JP2762451B2 - 遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置 - Google Patents

遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置

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JP2762451B2 JP63079500A JP7950088A JP2762451B2 JP 2762451 B2 JP2762451 B2 JP 2762451B2 JP 63079500 A JP63079500 A JP 63079500A JP 7950088 A JP7950088 A JP 7950088A JP 2762451 B2 JP2762451 B2 JP 2762451B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明のDNAまたはRNAである遺伝子やそれらの産生物
質である蛋白質の検出、同定に好適な遺伝子物質の電気
泳動パターン分析装置に関する。本発明の装置は、疾病
診断、親子鑑定、体質診断、家畜植物などの品種鑑定な
どに使用し得る。
(従来の技術) 従来、遺伝子やその産生物質である蛋白質(以下産生
蛋白質という)を検出したり同定したりするために、DN
AやRNAや産生蛋白質などの遺伝子物質の電気泳動パター
ンを分析する方法、たとえば、サザンプロット法、ノー
ザンプロット法、ウエスタンプロット法などがある。
これらの遺伝子物質の分析方法は全て、基準遺伝子物
質と被検遺伝子物質とを電気泳動方向と直角に配置して
同時に所定時間だけ電気泳動させ、そして得られた基準
遺伝子物質及び被検遺伝子物質の電気泳動結果を目で識
別するものである。
たとえば、前記サザンプロット法で得られる電気泳動
試料100は、第3図に示すように、基準遺伝子物質の電
気泳動領域で構成される基準領域101と、それぞれ異な
る被検遺伝子物質の電気泳動領域で構成される被検領域
102、103、104とをもつ。そしてこの基準領域101は電気
泳動方向の1.35kb及び1.15kbの座標位置に濃く大きい形
状のバンドB1、B2をもち、被検領域102は電気泳動方向
の1.35kbの座標位置に濃く大きい形状のバンドB3をも
ち、被検領域103は電気泳動方向の1.35kbの座標位置に
濃く大きい形状のバンドB4をもち、被検領域104は電気
泳動方向の1.35kb及び1.15kbの座標位置にやや濃く小さ
い形状のバンドB5、B6をもつ。なお、ここで座標位置単
位kbはDNA断片長を意味する。
そして識別者は、基準領域101のバンドB1、B2と被検
領域102、103、104のバンドのバンドB3〜B6とを比較し
て、被検遺伝子物質を検出乃至同定していた。
(発明が解決しようとする課題) 上記した従来の遺伝子物質の電気泳動試料を目視識別
する方法において、被検領域102、103、10の各バンドの
それぞれについて、基準領域のバンドと電気泳動距離が
等しいかどうかを識別する必要があった。
しかし、この識別は、以下のような場合には簡単では
なかった。即ち、 電気泳動方向に隣設する2バンドが近接している場
合。
基準もしくは被検領域のバンド数が多い場合。
一枚の電気試料中に配列される被検遺伝子物質数が多
い場合。この場合、基準領域から離れた被検領域のバン
ドは識別困難となる。
基準もしくは被検遺伝子物質の量が少ない場合。この
場合、形成されるバンドが小さく薄くなり、その識別が
困難となる。
基準もしくは被検遺伝子物質の量が多い場合。この場
合、形成されるバンドが大きくなりすぎ、電気泳動距離
の比較が困難となったり、隣設する2つのバンドが重な
ったりする危険がある。
また、これらの困難にもかかわらず、被検遺伝子物質
の識別は正確である必要があるので、識別時間が長くな
る場合があった。
更に識別を容易とするためには、電気泳動方向に隣接
する2バンド間の間隔を長くする必要があり、そのため
に電気泳動時間を長く設定する必要がある。しかしその
ために電気泳動時間を長くし、かつ電気泳動試料100を
大きくせねばならず、時間と費用のロスが大きかった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、
複数の被検遺伝子物質をもつ電気泳動試料を正確かつ短
時間に分析する電気泳動パターン分析装置を提供するこ
とを目的とする。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) この発明の遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置
は、 電気泳動方向と直角方向に配置された少なくとも1個
の基準遺伝子物質および少なくとも1個の被検遺伝子物
質とを同時に電気泳動して得られるとともに、電気泳動
方向に配列された複数のバンドをそれぞれもつ基準領域
及び少なくとも1個の被検領域をもつ電気泳動試料を光
学的に読取り、前記基準領域に対応する2値化された2
次元の基準画像データ及び前記被検領域に対応する2値
化された2次元の被検画像データを出力する画像データ
発生手段と、 前記基準画像データから前記基準領域の各バンドにそ
れぞれ対応する各バンドパターンの位置データ及び2次
元形状データを含む基準バンドパターンを抽出する基準
バンドパターン抽出手段と、 前記被検画像データから前記被検領域の各バンドにそ
れぞれ対応する各バンドパターンの位置データ及び2次
元形状データを含む被検バンドパターンを抽出する被検
バンドパターン抽出手段と、 前記被検領域の特定のために前記基準バンドパターン
及び前記被検バンドパターンの前記位置データを比較
し、更に、前記被検領域の特定のために前記基準バンド
パターン及び前記被検バンドパターンの前記二次元形状
データに含まれる電気泳動方向の幅及びそれと直角方向
の幅に関するデータを比較するバンドパターン比較手段
とを備えることを特徴としている。
また、本発明の第二の遺伝子物質の電気泳動パターン
分析装置によれば上記装置構成において更に、前記バン
ドパターン広がり比較手段は、前記バンドパターンの面
積、フェレ径の積及び縦横比のうちの少なくとも一つを
比較するものであることを特徴としている。更に、本発
明の第三の遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置によ
れば上記装置構成において更に、前記バンドパターン広
がり比較手段は、前記バンドパターンの面積、フェレ径
の積及び縦横比の全てを比較するものであることを特徴
としている。
すなわち、本発明は、基準バンドパターン及び被検バ
ンドパターンの各バンドパターンごとに、各バンドパタ
ーンの二次元的な広がり具合に関する二次元形状比較を
従来周知の各バンドパターンの位置比較の他に行う点を
従来とは異なる新規な特徴としている。
本発明の電気泳動パターン分析装置の対象となる遺伝
子物質は、DNAやRNAといった遺伝子や遺伝子による産生
蛋白質を含む。これらの遺伝子物質は一般に負に荷電し
ており電界印加の流動体中で電気泳動し得る。基準遺伝
子物質はその種類が既知である遺伝子物質であり、被検
遺伝子物質はその種類を調べるための遺伝子物質であ
る。
電気泳動試料は、基準遺伝子物質及び複数の被検遺伝
子物質を電気泳動させて得られる。具体的に説明する
と、電気泳動試料は、基準遺伝子物質及び複数の被検遺
伝子物質を寒天ゲルのような電気泳動可能部材に電気泳
動方向と直角方向に配置し、電気泳動方向に同時に電気
泳動させ、同時に電気泳動を終止させることにより得ら
れる。
後の画像認識処理のために、電気泳動中または後で遺
伝子物質をマーキングすることが好ましい。マーキング
処理として、染料による発色、蛍光材料による発光、放
射性アイソトープによる放射線発生などを使用可能であ
る。これらの染料、蛍光物質、放射性アイソトープは遺
伝子物質の電気泳動後に、遺伝子物質に結合されること
が好ましい。電気泳動試料は基準遺伝子物質及び複数の
被検遺伝子物質が配置され、電気泳動方向及び遺伝子物
質配置方向に伸びた寒天ゲルにより構成することができ
る。また電気泳動試料は、前記電気泳動後の寒天ゲルな
どを撮影した各種フィルムとしても構成することができ
る。
基準領域は、前記した電気泳動試料の内の基準遺伝子
物質が電気泳動可能な領域またはその記録領域を意味す
る。基準領域は一つの電気泳動試料に一個または複数個
設置することができる。それぞれ異なるバンドをもつ複
数の基準領域を設置することも可能である。
被検領域は、前記した電気泳動試料の内の被検遺伝子
物質が電気泳動可能な領域またはその記録領域を意味
し、少なくとも1個以上設置される。
バンドは、基準領域及び被検領域において、同一分子
量の遺伝子物質が集積した領域である。同一分子量の遺
伝子物質の電気泳動距離(位置)及び広がり具合はほぼ
同じであり、基準領域及び被検領域の特定の部位に帯状
に集積される。
画像データ発生手段は、電気泳動試料を光学的に読取
って電気信号である画像データに変換する手段である。
画像データ発生手段は、基準領域の画像データである基
準画像データ及び被検領域の画像データである被検画像
データを出力する。画像データ発生手段は、たとえばリ
ニアイメージセンサ、エリアイメージセンサ、レーザー
走査手段とその受光手段、蛍光発生用の紫外線発生手段
およびその受光手段であるフォトマルチプライヤなどで
構成することができる。
基準バンドパターン抽出手段は、得られた基準画像デ
ータから基準領域のバンドのパターン情報である基準バ
ンドパターンを抽出する画像処理手段であり、マイクロ
プロセッサを含む専用もしくは般用の画像処理装置で構
成することができる。基準バンドパターンは、基準領域
にあるバンドの電気泳動方向の重心位置とその形状とに
関する画像情報で少なくとも構成される。なお、ここ
で、形成とは、バンドの電気泳動方向及びそれと直角方
向の幅に関する情報を含むデータを指定する。
被検バンドパターン抽出手段は、得られた被検画像デ
ータから被検領域にあるバンドのパターン情報である被
検バンドパターンを抽出する画像処理手段であり、マイ
クロプロセッサを含む画像処理装置で構成することがで
きる。被検バンドパターンは、被検領域にあるバンドの
電気泳動方向の重心位置とその形状とに関する画像情報
で少なくとも構成される。なお、ここで、形状とは、バ
ンドの電気泳動方向及びそれと直角方向の幅に関する情
報を含むデータを指定する。
バンドパターン比較手段は、得られた基準バンドパタ
ーンと被検バンドパターンとを比較して、被検領域の種
類を決定する画像処理手段であり、マイクロプロセッサ
を含む画像処理装置で構成することができる。バンドパ
ターン比較手段は、その比較結果により、被検遺伝子物
質が基準遺伝子物質の一部または全部と同じかまたは異
なるかを決定する。
たとえば前記した画像処理装置として、日立製作所製
のHIDIC−IP/200などを使用することができる。
(作用) 本発明の遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置にお
いて、画像データ発生手段は、電気泳動試料を光学的に
読取って、基準領域の画像データである基準画像データ
及び被検領域の画像データである被検画像データを出力
する。基準バンドパターン抽出手段は、基準画像データ
から基準領域のバンドに関する基準バンドパターンを抽
出する。被検バンドパターン抽出手段は、被検画像デー
タから被検領域のバンドに関する被検バンドパターンを
抽出する。バンドパターン比較手段は、基準バンドパタ
ーンと被検バンドパターンの位置座標及び幅データをそ
れぞれ比較し、これらの両方の比較結果に基づいて、被
検領域の種類、たとえば、被検遺伝子物質が基準遺伝子
物質の一部または全部と同じかまたは異なるかを決定す
る。
以上説明したように本発明の電気泳動パターン分析装
置は、少なくとも1個の基準遺伝子物質と1個以上の被
検遺伝子物質を電気泳動させて得た電気泳動試料を前記
説明したように画像処理しているので、たとえ被検遺伝
子物質の数が増加したり隣接するバンドが接近していた
りしても、正確な検出、同定を可能とする。
(実施例) 本発明の遺伝子物質の電気泳動パターン分析装置の一
実施例を以下、図面を参照して説明す。第1図は本実施
例の電気泳動パターン分析装置のブロック図、第2図は
同装置のメインルーチンのフローチャート、第3図は本
実施例で分析する電気泳動試料の模式図、第4図は同電
気泳動試料の濃度−頻度の関係を示すヒストグラム図、
第5図、第6図、第7図はそれぞれ第2図のフローチャ
ートのサブルーチンを表すフローチャートである。
まず、本実施例で分析する電気泳動試料100を第3図
を参照して詳細に説明する。なお、この試料100は従来
技術の項で説明されたものと同一である。
この電気泳動試料100は、人の遺伝病の一つである鎌
状赤血球貧血症のDNAをサザンプロット法で検定して得
られたものであり、基準領域101と被検領域102、103、1
04とをもつ約10cm×10cmの寒天ゲルである。基準領域10
1と被検領域102、103、104とは電気泳動方向と直角方向
に配列されている。基準領域101は後述の基準遺伝子物
質Aの電気泳動可能領域であり、被検領域102、103、10
4はそれぞれ後述の被検遺伝子物質B、C、Dの電気泳
動可能領域である。
ここで、基準遺伝子物質Aは、正常者のDNAと鎌状赤
血球貧血症者のDNAを混合した後で制限酵素MstIIで切断
したものの一部である。同様に、被検遺伝子物質Bは被
検者bのDNAを制限酵素MstIIで切断したものの一部であ
り、被検遺伝子物質Cは被検者cのDNAを制限酵素MstII
で切断したものの一部であり、被検遺伝子物質Dは被検
者dのDNAを制限酵素MstIIで切断したものの一部であ
る。
基準領域101及び被検領域102、103、104はそれぞれは
基準遺伝子物質A及び被検遺伝子物質B、C、Dを電気
泳動試料の所定の電気泳動開始位置(図示せず)におい
て電気泳動方向と直角方向に配列した後で所定時間だけ
電気泳動させ、サザンブロット処理して1本鎖に変性
し、特定のDNAプローブとハイブリダイズ処理して構成
されている。なお、前記した遺伝子物質の各処理方法の
詳細については、その説明を省略する。
電気泳動処理後の基準領域101は、正常者のDNAの電気
泳動パターンであるバンドB1と、鎌状赤血球貧血症者の
DNAの電気泳動後の帯状集積部であるバンドB2とをも
つ。
電気泳動処理後の被検領域102、103、104もまたそれ
ぞれ同様のバンドB3、B4、B5、B6をもつ。
この試料100では、バンドB1、B3は電気泳動方向の1.3
5kbの座標位置を中心に濃く大きく形成され、バンドB
2、B4は電気泳動方向の1.15kbの座標位置を中心に濃く
大きく形成され、バンドB5、B6は電気泳動方向の1.15kb
及び1.35kbの座標位置を中心にやや濃く小さく形成され
ている。
次に、本実施例の電気泳動パターン分析装置を説明す
る。
この電気泳動パターン分析装置は、第1図に示すよう
に電気泳動試料100を撮像する画像データ発生手段を構
成するCCD二次元撮像装置1と、CCD二次元撮像装置1か
ら出力される画像データを処理する画像処理装置2とか
らなり、更に電気泳動試料100をその裏面から照明する
背面照射型の発光装置3と、I/Oインターフェイス4と
出力表示装置5とを具備している。
CCD二次元撮像装置1は、第1図に示すように、その
画像面が電気泳動試料100の電気泳動方向と平行になる
ように配置されている512×512画素のCCDエリアイメー
ジセンサを内蔵している。
画像処理装置2は、第1図に示すように、基準バンド
パターン抽出手段と被検バンドパターン抽出手段とバン
ドパターン比較手段とを構成する演算部(図示せず)
と、各種画像データを記憶する記憶部(図示せず)と、
前記演算部や前記記憶部やI/Oインタフェース4を制御
する制御部(図示せず)からなる画像処理装置である。
発光装置3はキセノンランプであり、CCD二次元撮像
装置1の撮像周期と同期して発光するように構成されて
いる。
表示装置5はCRT表示装置である。
次にこの電気泳動パターン分析装置の動作を説明す
る。ただし、以下において記載を簡単とするために、電
気泳動方向をY方向それと直角方向をX方向とする。
まずCCD二次元撮像装置1は電気泳動試料100を撮像す
る。そして、CCDエリアイメージセンサ(図示せず)か
ら各画素毎に出力される画像データをI/Oインターフェ
ース4を介して画像処理装置2に出力する。
次に、前記画像データを受け取った画像処理装置2の
動作を第2図のフローチャートにより説明する。
まず、CCD二次元撮像装置1から電気泳動試料100の画
像データである出力信号を受け取る(S100)。なお受け
取った画像データは基準領域101の画像データである基
準画像データ及び被検領域102、103、104の画像データ
である被検画像データを含んでいる。
次に、基準画像データと被検画像データとの両方を一
括処理して画像データの濃度−発生頻度特性を求める
(S200)。この濃度−発生頻度特性を第4図に示す。こ
の濃度−発生頻度関係図は入力された画像データを前記
512×512個の画素単位に分割し、そして前記各画素の出
力信号を1発生頻度とし、そして各画素の出力信号を濃
度として作成したものである。
次に、得られた濃度−発生頻度特性を処理して濃度し
きい値を決定する(S300)。この濃度しきい値の決定方
法を第4図を参照して説明すれば、所定の発生頻度しき
い値Xtと濃度−発生頻度特性線とから、濃度しきい値と
してDt1、Dt2、Dt3、Dt4をもとめる。ここで、濃度範囲
Da(=Dt1〜Dt2)内の濃度に相当する画像データ、即ち
出力信号は電気泳動試料100のバンドB5、B6に対応する
画素から得られ、濃度範囲Db(=Dt3〜Dt4)内の濃度に
相当する画像データ、即ち出力信号は電気泳動試料100
のバンドB1〜B4に対応する画素から得られる。もちろ
ん、発生頻度しきい値Xtが小さい場合、濃度範囲Daと濃
度範囲Dbとは連続しても良い。
次に、得られた濃度しきい値Dt1〜Dt4を使用して、全
画素からの画像データを2値化する(S400)。ここで濃
度範囲Da,Db内の画像データをもつ画素は濃度1とし、
それ以外の濃度範囲の画像データをもつ画素は濃度0と
する。ただし、DNA断片の少ない領域に対応する最低濃
度しきいDt1以下の濃度の画素群の画像データは全て、
濃度0とする。
次に、2値化された画像データを処理して、バンドB1
〜B6に対応する2値化されたバンドパターンb1〜b6の二
次元の重心座標と、その形状とを認識し(S500)、バン
ドパターンb1〜b6をそのX方向の重心座標によって、基
準パターンb1〜b2と被検バンドパターンb3〜b6とに区分
し、更に基準領域101の基準バンドパターンb1、b2と被
検領域102、103、104の被検バンドパターンb3〜b6との
特徴を比較し(S600)、その比較結果により各被検遺伝
子物質の判定を実施する(S800)。
次に、S500に示すバンドパターン認識サブルーチンを
第5図により説明する。
まず各バンドB1〜B6のX方向及びY方向の重心位置の
座標をそれぞれ求め(S510)、次に各バンドパターンb1
〜b6の面積、フェレ径の積、縦横比を求める(S520)。
次にS600に示すバンドパターン特徴比較サブルーチン
を第6図により説明する。
まず、X方向の重心座標によって各バンドパターンb1
〜b6を基準領域101、被検領域102、103、104の各群に区
分する(S610)。
次に、基準領域101に区分された基準バンドパターンb
1、b2について、それらのY方向の重心座標から正常、
異常を決定する(S620)。本実施例では電気泳動距離の
小さい基準バンドパターンb1が異常であり、それが大き
い基準バンドパターンb2が正常である。
次に、基準バンドパターンb1、b2について、位置係数
YsnMIN及びYsnMAXと形状係数SsnMIN、SsnMAX、FsnMIN、
FsnMAX、HsnMIN、HsnMAXを求める(S630)。なお、上述
した各基準バンドパターンb1、b2の位置係数及び形状係
数の算出方法については後述する。
次に被検領域番号を示す画像処理装置2に内蔵のアキ
ュムレータRxに1を置き(S640)、アキュムレータRxが
被検領域数(ここでは3)を越えたかどうかを調べ(S6
50)、越えればこのサブルーチンを終了してリターン
し、越えていなければ、アキュムレータRxの置数に相当
する被検領域内の被検バンドパターンのデータを再生す
る(S660)。
なお、ここでは、Rxは1であり、被検領域102内の被
検バンドパターンb3のデータを読み出し、Rx=2では同
様に被検バンドパターンb4のデータを読み出し、Rx=3
では被検領域104内の被検バンドパターンb5、b6のデー
タを読み出す。
次に、S620で判別した異常な基準バンドパターンb1の
位置係数と、被検領域102の被検バンドパターンb3の重
心座標とを比較し、被検領域102が基準バンドパターンb
1と同一位置とみなせる被検バンドパターンをもつかど
うかを試べ(S670)、もつ場合にはICHiフラグをクリア
し(S690)、もたない場合にはICHiフラグを立てる(S6
80)。
次に、同様の異常な基準バンドパターン1bの形状係数
と被検領域102の被検バンドパターンb3の形状データと
を比較し、被検領域102が基準バンドパターンb1と同一
形状とみなせる被検バンドパターンをもつかどうかを試
べ(S700)、もつ場合にはKEIJYOiフラグをクリアし(S
720)、もたない場合にはKEIJYOiフラグを立てる(S71
0)。
次にS670と同様の方法で、被検領域102が正常な基準
バンドパターンb2と同一位置とみなせる被検バンドパタ
ーンをもつかどうかをしらべ(S730)、もつ場合にはフ
ラグICHsをクリアし(S750)、もたない場合にはフラグ
ICHsを立てる(S740)。
次に、S700と同様の方法で、被検領域102が基準バン
ドパターンb2と同一形状とみなせる被検バンドパターン
をもつかどうかをしらべ(S760)、もつ場合にはKEIJYO
sフラグをクリアし(S780)、もたない場合にはKEIJYOs
フラグを立てる(S770)。
次に、前記各フラグをメモリにストアし、アキュムレ
ータRxに1を加算し(S792)、全被検領域103、104に対
しても同じ動作を実行し、各被検領域102、103、104に
関して、前記した各フラグを求める。
以下に前記した基準バンドパターンb1、b2の位置係数
及び形状係数について述べる。
位置係数は各基準バンドパターンb1、b2のY方向の即
ちY座標の最小値及び最大値YsnMIN、YsnMAXで構成さ
れ、それぞれ YsnMIN=Ysn−αFysn YsnMAX=Ysn+αFysn である。ここでYsnは基準バンドパターンb1、b2のY方
向の重心座標、αは予め設定された係数、Fysnはサブル
ーチン500のS520で求めた基準バンドパターンb1、b2の
Y方向のフェレ径である。また前記した符号nは基準バ
ンドパターンb1に対しては1、基準バンドパターンb2に
対しては2である。
形状係数は、各基準バンドパターンb1、b2の面積の最
小値及び最大値SsnMIN、SsnMAXと、そのフェレ径の積の
最小値及び最大値FsnMIN、FsnMAXと、その縦横比の最小
値及び最大値HsnMIN、HsnMAXとからなる。
SSsnMIN=Ssn×βmin SsnMAX=Ssn×βmax FsnMIN=Fysn×Fxsn×βmin FsnMAX=Fysn×Fxsn×βmax HsnMIN=(Fysn/Fxsn)×βmin HsnMAX=(Fysn/Fxsn)×βmax ここで、Ssnは基準バンドパターンの面積、βmin、β
maxは予め設定した係数、Fysnは前述したように基準バ
ンドパターンb1、b2のY方向のフェレ径、Fxsnは基準バ
ンドパターンb1、2の方向のフェレ径である。また符号
nは基準バンドパターンb1に対しては1、基準バンドパ
ターンb2に対しては2である。
好ましい一例において、αは0.5、βminは0.6、βmax
は1.5に設定するとよい。
次に、ステップ800のサブルーチンを第7図のフロー
チャートにより説明する。
まず、被検領域を表わすアキュムレータRxに1を置き
(S810)、Rx=1に相当する被検領域102の各フラグICH
s、KEIJYOs、KEIJYOiをメモリから読み出す(S820)。
以下、各フラグにより被検領域102のフラグを判定し
ていく。
まずICHS=0かつKEIJYOs=0、即ち、正常な基準バ
ンドパターンb2と位置、形状とも同一かどうかを判断し
(S830)、同一の場合(S840)は正常者と判断する。
次に、ICHi=OかつKEIJYi=O、即ち、異常な基準バ
ンドパターンb1と位置、形状とも同一かどうかを判断し
(S850)、同一の場合は異常者と判断する(S860)。
次に、ICHs=0かつKEIJYOs=FLG、即ち、正常な基準
バンドパターンb2と位置が同一でかつ形状が異なるかど
うかを判断し(S870)、そうでなければ再検査する(S8
90)。
次に、ICHi=OかつKEIJYOi=FLG、即ち、異常な基準
バンドパターンb1と位置が同一でかつ形状が異なるかど
うかを判断し、そうでなければ再検査する(S890)。そ
うであれば保因者と判断する(S900)。
S840、S890、S900の実行後に、アキュムレータRxに1
を加算し(S910)、アキュムレータRxの置数が被検領域
102、103、104の数(本実施例では3である)を越えた
かどうかをしらべ(S920)、越えるまで、即ち、全被検
領域102、103、104に対して実行する。
結局このサブルーチンにより、被検領域102と正常者
と、被検領域103は異常者と、被検領域104は保因者と判
定される。
以上説明した如く、本実施例の装置によれば従来の人
間の目で見て判断してきたバンド配列パターンの解析・
判定作業を自由化・機械化することが可能となり、試料
の大量、自動処理ができる。
また、電気泳動試料100に並列に配置される被検遺伝
子物質が増加しても、基準バンドパターンと遠く離れた
被検バンドパターンを正確に比較できる。従って1個の
電気泳動試料中に数多くの被検遺伝子物質を配置でき
る。
また、目視の場合に比べて、基準バンドパターン及び
被検バンドパターンの位置、形状の測定が極めて正確に
できるので、各遺伝子物質を長時間電気泳動して電気泳
動方向に隣接する2個のバンド間の距離を確保する必要
がない。従って分析時間を短縮でき、また電気泳動試料
を小型化することができる。
尚、前記実施例では基準領域を1本としたが、これ
を、例えば健常者と異常者で別々に分けて2本にしても
本願の方法は応用可能である。更に、基準及び被検領域
内のバンド数が増えても、その処理方法は変らない。従
って本願による方法は、親子鑑定、個体識別を目的とし
た人の遺伝子検定はもとより、あらゆる生物体の検定に
も応用可能である。
また、本実施例で濃度しきい値は電気泳動試料全体で
計算していたが、基準領域及び各被検領域毎に計算して
もよい。
[発明の効果] 以上説明したように本発明の遺伝子物質の電気泳動パ
ターン分析装置は、基準及び被検領域をもつ電気泳動試
料を撮像する画像データ発生手段と、画像データ発生手
段の出力信号を処理する基準バンドパターン抽出手段、
被検バンドパターン抽出手段そしてバンドパターン比較
手段とを備えるとともに更に、各バンドの位置座標の比
較を他に更に、各バンドの縦横の幅情報を含む2次元形
状データの比較をも行うことで高精度の判定を実現して
いるので試料の多少に拘らず、電気泳動試料の正確な分
析が可能となる。
更に本発明によれば、基準及び被検遺伝子物質が少な
くても、電気泳動時間が短くても、電気泳動試料中の被
検領域数がたとえば100以上といった多数であっても、
正確な分析が可能となる。
従って、本発明によれば、従来よりも安価かつ高速に
分析を実行できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本実施例の電気泳動パターン分析装置のブロッ
ク図、第2図は同装置のメインルーチンのフローチャー
ト、第3図は本実施例で使用する電気泳動試料の模式
図、第4図は同電気泳動試料の濃度−発生頻度関係を示
すヒストグラム図、第5図、第6図、第7図は前記フロ
ーチャートのサブルーチンを示すフローチャートであ
る。 1……CCD二次元撮像装置 (画像データ発生手段) 2……画像処理装置 (基準バンドパターン抽出手段) (被検バンドパターン) (バンドパターン比較手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−42057(JP,A) 特開 昭61−108946(JP,A) 特開 昭61−196154(JP,A) 実開 昭62−69145(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/447

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電気泳動方向と直角方向に配置された少な
    くとも1個の基準遺伝子物質および少なくとも1個の被
    検遺伝子物質とを同時に電気泳動して得られるととも
    に、電気泳動方向に配列された複数のバンドをそれぞれ
    もつ基準領域及び少なくとも1個の被検領域をもつ電気
    泳動試料を光学的に読取り、前記基準領域に対応する2
    値化された2次元の基準画像データ及び前記被検領域に
    対応する2値化された2次元の被検画像データを出力す
    る画像データ発生手段と、 前記基準画像データから前記基準領域の各バンドにそれ
    ぞれ対応する各バンドパターンの位置データ及び2次元
    形状データを含む基準バンドパターンを抽出する基準バ
    ンドパターン抽出手段と、 前記被検画像データから前記被検領域の各バンドにそれ
    ぞれ対応する各バンドパターンの位置データ及び2次元
    形状データを含む被検バンドパターンを抽出する被検バ
    ンドパターン抽出手段と、 前記被検領域の特定のために前記基準バンドパターン及
    び前記被検バンドパターンの前記位置データを比較し、
    更に、前記被検領域の特定のために前記基準バンドパタ
    ーン及び前記被検バンドパターンの前記二次元形状デー
    タに含まれる電気泳動方向の幅及びそれと直角方向の幅
    に関するデータを比較するバンドパターン比較手段とを
    備えることを特徴とする遺伝子物質の電気泳動パターン
    分析装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の遺伝子物質の電気泳動パタ
    ーン分析装置において、 前記バンドパターン比較手段は、前記バンドパターンの
    面積、フェレ径の積及び縦横比のうちの少なくとも一つ
    の比較するものであることを特徴とする遺伝子物質の電
    気泳動パターン分析装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の遺伝子物質の電気泳動パタ
    ーン分析装置において、 前記バンドパターン比較手段は、前記バンドパターンの
    面積、フェレ径の積及び縦横比の全てを比較するもので
    あることを特徴とする遺伝子物質の電気泳動パターン分
    析装置。
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