JP2793846B2 - 釣竿及び釣竿の成形方法 - Google Patents

釣竿及び釣竿の成形方法

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は魚釣りに使用する釣竿及び釣竿の成形方法に
関する。
(従来の技術) 一般に、此種釣竿は、特開昭60−6145号公報に見られ
るように、合成樹脂を含浸したカーボン繊維などの高強
度繊維のプリプレグを芯金に巻回して竿本体を形成し、
この竿本体の外周面に、セロハンテープ或はポリエステ
ルテープを螺旋状に巻回して前記竿本体を緊縛し、この
緊縛状態で加熱炉で焼成して中空円筒状に成形してお
り、又、この成形後、前記芯金を抜取ると共に、前記ポ
リエステルテープを剥離して表面仕上げしているのであ
る。
(発明が解決しようとする課題) 所が、前記プリプレグにおける高強度繊維は、一般に
カーボン繊維が使用されているのであるが、このカーボ
ン繊維は、耐衝撃性が小さくて脆ため、従来の釣竿は、
地面に落したり、岩場などに当った場合などの衝撃力で
ヒビが入り易く、この状態で使用することにより破損す
る問題があった。
本発明は以上の問題点に鑑み発明したもので、耐衝撃
性に優れたポリアミド系樹脂のフィルムに着目し、この
フィルムから成るテープを竿本体の外周に螺旋状に巻回
することにより、重量の増大を最小にできながら、衝撃
強度の強い釣竿を提供できるようにするものである。
(課題を解決するための手段) しかして、本発明は、高強度繊維に合成樹脂を含浸し
たプリプレグ(2)を芯金(A)に巻回して竿本体
(1)を形成した後、この竿本体(1)の外周に、ポリ
アミド系樹脂から成るフィルム(3)を螺旋状に緊縛し
て巻回し、然る後、焼成しその焼成時に前記緊縛の状態
が前記フィルム(3)により維持され、前記フィルム
(3)は前記竿本体(1)の強度部材として形成される
ことを特徴とする釣竿の成形方法であり、又、高強度繊
維に合成樹脂を含浸したプリプレグ(2)を巻回してな
る竿本体(1)と、この竿本体(1)の外周面に螺旋状
に緊縛して巻回するポリアミド系樹脂から成るフィルム
(3)の補強層(4)とを備え、前記補強層(4)は前
記緊縛の状態が維持されたまま焼成されていることを特
徴とする釣竿である。
(作用) 本発明による釣竿は、成形工程の途中で用いられるフ
ィルムの緊縛状態が焼成時にもそのままで維持され、そ
の焼成工程でボイド、凹みの発生を抑えることができ
て、竿本体の材料層の緊密性が確保され、竿本体の強度
を高めるこのような成形方法による竿は、芳香属ポリア
ミドで形成されている補強層はそれ自体の衝撃強度が高
く、竿本体の材料である合成樹脂の含浸量の比率を下げ
ても、ボイド等の発生を抑えることができるので、重量
の増大を最少にしながらも衝撃強度及び本体強度を高め
ることができるのである。
(実施例) しかして、第1実施例では、第1.2図の如くカーボン
繊維などの高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレグ
(2)を芯金(A)に巻回して竿本体(1)を形成した
後、この竿本体(1)の外周に、耐熱性及び耐衝撃性に
優れたポリアミド系樹脂から成るテープ(3)を5kg程
度の引張力で螺旋状で、かつ、端縁を密接状に巻回して
前記竿本体(1)を緊縛し、該竿本体(1)の外周に補
強層(4)を形成し、然る後、加熱炉により140℃前後
の温度で焼成し、次に前記芯金(A)を抜き取るのであ
る。
前記ポリアミド系樹脂から成るテープ(3)は、耐熱
性及び耐衝撃性に優れたものであって、好ましくは、ア
ロマティックポリアミド樹脂のフィルムを使用するので
ある。尚、このテープ(3)は、厚さが9〜25μ、幅が
10〜15mmに形成するのが好ましい。又、前記アロマティ
ックポリアミド樹脂フィルムの融点は550℃以上であ
る。
従って、本発明によれば、一般的な釣竿のように、前
記竿本体(1)を、耐衝撃性が小さくて脆いカーボン繊
維のプリプレグで形成した場合でも、この竿本体(1)
の外周には、耐衝撃性に優れたポリアミド系樹脂から成
る補強層(4)があって、この補強層(4)が衝撃に対
する強度メンバーになっているため、釣竿の衝撃強度を
高めることができ、衝撃による破損を防ぐことができる
のである。即ち、地面に落したり、岩場などに当った場
合などの衝撃力でヒビが入るのを防ぐことができ、耐久
性を高めることができるのである。
又、前記ポリアミド系樹脂から成るテープ(3)は、
140℃前後の温度でも引張力の低下が少なく、即ち、熱
による伸びが少なくて充分な引張力を得ることができる
ので、前記プリプレグから成る竿本体(1)を5kg程度
の引張力で緊縛した後、140℃前後の温度で焼成する場
合、この焼成熱による前記テープ(3)の伸びが少なく
て、このテープ(3)を当初の5kg程度の引張力に維持
できるので、即ち、竿本体(1)を充分な引張力で緊縛
できるので、竿本体の均密性を良好にでき、竿本体の表
層にボイド及び凹みができるのを防止できるのである。
従って、釣竿の引張強度を高めることができるのであ
る。
即ち、従来においては、プリプレグから成る竿本体の
外周面に、ポリエステルテープを螺旋状に巻回して前記
竿本体を緊縛し、この緊縛状態で焼成しているのである
が、前記ポリエステルテープは、常温で5kg程度の引張
力が得られても、140℃前後の高温になると、該テープ
が伸びて2〜3kg程度の引張力に低下するため、140℃前
後で焼成する場合、前記竿本体を充分に緊縛することが
できなくて、竿本体の均密性が悪くなり、この結果、竿
本体の内部或いは竿本体と芯金との間に含まれている気
泡を完全に抜くことができなくて、焼成後、竿本体の表
層に多数のボイド、凹みができ易く、引張強度の低下を
来す問題があり、又、この問題は、合成樹脂の含浸量
を、一般的な含浸量(35〜40wt%)よりも例えば33wt%
以下に少なくして高強度繊維の比率を高め、引張強度を
高くできるようにしたプリプレグで前記竿本体(1)を
形成した場合に顕著に表れるのであるが、前記した如く
ポリアミド系樹脂から成るテープ(3)を用いて前記竿
本体(1)を緊縛することにより、表層にボイド、凹み
のない釣竿を形成できるのである。
尚、前記ポリアミド系樹脂から成るテープ(3)は、
前記した如く端縁を密接状に巻回する他、第3図の如く
端縁を重なり状に巻回してもよいのであって、この場合
も前記ボイド、凹みのない釣竿を形成できるのである。
又、第2の実施例では、合成樹脂の含浸量を少なくし
たプリプレグで竿本体(1)を形成する一方、第4図の
如く前記テープ(3)の裏面を物理的処理或は化学的処
理で粗面し、このテープ(3)の前記竿本体(1)との
密着性を高め、その結合力を増大するようにしたのであ
って、この場合、釣竿の衝撃強度を一層高めることがで
きるのである。
又、第3の実施例では、合成樹脂の含浸量を少なくし
たプリプレグで竿本体(1)を形成する一方、前記テー
プ(3)の裏面を前記した如く粗面とした上、この粗面
としたテープ(3)の裏面に、第5図の如く前記プリプ
レグ(2)における合成樹脂と密着若しくは相溶する合
成樹脂をコーティングしたのである。斯くすることによ
り、テープ(3)の竿本体(1)との密着性を高め、そ
の結合力を増大できて、しかも前記プリプレグ(2)に
おける合成樹脂の含浸量が少ないことによって、前記ボ
イド、凹みができ易い状態の場合でも、前記焼成時、前
記テープ(3)にコーティングした合成樹脂を前記竿本
体(1)の合成樹脂と密着若しくは相溶させることがで
きて、竿本体(1)の表層にボイド及び凹みができるの
を防止できるのである。
又、第1〜第3実施例の如く成形した釣竿は、従来と
同様、バフ研磨などにより表面を粗面にした後、塗装仕
上げするのであって、前記竿本体(1)の外周には、耐
衝撃性に優れたポリアミド系樹脂から成る補強層(4)
があるため、前記バフ研磨による強度低下を防止できる
のであり、又、竿本体(1)を緊縛するために巻回した
テープ(3)を剥離する必要がないので、それだけ作業
工程を簡素にでき、コストダウンを図ることができるの
である。
又、第4の実施例では、第6図の如く前記プリプレグ
(2)を芯金(A)に巻回して竿本体(1)を形成した
後、この竿本体(1)の外周に、耐熱性及び耐衝撃性に
優れたポリアミド系樹脂から成る前記テープ(3)を所
定の巻回ピッチで螺旋状に巻回して補強層(4)を形成
し、この補強層(4)の外側に定法通りポリエステルテ
ープ(6)を螺旋状に巻回して前記竿本体(1)を緊縛
し、この緊縛状態で加熱炉で焼成し、この焼成後、前記
芯金(A)を抜取ると共に、前記ポリエステルテープ
(6)を剥離して、前記した如く表面処理する如く成し
たのである。
又、前記竿本体(1)の最内層には、第2図の如く引
揃えカーボン繊維に合成樹脂を含浸した薄手のプリプレ
グ又はテープを、その繊維方向が周方向となるように巻
装して内側補強層(5)を設けるのが好ましい。
又、前記プレプレグ(2)は、エポキシプ樹脂、フェ
ノール樹脂などの熱硬化性合成樹脂を用いるのである。
(発明の効果) 以上の如く本発明の釣竿には、プリプレグから成る竿
本体(1)の外周面に、耐衝撃性に優れたポリアミド系
樹脂から成るテープの補強層(4)があるため、魚釣り
時、地面に落したり、岩場などに当った場合でも、その
衝撃力でヒビが入るのを防ぐことができるのであり、耐
久性を高めることができるのである。しかも、ポリアミ
ド系樹脂から成るテープを用いて前記補強層(4)を形
成するのであるから、衝撃性を強めることができる割
に、重量の増加を最小にでき、軽量化できるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)(ロ)は本発明成形方法の一実施例を示す
説明図、第2図は本発明釣竿の一実施例を示す部分拡大
断面図、第3図は別の実施例を示す第2図に対応した部
分拡大断面図、第4図〜第6図は別の成形方法を示す第
1図(ロ)に対応した説明図である。 (1)……竿本体 (2)……プリプレグ (3)……テープ (4)……補強層

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレ
    グ(2)を芯金(A)に巻回して竿本体(1)を形成し
    た後、この竿本体(1)の外周に、ポリアミド系樹脂か
    ら成るフィルム(3)を螺旋状に緊縛して巻回し、然る
    後、焼成し、その焼成時に前記緊縛の状態が前記フィル
    ム(3)により維持され、前記フィルム(3)は前記竿
    本体(1)の強度部材として形成されることを特徴とす
    る釣竿の成形方法。
  2. 【請求項2】高強度繊維に合成樹脂を含浸したプリプレ
    グ(2)を巻回してなる竿本体(1)と、この竿本体
    (1)の外周面に螺旋状に緊縛して巻回するポリアミド
    系樹脂から成るフィルム(3)の補強層(4)とを備
    え、前記補強層(4)は前記緊縛の状態が維持されたま
    ま焼成されていることを特徴とする釣竿。
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JPS6147281U (ja) * 1984-08-31 1986-03-29 株式会社シマノ 釣竿
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