JP2767152B2 - 持続型薬物含有セラミック体 - Google Patents

持続型薬物含有セラミック体

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    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/10Dispersions; Emulsions
    • A61K9/127Liposomes

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、持続型薬物含有セラミック体に関し、更に
詳しくいえば、感染予防や患部の治療に好適で薬効の持
続効果に優れた持続型薬物含有セラミック体に関する。
本発明は、骨の切除を行った部位に補填する人工骨や、
骨髄炎、悪性腫瘍等の治療の他、人工歯根埋入の感染予
防等に利用される。
〔従来の技術〕
手術部位の感染予防、患部の治療において、抗生物質
等の薬剤の服用、筋肉、静脈注射が一般に行われてきた
が、患部に薬剤が到達するまでに、不必要な部位におけ
る薬剤代謝や血流による分散によりその分を含めた多量
の薬剤を投与せねばならず、また薬効の長時間維持が難
しい。
これを解決するために、セラミックス体の気孔内に薬
液を含浸させた薬液含浸緻密質セラミックス(特開昭59
-101145号公報)、粒状体が有する小孔中に医薬を含有
させた医薬投与用セラミック小粒体(特公昭62-6522号
公報)、中心の小孔内に抗生物質を入れその周囲をリン
酸カルシウム層とするリン酸カルシウム質充填材(特開
昭60-106459号公報)が知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記薬物含有セラミック体(薬物含浸容器)は、いず
れも、セラミック体の気孔内又はその孔内に薬剤を保持
し又は入れるにすぎないので、薬効の長時間維持が必ず
しも十分でない。
また、多孔質体においては強度がなく、強度が必要と
される充填材又は骨代替材(例えば腸骨スペーサ等)と
しては不十分である。
従って、前記のような単なる薬物含浸容器よりも薬効
の持続効果が更に優れ、且つ強度に優れたものの現出が
望まれている。
本発明は、単なる薬物含浸容器よりも薬効の持続効果
に優れ且つ強度に優れた持続型薬物含有セラミック体を
提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本第1発明の持続型薬物含有セラミック体は、緻密質
バイオセラミック体に穴部及び貫通孔の少なくとも一方
が形成され、該穴部及び該貫通孔の少なくとも一方の中
に、少なくともリン脂質及び薬物が保持され、少なくと
も使用時において、前記リン脂質は、内部に前記薬物を
含有させ薬物含有リポソームを形成することを特徴とす
る。
前記「緻密バイオセラミック体」を構成するセラミッ
クとしては、生体為害性のないものであればよく、例え
ば、リン酸カルシウム系、アルミナ、ジルコニア、炭化
珪素焼結体、ジルコニア−アパタイト複合焼結体、炭化
珪素−結晶化ガラス複合焼結体、窒化珪素焼結体等を用
いることができる。このうち、特に、リン酸カルシウム
系セラミック又はアルモナが一般に用いられる。前者は
新生骨の生成があり生体親和性等に極めて優れ、後者は
化学的に安定で耐蝕性、耐摩耗性、強度等に優れるから
である。
前記「リン酸カルシウム系」とは、リン酸カルシウム
を、主として(通常、40重量%以上)含むセラミックを
いう。このリン酸カルシウム化合物としては、CaHPO4
2H2O、CaHPO4、トリカルシウムホスフェート〔Ca3(PO
42〕、ヒドロキシアパタイト〔Ca5(PO43OH〕、弗
素アパタイト〔Ca5(PO43F〕、Ca4O(P042、Ca2
27等を用いることができる。これらの化合物を単独
で又は2種以上の混合物として用いることができる。ま
たCa/P原子比は特に限定されないが、これらのうち、Ca
/P原子比が1.4〜1.75であり、アパタイト(例えばヒド
ロキシアパタイト又は弗素アパタイト)若しくはトリカ
ルシウムホスフェートが好ましい。これらは、新生骨の
生成が速いからである。特にこのアパタイトは新生骨の
生成がより速いのでより好ましい。
アルミナ等は、種々の公知の材料、焼結体を用いるこ
とができ、例えば、アルミナについていえば結晶構造の
種類等は問わない。
前記「緻密質」とは、通常、気孔率が約3%以下程度
のものである。また、このセラミック体は穴部(貫通し
ないものを意味する。)及び貫通孔の一方又は両方をも
つことができ、更に、この穴部等の数は1つでも、2以
上でもよく、この穴部等の形成位置も特に問わず、2以
上の場合は平行しても、互いに傾斜してもよいし、交差
してもよい。
この穴部等を有するセラミック体の製造方法は、公知
の種々の方法を用いることができ、例えば、所定のセラ
ミック粉末に有機質の結合剤の所定量を加え所定形状に
成型し、焼成したものに、ドリル等で穴あけ加工を施す
方法等がある。このセラミック体の形状、大きさ等は目
的、用途に応じて種々選択される。
更に、前記「穴部及び貫通孔」の各断面積の形状、大
きさも、特に問わず、リン脂質及び薬物を保持できるも
のであればよい。これは、前記第2発明に示すように、
穴部等の横断面積が0.006〜0.05cm2、即ち穴径が約1〜
2.5mm程度が好ましい。0.006cm2未満では、薬物の外部
への放出が円滑に行われない場合があるので好ましくな
く、あまり大きくなる(例えば約5mm以上程度)と薬物
等の保持が十分にできなくなる。
また、第3発明に示すように、この穴部及び貫通孔の
少なくとも一方の内部に、生耐為害性のないセラミック
繊維を充填させたものとすることができる。この繊維と
しては、アルミナ、ジルコニア等からなる繊維とするこ
とができる。この繊維の径、長さ等はこの穴部等に充填
されるものであればよい。尚、この充填剤(付着助材)
としては、生体為害性のない他種繊維、並びに繊維以外
の薬物付着効果の高い顆粒等を用いることもできる。
前記「少なくともリン脂質及び薬物が保持され」と
は、これらの化合物以外にリポソームの膜を安定化させ
るための化合物又は脂質の化学変化防止剤等を添加しこ
れを保持させることができるし、この「保持」とは、こ
れらの化合物が孔中に更には表面に保ち置かれるもので
あれば良く、通常、吸着又は浸透等の手段による。この
吸着は化学的、物理的吸着を問わない。
このリン脂質及び薬剤等をセラミック体に保持させる
方法は、通常、これらの各溶液を混合し、所定のセラミ
ック体をこの混合液中に浸漬等をし、そのセラミック体
の穴部等内にリン脂質等を吸着させ、その後、凍結乾燥
等の既知の方法により脱液、乾燥させるものである。
尚、このリン脂質等は、通常、脱液された乾燥状態で緻
密質セラミック体の孔中等に保持されるが、これに限定
されず、水等の溶媒中に分散されたリポソームの状態で
保持されてもよい。
前記「リン脂質」としては、疎水部と親水部をもち、
リポソームを形成するものであればよく、例えば、卵黄
由来のホスファチジルコリン(レシチン)、牛脳からの
ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノー
ルアミン、ホスファチジルセリン、ジホスファチジルグ
リセロール、カルジオリビン又はスフィンゴミエリン等
を用いることができる。前記「リポソーム」とは、脂質
人工膜の一種であり、脂質の一重層又は多重層よりなる
閉鎖小胞をいい、多重層の多重ラメラ小胞(MLV)、一
重膜の小さな単ラメラ小胞(SUV)及び直径1μm程度
の比較的大きな単ラメラ小胞(LUV)を含む。
リポソームに内包される「薬物」としては、長時間に
わたり、薬効維持を必要とされるような医薬であれば、
何でもよい。例えばこの薬物としては、抗生物質、合成
抗菌剤、抗悪性腫瘍剤、抗癌剤、免疫能増強剤、抗ウィ
ルス剤抗真菌剤、免疫療法剤、細胞賦活用薬、ホルモン
剤、解熱鎮痛消炎剤、骨形成因子等がある。
具体的に示せば、抗生物質としては、ペニシリン系の
ベンジルペニシリン、メチシリン、オキサシリン、クロ
キサシリン、アンピシリン、ヘタシリン、カーベニシリ
ン、サルベニシリン、チカルシリン等、セフェム系のセ
ファロリジン、セファロシン、セフォチアム等、オキサ
セフェム系のラタモキセフ等、β−ラクタマーゼ阻害剤
(配合剤)のサルバクタム/セフォペラゾン等、その他
の種々の系の種々の物質等を用いることができる。
合成抗菌剤として、サルファメトキサゾール、トリメ
トプリム等、抗悪性腫瘍性として、塩酸ナイトロジェン
マスタード−N−オキシド、チオテパ、メトトレキサー
ト、イホスファミド、エトポシド、カルボコン、ミクロ
ホスファミド等、その他の悪性腫瘍に作用するものとし
て、アクチノマイシンD、塩酸アクラルビシン等、抗ウ
ィルス剤としてアシクロビル等、抗真菌剤としてミコナ
ゾール等、免疫療法剤としてインターフェロン−α等、
細胞賦活用薬としてアデニン等、ホルモン剤例えば副腎
ホルモン剤(ステロイド剤)として酢酸デキサメタゾ
ン、酢酸トリアムシノロン等、解熱鎮痛消炎剤として、
アニリン系のアセトアミノフェン、フルフェナム酸等、
ベンジダミン系の塩酸ベンジダミン等、サリチル酸系の
アスピリン等、ピラゾロン系のアンチピリン等、インド
メタシン系のアセメタシン等、その他の解熱鎮痛消炎剤
のアルクロフェナック等、骨形成因子としてボーンモル
フォロジックプロテイン等を用いることができる。ま
た、この薬物として、水への溶解度が低いようなものの
場合はリポソームの疎水部間に保持され、その溶解度が
大きいようなものの場合はその親水部間に保持される。
目的の薬効を持つ薬物含有リポソームの調製方法は以
下の通りである。リン脂質及び薬物等を水等の中で混和
させ、懸濁させて、薄膜法、超音波処理法、エーテル注
入法等の周知の方法にて、多量層リポソーム(MLV)、
一枚膜リポソーム(SUV、LUV)を形成させて、この半透
過性の脂質二重層内に薬物を封入して調製される。
ここで、リポソーム調製の際、薬物のカプセル化収率
を上げるために、ステアリルアミン、ジセチルホスフェ
ート、ホスファチジン酸等を全体脂質濃度に対して約10
%程度加え、また膜安定化のためにコレステロール等を
約20〜50%程度、更に脂質の化学変化を避けるためビタ
ミンE等の抗酸化物質を添加してもよい。
生体内に適応する場合、無菌的製剤でなければならな
いため、通常、前記の操作工程は全て無菌的に行われ
る。
〔作用〕
本薬物含有セラミック体は、穴部等の中に少なくとも
リン脂質及び薬物を含有するので、水、血液等の体液中
で、薬物を内包したリポソームが構築される。この薬物
は、薬物の物理化学的性状を変えることなく、このカプ
セル化された薬物含有リポソームから更に孔内等から放
出されるので、薬物の放出が遅延され、しかも薬物の放
出量又は放出時間は、リポソーム構造の種類、リポソー
ムの主構成成分であるリン脂質の種類、濃度又はその表
面電荷、更に膜安定化物質の添加等によって調整でき
る。また、セラミック体の強度は、使用するセラミック
の材質及びその肉厚等によって、同様に調整できる。
〔発明の効果〕
前記のように、リポソームによって薬物の放出時間を
制御し、更には薬効持続時間を調節できる。従って、従
来のように単に薬物を孔中に保持させておく場合と比べ
て、骨の切除等を行った手術部位の感染予防、患部の治
療において薬効の持続を長期的なものにすることがで
き、しかもその調節が容易にできる。また、このリポソ
ームは生体膜と同質のものであるので、生体為害性がな
く、安全性も高く治療等の面でも好都合である。
また、本セラミック体は緻密質であるので、強度に優
れ、そのため或る程度強度の必要な部位に用いることが
できる。
更に、セラミック体がリン酸カルシウム系緻密質セラ
ミックの場合は、生体親和性が良く骨誘導性を持つた
め、骨欠損部の修復に大きな効果を示す。また、セラミ
ック体がアルミナの場合は、化学的に安定で耐腐蝕性、
耐摩耗性、強度、硬度等に優れる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(1) 持続型薬物含有セラミック体の製作 まず、ホスファチジルコリン(レシチン)の2.6×10
-3M(モル濃度)溶液(No.1)、2.6×10-2M溶液(No.
2)又は1.3×10-1M溶液(No.3)の各溶液と、塩酸セフ
ォチアム4.2×10-2M溶液を準備する。そしてこの両溶
液を混合して、混合溶液を調製する。尚、この各溶液
は、メタノール、エタノール等のアルコールその他の有
機溶媒の溶液である。
この混合溶液にリン酸カルシウムセラミックビーズ
(9mmφ)を浸漬した後、真空(約0.05〜0.1mmHg)下に
おいて、約10時間を要して、凍結乾燥し、ほぼ完全に液
媒体を除去させてと、薬物含有セラミックビーズを製作
した。尚、このリン酸カルシウムセラミックビーズとし
ては、ヒドロキシアパタイトとリン酸三カルシウムの混
合体を用い、吸水率ほぼ0%の緻密体である。
このセラミックビーズは、以下のようにして製作され
た。即ち、リン酸カルシウム生地に有機バインダーを加
え、球形にプレス成形後、脱脂し、1300℃で焼成し、こ
れに2mmφのドリルで同径の貫通孔をあけ、この中に5
μmφ、長さ3〜10mmのジルコニアファイバーを一定量
充填し、これをサンプルビーズとした。
尚、比較例として、レシチンを用いないこと以外は前
記No.1と同様にして薬物含有セラミックビーズ(単なる
薬物含浸容器)を製作した。
(2) 性能評価 以下のように、前記各薬物含有セラミックビーズにつ
いて、In Vitro(試験管的実験)での性能評価を行っ
た。
まず、第1図に示す試験器具を準備し、その拡散セル
(高さ約45mm、内径約37mmφ)1内に40mlの水、生理食
塩水(0.9%)及びリン酸緩衝液等を注入し、回転子2
を入れる。尚、同図中、5は回転台、6はカバーを示
す。その後、セラミックビーズ3が回転子2及び拡散セ
ル1の側面に接することのないように、この拡散セル1
のほぼ中央にプラチナ線4で固定させて、このセラミッ
クビーズ3を所定の水溶液中に浸漬する。この場合、リ
ン脂質は水溶液中でMLV型リポソームを形成する。尚、
このMLV型に超音波を当てて、SUV型又はLUV型とするこ
ともできる。回転子2の回転数を300rpmに設定し、経時
時に拡散セル1中の溶出液をマイクロシリンジで5〜20
μl採取した。採取したサンプル液を高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)を用いて塩酸セフォチアムの濃度を
定量測定した。その10時間までの放出データを第2図に
示す。
この結果によれば、比較例と比べて、実験例No.1、2
及び3ともに塩酸セフォチアムの放出量、放出速度が小
さい。特にNo2、更にNo.3のようにレシチンの濃度を濃
くした場合には、その放出量、放出速度が一層小さく薬
効持続効果が一層優れ、加水分解を防止する効果も一層
優れる。従って、薬効持続効果に優れるとともに、レシ
チンの濃度を変えることにより所望の薬効持続効果を設
定できる。また、リポソームを構成するレシチンは生体
膜を構成するリン脂質のため、生体為害性がなく、患部
の治療等にとっても極めて安全である。
更に、溶出液中P分を分析してもP分の検出量が非常
に低いことを考慮すると、リポソーム自身はセラミック
体の貫通孔中から脱離せずに安定に保持されており、薬
物のみが選択的にリン脂質膜を通して溶出していると考
えられる。従って、これは優れた薬効維持効果に寄与し
ていると考えられ、更に薬物溶出後にリポソーム含有セ
ラミック体を回収して、例えば、これを脱液したものに
薬物のみを作用させて再度リン脂質及び薬剤をセラミッ
ク体に保持させて、リン脂質及びセラミック体を循環使
用することもできる。
実施例2 本実施例は、角型のアルミナセラミック体について検
討したものである。
まず、アルミナ生地に有機バインダーを加え、角型に
成形し、1500℃で焼成した後、15mm角の立方体に切断加
工した。その立方体に1mmφのドリルで、平行に3本の
同径の貫通孔をあけ、サンプルビーズを製作した。そし
て、このサンプルビーズを用いて、前記と同様に、レシ
チンと塩酸セフォチアムの混合液に浸漬し、乾燥を行っ
て、薬物含有セラミック体を製作し、これを前記と同様
の水溶液中に浸漬し、薬物の放出性を検討した。
その結果、実施例1と同様にレシチンを添加していな
いものに比べて、やはり徐放性が見られた。
実施例3 本実施例は、動物試験により本発明の効果を確認した
ものである。
(1) 持続型薬物含有セラミック体の製作 また、レシチンの濃度を6.7×10-2M溶液としたこ
と、セラミックビーズの径を4.5mmφとしたこと、
乾燥時間を約2〜4時間としたこと、貫通孔の径を1m
mφとしたこと以外は、実施例1と同様にして持続型薬
物含有セラミック体を製作した。尚、比較例としては、
レシチンを用いないこと以外は、前記と同様にして薬物
含有セラミックビーズ(単なる薬物含浸容器)を製作し
た。
(2) 性能評価 以下のように、前記各薬物含有セラミックビーズにつ
いてIn Vivo(生物的試験)での性能評価を行った。
ラットの大腿筋肉内に薬物含有セラミックビーズを埋
入する。一定時間経過後このビーズを摘出し細かく粉砕
し、その後メタノールに浸漬して残存セファチアムを溶
出させる。尚のレシチンを含まないものは水に溶出させ
る。そのメタノール(水)を高速液体クロマトグラフィ
を用いて分析し、残存セフォチアム量を定量した。尚、
ラットは、各時間毎に2匹ずつ調査する。この試験をレ
シチン含有ビーズ(実施例3品)、レシチンを含有して
いないビーズ(比較例品)について各5回行い、その平
均値を求め、その結果を実施例3品については第3図
に、比較例品については第4図に示した。
比較例品については、第4図に示すように、残存セフ
ォチアム量は速やかに減少し、5時間後で初期の約20%
となる。一方、実施例3品については、第3図示するよ
うに、残存セフォチアム量はゆっくりと減少し、5時間
後においても初期の約60%も残存している。従って、生
体内においても、リポソームを構成するレシチンは、優
れた薬効持続作用を示すことが確認された。また、各調
査時間において、コントロールとした比較例品と比べ、
レシチン含有ビーズのレシチンによる組織への影響は認
められなかった。また、本実施例の緻密室ビーズには,
カケ、割れ等の破損は見られなかった。
尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すもの
に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々
変更した実施例とすることができる。即ちレシチン溶液
の濃度が前記以外の1M〜10-3Mの範囲の場合も良好な性
能を示し、また塩酸セフォチアム溶液の濃度が1M〜10-3
Mの範囲の場合も良好に塩酸セフォチアム含有リポソー
ムを調製でき、同様に良好な性能を示す。溶媒の乾燥方
法も凍結乾燥に限らず他の乾燥方法とすることもでき、
また溶媒を除去しないもの又は完全に除去しないもので
もよいし、それを水等に含浸は、分散させて形成させた
リポソームの状態で用いてもよい。
また、本薬物含有セラミック体の投与の方法は、特に
限定されず、前記で述べた作用及び効果の記載から判る
ように、このセラミック体と体液等が接触できるような
方法であればよく、例えば注射又は経口等によってもよ
い。後者の経口による場合は、ハイドロキシプロピルメ
チルセルロースフタレート(HPMCP)等の腸溶性の物質
でこの薬物含有セラミック体を被覆すること等の、リポ
ソームによる薬物の放出遅延化作用により薬物が胃でな
く主として腸で放出されるようにすることもできるので
不必要な薬物の放出、セラミックの溶出がなく、胃が冒
される危険が少なく、バイオセラミック体だけを体外へ
排出させることができるので、有用である。また、投与
の対象も人間のみならず、他の動物、生物でもよく、薬
効が期待できるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例で用いた試験器具の説明断面図、第2図
は実施例1の試験結果を示すグラフ、第3図は実施例3
において実施例3品の試験結果を示すグラフ、第4図は
実施例3において比較例品の試験結果を示すグラフであ
る。 1;拡散セル、2;回転子、3;セラミックビーズ、4;プラチ
ナ線、5;回転台、6;カバー。
フロントページの続き (72)発明者 松尾 康史 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日本特殊陶業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/00,9/127 A61K 47/00,47/02 A61L 27/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】緻密質バイオセラミック体に穴部及び貫通
    孔の少なくとも一方が形成され、該穴部及び該貫通孔の
    少なくとも一方の中に、少なくともリン脂質及び薬物が
    保持され、少なくとも使用時において、前記リン脂質
    は、内部に前記薬物を含有させた薬物含有リポソームを
    形成することを特徴とする持続型薬物含有セラミック
    体。
  2. 【請求項2】穴部及び貫通孔の各横断面積が0.006〜0.0
    5cm2である請求項1記載の持続型薬物含有セラミック
    体。
  3. 【請求項3】穴部及び貫通孔の少なくとも一方の内部
    に、生体為害性のないセラミック繊維を充填させた請求
    項1又は2記載の持続型薬物含有セラミック体。
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