JP2797166B2 - 金属粉末成形体の炭素量制御方法 - Google Patents

金属粉末成形体の炭素量制御方法

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JP2797166B2
JP2797166B2 JP5260601A JP26060193A JP2797166B2 JP 2797166 B2 JP2797166 B2 JP 2797166B2 JP 5260601 A JP5260601 A JP 5260601A JP 26060193 A JP26060193 A JP 26060193A JP 2797166 B2 JP2797166 B2 JP 2797166B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属粉末成形体の炭素量
制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属焼結体(焼結合金ともいう)
は、原料の金属粉末と焼結助剤(有機結合剤)の計
量、混練、成形、脱脂、焼結の工程に従って作製
される。
【0003】そして、金属粉末成形体の炭素量の制御方
法としては、特開平2-141503号公報で開示されているよ
うに、金属粉末と射出成形用有機バインダーとを混練す
る際、主バインダーの樹脂より残留炭素量が高い樹脂を
添加して混練し射出成形を行い、得られた成形体を大気
雰囲気下で脱脂する際に、残留炭素量の高い樹脂の酸化
・分解開始温度下で主バインダーを脱脂し、脱脂保持温
度、脱脂保持時間を変えることにより、金属粉末中に含
有される酸素の還元に必要な量より多くの炭素を均質に
残留させる方法が知られている。
【0004】また、特開平3-64402 号公報で開示されて
いるように、焼結用金属粉末と有機物バインダーの射出
成形品を脱バインダー工程を経た後、焼結させる際、焼
結用金属粉末に必要以上に残留する炭素を所望の炭素量
に減少させる酸化鉄等の金属酸化物を添加すると共に、
還元性もしくは非酸化性雰囲気中で焼結する方法が知ら
れている。
【0005】また、特開平5-43906 号公報で開示されて
いるように、金属粉末あるいは合金粉末よりなる焼結用
粉末を成形して得られる成形体を露点が−20℃以下の水
素ガスを供給しながら、黒鉛粉末等の炭素質剤とともに
焼結する方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来法の場合は、いずれも炭素量の調整操作が焼結工程以
前に行われることにある。従って、得られる焼結体中の
適正炭素量を見出だすための試行錯誤の過程で、グラフ
ァイトや金属酸化物の添加量を変えた何通りもの成形素
材を作製したり、時間のかかる脱脂や含炭処理を何度も
繰り返し行わなければならないため繁雑であり、非効率
さは避けられないという問題があった。また、得られる
焼結成形体の内部の炭素分布まで制御することは出来な
かった。
【0007】本発明はかかる問題点を解消し、焼結過程
においてその雰囲気調整のみによって、金属焼結体全体
の炭素量、或いは金属焼結体内部の炭素量分布を制御す
ることが出来る金属粉末成形体の炭素量制御方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を達
成すべく鋭意検討した結果、図1に示すCH4 ⇔C+2
2 の平衡組成と温度との関係[金属熱処理技術便覧、
第285 頁、日刊工業新聞社、昭和49年10月15日 9版発
行 より引用]中で水素とメタンの混合ガス中の水素量
によってある温度以上になるとメタンが炭素と水素に分
解移行する(CH4 ⇔C+2H2 )平衡曲線、特に気圧
1.0 における平衡曲線に着目した。尚、図中の曲線より
右側は炭素析出側を示す。
【0009】更に詳細に述べると、例えばSCM440水アト
マイズ粉末を板状に射出成形し、これを脱脂し、水素還
元した後、例えばメタン濃度40〜60%のメタン・水素混
合ガス中で温度600 ℃で1時間の含炭処理(メタン処
理)を行った。得られた処理体の炭素量のバラツキは
0.3〜0.4 %であった。そして前記含炭処理に続けてメ
タン・水素混合ガス中で温度1150℃で1時間の焼結を行
ったところ、メタン・水素の混合比に応じてセメンタイ
ト量に多寡を生じた。このことから焼結過程におけるメ
タン・水素の混合比率の調整によって得られる焼結体中
の炭素量を制御出来ることを知見した。
【0010】本発明はかかる知見に基づいてなされたも
のであり、金属粉末成形体を脱脂、水素還元した後、炭
化水素・水素混合ガス雰囲気中で炭化水素と水素の混合
比を調整しつつ焼結して金属焼結体中の炭素量を制御す
ることを特徴とする。
【0011】
【作用】金属粉末成形体を脱脂し、水素還元した後、炭
化水素と水素の混合ガス中で焼結すると炭素が含有され
た金属焼結体が得られる。還元された金属粉末成形体を
炭化水素と水素の混合雰囲気中で焼成処理すると、その
多孔質性から表面のみならず、内部までスーティングが
生じる。この焼結工程中に炭化水素と水素の混合比を調
整しながら焼結を行うと金属焼結体中の炭素量は制御さ
れる。
【0012】
【実施例】本発明は、還元された金属粉末成形体を炭化
水素と水素の混合ガス中で加熱処理、即ち焼結処理する
と、その多孔質性から表面のみならず、内部までスーテ
ィングが生じる。本発明はこの現象を利用して金属粉末
成形体の炭素量制御を行うものであり、金属粉末成形体
の脱脂工程の次工程に組み込まれる本発明方法(ここで
はメタン処理という)は、計量、混練に立ち戻らなけれ
ばならない例えばAmerican Society for Metals; Metal
s Hanbook Vol.7,203(1973) に開示されている従来のグ
ラファイト混合法に比べて効率的である。本発明方法
は、マスフローコントローラに連動するシリコニット炉
を用い、更に炭化水素と水素の混合比を調整しながらメ
タン処理、焼結処理を連続的に行って金属焼結体の組織
(密度、炭素量)の評価を行うものである。
【0013】以下添付図面に従って本発明の実施例を説
明する。
【0014】図2は本発明方法を実施するための装置の
1例を示すもので、図中、1は金属粉末成形体を水素還
元し、例えばメタンガスと水素ガスの混合ガス雰囲気中
で焼結を施すためのシリコニット炉を示す。シリコニッ
ト炉1の一方にガス導入管2を接続すると共に、該数導
入管2に複数の分岐管3を配設し、各分岐管3の夫々に
シリコニット炉1内に導入するガス供給源4を接続し、
各分岐管3の夫々にマスフローコントローラ5を配置し
た。図示例ではガス供給源4をメタン(CH4 )ガス、
水素(H2 )ガス、窒素(N2 )ガスとした。
【0015】また、シリコニット炉1の他方にシリコニ
ットロ炉1内にガス導入管2を介して導入されたガス
(例えばメタンガスと水素ガスの混合ガス)を排出する
ための排出管6を接続した。
【0016】また、各マスフローコントローラ5を電源
7(株式会社小島製作所製、商品名PSK-6FC )を介して
マルチループコントローラ8(株式会社チノー製、商品
名マルチループコントローラSJ)に接続し、該マルチル
ープコントローラ8で並列的にプログラム制御させてシ
リコニット炉1内に導入する例えば水素ガスのような雰
囲気ガス流量を制御出来るようにした。
【0017】尚、図示例ではマスフローコントローラ5
として、M1には最大流量 100SCCM或いは 200SCCM、M
2には最大流量 500SCCM、M3には最大流量1SLM 、M
4には最大流量1SLM のマスフローコントローラ(いず
れも株式会社小島製作所製、商品名3610)を用いた。
【0018】次に、本発明方法を実施するための温度と
時間の関係の1例を図3により説明する。
【0019】前記装置のシリコニット炉1内に金属粉末
成形体を収容した後、炉1内に水素ガスを流量0.5 リッ
トル/分で導入しながら昇温速度800 ℃/時間で温度 4
00℃にし、更に昇温速度 133℃/時間で温度 600℃にし
て成形体に水素還元処理を施す。続いて炉1内にメタン
ガス濃度50%のメタンと水素の混合ガスを流量 0.7リッ
トル/分で導入しながら温度 600℃に1時間維持して成
形体にここではメタン処理を施す。次にメタン・水素混
合ガスの全流量を一定( 0.5リットル/分)に保ちなが
ら、炉1内へ導入されるメタンガスの流量を減じると共
に、水素ガスの流量を増やし、昇温速度 300℃/時間で
温度1150℃に昇温した後、該温度1150℃に1時間維持し
て成形体に焼結処理を施す。続いて炉1内へのメタン・
水素混合ガスの導入を停止すると同時に、窒素ガスのよ
うな不活性ガスを流量0.3 〜0.05リットル/分で導入し
ながら降温速度120℃/時間で成形体を温度400 ℃まで
冷却し、以後炉冷とする。
【0020】前記図2装置を用いて、本発明方法の具体
的実施例を比較例と共に説明する。
【0021】実施例1 原料の金属粉末として平均粒径6.77μm、タップ密度3.6
4g/cm3 のSCM440水アトマイズ粉末(日本アトマイズ
加工株式会社製、商品名SF-SCM440 )と、焼結助剤を重
量比 100:9.1 に計量し、 140〜160 ℃で90分間混練し
た。これを常法により射出成形して厚さ 3mm、幅12mm、
長さ70mmの板状の金属粉末成形体を作製した。
【0022】作製された金属粉末成形体を脱脂炉内で大
気中で昇温速度12℃/時間で昇温し、 300℃に達した時
点で該温度を4時間維持して脱脂処理を行った後、炉内
で温度 100℃以下まで冷却した。
【0023】脱脂処理された金属粉末成形体をシリコニ
ット炉1内のセラミック板上に載置し、室温から温度 6
00℃に達するまでの間、炉内にM3のマスフローコント
ローラ5の調整により水素ガスを流量 0.5リットル/分
で導入して水素還元処理を行った。
【0024】また、温度が 533℃に達した時点でM3の
マスフローコントローラ5およびM1,M2のマスフロ
ーコントローラ5の調整によりメタンガス濃度41.2%の
メタンと水素の混合ガスを流量0.85リットル/分で導入
し、該混合ガスの導入を温度600℃に達するまでの間(3
0分間)継続し、温度 600℃に達した後、該温度を1時
間維持せしめると共に、該温度に達した時点で炉1内へ
導入する混合ガスのメタンガス濃度をM3のマスフロー
コントローラ5およびM1,M2のマスフローコントロ
ーラ5の調整により50%とし、該ガスを流量 0.7リット
ル/分で導入しつつ、30分間維持した後、炉内へ導入さ
れるメタンガスの流量を逐次低下させた。一方、M3の
マスフローコントローラ5によって調整された水素ガス
流量は、600℃においては一定に保ち、 600℃を超えて
一時的に低下させた後、少しずつ増加させることによっ
てメタンガス濃度を徐々に減少させつつ、炉内温度を 6
00℃から1150℃まで昇温した。この時、メタン・水素混
合のガス流量は 0.7リットル/分から 0.5リットル/分
に減少させた。該焼結中の最終メタンガス濃度は 1.0%
となるようにした。
【0025】そして、温度1150℃に達した時点で該温度
を1時間維持せしめて金属成形体に焼結処理を施した
後、炉内へのメタンと水素の混合ガスの導入を停止する
と同時に、M4のマスフローコントローラ5の調整によ
り、窒素ガスを流量0.3〜0.05リットル/分で導入し、
炉内温度を200℃まで冷却して、金属焼結体を取り出
した。
【0026】本実施例における炉内に導入するメタンガ
スと水素ガスの混合ガス中のメタンガス濃度と時間との
関係を図4にAとして示すと共に、表1に記載した。
尚、混合ガス雰囲気中における金属成形体の温度と時間
との関係を図4にTとして示した。
【0027】前記工程で作製された金属焼結体の内部炭
素量はEPMAの線分析により測定したX線強度を炭素量に
換算して求めた。試料(金属焼結体)の厚さ方向の炭素
量を図5にFとして示した。尚、試料の炭素量はSCM440
の溶製材と水素焼結体(温度 600℃,1時間のみにメタ
ンガス濃度50%のメタン、水素の混合ガスを導入してメ
タン処理し、その後は水素ガス雰囲気中で1150℃で1時
間の焼成を施した焼結体)の夫々の炭素量を別個に測定
し、これを標準X線強度とし、他の炭素量測定用試料の
X線強度を標準X線強度の炭素量より換算して求めた。
【0028】また、金属焼結体の試料の端を長手方向に
直角に切断し、金属成形体の組織を光学顕微鏡(顕微鏡
倍率×199)により調べたところ、試料のエジェクタ
面(炉内のセラミックス板面に接した試料の下側面)、
試料のスプルー面(炉内に導入せるガスの流れに接する
試料の上側面)共にその表面から深さ約0.05mmまではフ
ェライト層をなし、それから内部に向かってパーライト
結晶が徐々に増えて、中心部では最も多かった。
【0029】また、焼結密度を測定したところ7.232g/
cm3 であり、その相対密度は92.4%であった。尚、相対
密度は溶製材(JIS SCM440)の密度7.828g/
cm3を真密度とし、焼結密度/真密度× 100(%)とし
て求めた。
【0030】実施例2 先ず、前記実施例1と同様の方法で脱脂処理された金属
粉末成形体を作製した。
【0031】脱脂処理された金属粉末成形体をシリコニ
ット炉1内のセラミック板上に載置し、室温から温度 6
00℃に達するまでの間、炉1内にM3のマスフローコン
トローラ5の調整により水素ガスを流量 0.5リットル/
分で導入して水素還元処理を行った。
【0032】そして、温度 600℃に達した時点でM3の
マスフローコントローラ5およびM1,M2のマスフロ
ーコントローラ5の調整によりメタンガス濃度50%のメ
タンと水素の混合ガスを流量 0.7リットル/分で導入し
つつ、該温度を1時間維持した後、炉内へ導入されるメ
タンガスの流量を逐次減少させると共に、M3のマスフ
ローコントローラ5の調整により水素ガスの流量を逐次
増加させた。メタン・水素混合ガスの流量は 0.5リット
ル/分である。このようにメタンガス濃度を徐々に減少
せしめながら、金属成形体の温度を1150℃まで昇温させ
た。該焼結中の最終メタンガス濃度は 1.0%となるよう
にした。
【0033】そして、金属成形体の温度が1150℃に達し
た時点で該温度を1時間維持せしめて金属成形体に焼結
処理を施した後、炉内へのメタンと水素の混合ガスの導
入を停止すると同時に、M4のマスフローコントローラ
5の調整により窒素ガスを流量 0.3〜0.05 リットル/
分で導入し、炉内の金属成形体を温度 200℃まで冷却し
て、金属焼結体を取り出した。
【0034】本実施例における炉内に導入するメタンガ
スと水素ガスの混合ガス中のメタンガス濃度と時間との
関係を図4にBとして示すと共に、表1に記載した。
尚、混合ガス雰囲気中における金属成形体の温度と時間
との関係を図4にTとして示した。
【0035】前記工程で作製された金属焼結体の内部炭
素量を前記実施例1と同様の方法で測定し、その結果を
図5にGとして示す。
【0036】また、金属焼結体の組織を前記実施例1と
同様の方法で調べたところ、表面のフェライト層の厚さ
はエジェクタ面側で約0.07mm、試料のスプルー面側で約
0.1mm であり、内部はほぼ均一なパーライト組織になっ
ていた。
【0037】また、焼結密度を測定したところ7.545g/
cm3 であり、その相対密度は96.4%であった。
【0038】実施例3 先ず、前記実施例1と同様の方法で脱脂処理された金属
粉末成形体を作製した。
【0039】脱脂処理された金属粉末成形体をシリコニ
ット炉1内のセラミック板上に載置し、室温から温度 6
00℃に達するまでの間、炉1内にM3のマスフローコン
トローラ5の調整により水素ガスを流量 0.5リットル/
分で導入して水素還元処理を行った。
【0040】そして、温度 600℃に達した時点でM3の
マスフローコントローラ5およびM1,M2のマスフロ
ーコントローラ5の調整によりメタンガス濃度50%のメ
タンと水素の混合ガスを流量 0.7リットル/分で導入し
つつ、該温度を1時間維持した後、炉内へ導入されるメ
タンガスの流量を逐次減少させると共に、M3のマスフ
ローコントローラ5の調整により水素ガスの流量を逐次
増加させた。メタン・水素混合ガスの流量は 0.5リット
ル/分である。このようにメタンガス濃度を徐々に減少
せしめながら、金属成形体の温度を1150℃まで昇温させ
た。該焼結中の最終メタンガス濃度は 3.0%となるよう
にした。
【0041】そして、金属成形体の温度が1150℃に達し
た時点で該温度を1時間維持せしめて金属成形体に焼結
処理を施した後、炉内へのメタンと水素の混合ガスの導
入を停止すると同時に、M4のマスフローコントローラ
5の調整により窒素ガスを流量 0.3〜0.05 リットル/
分で導入して、炉内の金属成形体を温度 200℃まで冷却
して、金属焼結体を取り出した。
【0042】本実施例における炉内に導入するメタンガ
スと水素ガスの混合ガス中のメタンガス濃度と時間との
関係を図4にCとして示すと共に、表1に記載した。
尚、混合ガス雰囲気中における金属成形体の温度と時間
との関係を図4にTとして示した。
【0043】前記工程で作製された金属焼結体の内部炭
素量を前記実施例1と同様の方法で測定し、その結果を
図5にHとして示す。
【0044】また、金属焼結体の組織を前記実施例1と
同様の方法で調べたところ、表面のフェライト層の厚さ
はエジェクタ面、スプルー面共に約0.02mmであり、内部
はパーライト組織とセメンタイト組織からなっていた。
また、エジェクタ面側のパーライト組織およびセメンタ
イト組織の結晶粒はスプルー面側よりも大きかった。
【0045】また、焼結密度を測定したところ7.732g/
cm3 であり、その相対密度は98.8%であった。
【0046】比較例1 先ず、前記実施例1と同様の方法で脱脂処理された金属
粉末成形体を作製した。
【0047】脱脂処理された金属粉末成形体をシリコニ
ット炉1内のセラミック板上に載置し、室温から温度 6
00℃に達するまでの間、炉1内にM3のマスフローコン
トローラ5の調整により水素ガスを流量 0.5リットル/
分で導入して水素還元処理を行った。
【0048】そして、温度 600℃に達した時点でM3の
マスフローコントローラ5およびM2のマスフローコン
トローラ5の調整によりメタンガス濃度50%のメタンと
水素の混合ガスを流量 0.7リットル/分で導入しつつ、
該温度を1時間維持した後、炉内へのメタンガスの導入
を停止して、M3のマスフローコントローラ5の調整に
より水素ガスのみを流量 0.1リットル/分で導入しなが
ら、金属成形体の温度を1150℃までに昇温させた。
【0049】そして、金属成形体の温度が1150℃に達し
た時点で該温度を1時間維持せしめて金属成形体に焼結
処理を施した後、 120℃/時間の速度で降温し、 400℃
で水素ガスの導入を停止すると同時に、M4のマスフロ
ーコントローラ5の調整により窒素ガスを流量0.05リッ
トル/分で導入した。そして炉内の金属成形体を室温近
くまで冷却し、金属焼結体を取り出した。
【0050】本比較例における炉内に導入するメタンガ
スと水素ガスの混合ガス中のメタンガス濃度と時間との
関係を図4にDとして示すと共に、表1に記載した。
尚、混合ガス雰囲気中における金属成形体の温度と時間
との関係を図4にTとして示した。
【0051】前記工程で作製された金属焼結体の内部炭
素量を前記実施例1と同様の方法で測定し、その結果を
図5にIとして示す。
【0052】また、金属焼結体の組織を前記実施例1と
同様の方法で調べたところ、試料全面に亘ってフェライ
ト組織であった。また、一部に輪状の介在物が散見され
た。これは焼結過程における水素流量が少なく、還元が
不十分なためと考察される。
【0053】また、焼結密度を測定したところ6.401g/
cm3 であり、その相対密度は81.8%であった。
【0054】比較例2 先ず、前記実施例1と同様の方法で脱脂処理された金属
粉末成形体を作製した。
【0055】脱脂処理された金属粉末成形体をシリコニ
ット炉1内のセラミック板上に載置し、室温から温度 6
00℃に達するまでの間、炉1内にM3のマスフローコン
トローラ5の調整により水素ガスを流量 0.5リットル/
分で導入して水素還元処理を行った。
【0056】そして、温度 600℃に達した時点でM3の
マスフローコントローラ5およびM2のマスフローコン
トローラ5の調整によりメタンガス濃度50%のメタンと
水素の混合ガスを流量 0.7リットル/分で導入しつつ、
該温度を1時間維持した後、炉内への混合ガス(メタン
ガス濃度50%)の導入を継続しながら、温度を 600℃か
ら1150℃になるように昇温を行ったが、温度 900℃で異
常が見られたので、混合ガスの導入と、昇温を直ちに停
止すると共に、炉内に窒素ガスを導入して冷却を行っ
た。
【0057】本比較例における炉内に導入するメタンガ
スと水素ガスの混合ガス中のメタンガス濃度と時間との
関係を図4にEとして示すと共に、表1に記載した。
尚、混合ガス雰囲気中における金属成形体の温度と時間
との関係を図4にTとして示した。
【0058】炉内が室温になったので試料を取り出して
観察したところ、試料は金属粉末成形体の脱脂処理後の
大きさの1.1倍に肥大しており、金属粉間に過剰なス
スが見られ、全く焼結されておらず、簡単に手で折れて
しまった。
【0059】
【表1】
【0060】前記実施例並びに比較例の結果(図5、表
1および組織調査結果)から明らかなように,本発明の
実施例は焼結処理された金属焼結体中の炭素量を制御出
来ることが確認された。
【0061】また、比較例2から明らかなようにメタン
ガス濃度50%のままでは温度1150℃に昇温させると炭素
量過剰のため溶融してしまうものと思われる。従って、
金属粉末成形体に焼結(例えば温度 600℃から1150℃に
昇温し、その間で焼結)を施す場合にはメタンガス濃度
を低減させながら焼結を行うことが必要であることが分
かる。
【0062】前記実施例では炭化水素としてメタンガス
を用いたが、本発明ではこれに限定されるものではな
く、前記メタンガスの他にエタンガス、プロパンガス、
ブタンガス等が挙げられる。
【0063】また、前記実施例では金属粉末としてSC
M440水アトマイズを用いたが、本発明ではこれに限
定されるものではなく、鉄系粉末、超硬合金粉末、銅合
金粉末、アルミニウム合金粉末、ニッケル合金粉末、チ
タン合金粉末等が挙げられる。また、本発明法は従来金
属粉末射出成形法の対象材料として不向きであった炭素
鋼、構造用合金鋼、工具鋼等の製造にも利用することが
出来る。
【0064】前記実施例とは別に次のような実験を行っ
た。
【0065】脱脂された金属成形体を室温から温度 600
℃までの過程で水素による還元処理を十分に行った金属
成形体に、メタンガス濃度を40%、50%、60%としたメ
タンと水素の混合ガス雰囲気中で、温度 600℃、1時間
の加熱処理を行って、得られた金属成形体の中の炭素量
とメタンガス濃度との関係を調べ、その結果を図6に示
す。
【0066】図6から明らかなように、炭素量とメタン
ガス濃度は全く比例関係にあることが分かる。しかし、
各メタンガス濃度における炭素量はバラツキがあり、メ
タンガス濃度が高まるほど炭素量のバラツキが拡大す
る。これは多孔質体に対するスーティング現象の不安定
さのためと思われる。メタンガス濃度が40%では炭素量
のバラツキがほとんどないのはスーティングが起こらな
いためと見られる。
【0067】また、焼結された金属焼結体の組織を調べ
た結果、焼結工程における雰囲気中のメタンガス濃度が
が高いほどセメンタイト量が多いことが分かった。これ
はメタン処理工程以降の焼結工程で雰囲気中に残存せる
炭化水素により含炭(ここではメタン処理)が生じたこ
とを意味する。従って、焼結処理された金属焼結体中の
炭素量の増加を防止するには焼結工程において炭化水素
濃度の減少を速やかに行うことが必要となる。
【0068】
【発明の効果】本発明によるときは、金属粉末成形体を
脱脂し、水素還元した後、炭化水素と水素の混合ガス中
で焼結する際、炭化水素と水素の混合比を調整しながら
焼結するようにしたので、金属焼結全体の炭素量、或い
は金属焼結体内部の炭素量分布を制御した金属焼結体を
極めて簡単に製造することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 CH4 ⇔C+2H2 の平衡組成と温度との関
係を表す特性線図、
【図2】 本発明方法を実施するための装置の1例の説
明図、
【図3】 本発明方法を実施するための温度と時間との
関係の1例を表す特性線図、
【図4】 本発明実施例の導入する混合ガス中のメタン
ガス濃度と時間との関係および温度と時間との関係を表
す特性線図、
【図5】 金属焼結体の厚み方向位置と炭素量との関係
を表す特性線図、
【図6】 混合ガス中のメタンガス濃度と金属成形体の
炭素量との関係を表す特性線図。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属粉末成形体を脱脂、水素還元した
    後、炭化水素・水素混合ガス雰囲気中で炭化水素と水素
    の混合比を調整しつつ焼結して金属焼結体中の炭素量を
    制御することを特徴とする金属粉末成形体の炭素量制御
    方法。
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