JP2767954B2 - 小口径管用溶接トーチヘッド - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は狭隘な場所等において小口径管を突合せ溶接
するための小口径管用溶接トーチヘッドに関するもので
ある。

［従来の技術］ ボイラのヘッダや原子力の小口径管等においては狭隘
な場所に多数の小口径管が配設されており、このような
狭隘な場所で小口径管を突合せ溶接する場合、配管の面
間距離が小さいために自動化が困難であり、従来は一般
に手作業にて溶接するようにしていた。

しかし、上記手作業では溶接作業能率が低く、品質も
均一化しにくいので、小口径管の外周に沿ってトーチブ
ロックを回転させるようにした小口径管用の自動溶接装
置が考えられている。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、上記したような小口径管用の自動溶接装置
は、一般にトーチブロックを回転可能に備えているのみ
であるため、ワイヤを外部から送給する際にワイヤが他
の配管に接触したり又は溶接している小口径管に巻き付
く等により安定した送給が行えない問題を有すると共
に、オシレート機能を有していないので充分且つ均一な
突合せ溶接を行わせることができない等の問題を有して
いた。

本発明は上記従来の問題点に着目してなしたもので、
狭隘な場所における小口径管の突合せ溶接を、安定且つ
良好に行って作業能率の大幅な向上を達成し得る小口径
管用溶接トーチヘッドを提供することを目的としてい
る。

［課題を解決するための手段］ 本発明はクランプ装置に回転駆動装置を介して回転可
能に支持するようにした小口径管用溶接トーチヘッドに
おいて、回転駆動装置によって回転作動される回転板
と、該回転板にオシレート装置を介して小口径管の軸方
向に移動可能に支持されたトーチブロックと、該トーチ
ブロックを小口径管の半径方向に近接・離反する半径方
向駆動装置と、ワイヤリールと、該ワイヤリールのワイ
ヤを前記トーチブロックに供給するワイヤ送給装置とを
備えたことを特徴とする小口径管用溶接トーチヘッドに
かかるものである。

［作用］ 溶接トーチヘッドに備えたワイヤリールのワイヤをワ
イヤ送給装置によりトーチブロックに送給しつつトーチ
ブロックの溶接トーチを作動させて回転板を回転させる
と、小口径管の突合せ部を周方向に自動的に溶接でき
る。このとき、ワイヤを溶接トーチヘッド内にて自給す
るようにしているので、ワイヤが小口径管等に接触した
り、からみつくような問題が生じない。

又、オシレート装置によってトーチブロックを小口径
管の軸方向に移動させることにより、複数層の突合せ溶
接を自動的に行うことができる。

［実 施 例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図及び第２図は本発明の一実施例であり、略Ｕ字
状を有して小口径管１に嵌合し、該小口径管１に固定で
きるようにしたクラップ装置２と、該クランプ装置２に
一体に設けられた回転駆動装置３により小口径管１の周
りを回転できるように支持された溶接トーチヘッド４と
により、自動溶接装置５が構成されている。

上記自動溶接装置５のクランプ装置２及び回転駆動装
置３としては、例えば先に出願した平成１年特許願第10
7026号に示したような構成のものが利用できる。

自動溶接装置５の主要部を構成する本発明の溶接トー
チヘッド４は、第３図〜第７図に示す如く略Ｕ字状を有
し小口径管１の周りを回転可能に回転駆動装置３に支持
された回転板６と、該回転板６上に支持されたワイヤ７
を巻付けてなるワイヤリール８と、ワイヤ送給装置９
と、前記回転板６に対してオシレート装置10を介して小
口径管１の軸線方向に移動可能に支持されたオシレート
プレート11と、該オシレートプレート11上に対し前記小
口径管１の半径方向（前後方向）に移動可能に支持され
たトーチブロック12と、該トーチブロック12の半径方向
移動を駆動する半径方向駆動装置13とを備えている。

前記オシレート装置10は第５〜６図に示すように、前
記回転板６とオシレートプレート11との間に、回転板６
に対してオシレートプレート11を小口径管１の軸方向に
移動可能に支持するようにしたスライドガイド14,15を
備えており、更に前記小口径管１と平行に設けられ且つ
回転板６上に備えられたオシレートモータ16によりベベ
ルギヤ17を介して回転駆動されるオシレート軸18が、前
記オシレートプレート11に固定したオシレートナット19
に螺合するようにしてある。又、スライドガイド15部に
はオシレート量を検出するポテンショメータ24が設けて
ある。

第４、５、８図中、20はスライドガイド14部に設けた
リミットスイッチ21,22とセンサー23からなるオシレー
トのストロークリミット検出器である。

トーチブロック12は、第３、５図に示すように、溶接
トーチ25と、ガス管接続部26と、ワイヤ位置調整部27を
有したワイヤガイド28等を有しており、オシレートプレ
ート11に固定したスライドユニット29のガイドレール30
に沿って小口径管１の半径方向に前後移動できるように
なっている。又前記トーチブロック12が取付いたスライ
ドユニット29にも、リミットスイッチ31,32とセンサー3
3からなる半径方向のストロークリミット検出器34が設
けてある。

半径方向駆動装置13は、第３図に示すように、前記ト
ーチブロック12の半径方向の移動と平行にオシレートプ
レート11上に設けた半径方向軸35を駆動モータ36により
伝達ギヤ37を介して回転駆動するようにし、前記半径方
向軸35に螺合したナット38を連結アーム39を介して前記
スライドユニット29に連結した構成を有している。

前記ワイヤリール８は、第３、７図に示すように、前
記回転板６上に設けたリール台40上に回転可能に支持さ
れている。

ワイヤ送給装置９は、前記ワイヤリール８からのワイ
ヤ７を送給するための送給ローラ41を有しており、該送
給ローラ41の軸42が、回転板６上に設けた送給モータ43
により平歯車44,45及びベベルギヤ46を介して回転駆動
されるようになっており、更に、前記送給ローラ41に対
して、リンク47に支持された押付ローラ48が調節ねじ49
を介して押付けられるようになっており、両ローラ41,4
8間に挾持されたワイヤ７が送給ローラ41の回転駆動に
よって送給されるようになっている。

又、送給ローラ41及び押付ローラ48から送り出される
ワイヤ７は、前記オシレートプレート11上等に備えたガ
イド50を介して前記トーチブロック12のワイヤガイド28
に導かれるようになっている。

小口径管1,1同士を突合せ溶接する際は、仮止めされ
た小口径管1,1の溶接部分にトーチブロック12の溶接ト
ーチ25が位置するように第２図に示すクランプ装置２を
介して自動溶接装置５を一方の小口径管１外周に固定す
る。

この状態で回転駆動装置３を作動させると、溶接トー
チヘッド４は小口径管１の周りを回転することができ
る。

従って、ワイヤ送給装置９によりワイヤリール８のワ
イヤ７をトーチブロック12の溶接トーチ25前側に供給す
ると共に溶接トーチ25を作動させつつ回転駆動装置３を
駆動すると、小口径管１の突合せ溶接部を周方向に自動
溶接することができる。

更に、オシレート装置10のオシレートモータ16を作動
してオシレートプレート11を小口径管１の管軸方向に所
要量ずつオシレートさせながら前記溶接作業を行うと、
小口径管１の軸方向に幅をもたせた溶接を行うことがで
き、これにより任意の溶接幅を任意の層数で自動溶接す
ることができる。

このときのオシレートの幅、位置等は、ポテンショメ
ータ24によって検出され、予め設定されたオシレート
幅、位置となるように前記オシレートモータ16の作動が
制御されるようになっている。

又、前記小口径管１の口径は予め分っているので、該
小口径管１と溶接トーチ25先端との間隔は予め最適に設
定されている。

半径方向駆動装置13の駆動モータ36を作動することに
より、半径方向軸35及び連結アーム39を介して前記トー
チブロック12を後退させるように作動させ、これによっ
て前記間隔を最適な一定値に保持することができる。

又、溶接トーチヘッド４の回転板６上にワイヤリール
８及びワイヤ送給装置９を搭載するようにしているの
で、溶接トーチヘッド４上においてワイヤ７を自給する
ことができ、よって従来の外部からワイヤを供給する方
式に比し、ワイヤが他の小口径管に接触したり、溶接を
行っている小口径管に巻き付く等の問題がなくなるの
で、安定した自動溶接が可能となる。

尚、本発明の小口径管用溶接トーチヘッドは、上述の
実施例にのみ限定されるものではなく、ワイヤリール及
びワイヤ送給装置等をオシレートプレート上に設けるよ
うにしても良いこと、半径方向駆動装置により回転板上
のすべての装置を半径方向に移動させるようにしても良
いこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内におい
て種々変更を加え得ることは勿論である。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明の小口径管用溶接トーチ
ヘッドによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得
る。

（ｉ） 溶接トーチヘッドにワイヤリール及びワイヤ送
給装置を備えて、ワイヤを溶接トーチヘッド内にて自給
するようにしているので、溶接時ワイヤが小口径管等に
接触したり、からみつくような問題が生じることがな
い。

（ii） オシレート装置によってトーチブロックを小口
径管の軸方向に移動させることにより、複数層の突合せ
溶接を自動的に行うことができる。

（iii） 小口径管の突合せ溶接を自動的に高能率に行
うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の溶接トーチヘッドを備えた自動溶接装
置の全体側面図、第２図は第１図をII方向から見た正面
図、第３図は第２図における溶接トーチヘッド部の拡大
正面図、第４図は第１図をIV方向から見た拡大正面図、
第５図は第３図のＶ−Ｖ矢視図、第６図は第３図のVI−
VI矢視図、第７図は第３図のVII方向矢視図、第８図は
第４図のVIII−VIII方向矢視図である。 １は小口径管、２はクランプ装置、３は回転駆動装置、
４は溶接トーチヘッド、６は回転板、７はワイヤ、８は
ワイヤリール、９はワイヤ送給装置、10はオシレート装
置、12はトーチブロック、13は半径方向駆動装置を示
す。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B23K 37/02 301 B23K 9/28 B23K 9/028

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】クランプ装置に回転駆動装置を介して回転
   可能に支持するようにした小口径管用溶接トーチヘッド
   において、回転駆動装置によって回動作業される回転板
   と、該回転板にオシレート装置を介して小口径管の軸方
   向に移動可能に支持されたトーチブロックと、該トーチ
   ブロックを小口径管の半径方向に近接・離反する半径方
   向駆動装置と、ワイヤリールと、該ワイヤリールのワイ
   ヤを前記トーチブロックに供給するワイヤ送給装置とを
   備えたことを特徴とする小口径管用溶接トーチヘッド。