部にはリンク264
の一端部が軸266により回動可能に連結されるととも
に、リンク264の他端部に糸払い部材268が連結さ
れている。
【0034】リンク264の上記他端部には、軸270
が立設されるとともに、支持板252に形成された長穴
272を通って上方アーム16内に突出させられてお
り、その突出端部に糸払い部材268が回動可能に連結
されている。糸払い部材268は図10に示すように板
状を成し、縫製位置に位置決めされた針棒70の軸心と
交差する方向に延び出させられるとともに、その先端部
には糸端部252と係合するフック274が設けられて
いる。
【0035】前記針棒支持ケース40には、図8に示す
ように、糸払い部材268の移動を案内するガイド28
4が設けられている。ガイド284は、針棒支持ケース
40のX軸方向に平行な両側面にそれぞれ固定のブラケ
ット286に両端を固定された2枚の薄板288,29
0により構成されている。これら薄板288,290は
僅かな隙間を隔てて平行に配設されており、糸払い部材
268はそれら薄板288,290の間に挿入され、移
動を案内されるとともに、ガイド284との相対移動に
より針棒支持ケース40の移動を許容する。なお、糸払
い部材268と薄板288との間の隙間にはつめものが
為され、糸払い部材268が薄板290から浮き上がら
ないようにされている。
【0036】レバー262が糸払い用ソレノイド256
の励磁,消磁によって正逆両方向に回動させられること
により、リンク264を介して軸270が長穴272に
沿って往復移動させられ、糸払い部材268がガイド2
84に案内されて図7に実線で示す退避位置と、二点鎖
線で示す突出位置とに直線移動する。これら退避位置と
突出位置とは、針棒70の軸心を挟んで互に反対側にあ
る。糸払い用ソレノイド256,レバー262およびリ
ンク264が糸払い部材移動装置を構成しているのであ
る。なお、292,294は支持板254に固定された
ストッパであり、レバー262の回動範囲を規定するこ
とにより、糸払い部材268の退避位置と突出位置とを
規定する。
【0037】ベッド18内の針板298によって覆われ
た部分には、図9に示すように糸切り装置300が設け
られている。糸切り装置300は、ベッド18に固定の
固定刃304と、軸306により垂直軸線まわりに回動
可能に取り付けられた可動刃308とを有する。可動刃
308は固定刃304の下側に設けられ、上糸76およ
び図示しない下糸を捕捉するフック310と、それら上
糸76および下糸を固定刃304と共同して切断する切
れ刃312とを有している。可動刃308と主軸110
との間には、軸314によって可動刃308に連結され
たリンク316,糸切り用ソレノイド318(図10参
照)および図示しないカム等によって構成される可動刃
用運動変換装置が設けられている。
【0038】可動刃用運動変換装置のカムは主軸110
により常時回転させられており、糸切り時にのみ、糸切
り用ソレノイド318の励磁によりローラがカム溝に係
合させられてリンク316が移動させられ、可動刃30
8が図9に実線で示す第一位置と、二点鎖線で示す第二
位置とに回動させられる。これら第一位置と第二位置と
は、針板298に形成された針穴322に対して互に反
対側にある。なお、糸切り用ソレノイド318は一定時
間励磁された後消磁され、ローラは可動刃308が第一
位置へ復帰した後、カム溝から離脱する。糸切り用ソレ
ノイド318が消磁されてもローラをカム溝に係合した
状態に保ち、可動刃308が第一位置へ復帰した後、カ
ム溝から離脱することを許容する機構が設けられている
のである。
【0039】本ミシンは、図10に示す制御装置330
によって制御される。制御装置330は、CPU33
2,ROM334,RAM336およびそれらを接続す
るバス338を有するコンピュータを主体とすものであ
る。バス338には入力ポート340が接続されるとと
もに、磁気ディスクおよびディスク駆動装置により構成
される外部記憶装置342が接続され、縫製データが供
給されるようになっている。バス338にはまた、出力
ポート344が接続され、駆動回路346,348,3
50,352,354,356,358および制御回路
360を介してX方向駆動モータ34,Y方向駆動モー
タ28,針棒支持ケース移動モータ68,ミシンモータ
90,ジャンプ用ソレノイド124,糸払い用ソレノイ
ド256,糸切り用ソレノイド318およびディスプレ
イ364が接続されている。さらに、ROM334に
は、縫製に必要な種々のプログラムが格納されている。
【0040】次に、このように構成されたミシンの作動
を説明する。このミシンによって加工布20に縫目を形
成する場合には、加工布20が布保持枠22により保持
されて加工布送り装置38によって任意の方向に移動さ
せられるとともに、ミシンモータ90により針棒70が
昇降させられ、天秤130が回動させられる。また、布
押さえ足174は、布押さえ足駆動用カム溝240の回
転により、針棒70の昇降および天秤130の回動に同
期して昇降させられる。図11のタイミングチャートに
示すように、布押さえ足174は後退端位置から前進端
位置へ移動した状態で一定時間停止し、縫針72が加工
布20から抜け出すときには前進端位置にあって縫針7
2の加工布20からの抜出しを助け、その後、後退端位
置へ移動する。
【0041】なお、図11のタイミングチャートに示す
天秤糸量とは、天秤130が引っ張り上げる上糸76の
量であり、糸切り時釜糸量とは、上糸76および下糸を
切断する場合に上糸76の輪に釜を通すために必要な糸
量であり、非糸切り時釜糸量とは、上糸76および下糸
を切断しない場合に上糸76の輪に釜を通すために必要
な糸量である。
【0042】前述のように、布押さえ足174の前進端
位置は加工布20より僅かに上方の位置に設定されてお
り、縫製時に加工布20に接触することはないが、加工
布20にボタンやホックがついていたり、厚さが部分的
に厚い部分があるなど、障害物があるときには、布押さ
え足174がそれら障害物に当たり、障害物から設定値
以上の抗力が与えられたときにスプリング190が圧縮
され、押さえ足棒172が昇降部材184に対して相対
的に上昇し、布押さえ足174が障害物を乗り越えて布
押さえ足174やボタン等の損傷が回避される。針棒1
72と昇降部材184とを相対移動可能とする構成およ
びそれらの間に配設されたスプリング190が、常には
昇降部材184と針棒172とを一体的に移動させる状
態にあるが、布押さえ足174に設定値以上の抗力が与
えられた場合には針棒172の昇降部材184に対する
相対移動を許容する相対移動許容装置を構成しているの
である。なお、この設定値はスプリング190のセット
荷重を変えることにより調節することができる。
【0043】このように布押さえ足174は、スプリン
グ190を圧縮することにより障害物を乗り越えること
ができるが、通常は布押さえ足174は加工布20に接
触せず、昇降部材184と支持棒172とが一体的に移
動し、スプリング190は圧縮されない。従来は、布押
さえ足を昇降させるためにスプリングを圧縮することが
必要な構成とされていたため、主軸にスプリングからの
反力に基づく負荷変動が生じ、主軸に回転むらが生ずる
問題があったが、本実施例においては布押さえ足174
を昇降させるためにスプリング190を圧縮する必要が
ないのであり、主軸110の回転むらを軽減することが
できる。
【0044】縫製終了時には、ミシンモータ90が停止
させられる前に、上糸76および下糸が切断されるとと
もに、上糸76の糸端部252が糸払い部材268によ
って払われる。図1のタイミングチャートに示すよう
に、まず、糸切り用ソレノイド318が励磁(ON)さ
れて可動刃308が第一位置から第二位置へ往動するよ
うにされる。可動刃308が実際に往動を開始するのは
やや後であり、往動開始前にジャンプ用ソレノイド12
4が励磁されて針棒70がジャンプさせられる。
【0045】針棒70のジャンプとほぼ同時期に可動刃
308が往動を開始し、第一位置から第二位置へ回動す
る。そして、可動刃308の復動時にフック310が下
糸および上糸76を捕捉し、切れ刃312と固定刃30
4とが共同して上糸76および下糸を切断する。
【0046】この間、ミシンモータ90は回転している
が、針棒70はジャンプして針棒上死点に留まってお
り、布押さえ足174および天秤130のみが昇降,回
動している。したがって、布押さえ足174が前進端位
置に移動させられたとき、縫針72と布押さえ足174
との間に広いスペースが生じ、そのスペース内で糸払い
部材268が糸端部252を払う。
【0047】糸払い時には糸払い用ソレノイド256が
励磁され、糸払い部材268が突出位置へ突出させられ
た後、糸払い用ソレノイド256が消磁され、糸払い部
材268が退避位置へ移動させられる。糸払い部材26
8が突出位置から退避位置へ移動させられるとき、加工
布送り装置38によって布保持枠22が移動させられ、
加工布20はフック274が糸端部252を捕捉するの
を助ける向き、すなわち図10において左方に移動させ
られる。上糸76は切断されても加工布20に刺さって
おり、加工布20を移動させれば糸端部252を移動さ
せることができるのであり、それにより糸端部252が
フック274によって確実に捕捉される。糸払い部材2
68が退避位置から突出位置に移動する際に糸端部25
2に当たって図10において右方にたわませ、糸端部2
52が糸払い部材268の移動経路から外れることがあ
っても、糸端部252は加工布20の移動につれて左方
へ移動させられ、フック274に確実に捕捉されるので
ある。
【0048】なお、加工布20の移動前に糸端部252
が既に糸払い部材268の側面に接触していることもあ
るが、その場合には加工布20の移動につれて糸端部2
52が糸払い部材268によってたわまされるのみで支
障はない。
【0049】糸端部252が糸払い部材268によって
払われた後、ミシンモータ90が停止させられる。この
停止時期は、上糸76および下糸が切断され、布押さえ
足174が後退端位置に移動し、天秤130が天秤上死
点を越えて僅かに下降した時期である。もし、針棒70
がジャンプさせられていなければ、この時期には針棒上
死点より一定距離下降するはずであるが、実際には下降
しない。
【0050】このようにミシンモータ90が、針棒70
が針棒上死点にあって移動しておらず、天秤130が一
旦天秤上死点を越えた後に停止させられれば、天秤13
0に掛けられた上糸76にたるみが生ずる。天秤130
が天秤上死点を通過すれば上糸76がスプールから十分
に引き出された状態となるため、天秤130が次に再び
天秤上死点へ移動する場合にも上糸76が縫針72から
抜けることがない。特に、針棒70がジャンプ装置12
0により針棒上死点に留まらされた状態で天秤130が
天秤上死点を通過すれば、スプールから引き出された上
糸76が縫目の形成に使用されないため、その分、上糸
76の余裕が多くなる。そのため、縫製開始時に天秤1
30が天秤上死点に移動しても縫針72から上糸76が
抜け出すことがない。天秤130が天秤上死点を越える
ことなく停止させられれば、縫製開始時に天秤上死点へ
移動する際に上糸76を引っ張り、縫針72から抜け出
させる恐れがあるのであるが、一旦、天秤130が天秤
上死点へ移動させられて上糸76がたるまされていれ
ば、次に天秤130が天秤上死点へ移動させられても上
糸76が縫針72から抜け出すことはないのである。
【0051】また、ミシンモータ90が停止させられた
とき、布押さえ足174は後退端位置にあり、布押さえ
足174と加工布20との間に広いスペースがあるた
め、加工布20の交換を容易に行うことができる。針棒
用運動変換装置と布押さえ足用運動変換装置とが互に並
列に主軸110に接続されており、針棒70をジャンプ
させた状態で布押さえ足174のみを移動させることが
できるとともに、天秤130が一旦天秤上死点を越えて
上糸76にたるみを与えているため、布押さえ足174
を針棒70や天秤130の位置に関係なく、加工布20
の交換に適した位置に停止させることができるからであ
る。
【0052】従来のように布押さえ足174が針棒70
によって昇降させられる場合には、ミシンモータ90
は、針棒70および天秤130がいずれもできる限り上
死点に近い位置にある状態で停止させられ、縫針72と
加工布20との間にスペースが確保されるとともに天秤
130から上糸76が抜けないようにすることが必要で
あり、布押さえ足174はそれら針棒70,天秤130
の位置により決まる位置で停止させられることとなり、
加工布交換スペースを確保することが困難である。しか
し、本実施例においては、針棒70は針棒上死点に留ま
っており、天秤130は一旦上死点を越えて上糸76に
たるみを与えていて縫製開始時に上糸76が縫針72か
ら抜ける恐れがないため、天秤上死点と天秤下死点との
間のいずれの位置で停止させられてもよく、布押さえ足
174を加工布交換に最も適した位置に止めることがで
きるのである。
【0053】さらに、布押さえ足174の前進端位置が
加工布20の厚さに応じて調節し得るようにされている
が、リンク216のレバー214に対する連結位置を変
えることにより調節することができるため、ストッパに
よって前進端位置を規定する場合のように衝突音が生ぜ
ず、静かであり、また、布押さえ足174等に衝撃が加
えられることがなく、寿命を向上させることができる。
【0054】また、布押さえ足174の前進端位置を調
節しても後退端位置が変わらないようにされているた
め、後退端位置にある布押さえ足174と縫針72との
上下方向における相対位置関係は一定であり、布押さえ
足174が縫針72への糸通し作業を妨げることがな
く、常に同じ状態で糸通しを行うことができる。
【0055】さらに、布押さえ足174の移動量を変え
ることなく前進端位置と後退端位置とを一緒に変更する
場合には、布押さえ足174の移動用に確保すべきスペ
ースが大きくなってミシンが大形化し、また、前進端位
置を加工布20側に寄せれば後退端位置も加工布20側
へ寄ることになって、その分だけ加工布交換作業用のス
ペースが減少し、交換作業がし難くなるのであるが、後
退端位置が変わらないようにすれば、そのような問題が
生ずることもない。
【0056】さらに、針棒用運動変換装置と縫製材押さ
え部材用運動変換装置とは互に並列に主軸110に接続
されているため、主軸110の1回転全部を布押さえ足
174の昇降に自由に利用することができ、設計の自由
度が高い。従来は、針棒が布押さえ足を保持させ、ある
いは針棒に布押さえ足昇降用のカム装置を駆動させるこ
とが行われていたが、この場合には針棒の動きに拘束さ
れるため、主軸110の1回転全部を布押さえ足174
の昇降に自由に利用することはできず、布押さえ足17
4の移動時期,移動形態が規制されるのに対し、針棒用
運動変換装置と布押さえ足用運動変換装置とを互に並列
に主軸110に接続すれば、本実施例におけるように布
押さえ足駆動用カム溝240の形状によって布押さえ足
174を一時期前進端位置に停止した状態に保つことが
できる等、設計の自由度が高く、使い勝手に優れた布押
さえ装置170を得ることができるのである。
【0057】また、針棒の動きを押さえ足支持棒172
の昇降に変換する場合には、運動変換装置を針棒の近傍
に設置することが必要になるが、針棒周辺には天秤等、
他の部材があってスペースが限られており、布押さえ足
のストロークを大きくすることが困難である。それに対
し、布押さえ足用運動変換装置を針棒用運動変換装置と
互に並列に主軸110に接続すれば、針棒の近傍に設け
る必要はないため、布押さえ足174のストロークを大
きくすることが容易となる。
【0058】さらに、上糸76の糸端部252は、布押
さえ足174と縫針72との間に糸払い部材268を進
入させることにより払われるようにされており、糸払い
機能を備え、加工布交換作業の容易なミシンを安価に得
ることができる。布押さえ足174を後退端位置に移動
させ、糸払い部材268を布押さえ足174と加工布2
0との間に進入させて糸端部252を払わせる場合に
は、針棒交替のために針棒支持ケース40が移動させら
れるとき、糸端部252が糸払い部材268から抜け出
してしまう場合がある。糸端部252が布押さえ足17
4を経て糸払い部材268により払われ、縫針72から
直接糸払い部材268に至る場合より経路が長くなっ
て、糸端部252の長さが不足するからであり、これを
回避するためにはやはり複数の針棒70の各々について
布押さえ足174を設けることが必要となる。また、布
押さえ足174を前進端位置に停止させ、糸払い部材2
68を縫針72と布押さえ足174との間に進入させて
糸端部252を払わせる場合でも、布押さえ足用運動変
換装置と針棒用運動変換装置とが互に並列に主軸110
に接続され、針棒70がジャンプさせられた状態でも布
押さえ足174が移動させられる構成になっていなけれ
ば、加工布交換スペースを確保するために布押さえ足1
74を後退端位置に移動させるべく、専用の布押さえ足
移動装置を設けことが必要となってコストが高くなる。
しかし、本実施例においては、布押さえ足用運動変換装
置と針棒用運動変換装置とが互に並列に主軸110に接
続され、針棒70がジャンプさせられた状態でも布押さ
え足174を移動させ得るようにされるとともに、糸払
い部材268を布押さえ足174と縫針72との間に進
入させて糸端部252を払うようにされているため、複
数の針棒70に対して布押さえ足174を1個設けるの
みでよく、しかも加工布交換スペースを確保することが
でき、安価なミシンを得ることができのである。
【0059】加工布20の交換に次いで上糸76の色が
替えられる場合には、図12に示すように、ミシンモー
タ90がさらに1回転と少し回転させられてから針棒7
0が交替させられる。針棒支持ケース40が移動させら
れて針棒70が交替させられるのであるが、その際、布
押さえ足174が後退端位置にあれば縫針72が布押さ
え足174の針穴180に入っており、針棒支持ケース
40の移動を妨げる。そのため、色替え時には、布押さ
え足174が前進端位置と後退端位置との間にあって、
縫針72が布押さえ足174の針穴180から抜け出た
位置でミシンモータ90が停止させられ、布押さえ足1
74が針棒支持ケース40の移動を妨げないようにされ
る。
【0060】ミシンモータ90の停止後、針棒支持ケー
ス40が移動させられ、次に使用される針棒70が縫製
位置に位置決めされる。布押さえ足174は前述のよう
に周辺部材とは異なる目立つ色で着色されていて縫製位
置が作業者に明瞭にわかり、また、縫製位置に移動させ
られた針棒70を認識し易い。針棒支持ケース40には
各針棒70に対応する位置に番号が記載されており、縫
製位置に移動させられた針棒70を認識し、それに基づ
いて針棒支持ケース40の針棒70に対応する位置に付
された番号を見ることにより何番の針棒70が縫製位置
に移動させられているかが針棒70を数えなくても容易
にわかり、それにより何色の上糸76が選択された状態
にあるか、あるいは次に使用される針棒70は縫製位置
にある針棒70から何番目にあるか等を容易に判別する
ことができる。交替後、ミシンモータ90が再び回転さ
せられ、布押さえ足174が後退端位置に移動した位置
で停止させられる。
【0061】なお、加工布20は交換されず、上糸76
の色のみが替えられる場合には、加工布交換時と同様に
針棒70のジャンプ,糸切りおよび糸払いが行われた
後、ミシンモータ90が縫針72が布押さえ足174の
針穴180から抜け出た位置で停止させられ、針棒支持
ケース40が移動させられる。
【0062】このように色替え時には布押さえ足174
は、前進端位置と後退端位置との間であって、縫針72
が針穴180から抜け出た位置で停止させられるため、
針棒支持ケース40の移動を妨げることはなく、また、
前述のように布交換時には後退端位置に停止させられる
ため、布押さえ足174と加工布20との間に十分な交
換作業スペースを確保することができる。
【0063】ミシンモータ90の停止位置の制御によ
り、布押さえ足174を後退端位置と前進端位置との2
個所に停止させ、針棒支持ケース40の移動を許容する
とともに加工布交換の作業性を確保することができるの
であり、複数の針棒70の各々について布押さえ足17
4を設け、針棒支持ケース40の移動時には針棒70と
共に移動するようにするとともに、針棒70と共に後退
端位置に移動するようにして加工布交換スペースを確保
する場合のように布押さえ足174を複数設ける必要が
なく、加工布20の交換を作業性良く行うことができる
ミシンを安価に得ることができる。
【0064】なお、上記実施例において糸払い部材26
8は直線的に往復移動することによって糸端部252を
払うようにされていたが、回動による往復移動あるいは
一方向移動によって払うようにしてもよい。
【0065】また、上記実施例において多数の縫針72
がそれぞれ1本ずつ縫針抱き73により針棒70に取り
付けられていたが、多数の縫針に対して針棒を1本のみ
設け、縫製に使用する縫針を縫製位置に設けられた針棒
に対して交替させるミシンにも本発明を適用することが
できる。この場合には、縫針抱き73等の縫針保持部材
を針棒に対して着脱容易とし、縫針保持部材を針棒に対
して移動させることとなる。
【0066】さらに、本発明は縫針を1本のみ備えたミ
シンに適用することもできる。
【0067】また、上記実施例において針棒切離し装置
は、針棒70を係合体96との係合から外れた位置から
スプリング86の付勢により針棒上死点へジャンプさせ
るものとされていたが、針棒70を針棒上死点で切り離
すものとしてもよい。
【0068】その他、特許請求の範囲を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した
態様で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるミシンの布押さえ装置
を示す側面図である。
【図2】上記布押さえ装置を示す正面図である。
【図3】上記ミシンの外観を概略的に示す斜視図であ
る。
【図4】上記ミシンの上方アームの突出端部を示す側面
断面図である。
【図5】上記ミシンのジャンプ装置を示す斜視図であ
る。
【図6】上記ミシンの糸払い装置を示す図である。
【図7】上記糸払い装置を示す側面図である。
【図8】上記糸払い装置を示す正面図である。
【図9】上記ミシンの糸切り装置を示す平面図である。
【図10】上記ミシンを制御する制御装置を示す図であ
る。
【図11】上記ミシンの作動を説明するタイミングチャ
ートである。
【図12】上記ミシンの色替え時における作動を説明す
るタイミングチャートである。
【符号の説明】
20 加工布 38 加工布送り装置 70 針棒 72 縫針 82 針棒抱き 90 ミシンモータ 94 昇降体 96 係合体 106 コネクティングロッド 110 主軸 114 クランクレバー 170 布押さえ装置 174 布押さえ足 184 昇降部材 210 リンク 214 レバー 234 ローラ 240 布押さえ足駆動用カム溝 330 制御装置

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縫製材を一平面内の任意の方向に送り得
    る縫製材送り装置と、 軸方向に往復運動可能な針棒と、 縫製材を押さえる縫製材押さえ部材と、 ミシンモータにより連続回転させられる主軸と、 その主軸と前記針棒との間に設けられ、主軸の回転を針
    棒の軸方向の往復運動に変換する針棒用運動変換装置
    と、 前記主軸と前記縫製材押さえ部材との間に設けられ、主
    軸の回転を縫製材押さえ部材の縫製材を押さえる前進端
    位置とその前進端位置から最も後退した後退端位置との
    間の往復運動に変換する縫製材押さえ部材用運動変換装
    置とを含むミシンにおいて、 前記縫製材押さえ部材用運動変換装置と前記針棒用運動
    変換装置とを互に並列に前記主軸に接続するとともに、
    前記縫製材押さえ部材用運動変換装置を、前記主軸に固
    定され、主軸と共に回転するカムと、そのカムに追従し
    て移動するカムフォロワと、そのカムフォロワと前記縫
    製材押さえ部材とに連結され、カムフォロワの移動を縫
    製材押さえ部材の前記往復運動に変換するリンク機構と
    を含むものとしたことを特徴とするミシン。
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