JP2766591B2 - 渦流量計 - Google Patents

渦流量計

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JP2766591B2
JP2766591B2 JP22968292A JP22968292A JP2766591B2 JP 2766591 B2 JP2766591 B2 JP 2766591B2 JP 22968292 A JP22968292 A JP 22968292A JP 22968292 A JP22968292 A JP 22968292A JP 2766591 B2 JP2766591 B2 JP 2766591B2
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彰則 赤沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、流速に比例した渦周
波数を検出して流量情報を得ることができる渦流量計に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の渦流量計の基本的な信号
処理系統を表わすブロック図である。図において、1は
渦信号を電気信号へ変換する信号変換回路であり、基準
電圧2へ接続されこの基準電圧2を中心に電気信号が出
力される。3は信号変換回路1の出力側に接続され、電
気的なノイズを除去するためのフィルタ回路、4はフィ
ルタ回路3の出力側に接続され、フィルタ回路3を通過
した電気信号を増幅する増幅回路、5は増幅回路4の出
力側に接続され、増幅回路4の出力を矩形波に波形整形
し、コントロールユニット(図示しない)へ伝送するた
めの波形整形回路である。
【0003】次に従来技術の動作の説明を図6に沿って
行う。図6において、V1 は信号変換回路1の出力、V
2 はフィルタ回路3の出力、V3 は増幅回路4の出力、
4は波形整形回路5の出力を表わしている。信号変換
回路1の出力V1 は、図6に示すように信号成分のスペ
クトラムが小さく、高周波ノイズと低周波ノイズが重畳
しており、そのまま増幅して波形整形を行うにはあまり
にもS/N比が悪い状態となっている。この信号変換回
路1からの出力V1 をフィルタ回路3に入力することに
よって、図6のV2 に示すように高周波ノイズ、低周波
ノイズを除去し、信号成分の電気信号のみを取出すこと
により、後段において信号処理を確実に行うことが可能
となる。フィルタ回路3は図7に示すようなある特定の
周波数特性を持つようあらかじめ設定されており、f1
を下限カットオフ周波数、f2 を上限カットオフ周波数
と称している。このf1 とf2 との間を通過域と称し、
フィルタ回路3はこの間の周波数成分を減衰させること
なく通過させ、f1 以下およびf2 以上の周波数成分に
対しては図7の特性曲線に沿って減衰せしめるよう動作
するものである。フィルタ回路3を通過し、ノイズ成分
が除去されて信号成分のみになったフィルタ回路3の出
力V2 を、増幅回路4はあらかじめ設定された増幅率で
増幅し、図6のV3 に示すような波形を波形整形回路5
へ出力する。波形整形回路5は上限しきい値と下限しき
い値とを持ち、波形整形を行う基準となる比較電圧にヒ
ステリシス電圧を持たせてノイズマージンを確保してい
る。波形整形はこの上限しきい値と下限しきい値との間
の電圧で行われ、上記上限、下限しきい値と交差する毎
に波形整形回路5は図6のV4 に示すような矩形波を出
力する。この矩形波の周波数をコントロールユニットへ
伝送することによって、流量情報を伝えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の渦流量計は以上
のように構成されているので、渦信号の周波数が上昇す
るに従ってフィルタ回路の減衰特性曲線に沿って信号成
分が減衰され小さくなるため、通過域にある低周波ノイ
ズとのS/N比が著しく悪化することとなって確実な波
形整形が不可能となり、その結果、正確な流量情報が伝
えられないという問題点があった。
【0005】即ち、渦信号の振幅は低い周波数では極め
て小さく、その周波数が増加するに従ってその渦信号の
振幅も大きくなるという特徴を持っていることは一般的
にはよく知られており、上記渦信号を電気信号に変換し
た場合にもその出力は上記と同様の関係を持っている。
この渦信号の発生する周波数領域と電気信号に変換され
た渦信号の振幅とを考慮し、図7に示すような図5中の
フィルタ回路3の周波数特性を決定する必要がある。図
7において、f1 は渦信号の最低周波数によって決ま
り、f2 は最低周波数近辺での信号変換回路1の出力の
S/N比によって決まる。換言すれば、渦信号の最低周
波数近辺での非常に振幅の小さな渦信号のノイズだけを
除去し、信号成分のみを取出して次段の増幅回路4へ伝
送できるようにする必要がある。このため、多くの場合
がそうであるが、信号変換回路1の出力のS/N比が極
めて低い場合には、f2 はかなり低周波域側に設定しな
ければならない。図8にf2 を低周波域側に移動した場
合の例を示すが、図中f3はf2 を低周波域側に移動し
た時のカットオフ周波数であり、通過域は最大ゲインを
確保している渦周波数の最低周波数近辺を中心に低周波
域側に圧縮されてくる。この様にフィルタ回路3の周波
数特性が設定されている場合において、よく発生する状
態であるが、渦信号の周波数が図9に示すようなf4
領域に増大し、低周波のノイズ成分がf5 の領域に発生
すると、図10のV1 のように低周波ノイズ成分が信号
成分に重畳した波形となる。本来、図9のf5 の領域は
渦周波数の最低周波数領域であり、この領域の渦信号の
振幅が極めて小さいことからS/N比をなるべく高くと
れるよう減衰させることなく通過させている。このた
め、渦周波数がf4 の領域になると、信号成分は減衰特
性曲線に沿って減衰していき、反面f5 の領域つまりf
1 とf3 の間の周波数領域の低周波ノイズは減衰するこ
となく通過されてくるため、V2 の点のS/N比は著し
く悪化してくる。そして、この低周波ノイズが重畳した
信号を後段の増幅回路4で増幅するため、図10のV3
のような現象が発生する。この結果、後段の波形整形回
路5での正確な波形整形が不可能となり、正しい流量情
報をコントロールユニットへ伝送できなくなるという重
大な問題点が顕在化してくる。
【0006】この発明は上述したような問題点を解消す
るためになされたもので、渦信号の周波数が上昇しても
S/N比が悪化することなく、正確な流量(流速)を検
出できる渦流量計を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る渦流量計
は、流体流路中に設けられた渦発生柱と、この渦発生柱
によって流速に比例して発生される渦を検出し電気信号
に変換する変換回路と、この変換回路の出力側に接続さ
れるフィルタ回路と、このフィルタ回路の入力側と出力
側との間に接続され、上記フィルタ回路の出力を入力と
して負帰還させ、フィルタの通過域、及び増幅率を可変
できる、AGC回路と、このAGC回路に接続され、上
記フィルタ回路の出力信号に基づいて、上記フィルタ回
路の出力信号の平均値で上記AGC回路を制御する平均
値回路とを備えたものである。
【0008】
【作用】この発明に係る渦流量計は、平均値回路で求め
たフィルタ回路の出力信号に基づく平均値によりフィル
タ回路の入力側へ負帰還をかけているAGC回路を制御
することにより、フィルタ回路の出力を常に一定に保つ
ことができ、このフィードバックループの帰還率を可変
することによって渦信号のS/N比を悪化させることな
く確実な信号処理を可能とし得る。
【0009】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図1に示すブロ
ック図について説明する。同図において、1〜5は図8
に示したものと同一、または相当部分であり、その説明
を省略する。6はフィルタ回路3の入出力間である、増
幅回路4の出力側とフィルタ回路3の入力側との間に接
続されたAGC回路であって、このAGC回路6は、外
部からの信号で増幅率を可変することができ、可変トラ
ンスコンダクタンスや電界効果トランジスタ等によって
構成されている。7はその入力側が増幅回路4の出力側
に接続されるとともに、その出力側がAGC回路6の制
御端子に接続された平均値回路であって、この平均値回
路7は増幅回路4の出力の平均値を求め、この平均値に
よってAGC回路6を制御する。尚、V1 は信号変換回
路1の出力、V2 はフィルタ回路3の出力、V3 は増幅
回路4の出力、V4 は波形整形回路5の出力、V5 は平
均値回路7の出力、V6 はAGC回路6の出力を表わし
ている。
【0010】次に実施例1の動作を図1に沿って説明す
る。実施例1が図8に示した従来技術と大きく異なると
ころは、増幅回路4の出力V3 をフィルタ回路3の入力
側へ負帰還をかけている点である。フィルタ回路3の伝
達関数をG1 、増幅回路4の伝達回路をG2 、AGC回
路6の伝達関数をβとすると、従来技術における全体の
伝達関数G0 は、
【0011】 G0 =G1 ・G2 (1)
【0012】となる。一方実施例1の全体の伝達関数
は、
【0013】 GN =G1 ・G2/(1+G1 ・G2・β) (2)
【0014】となり、その相違点は実施例1の伝達関数
(2)式に特性方程式が発生する点である。(2)式に
含まれるAGC回路6の伝達関数βは、特別に帰還率と
呼ばれているもので、実施例1の特徴はこの帰還率βを
変化させて全体の伝達関数GN を変化させるという点に
ある。
【0015】さて、従来技術の問題点を解決するために
は、例えば信号成分の周波数と低周波ノイズ成分の周波
数の両方を同率で減衰または通過させるか、その逆の方
法として両方を同率で増幅すればよい。後者は信号成分
の周波数が増加してくると増幅率も増加し、様々なノイ
ズの影響を受け易くなり、かつ増幅した出力が電源電圧
に飽和してしまうと、周波数成分が極端に変化し期待通
りの動作をしなくなるなどの問題点を発生する恐れがあ
る。
【0016】したがって、実施例1では前者の方法を採
用し、同率で減衰させると同時に同率で通過させること
によって、渦振幅のS/N比が渦周波数の増加に伴って
改善されるという特性を十分に利用できるなどの利点を
得ることができる。
【0017】この方法を用いた時のフィードバックルー
プを構成するフィルタ回路3と増幅回路4とAGC回路
6の閉ループゲインの周波数特性を、入力をV1 、出力
をV3 とし、帰還率βを変化させて表わした特性図を図
2に示す。図2は、(2)式のβの値を順次変化させて
N を求めた結果である。βが大きくなるに従って上限
カットオフ周波数はf31,f32,f33とより高い方向へ変
化し、下限カットオフ周波数はf11,f12,f13とより低
い方向へ変化する。そして、通過域のゲインはβによっ
てある一定の大きさに定まり、通過帯域幅が広がる。渦
周波数が増加してもその渦周波数が図2に示すような周
波数特性の通過域に常に位置するようにβを制御すれ
ば、V3 のS/N比はこの時の信号変換回路1の出力V
1 のS/N比と同等レベルを確保することができる。さ
らに、渦周波数が増加するに従ってV1 のS/N比は改
善されてくるので、上述のように制御することによっ
て、信号変換回路1の出力V1 の渦信号成分と低周波ノ
イズ成分とが同率で通過(または増幅)されるため、改
善されたS/N比をそのまま利用することができ、図1
0のような現象は発生しないことになる。
【0018】以上のように、帰還率βを可変とするため
に実施例1ではV3 の信号の振幅を常にある一定の大き
さとなるよう、AGC回路6のゲインつまり帰還率βを
制御している。この制御信号にはV3 の振幅の平均値を
求める平均値回路7の出力を用いており、V3 の振幅は
周波数に拘わらず常に一定の大きさになるように自動的
に調整されている。図3にその様子を示し、図1と関連
付けて説明する。フィルタ回路3と増幅回路4は上記V
1 とAGC回路6の出力V6 との差を増幅するため、V
1 の信号電圧の振幅が増加すると、V3 の振幅を常に一
定に保つ様にAGC回路6のゲイン、つまり帰還率βが
増加しV6 の振幅も増加する。その結果、(V1 −V
6 )の値も一定に保つ様に動作し、V3 のV1 に対する
ゲインは序々に下降していきV1 に重畳していた低周波
ノイズ成分と高周波ノイズ成分は図2に示すような周波
数特性に従って除去されることになる。このノイズが除
去された信号波形を波形整形回路5は矩形波に波形整形
し、コントロールユニットへ伝送する。
【0019】以上のように動作することにより、この渦
流量計は低周波ノイズ、高周波ノイズの影響を受けるこ
となく信号成分のみを取出し、正確な流量情報をコント
ロールユニットへ伝送することができる。
【0020】実施例2.なお、上述した実施例1ではA
GC回路6の制御信号にV3 の平均値を求める平均値回
路7の出力を用いたが、図4に示すように、矩形波出力
のV4 の周波数を直流電圧に変換する周波数−電圧変換
回路を平均値回路8として波形整形回路5の出力に接続
し、この平均値回路8の出力をAGC回路6の制御信号
に用いてもよい。また、AGC回路6は連続的に可変可
能なアナログ回路で構成される必要はなく、数段階に切
替える方法や、D/A変換回路のようなディジタル回路
で構成されていても外部制御信号で増幅率を制御するこ
とが可能であるならば、どのような構成を用いてもよ
く、上記実施例1と同様の効果を奏する。
【0021】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば流体流
路中に設けられた渦発生柱と、この渦発生柱によって流
速に比例して発生される渦を検出し電気信号に変換する
変換回路と、この変換回路の出力側に接続されるフィル
タ回路と、このフィルタ回路の入力側と出力側との間に
接続され、上記フィルタ回路の出力を入力として負帰還
させるAGC回路と、このAGC回路に接続され、上記
フィルタ回路の出力信号に基づいて、上記フィルタ回路
の出力信号の平均値で上記AGC回路を制御する平均値
回路とを備えたので、ノイズの影響を受けることなく信
号成分のみを取出すことができて、確実な流量情報をコ
ントロールユニットへ伝送することができ、信頼性が高
く、高性能、高精度で安価な渦流量計を得ることができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例1の動作を表わす周波数特性
図である。
【図3】この発明の実施例1の動作を表わす図である。
【図4】この発明の実施例2を示すブロック図である。
【図5】従来技術の一例を示すブロック図である。
【図6】従来技術の理想的な動作を表わす図である。
【図7】従来技術の一般的な増幅回路の周波数特性であ
る。
【図8】従来技術の一般的な増幅回路の周波数特性であ
る。
【図9】従来技術のよく起こりうる信号成分とノイズ成
分の関係を表わす周波数特性である。
【図10】従来技術の実際の動作を表わす図である。
【符号の説明】
1 信号変換回路 3 フィルタ回路 6 AGC回路 7、8 平均値回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体流路中に設けられた渦発生柱と、 この渦発生柱によって流速に比例して発生される渦を検
    出し電気信号に変換する変換回路と、 この変換回路の出力側に接続されるフィルタ回路と、 このフィルタ回路の入力側と出力側との間に接続され、
    上記フィルタ回路の出力を入力として負帰還させ、フィ
    ルタの通過域、及び増幅率を可変できる、AGC回路
    と、 このAGC回路に接続され、上記フィルタ回路の出力信
    号に基づいて、上記フィルタ回路の出力信号の平均値で
    上記AGC回路を制御する平均値回路と、 を備えたことを特徴とする渦流量計。
JP22968292A 1992-08-28 1992-08-28 渦流量計 Expired - Lifetime JP2766591B2 (ja)

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