JP2757005B2 - コーヒー豆の品質評価方法 - Google Patents

コーヒー豆の品質評価方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明はコーヒー豆の味,香り,コクに係るコーヒ
ー豆の品質評価方法に関する。
〔従来の技術〕
一般に市販されるコーヒー豆は、完熟したコーヒー豆
の果実を乾燥、脱穀、精選して得られた生豆を焙煎機に
投入しロースト工程で風味と香りが与えられたものであ
る。つまり焙煎によりコーヒー豆は生豆の持つ成分が化
学変化し揮発性芳香やカラメル色などを生じるものであ
り、酸味・苦味・甘味・渋み・香りというコーヒーの味
は焙煎の条件によって左右されることが知られてきた。
つまり、ロースト工程の時間によっては同じ原料豆で
も、酸味を多くした少なくしたり、また苦味を多くした
り少なくしたりと、ロースト工程により多種多様の味と
香りが与えられるものである。
しかしながら、そのロースト工程により与えられる味
と香りは生豆の収穫された土壌、生育環境等により決定
付けられることから、焙煎はコーヒー豆に幅をもたせる
ものであり、それぞれの生豆によって独特の酸味・苦味
・渋み・甘味・香り等の特性値を有することは言うまで
もない。
ところでこれらコーヒー豆の従来の品質の判定方法
は、前記ロースト工程で焙煎されたコーヒー豆を粉砕
し、沸騰した熱湯を加え抽出したものを実際に味わって
みて酸味・苦味・渋み・甘味・香りを評価する、いわゆ
る官能試験によるものであり、公正を期するため複数の
人員と長時間とを要するものである。しかもその判定は
人的要因に大きく左右される人間の味覚に基づいて行わ
れるものであって、客観的にかつ普遍的な判定に成り得
えず、そのため熟練者を必要としていた。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、コーヒー豆の品質は焙煎後常温または冷蔵
温による保管の間に、コーヒー豆に含まれる蛋白質と脂
質と水分及び空気等との作用により蛋白質・脂質等は酸
化して飲用として不適のものとなる。このために、倍煎
後の時間経過による鮮度が異なると、当然コーヒーの味
も変化して、官能試験による判定は絶対的な評価とは言
い難い。したがって外的要因に左右されない生豆の状態
で評価を行なう方法が必要とされている。
以上のことから人的・外的要因に左右されず客観的に
かつ簡便に経時変化のない官能評価の行えるコーヒー豆
の品質評価方法の開発が望まれていることはいうまでも
ない。
〔発明の目的〕
生豆の化学成分と焙煎豆のそれとを化学的に測定・分
析したものが第1表である。
第1表によると、焙煎後に著しく減少した成分はタン
パク質、ショ糖及びクロロゲン酸であることが理解で
き、この3成分が焙煎の際の熱反応によって味・風味を
作り出す主要素であると考えられる。
そこで、本発明は、コーヒー豆に含まれる各成分含有
率を短時間で測定し、これにより、客観的なコーヒー豆
の品質評価値を求めようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によるとコーヒー豆の一定量に含まれる成分含
有率を、主波長が、1680nm,1818nm,1840nm,1904nm,1940
nm,2100nm,2180nm,2190nm,2230nm,2310nmの各主波長時
の半値幅が20nmの近赤外線のうち、複数個の波長帯を使
った近赤外分光分析法による吸光度測定値と、含有率の
計算のために既知のコーヒー豆の化学成分分析等により
測定した成分含有率と前記既知のコーヒー豆の前記近赤
外分光分析法による吸光度測定値とによりあらかじめ定
めた成分換算係数とによって求め、更に、この含有率
と、既知のコーヒー豆の官能試験等により得られる特性
値と前記既知のコーヒー豆の成分含有率とによりあらか
じめ定めた官能評価係数とによって酸味・苦味・渋み・
甘味・香り等の特性評価値うち少なくともいずれか1つ
の特性評価値を演算するコーヒー豆の品質評価方法によ
り前記課題を解決するための手段とした。
〔作用〕
コーヒー豆を粉砕し、この試料豆中に含まれる、コー
ヒーの味・風味を作り出す主要素であるタンパク質、脂
質、ショ糖、水分及びクロロゲン酸等の含有率を近赤外
分光分析方法によって測定する。すなわち、前記被測定
成分の含有率測定に適する特定波長のみを通過させる狭
帯域通過フィルターによって試料豆の吸光度を測定し、
この検出値と、あらかじめ多重回帰分析法により求めた
含有率計算のための成分評価係数とによって前記各成分
の含有率を求め、更にこの値と、あらかじめ官能試験等
で得られた特性値との相関に基づいて得た、品質評価の
ための特性評価係数とによって特性評価値を算出するも
のである。
〔実施例〕
以下、本発明のコーヒー豆の品質評価方法に係るコー
ヒー豆の品質評価装置の例を、添付図面第1図ないし第
3図を参照しながら説明する。
第1図は本発明によるコーヒー豆の品質評価装置1を
正面から見たときの概略図である。キャビネット2の内
部には、その詳細な構成は次の第2図を参照して説明す
る近赤外分光分析装置3及び制御装置4が配設される。
キャビネット2の前面パネルには、被測定コーヒー豆を
入れる試料容器(試料配置部)を装着するための試料容
器装置箱5、装置の操作手順や演算結果等を可視表示す
る発光ダイオード又はCRT形式の表示装置6、操作用プ
ッシュボタン7及び演算結果のハードコピーを可能とす
るプリンター8が配設される。制御装置4は、近赤外分
光分析装置3の光源、検出器、表示装置6、操作用プッ
シュボタン7、プリンター8等に接続され各種信号を処
理するための入出力信号処理装置4aと、各成分の含有率
を計算するための成分換算係数値、品質評価値を計算す
るためにコーヒー豆の主成分ごとに個別に設定された特
定係数、入力装置(キーボード)9を介入して入力され
る各種補正及び各種制御手順等を記憶するための記憶装
置4bと、近赤外分光分析装置3により得られる測定値と
前記特定係数とに基づきコーヒー豆の特性評価値等を演
算するための演算装置4cとから成る。なお、コーヒー豆
の主要成分ごとに個別に設定される特定係数や必要な補
正値が、記憶装置4b内の読み出し専用のメモリ(以下、
ROMと言う)に予め記憶されている。また、プリンター
8は内蔵型に限られず、外部接続型であっても構わな
い。
ところで、試料に照射される近赤外線が試料に吸収さ
れるのは分子を構成する原子の連鎖が熱エネルギーによ
り振動するために起こる現象であり、原子の種類と連鎖
状態により固有振動数が異なるために、近赤外線の波長
域で振動の大きさが変化して熱吸収を生じる。また、試
料が初期に持っている熱エネルギーが少ない場合(温度
が低い場合)には、振動が小さいために分子構造の違い
による吸収量が正確に測定されないので温度の補正をす
る必要が生じる。通常、20℃以上の場合は補正を要しな
い。
温度設定器77は近赤外分光分析装置1を恒温に調整す
るもので、低温の場合加温装置78を動作させ通常25℃に
設定する。これは、前記試料温度の変化を防止するため
と、電気回路の温度による誤差をなくする目的を有する
ものである。
第2図は、キャビネット2の内部に配設される近赤外
分光分析装置3の一実施例の要部断面図である。図示さ
れる近赤外分光分析装置3は反射式のものであり、主な
る構成部品として、光源31、反射鏡32、狭帯域通過フィ
ルター33、積分球34及び検出器35a,35bを有する。光源3
1から発せられ、適当な光学系(図示せず)を通って平
行光線となった光は、狭帯域通過フィルター33を通過す
ることにより特定波長の近赤外光となった後、傾斜角度
を自由に変え得るように構成された反射鏡32により、積
分球34の上部を開口して設けられた採光窓36に向けて方
向を変えられる。反射鏡32で反射し、積分球34の採光窓
36を介して積分球34の内部に入った近赤外光は、積分球
34の底部を開口して設けられた測定部37に照射され、つ
まり従って試料容器装着箱5の後方所定位置に搭載され
る試料容器52内のコーヒー豆55に真上から照射される。
コーヒー豆55からの拡散反射光は、積分球34の内部に反
射しながら、最終的には、測定部37を中心に対象な位置
に配設される一対の検出器35a,35bに到達し、これによ
り反射光の強度が測定される。なお、前記試料容器52下
部の試料容器装着箱5には試料容器の温度を測定するセ
ンサー79を設け、前記温度設定器77について詳述した通
り試料温度により分析値を補正するものである。また図
示実施例では、光学的な対称性を修正し、コーヒー豆55
からの反射光を効率良く受光するために検出器は一対、
即ち参照番号35aと35bで示される二個が設けられている
が、その数は二個に限られることなく、一個であっても
又は三個以上の検出器であっても構わない。
ここで、光源31と反射鏡32との間に設けられ、光源31
から出た光がこれを通過することにより特定波長の近赤
外光となる狭帯域通過フィルター33の構成及びこれに要
求される物理的特性等を説明する。狭帯域通過フィルタ
ー33は、それぞれが異なる主波長通過特性を有する任意
複数個のフィルター(例えば、10個のフィルター33a〜3
3j)からなり、これらを回転円盤に取り付けこれを適当
角度づつ回動させることにより、光源31と反射鏡32とを
結ぶ線上に所望のフィルターが位置するように順次選択
・交換できる構成とする。なお、フィルターの通過特性
で主波長とは、フィルターの面に対して入射光軸が直角
の時に透過する近赤外線のうちの最大透過波長のことで
ある。狭帯域透過フィルター33の他の具体的構成例とし
ては、角柱状の反射鏡32を内部に位置させ、その反射鏡
の各面に対向する位置に複数個のフィルター33a〜33jを
それぞれ位置させて角柱状に構成しこれを回転可能とす
る構成もある。なお、狭帯域通過フィルター33が円板状
のものであるとき、入射光軸に対するその回転面の傾斜
角度を、電動機等の手段により微細に且つ連続的に調整
できるようにしておけば、各フィルターが持つ通過特性
の主波長からシフトした異なる波長の近赤外光を連続的
に作り出すことができる。これは、一般的に良く知られ
ている現象であるが、フィルターの面に対する入射光軸
の角度を90°から変化させると、その角度変化に応じて
最大透過波長から数十nmの範囲でシフトする現象によ
る。
次に、狭帯域通過フィルター33に要求される物理的特
性を第3図に基づき説明する。第3図は、異なるコーヒ
ー豆に対して波長が連続的に変化する近赤外線光を照射
したときの、照射波長と吸光度との関係示すグラフ(吸
光度曲線)である。吸光度log I0/Iは、基準照射光量
(全照射光量)I0に対する試料豆からの反射光量Iの
比の逆数の常用対数である。前記各成分の含有量の多少
が吸光度差として顕著に現れていることが容易に理解で
きる。本発明はこの現象を利用してコーヒー豆に含まれ
る所定の成分の含有率を測定するものであるため、測定
のためにコーヒー豆に照射される近赤外光の波長として
は、波長領域1100〜2500nmのうち、各成分に対して吸光
度曲線上特異的なピークが見られる(本実施例では1680
nm,1818nm,1840nm,1904nm,1940nm,2100nm,2180nm,2190n
m,2230nm,2310nmとする)。従って、狭帯域通過フィル
ター33が備える各フィルター33a〜33jは、コーヒー豆に
含まれる各成分の測定に適した前記各波長の近赤外光を
作るべく、前記各波長を特定通過特性、即ち主波長とし
て持つことが要求される。
次に、上記構成を有する本発明のコーヒー豆の品質評
価装置の具体的動作を説明する。まず、操作用プッシュ
ボタン7の操作により光源31を点灯させ、光源31から発
せられた光に基づく測定部37に到達する特定波長の近赤
外光が安定するまで、近赤外分光分析装置3の全体を加
温装置78等で予熱する。予熱のための所定時間が経過し
たら、試料容器装着箱5を装置のキャビネット2から一
旦引き出し、粉砕したコーヒー豆の試料55を充填した試
料容器52を所定位置に載置させた後、キャビネット2内
に挿入することにより測定準備を完了する。このとき試
料容器装置箱5の温度センサー79は試料容器52の温度を
測定する。なお、コーヒー豆55は、測定値に誤差が生じ
ないようにするために、その粒子の大きさが約50ミクロ
ン如何に粉砕されていることが望ましいが、必ずしも粉
砕しなければならないものではない。また、乱反射によ
る光のロスを少なくする為に、粉砕されたコーヒー豆55
は、その表面が平坦面となるような状態で試料容器52に
充填されること、さらに、透明ガラス板で多少圧力を加
えながらその表面を覆うことが好ましい。
前記測定準備作業が完了したら、次に、最初に1680nm
を主波長として持つフィルター33Aが光源31と反射鏡32
とを結ぶ線上に来るように選択され、波長1680nmの近赤
外光をコーヒー豆55に対して照射したときの反射吸光度
の測定作業に入る。反射吸光度の測定作業は、コーヒー
豆55に対して照射される全照射量、即ち基準光量の測定
と、コーヒー豆55に対して前記基準照射光量を照射した
時にコーヒー豆55で実際に反射される反射光量の測定と
の2つの測定からなる。1つのフィルターについてこれ
から2つの測定のどちらかを先に実施しても構わない
が、以下の説明では、基準照射光量の測定の方が先に実
施されるものとして説明する。基準照射光量の測定は、
傾斜角度が可変に構成された反射鏡32の傾斜角度を、こ
れからの反射光が積分球34の内壁に直接当たるような角
度に、電動機等を用いた回動手段(図示せず)により変
えた状態で実施される。こうすることにより、積分球34
の内壁に直接当てられた反射鏡32からの光は、内壁を多
方向に拡散反射しながら最終的には検出器35a,36bに到
達し、基準照射光量として検出される。一方コーヒー豆
55からの反射光量の測定は、反射鏡32の傾斜角度が第2
図に示す元の位置に戻された後、前述した原理により行
われる。なお、測定準備完了後の最初のフィルターの選
択、基準照射光量の測定及び反射光量の測定までの各実
行は、制御装置4の記憶装置4b内のROMに手順プログラ
ムを記憶させ、そのプログラムに従って自動的に行える
ようにできることは言うまでもない。また、1つのフィ
ルターについての前述基準照射光量及び反射光量の各測
定をそれぞれ複数回実施し、測定値としてそれらの平均
を採れるようにすることも測定精度を上げるのに役立
つ。検出器35a,35bによって検出された基準照射光量及
びコーヒー豆55からの反射光量に基づく各測定値は、コ
ーヒー豆に含まれる蛋白質,ショ糖,脂質,クロロゲン
酸,水分等の各含有率を計算するたの実測データとして
制御装置4に連絡され、記憶装置4b内の書き込み可能な
メモリ(以下、RAMと言う)に一旦記憶される。
照射波長1680nmにおける吸光度の測定が終了したら、
次に照射波長、即ち本実施例の場合1818nmでの吸光度の
測定に移行する。ここでも。基準照射光量の測定及び反
射光量の測定が、前述1680nmでのときと同じ方法及び手
順で実施される。各測定値は、前回と同様に、各成分の
含有率計算のための実測データとして制御装置4に連絡
され、記憶装置4b内のRAMに一時記憶される。以下同様
に、残りの各吸光度測定、即ち、波長1840nm,1904nm,19
40nm,…2310nmでの吸光度測定が順次行われ、各測定値
は、実測データとして制御装置4に連絡され、RAMに記
憶される。なお、ある特定波長での吸光度測定が終わり
次の特定波長での吸光度測定への移行に伴う狭帯域通過
フィルター33の各フィルター33a〜33jの交換・選択動作
は、通常、制御装置4の記憶装置4b内のROMに予め書き
込まれている手順プログラムに従い自動的に行われる
が、本実施例の場合でも、必ずしも上記10波長全てにつ
いて吸光度測定を行わなければならない訳ではなく、測
定の対象となる波長は、求める特性評価値に要求される
精度或いは測定に係る所要時間等を考慮して任意に選択
することができ、その選択は、操作用プッシュボタン7
内の測定波長選択ボタンにより行うことができる。
これまで説明した吸光度の測定は、単に狭帯域通過フ
ィルター33に設定された10個のフィルター33a〜33jを順
次交換することにより、各フィルター33a〜33jが持つ各
主波長でのスポット的吸光度の測定方法であったが、前
述した通りフィルターの面に対する入射光の入射角度を
基準となる90°から変化させると、最大透過波長が主波
長から数十nmの範囲でシフトするという現象を利用し
て、成分含有量の差が吸光度差に顕著に現れる波長領域
1100nm〜2500nmでの連続的な吸光度測定も可能である。
図示第1実施例の場合、円板状に構成された狭帯域通過
フィルター33への入射光軸の角度を、制御装置4からの
指令信号に基づき電動機等の適当な調節手段(図示せ
ず)により微細に且つ連続的に変化させることによりこ
れが可能である。
次に、制御装置4の演算装置4cは、記憶装置4bのRAM
に記憶されている吸光度測定で得られた多数の実測デー
タ、即ち各測定波長における基準照射光量及び反射光量
の測定値と、記憶装置4bのROMに予め記憶されている各
成分の含有率計算のための成分換算係数値とに基づき、
コーヒー豆の品質を評価する上で重要な成分である蛋白
質,ショ糖,脂質,クロロゲン酸,水分等の各含有率を
計算する。なお、各成分に関して記憶装置4bのROMに予
め書き込まれるこの成分換算係数値は、多数のコーヒー
豆に対して例えば化学定量分析法を用いて測定された各
成分の含有率を基準に、検出器からの吸光度測定値を信
号処理し、多重回帰分析法により求められた定数であ
る。
ここで成分換算係数を求める重回帰分析について一例
を示す。たとえば10個のフィルター1680nm,1818nm,1840
nm,1904nm,…2230nm,2310nmを使用してコーヒー豆の一
成分蛋白質について検出器で吸光度測定を行ったとき、
次の線型関係が成立するのとする。
蛋白質1=F0+F1・log1/R(1680)1+F2・log1/R(181
8)1+F3・1/R(1840)1+…+F10log1/R(2310)1+ε
1 このとき蛋白質n :コーヒー豆成分蛋白質の原子吸光分
析法による含有率パーセント。
F0〜F10 :重回帰分析による成分換算係数値。
log1/R(1680)n〜log1/R(2310)n:1680〜2310のフィ
ルターにそれぞれ対応する吸光度(Iog値)。
εn :誤差。
である。
同様にしてn個の試料について吸光度分析を行ない重
回帰式に代入すると、 蛋白質1=F0+F1・log1/R(1680)1+F2・log1/R(181
8)1+……+F10・log1/R(2310)1+ε1 蛋白質2=F0+F1・log1/R(1680)2+F2・log1/R(181
8)2+……+F10・log1/R(2310)2+ε2 蛋白質n=F0+F1・+log1/R(1680)n F2・log1/R(1818)n+…+F10・log1/R(2310)n+εn となり、上記n個の重回帰式により重回帰分析を行いF0
〜F10の成分換算係数値を求めると、たとえば、 蛋白質 =3.17−515.83・log1/R(1904)+325.84・log1/R(19
40)−72.58・log1/R(2100)−768.55・l0g1/R(218
0)+294.02・log1/(2230)−85.53・log1/R(2310) となり、検出器で蛋白質の吸光度測定を行う関係式が成
立する。
ここでフィルター1680,1818,1840,2190のlog値は、重
回帰分析によりそのF値が0となるため使用されないこ
とを意味する。
このように10個のフィルター、つまりそのlog値をす
べて使用することに限られるものではなく、それぞれの
成分を分析するにあたり、ある成分には3個のフィルタ
ーをある成分には5個のフィルターを使用することが最
適となる場合がある。
ただし、この複数個のフィルターに必ず含まれなけれ
ばならないフィルターは第2表の通りである。
これらのフィルター、とくに第2表中※印をつけた蛋
白質の2180nm、脂質の2310nm、水分の1940nmは一般的に
近赤外線吸光度分析法では既知の波長帯であるが、コー
ヒー豆の前記成分を測定する場合、化学分析による値
と、近赤外線吸光度分析値により演算される値との相関
関数(R)は、第4図(イ),(ロ),(ハ)に示す通
り非常に低いものであり、前記1波長帯だけでの測定で
はコーヒー豆の品質評価には使用できないものである。
(第1表、最下段に既知のフィルターによる相関係数
(R)を示す。)従って各成分を測定するために、前記
既知の波長帯を中心に相関係数(R)を高める複数個の
フィルターを選択使用することが必要となる。
ここで本実施例に使用する各成分測定のための、各成
分に対するフィルターを0印で第3表に示す。
この第3表には、各成分に対するフィルターを各6個
使用する例を示したが、その他にも2個〜5個の組み合
わせも考えられるが、あくまでも第1表のフィルターは
基本的に複数個の内の1つとして組み込むものである。
ところで、前記フィルター1680〜2310のフィルター
は、一実施例を示したものであり、正確を期するために
の最適フィルターの選定は、前記回帰分析を1100nm〜25
00nmの波長域で細分化した波長域、たとえば2nm間隔で
得た吸光度を用いて行列的に全てを組み合わせて見い出
すものである。
次に10個のフィルターを用いてコーヒー豆の一成分、
脂質について検出器でn個の試料の吸光度測定を行なっ
て、前記一成分、蛋白質同様次式が成立する。
脂質=F0+F1・log1/R(1680)+F2・log1/R(1818)+
…+F10・log1/R(2310) ここでF0,F1,…,F10は一成分脂質の成分換算係数
値である。
以上のごとく各成分において重回帰分析を行ないそれ
ぞれの成分換算係数を求めて、各成分の含有率を、検出
器の吸光度測定と前記成分換算係数による重回帰式とに
より求める。
ここで前記求めた成分換算係数により成立するそれぞ
れの成分の重回帰式で求めた各成分値と、化学分析によ
る成分値との相関を第5図(イ),(ロ),(ハ)に示
す。成分は蛋白質、脂質、水分を第4図との比較で示
す。(第3表、最下段に第5図の相関係数(R)を示
す) 演算装置4cは次に、上述の如くして求められた蛋白
質,ショ糖,脂質,クロロゲン酸,水分等の各含有率に
基づき、計算式により特性評価値を計算する。
次に特性評価係数を求める重回帰分析について一例を
示すが、前述の成分換算係数の場合と概略同様である。
この成分換算係数により求められた各成分つまり、蛋白
質,ショ糖,脂質,クロロゲン酸,水分等の含有率によ
りコーヒーの酸味・苦味・渋み・甘味・香り・コクとい
った特性が左右されることは明らかであり、たとえば、
コーヒー豆のクロロゲン酸を中心としたタンニン成分は
酸味と苦味を呈する。また蛋白から形成されるジケトピ
ペラジン類はコーヒーににがみを呈することなどがあげ
られる。たとえば、あるコーヒーサンプルの酸味につい
て次の関係式が成立すれば 酸味=G0+G1・Y1+G2・Y2+… +Gn-1Yn-1+GnYn+ε ここで G0〜Gn:重回帰分析による官能評価係数 Y1〜Yn:コーヒー豆のn種類の各成分含有量 酸味 :官能試験等による特性値 ε :誤差 となり、複数個のコーヒーサンプルの特性値と検出器に
よる各成分含有量との重回帰式により重回帰分析を行い
G0〜Gnの特性評価係数を求めると、 酸味の特性評価値=G0+G1Y1+……+Gn・Yn となり、このように他の特性項目、たとえば苦味,甘
味,香り,コク等についても複数個のコーヒーサンプル
より特性評価係数を求めるものである。このようにして
求められた特性評価係数と各成分の含有量とにより特性
評価値を求めることになる。
上記求められた特性評価係数と特性評価の計算式で計
算された特性評価値は、演算装置4cでの計算終了と同時
に、表示装置6に可視表示されると共に、自動的に又は
操作用プッシュボタン7への指令に基づきプリンター8
からハードコピーとして繰り出される。また、特性評価
値を求める途中の過程で求められた蛋白質,ショ糖,脂
質,クロロゲン酸,水分等の各成分の各含有率を、特性
評価値と共に表示装置6に同時に可視表示させてもよ
い。
本品質評価装置により計算された各コーヒー豆の成分
含有率及び特性評価値は、フロッピーディスク等の磁気
媒体を用いた外部記憶装置にデータとして記憶しておく
ことができ、また、上記複数種類のコーヒー豆のブレン
ド比率の計算時等では、外部記憶装置からデータを本装
置内の記憶装置4bのRAMに読み込んで、これに基づき必
要な計算を行うことも可能である。
なお、上記の説明では、コーヒー豆を粉砕したものを
用いたが、必ずしも粉砕したものでなくても構わない。
しかし、この場合、得られる特性評価値の精度がある程
度低下することは言うまでもない。
さて前記品質評価装置によるコーヒー豆の分析には該
コーヒー豆を粉砕して分析するが、このコーヒー豆の粉
砕には、金網内で高速回転する粉砕翼からなる、いわゆ
る遠心型の試料粉砕装置が用いられる。
上述例の品質評価装置では、コーヒー豆に特定波長の
近赤外光を照射したときの吸光度の測定を、コーヒー豆
からの反射光の強度を測定することにより行う反射式の
近赤外分光分析装置を用いたが、コーヒー豆を透過して
きた透過光の強度を測定することにより行う透過式の近
赤外分光分析装置を用いることもでき、さらには、反射
光及び透過光の両方に基づき吸光度の測定を行うより精
密な近赤外分光分析装置とすることができる。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、本発明によるコーヒー豆の品質
評価方法によれば、個人差のある味覚に基づく官能試
験、あるいは時間がかかり、熟練を要する化学定量分析
等の方法によることなく、誰でもが容易に且つ短時間で
正確なコーヒー豆の特性評価値を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による実施例のコーヒー豆の品質評価装
置の正面概略図、第2図は第1図の品質評価装置に用い
られる近赤外分光分析装置の要部側断面図、第3図は銘
柄の異なるコーヒー豆に対する近赤外線照射波長と吸光
度との関係を示すグラフ(吸光度曲線)、第4図は単一
フィルターにより求めた成分値と化学分析値との相関
図、第5図は複数フィルターにより求めた成分値と化学
分析値との相関図である。 図において、1……コーヒー豆の品質評価装置、2……
キャビネット、3……近赤外分光分析装置、4……制御
装置、4a……入出力信号処理装置、4b……記憶装置(RO
M,RAM)、4c……演算装置、5……試料容器装着箱、6
……表示装置、7……操作用プッシュボタン、8……プ
リンター、9……入力装置(キーボード)、31……光
源、32……反射鏡、33……狭帯域通過フィルター、33a
〜33f……フィルター、34……積分球、35a,35b……検出
器、36……採光窓、37……測定部、52……試料容器、55
……試料(コーヒー豆)、77……温度設定器、78……加
温装置、79……温度センサー。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−167243(JP,A) 特開 昭62−291546(JP,A) 特開 昭63−33644(JP,A) 特開 昭62−299743(JP,A) 特開 昭62−186951(JP,A) 特開 昭63−188743(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コーヒー豆の一定量に含まれる成分含有率
    を、主波長が1680nm,1818nm,1840nm,1904nm,1940nm,210
    0nm,2180nm,2190nm,2230nm,2310nmであり且つ各主波長
    時の半値幅が20nmの近赤外光のうち、複数個の波長帯を
    使った近赤外分光分析法による吸光度測定値と、含有率
    計算のために既知のコーヒー豆の化学成分分析等により
    測定した成分含有率と前記既知のコーヒー豆の前記近赤
    外分光分析法による吸光度測定値とによりあらかじめ定
    めた成分換算係数と、によって求め、該求めた成分含有
    率と、既知のコーヒー豆の官能試験等により得られる酸
    味・苦味・渋み・甘味・香りを含む特性値と前記既知の
    コーヒー豆の成分含有率とによりあらかじめ定めた特性
    評価係数と、によって、酸味・苦味・渋み・甘味・香り
    を含む特性評価値のうち少なくともいずれか1つの特性
    評価値を演算することを特徴とするコーヒー豆の品質評
    価方法。
  2. 【請求項2】前記複数の波長帯は各波長を主波長とした
    複数の狭帯域フィルターを切り換えて得られるものであ
    る請求項(1)記載のコーヒー豆の品質評価方法。
  3. 【請求項3】前記複数の波長帯は1100nm〜2500nmの波長
    域を走査して得られるものである請求項(1)記載のコ
    ーヒー豆の品質評価方法。
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