JP2757021B2 - 近赤外線分光分析方法 - Google Patents

近赤外線分光分析方法

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JP2757021B2 JP15142289A JP15142289A JP2757021B2 JP 2757021 B2 JP2757021 B2 JP 2757021B2 JP 15142289 A JP15142289 A JP 15142289A JP 15142289 A JP15142289 A JP 15142289A JP 2757021 B2 JP2757021 B2 JP 2757021B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は狭帯域フィルターを透過した複数波長の近赤
外線により得られる吸光度により試料の成分値または品
質を分析する近赤外線分光分析方法に関する。
〔従来の技術〕
従来の近赤外線分光分析方法において、特に狭帯域フ
ィルターを用いた、いわゆる固定式フィルターの近赤外
線分光分析装置は、1000nm〜2600nmの波長を連続的に照
射するスキャニング式の近赤外線分光分析装置に比較し
て、狭帯域フィルターにより限定された波長のみを使用
するため、分析時間も短時間で終了するという特徴があ
った。
つまり、分析する試料の品質の違いによる吸光度の変
化は、特定の波長域に限られ、特に試料の品質の違いが
顕著に現れる波長または波長域は複数個に限定されるこ
とが多い。したがって、常時同一種の試料を分析する場
合、試料の品質差が吸光度の差として顕著に現れる波長
のみを透過する狭帯域フィルターを設けた近赤外線分光
分析装置により、必要とされる波長域の吸光度のみを測
定し、求める試料の成分または品質を短時間に分析する
ことができる。
また近赤外線分光分析装置には、複数個の狭帯域フィ
ルターと、このフィルターを必要に応じて取り替える装
置があればよく、スキャニング式のように連続した照射
波長を作り出すための微細に且つ連続的に調整する装置
を必要とせず、安価に製造することができた。
ところで近赤外線を使った分布において現在最も問題
とされているのは、試料の粉砕粒度と温度である。試料
の温度は、試料中の水分に直線影響する。また測定を行
なう境界温度の変化は、近赤外線分光分析機の光学的お
よび電気的ノイズの発生と、ドリフトを大きくして分析
値の精度を大きく低下させる原因となる。
更に、試料の粒度、粒径は小さいほど試料の表面反射
率は増加し、吸光度は小さくなる。逆に、粒度、粒径が
大きいほど試料の表面反射率は低下し、吸光度は大きく
なるものであった。
この問題点に対し、先のスキャニング式近赤外線分光
分析においては、ほぼ連続した波長(2nm間隔)により
吸光度を分析するため、その結果は連続スペクトルとし
て表現でき、たとえばこの連続スペクトルは約2000〜40
00点に分割したデータの配列として記録されることにな
る。
この多くのデータ利用して、まずスペクトル中のノイ
ズの影響を消去する平均化処理、数学的演算処理を容易
にする収縮処理等の様々な処理が行われ、こうして得ら
れた値を試料の成分値または品質との重回帰式の変数に
使うことで高い精度の分析値を求めることが可能であ
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、固定式近赤外線分光分析においては分析装
置から得られる吸光度は連続的でなく任意複数個の特定
波長に対する吸光度だけである。したがって、先のスキ
ャニング式近赤外線分光分析のような連続的スペクトル
を得ることができないために、スキャニング式のものと
同様に吸光度処理を行うことができない。したがって、
周辺機器を整備して分析装置の環境、試料温度の安定化
と試料の粉砕粒度の管理を行なわなければならないとい
う問題点があった。
つまり本発明においては、試料の粉砕粒度・粒径と試
料温度、および環境温度等の影響を受けることなく、常
に安定した近赤外線分光分析方法を見い出すことを技術
的課題とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によると、試料に対して近赤外線光を照射した
とき、試料の品質差が吸光度差として顕著に現れる波長
のみを透過する少なくとも3個以上の狭帯域フィルター
を備えた近赤外線分光分析装置による近赤外線分光分析
方法であって、前記複数個の狭帯域フィルターを通過し
た少なくとも3波長以上の近赤外線により得られる波長
ごとの吸光度の内、任意の3波長の吸光度から二次曲線
を求め、該二次曲線を二次微分して得られる波長ごとの
値を重回帰式の説明変数として重回帰分析を行ない、前
記試料の品質を分析する近赤外線分光分析方法により前
記技術的課題を解決するための手段とした。
〔作 用〕
本発明によると、試料に対して近赤外線光を照射した
とき、試料の品質差が吸光度差として顕著に現れる波長
のみを透過する少なくとも3波長以上の近赤外線より得
られる吸光度の内、任意の3波長の吸光度の値により一
意的に求められる二次曲線を二次微分した値は、試料の
粒度・粒径または試料とその周辺との温度影響を受ける
ことなく求めることができる。
つまり、3波長の吸光度より求められる二次曲線を二
次微分すると2乗の項のみが残り、これまで一次関数で
求めた値が受けてきた粒度・粒径、温度による影響は、
先の3波長により求めた二次曲線を二次微分した値に含
まれることはない。
したがって、二次微分した値は、任意の3波長の吸光
度の二次曲線より一時的に求められるものであり試料の
粒度・粒径、温度の影響を受けない重回帰式の説明係数
として作用し、既知の試料の品質または成分値との重回
帰分析により、品質評価係数または成分換算係数などの
特定係数を求め、未知の試料を固定式フィルターの近赤
外線分光分析装置により分析した値と先の係数との演算
により求めた値は、環境又は試料の粒度・粒径、温度の
影響を受けない値であり、固定式フィルターの近赤外分
光分析装置においても本発明の近赤外線分光分析方法に
より、安定した外乱を受けない分析を行なうことが可能
となった。
〔実施例〕
以下、本発明による近赤外線分光分析方法に係る近赤
外線分光分析装置の実施例を、添付図面第1図ないし第
3図を参照しながら説明する。
第1図は本発明に係る近赤外線分光分析装置1を正面
から見たときの概略図である。キャビネット2の内部に
は、次の第2図を参照して説明する近赤外分光分析装置
3及び制御装置4が配設される。キャビネット2の前面
パネルには、被測定試料を入れる試料容器(試料配置
部)を装着するための試料容器装着箱5、装置の操作手
順や演算結果等を可視表示する発光ダイオード又はCRT
形式の表示装置6、操作用プッシュボタン7及び演算結
果のハードコピーを可能とするプリンター8が配設され
る。制御装置4は、近赤外線分光分析装置3の光源、検
出器、表示装置6、操作用プッシュボタン7、プリンタ
ー8等が接続され、各種信号を処理するための入出力信
号処理装置4aと成分又は品質評価値を計算するために試
料の成分又は品質ごとに個別に設定された特定係数、入
力装置(キーボード)9を介して入力される諸条件とな
る成分又は品質別の価額、各種補正及び各種制御手順等
を記憶するための記憶装置4bと、近赤外分光分析装置3
により得られる測定値と前記特定係数とに基づき試料の
成分又は品質評価値等を演算するための演算装置4cとか
ら成る。なお、試料の成分又は品質評価値ごとに個別に
設定される特定係数や必要な補正値が、記憶装置4b内の
読み出し専用のメモリ(以下、ROMと言う)に予め記憶
されている。また、プリンター8は内蔵型に限られず、
外部接続型であっても構わない。
ところで、試料に照射される近赤外線が試料に吸収さ
れるのは分子を構成する原子の連鎖が熱エネルギーによ
り振動するために起こる現象であり、原子の種類と連鎖
状態により固有振動数が異なるために、近赤外線の波長
域で振動の大きさが変化して熱吸収を生じる。また、試
料が初期に持っている熱エネルギーが少ない場合(温度
が低い場合)には、振動が小さいために分子構造の違い
による吸収量が正確に測定されないので温度の補正をす
る必要が生じる。通常、20℃以上の場合は補正を要しな
い。
温度設定器77は近赤外分光分析装置1を恒温に調整す
るもので、低温の場合加温装置78を動作させ通常25℃に
設定する。これは、前記試料温度の変化を防止するため
と、電気回路の温度による誤差をなくする目的を有する
ものである。
第2図、キャビネット2の内部に配設される近赤外線
分光分析装置3の一例の要部断面図である。図示される
近赤外線分光分析装置3は反射式のものであり、主なる
構成部品として、光源31、反射鏡32、狭帯域通過フィル
ター33、積分球34及び検出器35a,35bを有する。光源31
から発せられ、適当な光学系(図示せず)を通って平行
光線となった光は、狭帯域通過フィルター33を通過する
ことにより特定波長の近赤外光となった後、傾斜角度を
自由に変え得るように構成された反射鏡32により、積分
球34の上部を開口して設けられた採光窓36に向けて方向
を変えられる。このように反射鏡32で反射し、積分球34
の採光窓36を介して積分球34の内部に入った近赤外光
は、積分球34の底部を開口して設けられた測定部37に照
射される。従って試料容器装着箱5の後方所定位置に記
憶される試料容器52内の試料55に真上から照射される。
試料55からの拡散反射光は、積分球34の内部に反射しな
がら、最終的には、測定部37を中心に対象な位置に配設
される一対の検出器35a,35bに到達し、これにより反射
光の強度が測定される。なお、前記試料容器52下部の試
料容器装着箱5には試料容器の温度を測定するセンサー
79を設け、前記温度設定器77について詳述したり通り試
料温度による分析値を補正するものである。また図示実
施例では、光学的な対称性を修正し、試料55からの反射
光を効率良く受光するために検出器は一対、即ち参照番
号35aと35bで示される二個が設けられているが、その数
は二個に限られることなく、一個であっても又は三個以
上の検出器であっても構わない。
ここで、光源31と反射鏡32との間に設けられ、光源31
から出た光がこれを通過することにより特定波長の近赤
外光となる狭帯域通過フィルター33の構成及びこれに要
求される物理的特性等を説明する。狭帯域通過フィルタ
ー33は、それぞれが異なる主波長通過特性を有する任意
複数個のフィルター(例えば、6個のフィルター33a〜3
3f)からなり、これらを回転円盤に取り付けこれを適当
角度づつ回動させることにより、光源31と反射鏡32とを
結ぶ線上に所望のフィルターが位置するように順次選択
・交換できる構成とする。なお、フィルターの通過特性
で主波長とは、フィルターの面に対して入射光軸が直角
の時は透過する近赤外線のうちの最大透過波長のことで
ある。
次に、狭帯域通過フィルター33に要求される物理的特
性を第3図に基づき説明する。第3図は、異なる試料に
対して波長が連続的に変化する近赤外線光を照射したと
きの、照射波長と吸光度との関係を示すグラフ(吸光度
曲線)である。吸光度log Io/Iは、基準照射光量(全照
射光量)Ioに対する試料からの反射光量Iの比の逆数の
常用対数である。前記各成分の含有量の多少が吸光度差
として顕著に現れていることが容易に理解できる。本発
明はこの現象を利用して任意波長における試料の吸光度
を測定するものであるため、測定のために試料に照射さ
れる近赤外光の波長としては、波長領域1100〜2500nmの
うち試料の成分又は品質により吸光度曲線上特異的なピ
ークが見られる(本実施例ではP1mn,P2mn…P6mnとす
る)波長帯で吸光度を測定する。従って、狭帯域通過フ
ィルター33が備える各フィルター33a〜33fは、試料に含
まれる成分又は品質評価値の演算に適した前記各波長の
近赤外光を作るべく、前記各波長を特定通過特性、即ち
主波長として持つことが要求される。
次に、上記構成を有する本発明に係る赤外線分光分析
装置の具体的動作を説明する。まず、操作用プッシュボ
タン7の操作により光源31を点灯させ、光源31から発せ
られた光に基づく測定部37に到達する特定波長の近赤外
光が安定するまで、近赤外分光分析装置3の全体を加温
装置78熱で予熱する。予熱のための所定時間が経過した
ら、試料容器装着箱5を装置のキャビネット2から一旦
引き出し、粉砕した試料の試料55を充填した試料容器52
を所定位置に載置させた後、キャビネット2内に挿入す
ることにより測定準備を完了する。このとき試料容器装
置箱5の温度センサー79は試料容器52の温度を測定す
る。なお、試料55は、測定値に誤差が生じないようにす
るため、その粒子の大きさが約50ミクロン以下に粉砕さ
れていることが望ましいが、必ずしも粉砕しなければな
らないものではない。また、乱反射による光のロスを少
なくする為に、粉砕された試料55は、その表面が平坦面
となるような状態で試料容器52に充填されること、さら
に、透明ガラス板で多少圧力を加えながらその表面を覆
うことが好ましい。
前記測定準備作業が完了したら、次に、最初にP1nmを
主波長として持つフィルター33Aが光源31と反射鏡32と
を結ぶ線上に来るように選択され、波長P1nmの近赤外光
を試料55に対して照射したときの反射吸光度の測定作業
に入る。反射吸光度の測定作業は、試料55に対して照射
される全照射量、即ち基準光量の測定と、試料55に対し
て前記基準照射光量を照射した時に試料55で実際に反射
される反射光量の測定との2つの測定からなる。1つの
フィルターについてこれら2つの測定のどちらかを先に
実施しても構わないが、以下の説明では、基準照射光量
の測定の方が先に実施されるものとして説明する。基準
照射光量の測定は、傾斜角度が可変に構成された反射鏡
32の傾斜角度を、これからの反射光が積分球34の内壁に
直接当たるような角度に、電動機等を用いた回動手段
(図示せず)により変えた状態で実施される。こえする
ことにより、積分球34の内壁に直接当てられた反射鏡32
からの光は、内壁を多方向に拡散反射しながら最終的に
は検出器35a,35bに到達し、基準照射光量として検出さ
れる。一方試料55からの反射光量の測定は、反射鏡32の
傾斜角度が第2図に示す元の位置に戻された後、前述し
た原理により行われる。なお、測定準備完了後の最初の
フィルターの選択、基準照射光量の測定及び反射光量の
測定までの各実行は、制御装置4の記憶装置4b内のROM
に手順プログラムを記憶させ、そのプログラムに従って
自動的に行えるようにできることは言うまでもない。ま
た、1つのフィルターについての前述基準照射光量及び
反射光量の各測定をそれぞれ複数回実施し、測定値とし
てそれらの平均を採れるようにすることも測定精度を上
げるのに役立つ。検出器35a,35bによって検出された基
準照射光量及び試料55からの反射光量に基づく各測定値
は、制御装置4に連絡され、記憶装置4b内の書き込み可
能なメモリ(以下、RAMと言う)に一旦記憶される。
照射波長P1nmにおける吸光度の測定が終了したら、次
の照射波長、即ち本実施例の場合P2nmでの吸光度の測定
に移行する。ここでも、基準照射光量の測定及び反射光
量の測定が、前述P1nmのときと同じ方法及び手順で実施
される。各測定値は、前回と同様に、実測データとして
制御装置4に連絡され、記憶装置4b内のRAMに一時記憶
される。以下同様に、残りの各吸光度測定、即ち、波長
P3nm,P4nm,P5nm,P6nmでの吸光度測定が順次行われ、各
測定値は、実測データとして制御装置4に連絡され、RA
Mに記憶される。なお、ある特定波長での吸光度測定が
終わり次の特定波長での吸光度測定への移行に伴う狭帯
域通過フィルター33の各フィルター33a〜33fの交換・選
択動作は、通常、制御装置4の記憶装置4b内のROMに予
め書き込まれている手順プログラムに従い自動的に行わ
れるが、本実施例の場合でも、必ずしも上記6波長全て
について吸光度測定を行わなければならない訳ではな
く、測定の対象となる波長は、求める品質評価値に要求
される精度或いは測定に係る所要時間等を考慮して任意
に選択することができ、その選択は、操作用プッシュボ
タン7内の測定波長選択ボタンにより行うことができ
る。
次に、制御装置4の演算装置4cは、記憶装置4bのRAM
に記憶されている吸光度測定で得られた多数の実測デー
タ、即ち測定した各波長における基準照射光量及び反射
光量の測定値の内、任意3波長の測定値から一意的に得
られる二次曲線の二次微分値と、記憶装置4bのROMに予
め記憶されている成分又は品質評価値計算のための特定
係数値とに基づき、試料の成分又は品質評価値を計算す
る。なお、記憶装置4bのROMに予め書き込まれるこの特
定係数値は、多数の試料に対して例えば官能試験等で得
られた成分又は品質評価値と、検出器からの吸光度測定
値の二次微分値との重回帰分析法により求められた定数
である。
ここで本発明である特定係数を求める重回帰分析の説
明変数に用いる二次微分値について一例を示す。たとえ
ば6個のフィルターP1nm,P2nm,P3nm,P4nm,P5nm,P6nmを
使用した試料の吸光度測定値を第4図に示す。
第4図は横軸に近赤外線の波長と縦軸に吸光度とをと
り、各フィルターにより測定された吸光度をプロットし
たものであるが、同一試料で粉砕粒度の異なる試料A,B
のそれぞれの波長に対する吸光度を求めたものである。
このように同一試料であっても、粉砕粒度・粒径や、
試料温度、または環境温度により、各波長に対し求めら
れる吸光度は変化する。しかも、その変化量は波長が長
い程大きくなり一般的に次式で表現される。
変化量をΔr,波長をλとすると、 Δr=mλ+n…(1) (m,nは任意の定数)ここで前述のごとく、スキャニン
グ式の近赤外線分光分析の処理と異なり、本発明におい
ては次のように処理する。
第4図に求めた各波長に対する吸光度の任意の三点を
選択し、該任意三点により一意的に決まる二位曲線を求
める。第4図のAから求めた二次曲線を第5図に示すが
本図においては隣り合った三点で二次曲線を求めた例を
示しているが本例に限らず任意3点であり、またプロッ
トしたそれぞれの点が、いずれかの二次曲線にも必ず含
まれるようにする。
ここに形成された二次曲線A1〜A4の内A1に注目する。
二次曲線A1の二次方程式 S(P)を次のように仮定する。
ここで、(2),(3),(4)をaについて解くと となる。更に試料の粉砕粒度が異なる第4図中Bについ
て、A同様に考える。BにおいてもAと全く同様二次曲
線を仮定するとB1の方程式は次のようになる。
S(P1)=S(P1)+mP1+n ……(6) S(P2)=S(P2)+mP2+n ……(7) S(P3)=S(P3)+mP3+n ……(8) ここで、mP+nは(1)式により求めた粒度・粒径の
影響を受けた変化量であり、第4図中のAとBとの差で
ある変化量ΔrをAに加え、Bにそれぞれ求められる二
次曲線を仮定したものである。
ここで、B1の(6),(7),(8)をaについて解
くと、(5)式の分子だけ次のようになる。
(5)式の分子は、 (P3−P1)(S(P1)+S(P2))+m(P1+P2) −(P1−P2)(S(P3)+S(P1))+m(P3−P1) となり、 =(P3−P1)(S(P1)−S(P2))−(P1−P2)(S(P3)−S
(P1)) +m(P1−P2)(P3−P1)−m(P1−P2)(P3
P1) =(P3−P1)(S(P1)−S(P2))−(P1−P2)(S(P3)−S
(P1)) となる。これは(5)式と同じで粒度・粒径の影響によ
る変化量 Δr=mP+nの項は存在しないことから S(P)″=2aの二次微分による値は粒度・粒径また
は、温度等の影響を受けることはないと証明できる。つ
まり、任意3点の吸光度から一意的に求められる二次曲
線の二次微分値は粒度・粒径または温度等の影響を受け
ない、後に詳述する重回帰分析の説明変数として使用す
ることが可能であり、試料の成分又は品質を求める際の
精度向上に有効に作用するものである。
次に上記説明変数、つまり二次微分値aを用いた重回
帰分析について説明する。
A1〜A4(またはB)によりそれぞれ求められる二次微
分値をa1〜a4とする。このとき次の線型関係が成立する
ものとする。
X=F0+F1a1+F2a2+…F4a4+ε …(9) このとき、X:既知の試料の成分又は品質評価値 F:重回帰分析による特定係数値 a:A1〜A4から求められる二次微分値 ε:誤差 である。
同様にしてn個の試料について吸光度分析を行い
(9)式の重回帰式に代入すると、 X1=F0x+F1x・a11+…F2x・a21+… +F4x・a41+ε X2=F0x+F1x・a12+…F2x・a22+… +F4x・a42+ε Xn=F0x+F1x・a1n+…F2x・a2x+… +F4x・a4n+ε となり、上記n個の重回帰式により重回帰分析を行いF
0x〜F4xの特定係数値を求めると X=F0x+F1x・a1+F2x・a2+… F4x・a4 …(10) となり、試料の成分又は品質評価値と吸光度測定値から
求めた二次微分値との関係式が成立する。
ところで、前記P1〜P6のフィルターは、一実施例を示
したものであり、正確を期するための最適フィルターの
選定は、前記回帰分析を1100nm〜2500nmの波長域で細分
化した波長域、たとえば2nm間隔で得た吸光度を用いて
行列的に全てを組みい合わせて見い出すのである。
また6個のフィルターを用いて他の成分又は品質評価
値についても検出器でn個の試料の吸光度測定を行い前
記同様成分又は品質評価値を求める次の重回帰式が成立
する。
Y=F0y+F1y・a1+F2y・a2+… +F4y・a4 以上のごとく各成分において同様に重回帰分析を行い
試料の特定係数を求めて、成分又は品質評価値を検出器
の吸光度測定で求める。つまり、試料の各成分又は品質
評価値ごとの特定係数を求めると、分析する任意試料の
吸光度値から求めた二次微分値を、たとえば(10)式の
a1〜a4に代入して、先に求めた特定係数値との演算によ
り、成分又は品質評価値を算出するものである。
ところで試料に含有する水分は、粉砕時の粉砕粒度ま
たは近赤外線分光分析時の吸光度等に影響することは明
らかなため、試料の吸光度により二次微分値と特定係数
との演算の際、前記試料の水分値を補正値として演算に
加入するものである。
この水分値も前述の吸光度測定値により求めることが
できる。つまり水の分子式からその固有振動数は明らか
で、波長で1940nmとされていることから、この波長域で
求められる吸光度測定値を基に、記憶装置の水分換算係
数との演算により水分値を求めるものである。この水分
換算係数も、前記吸光度測定値と化学分析等による水分
測定値との関係式から、先の特定係数よりも単純に求め
ることができる。
上記求められた品質評価特定係数と吸光度による二次
微分値の計算式で計算された成分又は品質評価値は、演
算装置4cでの計算終了と同時に、表示装置6に可視表示
されると共に、自動的に又は操作用プッシュボタン7へ
の指令に基づきプリンター8からハードコピーとして繰
り出される。また、成分又は品質評価値を求める途中の
過程で求められた水分等を、成分又は品質評価値と基に
表示装置6に同時に可視表示させてもよい。
以上により求められた成分又は品質評価値を総合的に
評価する総合評価値を求めることができる。
たとえばそれぞれの品質評価値の評価方法を10点満点
評価し、各品質評価値の合計点数を総合評価値とすると
か、各品質評価値の総合評価に対する関与度をそれぞれ
変えてより細かく好みに応じた評価ができるようにした
ものと、様々にその形態は考えられ、最終的に総合評価
として、この試料はその分野においてこのランクに属す
る等の評価値を算定することが可能となり、その基本と
なる前記成分又は品質評価値は本発明により短時間でし
かも人間的要因に左右されない公正な判定とすることが
できる。
本品質評価装置により計算された各試料の成分又は品
質評価値は、フロッピーディスク等の磁気媒体を用いた
外部記憶装置にデータとして記憶しておくことができ、
また、上記複数種類の試料のブレンド比率の計算時等で
は、外部記憶装置からデータを本装置内の記憶装置4bの
RAMに読み込んで、これに基づき必要な計算を行うこと
も可能である。
さて前記品質評価装置による試料の分析には該試料を
粉砕して分析するが、この試料の粉砕には、金網内で高
速回転する粉砕翼からなる、いわゆる遠心型の試料粉砕
装置等が用いられる。
上述実施例の品質評価装置では、試料に特定波長の近
赤外光を照射して行う吸光度の測定の実施例を、試料か
らの反射光の強度を測定することにより行う反射式の近
赤外分光分析装置を例に用いたが、試料を透過してきた
透過光の強度を測定することにより行う透過式の近赤外
分光分析装置を用いることもでき、さらには、反射光及
び透過光の両方に基づき吸光度の測定を行う、より精密
な近赤外分光分析装置とすることもできる。
〔発明の効果〕
以上本発明によると、スキャニング式の連続スペクト
ルを用いた近赤外線分光分析でしか得られなかった試料
の粉砕粒度・粒径と温度または環境温度の影響の消去
を、固定式フィルターの近赤外線分光分析において可能
とし、今までの周辺機器による環境、試料温度の安定化
と、試料の粉砕粒度・粒径の管理等は必要とせず、人的
・外的要因に左右されない精度の高い近赤外線分光分析
を固定式フィルターにおいても実現でき、構造が簡単で
あることから、安価な測定機器であっても、スキャニン
グ式のものと同等の精度を得ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による実施例の品質評価装置の正面概略
図、第2図は第1図の品質評価装置に用いられる近赤外
線分光分析装置の要部側断面図、第3図は異なる試料に
対する近赤外線照射波長と吸光度との関係を示すグラフ
(吸光度曲線)、第4図は本実施例の吸光度を表わす
図、第5図は第4図の吸光度より求めた二次曲線であ
る。 図において、1……品質評価装置、2……キャビネッ
ト、3……近赤外分光分析装置、4……制御装置、4a…
…入出力信号処理装置、4b……記憶装置(ROM,RAM)、4
c……演算装置、5……試料容器装置、6……表示装
置、7……操作用プッシュボタン、8……プリンター、
9……入力装置(キーボード)、31……光源、32……反
射鏡、33……狭帯域通過フィルター、33a〜33f……フィ
ルター、34……積分球、35a,35b……検出器、36……採
光窓、37……測定部、52……試料容器、55……試料(コ
ーヒー豆)、77……温度設定器、78……加温装置、79…
…温度センサー。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料に対して近赤外線光を照射したとき、
    試料の品質差が吸光度差として顕著に現れる波長のみを
    透過する少なくとも3個以上の狭帯域フィルターを備え
    た近赤外線分光分析装置による近赤外線分光分析方法で
    あって、前記狭帯域フィルターを通過した少なくとも3
    波長以上の近赤外線により得られる波長ごとの吸光度の
    内、任意の3波長の吸光度から二次曲線を求め、該二次
    曲線を二次微分して得られる波長ごとの値を重回帰式の
    説明変数として重回帰分析を行ない、前記試料の品質を
    分析することを特徴とする近赤外線分光分析方法。
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