JP2764108B2 - 検体セル - Google Patents

検体セル

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JP2764108B2
JP2764108B2 JP1046138A JP4613889A JP2764108B2 JP 2764108 B2 JP2764108 B2 JP 2764108B2 JP 1046138 A JP1046138 A JP 1046138A JP 4613889 A JP4613889 A JP 4613889A JP 2764108 B2 JP2764108 B2 JP 2764108B2
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正之 須田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、化学、高分子化学、および医療、薬学分
野における、圧電素子を利用した化学反応、免疫反応な
どの反応の分析、計測、さらに、粘度、密度計測を必要
とする分野での利用が可能である。
〔発明の概要〕
この発明の検体セルは、圧電素子と被検試料容器を一
体化し、その外観を円筒状や多角柱状とすることによ
り、圧電素子を利用した分析、計測法を簡便に行うため
の手段を提供するものである。さらに、圧電素子の被検
試料と接しない側の電極を、他方の電極と等電位にある
導電性物質で電気的にシールドすることにより、圧電素
子の発振時の共振抵抗値に依存する電流変化またはこれ
にともなう圧電素子端子の振幅電圧を指標とする測定方
法において、被検試料の誘電率の違いが測定値への影響
を及ぼすことを排除するようにしたものである。
〔従来の技術〕
従来、粘度測定の手法としては、主として細管法、回
転法、落球法などが用いられてきた。細管法は、試料液
体が、細管を落下する速度から粘度を求めるもので、落
球法は、試料溶液中に金属球を入れ、その落下速度から
粘度を求めるものである。また、回転法は、試料液中で
円筒状の金属棒を回転させ、剪断応力を求めることによ
って、粘度を求めるものである。その他に、発明者らに
よって圧電素子を用いる測定法が開示されているが、そ
の場合も、ビーカー等の容器に被検試料を入れ、それに
圧電素子を直接浸漬させる方法が一般的であり、圧電素
子用のセルでこれまで扱いやすい形状のものはなかっ
た。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の、回転粘度計を用いた測定では、容器内に入れ
た被検試料に回転体を直接浸漬させるため、回転体を支
持する機構が必要であり、さらに被検試料を交換する場
合、一旦、回転体を被検試料中から引き上げ、被検試料
を容器ごと、もしくは容器内部の試料のみを交換し、回
転体を洗浄もしくは交換して、被検試料中へ戻すという
煩雑な作業が必要であった。また、被検試料容器と回転
体、支持装置の構造が煩雑なために、被検試料の加熱冷
却等を行う場合、大がかりな装置が必要となる問題点が
あった。また、細管式、落球式においても被検試料を交
換した場合の洗浄操作に長い時間を要し、加熱冷却装置
も回転粘度系の場合と同様、大がかりなものが必要であ
った。
これに対して、圧電素子を用いる測定法では、少量の
試料で測定が可能で、温度制御を行う場合も、上記の方
法に比較して小型の装置で済む。また、被検試料を交換
した場合の洗浄操作も短時間で済むが、これまで圧電素
子要の検体セルについて十分な検討はなされておらず、
形状や経済性を考慮したものはなかった。また、圧電素
子の発振時の発振抵抗値に依存する電流変化またはこれ
にともなう圧電素子端子の振幅電圧を指標とする測定方
法の場合、被検試料の誘電率の違いが測定値に影響を及
ぼすという問題があった。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の検体セルは、ATカットもしくはBTカット水晶
振動子やセラミックス圧電体などの圧電素子を被検試料
を保持するための容器と底面もしくはその近傍に容器底
面に対して水平に、かつ圧電素子の一面のみを被検試料
と接触するように固定した、容器と一体化していること
を特徴としている。そのため、被検試料の交換を行う場
合、検体セルごと交換をするので短時間で行うことが可
能である。また、圧電素子の支持装置が不要であること
から、外観を円筒状や多角柱状もしくはそれに類似した
単純な形状とすることにより、加熱冷却等を行う場合
に、市販のブロックヒーターなどの加熱装置が使用可能
である。さらに、圧電素子の被検試料と接しない側の電
極を、他方の電極と等電位にある導電性物質で電気的に
シールドすることにより、圧電素子の発振時の共振抵抗
値に依存する電流変化またはこれにともなう圧電素子端
子の振幅電圧を指標とする測定方法において、被検試料
の誘電率の違いが測定値へ影響を及ぼすことを排除する
ようにしたものである。
〔作用〕
本発明の検体セルは、被検試料容器の底面もしくは底
面近傍に圧電素子を、底面に対して水平に配した構造を
持つ。被検試料を容器に入れると、圧電素子の一面のみ
が被検試料と接することになる。圧電素子はその表面が
接している物質の粘弾性、密度、また表面上への物質の
吸着等の重量変化などの影響を受け、共振周波数や損失
抵抗が変化することが知られている。この共振周波数や
共振抵抗を測定することによって、被検試料の粘性など
を測定することができるが、測定を行うためには圧電素
子上の電極と接続するための端子を、被検試料を保持す
る容器のセルの容器の外部に設けなければならない。こ
こでは、圧電素子の一対の電極と計測装置を接続するた
めの接続端子が、容器外壁に設けてあり、圧電素子から
の応答は、この接続端子を通じて、外部の計測装置に入
力する。
ここで、圧電素子を被検試料容器の底面もしくは、底
面近傍に配した場合、圧電素子の電極の一方は被検試料
に、他方は空気と接することになるが、この2つの電極
間に被検試料と空気の静電容量が浮遊容量として生じる
ため、圧電素子の発振時の共振抵抗値に依存する電流変
化またはこれにともなう圧電素子端子の振幅電圧を指標
とする測定方法の場合、被検試料の誘電率の違いが測定
値に影響を及ぼす場合がある。そこで、空気と接してい
る方の電極を他方の電極と同じ電位をもつ導電性物質で
電気的にシールドすることにより、浮遊容量を空気の静
電容量のみにおさえて一定とすることにより、被検試料
の誘電率の違いの測定値への影響を排除している。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図aは、圧電素子としてATカット水晶振動子を用
い、それを試験管状のプラスチック容器内の底部付近に
固定した場合の本発明の検体セルの模式図である。第1
図aにおいて、試験管状のプラスチック製容器1は上部
と下部の2つに分割可能な構造をしており、その間にAT
カット水晶振動子2がはさみこまれ樹脂で固定されてい
る。ATカット水晶振動子2上には溶液と接する面に電極
A3と溶液と接しない面に電極B4が設けられている。ま
た、プラスチック製容器1の外壁には電極A3と接続する
ための測定器接続端子A5と、電極B4と接続するための測
定器接続端子B6が設けられている。さらにプラスチック
製容器1の底面は金蒸着膜7で覆われており、この金蒸
着膜7は電極A3と電気的に接続されているため、電極B4
を電極A3と等電位で電気的にシールドしていることにな
る。第1図bは、圧電素子としてBTカット水晶振動子を
用い、それを円筒状のプラスチック製容器に固定した場
合の本発明の検体セルの模式図である。第1図bにおい
て、円筒状のプラスチック製容器8は上部と下部の2つ
に分割可能な構造をしており、その間にBTカット水晶振
動子10をはさみこまれ樹脂で固定されている。BTカット
水晶振動子10上には溶液と接する面に電極A3と溶液と接
しない面に電極B4が設けられている。また、プラスチッ
ク製容器8の外壁には電極A3と接続するための測定器接
続端子A5と、電極B4と接続するための測定器接続端子B6
が設けられている。さらにプラスチック製容器8の底面
には導電性テープ9が貼られており、この導電性テープ
9は電極A3と電気的に接続されているため、電極B4を電
極A3と等電位で電気的にシールドしていることになる。
第1図cは、圧電素子としてセラミックス圧電体を用
い、それを四角柱状のプラスチック製容器に固定したも
のを導電性の溶液中で使用する場合の本発明の検体セル
の模式図である。第1図cにおいて、四角柱状のプラス
チック製容器11は上部と下部の2つに分割可能な構造を
しており、その間にセラミックス圧電体12がはさみこま
れ樹脂で固定されている。セラミックス圧電体12上には
溶液と接する面に電極A3と溶液と接しない面に電極B4が
設けられている。また、四角柱状のプラスチック製容器
11の上端には電極A3と接続するための測定器接続端子A5
と、電極B4と接続するための測定器接続端子B6が設けら
れている。さらに四角柱状のプラスチック製容器11の底
面は金蒸着膜7で覆われており、この金蒸着膜7は電極
A3と電気的に接続されているため、電極B4を電極A3と等
電位で電気的にシールドしていることになる。さらに四
角柱状のプラスチック製容器11は、被覆用樹脂13で被覆
されており、電極B4やセラミックス圧電体12上の電極と
測定装置接続用端子をつなぐ部分が外部に露出しない構
造をしている。このため、第1図cの構造をもつセル
は、セルをウォーターバス等の導電性の液体中に浸漬さ
せて加熱する方法により温度制御を行うことも可能であ
る。
第1図aの構造を持つ検体セルを用いて、圧電素子の
発振時の共振抵抗値に依存する電流変化またはこれに伴
う圧電素子端子の振幅電圧を指標とする測定方法によ
り、グリセリンの粘度の温度依存性の測定を行った結
果、加熱装置に市販の試験管用加熱装置を用いることが
でき、非常に簡便に測定することができた。同じ測定
を、被検試料の誘電率の影響を受けない、インピーダン
スアナライザを使用して共振抵抗を求める方法で行った
ところ、両者の結果はよく一致した。すなわち、第1図
aの構造を持つ検体セルを用いることにより、圧電素子
の発振時の共振抵抗値に依存する電流変化またはこれに
ともなう圧電素子端子の振幅電圧を指標とする測定方法
における被検試料の誘電率の影響を取り除くことができ
た。また、第1図bの構造をもつ検体セルを、血液凝固
分析に使用した結果、検体セルごと試料を交換すること
により短時間で計測することができた。
また、以上の測定においては1〜40MHzの共振周波数
を持つ水晶振動子が使用可能であった。
〔発明の効果〕
本発明の検体セルを圧電素子を用いた分析、計測法に
使用することによって、従来の方法に比較して作業性を
著しく向上させることができた。また、大がかりな支持
装置が不要であることや、市販の加熱装置がそのまま使
用可能であるなどシステムの簡略化、単純化をはかるこ
とが可能になった。
【図面の簡単な説明】
第1図a、b、cは、それぞれ本発明の検体セルの実施
例を示す断面図である。 1……試験管状プラスチック製容器 2……ATカット水晶振動子 7……金蒸着膜 8……円筒状プラスチック製容器 9……導電性テープ 11……四角柱状プラスチック製容器

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両面に電極を配した圧電素子を被検試料を
    保持するための容器の底面もしくはその近傍に容器底面
    に対して水平に、かつ、圧電素子の両面に配した電極の
    一面のみを被検試料と接触するよう固定し、圧電素子の
    両面に配した電極と接続する接続端子を容器外部に設け
    た構造をとり、圧電素子の両面に配した電極のうち、被
    検試料と接触しない面の電極を、他方の電極と等電位に
    ある導電性物質で電気的にシールドした構造を持つこと
    を特徴とする検体セル。
  2. 【請求項2】前記圧電素子がATカット水晶振動子もしく
    はBTカット水晶振動子である請求項1記載の検体セル。
  3. 【請求項3】前記圧電素子がセラミックス圧電体である
    請求項1記載の検体セル。
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