JP2786751B2 - 電子冷却材料及びその製造方法 - Google Patents

電子冷却材料及びその製造方法

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JP2786751B2 JP3078556A JP7855691A JP2786751B2 JP 2786751 B2 JP2786751 B2 JP 2786751B2 JP 3078556 A JP3078556 A JP 3078556A JP 7855691 A JP7855691 A JP 7855691A JP 2786751 B2 JP2786751 B2 JP 2786751B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】[発明の目的]
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、熱電変換特性を有し、
電流を流すことにより冷却動作を行なうようにした熱電
素子に好適な電子冷却材料及びその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】一般に、熱電素子を用いた冷却装置は、
ペルチェ効果と呼ばれる熱電効果を利用して冷却を行う
ようにしたもので、その熱電素子は電気的性質が異なる
2種類の金属或は半導体を接触した状態に構成されてお
り、その両端部間から電流を流すことにより、接触部分
で吸熱現象或は発熱現象を起こし、その吸熱現象を利用
して冷却作用を得るようにしたものである。
【0004】このようなペルチェ効果を示す材料として
は種々のものが見出だされているが、電子冷却材料とし
て顕著な効果を示すものとしては、例えば、ビスマス・
アンチモン系(Bi−Sb系)或はビスマス・テルル系
(Bi−Te系)等の半導体系の材料がある。これらの
材料は、冶金学的な熱平衡状態で生成する方法を用いて
製作されており、これらの材料からp形及びn形の導電
形のものを組合わせることにより熱電素子が構成されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な熱電素子に用いる電子冷却材料は、熱変換効率が大き
いものが優れていることは言うまでもないが、従来から
見出だされていて用いられているものは、いずれもまだ
変換効率が小さく、冷蔵庫等の大容量のものの冷却を行
う場合には、実用上あまり有効な手段となっていないの
が実情である。
【0006】即ち、熱電素子としての用途は、例えば赤
外線検出素子或は半導体レーザダイオード等の局所的な
冷却を行う場合や、冷却対象の体積或は容積が小さい場
合の温度制御を行う場合等に制限されてしまう状況であ
った。
【0007】ところで、上述のような電子冷却材料の熱
電変換作用の性能は、一般に、 Z=S・σ/K ……(1) で示される性能指数Zにより評価される。但し、Sは熱
電能,σは電気伝導率,Kは熱伝導率を示している。従
って、熱電変換効率を向上させるためには、この性能指
数Zを大きくする必要があり、そのためには、熱電能S
及び電気伝導率σを大きくし、熱伝導率Kを小さくする
ことが望まれる。
【0008】しかしながら、従来の電子冷却材料におけ
る性能向上の試みの多くは、主として物質固有の性質か
ら決まる熱電能Sの値が大きい物質を求めることによ
り、その性能の向上を図り得たものであった。つまり、
電気伝導率σ或は熱伝導率Kを制御して性能改善を図る
には、従来のような冶金学的な方法においては結晶性の
制御をする点で難しいため、結局、大幅な性能の向上が
図られていない状況であった。
【0009】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、前述した系のうちビスマス・アンチモ
ン系の材料について、その性能指数Zを改善して熱電変
換効率を高くし、より広範囲な応用が可能となる電子冷
却材料及びその製造方法を提供するにある。
【0010】[発明の構成]
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、ビスマス・ア
ンチモン系(Bi−Sb系)の熱電変換特性を有する電
子冷却材料を対象としており、一酸化珪素(SiO)を
所定割合添加することにより1ミクロン前後の結晶粒か
らなる粒状構造に形成しているところに特徴を有する。
【0012】このような電子冷却材料を、非熱平衡的手
段により基板上にビスマス(Bi),アンチモン(S
b)及び一酸化珪素(SiO)を所定割合で被着して粒
状構造を有する薄膜に形成すると良い。
【0013】
【作用】本発明の電子冷却材料によれば、結晶構造が1
ミクロン程度の粒状結晶が集合した粒状構造とされてい
るので、熱電変換性能を示す性能指数Zのうち、熱電能
S,電気伝導率σを変化させないで、熱伝導率Kの値の
みが小さく形成されている。
【0014】これにより、性能指数Zは従来のものに比
べて相対的に大きい値となるので、熱電変換効率の高い
ものとなる。つまり、このような電子冷却材料を用いて
熱電素子を形成すれば、冷却能率の高いものが得られ
る。
【0015】また、このような電子冷却材料を、非熱平
衡的手段例えばクラスタ・イオンビーム蒸着法(ICB
法)のような方法により形成するので、ビスマス・アン
チモン系の結晶生成において、一酸化珪素を所定割合で
添加しながら粒状構造をなす優れた薄膜結晶を簡単に形
成できる。
【0016】さて、上記した熱伝導率Kの変化する原理
について以下に説明する。即ち、一般に、熱電変換特性
の性能を示す性能指数Zは、前記したように、 Z=S・σ/K ……(1) で示される(ここで、Sは熱電能,σは電気伝導率,K
は熱伝導率を示す)が、このうち、熱電能Sは物質固有
の値であるから、ある特定の物質、つまりビスマス・ア
ンチモン系の材料について考える場合には一定の値とな
る。
【0017】また、電気伝導率σは、固体中を伝播する
電子の振動の波長が結晶格子の熱振動いわゆるフォノン
の波長に比べてはるかに短いために、結晶性の影響を殆
ど受けない。つまり、電気伝導率σの値は、1ミクロン
程度の結晶粒を形成する場合でも、従来のものに比べて
殆ど変化することはない。
【0018】次に、熱伝導率Kについては、物質の結晶
性に対する依存性が大きく、粒状構造を有する本発明の
電子冷却材料においては、従来のものに比べて、次のよ
うな違いがある。
【0019】一般に、熱伝導率Kは、 K=Ke1+Kph ……(2) つまり、電気伝導に関与するキャリアによる熱伝導率K
e1と、結晶格子(フォノン)による熱伝導率Kphとの和
によって表わされるが、このうちキャリアによる熱伝導
は、波長が短いため、結晶粒界においては散乱されにく
い性質を持っているので、結晶性にあまり影響を受けな
い要素となっている。一方、結晶格子による熱伝導は、
波長が長いため結晶粒界において散乱され易い性質を持
っているので、本発明の電子冷却材料のように1ミクロ
ン前後の粒状構造をもつ材料においては、従来の結晶を
用いたものと比べて小さくなる。
【0020】従って、前述した式(1)で表わされる性
能指数Zの値は、熱伝導率Kの値が小さくなることによ
り、全体としては大きな値となるので、熱変換効率が高
い材料となる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0022】図1は、非熱平衡的手段として、例えばク
ラスタ・イオンビーム蒸着法(以下、ICB法と称す
る)による蒸着を行うための装置の内部を概略的に示し
た図である。この図1において、真空状態に脱ガスされ
る蒸着室1の内部には、上方に基板ホルダ2が配設さ
れ、この基板ホルダ2の下面側にガラス製の基板3が下
方に蒸着面を向けた状態で保持されるようになってい
る。また、基板ホルダ2の上方つまり背面側には、基板
3を設定温度に加熱するためのヒータ4が配設されてい
る。
【0023】蒸着室1内部の下方には、蒸着源としての
ビスマス(Bi)を収容するための密閉形の主るつぼ5
が配設されている。この主るつぼ5にはビスマスを溶融
させるためのヒータ電源6が接続されると共に、主るつ
ぼ5には溶融したビスマスの蒸気を噴射させるためのノ
ズル5aが形成されている。またノズル5aの上方に
は、噴射されたビスマス蒸気をイオン化するためのイオ
ン化ユニット7が設けられている。
【0024】このイオン化ユニット7には直流のイオン
化電源8が接続され、所定電圧が印加されるようになっ
ている。また、イオン化ユニット7近傍にはヒータ9が
配設され、ヒータ電源10から給電されるようになって
いる。さらに、主るつぼ5と基板ホルダ2との間には加
速用電源11が接続されており、イオン化されたビスマ
ス蒸着源を必要に応じて電界中で加速して基板ホルダ2
の基板3に射突させることができるようになっている。
【0025】主るつぼ5の近傍には、蒸着源としてのア
ンチモン(Sb)を収容するための副るつぼ12が配設
され、この副るつぼ12には噴射用のノズル12aが形
成されると共に、アンチモンを溶融させるためのヒータ
電源13が接続されている。また、図示はしないが、こ
の副るつぼ12の近傍に、これと略同様の副るつぼが配
設され、蒸着源としての一酸化珪素(SiO)が収容さ
れるようになっている。そして、この一酸化珪素用の副
るつぼにはるつぼ加熱用としてタングステン線を用いた
ヒータが配設され、その電流値を大きくするにしたがっ
て、一酸化珪素の噴射量(添加量)が増加するようにな
っている。
【0026】次に、上記ICB法による蒸着の過程とそ
の特長について簡単に述べる。即ち、ICB法とは、蒸
着原子が互いに緩く結合した塊状原子集団つまりクラス
タを形成し、このようなクラスタの群からなる蒸着物質
流中のクラスタを所望の比率でイオン化することによ
り、蒸着物質流の運動エネルギを制御して蒸着物質原子
の基板に対する射突速度を大幅に変化させ得るように
し、蒸着被膜形成の自由度を高めた蒸着法である。
【0027】従って、ICB法による被膜形成において
は、蒸着被膜の基板に対する付着力,結晶軸の優先配向
等の結晶性或はその他の物理的または化学的性質を任意
に変化させることができる。
【0028】具体的には、真空の蒸着室1内において、
蒸着物質(ビスマス)を主るつぼ5に収容してヒータ6
によって加熱することにより、蒸着物質(ビスマス)を
高圧の蒸気にして主るつぼ5のノズル5aから真空の蒸
着室1中に噴射させる。このとき、蒸着物質(ビスマ
ス)は、断熱膨脹による過冷却現象により凍結状態とな
るため、500〜2000個程度の原子が互いに緩く結
合したクラスタを形成する。
【0029】従って、主るつぼ5から噴射される蒸着原
子(ビスマス)は上記したクラスタの群として基板3に
向かって飛行することになる。そして、クラスタの群
は、飛行する途中でイオン化ユニット7による電子のシ
ャワを浴びることにより、その一部がクラスタを構成し
ている500〜2000個の原子のうち1個の原子のみ
がイオン化される。
【0030】これにより、蒸着物質流はイオン化された
クラスタとイオン化されないクラスタとが混在した状態
となって基板3に向かって移動し、基板3に付着して薄
膜を形成する。この場合、クラスタ群は、主るつぼ5か
ら噴出されるときの初速度相当のエネルギをもってお
り、加えて、イオン化されたクラスタは必要に応じて印
加される加速電圧により所望の速度に加速されているの
で、クラスタ群が基板3に射突するときのエネルギは広
い範囲内で制御可能となっている。そして、このように
クラスタのイオン化比率及び加速電圧を制御することに
より、形成する被膜の性質を様々な状態に制御すること
ができるようになっている。
【0031】尚、このようなICB法による被膜の形成
においては、蒸着物質流の電荷対質量比(e/m)を単
原子イオンで実施する場合の1000分の1以下とする
ことができるので、絶縁材料である基板3上であっても
空間電荷の発生による障害を伴うことなく、低加速度を
もって大量の蒸着物質粒子を速く輸送し得る利点があ
る。また、これにより蒸着物質粒子は、基板3への射突
時に起こる特有のマイグレーション効果つまり基板3の
表面における拡散効果により、基板3に対して強い付着
力で、しかも均一な膜厚で且つ表面が荒れていない状態
の優れた被膜として基板3上に堆積してゆく。
【0032】従って、ICB法によって被膜形成では、
従来の熱的或は化学的エネルギを用いたいわゆる熱平衡
状態における被膜形成法によっては実現困難であった高
性能な優れた被膜を容易に形成できるものである。
【0033】次に、上記ICB法によるビスマス・アン
チモン系(Bi−Sb系)の材料に一酸化珪素(Si
O)を所定量添加して製作した電子冷却材料について、
発明者らが行った実験結果について説明する。
【0034】蒸着源としてのビスマス(Bi)はイオン
化するため主るつぼ5に収容し、アンチモン(Sb)及
び一酸化珪素(SiO)は副るつぼ12及び図示しない
副るつぼに収容する。主るつぼ5のイオン化ユニット7
の印加電圧は400V、イオン化電流は100mAとす
る。また、基板ヒータ4による基板3の加熱温度は20
0℃とする。蒸着室1内の真空圧力は2×10−6To
rrとした。
【0035】試料製作にあたって設定しているビスマス
・アンチモン系(Bi−Sb系)の組成比は、Bi:S
b=88:12であり、パラメータとして用いた条件は
一酸化珪素(SiO)の添加量で、ヒータ電流を変化さ
せることにより添加量としての原子数比(atom%)
を変えている。
【0036】尚、本実施例においては、ヒータ電流の値
を60Aとすることにより、一酸化珪素の添加量を1.
30atom%とした。
【0037】さて、上記した一酸化珪素添加試料に加え
て、一酸化珪素を添加しない試料(無添加試料)を製作
して、これらの試料をもとにして種々の特性評価を行っ
た結果について説明する。図2は各試料についてX線回
折パターンを測定した図である。また、図3は、無添加
試料,一酸化珪素1.30atom%添加試料及び1.
76atom%添加試料のそれぞれについて、その表面
状態を電子顕微鏡により拡大して撮影した写真である。
【0038】図2に示したX線回折パターンの測定結果
から、一酸化珪素無添加試料においては、面指数(00
3)及び(006)での強い反射ピークが現れており、
c軸に対して強く優先配向していることがわかる。これ
に対して、一酸化珪素添加試料においては、面指数(1
02),(104)及び(110)の回折ピークが、相
対的に強く現れてきており、軸配向性が崩れてきている
ことがわかる。
【0039】また、図3の電子顕微鏡の写真から、一酸
化珪素を添加した場合の薄膜の微視的な構造は、1ミク
ロンオーダの微結晶が多数寄り集まった状態となってい
ることがわかる。従って、上述したX線回折パターンの
測定結果と合わせて考慮すると、一酸化珪素添加試料に
おいては、結晶軸の配向性がやや乱雑な状態となった粒
状構造をなしていることがわかる。
【0040】次に、このように形成された一酸化珪素添
加試料において、上述した結晶性の評価に対応して、前
述した性能指数Zが改善されているか否かを確認するた
めに、前述の式(1)に示した各要素について特性を測
定した。尚、以下に説明する測定データ中には、ビスマ
ス・アンチモン系の単結晶について測定されているデー
タを参考として破線で示している。
【0041】図4には一酸化珪素の無添加試料及び添加
試料の熱伝導率Kを温度の関数として測定した結果を示
している。この結果から明らかなように、一酸化珪素の
添加試料においては無添加試料に比べて、熱伝導率Kの
値が50%程度小さくなっていることがわかる。これ
は、前述したように、一酸化珪素を添加することによ
り、薄膜試料の結晶構造を粒状構造とし、結晶軸の配向
性がやや乱雑な状態となっていることに起因してフォノ
ンによる熱伝導率Kphが小さくなっていることを示して
いる。
【0042】次に、性能指数Zの他の要素である熱電能
S及び電気伝導率σについて測定した結果を夫々図5及
び図6に示す。これらの結果から、一酸化珪素の添加試
料と無添加試料とでは、熱電能S及び電気伝導率σにつ
いては殆ど差がないことがわかる。即ち、前述したよう
に、物質固有の熱電能Sや、結晶性にあまり影響を受け
ない電気伝導率σについては、一酸化珪素を添加するこ
とにより結晶性を変化させた場合でも、殆ど差がないの
である。
【0043】さて、以上のような測定結果に基づいて、
性能指数Zを算出した結果を、図7に示す。この図7に
おいて、一酸化珪素を添加した試料の性能指数Zは、無
添加試料に比べて50%程度向上しており、また、7.
5KOeの磁界を印加した状態では、性能指数Zとし
て、 Z=4.5×10−3(K−1) の値が得られた。
【0044】このような本実施例によれば、ビスマス・
アンチモン系の半導体材料に一酸化珪素を所定割合で混
在させ、粒状構造をなす結晶構造とすることにより、性
能指数Zの値を決める要因としての熱伝導率Kのみの値
を小さくすることができ、この結果として、性能指数Z
を大きくすることができ、熱電変換効率が高いものとす
ることができる。
【0045】また、このように熱伝導率Kを小さくする
ために、薄膜状の結晶製作にあたって、非熱平衡的手段
としてのICB法による薄膜形成方法を用いたので、結
晶の成長過程が従来の熱平衡的手法における製作と異な
り、簡単に良質の結晶を製作することができる。
【0046】尚、上記実施例においては、熱平衡的手法
としてICB法を利用したが、これに限らず、熱平衡状
態で蒸着源をイオン化することにより結晶を製作するも
のであれば良い。
【0047】
【発明の効果】請求項1記載の電子冷却材料によれば、
熱電変換特性を有するビスマス・アンチモン系の材料に
一酸化珪素を添加することにより粒状構造をなす結晶と
したので、従来のものに比べて、性能指数Zの値を決め
ている要素のうち熱伝導率Kのみを変化させることによ
り性能指数Zの値が大きいものつまり熱変換効率の高い
ものとすることができる。従って、冷却性能の高い熱電
素子を提供することができるので、その応用範囲も広く
することができるという優れた効果を奏する。
【0048】請求項2記載の電子冷却材料の製造方法に
よれば、非熱平衡的手法により基板上にビスマス,アン
チモン及び一酸化珪素を所定割合で被着して粒状構造を
有する薄膜に形成するようにしたので、従来の熱平衡的
手法では得られなかった上述のような優れた特性を有す
る電子冷却材料を簡単に製作することができるという優
れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】ICB法による蒸着装置の概略的構成図
【図2】X線回折パターン測定結果
【図3】電子顕微鏡写真
【図4】熱伝導率測定結果
【図5】熱電能測定結果
【図6】電気伝導率測定結果
【図7】性能指数の算出結果
【符号の説明】
1は蒸着室、2は基板ホルダ、3は基板、4はヒータ、
5は主るつぼ、7はイオン化ユニット、11は加速電
源、12は副るつぼである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−149931(JP,A) 特開 昭62−196346(JP,A) 特開 平2−267239(JP,A) 特開 昭59−222975(JP,A) 特開 昭61−238954(JP,A) 特開 昭60−74515(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 35/16 H01L 35/34

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスマス・アンチモン系(Bi−Sb
    系)の熱電変換特性を有するものにおいて、一酸化珪素
    (SiO)を所定割合添加することにより1ミクロン前
    後の結晶粒からなる粒状構造に形成されていることを特
    徴とする電子冷却材料。
  2. 【請求項2】 非熱平衡的手段により基板上にビスマス
    (Bi),アンチモン(Sb)及び一酸化珪素(Si
    O)を所定割合で被着して粒状構造を有する薄膜に形成
    することを特徴とする請求項1記載の電子冷却材料の製
    造方法。
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