JP2772063B2 - 輪転印刷機の分割版胴装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は輪転印刷機の印刷ユニツトに設けられた分割
版胴に適用されるもので、特に駆動、ジヤーナル支持と
円周方向および軸方向の見当装置との連結に関するもの
である。

〔従来の技術〕

従来の分割版胴装置を第３図に示す。

分割版胴３は版を装着する外周面4aを有する版胴本体
４とこの版胴本体の外周面の径に比し小さい径を有する
小径胴部分５に回動および軸方向に摺動自在に嵌合し，
版を取付ける外周面6aを有するシエル６が軸方向に同心
に近接して配設されている。

次にこの版胴本体４のジャーナル７およびシエル６の
ジャーナル８にはそれぞれ駆動側A,操作側Ｂのはすば歯
車13および14が回転方向にはスプライン又はキーにて係
合され軸方向には摺動可能のように取付けられている。
これらはすば歯車13および14に，ブランケット胴２の両
側ジャーナルに取付けられているはすば歯車15および16
が噛合っており，はすば歯車15は駆動側Ａの駆動源より
駆動される圧胴１のはすば歯車12により回転している。

これらのはすば歯車13および14に螺合する部材（図示
せず）にてはすば歯車13および14をそれぞれ軸方向に移
動させると，これらはすば歯車13および14の歯のねじれ
角により，これらのはすば歯車が円周方向に回転する。
よって，はすば歯車13および14をこれら歯車に螺合する
部材（図示せず）を介してこれら歯車を軸方向に移動さ
せる円周方向の見当装置17に連結することによって，更
にジャーナル７および８に螺合する部材（図示せず）を
介して，これらのジャーナルを軸方向に移動させる軸方
向の見当装置18に連結することによって版胴本体４およ
びシエル６に装着された版の円周方向および軸方向の見
合せが行えるようになっている。

尚ジャーナル７および８は，それぞれローラベアリン
グ９および10,と軸受11および12を介してフレーム19お
よび20にて，回転および軸方向に摺動自在に支承されて
いる。

〔発明が解決しようとする課題〕

分割版胴を構成する版胴本体およびシエルにそれぞれ
別個の版を装着するので，これらの版の円周方向および
軸方向の見当合せを個々に行わねばならないことがあ
る。よって版を，版胴本体と，この版胴本体に回転およ
び軸方向に摺動自在に嵌合しているシエルとに取付けた
状態で、停止中および運転中に円周方向および軸方向の
微細な見当合せを行うため、これら版胴本体およびシエ
ルのジャーナルをフレームにて枢着支承し、これらのジ
ャーナルにそれぞれ駆動および円周方向の見当合せを兼
ねた駆動はすば歯車を設け、これら駆動はすば歯車およ
び版胴本体のジャーナルとシエルのジャーナルのそれぞ
れに円周方向および軸方向の見当装置を螺合部材を介し
て連結する両側駆動方式が行われている。

このような両側駆動ではブランケット胴の両側ジャー
ナルおよび版胴本体とシエルのジャーナルのそれぞれに
設置されるはすば歯車の加工上許容される範囲内での加
工公差や組付け精度の累積、更にシエルを支えるために
生ずる版胴本体とシエルとの必要すきまの製作公差内に
おける変動による前記はすば歯車を支えるブランケット
胴とシエルとの中心間距離の変化等を考慮し、はすば歯
車の回転、分割版胴とブランケット胴間の印圧変更分お
よび円周方向の見当調整時のすべりを加味して設定され
た最小限のバックラッシュに更に若干のバックラッシュ
を追加せねばならない。この追加するバックラッシュを
最小限にとどめないとショック目、ダブリ等を誘発す
る。

次に版胴本体の小径胴部とシエルとの間には回動およ
び摺動させるためにわずかな隙間があるのでラジアル荷
重がかかることこの隙間が変動し易く構造上不安定であ
る。また、この隙間が加工公差範囲内での最大隙間で
は、大きすぎてダブリ、ショック目等の印刷障害を誘発
し最小隙間では、少なすぎて回動が円滑に行われずシエ
ルが、版胴本体の見当調整時、連れ廻りすることがあ
る。この連れ廻りの量は固渋の状態により一定となら
ず、連れ廻りは見当狂いとなる。

〔課題を解決するための手段〕

本発明はこのような課題を解決するために、輪転印刷
機に設けられた印刷ユニットの左右一対のフレーム間
に、左又は右側の一方の版を装着する版胴本体と、この
版胴本体の小径胴部分に回動および軸方向摺動自在に嵌
入し、他方の版を装着するシエルとが左右又は右左に配
置された分割版胴において、前記版胴本体の両側にある
ジャーナルをそれぞれ前記左右一対のフレームにて回転
および軸方向に摺動可能に支承し、左又は右のいづれか
一方の前記ジャーナルをフレームの外側に延長し、この
一方の版胴本体のジャーナルに回転方向には係合し軸方
向には摺動し前記版胴本体および前記シエルを駆動する
歯車を設け、前記版胴本体の他方のジャーナルの内径部
に回転および軸方向には摺動自在に取付けられ前記シエ
ルには結合部材にて連結された調整軸を設け、該調整軸
に回転方向には係合し軸方向には摺動し得るように調整
歯車及びこの調整歯車に噛合う伝達歯車を前記版胴本体
の他方のジャーナルに固設して設け前記駆動歯車と調整
歯車をそれぞれの円周方向の見当装置に更に前記版胴本
体のジャーナルと調整軸をそれぞれの軸方向の見当装置
に連結してなることを特徴とする輪転印刷機の分割版胴
装置を提供するものである。

〔作用〕

本発明はこのような構成により次の作用を行う；版胴
本体の両側のジャーナルをそれぞれ左右のフレームに回
転および軸方向に摺動自在に支持し、ブランケット胴の
駆動側ジャーナルに取付けられた駆動歯車により版胴本
体の円周方向の見当合せを兼ね分割版胴を駆動するはす
ば歯車を回転させる。版胴本体の小径部に嵌込まれたシ
エルと版胴本体の操作側ジャーナルを貫通する結合部材
にて連結された調整軸を版胴本体の操作側ジャーナルの
内径部に回転および軸方向に摺動し得るように設けて、
前記調整軸に対しては回転および軸方向に摺動自在に取
付けられ版胴本体の操作側ジャーナルに固設された、シ
エルの駆動と円周方向の見当合せを行う伝達歯車を設け
る。前記駆動歯車または前記伝達歯車と噛合う調整歯車
を、軸方向に移動させ、それぞれ版胴本体またはシエル
の円周方向の見当合せを行う。版胴本体の駆動側ジャー
ナルまたは調整軸を軸方向に移動させ、それぞれ版胴本
体またはシエルの軸方向の見当合せを行う。

このような作用により、分割版胴は強固に支持され、
版胴本体およびシエルは調整された円周方向および軸方
向の見当を保つたまま同期して駆動されると共に、版胴
本体およびシエル（の版）の円周方向および軸方向の見
当合せが運転中および停止中に個々に行えるものであ
る。

〔実施例〕

第１図および第２図は本発明の輪転印刷機の分割版胴
装置に係る実施例であり、駆動側および操作側を断面図
で示したものである。分割版胴33は版を装着する外周面
34aを有する版胴本体34と、この外周面34aより小さい直
径の版胴本体の小径胴部分35に回動および軸方向に摺動
自在に嵌合し、版を装着する外周面36aを有するシエル3
6が軸方向に同心に近接して配設されている。

次に版胴本体34の駆動側Ａおよび操作側Ｂのジャーナ
ル37および38がそれぞれフレーム19および20にベアリン
グ９および10にて回転自在に支持され軸受31および32を
介してフレーム19および20との嵌合部19aおよび20aで軸
方向に摺動し得るように支承されている。ブランケット
胴２の駆動側Ａのジャーナル６に固設されたはすば歯車
62に噛合う駆動はすば歯車13がスプライン13aにてジャ
ーナル37に回転方向には係合され軸方向には摺動自在に
支持されている。

次にシエル36はジャーナル38の穴38bに円周方向およ
び軸方向の見当合せ時当らないように貫通して取付けら
れている結合部材39にて調整軸40に連結されている。こ
の調整軸40はジャーナル38の内径部38aに回動および軸
方向に移動自在に支えられている。

更にジャーナル38には、シエル36の駆動を兼ねてジャ
ーナル38に固設された伝達はすば歯車41の内径41aが調
整軸40の外径に回動および軸方向に移動自在に嵌合して
いる。また伝達はすば歯車41に噛合う調整はすば歯車42
がスプライン42aによって調整軸40に回転方向には係合
され軸方向には摺動自在に取付けられている。

従って版胴本体34の駆動はすば歯車13の回転はジャー
ナル37、版胴本体34、小径胴部35、ジャーナル38、伝達
はすば歯車41、調整はすば歯車42、調整軸40および結合
部材39を経てシエル36に伝えられる。

次に円周方向および軸方向の見当装置との接続は次の
ようになっている。駆動はすば歯車13または調整はすば
歯車42はそれぞれフレーム19または20に固設されたブラ
ンケット43にキー44にて軸方向に摺動自在に取付けられ
ベアリング45を介しねじ部47aを有する調整部材47に連
結されている。従って調整部材47が、これと螺合しブラ
ケット43に回転自在に支えられた部材48を円周方向の見
当装置17によって回転させると軸方向に移動し駆動はす
ば歯車13または調整はすば歯車42も軸方向に移動する。
よってブランケット胴のはすば歯車62あるいは駆動源に
つながっているジャーナル38の伝達はすば歯車41により
駆動はすば歯車13あるいは調整はすば歯車42が回動する
ため版胴本体34あるいは調整軸40を結合部材39を経てシ
エル36も回動するので版胴本体34とシエル36の円周方向
の見当合せが出来る。

なお、版胴本体34の円周方向の見当合せ時、ジャーナ
ル37が回動するので、前述のシエル36の駆動経路にてシ
エル36が回動し、シエエル36の円周方向の見当合せが行
われたあとではシエル36の円周方向の見当が版胴本体の
円周方向の回動量だけ変化するが、もとの円周方向の見
当（位相）を記憶することにより前記変化量を補正、も
との円周方向の位相に戻すような電気的補正回路が図示
しない制御装置に設けられている。

次にジャーナル37あるいは調整軸40の内径部37aおよ
び40aにはそれぞれベアリング50を介してねじ軸51が取
付けられている。よってこのねじ軸51に螺合しブラケッ
ト43に回転自在に支えられた調整部材52を軸方向の見当
装置18にて回転させることによって、ねじ軸51を軸方向
に移動させるとジャーナル37、あるいは調整軸40も軸方
向に移動するので版胴本体34あるいはシエル36の軸方向
の見当合せが出来る。

〔発明の効果〕

以上説明の本発明の輪転印刷機の分割版胴装置によれ
ば次のような著しい効果を奏するものである。

（１）版胴本体の両ジャーナルを支持することにより、
シエルと版胴本体との隙間での固渋はなく連れ廻りは起
りにくい。また下記（２）項と相俟ってショック目等の
印刷障害も起きにくい。

（２）版胴本体の駆動側よりの片側駆動で版胴本体およ
びシエルは同期して駆動される。また駆動はすば歯車間
の追加バックラッシュを極めて小さく押えることが出
来、連れ廻りを極力防止することができる。

（３）分割版胴と円周方向および軸方向見当装置との連
結手段により版胴本体およびシエルの円周方向および軸
方向の見当合せを個々に運転中、停止中の別なく、また
自動補正が可能なので版胴本体とシエルとの調整順に関
係なく行うことが出来る。

（４）前記の自動補正が可能なので連れ廻りによる見当
狂いが起きてもこれを補正できる。

（５）上記（１）項の版胴本体の両ジャーナル支持と、
このジャーナルをフレームの外側に延長したことによる
フレームスパンの短縮とで分割版胴の強度が増大する。

（６）既述のような構造なので部品点数は最小限です
み、これら部品の加工および組立ては容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の実施例に係る輪転印刷機の分割版胴
装置の駆動側の破断側面図、第２図は同じく操作側の破
断側面図、第３図は従来の分割版胴装置で、一部断面を
含んだ側面図である。 ２……ブランケット、17,18……見当装置、19,20……フ
レーム,33……分割版胴、34……版胴本体、35……小径
胴部分、36……シエル、37,38……ジャーナル、39……
結合部材、40……調整軸。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】輪転印刷機に設けられた印刷ユニツトの左
   右一対のフレーム間に、左又は右側の一方の版を装着す
   る版胴本体と、この版胴本体の小径胴部分に回動および
   軸方向摺動自在に嵌込し、他方の版を装着するシエルと
   が左右又は右左に配置された分割版胴において、前記版
   胴本体の両側にあるジヤーナルをそれぞれ前記左右一対
   のフレームにて回転および軸方向に摺動可能に支承し、
   左又は右のいずれか一方の前記ジヤーナルをフレームの
   外側に延長し、この一方の版胴本体のジヤーナルに回転
   方向には係合し軸方向には摺動し前記版胴本体および前
   記シエルを駆動する歯車を設け、前記版胴本体の他方の
   ジヤーナルの内径部に回転および軸方向には摺動自在に
   取付けられ、前記シエルには結合部材にて連結された調
   整軸を設け、該調整軸に回転方向には係合し軸方向には
   摺動し得るように調整歯車及びこの調整歯車に噛合う伝
   達歯車を前記版胴本体の他方のジヤーナルに固設して設
   け、前記駆動歯車と調整歯車をそれぞれの円周方向の見
   当装置に更に前記版胴本体のジヤーナルと調整軸をそれ
   ぞれの軸方向の見当装置に連結してなることを特徴とす
   る輪転印刷機の分割版胴装置。