JP2756131B2 - フィブリンの沈着または癒着の予防のための方法および治療学的組成物 - Google Patents

フィブリンの沈着または癒着の予防のための方法および治療学的組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は、手術、感染、炎症または外傷に起因する、
とりわけ腹膜腔または骨盤腔における癒着の形成または
再形成を予防するための方法および組成物に関する。本
発明は、ヒトおよび獣医学的用途に適用される。
背景 手術後の腹腔内癒着の形成、即ち器官および組織表面
の病理学的付着は、腹部手術後の腸閉塞の主な原因であ
る(エリス(H.Elliss,Surg.Gynec.Obstec.,133[197
1]))。通常、癒着は、漿膜の表面に放出された、器
質化されたフィブリン性滲出液からなり、組織または器
官の反対側表面を連結または付着させる。これは、再形
成的卵管手術後の不妊症の原因となる主要な因子でもあ
る(ブットラム(Buttram,V.C.,Fert.and Ster.40:5[1
983]))。腹部手術を受けた全ての人の50−90%が癒
着を発症することが報告されている(コレッティおよび
バッサート(Colleti,L.and Bassart,B.Arch.Surg.Fer
t.88:774[1964]))。癒着の形成は、腹部内感染後に
も観察されている(ハウ等(Hau,T.et al.,Surg.Gyn.&
Ob.148:415−418[1979]))。癒着の形成は、腱の手
術後にも観察されている(ワイス等(Weiss,C.et al.,B
ull.Hosp.Joint Diseases47(1),31[1987]))。
腹部手術の初期から、外科医等は、手術、炎症または
外傷から数時間以内に、腸およびその他の腹部内蔵のル
ープを互いに固着させるフィブリン性癒着に気付いた。
フィブリン性滲出液は、完全に吸収されて障害のない腹
膜腔となるか、または毛細管および繊維芽細胞の内成長
に伴って器質(組織)化し、定着したフィブリン性癒着
を形成することがある。今日まで答えられていない重要
な問題は、どの因子が、フィブリン性滲出液が吸収され
るかまたは器質化されるかを決定しているのかというこ
とである。癒着の形成は、腹膜内皮の崩壊の結果である
という理論が展開された。多数の研究が、この理論に反
駁した。(例えばエリス(Ellis,H.Brit.J.Surg.,50:10
[1962])参照)。
腹膜の損傷または欠損の正常な治癒は、フィブリンマ
トリックスの形成で始まり、次いで、マクロファージ、
単球、リンパ球および多形核球によるそのマトリックス
の食作用が起こることが示された。繊維芽細胞およびコ
ラーゲン束は、腹膜が正常な外観を呈する前に観察され
る。正常な治癒過程には約3日間かかる。(バックマン
等(Buckman,R.F.et al.,J.Surg.Res.21,67[197
6]))。フィブリンマトリックスが吸収されるか否か
は、組織が虚血性であるか否かに関連しているらしい
(ルビン(Rubin,I.C.,Surg.Obstet.,12:117[191
1]))。エリス等(Ellis,H.et al.,Brit.J.Surg.52:4
71[1965))は、虚血性腹膜モデルを開発し、虚血性損
傷の83%が癒着の形成を生じたが、非虚血性モデルの約
9%のみが癒着を生じたことを示した。電子顕微鏡の使
用によって、繊維芽細胞性侵入は、その領域に侵入した
マクロファージから始まり、繊維芽細胞、巨細胞、上皮
様細胞に進展することが示された。(エスケランド(Es
keland,G.,Acta Path.Microbiol,Scand.,62:459[196
4]))。エリスによると、癒着の形成は、血管移植と
同様に作用する。エリスと同様のモデルを使用し、バッ
クマン等(前掲)は、腹膜欠損が、虚血を呈している腹
膜には失われている高いプラスミノーゲン活性を有して
いることを示した。
腹膜腔の細菌浸潤後のフィブリン沈着は、敗血症の予
防における防御メカニズムである(アーレンホルツおよ
びシモンズ(Ahrenholz,D.H.and Simmons,R.L.,Surgery
88:41−47[1980])、ジンサーおよびプライデ(Zinse
r,H.H.and Pryde,A.W.,Ann.Surg.136:818[198
2]))。細菌が含まれている場合、フィブリンの沈着
はしばしば、膿瘍形成を導く。(アーレンホルツおよび
シモンズ、前掲)。腹膜炎の初期段階に、腹膜腔におい
てフィブリノーゲン豊富な滲出液がフィブリンに変換さ
れる時、フィブリンの沈着が起こる(ハウ、前掲)。手
術後の腹部内膿瘍は、感染の供給源となり得、最終的に
は死を招く。腹膜炎およびその合併症は、高死亡率に関
係している。年輩者においては、この死亡率は60−80%
の範囲である(ハウ等(Hau,T.et al.,Curr.Prob.Surg.
16:1−65[1979]))。
腹膜の中皮および中皮下の両血管に存在するプラスミ
ノーゲン活性化因子は、腹腔内フィブリン沈着の溶解お
よび除去の活性を有する。(ポーター等(Porter,J.M.e
t al.,L.Surg.Forum20:80[1969]);バックマン等(B
uckman,R.F.et al.,J.Surg.Res.20:1[1976]))。炎
症または外傷の様な漿膜または腹膜の損傷は、損傷領域
の小血管の裂け目から、細胞成分およびフィブリンの滲
出液を形成させ(オウロラ等(Aurora,A.L.et al.India
n J.Med.Res.62:[1972]))、フィブリン溶解活性の
局部的低下をもたらす。(バックマン、前掲)。局部的
フィブリン溶解活性が50%またはそれ以上低下される
と、フィブリンは除去されず、そのまま癒着形態となり
得るということが示された。(ガービン等(Gervin,A.
S.et al.,Am.J.Surg.125[1973]))。
癒着の形成を予防するための研究を記載した多数の論
文が公開された。フィブリンの沈着および癒着を防ぐた
めに、種々の予防法が試みられた。腹膜滲出液中のフィ
ブリンの沈着の予防は、クエン酸ナトリウム、ヘパリン
およびその他の抗凝集剤の使用を含む。既に形成された
フィブリンの除去においては、例えば、トリプシン、ペ
プシン、パパイン、ヒアルロニダーゼ、ストレプトキナ
ーゼおよびストレプトドルナーゼの様な種々の酵素が使
用された。フィブリンを除去するためのその他のアプロ
ーチは、リシノール酸ナトリウムの様な塩類、またはフ
ィブリンの機械的除去のための洗浄を使用する。
ヘパリンおよびジクマロールは、フィブリン沈着を予
防するために使用された最初の薬物であった。(レーマ
ンおよびボーイズ(Lehman,E.P.and Boys,F.Ann.Sur.,1
12:969[1940]);ホワイト(White,B.H.Ann.Surg.,13
0:942[1949]))。ヘパリンを投与された患者におけ
る、死亡および手術後の出血が報告された。より最近、
デキストランの抗トロンボゲン特性が、癒着を防ぐため
に使用された。(コエート等(Choate,W.H.et al.,Arc
h.Surg.,88:249[1964])。腹腔内にデキストランを投
与すると、癒着の重篤度を低下することが見いだされた
が、形成を予防しなかった(カパー等(Kapur,B.M.L.et
al.,Indian J.Med.Res.,56:1406[1968]))。抗炎症
剤であるオキシフェンブタゾンの経口投与も、癒着形成
を低下するために使用された。(カパー等(Kapur,B.M.
L.,et al.,Arch.Surg.,98:301[1969]))。
食塩水、デキストロース、またはとりわけ高張性デキ
ストロース溶液による洗浄が示唆されたが、この様な溶
液は急速に吸収されるため、有効ではなかった。(バッ
チビンダー(Buchbinder,J.R.,Surg.Gynec.Obstet.,45:
769[1927]);トッテン(Totten,H.P.,Surgery,8:456
[1940]))。ペプシンおよびトリプシンの様な消化酵
素は、フィブリンを破壊することによる有用性を有する
と考えられた。しかしながら、これらの両物質は、腹膜
滲出液によって急速に中和され、有効ではないことが示
された。(クボタ(Kubota,T.,Japan M.World,11:226
[1922]))。タンパク分解酵素であるパパインも試み
られたが、腹膜滲出液によって中和されることがわかっ
た。パパインは経口的にも投与され、癒着の重篤度を低
下するが、発生率を低下しないことがわかった。(カパ
ー等(Kapur,B.M.L.,et al.,Arch.Surg.,98:301[196
9]))。ラットにおけるパパインの腹腔内投与は、癒
着の形成に全く影響を有さなかった。(スティーブンス
(Stevens,L.E.,Amer.J.Surg.,115:535[1968]))。
癒着を予防するために、多数のフィブリン溶解剤が試
験された。フィブリン溶解系は通常、プラスミノーゲン
からプラスミンへの変換に関与している血液中の系を意
味すると理解される。天然のプラスミノーゲン活性化因
子はプラスミノーゲンと相互作用してこの前駆体をプラ
スミンに変換し、次いで、交差結合しているフィブリン
を溶解する。ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼの
様な外来の活性化因子も、プラスミノーゲンからプラス
ミンへの変換を活性化する。血栓崩壊剤は、プラスミ
ン、およびストレプトキナーゼ、ストレプトドルナーゼ
およびウロキナーゼの様なプラスミノーゲン活性化因子
を包含する。これらの血栓崩壊およびフィブリン溶解剤
およびその他の薬物は、フィブリン沈着を防ぎ、癒着を
除去するために使用された。初期の研究は、ストレプト
キナーゼおよびストレプトドルナーゼは、ウサギにおけ
る外傷誘導性癒着を予防したが、イヌでは予防しなかっ
たことを示した。(ライト等(Wright,L.T.,et al.,Pro
c.Soc.Exp.Biol.Med.,75:602[1950]))。ある研究で
は、3日連続して腹腔内治療すると、1回注射より効果
的であることが観察された。(ナイトリー等(Knightl
y,J.J.,et al.,Surgery,52:250[1962]))。その他の
研究は、これより好都合ではなかった。イヌ、ウサギお
よびラットにおける種々のフィブリン溶解酵素の静脈内
および腹腔内投与、および癒着を誘導する種々の方法を
使用する一連の試験では、有意な予防的または治療的効
果は観察されなかった。(ジュウェット等(Jewett,T.
C.,et al.,Surgery57:280[1965]))。ラットに、ス
トレプトキナーゼの高純度製剤を、1回、または一回注
射の3日連続で複数回、投与すると、癒着の形成を阻害
しなかった。(ジェイムズ等(James,D.C.O.,et al.,J.
Path.Bact.90:279[1965]))。ウサギに精製ストレプ
トキナーゼを使用する別の研究は、壁側損傷領域に対す
る癒着は、2または3日間連続して溶液状ストレプトキ
ナーゼの複数回腹腔内注射を行うことによって阻害され
得たことを示した。(Id.)ウサギモデルにおいて、心
内膜炎におけるフィブリン沈着を防ぐために、血栓崩壊
治療法が使用された。(ドゥラウグ(Duraug,D.T.,J.Pa
th.129:537[1975]))。モルモットの皮膚切開法で
は、感染した血漿血餅によって誘導された、負傷性感染
を低下させるために、フィブリン溶解剤が使用された。
(ロードホイヤー等(Rodeheauer,G.et al.,Am.J.Surg.
129:537−544[1975]))。
フィブリン溶解効果を有することが観察されたその他
の化合物も、癒着を予防するために使用された。フィブ
リン溶解作用を有するプロトポルフィリンは、ラットの
側腹切開に対して現れる癒着の割合を低下することが見
いだされた。(イイジマ等(Iijima,N.et al.,Postgra
d.Med.J.46:278[1970]))。ヒアルロニダーゼ、即ち
細胞間物質を構成している多糖類の1種であるヒアルロ
ン酸を加水分解する酵素は、癒着の形成を誘導するため
にタルクを適用すると同時に腹腔内投与された場合、イ
ヌにおいて癒着の形成を防いだ。(コノリーおよびリチ
ャーズ(Connolly,J.E.and Richards,V.Surg.Forum,:
85[1951]))。盲腸の挫傷によるラットにおけるその
他の研究は、ヒアルロニダーゼの腹膜内投与では、癒着
の発生率が低下されなかったことを示した。(トーマス
等(Thomas,J.et al.,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.,74:497
[1950]))。
癒着の形成を防ぐために、ラットに、デキサメタゾ
ン、メチルプレドニゾロン、クエン酸ナトリウム、塩酸
プロメタジンおよびヒトフィブリノリジンを単独でおよ
び組み合わせて筋肉内または腹腔内投与した。(ガッジ
ンガ等(Gazzinga,A.G.et al.,Arch.Surg.110:429[197
5]))。いずれの薬剤も、単独では癒着の形成を排除
しなかった。メチルプレドニゾロン、プロメタジンおよ
びヒトフィブリノリジンを組み合わせて腹腔内1回投与
すると、癒着の形成を排除するようであった。Id. 上記のこれらの薬物以外に、癒着の形成を防ぐため
に、細分化したウシ腹膜、オリーブ油、エピネフリン溶
液、羊水およびリシノール酸ナトリウムを包含するその
他の物質を腹膜腔に投与した。いずれの物質も、癒着の
形成または再形成を予防することが示されなかった。
本発明は、腹部および骨盤部の手術、腱の手術、椎弓
切除、腹部感染、炎症または外傷を包含するがこれに限
定されない、種々の手術および臨床的状況で使用するた
めの、フィブリンの沈着または癒着の形成を予防する組
成物を提供すること目的とするものである。本発明はま
た、フィブリン沈着または癒着形成の可能性のある部位
に容易かつ適切に使用される組成物を提供することを目
的とする。本発明の更にその他の目的は、フィブリン沈
着または癒着形成する可能性がある器官および/または
周囲組織に、本発明の組成物を局所投与することによ
る、フィブリン沈着または癒着形成の予防法を提供する
ことである。本発明の更にその他の目的は、フィブリン
沈着または癒着形成の予防用薬物の輸送手段としての、
非分解性固形物の導入を排除することである。その他の
目的は、フィブリン沈着または癒着の予防のための酵素
を、生物体液中の物質によって不活化されない様な形態
で提供することである。更にその他の目的は、この様な
酵素を、外来のマトリックスまたは装置を必要とせず連
続放出し得る製剤の形で提供することである。
発明の要約 本発明の目的は、フィブリン沈着または癒着形成の可
能性のある部位に酵素を連続投与し得る、難溶性酵素の
局所投与によって達成される。フィブリン溶解または血
栓溶解に有効な難溶性酵素は、フィブリン沈着または癒
着形成の可能性のある部位に、酵素がこの部位に少なく
とも約3日間連続的に与えられるように局所投与される
時、とりわけ手術、感染、外傷または炎症後の癒着の治
療に有用である。難溶性酵素は、長期間にわたって酵素
の輸送を助ける不活性な粘性強化ビヒクルに懸濁された
固形粒子として投与されるのが好ましい。難溶性固形酵
素をその部位へ1回局所投与することによってこの酵素
の連続輸送を与え、フィブリン沈着または癒着形成を予
防することは、本発明まで真価が認められなかった。本
発明で使用するための酵素は、沈澱性組織プラスミノー
ゲン活性化因子であるのが好ましい。従って、本発明の
1態様は、手術または感染後のような種々の状況におい
て癒着の形成を予防するための、組織プラスミノーゲン
活性化因子のような難溶性酵素を含有する医薬組成物に
関する。本発明のその他の態様は、癒着の原因である臨
床的フィブリン沈着の処置法およびこの様な組成物の用
途に関するものである。
図面の簡単な説明 第1図.ウサギにおける癒着形成の予防に対する組換え
組織プラスミノーゲン活性化因子の投与の効果。半固形
ビヒクル2.5グラムに入れた種々の量の組換え組織プラ
スミノーゲン活性化因子を、腹膜の組織の外傷領域に投
与した。1週間後、動物を安楽死させ、癒着の程度を評
価した。マン・ホイットニー−非パラメーター試験でし
た、0.125および0.25mg組換え組織プラスミノーゲン活
性化因子/gmゲルの投与量で癒着を有するウサギの数
は、対照群および0.062mg組換え組織プラスミノーゲン
活性化因子/gmゲル投与群と有意な差があった(p<0.0
1)。
第2図.外科的病勢減退後の癒着再形成の予防に対する
組換え組織プラスミノーゲン活性化因子の効果。未処置
のウサギにおいて形成された7日目の癒着の程度を示
す。形成した癒着の外科的治療後、動物を2群に分け、
対照群動物にはビヒクルのみを投与し、処置群動物には
0.25mg組換え組織プラスミノーゲン活性化因子/gmゲル
を投与した。14日目、組換え組織プラスミノーゲン活性
化因子を投与した動物の、再形成された癒着の程度は、
飛躍的に低下した。
第3図.ウサギにおける癒着形成の予防に対する組換え
組織プラスミノーゲン活性化因子の投与の効果。ヒアル
ロン酸ナトリウム2.8%ゲル2.5グラムに入れた種々の量
の組換え組織プラスミノーゲン活性化因子を、腹膜内組
織の外傷領域に投与した。1週間後、動物を安楽死さ
せ、癒着の程度を評価した。
詳細な説明 本明細書で使用する“難溶性酵素”なる語句は、フィ
ブリン沈着または癒着形成する可能性を有する部位に局
所的に1回投与することによって、フィブリン沈着また
は癒着形成を予防し得る、生物体液中で所望の速度で溶
解する分子形態の酵素である。この酵素を、フィブリン
沈着または癒着形成する可能性を有する部位に、例えば
粉末、スラリーまたは懸濁液の様な固形物として投与す
る。“難溶性”なる語句は、例えば血漿の様な生物体液
中、間隙内、腹膜内における酵素の比較的低い溶解度を
意味する。溶解の速度は、酵素が標的部位におけるフィ
ブリン沈着または癒着の形成または再形成を予防するの
に十分な期間、通常、約3〜14日間、生物体液中で溶解
するように選択される。フィブリン沈着または癒着形成
の可能性を有する部位で一定期間、難溶性酵素が溶解さ
れるのは、この比較的低い溶解度のためである。一定期
間、この様に持続して溶解すると、1回の局所投与で、
所望の期間、活性酵素の連続放出が得られる。この難溶
性酵素は、投与時に固形であるのが好ましい。本発明で
使用される酵素には、プラスミン、ストレプトキナー
ゼ、ウロキナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子お
よびストレプトドルナーゼの様な血栓溶解性またはフィ
ブリン溶解性酵素が包含される。フィブリン溶解酵素に
は、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼおよびプラスミ
ノーゲン活性化因子を包含する、プラスミノーゲンをプ
ラスミンに変換するか、またはフィブリンを直接消化す
る酵素が包含される。血栓溶解剤は、フィブリン溶解酵
素およびその他のタンパク溶解酵素を包含する。この様
なタンパク溶解酵素は、ブリナーゼである。好ましい難
溶性固形酵素は、本発明で使用される場合、天然の供給
源から抽出および精製し得るか(米国特許第4752603号
参照)または組換え法を使用して入手し得る(EPO特許
出願公開第093619号参照)酵素を意味する“組織プラス
ミノーゲン活性化因子”である。従って、本発明の酵素
は、哺乳動物、細菌または酵母供給源から入手すること
ができる。処置される種にホモローガスな酵素を使用す
るのが好ましい。本発明によると、例えば、イヌの癒着
形成を予防するためにはイヌの酵素が使用される。固形
酵素の範囲には、組織プラスミノーゲン活性化因子の、
アミノ酸の置換および/または欠失および/または付加
を有する突然変異体、有機および無機の塩および共有結
合的に修飾された誘導体も含まれる。
“固形”なる語句は、癒着形成の可能性を有する部位
に投与する時点における酵素の好ましい状態を意味す
る。酵素は、一定期間、酵素を放出するために酵素に共
有結合的または非共有結合的に結合している薬物の存在
していない、実質上均質な形態である。固形酵素は、組
織プラスミノーゲン活性化因子の場合、白色無定形粉末
である。この固形状態の酵素は、例えば、透析、沈澱ま
たは凍結乾燥の様な当業者に既知の種々の方法によって
得られる。酵素の沈澱は、例えば、pH、相互溶媒の組
成、温度および塩を変更することによって行うことがで
きる。酵素の凍結乾燥は、例えば、3級ブタノールを使
用する非水性凍結乾燥、例えば、酢酸アンモニウムまた
は重炭酸アンモニウムおよび水の様な、水の昇華または
揮発性バッファーを使用する水性凍結乾燥、更には水性
/非水性凍結乾燥によって、行うことができる。水性凍
結乾燥が好ましい。重炭酸アンモニウムおよび水を使用
する水性凍結乾燥が最も好ましい。
本発明の組成物は、例えば粉末形態である難溶性酵素
の治療上有効量を含有する。組成物は更に、不活性な粘
性強化ビヒクルを含有することができる。本発明の組成
物は、フィブリン沈着または癒着形成の可能性のある部
位に一定期間、酵素を連続放出するために、その部位に
直接投与される。酵素を不活性非毒性粘性強化ビヒクル
中懸濁液にすると、外来のプロテアーゼによる分解の可
能性が低下される。不活性ビヒクルの粘着性が、投与部
位における固形酵素の保持を可能にする。これは、投与
部位において一定期間、酵素が局所的に連続放出される
ことを可能にする。“連続”なる語句は、投与部位にお
いて、所望の期間、酵素が絶え間なく連続して放出され
ることを意味する。従って、新規な製剤は、生物体液に
対する固形酵素の溶解を制御し、これを分解から保護す
る。
難溶性酵素を、手術、感染、外傷または炎症後のフィ
ブリン沈着または癒着形成を予防するのに十分な投与量
で投与することができる。本発明の教示に従い、難溶性
酵素の治療上有効量を投与する。例えば、難溶性形態の
ストレプトキナーゼの治療上有効量は、約300単位/gmゲ
ル〜12,500,000単位/gmゲルの範囲である。ストレプト
キナーゼの好ましい治療的量は、約10,000単位/gmゲル
〜約375,000単位/gmゲルの範囲である。固形形態の組織
プラスミノーゲン活性化因子の場合、治療上有効量は、
約.02mg/gmゲル〜25mg/gmゲルの範囲である。組織プラ
スミノーゲン活性化因子の好ましい治療的量は、約.125
mg/gm〜2.5mg/gmゲルの範囲である。組織プラスミノー
ゲン活性化因子の最も好ましい治療的量は、約.25mg/gm
ゲル〜約1.0mg/gmゲルの範囲である。
粘性強化ビヒクルは、癒着形成の可能性のある部位に
難溶性酵素を位置させるための、半固形、粘滑性薬学的
不活性担体として定義される。ビヒクルは、不活性、非
毒性、非刺激性であり、生理学的および薬学的に許容し
得る。通常、活性酵素を放出するためにビヒクルの化学
的分解を必要とする生物的分解可能なビヒクルに比較す
ると、このビヒクルは適用部位から摩滅されるので、こ
れは生物的に侵食可能である。不活性な粘性強化ビヒク
ルは、望ましくない位置、例えば血中における酵素の放
出を低下するが、投与しようとする部位における固形酵
素の連続放出を高める。難溶性形態の酵素は、不活性な
粘性強化ビヒクルの使用が不必要であるような粘着性を
有していてもよい。飽和および不飽和脂肪酸グリセリド
の混合物または修飾された飽和および不飽和脂肪酸グリ
セリドの混合物からなる長鎖炭化水素または植物性油お
よびロウ類を、この様な不活性粘性強化ビヒクルまたは
担体として使用することができる。この様なビヒクルま
たは担体は、ワセリンゼリーまたは半合成グリセリドの
様な半固形ビヒクル、グリセロールの様なポリヒドロキ
シ溶媒、長鎖炭化水素、生物的に侵食可能なポリマーま
たはリポソームを包含するが、これに限定されない。生
物的に侵食可能なポリマーには、半固形に製剤化し得る
低分子量ポリマーが包含される。この様な製剤化される
半固形ポリマーには、ポリ(エステル類)、ポリアミド
類、ポリ(アミノ酸類)、ポリアセタール類、ポリアン
ハイドライド類、ポリ(オルソエステル)類、およびヒ
アルロン酸として知られているβ−D−グルクロン酸お
よび2−アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコ
ースを変更してなる天然の炭水化物の様な多糖類が包含
される。多糖類は、不活性粘性強化ビヒクルとしての用
途に好適である。ヒアルロン酸が最も好ましい。本発明
の不活性非毒性ビヒクルは、難溶性酵素以外の生物的分
解可能または分解不可能な固形物を含むべきではない。
なぜなら、ケイ酸マグネシウム、タルクおよびデンプン
の様な粉末の使用は癒着形成の原因となることが観察さ
れたからである(コルソン(Corson,S.L.,J.Reprod.Me
d.,29(3),143[1984]))。
難溶性形態の酵素を、薬学的に不活性な粘性強化ビヒ
クルに分散させ、投与部位での所望の溶解速度を得るこ
とができる。難溶性形態は、生物体液への放出を制御
し、所望の期間、活性を可能にする。これは、直ちに効
力を発する可溶性形態の酵素と対称的である。酵素の放
出は、以下に示すように、その溶解度および粒子サイズ
から予想することができる。酵素が不活性なマトリック
ス内に固形粒子として分散されている統一された構造を
有するビヒクルの場合、酵素の放出速度は、方程式: によって与えられ、投与後のいずれかの時点で放出され
る量は、方程式: M=(2ADCst)1/2 によって概算することができる。これらの方程式におい
て、Mは放出される酵素の量、Aはビヒクルの単位塊当
たりに負荷している薬物であり、Csはビヒクル中の酵素
の溶解度であり、Dは酵素の拡散係数であり、tは時間
であり、dxはマトリックス内の酵素消耗ゾーンの厚さで
ある(ヒグチ(T.Higuchi,J.Soc.Cosmetic Chemists11,
85[1960];ヒグチ(T.Higuchi,J.Pharm.Sci.50,874
[1961]))。従って、このタイプの製剤からの放出速
度は、Cs、即ち酵素の溶解度を変えるか(例えば別のタ
イプのビヒクルを使用する)、またはビヒクルに負荷し
ている薬物を制御することによって変更することができ
る。
酵素を、水溶性ビヒクルに固形粒子として懸濁させる
場合、タンパクの放出速度は、従来のノイエ(Noyes)
−方程式: によって表わすことができる。式中、Mは放出または溶
解される量であり、tは時間であり、Dは媒体中の薬物
分子の拡散係数であり、Aは接触される表面面積であ
り、hは拡散層の厚さであり、CsおよびCは投与部位に
おける酵素の溶解度および濃度である。迅速に溶解し得
るビヒクルに入れた酵素の固形粒子の場合、組織間腔で
ビヒクルが溶解すると、酵素がその空間に分散されるで
あろう。比較的不溶性の酵素は、その溶解度および粒子
サイズに依存して所望の期間にわたって溶解するであろ
う。
この方程式によると、水溶性ビヒクルからの難溶性酵
素の放出速度は、A、即ち接触される粒子表面面積を変
えることによって制御することができる。これは、粒子
サイズを制御することによって達成することができる。
より大きい粒子は、より小さい表面面積となって、より
遅い放出速度となり、一方、小さい粒子は、総接触表面
が増大し、より速い放出速度となる。
難溶性酵素は、あまり溶解せず、生物体液中で非常に
低い活性を有しながら非常に長期間存在する。低溶解性
形態は、所望の期間にわたる連続放出を保証する。この
連続放出は、不活性ビヒクルの使用によっても促進する
ことができる。好ましいビヒクルは、所望の期間、酵素
の放出を与えるビヒクルである。酵素が連続して放出さ
れる期間は、少なくとも約3日間〜約2週間である。酵
素が放出される好ましい期間は、少なくとも約4日間〜
約10日間である。
癒着形成する可能性を有する部位に難溶性酵素を輸送
するための好ましい適用系は、2種類の容器の内容物を
混合するための手段を有する容器混合系を含む。輸送系
は、滅菌した粘性強化ビヒクルを別個に貯蔵するのに適
切な第1のフレキシブルな容器および難溶性酵素の貯蔵
に適切な第2のフレキシブルな容器を含む。第1のフレ
キシブルな容器は、穴をあけ得る隔膜のある出入り口部
材を有している。第2のフレキシブルな容器は、滅菌溶
液と難溶性酵素を混合するために、第1の容器の出入り
口に対して適所に位置する逆方向の出入り口を有してい
る。各々の容器または少なくとも1個の容器のフレキシ
ビリティーは、容器内容物の混合を可能にする。フレキ
シブルな容器は、癒着形成の可能性のある部位にゲル薬
物を適用するのにも役立つ。第2の容器は、第2の容器
を密封するためのフレキシブルな封入手段を有してい
る。このフレキシブルな封入手段は、治療上有効量の難
溶性酵素および希釈剤または不活性な粘性強化ビヒクル
からなるゲル薬物が癒着形成の可能性のある部位に通過
する出入り口を有している。
本発明の酵素組成物の投与は、外科的縫合の前に行う
ことができる。腹部手術の場合、縫合前、器官上の網膜
を引き出す前に腹部器官に、単独または不活性な粘性強
化ビヒクルに入れた難溶性酵素である本発明の組成物
を、手またはマッサージまたはその他の適切な方法、例
えば、腹腔鏡を介して、薄いフィルムで適用する。外科
分野当業者には、組成物を適用すべき器官が明らかであ
ろう。例えば、腹部手術の場合、癒着形成後に閉塞の部
位となる可能性のある小腸は、投与に適切な部位の1つ
であろう。投与すべき組成物の量は、損傷の程度、手術
のタイプ、患者の条件、酵素の血栓溶解活性および当該
分野の医師には理解されるであろうその他の因子の様な
臨床的経験によって、前記の様になるであろう。
実施例1 材料および方法 1)ウサギモデル 癒着形成に対する最も強い刺激は、腹膜表面の皮膚を
剥ぐことより、腹膜欠損を縫合するかまたはつぎはぎす
ることに起因する虚血性組織の存在であることが示され
た。ニュージーランド白色ウサギ(約3.0kg)をフルア
ニゾンおよびフェンタニールで麻酔し、熟練した手術技
術によって中線側腹切開を行った。腹膜壁の9cm2領域
を切除し、絹縫合糸で所定位置に再縫合し、腹膜組織の
虚血性区画を作成した。盲腸の基部側領域(約75cm2
を、斑点状出血が起こるまで乾燥ガーゼですりむいた。
血栓溶解またはフィブリン溶解活性を有する不溶性また
は比較的不溶性の酵素を、選択された器官へ直接、本発
明の方法によるフィルムとして、または洗浄液(0.5mg
組織プラスミノーゲン活性化因子/150ml等張性食塩溶
液)として、または領域への製剤の外側からの適用(組
織プラスミノーゲン活性化因子0.25mg含有ゲル2.5gm/gm
製剤)により、再縫合された腹膜組織に直接薬物溶液を
輸送する血管口を通して、虚血性組織に投与した。盲腸
を腹こうに戻した後、腹部の筋肉層を1.0プロリンで、
皮膚層を2.9プロリンで縫合した。7日後、ウサギを安
楽死させ、再び開腹を行い、形成した癒着の程度を調べ
た。正の癒着として設定された基準は、腹膜壁の組織の
虚血正区画に対する盲腸の癒着であった。癒着の重篤度
を評価するために、以下の評価系を使用した: 第0段階=癒着は観察されない 第1段階=10%を越えない虚血性パッチが癒着で覆われ
る 第2段階=虚血性区画の25%が癒着で覆われる 第3段階=虚血性区画の50%が癒着で覆われる 第4段階=虚血性区画の100%が癒着で覆われる 第5段階=虚血性区画より大きい領域が癒着で覆われる 2)組織プラスミノーゲン活性化因子バルク粉末 貯蔵溶液から可溶化バッファーを透析することによっ
て、組織プラスミノーゲン活性化因子バルク粉末を製造
した。即ち、2.5mg/mlの組織プラスミノーゲン活性化因
子、87.1mg/mlL−アルギニン、26.8mg/mlリン酸(85%w
/w)および0.1mg/mlポリソルベート80を含有している溶
液1000mlを、100mlずつに分け、透析膜チューブ(スペ
クトラポアメンブランチュービング6000−8000MWカット
オフ(Spectrapor membrane tubing 6000−8000MW cuto
ff)に移した。各溶液を精製滅菌水1000mlに対し、5℃
で透析した。透析液を4回取り替えた後、チューブ内部
のタンパク沈澱を集めた。遠心して(ベックマン・アキ
ュースピン(Beckman Accu−spin)冷蔵遠心機にて、5
℃、4000rpmで15分間)、上澄液をデカントした後、精
製滅菌水をチューブに加えた。ミキサー(ボルテックス
・ミキサー(Vortex mixer))によってタンパクを洗浄
し、遠心して再び分離した。この操作を更に3回繰り返
した。得られたバルク生成物は白色、無定形粉末であっ
た。最終洗浄後、組織プラスミノーゲン活性化因子を集
め、単位投与量形態の滅菌粉末として調製した。
3)単位投与量粉末製剤 a)水による沈澱 t−PAバルクを、水およびアルギニンリン酸の限外濾
過によって20倍に濃縮した。濃縮したバルクを滅菌濾過
した。濃縮バルクに水を加えることによって、t−PAを
沈澱させた。アルギニンリン酸および残留している可溶
性t−PAを、水洗を繰り返すことによって、沈澱させた
懸濁液から除去した。洗浄した懸濁液を、スラリー状で
バイアルに充填した。バイアル内容物を凍結乾燥し、t
−PA粉末を製造した。
b)pHによる沈澱 t−PAバルクのpHを、リン酸でpH4に調節した。t−P
Aバルク中のアルギニンリン酸を、ディアフィルトレー
ションによって塩酸溶液(pH4)と交換した。次に、t
−PA/塩酸バルクを滅菌濾過した。濾過したバルクを希
水酸化ナトリウム溶液でpH6に調節することによって、
t−PAを沈澱させた。繰り返して水洗することによっ
て、塩化ナトリウムおよび残留している可溶性t−PAを
沈澱懸濁液から除去した。洗浄した懸濁液をスラリー状
でバイアルに充填した。バイアル内容物を凍結乾燥し、
t−PA粉末を製造した。
c)重炭酸アンモニウムによる凍結乾燥 0.5Mアルギニンリン酸、pH7.2およびツウィーン80
(0.19mg/ml)を含有しているt−PAバルク溶液と、0.2
〜0.8Mの範囲の濃度、好ましくは0.25〜0.5Mの範囲の濃
度、7.0〜10.5の範囲のpHの重炭酸アンモニウムの様な
揮発性バッファーの交換を、G−25カラムによって、2
℃〜28℃の範囲の温度で行った。重炭酸アンモニウムお
よびツウィーン80中t−PAの溶出液を集め、限外濾過に
よって、選択された重炭酸アンモニウムバッファー中t
−PAの溶解度および工程温度に基づいた重炭酸アンモニ
ウムの濃度に濃縮した。次いで、t−PA/重炭酸アンモ
ニウムバルクを滅菌濾過した。濾過したバルクをバイア
ルに充填した。バイアル内容物を凍結乾燥し、t−PA粉
末を製造した。
4)投与剤型製剤 当該技術分野で使用されるのと同様の種々の水性溶液
をも製造し、試験した:例えば、デキストランまたは修
飾セルロースゴム状物質(セクション4の製剤例1およ
び2)、修飾コラーゲンまたはポロキサマー類[ポリ
(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)コポリマ
ー類](セクション4の製剤例3および4)およびポリ
エチレングリコールポリマー類の添加によってシックニ
ングされたグリセロール(セクション4の製剤例5)の
様なコロイド状多糖類を使用。製剤剤1−4は2つのカ
テゴリーに入る:水性ゲルに溶解した組織プラスミノー
ゲン活性化因子(製剤例1および3);および水性ゲル
に難溶性粒子として懸濁させた組織プラスミノーゲン活
性化因子(製剤例2および4)。
製剤例1: A−バッファー溶液 L−アルギニン 3.48gm H3PO4(85%w/w) 1.54gm 精製水 QS 100gm L−アルギニンを精製水90mlに溶解した。リン酸(1.54
gm)を徐々に加え、pH6.0の溶液を得た。溶液の容量を
精製水で100mlにした。この溶液を0.22μmフィルター
孔サイズの滅菌フィルター(ミレックス(Millex)−GV
または等価物)に通し、5℃で貯蔵した。
B−最終製剤: デキストラン(MW2000000) 0.1−0.5gm 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm バッファー溶液A QS 1.00gm バッファー溶液Aに組織プラスミノーゲン活性化因子を
加え、溶解した。次いで、デキストランを、激しく撹拌
しながら徐々に加え、均質な溶液が得られるまでこのポ
リマーを溶解した。
製剤例2: デキストラン(MW:2,000,000) 0.1−0.3gm 組織プラスミノーゲン活性化因子− 難溶性粒子 0.00025gm 精製水 QS 1.00gm デキストランを、激しく撹拌しながら、均質な溶液が得
られるまで水に溶解した。溶液に組織プラスミノーゲン
活性化因子を加え、混合し、タンパクを均質に分散させ
た。
製剤例3: A−バッファー溶液 L−アルギニン 3.48gm H3PO4(85%w/w) 1.54gm 精製水 QS 100gm L−アルギニンを精製水90mlに溶解した。リン酸を徐々
に加え、pH6.0の溶液を得た。量は約1.54gmであった。
溶液の容量を精製水で100mlにした。この溶液を0.22μ
mフィルター孔サイズの滅菌フィルター(ミレックス−
GVまたは等価物)に通した。これを5℃で貯蔵し、最終
製剤の製造に使用した。
B−最終製剤: ポリキサマー407 0.05−0.3gm 可溶性組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm バッファー溶液A QS 1.00gm バッファー溶液Aを5℃に冷却し、組織プラスミノーゲ
ン活性化因子を加えて溶解した。次いで、ポロキサマー
を加え、激しく撹拌しながら、均質な溶液が得られるま
で溶解した。溶液を0.22μm孔サイズの滅菌フィルター
(ミレックス−GVまたは等価物)に通した。
製剤例4: ポリキサマー407 0.05−0.3gm 組織プラスミノーゲン活性化因子− 難溶性粒子 0.00006gm 精製水 QS 1.00gm 水を5℃に冷却し、ポロキサマー407を加え、均質な溶
液が得られるまで激しく撹拌しながら溶解した。組織プ
ラスミノーゲン活性化因子を加え、均質に分散させた。
製剤例5−9は、本発明の新規な組成物の別の例であ
り、3つの広いカテゴリーに分類することができる:無
水、水溶性ゲルに難溶性粒子として懸濁させた組織プラ
スミノーゲン活性化因子(製剤例5);長鎖炭化水素ベ
ースに難溶性粒子として懸濁させた組織プラスミノーゲ
ン活性化因子(製剤例6);および不飽和および飽和脂
肪酸グリセリド類の混合物からなる、生物的に侵食可能
な半合成油またはロウに難溶性粒子として懸濁させた組
織プラスミノーゲン活性化因子(製剤例7、8および
9)。
製剤例5: ポリエチレングリコールMW800−1500 0.0−0.3gm 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm グリセロール QS 1.00gm グリセロールを約35℃〜45℃に加温した。ポリエチレン
グリコールを加え、均質な溶液が得られるまで混合し
た。組織プラスミノーゲン活性化因子を加え、均質に分
散させた。得られた製剤を冷却し、撹拌を続けながら室
温で固化させた。
製剤例6: 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm 白色ワセリン QS 1.00gm ワセリンを約35℃〜45℃で融解した。組織プラスミノー
ゲン活性化因子を加え、均質に分散させた。得られた製
剤を冷却し、撹拌を続けながら室温で固化させた。
製剤例7: 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm 解糖したポリオキシエチレン化 オレイン酸グリセリド類 (ラブラフィル(Labrafil)M2130CS)QS 0.05−0.5gm 解糖したポリオキシエチレン化 ステアリン酸ラウロパルミト グリセリド類 (ラブリフィル(Labrifil)M2130CS)QS 1.00gm 製剤例8: 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm 解糖したポリオキシエチレン化 オレイン酸グリセリド類 (ラブラィル(Labrafil)M1944CS) 0.05−0.5gm エステル交換した、飽和脂肪酸 グリセリド類 (サポシル(Suppocire)AIM)QS 1.00gm 製剤例9: 組織プラスミノーゲン活性化因子 0.00025gm 中性植物油 (カプリル酸/カプリン酸トリグリ セリド類ミグリオール(Miglyol)812) 0.05−0.5gm エステル交換した、飽和脂肪酸グリ セリド類(ウィットエプソール (WitepsolW32)QS 1.00gm 製剤7、8および9を以下の様にして製造した:油を約
35℃〜45℃に加温し、固形脂肪酸グリセリド類を加え、
融解し、組織プラスミノーゲン活性化因子を加え、混合
物中、均質に分散させた。得られた製剤を冷却し、撹拌
を続けながら室温で固化させた。
製剤10および11は、本発明の新規な組成物の別の例で
ある。
製剤例10: t−PA粉末 0.0001〜.05gm ナトリウムデンプングリコレート (例えばエクスプロタブ(Explotab)qs 1gm 乾燥ミックスt−PA粉末とデンプングリコレートを混合
した。この乾燥ミックスを湿った生物表面に直接振りか
け、その位置でゲルを形成させた。
製剤例11: A−ゲルプレミックス: ヒアルロン酸ナトリウム .01〜.05gm 無水グリセロール .006〜0.25gm リン酸ナトリウムバッファー 0.01M pH6.0 注射用の水 qs 1gm B−活性成分: t−PA粉末 .0001〜.05gm グリセロールおよびリン酸ナトリウムを水に溶解し、pH
を6.0に調節した。均質なゲルが得られるまで、ヒアル
ロン酸ナトリウムをバッファー溶液に溶解した(ゲルプ
レミックス)。
ゲルを、滅菌注射器のような第1のフレキシブルな容
器に入れた。t−PA粉末を、前記の様な第2のフレキシ
ブルな容器に入れた。使用直前に、注射用の水、正常食
塩水または5%デキストロースの様な混合溶液の一定量
を加えることによって、第1のフレキシブルな容器中の
ゲルプレミックスと混合するためにt−PA粉末を調製し
た。混合溶液を第2のフレキシブルな容器中、ゲル4gm
当たり1gmの量でt−PA粉末に加え、十分混合した。一
定量の混合溶液は、投与されるゲルt−PAの量に基づ
き、変更することができる。第2のフレキシブルな容器
を、滅菌口(例えばバロン(Burron)の液体分配用連結
装置)を介して、ゲルプレミックスを含有している第1
のフレキシブルな容器に接続した。均質になるまで2個
の容器間でゲルを押したり戻したりすることによって、
t−PAとゲルプレミックスを混合した。
実施例2 腹膜癒着に対する難溶性組成物の効果 癒着形成 既述のように、固体酵素形態または可溶性形態のいず
れかの組織プラスミノーゲンアクチベーター(組織プラ
スミノーゲン活性化因子)で動物を処置した。可溶性酵
素の場合、切開部を閉じる前に、腹膜腔を1回洗浄し
た。14日後に、形成された癒着の程度を評価した。ある
いは、血液取出送入口(vascular access port)を介し
て溶液を虚血部に繰り返し外側から投与した。その取出
送入口適用の場合の癒着形成の程度を5日後に調査し
た。すべてのケースで生理食塩水を対照として使用し
た。得られた結果を第1表に示す。
すべての非処置動物は高い癒着スコアーを示してい
た。このことは、このモデルによって手術後の癒着を再
現することができることを示唆している。1回の洗浄の
処置を行ったウサギは対照動物よりも平均では低い癒着
を示した。しかし、この改善は、組織プラスミノーゲン
アクチベーターを5日間にわたって毎日2回虚血領域に
直接適用する場合に特に際立っていた。3匹の動物中、
3匹すべての動物が癒着の徴候を示さなかった。対照群
の動物は両者ともそれぞれ等級4および5の癒着を示し
た。
組織プラスミノーゲンアクチベーターを本発明の新規
な半固体製剤中に含有させ、切開して再縫合した腹膜壁
領域、および擦りむいた盲腸切片に局所適用した。適用
する組織プラスミノーゲンアクチベーターの量はゲル1g
当たり組織プラスミノーゲンアクチベーター0.25mgに固
定した。本発明の新規な組成物約2.5gを手で貼り、癒着
形成の起こり得る部位の表面全体に薄層になるまでマッ
サージした。
試験した殆どの場合、組織プラスミノーゲンアクチベ
ーターを含有しないプラセボ製剤で処置した対照動物
は、障害部位全体にわたりひどい癒着を形成した。水性
ゲルとして適用した可溶化された組織プラスミノーゲン
アクチベーター(製剤例1および3)は、対照群と比較
して癒着形成を予防するという改善は殆ど認められな
い。洗浄処置と同様に、可溶化された組織プラスミノー
ゲンアクチベーターはインビボで急速に不活化され、そ
の活性は癒着形成を完全に予防する程には十分でないの
かもしれない。癒着形成の阻害は、本発明の組成物を利
用した他のすべての処置群で認められた。製剤例5、
6、7、8および9に記載している新規な組成物を使用
して試験した29匹の内3匹のみが癒着を形成するにすぎ
なかった。水溶性ビヒクル中に懸濁した組織プラスミノ
ーゲンアクチベーター(製剤例5)などの固体形態にあ
る比較的溶解していない酵素も癒着形成の予防には有効
であった。このことは、組織プラスミノーゲンアクチベ
ーターの本来的に限定された溶解性は、インビボにおけ
る安定性、および治療効果に要求される長期のフィブリ
ン溶解活性の原因要素でもあることを示唆するものであ
る。
種々の量の組織プラスミノーゲンアクチベーターを使
用し、さらに実験を行った。24匹のウサギ(3)を4つ
の群に同等に分割した。外科的に傷を負わせた後、組換
え組織プラスミノーゲンアクチベーターを総用量0、0.
16、0.31または0.63mgで含有するビヒクル2.5gを各ウサ
ギの損傷組織に適用した。形成された癒着の程度の結果
を第1図に要約する。本発明の新規組成物中、組換え組
織プラスミノーゲンアクチベーターが低い用量の場合、
癒着形成の程度に対する効果は明らかでなかったが、用
量0.31および0.63mgにおける観察では癒着の形成が劇的
に減少された。
形成された癒着の重篤度をさらに、癒着組織を分離す
るのに要す機械力の強さを測定することによって特性化
した。使用した機械力は、たとえば閉じたままの鋏を使
用して癒着組織が分離されるブラント(鋭利でない)切
開、またはひどい癒着の場合における実際の切断であっ
た。これらの結果を第3表に示す。組織プラスミノーゲ
ンアクチベーター0.31および0.63mgで処置した動物にお
いて形成された癒着は、分離するために単にブラント切
開を要すのみであった。組換え組織プラスミノーゲンア
クチベーターを低用量で、またはそれを使用しない場合
に形成された癒着は、分離するために時間のかかるシャ
ープ(鋭利な)切開が必要であることが多かった。
製剤例11に記載している、ヒアルロン酸中に種々の量
の組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターを含有す
る製剤を使用し、実験を行った。24匹のウサギ(3)を
4つの群に同等に分割した。外科的に傷を負わせた後、
組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターを総用量
0、0.168、0.225または0.70mgで含有するビヒクル2.8g
を各ウサギの損傷組織に適用した。形成された癒着の程
度の結果を第3図に示す。本発明の新規組成物中に含有
された組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターによ
って、被検ウサギのすべてに癒着形成の減少が認められ
た。
癒着の再形成 組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターなどのト
ロンビン分解活性またはフィブリン溶解活性物質、およ
びビヒクルを含有する本発明の製剤は癒着を予防するた
めに使用することができるが、さらに癒着分離後の癒着
の再形成を予防するためにも使用することができる。組
換え組織プラスミノーゲンアクチベーターの組成物が癒
着の剥離後における癒着の再形成に影響を与えるか否か
を判定するため、以下のような実験を計画した。10匹の
ウサギに麻酔をかけ、中央線の開腹術を行った。右脇腹
に虚血性の腹膜弁を作成し、次いで既述のように盲腸に
損傷を負わせた。腹部を閉じる前には、障害組織にビヒ
クルを適用しなかった。7日後、再び開腹術を行った。
検査時に、癒着構造物を分離し、電気焼灼法によってす
べての出血を制御した。10匹のウサギのうち9匹は、等
級3またはそれ以上の癒着を有していた。1匹のウサギ
は癒着を有していなかったので、本試験から除外した。
4匹のウサギでは、孤立したフィブリン被覆表面に、組
換え組織プラスミノーゲンアクチベーター0.63mgを含有
するビヒクル2.5gを貼った。5匹のウサギは対照とし
て、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターを含有
しないビヒクルをそれと等量で与えた。ウサギの2層を
縫合して閉じ、7日後、再び開腹した。存在している癒
着の減少程度および術後癒着の再形成の結果(第2図)
は、本発明の新規な組成物中にあり、かつ持続的に放出
するように前の癒着形成部位に適用された組換え組織プ
ラスミノーゲンアクチベーターなどのトロンビン分解活
性またはフィブリン溶解活性物質が、最初の癒着形成を
予防するのと同等に、外科的な剥離後における癒着の再
形成を減少させ、予防するのに有効であることを示すも
のである。
トロンビン分解活性またはフィブリン溶解活性物質と
して投与する高用量の組換え組織プラスミノーゲンアク
チベーターは、全身フィブリノーゲンを適度に減少させ
ることが示された[ラオ(Rao,A.K.)らのClin.Res.34,
337A(1986)]。組換え組織プラスミノーゲンアクチベ
ーターを癒着形成予防にゲル中で使用することが全身フ
ィブリノーゲンの分解の原因となるか否かについて、組
換え組織プラスミノーゲンアクチベーター0.63mgを含有
するビヒクル2.5gを腹膜腔に適用して0、2、3、4お
よび24時間後に組換え組織プラスミノーゲンアクチベー
ターのインヒビターであるD−Phe−Pro−Arg−クロロ
メチルケトン[モーラー(Mohler,M.A.)らのThromb.He
am.56:2(1986)]を使用した4匹のウサギから得られ
た血液試料を分析することによって評価した。血漿試料
を組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターに関し、
血漿1ml当たり組換え組織プラスミノーゲンアクチベー
ター15ngの感度を有する特異的ELISAによって分析し
た。いずれの時点においても循環している組換え組織プ
ラスミノーゲンアクチベーターの証拠は得られなかっ
た。組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターは肝に
よって急速に消失されるので、同じ血漿試料をトロンビ
ン依存法によってフィブリノーゲンの変化について測定
した。循環フィブリノーゲンの減少ははっきりせず、こ
のことは、組換え組織プラスミノーゲンアクチベーター
が、ウサギの凝固系に変化をもたらす程の速度では腹膜
腔から循環系に容易に吸収されないことを示すものであ
る。
バックマン(Buchman,R.F.)のJ.Surg.Res.20:1(197
6)は、腹膜表面の虚血性傷害を続発させる外傷に起因
してプラスミノーゲンアクチベーター活性が持続的に低
下することは、癒着形成を導く主要な刺激であると示唆
している。反対に、内在性のフィブリン溶解系が維持さ
れることにより、フィブリンの再溶解が誘導され得、永
久癒着は生じ得ない。低下したプラスミノーゲンアクチ
ベーター活性が時間的に経過することが線維素癒着形成
の病因として知られてはいないが、既述した可溶性フィ
ブリン溶解活性物質を手術前に1回腹膜内投与しても十
分でないのである。本発明は、難溶性形態にある組織プ
ラスミノーゲンアクチベーターなどのトロンビン分解活
性物質の製剤を、存在し得る癒着形成部位に直接適用す
るという初めて確立された発明であり、これにより、お
そらく確実に、長期化した緩徐な持続的酵素放出の作用
により、低下した内生フィブリン溶解系が補強され、そ
して癒着の形成が予防される。
組換え組織プラスミノーゲンアクチベーターの腹膜内
使用によって引き起こされ得る全身性フィブリノーゲン
溶解症などの合併症および傷の治癒は観察されなかっ
た。これら動物実験では、腹膜内の出血は起こらなかっ
た。
用量作用試験(第1図)において形成させた癒着の重
篤度を、その癒着した組織を分離するのに必要とされた
外科的な困難性についてスコアー化した。外科的剥離が
必要とされた癒着を有する動物の数を示している。
実施例3 骨盤癒着に対する難溶性組成物の効果 雌性ニュージーランド白ウサギ(約3.0kg)をケタミ
ン、ロンパン(Rompun)およびアクセプロマジン(Acce
promazine)で麻酔にかけ、開腹術を行った。子宮角(u
terine horns)の全表面を露出させ、斑点状に出血する
まで傷を負わせ、次いで電気焼灼法によって子宮角に重
篤な組織障害を負わせた。本発明の組成物中の組織プラ
スミノーゲンアクチベーターをゲル製剤としてその障害
性子宮角に供給した(アモゲル−上記製剤例5を参照の
こと)。その子宮角を骨盤腔に戻した後、腹部の筋肉層
を縫合閉腹し、外科用ステープルで皮膚層を閉じた。14
日後、実験ウサギを既述のように麻酔し、再度開腹術を
行って、形成した癒着の程度を測定した。癒着の程度
は、自身と癒着している子宮角の表面積を算定して測定
した。
次いで、外科的に剥離し易かった癒着を有する動物
を、癒着組織%の平均が約25%となるようにグループ分
けした。癒着を分離した後、組織プラスミノーゲンアク
チベーターを含有する新規な組成物を既述した方法に類
似の方法により適用した。14日後、その実験ウサギを安
楽死させ、癒着組織%を子宮角の顕微鏡観察によりスコ
アー化した。
実施例4 眼癒着に対する難溶性組成物の効果 白内障手術における合併症状は癒着形成であり、これ
は斜視手術が必要とされる。ヒアルロン酸を使用して眼
科領域手術後に起こる癒着形成を予防するよう試みられ
た。ヒアルロン酸は、β−D−グルクロン酸および2−
アセトアミド−2−デオキシ−β−D−グルコースを交
互に含有する天然の炭水化物である。ヒアルロン酸、ま
たはその化合物を化学的に修飾したものを眼科手術およ
び腱修復手術の術後癒着の減少化に使用することが報告
されている[シアールら(Searl,S.S.、Meta,H.S.、お
よびLindahl,K.J.)のAnn.Ophthalmol.19(7):259(1
987)、Weiss,C.、Levy,H.、Denlinger,J.、Suros,J.お
よびWeiss,H.のBull.Hosp.Jt.Dis.Orhtop.Inst.46:9−1
5(1986)、ならびにWeiss,C、Suros,J.、Michalow,
A.、Denlinger,J.、Moore,M.、Tejeiro,W.のBull.Hops.
Jt.Dis.Orthop.Inst.47:31−39(1987)]。これらの試
験では、癒着予防における上記物質の効能は結局のとこ
ろ証明されていない。
しかし、その生体適合性故に、ヒアルロン酸溶液は難
溶性酵素、たとえばt−PAの供給に使用することができ
るであろう。以下の製剤例は、組織プラスミノーゲンア
クチベーターなどの難溶性酵素をヒアルロン酸などの生
体分解性の粘液質担体中に含有する本発明の新規組成物
の例である。
製剤 t−PA 0.1から1mg ヒアルロン酸 3から50mg NaOHを用いてpH調節 pH4.5から8.0 適量のWFI 1ml ヒアルロン酸を滅菌水に溶解し、その間NaOHを用いて
その溶液のpHを所望のpH(好ましくは5.0から6.0)に調
節し、そしてt−PA粉末を均一に分散させる。得られた
組成物を、粘液質ゲルになるまで撹拌する。白内障また
はシラビシムス(sirabisimus)の手術の直後に、得ら
れた本発明の粘液質t−PA製剤を考えられるフィブリン
沈着または癒着形成部位に適用する。
実施例5 フィブリン沈着に対する難溶性組成物の効果 フィブリン沈着は、腹腔内の感染部位に主として存在
し、細菌増殖の孤立区域を提供する。この区画化は、感
染を隔絶すると同時に、宿主防御機構から感染を孤立さ
せもする。連続性外来腹膜透析(CAPD)を受けている患
者においては、細菌腹膜炎についての同様の問題が認め
られている[ノリス(Norris,K.D.)らのAm.J.of Kidne
y Disease,10(1):62−65(1987)]。CAPDにおける
フィブリンのクロット内にある細菌の隔離は、細菌の巣
としての役目を果すと考えられ、これが抗生物質および
白血球の死滅作用から細菌を保護している。これらのCA
PD患者には、ハプテンおよびストレプトキナーゼの溶液
が投与されている。
フィブリンクロット腹膜炎モデルが開発され、ラット
の腹膜内に感染性クロットが接種された[ウエルス(We
lls,C.L.)らのJ.Antimicrob.Chemoth.15(補刊:C):19
9−206(1985)]。手術後、フィブリン沈着および膿瘍
形成のあり得る部位、またはその付近に本発明の新規な
組成物を適用する。開腹し、膿瘍形成について腹膜腔を
調査する。
実施例6 腱癒着に対する難溶性組成物の効果 屈筋腱修復手術後の癒着形成は、傷を負った腱の修復
を抑制することが見いだされている[マットソース(Ma
tthews,P.)らのJ.of Bone and Joint Surgery 58B:230
−236(1976)]。腱に対する初期の傷害は本来、癒着
形成の刺激でないことが見いだされている。指の屈筋腱
が切断された場合、その端は収縮し、自由に鞘内に存在
して緩やかに丸くなる。癒着にはならず、その周りの組
織でも反応は起こらない。癒着の応答が起こるのは、腱
末端を外科的に並置(appose)した場合のみである。
成熟したニュージーランド白ウサギを試験用に選択し
た。最初の準備はすべての実験で同一である。ウサギを
静注用ネムブタール(Nembutal)で麻酔し、次いで前足
の片方を除毛し、全採血用圧迫帯(exsanguinating tou
rniquet)を適用する。次いで、皮膚をヒビタンの1%
アルコール溶液を用いて準備し、滅菌ドレープを適用し
た。
指自身でなく、「足の裏」領域に皮膚の切り込みを入
れ、次いで屈筋腱を鞘および開いた骨膜反射(synovial
reflaction)への侵入部位に確定(アイデンティファ
イ)した。中指を完全に曲げ、深遠部において近くに引
っ張ることにより、腱の髄膜内部の長さを傷に到達させ
ることができる。次ぎに、外科用メスを用いて腱を横方
向に切断することによって、その腱の可能な限り遠くに
外傷を負わせる。その切断は、完全な切除の直前で止
め、連続性を維持するのに十分な腱線維のみを無傷で残
す。次いで、引っ張りを解放し、腱の外傷ゾーンを滑り
戻し、近位指骨の第3遠位以上の正常鞘内に位置させ
る。本発明のt−PAゲルをその外傷ゾーンに任意に適用
する。微細な縫合用腸線(ガット)で皮膚を閉じ、外傷
部に外傷用医薬コロジオンエアロゾルを噴霧する。
傷を閉じた後、寸法がぴったりの焼石膏の添え木を適
用して患部の足全体を包み、その指を固定する。全期間
で24日間その石膏を保持し、その後に足を自由にする。
すべての処理操作には、全体にわたって無菌法を使用
する。腱は可能な限り緩やかに操作し、鋭い外科用メス
のみを使用する。
12週以内の間隔をおいてウサギを殺す。解剖用顕微鏡
を用い、操作する指をまず注意して調査し、腱の治癒状
態の態様、傷付近の組織の反応性、および癒着の存在性
またはその他の点を記録する。次いで、腱を周りの軟組
織と共に取り出し、10%生理食塩水(for mol saline)
中に固定する。操作し固定した後、顕微鏡検査するた
め、連続した縦切片を切り出す。この切片をヘマトキシ
リン(hematoxylin)とエオシン(eosin)、ジェイムス
銀染料、およびハールのコロイド状鉄/PAS染料で染色す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 210,895 (32)優先日 1988年6月24日 (33)優先権主張国 米国(US) (56)参考文献 特開 昭62−187414(JP,A) 特開 昭59−160465(JP,A) 特開 昭61−236732(JP,A) 特開 昭62−174031(JP,A) 特開 昭61−165331(JP,A) 特開 昭62−174007(JP,A) 特開 昭63−96135(JP,A)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】手術後のフィブリンまたは癒着形成が存在
    し得る部位に、3日から2週間その部位に連続して放出
    される治療学的有効量の固形の難溶性組織プラスミノー
    ゲンアクチベーターを含有している組成物を局所投与す
    ることを特徴とする、フィブリン沈着または癒着形成ま
    たは癒着再形成を予防するための外科的に処置されたヒ
    ト以外の動物の処置方法。
  2. 【請求項2】組成物が不活性な粘性強化ビヒクルを含有
    している請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】固形の難溶性組織プラスミノーゲンアクチ
    ベーターの治療学的有効量が0.125mg/不活性粘性強化ビ
    ヒクルgから2.5mg/不活性粘性強化ビヒクルgである請
    求項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】固形の難溶性組織プラスミノーゲンアクチ
    ベーターの治療学的有効量が0.25mg/不活性粘性強化ビ
    ヒクルgから1.0mg/不活性粘性強化ビヒクルgである請
    求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】不活性な粘性強化ビヒクルが水溶性ゲルで
    ある請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】不活性な粘性強化ビヒクルが半固形ビヒク
    ルである請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】半固形ビヒクルがワセリンゼリーである請
    求項6に記載の方法。
  8. 【請求項8】ビヒクルが生体分解性ポリマーである請求
    項2に記載の方法。
  9. 【請求項9】ビヒクルがヒアルロン酸である請求項2に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】期間が3日から10日である請求項1〜9
    のいずれかに記載の方法。
  11. 【請求項11】フィブリン沈着が腹膜炎に罹患した動物
    に起こったものである請求項1〜10のいずれかに記載の
    方法。
  12. 【請求項12】手術を受けた動物のフィブリンまたは癒
    着形成が存在し得る部位に適用して組織プラスミノーゲ
    ンアクチベーターを3日から2週間供給可能な、固形の
    難溶性組織プラスミノーゲンアクチベーターの治療学的
    有効量を含有するフィブリン沈着または癒着形成または
    再形成を予防するための医薬組成物。
  13. 【請求項13】不活性な粘性強化ビヒクルを含有してい
    る請求項12記載の医薬組成物。
  14. 【請求項14】不活性な粘性強化ビヒクルが半固形ビヒ
    クルである請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】半固形ビヒクルがワセリンゼリーである
    請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】不活性な粘性強化ビヒクルが生成分解性
    ポリマーである請求項13に記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】不活性な粘性強化ビヒクルがヒアルロン
    酸である請求項13に記載の医薬組成物。
  18. 【請求項18】手術を受けた動物のフィブリンまたは癒
    着形成が存在し得る部位にフィブリン沈着または癒着形
    成を予防するために適用される組合せ製剤であって、 a)治療学的有効量の固形の難溶性組織プラスミノーゲ
    ンアクチベーターを含有する第1の組成物、および b)粘性強化ビヒクルを含有する第2の組成物 からなる製剤。
  19. 【請求項19】第2の組成物中の粘性強化ビヒクルがヒ
    アルロン酸である請求項18記載の組合せ製剤。
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