JP2757811B2 - 固体レーザ発振器用集光器 - Google Patents

固体レーザ発振器用集光器

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JP2757811B2
JP2757811B2 JP7051043A JP5104395A JP2757811B2 JP 2757811 B2 JP2757811 B2 JP 2757811B2 JP 7051043 A JP7051043 A JP 7051043A JP 5104395 A JP5104395 A JP 5104395A JP 2757811 B2 JP2757811 B2 JP 2757811B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、レーザ媒質としてN
d:YAG、Ho:YAGおよびEr:YAG等の固体
媒質を用いた固体レーザ発振器用の集光器に関し、特
に、励起ランプからの励起光によりレーザ媒質を効率よ
く励起することが可能な固体レーザ発振器用集光器に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、固体レーザ発振器は、レーザ
媒質である固体結晶に励起ランプから励起光を照射する
ことによってレーザ光を得る光励起方式を用いている。
そして、大きなレーザ光出力を得るために、励起光によ
り効率よくレーザ媒質を励起することが必要とされてい
る。
【0003】従来の固体レーザ発振器用の集光器は、レ
ーザ媒質の励起効率の向上をはかるために、図5に示す
ように、励起ランプ12とレーザ媒質13とが、集光器
14として鏡面に仕上げられた楕円面の集光用反射面1
5で囲まれる空間内に配置されており、それぞれが楕円
の2つの焦点を中心軸とするように位置していた。そし
て、励起ランプ12からの励起光は、集光用反射面15
の楕円面の作用によって効率よく他の焦点上にあるレー
ザ媒質13に集光されていた。
【0004】ここで、励起ランプからの励起光をレーザ
媒質に効率よく吸収させるためには、集光用反射面の反
射率が高いことが望まれる。そして、従来の固体レーザ
発振器では、集光用反射面の反射率を高くするために、
この集光用反射面に金メッキ、銀メッキやアルミニウム
箔を施していた。
【0005】しかしながら、集光用反射面に金メッキを
施した場合には、波長が700nm以上では90%以上
の高い反射率で励起光を反射することが可能であるが、
それ以下の波長の光に対しては、反射率が極端に悪くな
ってしまうという問題点があった。例えば、レーザ媒質
としてEr:YAGを用いた場合、Er:YAGの吸収
スペクトルは800、650、520nm〜近紫外域に
吸収のピークがあることが知られているが、集光用反射
面に金メッキを施した集光器では、特に近紫外域の波長
に対しては反射率が非常に悪くなり、レーザ媒質を効率
よく励起させることはできなかった。
【0006】また、集光用反射面に銀メッキやアルミニ
ウム箔を施した集光器にあっては、広範囲の波長のレー
ザ光に対して高い反射率を示すが、これらの材質は劣化
し易く、特にアルミニウムは酸化されやすいために急激
に反射率が低下してしまうという問題点があった。
【0007】また、特開昭63−43384号公報に
は、400〜500nmの波長の光を効率よくレーザ媒
質(例えば、Cr,Nd:GSGG等)に集光させるた
めに、集光用反射面に白金、ロジウムまたは白金ロジウ
ム合金を施した技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の固体レーザ発振
器の集光器は、レーザ媒質の励起効率を向上させるため
に、いずれも、楕円面を有する集光用反射面を備えてお
り、かつ、その集光用反射面にはメッキ等が施されてい
た。しかしながら、このように集光用反射面を楕円面と
することは、製造コストの増加および装置の複雑化を招
くという問題点があった。
【0009】また、従来の集光器では、400〜100
0nm以上の範囲内のすべての波長の光に対して高反射
率を示すように集光用反射面が加工されているわけでは
ないので、レーザ媒質の材料に応じて集光器の集光用反
射面を最適な材料で形成する必要があり、汎用性がない
という問題点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに、本発明の固体レーザ発振器用集光器は、励起ラン
プからの励起光を反射し、その反射光をレーザ媒質に集
光する集光器の材料としてセラミック、特に、フッ素金
雲母結晶をゾル・ゲル法によりガラス状のマトリックス
中に析出させた方法で生成されたセラミックを用い、か
つ、集光器内部表面をそのセラミックとしている。
【0011】さらに、本発明の固体レーザ発振器用集光
器は、励起ランプからの励起光が集光器外部に漏れるこ
とを防止するために、集光器の外部表面が、メッキや金
属箔等の反射物質で被覆されている。
【0012】
【実施例】次に、本発明の一実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
【0013】本実施例は、広範囲の波長(例えば、40
0〜1500nm)の光に対し高い反射率を示すセラミ
ックを材料として形成された集光器内に、レーザ媒質お
よび励起ランプを配置したものである。
【0014】図1は、本実施例の集光器の断面図であ
り、図2は、集光器の材料として用いたセラミックの光
の波長に対する反射率の特性を示す表である。
【0015】本実施例の集光器は、広範囲の波長の光に
対し高い反射率を示すセラミックを用いることに特徴が
あり、このようなセラミックとしては、フッ素金雲母結
晶をゾル・ゲル法によりガラス状のマトリックス中に析
出させたものがある。図2に示す表は、このようなセラ
ミックの一例であるマセライト(三井金属鉱山マテリア
ル社製)の光の波長に対する反射率の特性を示してい
る。
【0016】図2に示すように、マセライトは、400
nm以上の波長の光に対して高反射率の特性を示してお
り、Nd:YAG、Ho:YAGおよびEr:YAG等
をレーザ媒質として用いたとしても、これらのレーザ媒
質の吸収スペクトルのピーク波長の光を高い反射率で反
射するために、種々の材料からなるレーザ媒質の励起効
率の向上に対応できる。しかも、このセラミックは、材
質として安定しており、銀メッキやアルミニウム箔のよ
うに反射率が劣化することもない。したがって、このよ
うなセラミックを集光器の材料とすれば、Nd:YA
G、Ho:YAGおよびEr:YAG等をレーザ媒質と
して用いたとしても、いずれの場合にも、長期間、安定
して励起光を十分にレーザ媒質に集光することができ
る。
【0017】さらに、集光器の材料として用いられるセ
ラミックの粒子は、約1μm程度であるため、実際に、
励起ランプからの励起光が鏡面研磨されていないこのセ
ラミックの照射されると、その反射光は拡散反射光とな
る。したがって、集光器の集光用反射面を楕円面にする
必要がなく、集光器の設計および製造が飛躍的に容易に
なる。
【0018】このような集光器を図1を用いて説明する
と、励起ランプ1とレーザ媒質2とがガラス板3を介し
て近接しており、これらが、セラミック製の集光器4内
に配置されている。集光器4の内部表面5は、励起ラン
プ1からの励起光6が、その内部表面5で拡散反射する
ために、楕円面である必要がなく、したがって、励起ラ
ンプ1およびレーザ媒質2の設置位置も、集光器4の内
部表面5の面形状に制約を受けることはない。そして、
これらの設置位置は、レーザ媒質2の励起効率を上げる
ことだけを考えると、できるだけ近づけることが望まし
い、つまり、集光器4を出来るだけクローズカップリン
グさせて構成することが望ましいが、実際には、熱レン
ズ効果等によるビーム拡り角の劣化の問題等を考慮して
設計される。
【0019】一方、このセラミックを用いて集光器を構
成すれば、従来の集光器と比べて、十分にレーザ媒質の
励起効率を確保できるが、それでもなお、図3に示すよ
うに、励起ランプ1からの励起光6のうち約10%程度
の光7が、集光器4の内部表面5で反射せずに透過し、
さらに、集光器4の外部に光8として漏れることにな
る。したがって、この集光器4の外部に漏れる分の光8
がレーザ媒質2の励起に対して無駄なものとなるととも
に、この外部に漏れた光8により、図示せぬ外部筐体が
発熱してしまい、その外部筐体に少なからず損傷を与え
ることになる。また、この集光器の内部表面で励起光の
一部が反射されないために生じる問題は、前述の従来の
集光器においても同様に生じることになる。
【0020】このような問題点を解決する本発明の他の
実施例を図4を参照して説明する。
【0021】本発明の他の実施例は、集光器の外部表面
に金メッキ等の反射物質を施すことにより、集光器の内
部表面で反射されなかった励起光を再度、集光器内に反
射するとともに、その励起光を集光器の外部に漏らさな
いように構成されたものである。
【0022】図4は、本発明の他の実施例の構成を示す
図であり、本実施例の構成は、既に説明した図1に示さ
れた集光器の構成の大部分が同様であるが、セラミック
製の集光器4の外部表面9に反射物質10を施してある
点で異なる。つまり、本実施例では、集光器4の外部表
面9に、金属メッキ、例えば、金メッキ、ニッケルメッ
キやロジウムメッキ等、金属箔、例えば、ステンレス箔
やアルミ箔等、および金属箔にメッキ(蒸着)を施した
ものを反射物質10として被覆している。
【0023】このような構成を採用することにより、本
実施例の集光器は、励起ランプ1からの励起光6の約9
0%程度が、セラミック製の集光器4の内部表面5で拡
散反射して、最終的に、レーザ媒質2に集光される。一
方、励起光6の10%程度は、集光器の内部表面を透過
して、透過光7となるが、その透過光7のほとんどが、
集光器4の外部表面9に被覆された反射物質10で反射
され、その反射光11も、レーザ媒質2に集光される。
したがって、集光器4の外部に漏れる光は、ほとんど抑
制できるために、レーザ媒質2の励起効率をさらに向上
させることができるとともに、図示せぬ外部筐体への影
響も抑えることができる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の固体レー
ザ発振器用集光器では、集光器の材料として広範囲の波
長の光に対して高反射率を示すフッ素金雲母結晶をゾル
・ゲル法によりガラス状のマトリックス中に析出させた
セラミックを採用することにより、吸収スペクトルの波
長が異なる種々のレーザ媒質を用いたとしても、それに
よる材料の変更や設計の変更を行う必要がなくなるとい
う効果がある。
【0025】さらに、集光器として用いられたセラミッ
クの粒子が1μm程度であって、励起ランプからの励起
光を拡散反射するために、集光器の内部表面を楕円面に
する必要がなくなるという効果もある。
【0026】さらに、集光器の外部表面に反射物質を被
覆することで、レーザ媒質の励起効率をより向上させる
ことができるとともに、励起光の漏れによる外部筐体へ
の影響を抑えることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す断面図である。
【図2】図1の集光器の材料として使用可能なセラミッ
クの一実施例の光の波長に対する反射率の特性を示す表
である。
【図3】本発明の一実施例の構成における励起光の光路
を示す図である。
【図4】本発明の他の実施例の構成を示す断面図であ
る。
【図5】従来の集光器の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 励起ランプ 2 レーザ媒質 3 ガラス板 4 集光器 5 内部表面 6 励起光 7、8 透過光 9 外部表面 10 反射物質 11 反射光

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起ランプからの励起光を反射し、その
    反射光を固体レーザ媒質に集光する固体レーザ発振器用
    集光器であって、前記集光器がセラミックにより形成さ
    、かつ、前記集光器内部表面が前記セラミックであ
    り、 前記セラミックは、フッ素金雲母結晶をゾル・ゲル法に
    よりガラス状のマトリックス中に析出させることにより
    生成されたものである ことを特徴とする固体レーザ発振
    器用集光器。
  2. 【請求項2】 励起ランプからの励起光を反射し、その
    反射光を固体レーザ媒質に集光する固体レーザ発振器用
    集光器であって、前記集光器がセラミックにより形成さ
    れ、かつ、前記集光器内部表面が前記セラミックであ
    り、 前記セラミックは、少なくとも500〜1500nmの
    波長の光に対して90%以上の反射率特性を備えている
    ことを特徴とする 固体レーザ発振器用集光器。
  3. 【請求項3】 励起ランプからの励起光を反射し、その
    反射光を固体レーザ媒質に集光する固体レーザ発振器用
    集光器であって、前記集光器がセラミックにより形成さ
    れ、かつ、前記集光器内部表面が前記セラミックであ
    り、 前記励起ランプから出射され内部表面で反射されなかっ
    た励起光を反射する反射物質を前記集光器の外部表面に
    被覆することを特徴とする 固体レーザ発振器用集光器。
  4. 【請求項4】 前記励起ランプから出射され内部表面で
    反射されなかった励起光を反射する反射物質を前記集光
    器の外部表面に被覆することを特徴とする前記請求項1
    に記載の固体レーザ発振器用集光器。
  5. 【請求項5】 前記反射物質は、金メッキ、ニッケルメ
    ッキ、ロジウムメッキ、ステンレス箔、アルミ箔および
    金属箔にメッキを施したものから選ばれた少なくとも1
    種の物質からなることを特徴とする前記請求項3または
    4に記載の固体レーザ発振器用集光器。
  6. 【請求項6】 前記励起ランプおよび固体レーザ媒質の
    前記集光器内における設置位置は、前記励起ランプから
    の励起光を反射する前記集光器の内部表面の面形状とは
    無関係であることを特徴とする前記請求項1に記載の固
    体レーザ発振器用集光器。
JP7051043A 1995-03-10 1995-03-10 固体レーザ発振器用集光器 Expired - Lifetime JP2757811B2 (ja)

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