JP2790075B2 - イオンプレーティングによる複合薄膜の形成方法及び複合薄膜形成用イオンプレーティング装置 - Google Patents

イオンプレーティングによる複合薄膜の形成方法及び複合薄膜形成用イオンプレーティング装置

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JP2790075B2 JP7108933A JP10893395A JP2790075B2 JP 2790075 B2 JP2790075 B2 JP 2790075B2 JP 7108933 A JP7108933 A JP 7108933A JP 10893395 A JP10893395 A JP 10893395A JP 2790075 B2 JP2790075 B2 JP 2790075B2
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幸夫 井手
和典 稲田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、イオンプレーティング
による複合薄膜の形成方法と複合薄膜形成用イオンプレ
ーティング装置に関し、特に一つのルツボにより複合薄
膜の形成を可能としたイオンプレーティングによる複合
薄膜の形成方法及びイオンプレーティング装置に関する
ものである。従来複数個のルツボを必要としたイオンプ
レーテイングによる複合薄膜や傾斜組成薄膜の形成を、
本発明によれば、一つのルツボにて実施可能となり、高
度な機能を持たせた複合薄膜を、より低コストかつ簡単
な方法で提供することができる。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、基板上に優れた性能を有する高付加価値な薄膜形成
のためにイオンプレーティング法等による薄膜の複合化
が盛んに試みられている。しかし、イオンプレーティン
グ法の中でも活性化反応性蒸着法(ARE法)のよう
に、真空中で電子銃により金属を溶解し、蒸着させる成
膜法では、−つのルツボに一種類の金属元素を溶解する
のが一般的である。その方法によると、複数の金属元素
よりなる薄膜を形成するためには、図6に従来方法によ
る複合薄膜形成のためのイオンプレーティング方式の概
説図示するごとく、それぞれの金属種(金属A,金属
B)の数だけのルツボ2が必要であり、ルツボ2が複数
あることにより、基板3上に対して、均一な組成の金属
蒸気を供給できる面積がどうしても狭小になる問題があ
る。ところで、金型や工具の耐摩耗性を向上させるため
にTiNコーティングが多く採用されているが、そのコ
ーティング層は400℃以上の雰囲気にさらされると酸
化が始まり使用できなくなってしまう。この欠点を改善
するために、TiNにAlを添加することが推奨される
が、従来の方法ではルツボが二つ、すなわちTiルツボ
とAlルツボの二つのルツボが必要となり、装置が複雑
で大型になるとともに、その制御も複雑、困難となって
いた。また、その方法では、それぞれの金属によって蒸
発速度が異なるので、これらを制御するには多くの複雑
な設備が必要となる。したがって、現在では複合皮膜を
製造するのに、金属を溶解せずにスパッタリングやアー
ク放電を用いて直接固体金属を気化させる方法が一般的
に用いられるのが現状である。これらの方法では、目的
とする複合膜の組成に合わせた高価なターゲットを準備
する必要があり、また得られる膜の組成も大きく変える
ことはできない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明は上記従来技術の
課題を解決するものであり、下記構成のイオンプレーテ
ィング方法及び装置である。 (1)真空チャンバー内に配置された一つのルツボ中に
金属合金又は複数種の金属粉末を混合収容し、次いで同
ルツボ中の金属合金又は複数種の金属を溶融して、それ
ら金属の混合蒸気を発生させるとともに、その真空チャ
ンバー内の基板近傍のプラズマ中に存在する金属成分・
組成比、反応ガス、雰囲気ガス成分・組成比を発光分光
分析手段及び質量分析手段により、監視・制御しつつ、
前記金属混合蒸気と反応ガスとの生成物を基板上に形成
させることを特徴とするイオンプレーティングによる複
合薄膜の形成方法。 (2)真空チャンバー内に金属合金又は複数種の金属混
合物を収容する一つのルツボを備えるとともに、同チャ
ンバー内の基板近傍のプラズマ中に存在する金属成分・
組成比、反応ガス又は雰囲気ガスの成分・組成比を発光
分光分析手段及び質量分析手段により監視・制御するプ
ラズマ監視・制御装置を備えてなることを特徴とする複
合薄膜形成用イオンプレーティング装置。
【0004】
【0005】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
Ti−Al系金属間化合物は比重が小さく高温強度が大
きいことから、新しい耐熱構造材料の一つとして注目さ
れている。そこで以下にTi−Al合金薄膜及びその窒
化物の形成を行った。該薄膜は、特に高温での耐熱性を
必要とする部材のコーティングとして有望である。図1
に概略構成図を示すイオンプレーティング装置を用い
て、活性化反応性蒸着法(ARE法)により、TiAl
合金薄膜の形成を行った。図中、1は真空チャンバー、
2はルツボ、2aは電子銃、3は基板、4はプローブ
(イオン化促進用補助電極)、5は反応ガス供給自動調
整弁、6はヒータ、7は発光分光装置、8は質量分析装
置、9は電子銃電源、10はプラズマ制御装置、11は
フイラメント電源、12はフィラメントである。
【0006】実施例: 図1に示すイオンプレーティング装置を用い、TiAl
合金(Ti52%,A148%)をルツボに入れ、反応
ガスとして窒素を導入し、EBエッミッション電流22
0mA、処理圧2.0×10−4Torr,プローブ電
圧90V,バイアス電圧−50V,フィラメント電流2
5A,基板温度350℃で、30分間保持し、活性化反
応性蒸着法(ARE法)にてSKH51基板に成膜し
た。その間、プラズマ監視・制御装置により、真空チャ
ンバー1内の基板近傍のプラズマ中に存在する金属成分
・組成比、反応ガス、雰囲気ガス成分・組成比等を発光
分光分析及び質量分析により監視し、かつ制御しつつ、
前記金属混合蒸気と反応ガスとの生成物を基板上に形成
させた。図2に、Ti,Al,N,及びNの発光スベ
クトル強度の経時変化を図示した発光分光分析法による
監視グラフ図を示した。また、図3にTi,Al
,及びN のイオン電流の経時変化を図示した質
量分析法による監視グラフ図を示した。なお、発光分光
分析による、基板近傍のプラズマ中におけるTiとAl
の存在比率(複数金属種の存在比率)と、基板上に形成
(堆積)された(Ti,Al)N複合薄膜中のTiとA
lの存在比率(複数金属種の存在比率)の測定結果は、
図4に相関関係線図(検量線となりえる)で示すとおり
であり、また、質量分析による、基板近傍のプラズマ中
におけるTiとAlの存在比率(複数金属種の存在比
率)と、基板上に形成(堆積)された(Ti,Al)N
複合薄膜中のTiとAlの存在比率(複数金属種の存在
比率)の測定結果は、図5に相関関係線図(検量線とな
りえる)で示すとおりであった。よって、該相関関係線
図を利用して、プラズマを監視・制御すれば、所望の複
数金属比率の合金あるいは金属間化合物を基板上に形成
することが容易かつ適確に実現できる。なお、発光分光
分析によれば、プラズマ中の反応に深く係る励起種の種
類とその量が解り、質量分析によれば、イオンプレーテ
ィングで重要となるイオン種の種類とその量が解るもの
である。その結果、SKH51基板上に、700℃で6
時間酸化雰囲気中でも耐え得る(Ti.Al)N薄膜が
形成された。この(Ti.Al)N薄膜の組成は、T
i:43%、Al:11%、N:46%からなるもので
あった。
【0007】
【0008】以上の実施例で挙げられたTi−Al系金
属間化合物は、比重が小さく高温強度が大きいことか
ら、新しい耐熱構造材料の一つとして注目されている
が、本発明によりTi−Al系金属間化合物薄膜の形成
が可能なことより、特に高温での耐熱性を必要とする部
材のコーティングとして期待できる。また、形状記憶合
金であるTiNi合金の薄膜はマイクロロボット用アク
チュエータとして有望であるが、本発明によりTiNi
合金薄膜が大量にかつ高速で製造できる。さらに、磁気
記録媒体として有用なCo−Cr合金薄膜の製造におい
て、従来はプラズマを用いない方法で製造されている
が、本発明によりプラズマを発生させることで反応が促
進されるとともに、反応の監視(モニタリング)を発光
分光分析法と質量分析法にて行うことができる。以上の
ように本発明によれば、複数の異種金属を用いて各種成
分・組成比の複合薄膜を容易に形成することが可能とな
るため、様々な特性を有する複合薄膜を形成することが
できる。また、従来、TiNとTiCの長所を備えたT
i(C,N)複合薄膜の製造において、窒素及び炭素の
量を蒸発源(ルツボ及び電子銃からなる)やガス流量で
制御していたが、本発明の監視・制御方式を適用すれ
ば、Ti,C及びNの供給割合の制御も簡単かつ適確に
実施できる。さらにプラズマの監視・制御を採用する本
発明によれば、傾斜組成の複合薄膜の形成も、一つのル
ツボで容易かつ確実に実施可能となる。
【0009】
【発明の効果】上記のとおり、従来の方法ではルツボが
二つ以上必要となり装置が複雑で大型となり、その制御
も複雑であったイオンプレーティングによる複合薄膜の
形成が、本発明によれば、一つのルツボでイオンプレー
ティングにより、所望の複数金属比率の合金あるいは金
属間化合物の複合薄膜を基板上に形成することが容易か
つ適確に実現でき、かつ装置のコンパクト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例のイオンプレーティング装置の概
略構成図。
【図2】本発明の第実施例におけるTi,Al,N,
及びNの発光スペクトル強度の経時変化を図示した発
光分光分析法による監視グラフ図。
【図3】Ti,Al,N,及びN のイオン電
流の経時変化を図示した質量分析法による監視グラフ
図。
【図4】発光分光分析による、基板近傍のプラズマ中に
おけるTi/Alスペクトル強度比と、基板上に形成さ
れた(Ti,Al)N複合薄膜中のTi/Al原子比の
相関図。
【図5】質量分析による、基板近傍のプラズマ中におけ
るTi/Alイオン電流比と、基板上に形成された(T
i,Al)N複合薄膜中のTi/Al原子比の相関図。
【図6】本発明方法と従来方法による複合薄膜形成のた
めのイオンプレーティング方式の概説図。
【符号の説明】
1:真空チャンバー, 2:ルツボ,2a:電
子銃 3:基板, 4:プローブ(イオン
化促進用補助電極) 5:反応ガス供給自動調整弁, 6:ヒータ 7:発光分光分析装置, 8:質量分析装置 9:電子銃電源, 10:プラズマ制御装置 11:フィラメント電源, 12:フィラメント
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−125277(JP,A) 特開 昭52−78779(JP,A) 特開 昭59−213033(JP,A) 特開 昭62−1868(JP,A) 特開 昭58−15652(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空チャンバー内に配置された一つのルツ
    ボ中に金属合金又は複数種の金属粉末を混合収容し、次
    いで同ルツボ中の金属合金又は複数種の金属を溶融し
    て、それら金属の混合蒸気を発生させるとともに、その
    真空チャンバー内の基板近傍のプラズマ中に存在する金
    属成分・組成比、反応ガス、雰囲気ガス成分・組成比を
    発光分光分析手段及び質量分析手段により、監視・制御
    しつつ、前記金属混合蒸気と反応ガスとの生成物を基板
    上に形成させることを特徴とするイオンプレーティング
    による複合薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】真空チャンバー内に金属合金又は複数種の
    金属混合物を収容する一つのルツボを備えるとともに、
    同チャンバー内の基板近傍のプラズマ中に存在する金属
    成分・組成比、反応ガス又は雰囲気ガスの成分・組成比
    発光分光分析手段及び質量分析手段により監視・制御
    するプラズマ監視・制御装置を備えてなることを特徴と
    する複合薄膜形成用イオンプレーティング装置。
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