JP2770676B2 - 電子楽器 - Google Patents

電子楽器

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JP2770676B2
JP2770676B2 JP4266363A JP26636392A JP2770676B2 JP 2770676 B2 JP2770676 B2 JP 2770676B2 JP 4266363 A JP4266363 A JP 4266363A JP 26636392 A JP26636392 A JP 26636392A JP 2770676 B2 JP2770676 B2 JP 2770676B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力信号の状態に応じ
て様々な発振モードを有する音源を具備した電子楽器に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ダンス等の人間の表現動作を
検出し、その検出結果に基づいて楽音信号を発生させる
身振り電子楽器及びその操作子についての研究がなされ
てきた。近年においては、人間の表現力に対応して、よ
り表現力のある楽音を発生できる音源装置への要求が高
まり、これに応じて本出願人は、自然楽器の発音原理を
電子回路に置き換えたいわゆる物理モデル音源のもつ高
い表現能力に着目し、身振り操作子によって当該物理モ
デル音源を制御する技術について、別途特願平4−97
021号等によって提案している。また、このような物
理モデル音源では、シミュレートする自然楽器の発生音
と同様に、複数の発振モードが存在している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の電子楽
器では、身振り操作子の発生データを、上記発振モード
とは特に関連せず、単純に物理モデル音源のパラメータ
として割り付けていたため、発生楽音のピッチ変化等が
単調なものとなり、その結果、物理モデル音源のもつ表
現能力を十分に引き出すことができなかった。本発明
は、上記の事情に鑑み、物理モデル音源のもつ発振モー
ドに着目し、その音源の表現能力を十分に引き出すこと
を目的とする。
【0004】
【課題を解決しようとする手段】本発明において、請求
項1記載の電子楽器は、入力される信号に応じて自励発
振を開始するとともに、該自励発振は前記入力される信
号の状態に対応してn(nは自然数)個の発振モードを
有するものであって、各発振モードで固有の楽音特性の
楽音信号を発振出力する音源手段と、演奏者の操作に応
じた操作信号を発生する操作信号発生手段と、前記操作
信号を変換して前記音源手段に入力するものであって、
前記n個の発振モードの内、特定の1又はm個(n>
m)のモード内で楽音特性についての制御分解能が高ま
るように前記操作信号を変換する変換手段とを具備した
ことを特徴とする。また、請求項2記載の電子楽器は、
入力される信号に応じて自励振動を開始するとともに、
該自励振動は前記入力される信号の状態に応じてn(n
は自然数)個の発振モードと各発振モードの間に非発振
モードとを有するものであって、各発振モードで所定の
楽音信号を発振出力し、各非発振モードでは楽音を発振
せず略消音する音源手段と、演奏者の操作に応じた操作
信号を発生する操作信号発生手段と、前記操作信号を変
換して前記音源手段に入力するものであって、前記n個
の発振モードの内、1又はm個(n≧m)内で制御分解
能が高まるように、かつ、前記非発振モードから離散す
るように変換する変換手段とを具備したことを特徴とす
る。更に、請求項3記載の電子楽器は、発生されるべき
楽音の音高周期に対応した遅延時間分の信号を遅延する
遅延手段と、信号を非線形変換する非線形変換手段とを
含む信号フィードバックシステムであって、該フィード
バックシステムに励起信号を入力することで該フィード
バックシステムに自励振動を励起させて楽音信号を発生
させる音源手段と、ここで、前記音源手段は励起信号の
状態に応じて複数個の発振モードを有し、各発振モード
で固有の楽音信号を発振出力するものであり、人間の表
現動作を検出して検出信号を発生する表現動作検出手段
と、前記検出信号を第1の信号と第2の信号とに分岐す
る分岐手段と、前記第1の信号を変換して前記音源手段
に励起信号として入力するものであって、前記複数の発
振モードの内、特定の発振モード内での制御分解能が高
まるように前記第1の信号を変換する変換手段と、前記
第2の信号に基づいて前記遅延手段の遅延時間を変化さ
せるピッチ変化手段とを具備したことを特徴とする。
【0005】
【作用】請求項1記載の電子楽器において、音源手段
は、入力される信号に応じて複数個(n個)の発振モー
ドの内の所定の発振モードで発振する。この音源手段に
入力される信号は操作信号発生手段によって発生された
信号を変換手段で変換して得られる。変換手段は、前記
n個の発振モードの内、特定の1又はm個(n>m)の
発振モード内において楽音特性についての制御分解能が
大きくとれるように前記操作信号を変換する。これによ
り、操作信号発生手段によって発生された信号は、特定
のモード内の発振領域全般にわたって細かく割り当てら
れる。また、請求項2記載の電子楽器において、音源手
段は、入力される信号に応じてn個の発振モードのうち
所定の発振モードで発振するとともに、入力される信号
の状態に応じては、各発振モード間に存在する非発振モ
ードに陥り、略消音の状態となる。この音源手段に入力
される信号は、操作信号発生手段が発生する操作信号を
変換手段により変換することによって得られる。変換手
段は、前記n個の発振モードの内、特定の1又はm個
(n≧m)の発振モード内での制御分解能が大きくとれ
るように、かつ、前記非発振モードから離散するように
変換する。これにより、操作信号発生手段が発生する操
作信号によって楽音を制御する際に、非発振モードに該
当する場合を殆ど介さずに済む。更に、請求項3記載の
電子楽器において、音源手段を構成する信号フィードバ
ックシステムは、発生させるべき楽音の音高周期に対応
した遅延時間分だけ信号を遅延する遅延手段と、信号を
非線形変換する非線形変換手段とを含んでおり、励起信
号が入力されることで該フィードバックシステムに自励
発振が励起される。ここで、一般に、非線形変換手段と
遅延手段とを含んだフィードバックシステムに励起信号
を入力して発振させる場合、当該システムは自然楽器
(例えば、サキソフォンや尺八等の管楽器やバイオリン
等の擦弦楽器等)の発音原理に対応しており、複数の発
振モードを持つ。一方、表現動作検出手段は、人間の表
現動作を検出して検出信号を発生する。その検出信号
は、分岐手段によって少なくとも2つに分岐され、その
内、第1の信号は変換手段によって変換され、前記音源
手段に励起信号として入力されるが、この場合、前記複
数個の発振モードの内特定の発振モードにおいて制御分
解能が大きくとれるように変換される。一方、分岐され
た第2の信号に基づいて、ピッチ変化手段は、前記遅延
手段の遅延時間を変化させる。このようにして、人間の
表現動作が表現動作検出手段によって検出され、その検
出信号によって特定の発振モード内において高分解能で
楽音の特性が変化させられるとともに、それに同期した
楽音のピッチ変化が得られる。
【0006】
【実施例】
(A)全体構成 図1は、演奏者に各種センサーやスイッチ等を装着した
状態を示す。本実施例では、左右の肘の曲げ角度を検出
する肘角度検出器El,Er、左右の手首の曲げ角度を
検出する手首角度検出器Wl,Wr、及び左右の手によ
って握られ、スイッチ操作されるグリップ装置Gl,G
rを用いている。
【0007】図2は、本実施例に係る電子楽器の全体構
成を示すブロック図である。この図において、上記各種
検出器の出力は、各々、検出回路1R,1Lに供給さ
れ、ここで、各種の検出データに変換される。また、こ
の電子楽器は、タイマー2、CPU3、ROM4及びR
AM5を具備しており、所定のプログラムに基づいてデ
ータ処理を行っている。更に、電子楽器本体には、各種
のパネルスイッチ6及び液晶表示やLED等の表示器7
が設けられている。これら各種のスイッチ操作及び検出
器の検出結果に基づき、音源(即ち、物理モデル音源)
8で楽音信号が作成され、その楽音がアンプやスピーカ
からなるサウンドシステム9から発生される。また、上
記電子楽器の各部は、データバスBにより接続されてい
る。
【0008】図3は、左右のグリップ装置Gl,Grを
しめしており、各グリップ装置には、7つのスイッチ及
び1つのスライダーが設けられている。ここで、スイッ
チNo.0〜3は各々音高をオクターブ単位で変化させ
る機能を有しており、スイッチNo.2は指定された基
準音高のままの状態を指定し、スイッチNo.1はその
基準音高より1オクターブ上の音高を指定し、スイッチ
No.0は2オクターブ上を指定し、一方、スイッチN
o.3は1オクターブ下を指定する。また、スイッチN
o.4〜7は、各々、スイッチNo.0〜3に対応し、
その音高にシャープ(#:半音上げ)効果を付与する機
能を有する。これらスイッチは、その指定音高での発音
タイミングの指定機能も兼ねている。また、スライダー
は親指でその可動部をスライドさせることにより操作す
る装置であり、右グリップ装置Grに設けられたスライ
ダーSrは、後述するエンベロープ用のノイズ(即ち、
ゆらぎ成分)をレベル制御するもので、一方、左グリッ
プ装置Glに設けられたスライダーSlは後述するエン
ベロープに対するフィルタ処理ののカットオフ周波数を
制御するものである。
【0009】一方、発生楽音の音階は、左右の肘の曲げ
角度の組み合わせにより指定される。即ち、図4に示す
如く、各肘の曲げ角度は3段階で評価され、肘を延ば
し、肩と肘と手首が略直線上に並ぶような状態、やや
肘を曲げた状態、及び肘を大きく曲げた状態に分類
されている。この左右の肘の曲げ角度の組み合わせによ
り、発生音の属すべき音階A〜Gが指定される。例え
ば、両方の肘を延ばすことにより、C音を指定すること
ができる。また、左右の手首の曲げ角度により、息圧や
アンブシュア量を制御している。
【0010】(B)制御信号作成動作 次に、制御信号作成動作について説明する。この動作
は、CPU3のソフトウェア処理により実行されるもの
であるが、理解しやすくするために、これをハードウェ
アとして表した場合、図5に示すようになる。この場合
には、前記図2に示した各種検出器及び検出回路よりな
る身振り入力部1と前記音源8との間に制御信号作成部
EGが設けられる構成として表現される。そして、検出
器の検出結果に応じて時間的に変化する制御信号を発生
する。
【0011】図5に示すハードウェア構成において、前
記身振り入力部1は、左肘及び右肘曲げ角度EDl,E
Dr、左手首及び右手首曲げ角度WDl,WDr、並び
に左及び右グリップ装置のスライダー操作量SDl,S
Drを検出出力すると共に、各グリップ装置に設けられ
た8個のスイッチの内、押されたスイッチの番号FS0
〜7及びその押圧FP0〜7を各々出力する。
【0012】上記左右の肘曲げ角度EDl,EDr、及
びスイッチ番号FNは、制御信号作成部EG内のピッチ
データ生成部10に供給される。このピッチデータ生成
部10は、上記入力に応じて決まる音名とオクターブ
(即ち、音高)に、後述するピッチ変化量変換テーブル
11の出力に応じたピッチ変化を加味して、例えば、尺
八の管長に対応するピッチデータPITを生成し、前記
音源8へ出力する。一方、前記左手首曲げ角度WDl
は、低周期波形発生器(LFO)12へ供給される。こ
の波形発生器12は、図6(a)に示す、周期Tの鋸歯
状波形を発生する。この波形の進行速度1/Tは前記押
圧FPにより制御され、一方、レベルWは左手首曲げ角
度WDlにより制御される。上記波形は、加算器13に
て、右手首曲げ角度WDrと加算される。この加算結果
に応じたピッチ変化量を表す値が、変換テーブル11か
ら読み出される。
【0013】上記のハードウェア構成要素10〜13に
より、演奏者は左肘及び右肘曲げ角度、及びグリップ装
置に設けられた所定のスイッチを押すことにより、所望
の音高を指定できる。また、これに加えて右手首を曲げ
ることにより当該指定音高をずらすことができ、以っ
て、ピッチベンドと同様の演奏が可能となる。更に、こ
の状態で手首を振ることでビブラートをかけることもで
きる。一方、左手首の動作により、低周期波形発生器1
2を介して、ビブラート用の信号の発生強度を制御する
こともできるので、左手でビブラートの深さを制御しな
がら右手でピッチベンドをかけるような演奏も可能であ
る。更に、そのビブラートの周期速度はスイッチの押圧
によって制御することができるので、多彩なピッチ変化
による演奏表現を行うことができる。
【0014】一方、アンブシュア変換テーブル14から
は、加算器13の出力に応じた値のアンブシュア値が読
み出されて、加算器15に出力される。また、エンベロ
ープ発生部16は加算器13の出力に対応して、図6
(b)(c)に示す如きアンブシュア用エンベロープ波
形(EEG)を発生して、加算器15へ出力する。加算
器15は上記各データと後述するノイズ発生器20の出
力とを加算し、その加算結果はフィルタ17を介してア
ンブシュアデータEMBSとして音源8へ出力される。
【0015】上記のハードウェア構成要素12〜17に
より、音源8に対して息の吹き込み角に対応するアンブ
シュア信号EMBSを入力することができ、演奏者は、
右手首の曲げによってこの信号EMBSの値を制御で
き、一方、左手首の動作により低周期波形発生器12の
周期波形を導入できるため、息の吹き込み角を揺らすよ
うな、尺八で言ういわゆる首振りの演奏表現が可能とな
る。勿論、この場合、低周期波形発生器の出力を絞り、
右手首を振るような動作によっても同様の演奏表現が可
能である。また、エンベロープ発生部16からの信号が
導入されることで、音源が発振を開始する立ち上がり時
の動作において、手首の振り等では制御が難しいもの
の、尺八で言ういわゆるしゃくりやタンギング等に対応
した演奏表現も可能となる。尚、フィルタ17は、信号
EMBSの変化が急速になりすぎて不自然とならないよ
うに、いわゆるなまし処理をするために設けられてい
る。
【0016】一方、他のエンベロープ発生部18は、押
圧FPに対応し、図6(d)(e)に示す如き息圧用エ
ンベロープ波形(PEG)を発生して加算器19へ出力
する。また、ノイズ発生器20は、前記右側のスライダ
ーSrの操作量SDrに応じたレベルのノイズ波形を発
生して加算器19へ出力する。この加算器19の出力
は、フィルタ21を介して、尺八の息圧に対応するデー
タPRESとして音源8へ出力される。尚、このフィル
タ19のカットオフ周波数は、前記左側スライダーの操
作量SDlに応じて制御される。ここで、息圧に対応す
る上記信号PRESの増大とともに音源8が自然に発振
を開始し、その減少とともに自然に発振を止める。この
ようにして、一般に自然楽器に息を吹き込んで発音させ
ることと略同様の発音動作が本実施例で示した電子回路
で行われる。
【0017】次に、本実施例がシミュレートする管楽器
における音量とアンブシュアとの関係について説明す
る。本実施例の場合、シミュレートとは言っても、特定
の楽器を厳密にモデリングするのではなく、管楽器とし
ての発音原理を基に、様々な音色が出せるように汎用性
のある構成としている。ここでは、アンブシュアの値が
大きくなるにつれて、発振音程の変化を示す発振モード
が1倍モード→2倍モード→3倍モードと変化するよう
設定されている。本実施例では、図7に示す如く、各モ
ードにおいて、音量が変化する。この場合、基音に対応
する1倍モードと、その1オクターブ上の音程に対応す
る2倍モードとの間には、音量が著しく低い期間、即
ち、消音期間が存在する。この消音期間は、2倍モード
と3倍モードとの間にも発生する。また、単一のモード
内でアンブシュアが増加方向に変化する時には、発振ピ
ッチが多少上昇すると共に音色にも多少の変化が見られ
る。
【0018】本実施例の場合、音色は尺八に似せるよう
に音源8のパラメータ調整をしている。この尺八の場
合、2倍モードにその発音領域が多く存在するような特
色を有するため、本実施例でも、2倍モードにおいてよ
り細かく音高・音色制御するように前記変換テーブル1
1,14の設定値が決められている。これらテーブルの
特性は、図8及び図9に示す如くになっている。ここ
で、2倍モードを基準とした場合、1倍モードの基本ピ
ッチは1オクターブ下(−1200セント)であり、一
方、3倍モードは5度上(+700セント)であるた
め、これらのモード間の接続がうまくなるように、ピッ
チ変化量変換テーブル11の特性(図8参照)が設定さ
れている。また、このピッチ変化量変換特性は不連続な
ものとなってしまうが、その不連続箇所はいわば発振モ
ードの谷間、即ち、消音期間に対応するため、発音上は
特に問題はない。
【0019】本実施例の場合、図5に示された前記制御
信号作成部EGの動作は、実際にはCPU3がソフトウ
ェア的に処理しているので、次に、その実際のソフトウ
ェア処理について図10及び図11に示すフローチャー
トと共に説明する。
【0020】図10において、電源が投入され、本電子
楽器が作動すると、各種レジスター類等が初期設定さ
れ、その後、前記パネルスイッチ6に関する処理が行わ
れる(ステップS1,S2)。この処理は、本願の要旨
とは直接関連しないので、ここでは、その詳細な説明を
省略する。次に、ステップS3を介して、ステップS4
〜S13の処理が一定時間毎に割り込み処理される。
【0021】即ち、ステップS4において、各種検出デ
ータが入力される。ここで、演奏者の右側の動作に対応
したデータEDr,WDr,SDrと左側の動作に対応
したデータEDl,WDl,SDlの内、大きい方が選
択的に入力される。次のステップS5では、肘曲げ角度
データEDl,EDrに基づき、図4に示した如く、音
階が指定され、その音階に対応した音名データNNが発
生される。
【0022】次のステップS6では、グリップ装置のス
イッチング処理を行う。この処理の詳細は、図11に示
す如くであり、ここでは、ノート・オン/オフ処理やベ
ロシティデータの生成等を行う。この処理ルーチンのス
テップS61において、各グリップ装置の8個のスイッ
チNo.0〜7のスイッチに加えられた押圧FP0〜7
の値を基に、各スイッチのオン/オフ状態を示すデータ
FS0〜7を発生出力する。次のステップS62におい
て、ノート・イベントが発生したか否か判断する。ここ
で、ノート・イベントが検出されない場合には、この処
理ルーチンでは実質的な処理を行わずに図10のフロー
チャートに戻り、ステップS7に進む。
【0023】一方、ノートオン・イベントが検出された
場合には、ステップS63に進み、押圧されたスイッチ
の番号iを取り込む。このスイッチNo.iの圧力セン
サーの出力値に基づき、ベロシティ・データVELを作
成する(ステップS64)。次のステップS65におい
て、音名データNNに対し、押されたスイッチNo.i
に対応した処理、即ちオクターブ処理又はシャープ処理
を行い、発音すべき楽音の音高に対応したノートコード
NCを発生する。
【0024】本実施例の場合、管楽器に対応しているた
め、発音チャンネルは1つのみしか設けられていないの
で、順次指定される楽音の内、最も後に指定された楽音
を優先して発音処理する。ステップS66では、このよ
うな後着優先に基づき、指定楽音を選択し、その楽音に
係るノートコードNC及びベロシティデータVELを音
源8へ送ると共に、前記エンベロープ発生部16,18
をリセットスタートさせる。これにより、後着優先で指
定された楽音の発音処理が開始される。
【0025】一方、前記ステップS62にて、ノートオ
フ・イベントが検出された場合には、ステップS67に
進み、その押されたスイッチの番号をjとして取り込
む。次のステップS68において、このオフ・イベント
のあったスイッチNo.jと前記オン・イベントのあっ
たスイッチNo.iとが等しいか否か判定する。両者が
等しく無い場合には、ここでは、何等処理を行わずに、
前記フローチャートの処理へリターンする。しかし、両
者が等しい場合には、エンベロープ発生部18の出力波
形(PEG)のレベルを下げ、ノートオフ状態とする。
これにより、息圧オフの状態となり、発生楽音は徐々に
減衰し、その後、消音する。この処理の後、前記フロー
チャートへリターンする。
【0026】上記のような図11に示すグリップ装置の
スイッチング処理の後、図10に示すステップS7へ進
み、図5に示す波形発生器12の制御処理を行う。ここ
では、図6(a)に示す波形(LFO)の発生速度(即
ち、1/T)を押されたスイッチの検出圧力FPiで制
御し、一方、そのレベルを左手首曲げ角度WDlで制御
する。ステップS8では、エンベロープ発生部16,1
8により発生された波形(EEG,PEG)の形状を前
記ベロシティデータVELにより制御する。次のステッ
プS9では、上記2種類のエンベロープ波形(EEG,
PEG)用のノイズ成分値ENZ,PNZを生成する。
これは、尺八独特の音色のゆらぎに対応したものであ
る。このノイズ成分は、前記ノイズ発生器20におい
て、右側のスライダー操作量SDrに応じて制御され
る。
【0027】次に、ステップS10では、下記の計算を
行う。これらの計算は、前記加算器15,19で行われ
る加算処理に対応したものである。 EM ← EEG+ENZ+ET(WDr) PD ← PEG+PNZ ここで、ET(WDr)は変換テーブル14の出力を意
味する。このような加算器15,19の加算結果EM,
PDを用い、ステップS11では、フィルター17,2
1に対応した、下記に示す如きフィルタ処理を行う。 EMBS ← F1(EM) PRES ← F2(PD) 上記フィルタ処理の結果、アンブシュアデータEMBS
及び息圧データPRESが生成される。
【0028】ステップS12では、以下のような計算処
理を前記ピッチデータ生成部10において行い、その結
果、ピッチデータPITを生成する。 PIT ← NC×{1+PT(WDr+LFO)} ここで、PT(WDr+LFO)は前記変換テーブル1
1の出力を意味する。このような計算により、ピッチデ
ータPITはセント単位で求められることになる。換言
すれば、ピッチデータはセントリニアなデータであると
言える。最後のステップS13において、計算出力され
た各データEMBS,PRES,PITが音源8へ出力
される。
【0029】(C)音源 最後に、音源8について、図12を参照して説明する。
この音源8は、主に、楽音制御信号入力部100、波形
信号ループ部200及び波形信号伝送部300より構成
される。ここで、楽音制御信号入力部100は、減算器
101、低域フィルター(LPF)102、加算器10
3、非線形テーブル104,106、及び乗算器10
5,107より構成される。上記減算器101の出力
は、LPF102により低域成分のみ抽出された後、加
算器103に供給され、ここで、前記アンブシュアデー
タEMBSと加算される。この加算結果は、非線形テー
ブル104により非線形関数処理を行われた後、乗算器
105へ供給される。一方、前記減算器101の出力は
他の非線形テーブル106により非線形関数処理を行わ
れた後、この乗算器105に供給される。乗算器105
は、両者を乗算する。この乗算器105の出力は、次の
乗算器107にて、係数kと掛け合わされる。上記2種
類の非線形テーブルの内容並びに係数kは、発生楽音に
応じて決定される。これらは、本発明の要旨ではないの
で、その詳細な説明は省略する。
【0030】上記乗算器107の出力は、波形信号とし
て波形信号ループ部200内の加算器201を介し、更
に波形信号伝送部300を通過してLPF301に供給
され、ここで、所定の低域成分のみ取り出されて、高域
フイルター(HPF)302に供給される。HPF30
2では、入力される信号の内、所定の高域成分のみ取り
出して、遅延回路303に出力する。これらLPF及び
HPFのカットオフ周波数は、前記ピッチデータPIT
により制御される。遅延回路303は、ピッチデータP
ITに応じた所定の遅延処理を行った後、その遅延出力
を波形信号ループ部200内の加算器202へ出力す
る。ここで、遅延回路303の遅延量は、尺八の管内を
伝藩する息圧に対応した空気圧力波の伝藩遅延量に対応
したもので、前記ピッチデータPITにより制御され
る。
【0031】上記遅延回路303の遅延出力は、前記波
形信号ループ部200内の加算器201,202に各々
供給される。ここで、前記加算器201は楽音制御信号
入力部100から出力される波形信号と上記遅延出力と
を加算し、その加算結果を出力し、一方、加算器202
は上記遅延出力と加算器201の加算結果とを加算し、
その出力を前記減算器101に供給する。このような加
算処理により、管内で空気圧力波が散乱する様子がシミ
ュレートされる。
【0032】次に、楽音制御信号入力部において、減算
器101は加算器202の出力から前記息圧データPR
ESを減じ、その減算結果を前記LPF102及び非線
形テーブル106に各々供給する。このようにして構成
された音源8の回路内には、息圧信号PRESの増大に
伴って発振が励起され、その発振モードは、特にアンブ
シュア信号EMBSの増大に伴って変化する。また、管
長信号PITに応じて発振音高は変化し、発振モードが
変わっても音高は変化する。このような物理モデル音源
自体の詳しい発振の様子の説明は、本出願人による特願
平3−93327号等を参照してもらいたい。
【0033】このように、回路内に生じた発振信号は回
路から取り出され、帯域通過フィルター(BPF)40
1に供給される。このBPF401では、供給される発
振信号から一定の周波数帯域成分を取り出し、それを楽
音信号として出力する。これにより、前記サウンドシス
テム9から対応する管楽器の楽音が発生される。
【0034】尚、本実施例では、管楽器に対応した物理
モデル音源等を例示し、尺八の音を発生する場合につい
て説明したが、これらの構成は、勿論他の楽器、例えば
弦楽器等にも適用できる。また、本実施例では、発音モ
ードとして1倍モード、2倍モード、3倍モードを用い
たが、それ以上のモードを使用する場合もある。例え
ば、管楽器の内、その管の一方が開口し他方が閉口して
いる場合、その物理モデル音源では1倍モード、3倍モ
ード、5倍モードのように奇数倍の発振モードで発振す
る。更に、本実施例では、尺八の音を出すことを念頭に
おいて設計しているため、2倍モードのみを重点的に使
用しているが、数あるモードの内いくつかのモードを重
点的に使用するようにしても良い。
【0035】また、本実施例では、制御信号作成部EG
内において、アンブシュアデータEMBS発生経路の方
に2種類のテーブル11,14を設けたが、息圧データ
PRESの発生経路側に何らかのテーブルを用意しても
良い。前記アンブシュア変換テーブル14における変換
特性カーブを図9に示すように滑らかな曲線とする必要
はなく、これを折線や不連続にカーブとしても良い。更
に、テーブルの代わりに演算回路を設けて、所定の演算
式により、所望とするデータを算出するよう構成しても
良い。また、物理モデル音源は、擦弦楽器等その他の楽
器の発音原理をモデリングしたようなものでも良い。
【0036】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明による請求項
1に係る電子楽器は、入力される信号に応じて自励発振
を開始するとともに、該自励発振は前記入力される信号
の状態に対応してn(nは自然数)個の発振モードを有
するものであって、各発振モードで固有の楽音特性の楽
音信号を発振出力する音源手段と、演奏者の操作に応じ
た操作信号を発生する操作信号発生手段と、前記操作信
号を変換して前記音源手段に入力するものであって、前
記n個の発振モードの内、特定の1又はm個(n>m)
のモード内で楽音特性についての制御分解能が高まるよ
うに前記操作信号を変換する変換手段とを具備したの
で、1つの発振モード内では、楽音信号は略同一音高で
発振出力されるが、その発振モード領域の端と中央部分
では、各々音色や音量が微妙に異なり、以って、音高も
若干変化させることができ、また、複数の発振モードの
内の特定の発振モードの発振領域の全般にわたって細か
く演奏情報が割り当てられるように操作信号の変換が行
われるので、表現力のある演奏を行い易くなるという効
果を奏する。また、請求項2記載の電子楽器では、各発
振モード間に存在する非発振モードをなるべく使わない
ように操作信号の変換を行っているので、演奏操作によ
って音が出ないといった不便性(即ち、演奏の困難性)
を廃することができるという効果も奏する。更に、請求
項3記載の電子楽器では、特定の発振モード内における
制御分解能を高めるとともに、同制御に同期して遅延時
間を制御することにより、特定の発振モード内において
高分解能にピッチ変化を音色・音量変化に同期させるよ
うにしたので、人間の表現動作に対応した極めて高い表
現力のある楽音を合成することができるという効果も奏
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例に係る電子楽器を演奏者に装
着した状態を示す図である。
【図2】 本発明の実施例に係る電子楽器の全体の電気
的構成を示すブロック図である。
【図3】 実施例に用いたグリップ装置におけるスイッ
チ等の配列状態を示す図である。
【図4】 肘の曲げ角度と音程の関係を示す図である。
【図5】 本実施例の動作の主要部に対応する制御信号
作成部の動作をハードウェアとして具備した場合のその
電気的構成を示すブロック図である。
【図6】 上記制御信号作成部の各部における波形を示
す図である。
【図7】 発音モードと音量レベルとの関係を示す図で
ある。
【図8】 制御信号作成部内のピッチ変化量変換テーブ
ルの特性を示す図である。
【図9】 制御信号作成部内のアンブシュア変換テーブ
ルの特性を示す図である。
【図10】 本実施例のメインルーチンを示すフローチ
ャートである。
【図11】 上記メインルーチンにおけるサブルーチン
を示すフローチャートである。
【図12】 本実施例に使用される物理モデル音源の電
気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 身振り入力部 3 CPU 8 サウンドシステム 10 ピッチデータ生成部 11 ピッチ変化量変換テーブル 12 低周期波形発生器 14 アンブシュア変換テーブル 16,18 エンベロープ発生部 20 ノイズ発生器 100 楽音制御信号入力部 200 波形信号ループ部 300 波形信号伝送部 EG 制御信号作成部 Gl,Gr グリップ装置 Sl,Sr スライダー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力される信号に応じて自励発振を開始
    するとともに、該自励発振は前記入力される信号の状態
    に対応してn(nは自然数)個の発振モードを有するも
    のであって、各発振モードで固有の楽音特性の楽音信号
    を発振出力する音源手段と、 演奏者の操作に応じた操作信号を発生する操作信号発生
    手段と、 前記操作信号を変換して前記音源手段に入力するもので
    あって、前記n個の発振モードの内、特定の1又はm個
    (n>m)のモード内で楽音特性についての制御分解能
    が高まるように前記操作信号を変換する変換手段とを具
    備したことを特徴とする電子楽器。
  2. 【請求項2】 入力される信号に応じて自励振動を開始
    するとともに、該自励振動は前記入力される信号の状態
    に応じてn(nは自然数)個の発振モードと各発振モー
    ドの間に非発振モードとを有するものであって、各発振
    モードで所定の楽音信号を発振出力し、各非発振モード
    では楽音を発振せず略消音する音源手段と、 演奏者の操作に応じた操作信号を発生する操作信号発生
    手段と、 前記操作信号を変換して前記音源手段に入力するもので
    あって、前記n個の発振モードの内、1又はm個(n≧
    m)内で制御分解能が高まるように、かつ、前記非発振
    モードから離散するように変換する変換手段とを具備し
    たことを特徴とする電子楽器。
  3. 【請求項3】 発生されるべき楽音の音高周期に対応し
    た遅延時間分の信号を遅延する遅延手段と、信号を非線
    形変換する非線形変換手段とを含む信号フィードバック
    システムであって、該フィードバックシステムに励起信
    号を入力することで該フィードバックシステムに自励振
    動を励起させて楽音信号を発生させる音源手段と、ここ
    で、前記音源手段は励起信号の状態に応じて複数個の発
    振モードを有し、各発振モードで固有の楽音信号を発振
    出力するものであり、 人間の表現動作を検出して検出信号を発生する表現動作
    検出手段と、 前記検出信号を第1の信号と第2の信号とに分岐する分
    岐手段と、 前記第1の信号を変換して前記音源手段に励起信号とし
    て入力するものであって、前記複数の発振モードの内、
    特定の発振モード内での制御分解能が高まるように前記
    第1の信号を変換する変換手段と、 前記第2の信号に基づいて前記遅延手段の遅延時間を変
    化させるピッチ変化手段とを具備したことを特徴とする
    電子楽器。
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