JPH11506741A - 術後癒着の防止及び腔内担体装置としてのヒドロキシエチルスターチの使用 - Google Patents

術後癒着の防止及び腔内担体装置としてのヒドロキシエチルスターチの使用

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Abstract

(57)【要約】 手術の後の体腔内における組織表面間、例えば臓器表面間での癒着の形成を低減又は阻止するために、及び薬物の搬送のために、ヒドロキシエチルスターチ(HES)及び方法におけるそれらの使用が提供される。HESは、吸収性物理的障壁として、単独もしくは1種以上の抗癒着形成化合物との組み合わせで、体腔内に位置する臓器のような組織、例えば、腹膜、骨盤、肋膜腔、中枢神経系、靭帯内空間の傷害領域への適用に用いることができる。また、HESは、薬学的に活性な薬剤を搬送するための腔内担体装置として用いることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】 術後癒着の防止及び腔内担体装置としてのヒドロキシエチルスターチの使用発明の分野 本発明は、ヒドロキシスターチ、並びに組織、例えば臓器と体腔表面との間で の術後癒着の形成を最小化又は阻止するための吸収性の物理的障壁として、及び 医薬を搬送するための腔内担体装置(device)としてのそれらの使用に関する。発明の背景 癒着形成、特には腹膜手術に伴う癒着形成は、外科手術後の罹患及び死亡の主 な原因である。臨床的に重大な癒着形成に関連して最も頻繁に行われる手術は、 虫垂切除及び婦人科の手術である。腹腔内癒着の最も深刻な合併症は腸閉塞であ る。加えて、癒着は、慢性的もしくは再発性の骨盤の傷み及び婦人における不妊 症に関係する。 癒着形成の原因は複雑であり、完全には理解されていない。その第1段階は、 過剰のフィブリンが堆積して足場を形成することに関係しているものと信じられ ている。このフィブリンの足場の線維芽細胞及び中皮細胞を含む細胞性要素によ る組織化がこれに続く。 癒着形成の阻止に対する様々なアプローチの調査が活発に行われている[di Zerega,G.S.&Rodgers,K.E., “Preventio n of Postoperative Adhesion,” in “Th e Peritoneum,” diZerega,G.S.&Rodgers ,K.E., eds., Springer−Verlag, New Yo rk, pp.307−369(1992)]。一般に、これらの治療は3つの 範疇:腹膜浸出におけるフィブリン堆積の阻止、局部組織の炎症の低減、及びフ ィブリン堆積の除去に入る。 フィブリンの堆積を阻止する治療上の試みには、フィブリン性浸出液を希釈又 は洗い流す腹膜洗浄、組織の虚血を最小化する手術技術、及び治癒漿膜表面の付 着を制限する障壁の導入が含まれる。フィブリン性流体の凝固に影響を及ぼす薬 剤の使用も提案されているが、今日までに得られている結果は、実質的に出血し ている領域での凝血原の使用が癒着形成を現実に促進し得ることを示唆している [Elins,T.E., “Can a Pro−Coagulant Su bstance Prevent Adhesions?” in ”Trea tment of Post−Surgical Adhesions,” d iZerega,G.S. et al., eds., Wiley−Lis s, New York, pp.103−112(19 90)]。 腹膜治癒の重要な期間に組織の付着を制限し、それにより組織表面間でのフィ ブリンマトリックスの発生を最小化することによって付着形成を阻止する試みに おいて、物理的障壁(physical barriers)が用いられている。使用されている障 壁剤には、物理的障壁(mechanical barriers)及び粘性溶液(viscous solutions) の両者が含まれる。拡張されたポリテトラフルオロエチレンの薄いシートからな る障壁を用いて、それらを併せ持つ結果が得られている。いずれにしても、その ような膜は適所に縫合しなけれならず、かつ非吸収性であるため、理想には程遠 い。吸収性障壁(例えば、酸化再生セルロースから作製される障壁)が好ましく はあるが、全ての研究が癒着の防止におけるそのような障壁の効力を示してるわ けではない。液体障壁も癒着の防止における使用が考慮されている。例えば、硫 酸コンドロイチン及びカルボキシメチルセルロースの両者は動物モデルにおいて 幾らかの見込みを示している。加えて、デキストラン70(分子量=70,00 0)の溶液が多くの臨床研究で試験されている。臨床評価の全てではないが、3 2%デキストラン70に治療効果が見出されている。しかしながら、この溶液の 臨床使用は臨床上重要な副作用にも関連する。 抗炎症薬が、術後癒着形成に対するそれらの効果について、手術部位での炎症 に応答するフィブリン性浸出液 の放出を制限するものと評価されている。これらの薬物の2種類の一般的なクラ ス、副腎皮質ステロイド及び非ステロイド系抗炎症薬が試験された。動物研究で の副腎皮質ステロイドの使用の結果は一般に勧められるものではなく、副腎皮質 ステロイドの臨床使用はそれらの別の薬理学的特性によって制限される。術後癒 着形成における非ステロイド系抗炎症薬の実験的な評価は有望であることを示す [Rodgers,K.E.,“Nonsteroidal anti−inf lammatory drugs (NSAIDs) in the trea tment of Postsurgical adhesion,” in “Treatment of Post−Surgical Adhesion ,” diZerega,G.S. et al., eds., Wiley −Liss, New York, pp.119−129(1990)]が、 これらの薬物を癒着の防止について臨床的に評価することが必要である。 今日までに調べられた第3のアプローチはフィブリン堆積の除去を含む。タン パク分解酵素(例えば、ペプシン、トリプシン及びパパイン)は理論的には局部 的なフィブリン分解系を増大させ、癒着形成を制限するはずであるが、これらの 酵素は腹膜浸出液によって中和され、事実上癒着の阻止の役に立たないものとな ってしまう。様々なフィブリン分解剤(例えば、フィブリノリシン、 ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼ)が提唱されているが、術後の治療におけ るこれらの酵素の臨床使用に潜在する合併症はそれらの投与の結果生じる過剰の 出血である。組換え組織プラスミノーゲン活性化因子(rt−PA)の局所塗布 が様々な動物モデルにおいて癒着の形成を低減させることが示されている。この 薬物を手術部位に送る適切な搬送システムを開発し、癒着の阻止が実現可能であ る場合にその術後時間を見分けるには、さらに調査を要する。 今日まで、術後腹腔内癒着の形成の阻止において普遍的に有効であることが立 証されている単一の治療アプローチはない。したがって、様々な異なる状況にお ける術後癒着形成の低減又は阻止に安全かつ有効に用いることができる組成物及 び方法の必要性が存在する。発明の目的 本発明の目的は、外科処置に続く腔内傷害部位での癒着の形成を低減又は阻止 する方法において吸収性物理的障壁として用いられるヒドロキシエチルスターチ (HES)を提供することにある。HESは、単独で、又は1種以上の抗癒着形 成化合物と組み合わせて有効に用いることができる。 本発明の別の目的は、HESを薬学的に活性な薬剤を体腔に搬送するための腔 内搬送装置(delivery device)として用いることである。 本発明のこれらの、及び他の目的は、以下の詳細な説明を鑑みて明らかとなる であろう。発明の要約 本発明はHES及び医学的治療におけるそれらの有用性に関する。本発明の一 態様において、組織の修復の間の組織、例えば臓器と体腔内の傷害部位の表面と の間での術後癒着形成を低減又は阻止するための吸収性物理的障壁としてHES が用いられる。この吸収性物理的障壁は、潜在的な癒着形成部位に、その傷害部 位での実質的な組織修復(例えば、再上皮化又は中皮修復)を可能にするに十分 な期間留まる。所望であれば、このHES障壁は、この効果を高めるために癒着 の形成を低減させる化合物を1種以上含んでいてもよい。抗癒着形成効果を有す る代表的な化合物には、クイナクリン(quinacrine)、ジピリダモル(dipyridamol e)及びそれらの類似体、ケトチフェン(ketotifen)及びそれらの類似体、マノア リド(manoalide)及びそれらの類似体、レチノイド(retinolds)、ラザロイド(laz aroids)、並びに抗炎症性副腎皮質ステロイド(corticosteroid)、ベタメタゾン( betamethasone)が含まれる。 本発明の別の態様においては、HESは、薬学的に活性な薬剤を組織、例えば 、臓器、体腔空間の表面に搬送するための腔内担体装置として用いられることが ある。この薬学的に活性な薬剤はHESに共有もしくは非共有 結合していてもよく、あるいは単にHES内に分散されているだけでもよい。発明の詳細な説明 本出願に引用される全ての参考文献、特許及び特許出願はそれらの全体がここ に組込まれている。 本発明は、ヒドロキシエチルスターチ(HES)が、体腔内の組織表面間の術 後癒着の形成を最小化又は阻止するための吸収性物理的障壁として、及び薬学的 に活性な薬剤を搬送するための腔内担体装置として、治療方法において有用であ るという発見に基づく。HESは、ヒドロキシエチル基が、約0.1ないし約0 .8のモル比基準(すなわち、10個のグルコピラノース単位毎に1個のヒドロ キシエチル基ないし10個のグルコピラノース単位毎に8個のヒドロキシエチル 基)で、約3×104ないし約4×106ダルトンの範囲、好ましくは約2×105 ないし約2.4×106ダルトンの範囲の分子量を有するアミロペクチンモノマ ーで置換されているアミロペクチンである。HESの再検討のためには、例えば 、Thomson,W.L. (1978) “Hydroxyethyl S tarch,” in “Blood Substitutes and Pl asma Expanders,” Alan R.Liss,Inc.,Ne w York,NY,pp.283−292を参照のこと。HESの一形態、ヘ タスターチ (HES−7−8:10)、すなわちヘスパンは血漿容積増量剤及び赤血球沈降 剤として商業的に用いられており、このポリマーの10個のD−グルコピラノー ス毎に存在する約7−8個のヒドロキシ基がCH3CH2OH基に変換される程度 までエーテル化されているアミロペクチンを90%を超えて含む。“1993 Physicians’ Desk Reference,” pp.967− 68を参照のこと。下記実施例においては、HESの2つの形態、10個のグル コピラノース単位当り1つのCH2CH2OHを有する一形態(HES−1:10 )およびHES−7−8:10を評価した。本発明以前には、癒着形成阻止のた めの吸収性物理的障壁及び薬学的に活性な薬剤を搬送するための腔内担体装置と してのHESの有用性は知られていなかった。 本発明の一態様において、HES、例えばHES−1:10及びHES−7− 8:10が、手術に先立つ最もありふれた原因である体腔内における組織表面間 での癒着形成(細胞−細胞癒着ではない)の最小化又は阻止に用いられる吸収性 物理的障壁として用いられる。HESは、手術後の腹膜における癒着形成の阻止 において単独で有効であることが見出された。加えて、本発明は、癒着の形成の 阻止が重要な問題である他の状況、例えば、心血管、整形、胸部、眼、CNS及 び他の用途に有用性を見出す。以下の論考のために、主として腹膜の癒着形成の 阻害において有用な組成物及び方法の説明に注意を 向ける。 HESは、構造及び臨床用途に関して、デキストランと全体的な類似性を共有 する。デキストランは、多くの臨床及び動物研究において、癒着形成の低減に有 用であることが示されている。デキストランの抗癒着形成効果に対しては2つの 可能性のある機構が提唱されている。機構の1つは水中浮揚に基づくものであり 、それによりデキストランの塗布の後にその被験物質の高浸透圧性によって多量 の腹水形成が観察された。例えば、diZerega et al (1944 ) “Use of Instillates to prevent int raperitoneal Adhesions. Crystalloid and Dextran,” Infertility and Reprod . Med. Clinics of North America , Vol .5, pp.463−78;及びCohen et al. (1983) “Use of Intraperitoneal Solutions fo r Preventing pelvic adhesions in the Rat,” J.Reprod.Med.,Vol.28, pp.649− 653を参照のこと。他方の機構は凝固パラメータの変更に基づくものである。 同書。しかしながら、以下に概説される動物研究において、HESはデキストラ ンで観察されるような多くの腹水の形成は引き起こさ なかった。 デキストラン含有製剤は、それらが高浸透圧性である場合にのみ癒着の形成を 低減することが示されている。同書。高浸透圧性製剤は、腹腔内への流体の移動 による平衡化プロセスによる腹水形成を招く。同書。この腹水は、腹膜修復のプ ロセスの間浮揚によって組織を分離する水中浮揚媒体を生成する。下記実施例に は、HESが低浸透圧性製剤において癒着の形成を有効に低減することが示され ている。したがって、癒着の阻止における作用の機構はデキストランとHESと では明確に異なる。加えて、この文献は、HESがデキストランと同程度にはフ ィブリン分解及び凝固に影響を及ぼさないことを示唆する。 凝固パラメータに対するHESの効果は、誘導体化の程度及び分子量に依存し 得る。ペンタスターチ(低MW及び低誘導体化)は凝固パラメータを変更するも のとは思われない。Strauss et al.(1988) “Penta starch may cause fewer effects on co agulation than hetastarch,” Transfus ion ,Vol.28,pp.257−60; London et al.( 1989) “A randomized clinical traial of 10% pentastarch (low molecular we ight hydroet hyl starch) versus 5% albumin for pl asma volume expansion after cardiac operation,” J.Thorac.Cardiovasc.Surg ,Vol.97:785−97; Samana,C. et al.(19 91) “Absence of side effects of hydr oxyethyl starch 200 in a porcine mod el of experimental arterial thrombos is,” Thrombosis Res.,Vol.62,pp.591−8 。 HESは外見上マクロファージによって一掃され、したがって、マクロファー ジの機能の減少に関する理論的な懸念が存在していた。しかしながら、さらなる 研究ではこれは支持されていない。WBC機能の幾つか(食作用、走化性、サイ トカイン放出及び炎症媒介物の放出)に対して効果は示されていない。East lund,D.(1992) “Monocyte chemotaxis a nd chemotactic cytokine release afte r exposure to hydroxyethyl starch,” Transfusion ,Vol.32,pp.855−60; Straus s et al.(1986) “Ingestion of hydroxy e thyl starch by human leukocytes,” Tr ansfusion ,Vol.26,pp.88−90; Hain,H. e t al.(1988) “Prostaglandin E2, throm boxane B2, and leukotriene B4 release from peritoneal macrophages by diff erent osmotic agents in nonuremic gu inea pigs,” Trans.Am.Soc.Artif.Inter n.Organs ,Vol.XXXIV,pp.429−32。 HESの観察された作用は、それ自体では、それが癒着の形成の低減において 有用性を有するかどうかを予測することを可能にするのに十分なものではない。 例えば、HESはトロンビン誘発凝固時間の遅延時間を短縮し、フィブリン原線 維の側方会合を増大させた。しかしながら、HESはまた、フィブリン分解を促 進し、APTT時間を延ばし、第VIII因子の生成及び凝血原活性を減少させ る。したがって、止血パラメータに対するHESの効果は混合されたものであり 、いずれにしても、それがあるとして、HESが癒着の形成に関してどのような 効果を有するのかを予測することは困難である。Carr.ME.(1986) “Effect of hydroethyl starch on the structure of thrombin− and reptilase −induced fibrin gels,” J.Lab.Clin.Me d. ,Vol.108,pp.566−61; Kuitunen,A et al.(1993) “Hydroethyl starch as a pr ime for cardiopulmonary bypass: Effe cts of two different solutions on ha emostasis,” Acta Anaesthesiolgoica S candinavia ,Vol.37,pp.652−8; Collins, R. et al.(1994) “The effect of hydro xyethyl starch and other plasma volu me substitutes on endothelial cell a ctivation: an in vitro study,” Inten sive Care Med. ,Vol.20,pp.37−41; Folk ,JL et al.(1988) “Effects of hetasta rch and albumin on coagulation in pa tients with septic shock,” J.Clin.Ph armacol. ,Vol.28,pp.412−5。 本発明において用いられるHESは、グルコピラノース単位当り約0.1ない し約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比でヒドロキシエチル基が置換さ れているアミロペクチンである。このアミロペクチンモノマーは、約3×104 ないし約4×106ダルトンの範囲、好ましくは約2×105ないし約2.4×1 06ダルトンの範囲の分子量を有することができる。本発明の実施において好ま しいHESはHES−1:10、HES−7−8:10及びHES−5:10( 通常ペンタスターチと呼ばれる)である。HESは、シグマケミカル社(Sigma Chemical Company)(セントルイス、MO、USA)を含む様々な商業的源から 購入することができる。 所望であれば、HESの凝集又は架橋形態を本発明のHES製剤に用いること ができる。HESモノマー間の相互作用を誘発する方法は当該技術分野において 公知であり、これには加熱又は照射が含まれる。例えば、Concettoni et al.(1992) “Thermic and UV instab ility of hetastarch,” Pharmacologica l Res. ,Vol.25,pp.87−88; 及びConcettoni et al.(1990) “Energy of Activation of hetastarch in a limited range of thermal exposition,” Acta Physiologi al Hungaria ,Vol.75(Supp.),pp59−60を参照 のこと。 HES製剤は、約25℃ないし約100℃で所定量を水に溶解することにより 調製することができる。HES−1:10が溶解により高温、例えば100℃を 要するのに対して、HES−7−8:10が室温で容易に水に溶解することが観 察されている。 所望であれば、HESストック溶液を遠心して微粒物質を除去し、オートクレ ーブ処理、無菌濾過、又はあらゆる適切な方法によって無菌化する。室温に冷却 する際、この無菌ストック溶液を適切な容量の無菌の生理学的に許容し得るビヒ クルで希釈してHES製剤を製造する。 一般に、投与することができるHESの濃度は、下限での効力及び上限でのそ の物質の溶解度又は毒性によって制限される。実際には、HES製剤の濃度は、 一般に、水性ビヒクル中に約0.1%ないし約60%(w/v)、好ましくは約 5.4%ないし約34.3%(w/v)のHESの範囲をとる。前述の濃度範囲 で、HES製剤は低浸透圧性であり、水中浮揚及びその結果生じる生理学的副作 用を回避する。しかしながら、いかなる浸透圧をも付与することが可能であり、 例えば、本発明の組成物を体腔内で体組織に対して等張もしくは高浸透圧性にな るように処方することができる。浸透圧は、用いられるHESの量を変えること により、又は生理学的に許 容し得る浸透圧的に活性な物質を用いることにより調整することができる。 HES製剤は、使用前に、一般には約−20℃ないし約30℃、好ましくは約 4℃ないし約25℃の範囲の温度で保存することが可能である。特定のHES製 剤、例えば13.5%HES−1:10を投与の前に4℃で保存した後に、抗癒 着形成効果の増強が観察された。本発明の作用のいかなる理論にも制限されるも のではないが、低温保存はHES組成物の粘度を増加させるものと信じられる。 生理学的に許容し得るビヒクルの限定を受けない例には、水、生理食塩水又は アルカリもしくはアルカリ土類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、 ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸塩等を含む緩衝水溶液、例えば、ナトリウムリン酸 塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、重炭酸塩、炭酸塩及びトロメタミン(TR IS)が含まれる。生理学的に許容し得るビヒクルは、適用の標的部位との接触 で刺激もしくは炎症を引き起こし、あるいはこれらを悪化させるべきではない。 本発明での使用に好ましいビヒクルには、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水( PBS)、クエン酸緩衝液、及びリンゲル乳酸塩溶液が含まれる。 本発明の実施において、HES組成物には、効果を高めるために抗癒着形成化 合物がさらに補足されていることが好ましい。代表的な抗癒着形成化合物には、 例えば 、ラザロイドについての1994年11月17日に出願された米国特許第08/ 341,651号;キナクリンについての1994年6月7日に出願された米国 特許出願連続番号08/253,438号;レチノイドについての1995年1 月16日に出願された米国特許第08/373,399号;ジピリダモルについ ての1994年6月7日に出願された米国特許第08/253,437号;Kath leen Elizabeth Rodgers及び Gere Stodder diZerega(南カリフォルニア大学、 譲受人)による5−リポキシゲナーゼ阻害剤を用いる術後癒着形成の低減又は阻 止方法(METHOD FOR REDUCING OR PREVENTING POST-SURGICAL ADHESION FORMATIO N USING 5-LIPOXYGENASE INHIBITORS)についての、本発明と同時に出願された米 国特許第08/473,183号; Kathleen Elizabeth Rodgers 及び Gere St odder diZerega(南カリフォルニア大学、譲受人)によるマノアライド及びそれ らの類似体を用いる術後癒着形成の低減又は阻止方法(METHOD FOR REDUCING OR PREVENTING POST-SURGICAL ADHESION FORMATION USING MANOALIDE AND ANALOGUE S THEREOF)についての、本発明と同時に出願された米国特許第08/479,1 28号;及び Kathleen Elizabeth Rodgers 及び Gere Stodder diZerega(南カ リフォルニア大学、譲受人)によるケトチフェン及び類似体を用いる術後癒着形 成の低減又は阻止方法(METHOD FOR REDUCING OR PREVENTING POST-SURGICAL ADH ESION FORMATION USING KETO TIFEN AND ANALOGS)についての、本発明と同時に出願された米国特許第08/4 72,299号に記述されるものが含まれる。他の代表的な抗癒着形成剤には、 トルメチン(Tolmetin)及びイブプロフェン(Ibuprofen)のようなNSAIDS; 及びベタメタゾン(Betamethasone)及びデキサメタゾン(Dexamethasone)のような 抗炎症性副腎皮質ステロイドが含まれる。ベタメタゾンは特に効力の高い抗癒着 形成剤であり、本発明のHES組成物と共同でのその使用を下記実施例に例示す る。 所望であれば、本発明のHES製剤は、緩衝剤に加えて、保存剤、共存溶剤、 懸濁剤、増粘剤、イオン強度及び浸透圧調整剤並びに他の賦形剤を含んでいても よい。薬物搬送ビヒクル中に用いることができる適切な水溶性保存剤には、亜硫 酸水素酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、ベンズアルコニ ウム塩化物、クロロブタノール、チメロサール、フェニル水銀ホウ酸塩、パラベ ン、ベンジルアルコール、フェニルエタノール又はビタミンE及びトコフェロー ルのような酸化防止剤並びにEDTA及びEGTAのようなキレート剤が含まれ る。これらの薬剤は、一般には約0.001重量%ないし約5重量%の量、好ま しくは約0.01ないし約2重量%の量が存在し得る。 本発明の方法に従い、HESが有効な量で潜在的な癒着形成部位に実質的な再 上皮形成(reepithelialization)を可能にするに十分な期間保持される。HES は典型 的には手術期間の全体にわたって投与され、これには、本発明の目的のために、 手術開始時から手術それ自体を通して手術の完了の直前までが含まれ得る。本発 明の実施において、HES組成物は、好ましくは、(例えば、手術後の皮膚縫合 の前に)単一用量で投与される。所望であれば、HES組成物を手術の間繰り返 し投与することができる。一般には、傷害部位に投与することが可能なHES製 剤の量は約0.2ないし約100ml/体重kg、好ましくは約2ないし約10 ml/体重kgの範囲をとる。 本発明の別の態様においては、HES製剤を、薬学的に活性な薬剤を直腸、尿 道、鼻腔、膣、耳道、口腔、口窩、腹膜、肋膜、関節空間、中枢神経系(例えば 、硬膜内空間)、腱空間、脊髄近傍(paraspinal)空間のような標的体腔に搬送 する腔内担体装置として用いることができる。当該分野における研究者には容易 に明らかであるように、医薬はこの障壁に共有結合又は非共有結合(例えば、イ オン結合)していてもよく、あるいは単にその内部に分散されていてもよい。 腔内担体装置として用いられる場合、HES製剤は、一般には約0.001重 量%ないし約10重量%の薬剤、好ましくは約0.01%ないし約5%の範囲を とる有効量の薬学的に活性な薬剤、例えば薬物を含む。水不溶性の薬学的に活性 な薬剤の薬物溶解度を高めるため、DMSO又はエタノールのような共存溶媒を 用いることが できる。不溶性薬物は、しばしば、適切な懸濁剤又は増粘剤の助けで懸濁させる ことができる。 本発明の腔内担体装置によって体腔に投与することができる薬学的に活性な薬 剤の適切な、しかしながら限定を受けるものではない種類には、抗菌物質、例え ば、セフォキシチン、ペニシリン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アン ピシリン、セファロスポリン、n−ホルムアミドイルチエナマイシン及び他のチ エナマイシン誘導体、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン 、グラミシジン、バシトラシン、スルホンアミドのようなβ−ラクタム抗生物質 ;ゲンタマイシン、カナマイシン、アミカシン、シソミシン及びトブラマイシン のようなアミノグリコシド抗生物質;ノルフロキサシンのようなナリジクス酸及 び類似体並びにフルオロアラニン/ペンチジドンの抗微生物性の組み合わせ;ニ トロフラゾン等;ピリラミン、クロルフェニラミン、テトラヒドロゾリン、アン タゾリン等の抗ヒスタミン剤及びうっ血除去剤;コルチゾン、ヒドロコルチゾン 、ベタメタゾン、デキサメタゾン、フルオコルチゾン、プレドニゾロン、トリア ンシノロン副腎皮質ステロイド、インドメタシン、スリンダック、イブプロフェ ン、トルメチン及びフルビプロフェン、その塩及びその対応する硫化物のような 抗炎症剤、が含まれる。アシクロビアのような抗ウイルス性化合物;組織プラス ミノーゲン活性化因子、ストレプトキナーゼ、及びウロキナーゼのようなフィ ブリン分解酵素;腫瘍壊死因子、インターロイキン−1、及びインターフェロン のようなサイトカイン;並びに上皮成長因子及びトランスフォーミング成長因子 のような成長因子もこの担体によって搬送される種類の化合物として含まれる。 抗真菌剤、殺アメーバ剤、殺トリコモナス剤又は抗原生動物剤を必要とする膣 及び尿道の状態の治療には、ポリオキシエチレン、ノニルフェノール、アルキル アリールスルホン酸塩、オキシキノリン硫酸塩、ミコナゾール硝酸塩、スルファ ニルアミド、カンジシジン、スルフィソキサゾール、ミスタチン、クロルチマゾ ール、メタロニダゾール等及び抗原性動物剤、例えば、クロラムフェニコール、 クロロキン、トリメトプリム、スルファメトキサゾール等、抗新生物剤、例えば 、シスプラチン及び5−フルオロウラシルを用いることができる。 本発明の組成物はいかなる適切な手段によっても標的部位に適用することがで きる。一般には、腔内投与は体空間に依存し、例えば、腹腔内には注ぎ込み、関 節内空間には注入する。 本発明は添付の例を参照することによってより理解することが可能であり、こ れらの例は単に説明するためのものであって、いかなる意味においても以下の添 付の請求の範囲に定義される本発明の範囲を限定するものと見なされるべきでは ない。実施例 腹膜手術後の癒着形成の低減における単独又は抗癒着化合物との組み合わせで のHES組成物の効力を確認するため、複数の研究を行った。2つのモデル系、 側壁癒着モデル及び子宮角モデルを用いた。これらのモデルの両者を用いて得ら れた結果と癒着の阻止における有用性との間の明瞭な相関が、明瞭な臨床効力が 示され、かつ婦人科の手術における癒着の阻止についてFDAの認可が得られて いるインターシード(TC7)で示されている。 腹膜側壁モデルにおいては、ウサギを1.2mg/kgアセチルプロマジンで 予備麻酔し、55mg/kg塩酸ケタミン及び5mg/kgキシラジンの混合物 を筋肉内注射することにより麻酔した。無菌手術の準備をした後、正中線開腹を 行った。右腹部側壁で腹膜の3×5cm領域及び横断腹筋を除去した。盲腸を体 外に露出させ、指で押して盲腸表面全体にわたって漿膜下出血を起こした。その 後、盲腸をその正常な解剖学的位置に戻した。試験しようとする化合物をアルツ ェット(Alzet)ミニ浸透圧ポンプ(アルザ社(Alza Corporation)、Palo Alto、CA、USA)に入れ、術後の期間全体にわたってその分子が連続的 に放出されるようにした。このアルツェットミニ浸透圧ポンプを皮下空間に設置 し、搬送チューブでポンプと側壁の傷害部位とをつなげた。対照ウサギのポンプ にはビヒクルを入れた。腹壁及 び皮膚を標準化された方法で閉じた。 7日後、これらのウサギを犠牲にし、癒着に関与する側壁傷害の面積の割合を 決定した。加えて、形成された癒着の粘着性を以下のシステムを用いて採点した 。 0=癒着なし。 1=穏やかで容易に切り離すことができる癒着。 2=中度の癒着;切断不可能、臓器を損傷しない。 3=極度の癒着;切断不可能、除去する際に損傷を与える。 癒着の面積又は粘着性の減少が有益であるものと考えられる。 さらなる実験においては、ウサギ子宮角モデルを用いた。このモデルは、事前 に、術後にウサギに重篤な癒着を引き起こすことが示されている[Nishim ura,K.et al.,“The Use of Ibuprofen f or the Prevention of Postoperative A dhesions in Rabbits,” Am.J.Med.,Vol. 77,pp.102−106(1984)]。これらのウサギを麻酔(130m g/kgケタミン及び20mg/kgアセチルプロマジンim)し、無菌手術の 準備をした。正中線開腹を行い、斑点状の出血が生じるまでガーゼで漿膜表面を 擦ることにより両子宮角に 外科的に傷を付けた。側枝血液供給を取り除くことにより両子宮角の虚血を誘発 した。幾つかの研究においては、上述のアルツェットミニ浸透圧ポンプ及びチュ ーブにより物質を傷害部位に搬送した。別の研究においては、試験化合物の一部 を手術の最後に傷害部位に適用し、残りの物質は閉じる前に切れ目から適用した 。対照には外科的及びビヒクル対照が含まれる。腹側及び皮膚を標準化された方 法で閉じた。 7日後、これらのウサギを犠牲にし、癒着に関与する子宮角損傷の面積の割合 を決定した。癒着の全体的な程度を表す初期評点を付ける(0ないし4+)。様 々な臓器への癒着に関与する角の表面の割合を、表の総合癒着評点の下に示す。 ここに報告される例で用いられるモデル系において、HESを含む組成物は腹 膜癒着の発生を低減することが示された。これらの実施例において、ウサギには 様々な容量の試験化合物が与えられた。試験組成物のHES濃度は約5.4%な いし約40%の範囲であった。別の試験組成物は、キナクリン、ラザロイド及び ベタメタゾンのような抗癒着剤を含んでいた。実施例1 :HES組成物の調製 HES−1:10(6.15グラム、カタログ番号H6382、シグマ社、セ ントルイス、MO、USA)をマグネチック・スターラーを用いて水(100m l)に 再懸濁させ、85℃に加熱してHES−1:10を溶解した。次に、この溶液を 約1分間煮沸し、冷却した。この物質を10分間1000×gで遠心して不溶粒 状物質の大切片を除去し、オートクレーブに入れて加熱して滅菌した。オートク レーブ処理の後、この調製品をビヒクル又は薬物のいずれかで希釈した(試験群 に応じて、ビヒクル1部について9部のHES−1:10)。その後、この物質 をシリンジに入れ、室温又は4℃で保存した。室温での保存では、HES−1: 10溶液の粘度が同程度に変更されたようには見えなかった。しかしながら、4 ℃での3ないし5週間の保存では、パーセントの高いHES−1:10溶液で凝 固点までの粘度の増加が生じた。 HES−7−8:10に関しては、所定量のHES−7−8:10を蒸留水で 希釈し、10×薬物又はビヒクル1部に対して9部のHESの希釈率で混合した 。パーセントは重量/容量基準で算出した。混合した後、この製剤を濾過又はオ ートクレーブ処理により滅菌した。 HES製剤を調製するための材料及び手順は以下の通りである。 希釈剤:a)生理食塩水−脱イオン水又は蒸留水中の0.85%NaCl、オ ートクレー処理して滅菌(下記表においては生理食塩水と呼ぶ);b)PBS− 0.01Mリン酸ナトリウム、0.1M NaCl、pH7.4、オートクレー ブ処理して滅菌;c)クエン酸バッフ ァ−0.02Mクエン酸、0.0032Mクエン酸ナトリウム、0.077M NaCl、pH3.5、無菌濾過(下記表においてはクエン酸塩と呼ぶ)。 薬物:これらを適切なバッファ又は塩溶液に最終濃度の10倍の濃度で溶解し た。この10×薬物溶液を対応する無菌HES−1:10又はHES−7−8: 10溶液で1:10に希釈し、1×薬物濃度及び9:10 HES−1:10濃 度を形成した。例えば、生理食塩水または生理食塩水中の10×薬物で9:10 に希釈されたストック15%HES−1:10溶液は、13.5%HES−1: 10中に1×薬物レベルを生じる。 これらの実施例において用いられる幾つかの試験製剤の浸透圧測定を以下に示 す。 実施例2:HES−1:10/キナクリン組成物の評価 この実施例においては、単独又はキナクリン(0.5mg/ml)との組み合 わせでの10.8%(w/v)又は13.5%(w/v)HES−1:10組成 物を、ウサギ子宮角モデルにおいて癒着の阻止について評価した。抗マラリア薬 であるキナクリンは、ここにその全体を援用する1994年6月7日出願の同時 継続米国特許出願第08/253,438号に開示されるように、術後抗癒着形 成効果を有することが見出された。この組成物を手術の最後に5mlの容量で投 与し、第7日に動物を犠牲にした。対照は手術のみであった。二重子宮角モデル からのデータ(非パラメータデータ)に基づく統計分析を総合評点に対して行っ た。データに順位序列を付け、順位値を付与してそれらの順位に対する分散の分 析を行った。これらの結果を表1及び2にまとめる。単独及びキナクリンとの組 み合わせでのHES−1:10は、ウサギ二重子宮角モデルにおいて癒着の低減 に有効であることが見出された。 表1から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った。 これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位の 分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる。 13.5% RT HES−1:10と13.5% RT HES−1:10+ キナクリンとの順位序列の比較により0.000のp値が得られた。 実施例3:HES−1:10/キナクリン組成物の評価 この実施例は、単独又は(0.5mg/ml)キナクリンとの組み合わせでの 5.4%(w/v)及び8.1%(w/v)HES−1:10組成物を癒着の阻 止について評価したことを除いて実施例2に類似する。この組成物を手術の最後 に5mlの容量で投与し、第7日に動物を犠牲にした。対照の一方は生理食塩水 ビヒクル(表では生理食塩水と呼ぶ)で処理し、他方には手術のみを施した(外 科的対照)。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ)に基づく統 計分析を総合評価に対して行った。これらのデータに順位序列を付け、順位値を 付与してこれらの順位の分散の分析を行う。それらの結果を表3及び4にまとめ る。単独及びキナクリンとの組み合わせでのHES−1:10は、ウサギ二重子 宮角モデルにおける癒着の低減において有効であった。 表3から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った。 これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位に 対する分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまと める。8.1% 4C HES−1:10と8.1% 4C HES−1:10 +キナクリンとの順位序列の比較により0.029のp値が得られ、5.4% RT HES−1:10と5.4% RT HES−1:10+キナクリンの比 較により0.020のp値が得られた。 実施例4:HES−1:10/ラザロイド組成物の評価 この実施例においては、単独又はラザロイド(0.6mg/ml、U−838 36−E、アップジョン社(UpJohn Company)、カラマズー、MI、USAから 入手)との組み合わせでの13.5%(w/v)、10.8%(w/v)、8. 1%(w/v)又は5.4%(w/v)HES−1:10を、ウサギ子宮角モデ ルにおいて癒着の阻止について評価した。ラザロイドは、ここに全体として組込 まれている1994年11月17日出願の同時継続米国特許出願08/341, 651号に開示されるように、術後抗癒着形成効果を有することが見出された。 この組成物を手術の最後に5mlの容量で投与し、第7日に動物を犠牲にした。 対照は手術のみであった。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ )に基づく統計分析を総合評点に対して行った。データに順位序列を付け、順位 値を付与してそれらの順位に対する分散の分析を行った。これらの結果を表5及 び6にまとめる。単独及びラザロイドとの組み合わせでのHES−1:10は、 ウサギ二重子宮角モデルにおいて癒着の低減に有効であることが見出された。 * これらのデータは、この研究の最初の半分に対する手術の最終日からのもの である。これらのデータによって表される動物で試験した製剤は、試験の前にさ らに5日間保存した。保存に伴っておそらく粘度の増加があり、これにより示さ れる効力の増加を説明することができる。 表5から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った。 これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位の 分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる。 8.1% RT HES−1:10と8.1% RT HES−1:10+ラザ ロイドとの順位序列の比較により0.019のp値が得られ、8.1% 4C HES−1:10と8.1% 4C HES−1:10+ラザロイドとの比較に より0.000のp値が得られ、5.4% RT HES−1:10と5.4% RT HES−1:10+ラザロイドとの比較により0.042のp値が得ら れ、かつ8.1% 4C HES−1:10+ラザロイドとラザロイドとの比較 により0.030のp値が得られた。 実施例5:HES−1:10組成物のさらなる評価 この実施例においては、様々な容量のHES−1:10組成物を、ウサギ二重 子宮角モデルにおいて癒着の阻止について評価した。この組成物を5、10、1 5、及び20mlの容量で手術の最後に投与し、動物を第7日に犠牲にした。生 理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水ビ ヒクルを用いて2組の実験を行った。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメ ータデータ)に基づく統計分析を総合評点に対して行った。データに順序列を付 け、順位値を付与して順位に対する分散の分析を行う。それらの結果を表7及び 7a(リン酸緩衝生理食塩水ビヒクル)並びに表8及び8a(生理食塩水ビヒク ル)にまとめる。単独のHES−1:10は、ウサギ二重子宮角モデルにおいて 癒着の低減に有効であることが見出された。 表7及び8から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行 った。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの 順位の分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまと める。 実施例6:ベタメタゾンの側壁モデル評価 癒着形成におけるベタメタゾンの効力を側壁モデルにおいて評価した。この薬 物を7日間10μl/時間の速度で搬送し、動物を第7日に犠牲にした。ビヒク ルは生理食塩水であった。対照に対して、ベタメタゾンは、側壁モデルにおいて 試験した用量で有効であった。試験したウサギのうちの4羽は皮下に液体が溜ま っていた。これらの結果を表9にまとめる。データのスチューデントt検定を行 ったので、その結果も表9に報告する。 実施例7:ベタメタゾンの二重子宮角評価 この実施例においては、生理食塩水中の0.5mg/ml及び5.0mg/m lベタメタゾンリン酸ナトリウム(シグマケミカル社、セントルイス、MO、U SA)を、ウサギ子宮角モデルにおいて癒着の阻止について評価した。この組成 物を、アルツェットミニ浸透圧ポンプにより、7日間10μl/時間の速度で投 与した。動物を第7日に犠牲にした。ビヒクル対照は生理食塩水である。二重子 宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ)に基づく統計分析を総合評点に 対して行った。このデータに順位序列を付け、順位値を付与して順位に対する分 散の分析を行う。これらの結果を表10及び11にまとめる。ベタメタゾンは、 二重子宮角モデルにおける癒着形成の低減に非常に有効であることが見出された 。 表10から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 の分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる 。 実施例8:ベタメタゾンの動力学的評価 二重子宮角モデルにおけるベタメタゾンの効力を動力学研究においてさらに評 価した。この研究においては、手術の後の様々な時間でポンプを切断し、癒着形 成の低減に有効な薬物に晒される期間を決定した。これらの結果を表12及び1 3にまとめる。 表12から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 の分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる 。 実施例9:HES−1:10/ベタメタゾン組成物の評価 この実施例においては、単独又は合成副腎皮質ステロイドである(0.5mg /ml)ベタメタゾンとの組み合わせでの10.8%(w/v)又は13.5% (w/v)HES−1:10組成物を癒着の阻止について評価した。この組成物 を手術の最後に5mlの容量で投与し、第7日に動物を犠牲にした。対照は手術 のみであった。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ)に基づく 統計分析を総合評点に対して行った。データに順位序列を付け、順位値を付与し てそれらの順位に対する分散の分析を行なう。これらの結果を表14及び15に まとめる。単独及びベタメタゾンとの組み合わせでのHES−1:10は、ウサ ギ二重子宮角モデルにおいて癒着の低減に有効であった。 表14から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 の分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる 。13.5% RT HES−1:10と13.5% RT HES−1:10 +ベタメタゾンとの順位序列の比較により0.001のp値が得られた。 実施例10:HES−1:10/ベタメタゾン組成物の評価 この実施例においては、単独又は0.5mg/mlベタメタゾンとの組み合わ せでの8.1%(w/v)及び5.4%(w/v)HES−1:10組成物を、 二重子宮角モデルにおいて癒着の阻止について評価した。この組成物を手術の最 後に5mlの容量で投与し、第7日に動物を犠牲にした。対照の一方は生理食塩 水ビヒクル(表では生理食塩水と呼ぶ)で処理し、他方には手術のみを施した( 外科的対照)。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ)に基づく 統計分析を総合評価に対して行った。これらのデータに順位序列を付け、順位値 を付与してこれらの順位の分散の分析を行う。これらの結果を表16及び17に まとめる。単独又はベタメタゾンとの組み合わせでのHES−1:10は、ウサ ギ二重子宮角モデルにおける癒着の低減に有効であった。 表16から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 に対する分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にま とめる。8.1% RT HES−1:10と8.1% RT HES−1:1 0+ベタメタゾンとの順位序列の比較により0.001のp値が得られた。 実施例11:ヘタスターチ組成物の評価 この実施例においては、様々な濃度のヘタスターチ(HES−7−8:10) 組成物を、ウサギ二重子宮角モデルにおいて癒着の阻止について評価した。16 .2%、13.5%、10.8%、8.1%及び5.4%(w/v)の濃度を有 するヘタスターチ組成物(表18及び18a)を15mL、40.0%、34. 3%、28.5%、23.5%、18.6%、16.2%及び13.5%(w/ v)の濃度を有するヘタスターチ組成物(表19及び19a)を5ml、手術の 最後に投与し、動物を第7日に犠牲にした。外科的対照には組成物は投与しなか った。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデータ)に基づく統計分析 を総合評点に対して行った。データに順位序列を付け、順位値を付与してこれら の順位に対する分散の分析を行う。単独のHES−7−8:10は、試験した濃 度で、ウサギ二重子宮角モデルにおける癒着の低減に有効であることが見出され た。 表18及び19から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析 を行った。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これ らの順位に対する分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を 以下にまとめる。 実施例12:HES−7−8:10/ラザロイド組成物の評価 この実施例においては、単独又は組み合わせ(0.6mg/mlラザロイド( U−83836−E、アップジョン社、カラマズー、MI、USAから入手)を 伴う10.8%及び8.1%(w/v)HES−7−8:10)ての16.2% 、13.5%、10.8%、8.1%及び5.4%(w/v)ヘタスターチ(H ES−7−8:10)を癒着の阻止について評価した。ラザロイドは、ここに全 体として組込まれている1994年11月17日出願の同時継続米国特許出願0 8/341,651号に開示されるように、術後抗癒着形成効果を有することが 見出された。この組成物を手術の最後に5mlの容量で投与し、第7日に動物を 犠牲にした。外科的対照には組成物は投与しなかった。二重子宮角モデルからの データ(非パラメータデータ)に基づく統計分析を総合評点に対して行った。デ ータに順位序列を付け、順位値を付与してそれらの順位に対する分散の分析を行 なう。これらの結果を表20及び21にまとめる。単独及びラザロイドとの組み 合わせでのHES−7−8:10は、ウサギ二重子宮角モデルにおける癒着の低 減に有効であった。 表20から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 の分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にまとめる 。10.8% HES−7−8:10とラザロイドを含む10.8% HES −7−8:10との順位序列の比較により0.011のp値が得られ、8.1% HES−7−8:10とラザロイドを含む8.1% HES−7−8:10と の比較により0.009のp値が得られた。 実施例13:HES−7−8:10/ベタメタゾンの評価 この実施例においては、単独又は0.005、0.017、0.05、0.1 7及び0.5mg/mlベタメタゾンリン酸ナトリウムとの組み合わせでの8. 1%(w/v)ヘタスターチ(HES−7−8:10)を癒着の阻止について評 価した。生理食塩水バッファ中のベタメタゾン(0.017及び0.17mg/ ml)を対照として用いた。外科的対照には組成物は投与しなかった。組成物を 手術の最後に10mlの容量で投与し、動物を第7日に犠牲にした。外科的対照 には組成物は投与しなかった。二重子宮角モデルからのデータ(非パラメータデ ータ)に基づく統計分析を総合評点に対して行った。データに順位序列を付け、 順位値を付与してこれらの順位に対する分散の分析を行う。これらの結果を表2 2及び23にまとめる。単独及びベタメタゾンとの組み合わせでのHES−7− 8:10は、ウサギ二重子宮角モデルにおける癒着の低減に有効であった。 表22から採られた非パラメータデータの総合評点に対して統計分析を行った 。これらのデータに順位序列を付け、順位値を割り当てた。次に、これらの順位 に対する分散の分析を行った。得られたスチューデントt検定の結果を以下にま とめる。 本発明の基礎的な新規特徴を示して説明したが、当該技術分野における熟練者 が本発明の精神から逸脱することなく説明された形態および詳細における様々な 省略、置き換え及び変更をなすことが可能であることは理解されるであろう。し たがって本発明は、以下の請求の範囲によって指示される通りにのみ制限される 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 47/36 ACJ A61K 47/36 ACJZ C08B 11/08 C08B 11/08

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.体腔内における組織表面間での術後癒着の形成を低減又は阻止する方法で あって、ヒドロキシエチルスターチを含有する組成物の有効量を組織の修復を可 能にするに十分な期間投与することを包含する方法。 2.前記組織修復が再上皮形成を包含する請求の範囲第1項による方法。 3.前記組織修復が中皮修復を包含する請求の範囲第1項による方法。 4.前記ヒドロキシエチルスターチが、グルコピラノース単位当り約0.1な いし約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比で置換されているヒドロキシ エチル基を有するアミロペクチンを含む、請求の範囲第1項による方法。 5.前記ヒドロキシエチルスターチが約3×104ないし約4×106ダルトン の範囲の分子量のアミロペクチンモノマーを含む、請求の範囲第4項による方法 。 6.前記モノマーが約2×105ないし約2.4×106ダルトンの範囲をとる 請求の範囲第5項による方法 。 7.前記ヒドロキシエチルスターチがHES−1:10、HES−7−8:1 0又はHES−5:10を包含する請求の範囲第1項による方法。 8.前記組成物を生理学的に許容し得るビヒクルと共に投与する請求の範囲第 1項による方法。 9.前記ビヒクルが、無菌の水、生理食塩水又はアルカリもしくはアルカリ土 類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸 塩及びトロメタミン(TRIS)を含む緩衝水溶液を包含する請求の範囲第8項 による方法。 10.前記ビヒクルが生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸バッファ 、及びリンゲル乳酸塩溶液を包含する請求の範囲第8項による方法。 11.前記組成物が少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の有効量をさらに含 有する請求の範囲第1項による方法。 12.前記薬学的に活性な薬剤が抗癒着形成剤、抗生剤、抗ヒスタミン剤、抗 炎症剤、抗真菌剤、殺アメーバ 剤、殺トリコモナス剤、抗原生動物剤、抗ウイルス剤、抗新生物剤又は抗炎症性 副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第11項による方法。 13.前記抗癒着形成剤がラザロイド、レチノイド、キナクリン、マノアライ ドもしくはそれらの類似体、、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ケトチフェンもし くはそれらの類似体、ジピリダモルもしくはそれらの類似体、NSAID又は抗 炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第12項による方法。 14.前記抗炎症性副腎皮質ステロイドがベタメタゾン又はデキサメタゾンを 包含する請求の範囲第12項による方法。 15.医薬の適用を必要とする状態の治療方法であって、ヒドロキシエチルス ターチ及び少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤を含有する組成物を体腔に投与 することを包含する方法。 16.前記ヒドロキシエチルスターチが、グルコピラノース単位当り約0.1 ないし約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比で置換されているヒドロキ シエチル基を有するアミロペクチンを含む、請求の範囲第15項による方法。 17.前記ヒドロキシエチルスターチが約3×104ないし約4×106ダルト ンの範囲の分子量のアミロペクチンモノマーを含む、請求の範囲第16項による 方法。 18.前記モノマーが約2×105ないし約2.4×106ダルトンの範囲をと る請求の範囲第17項による方法。 19.前記ヒドロキシエチルスターチがHES−1:10、HES−7−8: 10又はHES−5:10を包含する請求の範囲第16項による方法。 20.前記組成物が生理学的に許容し得るビヒクルをさらに含有する請求の範 囲第16項による方法。 21.前記ビヒクルが無菌の水、生理食塩水又はアルカリもしくはアルカリ土 類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸 塩及びトロメタミン(TRIS)を含む緩衝水溶液を包含する請求の範囲第20 項による方法。 22.前記ビヒクルが生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸バッファ 、及びリンゲル乳酸塩溶液を包 含する請求の範囲第20項による方法。 23.前記薬学的に活性な薬剤が抗癒着形成剤、抗生剤、抗ヒスタミン剤、抗 炎症剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤、殺トリコモナス剤、抗原生動物剤、抗ウイル ス剤、抗新生物剤又は抗炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第16 項による方法。 24.前記抗癒着形成剤がラザロイド、レチノイド、キナクリン、マノアライ ドもしくはそれらの類似体、、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ケトチフェンもし くはそれらの類似体、ジピリダモルもしくはそれらの類似体、NSAID又は抗 炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第23項による方法。 25.前記抗炎症性副腎皮質ステロイドがベタメタゾン又はデキサメタゾンを 包含する請求の範囲第23項による方法。 26.臓器表面間での癒着の形成を低減又は阻止する方法であって、ヒドロキ シエチルスターチ及び抗癒着形成剤を含有する組成物の有効量を組織の修復を可 能にするに十分な期間投与することを包含する方法。 27.前記組織修復が再上皮形成を包含する請求の範 囲第26項による方法。 28.前記組織修復が中皮修復を包含する請求の範囲第27項による方法。 29.前記ヒドロキシエチルスターチが、グルコピラノース単位当り約0.1 ないし約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比で置換されているヒドロキ シエチル基を有するアミロペクチンを含む、請求の範囲第26項による方法。 30.前記ヒドロキシエチルスターチが約3×104ないし約4×106ダルト ンの範囲の分子量のアミロペクチンモノマーを含む請求の範囲第29項による方 法。 31.前記モノマーが約2×105ないし約2.4×106ダルトンの範囲をと る請求の範囲第30項による方法。 32.前記ヒドロキシエチルスターチがHES−1:10、HES−7−8: 10又はHES−5:10を包含する請求の範囲第29項による方法。 33.前記組成物が生理学的に許容し得るビヒクルをさらに含有する請求の範 囲第29項による方法。 34.前記ビヒクルが無菌の水、生理食塩水又はアルカリもしくはアルカリ土 類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸 塩及びトロメタミン(TRIS)を含む緩衝水溶液を包含する請求の範囲第33 項による方法。 35.前記ビヒクルが生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸バッファ 、及びリンゲル乳酸塩溶液を包含する請求の範囲第33項による方法。 36.前記抗癒着形成剤がラザロイド、レチノイド、キナクリン、マノアライ ドもしくはそれらの類似体、、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ケトチフェンもし くはそれらの類似体、ジピリダモルもしくはそれらの類似体、NSAID又は抗 炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第26項による方法。 37.薬学的に活性な薬剤及びヒドロキシエチルスターチを含有する、術後癒 着形成を低減又は阻止するための組成物。 38.前記ヒドロキシエチルスターチが、グルコピラノース単位当り約0.1 ないし約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比で置換されているヒドロキ シエチ ル基を有するアミロペクチンを含む、請求の範囲第37項による組成物。 39.前記ヒドロキシエチルスターチが約3×104ないし約4×106ダルト ンの範囲の分子量のアミロペクチンモノマーを含む、請求の範囲第38項による 組成物。 40.前記モノマーが約2×105ないし約2.4×106ダルトンの範囲をと る請求の範囲第39項による組成物。 41.前記ヒドロキシエチルスターチがHES−1:10、HES−7−8: 10又はHES−5:10を包含する請求の範囲第37項による組成物。 42.前記ヒドロキシエチルスターチが約0.1%ないし約60%(w/v) の範囲の量で存在する請求の範囲第41項による組成物。 43.前記ヒドロキシエチルスターチが約5.4%ないし約34.3%(w/ v)の範囲の量で存在する請求の範囲第42項による組成物。 44.前記薬学的に活性な薬剤が抗癒着形成剤を包含 する請求の範囲第37項による組成物。 45.前記抗癒着形成剤がラザロイド、レチノイド、キナクリン、マノアライ ドもしくはそれらの類似体、、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ケトチフェンもし くはそれらの類似体、ジピリダモルもしくはそれらの類似体、NSAID又は抗 炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第44項による組成物。 46.前記抗炎症性副腎皮質ステロイドがベタメタゾン又はデキサメタゾンを 包含する請求の範囲第45項による組成物。 47.前記抗炎症性副腎皮質ステロイドが約0.00001mg/mlないし 約50mg/mlの範囲の量で存在する請求の範囲第46項による組成物。 48.前記抗炎症剤が約0.001mg/mlないし約5mg/mlの範囲の 量で存在する請求の範囲第47項による組成物。 49.ヒドロキシエチルスターチを含有する、術後癒着の形成の低減又は阻止 に用いられる組成物。 50.前記ヒドロキシエチルスターチが、グルコピラ ノース単位当り約0.1ないし約0.8のヒドロキシエチル基の範囲のモル比で 置換されているヒドロキシエチル基を有するアミロペクチンを含む請求の範囲第 49項による組成物。 51.前記ヒドロキシエチルスターチが約3×104ないし約4×106ダルト ンの範囲の分子量のアミロペクチンモノマーを含む請求の範囲第50項による組 成物。 52.前記モノマーが約2×105ないし約2.4×106ダルトンの範囲をと る請求の範囲第51項による組成物。 53.前記ヒドロキシエチルスターチがHES−1:10、HES−7−8: 10又はHES−5:10を包含する請求の範囲第49項による組成物。 54.前記組成物が生理学的に許容し得るビヒクルと共に投与される請求の範 囲第49項による組成物。 55.前記ビヒクルが無菌の水、生理食塩水又はアルカリもしくはアルカリ土 類金属炭酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、コハク酸 塩及びトロメタミン(TRIS)を含む緩衝水溶液を包含する 請求の範囲第54項による組成物。 56.前記ビヒクルが生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸バッファ 、及びリンゲル乳酸塩溶液を包含する請求の範囲第54項による組成物。 57.前記組成物が少なくとも1種の薬学的に活性な薬剤の有効量をさらに含 有する請求の範囲第49項による組成物。 58.前記薬学的に活性な薬剤が抗癒着形成剤、抗生剤、抗ヒスタミン剤、抗 炎症剤、抗真菌剤、殺アメーバ剤、殺トリコモナス剤、抗原生動物剤、抗ウイル ス剤、抗新生物剤又は抗炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第57 項による組成物。 59.前記抗癒着形成剤がラザロイド、レチノイド、キナクリン、マノアライ ドもしくはそれらの類似体、、5−リポキシゲナーゼ阻害剤、ケトチフェンもし くはそれらの類似体、ジピリダモルもしくはそれらの類似体、NSAID又は抗 炎症性副腎皮質ステロイドを包含する請求の範囲第58項による組成物。 60.前記抗炎症性副腎皮質ステロイドがベタメタゾン又はデキサメタゾンを 包含する請求の範囲第58項に よる組成物。
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