JP2777311B2 - 2段羽口式溶融還元炉の操業方法 - Google Patents

2段羽口式溶融還元炉の操業方法

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JP2777311B2 JP4225756A JP22575692A JP2777311B2 JP 2777311 B2 JP2777311 B2 JP 2777311B2 JP 4225756 A JP4225756 A JP 4225756A JP 22575692 A JP22575692 A JP 22575692A JP 2777311 B2 JP2777311 B2 JP 2777311B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上下に2段の羽口を備
えた竪型溶融還元炉の操業方法に関する。更に詳しく
は、鉱石粉が操業中炉外に排出されるその割合を低減さ
せることを目的とする操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、2段羽口式溶融還元炉の操業は図
4に示す如く、上方から炭素還元剤を供給し、炉内下部
に充填層2を形成し、炉内上部に流動層3を形成し流動
層3には上段羽口4から粉状鉱石5を酸素気体とともに
供給し、下段羽口6から充填層2に含酸素気体7を吹き
込む。この下段羽口6からの吹き込みジェットは充填層
間にレースウェイ深さDR のレースウェイを形成し、こ
の含酸素気体7は充填層2の固体還元剤を燃焼して高温
の還元ガスを発生し、その高温還元ガスは充填層2を通
って上昇しながら分散されて流動層3の流動化ガスとな
る。このため炉内上昇ガスの分布はより重要になり、羽
口から吹き込まれた気体の炉内分散が不適当な場合、部
分的に流動化状態が悪化し、炉の操業が不安定になる。
流動層3の形成が不安定になると、流動層3内の温度差
が大となり、温度の不均一が生ずるため溶融金属10や
スラグ9の部分的な固化を生む。その結果、操業不能と
なったり、ガス流が変動し、生産の低下、歩留低下、還
元率低下などの不都合をもたらす。
【0003】このような問題点を解決するために、本願
出願人は先に特開昭62−227017号公報で炭素系
固体還元剤の充填層に下段羽口から吹き込まれる気体の
レースウェイ深さDR を所定の範囲に制御することによ
り、流動層を安定化するための方法を提案した。しかし
ながら、下段羽口の上方に位置する流動層の流動化は複
数の上段羽口から鉱石粉とともに吹き込まれる含酸素ガ
スのレースウェイ深さによっても変動し、その深さの程
度によって鉱石粉が還元されることなくダストと一緒に
炉外に排出され、鉱石粉の歩留りを悪化させる原因とな
っていた。にもかかわらず流動層の安定化のための操業
技術は提案されていなかった。
【0004】そのため流動層を安定化させてダスト中の
Fe量を低下させることが望まれていた。また上記公開
公報に開示されたレースウェイ深さの制御は羽口の口径
を変えることによって行うため、その制御のたびに羽口
を取替える煩雑さがあった。またこのような羽口取替方
式ではレースウェイ深さDR の制御範囲に自由度を持た
そうとすれば口径の異なる羽口を多数準備する必要があ
った。また、その制御因子も口径にのみ依存するため制
御因子の選択自由度が低いという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の知見に
基づいて開発されたもので、上段羽口のレースウェイの
レースウェイ深さを操業条件を適宜変更することにより
調整し、流動層を安定化させて鉱石粉の歩留りを上げる
ことができる2段羽口式溶融還元炉の操業方法を提供す
ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を達
成するために、竪型還元炉内に炭素固体還元剤の充填層
とその上方に流動層とを維持し、上段羽口より鉱石粉を
含酸素ガスとともに前記流動層に導入し、下段羽口から
含酸素ガスを前記充填層に吹込む2段羽口式溶融還元炉
の操業方法において、上段羽口から吹込む含酸素気体の
レースウェイ深さを、下記式で計算される無次元レース
ウェイ深さ(DR /Dt )が0.4未満の範囲内になる
ように制御することを特徴とするものである。
【0007】
【数2】
【0008】Vu :上段羽口からの送風量(m3 /se
c) VL :下段羽口からの送風量(m3 /sec) ρB :嵩密度(kg/m3 ) ρg :ガス密度(kg/m3 ) Dt :羽口取付け部の炉内径(m) DT :羽口径(m) μw :摩擦係数(−) g :重力加速度(m/sec2 ) dp :粒子径(m) DR :レースウェイ深さ(m) Er :ガス流れによって決まる値 C1 :摩擦とガス密度によって決まる係数(kg/m
3 ) C2 :流動化開始速度によって決まる係数(sec/
m) C3 :粒子形状によって決まる係数(−) C4 :ガスの粘性によって決まる係数
【0009】
【作用】図2、図3は、それぞれ竪型溶融還元炉1が安
定した状態、吹き上げた状態を模式的に示したものであ
る。図3のように、竪型溶融還元炉1の塔径Dt に対し
てレースウェイ深さDR がある限度より大となると、流
動層の吹上げが生じ、炉の操業が不安定となると共に、
炉外に排出するガス中に含まれるダスト中のFeの%が
上昇する。
【0010】ある2段羽口式溶融還元炉を用いて銑鉄を
製造した。その間上記レースウェイ深さDR の実験式の
無次元レースウェイ深さ(DR /Dt )の値を満足する
ように操業条件を変え、上段羽口のレースウェイ深さD
R を種々変化させ、レースウェイ深さとダスト中の鉱石
粉との割合との関係を求めた。図1はこれを示すもので
ある。無次元レースウェイ深さ(DR /Dt )が0.4
未満の範囲のときダスト中のFe量は著しく減少するこ
とがわかる。従ってダスト中のFe量の割合を少なくす
るためには無次元レースウェイ深さ(DR /Dt )の比
を0.4未満にする必要がある。
【0011】
【実施例】下記の(1)の仕様の炉を用いて、下記
(2)及び(3)の操業条件により、上段羽口からの含
酸素気体の無次元レースウェイ深さ(DR /Dt )が上
式において0.3(実施例)、0.47(比較例1)に
なるように操業条件を設定し、それぞれ5時間操業を続
けた。
【0012】 (1)2段羽口式溶融還元炉 a.塔径(m)Dt 1.5 b.炉高(m) 4 c.羽口段数(段) 2 (a)上段羽口(本) 3 (b)下段羽口(本) 3 (c)上下段羽口間隔(mm) 1500 (2)操業条件 a.風量(上段酸素濃度40容積%)(Nm3 /hr)Vu 660 (下段酸素濃度20容積%)(Nm3 /hr)VL 330 合計 990 b.含酸素高温ガス温度(℃) 1000 c.炭材(コークス)供給量(kg/h) 905 d.上段羽口からの吹込量(kg/h) (a)鉄鉱石粉(粒径2mm以下) 580 (b)石灰石粉(粒径1mm以下) 100 (c)珪石粉(粒径1mm以下) 48 (a)(b)(c)の平均粒子径dp (mm) 0.2 e.嵩密度(kg/m3 )ρB 1000 f.ガス密度(kg/m3 )ρg 0.272 g.壁と粒子の摩擦係数μw 0.21 h.羽口径(mm)DT 50 i.無次元レースウェイ深さ(DR /Dt ) 0.3 C1 =45,C2 =1.5,C3 =0.05,C4 =6.2 (3)操業条件 a.風量(上段酸素濃度40容積%)(Nm3 /hr) 900 (下段酸素濃度20容積%)(Nm3 /hr) 90 合計 990 b.含酸素高温ガス温度(℃) 1000 c.炭材(コークス)供給量(kg/h) 1080 d.上段羽口からの吹込量(kg/h) (a)鉄鉱石粉(粒径2mm以下) 580 (b)石灰石粉(粒径1mm以下) 100 (c)珪石粉(粒径1mm以下) 48 (a)(b)(c)の平均粒子径dp (mm) 0.2 e.嵩密度(kg/m3 )ρB 1000 f.ガス密度(kg/m3 )ρg 0.272 g.壁と粒子の摩擦係数(−)μw 0.21 h.羽口径(mm)DT 50 i.無次元レースウェイ深さ(DR /Dt ) 0.47 C1 =45,C2 =1.5,C3 =0.05,C4 =6.2 実施例では、排出されたダスト中のFe量の平均値は
0.02wt%であった。またこのときの単位時間当り
の出銑量は300kg/hrであった。これに対して、
比較例として無次元レースウェイ深さ(DR /DT )の
比が0.45になるように(1)式を用いて操業条件を
変更し、変更した状態(3)で5時間操業を続けた。こ
の間のダスト中のFe量の平均含有率は4.5wt%で
あった。また、このときの単位時間当りの出銑量は25
0kg/hrであった。以上述べた如く本発明によれば
ダスト中のFe量を効果的に低減させることができる。
【0013】
【発明の効果】本発明によれば、2段羽口式型溶融還元
炉の計算式で求めたレースウェイ深さを0.4未満に制
御する方法によって、安定した操業を続け、排ガス中に
含まれて放出されるFe源を最小限に止めることがで
き、歩留向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DR /Dt とダスト中のFe含有率との関係を
示す図である。
【図2】レースウェイ深さと塔径の関係とを示す説明図
である。
【図3】レースウェイ深さと塔径の関係とを示す説明図
である。
【図4】竪型溶融還元炉の模式的縦断面図である。
【符号の説明】
1 還元炉 2 充填層 3 流動層 4 上段羽口 5 粉状鉱石 6 下段羽口 7 気体 9 溶融スラ
グ 10 溶融金属 11 上段レー
スウェイ DR レースウェイ深さ Dt 塔径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21B 11/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2段羽口式溶融還元炉において、上段羽
    口から含酸素高温ガスを鉱石及びフラックスと共に吹き
    込み、かつ下段羽口から含酸素高温ガスを吹き込むに際
    し、次式で計算される上段レースウェイの無次元レース
    ウェイ深さ(DR /Dt )を0.4未満に制御すること
    を特徴とする2段羽口式溶融還元炉の操業方法。 【数1】 u :上段羽口からの送風量(m3 /sec) VL :下段羽口からの送風量(m3 /sec) ρB :嵩密度(kg/m3 ) ρg :ガス密度(kg/m3 ) Dt :羽口取付け部の炉内径(m) DT :羽口径(m) μw :摩擦係数(−) g :重力加速度(m/sec2 ) dp :粒子径(m) DR :レースウェイ深さ(m) Er :ガス流れによって決まる値 C1 :摩擦とガス密度によって決まる係数(kg/m
    3 ) C2 :流動化開始速度によって決まる係数(sec/
    m) C3 :粒子形状によって決まる係数(−) C4 :ガスの粘性によって決まる係数
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