JP2762510B2 - 真空インタラプタ用磁気駆動型電極 - Google Patents

真空インタラプタ用磁気駆動型電極

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JP2762510B2
JP2762510B2 JP1019611A JP1961189A JP2762510B2 JP 2762510 B2 JP2762510 B2 JP 2762510B2 JP 1019611 A JP1019611 A JP 1019611A JP 1961189 A JP1961189 A JP 1961189A JP 2762510 B2 JP2762510 B2 JP 2762510B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 本発明は、アークを磁気回転駆動してしゃ断する真空
インタラプタ用磁気駆動型電極に関する。
B.発明の概要 本発明は、真空インタラプタ用磁気駆動型電極におい
て、接触面の外径をリード棒の直径以下にすると共に、
リード棒をステンレス製の芯金と銅系金属製の筒体との
二重構造とし、少なくとも通電時には、接触面とリード
棒との間に形成される電流路における電流成分のうち、
接触面に直交する方向の電流成分を接触面に平行なもの
より大きくし、もってしゃ断時の金属蒸気によるアーク
の自己拡散力によってアークを接触部からアーク部へ移
動し、アーク部においてアークを回転移動させてしゃ断
するようにしたものである。
C.従来の技術 一般に、真空インタラプタは、第9図に示すように、
真空容器1内に、固定電極2を有する固定リード棒3と
可動電極4を有し上下動可能な可動リード棒5とを内装
して構成される。図中、6は可動リード棒5を可動とし
ているベローズ、7は真空容器1内周をおおっているシ
ールドである。
このような真空インタラプタの電極2,4には、大電流
しゃ断能力特性、低さい断電流値特性、高耐電圧値特性
など種々の電気的特性が要求される。
しかしながら、これらの諸特性は相反する性質のもの
であるので、すべてを同時に達成することは難しい。し
たがって、従来より、真空インタラプタの用途に応じて
いずれかの特性を重視して電極材料を選択したり、特殊
な電極構造を採用したりしている。
このような状況のもと、同じ電極径でより電流しゃ断
性能を向上させるための代表例として、磁気駆動型の電
極が知られている。
磁気駆動型の電極の一例を第6図,第7図に示す。図
に示すように、この電極8は、複数のスパイラル溝9を
備えたアーク部10の一方の面側中央部に接触部11を設
け、アーク部10の他方の面側にリード棒12を接続する構
造となっており、磁気駆動力によりアークを外周方向に
駆動し、電極の極部的な加熱を防止することによって、
しゃ断限界の増大を図るものである。
しかして、この電極8は、アークを回転させることを
目ざしたものであるから、発生したアークが停滞するこ
となく、電流ゼロ点をむかえるまで動いているように種
々の試みがなされている。
つまり、アーク13は、第6図中ので発生した後、ア
ークペダル10a上を,,のように移動する。この
際に、アーク13は、次々に発生するアークを集めてアー
ク柱13′となって回転することになる。
アーク13の駆動力となるのは、第7図における、電極
8の半径方向に生じる電流Ihの成分に基因する電極部に
生じるコ字状の電流路による磁気力Fである。
したがって、従来は、 磁気力Fが大きく生じるように、 a:リード棒12の直径に比較して接触部11の内径を大きく
する、 b:リード棒12の上部に高抵抗材料(SUS鋼)からなるい
わゆるブローアウトリング14を設ける、 c:スパイラル溝9の内端部を第6図中9aで示す如く接触
部11の下まで伸ばしてアークペダル10aを長くする、 といった手段をとっており、また、 アークの回転移動のために、 a:アークペダル10aの先端を第6図中10bで示すように長
くして、アークが隣接ペダルに移動しやすくする、 b:周辺のアークシールドとの間隙寸法を考慮する、 といった手段をとっている。
D.発明が解決しようとする課題 上記のような手段をとる従来の電極における思想は、
発生したアーク13にすばやくいわゆるコ字力による磁気
駆動力を作用させるようにしたものである。したがっ
て、アーク13の動きは、前述したように一点で発生した
アーク13が成長し、次々に発生したアークを集めて大き
なアーク柱13′となって回転する如くなる。
しかし、アークが回転するといっても、アークには電
極外周方向に向かう磁気駆動力が作用していることか
ら、アークの回転移動は電極表面の一部のみで終了して
しまい、電極全表面が有効に利用されない。
したがって、電極径に見合ったしゃ断性能が得られ
ず、また、前述のように、スパイラル溝9を長くす
る、アークペダル10を長くする。ブローアウトリン
グ14を設ける等の手段をとっても性能の向上には限界が
あり、特に,の手段では、耐久性が低下するという
別の問題が発生してしまう。
第8図には従来の電極における電極径と電流しゃ断性
能との関係を示してある。図には、併せて縦磁界印加型
の電極についても示してある。図からわかるように、磁
気駆動型の電極では、電極径がある寸法以上になると、
しゃ断性能の向上は望めない。
また、特に、しゃ断電流が50kA以上になると、アーク
エネルギが大きくなるため、磁気駆動力のみではアーク
の局所的集中が防止できず、電極径が110〜120mm以上で
はほとんどしゃ断性能は上がらない。
さらに、定格電圧が12kV程度の真空インタラプタにお
いては、外部配線との距離(第9図中に「l」で示す)
は250〜350mm程度であり、電磁力の値は約20Gauss/kA・
mm(磁束密度/電流・アーク長)、磁気駆動力Fは10gf
/kA・mm程度であるため、特にアークがアークペダル10a
の外周付近(第6図に示したの位置)に位置する場合
には、円周方向へアークが移動しにくくなり、しゃ断性
能が低下する。
上記のように、外方向の磁気駆動力によるしゃ断性能
の向上には限界があったので、本件発明者らは原点に帰
り、しゃ断時の発生する金属蒸気の自己拡散力にて発生
したアークを接触部からアーク部に移動させることがで
きないか試みた。
すなわち、外方向の磁気駆動力が極力小さくなるよう
に電極を構成してみたのである。具体的には、接触面の
外径をリード棒の直径以下にすると共に、リード棒を二
重構造とし、リード棒と接触面との間の電流路が、接触
面に直交するもの(第10図中イで示す)が大半となるよ
うにして、接触面と平行となる方向の成分(第10図中ロ
で示す)が極力少なくなるように配慮したのである。
この電極を用いて真空インタラプタを組み立てて、そ
のしゃ断性能を試験したところ、電流しゃ断性能が10〜
30%向上する結果が得られた。しかも、試験後のものを
分解して電極表面を観察したところ、局部的なエロージ
ョンはなく、電極表面ほぼ全体にアークの痕跡が見られ
た(従来のものでは、局部的なエロージョンであっ
た)。これから、電極表面全体が有効利用されているこ
とが判った。
また、真空インタラプタのシールド内壁面のよごれ、
バリの発生も少なかった。これは、しゃ断後の耐圧低下
防止が図れ、その結果、大電流しゃ断回数の増加が期待
できることを示している。
したがって、発生したアークを従来の如く強制的に外
方向向きの磁気力によって駆動させるのではなく、自然
発生の自己拡散力によってアークを接触部からアーク部
に移動させることにより、良好な結果が得られることが
判った。
E.課題を解決するための手段 上記知見に基づき、本発明では、 複数のスパイラル溝を有するアーク部の一方の面の中
央部にリング状の接触面を具備する接触部を設け、他方
の面の中央部にリード棒を接続してなる真空インタラプ
タ用磁気駆動型電極において、 前記接触面の外径を前記リード棒の直径以下にすると
共に、前記リード棒を、ステンレス鋼製の芯金とその外
側に嵌合された銅系金属製の筒状導体との二重構造と
し、少なくとも通電時において、前記接触面と前記リー
ド棒との間に形成される電流路における電流成分を、接
触面に直交する方向の成分をIv、接触面に平行する方向
の成分をIhとしたとき、Iv>Ihとなるようにしたのであ
る。
なお、前記接触部はクロム,銅を主成分とした材料か
らなり、例えばCu−Cr−Moの複合金属が採用される。
また、前記アーク部は磁性材料と銅を主成分とした材
料からなり、Fe−Crや磁性ステンレス鋼−Cuの複合金属
が採用される。
F.作用 上記真空インタラプタ用電極では、電流のしゃ断時、
アーク集中を起こすことなく、発生した金属蒸気の自己
拡散力によって発生各アークは接触部からアーク部へと
移動し、アーク部において各アークは全体回転するの
で、電極面を有効に利用してしゃ断が行なわれる。
G.実施例 第1図,第2図には本発明の一実施例に係る真空イン
タラプタ用電極の平面とそのII−II矢視断面を示してあ
る。
当該電極のアーク部21は、中央部に貫通孔22を有する
円盤リング状をなし、貫通孔22内周面付近から外周面に
かけて多数のスパイラル溝23が形成してある。
本実施例に係る電極では、アーク部21の背面21aに
は、ステンレス,インコネル等製の補強板24が設けてあ
る。
アーク部21の背面側から貫通孔22にはリード棒25の先
端部が嵌合してあり、リード棒25外周面に突設された肩
部26が補強板24裏面に当接されている。
リード棒25は、高抵抗材料であるオーステナイト系ス
テンレス鋼製(例えばSUS304製)の芯金27とその外側に
嵌合された銅系金属製(例えば、Cu製,Cu合金製)の筒
状の導体28とからなっている。芯金27と導体28とはろう
付けにより結合される。また、導体28の先端部外周面と
ア−ク部21ともろう付け結合される。
一方、ア−ク部21の表面側において貫通孔22には、リ
ング状の接触面29aを有する接触部29が嵌着してある。
この実施例では、接触面29aの外径D1はリード棒25の直
径(導体28の外径)d1と等しいものとしてあり、また、
接触面29aの内径D2は導体28の内径d2とほぼ等しいもの
としてある。接触部29の底面29bはリード棒25の導体28
の先端面28aに密着し、接触部29周面とアーク部21及び
接触部底面29bと導体先端面28aとはろう付け結合されて
いる。つまり、接触部29の背面にリード棒25の導体28を
直接接続した構造となっているのである。
接触面29aの外径D1はリード棒25の導体28の外径d1
等しいかそれ以下の大きさとされる。したがって、D1
d1として、アーク部21,リード棒25,接触部29を接続構成
してもよい。
上記のように電極を構成することによって、リード棒
25の導体28から接触面29aに至る電流路を接触面29aに直
交する成分のみとすることができる。したがって、アー
クの接触面29aからアーク部21への移動が自己拡散力の
みで行なえ、アークの分散移動が確実に行なえるように
なる。また、リード棒25を二重構造としてあることか
ら、リード棒25の強度が増し、耐久性が向上する。
第1,2図に示した実施例において、接触部29はその接
触面29aの外径が40mm、内径が20mmで、Mo−Crの多孔質
焼結体にCuを溶浸して形成される。
アーク部21は外径80mm、スパイラル溝の数(=アーク
ペダル21bの数)は12、スパイラル溝23の幅は4mmで、F
e,Crの多孔質焼結体にCuを溶浸したCu(50%)−Fe(42
%)−Cr(8%)の成分からなる材料にて形成される。
上記構成の電極を第4図に示すように、固定電極31、
可動電極32として真空インタラプタを構成し、電極径を
変えて電流しゃ断性能について試験した結果を第5図に
示す。第4図において、真空インタラプタの構成部材は
第9図に示したものと同じであり、同一部材は同一符号
で示してある。なお、試験の条件は、電圧12kV、電極間
ギャップ12mmである。
通電時及び開極直後(アークが接触面上に存在する
間)においては、当該真空インタラプタにおける電流を
一対のリード棒25の端部間(第9図中の「l」参照)に
おいてほぼ直線路とすることができることから、リード
棒25と接触面29aとの間の電流路が、接触面29aに直交す
るもの(第2図,第10図中イで示す)が大半(Iv>Ih)
となり、しゃ断時に生ずる金属蒸気の自己拡散力によっ
て、アークは放射方向に広がって、接触部からアーク部
へ移動し、アーク部におけるスパイラル溝の作用によっ
て回転移動し、消弧する。第1図において、アークの移
動を説明的に矢印Aで示してある。
試験の結果、本発明の電極を用いた真空インタラプタ
におけるしゃ断性能(第5図中o−oで示す)は従来品
のもの(第5図中×−×で示す)より各径において10〜
30%良好であり、しかも120mmの大径のものにおいて
も、極めて良好な結果が得られた。
なお、第1図,第2図に示した実施例では、リード棒
25の導体28を直接接触部背面29bに接続したが、第3図
に示すようにアーク部21の背面に接続してもよい。
H.発明の効果 本発明に係る真空インタラプタ用磁気駆動型電極は、
少なくとも通電時において、接触部の接触面とリード棒
との間に形成される電流路における電流成分を、接触面
に直交する方向の成分をIv、接触面に平行する方向の成
分をIhとしたとき、Iv>Ihとなるように接触部、アーク
部、リード棒を接続構成して、電流しゃ断時に発生する
金属蒸気の自己拡散力によってアークが接触部からアー
ク部へ有効に移動し、アーク部において全体回転して消
弧するようにしたので、しゃ断性能が向上し、電極面を
有効に利用できることから電極径の小型化、ひいては真
空インタラプタの小型化が達成できる。
また、シールドのよごれ及びバリの発生が抑えられる
ことから、耐電圧の向上、大電流しゃ断回数の増大が図
れる。
さらに、リード棒をステンレス鋼製の芯金と銅系金属
製の筒状導体とから構成していることから、接触部への
電流は、確実に接触面に直交する電流とすることがで
き、しかも真空インタラプタにおける電流を、一対のリ
ード棒端部間においてほぼ直線路とすることができるこ
とから、安定した自己拡散力を得ることができ、しゃ断
性能の安定向上化が図れる。
なお、リード棒を二重構造としたのでリード棒自体の
強度が増し、耐久性も向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係る真空インタラプタ用電
極の平面図、第2図はそのII−II矢視断面図、第3図は
他の実施例に係る電極の第2図と同様の断面図、第4図
は実施例に係る電極を備えた真空インタラプタの縦断面
図、第5図は電極径としゃ断性能との関係を示すグラ
フ、第6図は従来の磁気駆動型電極の平面図、第7図は
そのVII−VII矢視断面図、第8図は従来の電極の電極径
としゃ断性能との関係を示すグラフ、第9図は真空イン
タラプタの概略図、第10図は電流路の説明図である。 図面中、 21はアーク部、23はスパイラル溝、25はリード棒、27は
芯金、28は導体、29は接触部、29aは接触面である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のスパラル溝を有するアーク部の一方
    の面の中央部にリング状の接触面を具備する接触部を設
    け、他方の面の中央部にリード棒を接続してなる真空イ
    ンタラプタ用磁気駆動型電極において、 前記接触面の外径を前記リード棒の直径以下とし、前記
    リード棒を、ステンレス鋼製の芯金とその外側に嵌合さ
    れた銅系金属製の筒状導体との二重構造とすると共に、
    前記筒状導体の先端を直接前記接触部の裏面に接合し、
    少なくとも通電時において、前記接触面と前記リード棒
    との間に形成される電流路における電流成分を、接触面
    に直交する方向の成分をIv、接触面に平行する方向の成
    分をIhとしたとき、Iv>Ihとなるようにしたことを特徴
    とする真空インタラプタ用磁気駆動型電極。
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