JP2765067B2 - P型半導体ダイヤモンドのオーミツク接続電極 - Google Patents

P型半導体ダイヤモンドのオーミツク接続電極

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詳治 中釜
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Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明はp型半導体ダイヤモンドのオーミック接続電
極に関する。
【従来の技術】
半導体ダイヤモンドはダイオード、トランジスタ、セ
ンサ等半導体デバイスの新しい材料として注目されてい
る。 ダイヤモンドは広い絶縁体のものが広く知られている
が、ここで対象にするのは比抵抗の低い半導体ダイヤモ
ンドである。 ダイヤモンドは禁制帯幅(5.5eV)を持ち、キャリヤ
の移動度は大きく(2000cm2/Vs)、熱的、化学的に安定
である。 このため半導体ダイヤモンドは優れた耐環境、高速、
パワー用デバイス、或は青色発光素子の材料として強い
期待が寄せられている。 半導体ダイヤモンドには天然バルク、高圧合成バル
ク、及び気相合成薄膜がある。 p型ダイヤモンドはホウ素(B)をドープすることに
よって得られる。 n型ダイヤモンドは、リン(P)、リチウム(Li)を
ドープすることによって得られるが高抵抗である。低抵
抗のn型ダイヤモンドは得られていない。 バイポーラデバイスはできないが、現在のところ、タ
ングステン(W)と、p型ダイヤモンドのショットキー
接合を利用したショットキーダイオードや、幾つかのユ
ニポーラトランジスタが試作されている。 半導体デバイスを作る場合、オーミック接続できる電
極の形成は極めて重要である。オーミック接続電極とい
うのは、ここを通る電流、電圧特性がオームの法則に従
い順逆方向に対称であるものを意味する。またできるだ
け接触抵抗が小さいほうが良い。接触抵抗というのは単
位接触面を単位電流が流れるために印加すべき電圧とし
て定義される。単位はΩcm2である。 p型ダイヤモンドの上に、Ti、AuTi、AuTa等の金属を
蒸着等の方法で形成することにより一応オーミック接続
できる電極が得られる事が知られている。
【発明が解決しようとする課題】
オーミック接続形成技術は半導体デバイスを製作する
上で、不可欠の重要な技術である。 しかし半導体ダイヤモンドに現在行われているTi、Au
Ta等によるオーミック接続は、接触抵抗が1Ωcm2以上
と大きい。 製作したデバイスに電圧を印加しても、オーミック接
続電極部での電圧降下が著しい。このためデバイスにか
かる実効印加電圧が小さくなり、充分な特性が得られて
いない。またオーミック接続電極部での発熱の問題も大
きい難点である。 通常の電子デバイスを製作するためにはオーミック接
続部の抵抗として、10-4Ωcm2以下の接触抵抗が必要で
ある。高速、高周波デバイスではさらに小さい接触抵抗
が要求される。 半導体ダイヤモンドを半導体デバイスの材料として活
用できるためには、低抵抗のオーミック接続が不可欠で
ある。 本発明の課題は十分低抵抗のオーミック接続電極をp
型半導体ダイヤモンド上に形成することである。
【課題を解決するための手段】
本発明のp型半導体ダイヤモンドのオーミック接続電
極は、p型半導体ダイヤモンド上にホウ素を含む金属或
は金属化合物によって電極を形成したものである。 ホウ素を含む電極材料はAu、Pt、Al、Ag、Ni、Ti、T
a、Cr、Zr、TiSi2、NiSi、PtSi等任意である。 ダイヤモンドは天然バルク、高圧合成バルク、気相合
成薄膜のいずれであっても有効である。
【作用】
本発明においては ホウ素を含む金属、金属化合物を
p型半導体ダイヤモンド上に電極として形成するので、
低抵抗のオーミック接続電極が得られる。 これは本発明者が実験を重ねて見い出したものであ
り、なぜホウ素を含むと低抵抗になるかということは未
だ明らかではないが、次のように推論される。 ホウ素を含む金属或は金属化合物を電極としてp型半
導体ダイヤモンド上に形成する。この場合電極形成時の
基板加熱、電極蒸着時の輻射熱、或は電極形成後のアニ
ール効果などによってホウ素が活性化し、ダイヤモンド
の中に拡散する。 ホウ素はダイヤモンド中で、有効なアクセプタとして
作用する。これは良く知られている。ゆえにホウ素が拡
散された領域は、高濃度にドーピングされたp層(P
+層)が形成される。もともとこのダイヤモンドはp型
であるがこの平均濃度よりかなり高濃度のp型になる。 一般に現実の金属、半導体の接合は、ショットキー型
となるが、このときの空乏層幅dは、p型半導体の場合
次式で与えられる。 ここでεは半導体の比誘電率、εは真空中の誘電
率である。eは電荷素量、Naは半導体のアクセプタ密
度、Vdは拡散電位、Vは印加電圧である。 空乏層の近傍のバンド図を第1図に示す。 外側の金属のフェルミ準位1に半導体のフェルミ準位
3が接続する。半導体の中には伝導帯2と価電子帯4が
ある。p型であるので価電子帯4とフェルミ準位3が近
い。境界5の近くでは、アクセプタ密度が高いので、バ
ンドが下向きに強く曲がる。ホールは価電子帯の上向き
の彎局部6に溜っているが、これらがトンネル効果によ
り金属中へ飛び出すことができる。 金属−半導体の境界の全てのアクセプタは電子を捕獲
しているので、eの負電荷である。これは境界近傍にほ
ぼ一様に分布しているので、電場、電荷に関するガウス
の式を積分して、(1)式が成立する。 上式から分かるように、半導体のアクセプタ密度が高
くなると、空乏層幅dが小さくなる。 従って本発明の電極形成法のようにホウ素の拡散によ
りダイヤモンド表面にp+層が形成されると、空乏層は著
しく薄くなる。このためホールは金属あるいは金属化合
物とダイヤモンドの界面に存在する障壁を乗り越えなく
ても、トンネル現象により空乏層を通過することができ
る。 ホールが薄い空乏層を通過するのは容易であるので、
この接触は低抵抗になるのである。 本発明により、このような機構を利用し、p型ダイヤ
モンド上に接触抵抗の小さいオーミック接続を形成でき
る。
【実施例I−ダイヤモンドの種類を変える】
実施例によって本発明電極形成方法を更に詳しく説明
する。 本発明がいかなるダイヤモンドに対して有効であるか
を調べるため、以下の3種類のダイヤモンド上に本発明
方法により電極を形成し、接触抵抗、オーミック性を測
定した。 a天然IIb型(Bがドープされたp型) b高圧合成IIb型 c高圧合成Ib型ダイヤモンド上に気相合成法によりホモ
エピタキシャル成長させたBドープp型薄膜 これらのうち気相合成薄膜は、CH4、H2、B2H6ガスを
用いて、マイクロ波プラズマCVD法により形成した。 電極は真空蒸着法、或はスパッタ法により形成した。 この時、メタルマスクを用いて第2図に示す電極パタ
ーンをダイヤモンド上に形成した。電極は4本ある。そ
れぞれ長さが1.5mm、幅が0.2mmである。平行に並んでお
り、間隔は0.2mm、0.4mm、0.6mmである。 電極のオーミック性はこれらの任意の電極間の電流−
電圧特性を電圧−10〜+10Iの範囲で測定して判定し
た。電極の接触抵抗は第2図に示す電極パターンの2電
極間の抵抗と電極距離から伝送線路のモデルを用いて求
めた。 第1表に第1の実施例の結果をまとめる。 ダイヤモンドは、前述の3種類のものを使用した。電
極はAuB(B:0.5%)を用い基板温度は400℃で蒸着法に
より形成した。このときのAuBの厚みは、0.2〜0.3μm
程度である。 第1表から分かるようにAuBは3種類のダイヤモンド
のいずれものに対してもオーミック電極となった。その
接触抵抗は、10-3〜10-5Ωcm2台という従来より2〜5
桁低い値を示した。 この時、電極形成後に適度なアニールを行う事は有効
である。アニールの温度と時間は用いる電極材料によっ
て最適値が異なるが、数100℃〜1000℃程度の温度が必
要である。 但し、600℃以上に昇温する場合には、02存在すると
ダイヤの酸化やグラファイト化が進行するので、不活性
ガス、N2、H2或は真空でのアニールが望まれる。 またこのアニールの代わりに、電極形成時に適度に昇
温しておく事も有効である。
【実施例II−B濃度と接触抵抗】
本発明は電極にBを含む金属、金属化合物を用いるこ
とに特徴がある。Bの濃度はどれ位が適当であるのかを
調べた。電極はAuBであるが、Bの濃度を変えて、接触
抵抗を測定した。第2表にその結果を示す。 用いたダイヤモンドは気相合成の抵抗率約50Ωcm、厚さ
2μmのP型ダイヤモンドである。AuBは蒸着法によ
り、基板加熱なしで形成し、N2+H2(H2:10%)雰囲気
で800℃、5分のアニールを行った。 第2表から、B濃度と共に、接触抵抗は減少するが、
B濃度が1%程度で最小値に達し、以後かえって増大す
ることが分かる。また過剰にB濃度を高くすると、電極
自身の抵抗が高くなるので望ましくない。実用的には電
極材料のB濃度は0.1%程度で十分である。
【実施例III−電極材料を変える】
本発明の電極構造がどのような電極材料に適している
のかを見るために、材料を変えて電極を作り、接触抵抗
を測定した。 電極材料の主成分は、金属や、金属のシリサイドであ
る。具体的には、Au、Pt、Al、Ag、Ni、Ti、Ta、Cr、Z
r、TiSi、NiSi、PtSiである。これらにホウ素Bを添加
する。 電極の形成方法は材料によって、蒸着、またはスパッ
タリングを用いた。 ダイヤモンドは実施例IIと同じ気相合成P型ダイヤモ
ンドを使用した。 電極材料中のB濃度は0.1〜0.5%のものを使用した。 第3表に電極材料を変えて実施し接触抵抗を測定した
結果を示す。 種々の単体金属、合金、シリサイド等で実施したが、
全ての材料に対じて接触抵抗の小さいオーミック接続が
得られた。これは先程述べた、金属半導体の境界での高
濃度のアクセプタ生成によるホールのトンネル効果とい
う推定を根拠づけるものである。
【発明の効果】
以上説明したように、ホウ素を含む金属或は金属化合
物電極を半導体ダイヤモンド上に形成することによって
接触抵抗の十分小さいオーミック接続を得ることができ
る。 この技術は半導体ダイヤモンドデバイスを製作する上
で不可欠であるから、あらゆるデバイス形成において有
効である。
【図面の簡単な説明】
第1図はP型半導体ダイヤモンドにホウ素を含む金属或
いは金属化合物よりなる電極を形成した時のバンド図。 第2図は半導体ダイヤモンドと電極の接触抵抗を測定す
る時に用いた電極パターンの平面図である。斜線部が電
極である。 1……電極のフェルミ準位 2……P型ダイヤモンド半導体伝導帯 3……フェルミ準位 4……価電子帯 5……電極、ダイヤモンド接合界面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 正之 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 藤田 順彦 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】p型半導体ダイヤモンド上にホウ素を含む
    金属或は金属化合物によって電極を形成したことを特徴
    とするp型半導体ダイヤモンドのオーミック接続電極。
JP1174373A 1989-07-06 1989-07-06 P型半導体ダイヤモンドのオーミツク接続電極 Expired - Fee Related JP2765067B2 (ja)

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EP19900112933 EP0406882B1 (en) 1989-07-06 1990-07-06 Ohmic connection electrodes for p-type semiconductor diamonds
US07/831,651 US5210431A (en) 1989-07-06 1992-02-07 Ohmic connection electrodes for p-type semiconductor diamonds

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