JP2761512B2 - 高分子量ポリエステル樹脂の製造法 - Google Patents

高分子量ポリエステル樹脂の製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は固相重付加技術を採用して、低分子量樹脂か
ら高分子量のポリエステル樹脂を製造する方法に関す
る。
特に本発明はポリエステル樹脂を溶融状態でこのポリ
エステル樹脂の末端基と付加反応を行なうことのできる
新規な改質用添加剤と混合し、次いで顆粒状にし、さら
にこの顆粒を結晶化処理および固体状での改質反応に付
す方法に関する。
本件出願人の審査係属中のヨーロッパ特許出願(EP
No.89119049.8)においては、固体での改質方法が開示
されており、そこではポリエステル樹脂を芳香族テトラ
カルボン酸の二無水物の存在下で改質している。
本発明の固体状改質方法は樹脂を新規な改質用添加剤
と混合し、この樹脂を顆粒化し、得られた顆粒を結晶化
し、次いで100℃〜230℃の温度範囲で改質化処理する工
程を含む。
この方法は好ましくは加熱ガス流、例えば空気、窒素
または炭酸ガスに向流してチップを供給する、連続的な
結晶化装置および反転機を用いて連続的に達成するのが
好ましい。
公知の固体状重縮合反応は主として二次エステル交換
反応とエステル化反応からなり、その副生成物はエチレ
ングリコールと水である。
顆粒内におけるこれらの副産物の拡散は改質工程の速
度を支配する因子である。
本発明の固体状重付加方法においては、使用される特
定の添加剤の付加反応によってポリマーの鎖延長が達成
され、改質工程に悪影響を及ぼす副生成物の形成が認め
られない。従ってこの方法は従来用いられていた方法よ
り低い温度で実施できるかあるいは同じ改質温度を採用
してより高い固有粘度を著るしく短い滞留時間で達成で
きる。例えば15〜38時間を必要とする公知の改質方法の
代りにわずか2〜5時間の滞留時間でよい。この短い滞
留時間はプラントの生産性を向上させる。
より低い改質温度の使用の可能性は、低い融点、例え
ば220℃以下を有するイソフタル酸から誘導されるユニ
ット10〜20%を含むコポリエチレンテレフタレート類
(COPET)のごとき、反応機壁にCOPET類が粘着するため
公知の固体状重縮合方法を用いて固体状で改質し得なか
ったポリエステル樹脂を改質する。
COPET類の場合は改質方法は約100℃〜180℃で行なわ
れる。
本発明方法で採用される改質用添加剤は、芳香族テト
ラカルボン酸二無水物とは異なった化合物であり、ポリ
エステル樹脂の末端OH基とCOOH基と付加反応し得る少な
くとも2個の基を含む。
付加反応とはポリエステル樹脂の末端基とポリマー鎖
を直鎖状に延長する改質用添加剤間の付加反応を意味し
ている。
改質方法とは、ポリエステル樹脂の固有粘度の増加を
もたらす方法または条件を意味する。
改質条件下で付加反応を起す基としては無水物の基、
イソシアネート基、イミノ基などがある。
ポリエステル樹脂の末端基と付加反応する物質の能力
を測定するための判定基準は、270℃でレオメーターで
測定したビスコース・モジュラスが添加剤を用いないポ
リエステルに関し少なくとも20%増加することである。
代表的な改質用添加剤は、脂肪族および脂環族テトラ
カルボン酸二無水物およびテトラヒドロフラン酸の二無
水物である。芳香族または脂肪族ジイソシアネートまた
はポリイソシアネートも適当である。
好ましい二無水物は、1,2,3,4−シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物;3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−1−ナフタレン−こはく酸二無水物;ビシ
クロ(2,2,2)オクタ−7−エン−2,3,5,6−テトラカル
ボン酸二無水物;テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テト
ラカルボン酸二無水物からなる群から選ばれる。
特に好ましくは1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボ
ン酸二無水物である。
前述のごとく結晶化と改質工程とは100〜230℃の範囲
で行なう。
これらの工程を実施するに適した装置は、USP4,064,1
12および4,161,578に記載されており、これらの明細書
の記載をここに引用する。
これらの工程に用いられる不活性ガス流はヨーロッパ
特許出願第86830340.5の記載に従ってリサイクルしても
よく、この記載をここに引用する。
用語「ポリエステル樹脂」はC2−C10のグリコール、
例えばエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール
などと、テレフタル酸またはそれらの誘導体、例えばジ
メチルテレフタレートなどとの重複合生成物;およびテ
レフタル酸から誘導されるユニットの他にイソフタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、オルソフタル酸および5
−tert−ブチル−1,3−ベンゼンジカルボン酸から誘導
されるユニットを全般ユニットに対し約0.5〜25モル%
を含む重縮合生成物を含む樹脂を意味している。この方
法は特に射出成形、押出ブロー成形、押出成形、例えば
筒、フィルム、シート、発泡成形体を得るためのアルキ
レンテレフタレートおよびコポリアルキレンテレフタレ
ートに有用である。
ポリエステル樹脂と改質用添加剤との混合は好ましく
は反応押出、例えばベント付または無ベント式共回転ま
たは、逆回転かみ合いもしくは非かみ合い二軸スクリュ
ー押出機を用いて、200℃〜350℃の温度で実施する。こ
の温度は、ポリエステルの融点と添加剤の均一な混合を
達成するに十分な滞留時間に依存する。
ベント付または無ベント逆回転非かみ合い二軸スクリ
ュー押出機が好ましい。この種の押出機の使用は溶融物
中で添加剤の均一な分配を達成し、添加剤の局部的な高
濃度とその高い反応性にもとづく問題を解消する。
この種の押出機の有効混合セクションは、非常に短
い、一般には120秒以下、好ましくは15〜30秒の滞留時
間で操作可能にする。
この方法は連続的に行なってもよく、従って溶融ポリ
エステルの重縮合プラントと混合工程の間に中断なしで
行なってよい。
この場合押出機には、溶融低分子量ポリエステル樹脂
を直接供給する。
押出機は好ましくは、高真空オイルシールポンプと連
結し、反応性混合物の脱気、オセトアルデヒド含量の低
い樹脂を得るため2torr以上の真空を維持する。しかし
ながら真空を使用することなく混合してもよい。
ポリエステル樹脂に関する改質用添加剤の好ましい濃
度は0.05〜1重量%である。より高い濃度を採用しても
よい。
溶融物中の添加剤の局部的高濃度化を避けるために結
晶化PET粉末で添加剤を稀釈する(PET粉末5部に添加剤
1部)のが好ましい。この方法は溶融物中で添加物を均
一に分散させ、最終生成物の固有粘度の再現性を向上さ
せ、ゲル形成を防止するであろう。
添加剤はまた、結晶化PETチップのブレンド(PETチッ
プ10部に対し添加剤1部)により稀釈してもよい。
この混合はポリエチレングリコールまたはポリカプロ
ラクトン約0.1重量%および添加剤として類似生成物を
用いファン付ブレンダー中、約150℃の温度で混合して
行なってもよい。
以下、実施例をあげて説明するが、本発明はこれに限
定されるものではない。
実施例1 110ppmのアセトアルデヒドを含むランダムCOPET(15
重量%イソフタル酸、融点212℃、IV=0.75dl/g)溶融
物を30kg/hで、PET溶融重縮合プラントのフィニシャー
からベント付逆回転非かみ合い30mm二軸スクリュー押出
機に連続的に供給した。
結晶化COPET粉末(IV/0.75dl/g;15重量%イソフタル
酸)中に20重量%の1,2,3,4−シクロブタンテトラカル
ボン酸二無水物を含む混合物を220g/hの速度で重量計量
供給装置を用いて押出機中に供給した。この試験条件は
以下の通りである: COPET溶融物中シクロブタンテトラカルボン酸二無水
物:0.15重量%スクリュー速度:415RPM 長さ−直径比(L/D):24 平均滞留時間:18〜25秒 バレル温度:235℃ 生成物融点:290℃ 真空度:1〜5torr 押出ダイとしてタブル・ホール付ダイを用いた(直
径:7mm)。
標準ペレタイザーを用い、直径3mm、長さ5mm、固有粘
度(IV)0.865±0.01dl/gのシリンダー状のCOPETチップ
を得た。
このCOPETチップは、アセトアルデヒド含量6〜9ppm
であった。生成物のIVは2週間変らなかった。
生成物の融点は212℃であった。
次いでCOPETチップを、ヨーロッパ特許出願EP8683034
0.5に記載のごとき不活性ガスの再循環条件を用いて固
体状結晶化/重付加プラントに連続的に供給した。
結晶化温度は150℃で、結晶化機内の滞留時間は40分
であった。固体状反応機内の温度は150℃で滞留時間は1
0時間であった。改質生成物のIVは0.965dl/gであった。
生成物はゲルを有さず、アセトアルデヒド含量は0.60pp
mであった。
比較例では、二無水物無添加COPET(原料IV=0.75dl/
g)を用い、上記と同じ結晶化および改質条件を採用し
たが改質は観察されなかった。
実施例2 実施例1と同じCOPETを、COPET溶融物に代えてIV=0.
75dl/gの結晶化した顆粒を用いた。
結晶化COPET顆粒を乾燥し、二軸スクリュー押出機に
供給した。
押出後、生成物のIVは0.86±0.02dl/gであった。
実施例1と同一の条件を採用したが平均滞留時間は約
25秒とした。
結晶化機内の固体状温度条件は130−140℃であり、反
応機内の温度は140℃であった。反応機内の滞留温度は1
9時間であった。改質後のチップの固有粘度は0.94±0.0
15dl/gであった。アセトアルデヒド含量は0.67ppmであ
った。
実施例3 100ppmアセトアルデヒド含有PET溶融物(IV=0.75dl/
g)をPET重付加溶融プラントのフィニシャーからベンテ
ィング能を有さない逆回転非かみ合せ二軸スクリュー押
出機に連続的に30kg/hで供給した。
結晶化PET粉末(IB=0.75dl/g)中にシクロブタンテ
トラカルボン酸二無水物20重量%を含む混合物を重量計
量供給装置を用い押出機中に220g/hで供給した。試験条
件は以下の通りである。
PET溶融物中のシクロブタンテトラカルボン酸二無水
物:0.15重量%, スクリュー速度:415RPM 長さ−直径比(L/D):24 バレル温度:235℃ 生成物融点:288℃ 平均滞留時間:18〜25秒 押出ダイとしてダブル・ホール付ダイを用いた。
標準ペレタイザーを用い、固有粘度(IV)0.835±0.0
2dl/gのシリンダー状のPETチップを得た。
このチップを、ヨーロッパ特許出願EP86830340.5に記
載のごとき固体状結晶化重付加プラントに連続的に供給
した。
結晶化機の温度は130〜140℃で、滞留時間は40分であ
った。
改質機内の温度は130〜140℃で滞留時間は19時間であ
った。
改質生成物のIVは0.94±0.015dl/gであった。
生成物はゲルを有さず、アセトアルデヒド含量は0.85
ppmであった。
分析方法 粘度は、フェノールとテトラクロロエタンとの混合物
(重量比60/40)100mlにポリエステルペレット0.5gを溶
解し、ASTM D4603−86に従って25℃で測定した。
アセトアルデヒド含量は、ASTM D4526−85に従い、
パーキン・エルマー・8700ガスクロマトグラフ(パーキ
ン・エルマー・HS101型)を用いて、測定した。抽出条
件は150℃で90分であった。

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂を溶融状態で改質用添加剤と混合し、
    この樹脂をペレット化し、結晶化し、次いでこの顆粒樹
    脂を改質処理する、低分子量樹脂から高分子量ポリエス
    テル樹脂を連続的に製造する方法において、改質用添加
    剤が芳香族テトラカルボン酸二無水物とは異なる、樹脂
    の末端基と付加反応し得る2個の基を有する化合物であ
    ることを特徴とする高分子量ポリエステル樹脂の製法。
  2. 【請求項2】添加剤が脂肪族、脂環族およびヒドロフラ
    ンテトラカルボン酸の二無水物からなる群から選ばれる
    請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】添加剤とポリエステル樹脂の混合を200℃
    〜350℃の温度で120秒以下の滞留温度で二軸スクリュー
    押出機内で行なう請求項1または2記載の製法。
  4. 【請求項4】添加剤を、ポリエステル樹脂に関し、0.1
    〜1重量%用いる前項いずれかに記載の製法。
  5. 【請求項5】結晶化および改質温度が100〜230℃である
    前項いずれかに記載の製法。
  6. 【請求項6】ポリエステル樹脂がイソフタル酸から誘導
    されるユニット1〜25重量%を含むコポリエチレンテレ
    フタレートである前項いずれかに記載の製法。
  7. 【請求項7】コポリエステルがイソフタル酸から誘導さ
    れるユニット10〜20%を含み、かつ改質温度が100〜180
    ℃である第6項記載の製法。
  8. 【請求項8】前項1〜7項の製法により得られたポリエ
    ステル樹脂。
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