JP2754983B2 - 転炉精錬方法 - Google Patents

転炉精錬方法

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JP2754983B2 JP3274685A JP27468591A JP2754983B2 JP 2754983 B2 JP2754983 B2 JP 2754983B2 JP 3274685 A JP3274685 A JP 3274685A JP 27468591 A JP27468591 A JP 27468591A JP 2754983 B2 JP2754983 B2 JP 2754983B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、上下両吹き転炉によ
り高い有価金属歩留の下で効率良く脱炭を進行させて鋼
を溶製する、転炉精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来技術とその課題】現在、転炉吹錬法で炭素鋼を溶
製する場合に採用されている主流技術は、上下両吹き転
炉を用い、炉底羽口より溶銑トン当たり 0.3Nm3/min
未満の吹き込み量でAr,N2 ,CO2 ,CO,O2 等を
主体とするガスを吹き込んで溶銑又は溶鋼を攪拌しなが
ら、上吹きランスから溶銑又は溶鋼に酸素を吹き付ける
精錬法である。
【0003】一方、クロム或いはマンガンを多く含むス
テンレス鋼([Cr]濃度:9〜30wt%)や高マンガン鋼
([Mn]濃度:14〜30wt%)等を転炉形式の炉で溶製す
る手段としては、次の3種類の方法が挙げられる。
【0004】(a) AOD法 "転炉形式の炉”の炉底付近の炉側に設置した複数の羽
口からArとO2 の混合ガスを吹き込み、このArによりC
O分圧を低下させて脱炭を進める方法。 (b) 上下両吹き転炉吹錬法 特にステンレス鋼用等に限定した転炉を用い、その炉底
羽口から前記AODで用いるAr量と同程度のArを吹き込
んでCO分圧を低下させると共に、上吹きランスより酸
素を上吹きして脱炭を進める方法。 (c) CLU法 転炉の炉底に設置した羽口から水蒸気を吹き込み、生成
したH2 でCO分圧を低下させて脱炭を進める方法。
【0005】上記各方法は何れも、CO分圧を低下させ
ることによって下記 (1)式の[Cr]酸化反応よりも下記
(2)式の脱炭反応を促進させようと図ったものである。 2[Cr]+3[O]→ (Cr23) …(1) [C]+[O]→ CO …(2)
【0006】ところで、前述した「炭素鋼の転炉吹錬」
においては、より少ないスラグ中の酸化鉄量及び低い溶
鋼中酸素量で脱炭することが「鉄分歩留の向上」,「脱
酸剤の節減」並びに「炉体溶損(高T.Feスラグにより増
加する)の低減」面から望まれている。特に、近年は脱
りん銑を吹錬する機会が増えているが、この場合には脱
りんの必要が殆どないため一層厳しく使用スラグの低減
が求められている。しかも、最近では薄板材の低炭化傾
向が高まっており、転炉内での更なる脱炭促進も強く望
まれるようになってきた。
【0007】しかしながら、従来の上下両吹き転炉吹錬
法ではこれらの要望を満たすのに限界があった。もっと
も、炭素鋼の溶製に前述のAOD法等を適用することも
考えられるが、AOD法で使用するArガスはコストが高
くて実用には向かないものであった。勿論、使用するAr
量を少なくすればコスト的な不利は軽減される。しかし
ながら、未脱りんの高炉銑を吹錬する場合には脱りんを
確保するためAr流量を 0.2Nm3/min ・ t 以下程度まで
低下させる必要があるが、この場合Ar流量を低下し過ぎ
ると羽口詰まり等が発生しがちとなる。これらの問題よ
り、この方法は採用できない手段であった。
【0008】これに対して、炭素鋼に比較すると高級鋼
種である“高クロム鋼”や“高マンガン鋼”の場合に
は、前記AOD法或いはCLU法を適用すれば工業ベ−
スでの溶製は十分に可能であったが、これらの炉の準備
が無い場合にはその溶製は不可能であった。なお、上下
両吹き転炉の炉底羽口からArを吹き込みながら吹錬する
方法では高クロム鋼や高マンガン鋼の溶製は可能であっ
たが、原料が高炉銑の場合には、勿論脱りんが必要であ
るものの前述したように羽口詰まりの懸念から実用にそ
ぐわない程の高い吹き込みArガス量を確保しなければな
らないので脱りん反応上問題であり、同一の炉で炭素鋼
と高クロム鋼や高マンガン鋼を吹き分けることができな
いという不都合があった。
【0009】このようなことから、本発明が目的とした
のは、製鋼上の最も一般的な設備である“従来の上下両
吹き転炉”を用い、出来るだけ低いコストでもって、 a) 高炉銑の効果的な脱りんと脱炭, b) 脱りん銑の低「スラグ中酸化鉄(T.Fe)」,低「溶鋼
酸素[O]」下での脱炭促進, c) 高クロム鋼又は高マンガン鋼の低[Cr]ロス,低[M
n]ロス下での脱炭, を可能とし、鋼種を問わずにより高能率,より低価格で
鋼を溶製することができる手段を確立することであっ
た。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、特に「前記a)項〜c)項に挙げた条件の全
てを満足させるためには、 従来の上下両吹き転炉の炉底
攪拌ガス用羽口から格別に特殊な設備を要することなく
溶鋼トン当たり約 0.2Nm3/min の量で吹き込んで溶鋼
を攪拌することができると共に、 AOD法の吹き込みAr
量に相当するだけCO分圧を低下させることが可能なガ
スを見出すことが不可欠である」という種々の実験結果
に基づいて得た認識の下に鋭意研究を重ねた結果、「特
に水素が上述の条件を満たす好適なガスである」との知
見を得ることができた。そして、この知見事項に基づ
き、先に、「上下両吹き転炉の上吹きランスから酸素を
上吹きすると共に、 炉底羽口から水素を吹き込んでCO
分圧を低下させつつ脱炭を効果的に進行させること」を
骨子とした新しい溶鉄の転炉精錬法を提案した(特願平
2−413770号)。
【0011】しかし、実操業を通じその後も続けられた
詳細な検討により、上記新提案に係わる転炉精錬法にも
次ような課題のあることを認識せざるを得なかった。即
ち、新提案に係わる前記転炉精錬法の精錬効果は期待通
りに優れたものではあったが、炉底吹き込みを行う“水
素”は取り扱いに特別の注意を要するため作業性面でい
ささか不利であり、またガスコストの面でも僅かではあ
るが好ましくない傾向となることが分かったのである。
【0012】そこで、本発明者等はこれら課題の解決策
を求めて更に研究を重ね、「前記新提案に係わる前記転
炉精錬法にて実施される“水素”の底吹きに代えて、 取
り扱いが容易で価格的にも有利な“炭化水素”の底吹き
を行っても、 吹き込まれた炭化水素は転炉内で速やかに
分解して水素を生成するので“水素の底吹き”の場合と
同じく炉内のCO分圧を効果的に低下させ、 脱炭を円滑
に進行させることができる」との新規な知見を得ること
ができた。
【0013】本発明は上記知見事項等を基にして完成さ
れたもので、「上下両吹き転炉を用いて溶鉄を精錬し鋼
を溶製するに当り、 上吹きランスより酸素を上吹きする
と共に、 少なくとも溶鉄中[C]が低下してCO発生量
が低減する吹錬領域において炭化水素の分解により生成
する水素の量が 0.3Nm 3 /min t 以上となる量の炭化
水素を炉底羽口から吹き込み、 該炭化水素の分解により
生成する水素によってCO分圧を低下させて脱炭を促進
することによって、 作業性良く効果的に脱炭を進行させ
得るようにした点」に大きな特徴を有している。
【0014】ここで、上下両吹き転炉に装入される原料
「溶鉄」は一般的には通常の溶銑或いは粗溶鋼である
が、高クロム鋼又は高マンガン鋼を溶製するために“ク
ロム或いはマンガンを5%以上(以降、 成分割合を表す
%は重量%とする)含有する溶銑或いは粗溶鋼を使用し
た場合には、少ない[Cr]ロス,[Mn]ロスで脱炭を行
うことができるので高クロム鋼又は高マンガン鋼を溶製
するためには極めて有利である。
【0015】炉底羽口から吹き込む“炭化水素”として
は、メタン,エタン,プロパン,ブタン等を挙げること
ができるが、コ−クス炉ガスや天然ガス等も適用できる
ことは言うまでもない。但し、溶鋼中の[N]濃度の上
昇が問題となる鋼種の精錬では、コ−クス炉ガス,天然
ガスであってもN2 含有量の高いものの適用は避けるの
が良い。また、使用できる炭化水素は純粋なものだけで
はなく、これに少量のAr,N2,CO,CO2 或いはH2
が混ざっていても差支えはない。そして、CO分圧低下
の観点からは炭化水素中のCとHの比率、即ちH/Cが
高いほど好ましい。即ち、Cは上吹き酸素等によりCO
ガスとなり、H2 とのバランスでCO分圧の限界が決定
されるからである。例えば、メタン(CH4 )の場合の
限界CO分圧(PCO)は0.33であるのに対し、ブタン
(C410)の場合には限界CO分圧は0.44までしか下
げられない。
【0016】前記の如く、炭化水素の吹き込み量は、分
解して生じるH2 量として「溶銑或いは溶鋼トン当り毎
分 0.3Nm3 以上」とする。そして、炭化水素の場合に
は1モルのガスが分解して生成するH2 量が多く、かつ
ベルヌ−イの定理から成立するところの「羽口前後の差
圧Δp= 1/2ρv2 」という関係を考慮すると、従来の
Ar吹き込み(0.2Nm3/min ・ t )用羽口では、CH4
適用した場合にはH2分を0.63Nm3/min ・ t 程度吹き
込むことができ、C410を適用した場合にはH2 分を
0.76Nm3/min ・ t 程度吹き込むことができる。このよ
うに、従来羽口をそのまま使用してもかなり多くの水素
分を吹き込むことができ、これによるCO分圧低下効果
は十分と考えられる。
【0017】以下、本発明を「炭素鋼を溶製する場合」
と「高クロム鋼,高マンガン鋼を溶製する場合」とに別
け、それぞれをその作用・効果と共により詳細に説明す
る。
【0018】
【作用】炭素鋼を溶製する場合 溶鉄中[C]が 0.5%より高い状態では、従来の 0.2N
3/min ・ t 程度の攪拌ガス(Ar, N2 ,CO2 ,CO
等)でもスラグ中のT.Fe(酸化鉄量)は5%程度とそれ
ほど高くならないので、殊更に大量の炭化水素を吹き込
む必要はない。しかし、[C]が 0.5%以下に低下し始
めると、脱炭反応によるCO発生量が低減し、平衡関係
より溶鋼中の[O]が上昇して下記 (3)式のFeO生成反
応が次第に活発になり、スラグ中のT.Feが増加し始め
る。 Fe+[O]→ (FeO) …(3) そこで、この時期から従来法での攪拌ガスに替えて多量
(0.3〜1Nm3/min ・t)のH 2 分を含む炭化水素を
き込み、脱炭を促進する。
【0019】そして、このような手段を講じることによ
って次のような効果が確保される。 (1) スラグ中のT.Feが低下する。 従来法(炉底吹き込み攪拌ガスとして 0.3Nm3/min ・t
未満のAr, N2,CO2 ,CO等を用いた方法)の場
合、終点[C]:0.03%の時にスラグ中T.Feが15〜20%
であったものが、大量の水素に相当する炭化水素を吹き
込む本発明法では14%以下となって鉄分歩留の向上が達
成される。しかも、炉体溶損はT.Feが高い程大きいこと
から、スラグ中T.Feを低減できる本発明法では炉体溶損
が著しく軽減されることとなる。
【0020】(2) 終点溶鋼中[O]が低下する。 従来法の場合、終点溶鋼が[C]:0.03%のときで
[O]:800ppm程度であったものが、本発明法では
[O]:500ppm以下にまで低下する。従って、脱酸用の
AlやFe−Siの節減が可能となり、またこの結果として鋼
中介在物が低減すると言う好ましい効果も得られる。
【0021】(3) 終点[C]を従来よりも一段と低下
することができる。 従来法の場合に終点[C]が精々0.03%であったのが、
本発明法によると[C]:0.02%以下が可能となる。こ
のため、低炭素材([C]:0.015 〜0.020 %)の転炉
単独精錬(RH処理の省略)が可能となる。このよう
に、炭素を含む炭化水素を吹き込んでも、同時に水素分
が吹き込まれることにより脱炭が促進される。しかしな
がら、上吹き酸素を中止してからも炭化水素を長く吹き
込むと、後述するように炉底羽口より同時に吹き込む酸
素量との兼ね合いにより加炭が進行することがあるので
注意が必要である。
【0022】(4) 以上に示した効果は、脱りん銑を出
発原料とした薄板材の転炉溶製において特に顕著であ
る。しかし、[Mn]:1.5 %程度の厚板材の溶製に際し
ては従来法でもFe−Mnの節減のため脱りん銑の転炉吹錬
時にマンガン鉱石等を添加して[C]で溶融還元する方
法が採用されていたが、この方法においても、本発明法
を適用した場合にはCO分圧低下により下記 (4)式の如
き脱炭反応が促進され、Mn鉱石の還元歩留が向上する。 (MnO) +[C]→ CO+[Mn] …(4) この場合、従来通り[C]が低下してから上吹き酸素を
段階的に少なくしていくと一段と効果が増すことは言う
までもない。
【0023】なお、通常の上下両吹き転炉を用いた転炉
精錬での“炭素鋼の吹き込みパタ−ン例”を、本発明法
と従来法を対比させて図1及び図2に示す。ここで、図
1は厚板材用炭素鋼(Mn含有量が 1.5%)の吹錬パタ−
ンを、図2は薄板材用炭素鋼の吹錬パタ−ンをそれぞれ
示している。なお、図1及び図2に示す操業で使用した
炭化水素はプロパンガスであった。
【0024】高クロム鋼,高マンガン鋼を溶製する場合 従来のAOD精錬におけるAr吹き込みと同様、脱炭初期
より炭化水素の底吹きを始め、[C]の低下と共に底吹
き炭化水素量を増加させる(例えばプロパンの場合 0.1
→ 0.3Nm3/min ・ t 、 即ちH2 分で 0.4→1.2 Nm3/
min ・ t )と同時に、上吹き酸素の量を低下させる(例
えば 3→ 0.5Nm3/min ・ t )ことによりステンレス鋼
や高マンガン鋼の脱炭が可能である。なお、この場合、
還元期は炉底ガスを炭化水素からArに変えることが得策
である。なぜなら、これによって鋼中水素(即ち
[H])及び[C]の上昇が抑えられるからである。
【0025】このように、本発明法によると、通常使用
されている転炉によってステンレス鋼や高マンガン鋼の
溶製が可能となる。図3は、通常の上下両吹き転炉を用
いた転炉精錬での“ステンレス鋼の吹錬パタ−ン例”で
ある。なお、この場合に使用したガスは、図1及び図2
の場合と同様、プロパン(C3 8 )ガスである。
【0026】なお、高クロム鋼,高マンガン鋼の精錬に
適用される転炉装入原料としては、予め電気炉でスクラ
ップ,チャ−ジクロム或いはFe−Mnを溶解して目標成分
に近い[Cr],[Mn]に調整したものも使用できるが、
脱りん銑のみを転炉にまず装入し、上吹き酸素で脱炭・
昇温しながらチャ−ジクロム或いはFe−Mnを添加して溶
解し所定の[Cr],[Mn]を含む母溶鋼を溶製してか
ら、例えば図3のような吹錬パタ−ンで精錬することも
できる。また、高マンガン鋼の中には、高マンガン非磁
性鋼のように14〜25%程度のMn以外に例えば5%程度の
Crをも含有する鋼もあるが、これらの溶製も同様に行え
ることは言うまでもない。
【0027】次に、本発明法を実施する際の「炭化水素
の底吹き手法」について詳述する。本発明法で使用する
上下両吹き転炉は、基本的には従来の上下両吹き転炉と
同じで、従来のそれを適用することができる。即ち、従
来の底吹きガス吹き込み装置を用いて炭化水素を吹き込
むだけで良い。従って、使用する炉底羽口は単管又は2
重管でも良い。しかしながら、炭化水素は溶鉄に吹き込
まれた時に次式のように炭素と水素に熱分解し、この反
応が吸熱反応であるので羽口が詰まり傾向になり易い。 C38 → 3C + 4H2
【0028】上記反応による吸熱効果は著しく、従来、
炉底より酸素を吹き込む場合に発熱で羽口溶損が起きる
のを防止するため、冷却ガスとして少量の炭化水素が使
われていたほどである。例えば、純酸素底吹転炉(Q−
BOP)或いは上下酸素吹き転炉(K−BOP等)で
は、炉底2重羽口を用い、中心管からO2 を吹き込み、
外管から少量の炭化水素を吹き込むといった具合であ
る。
【0029】従って、本発明法の場合、2重管を用い、
中心管或いは外管より必要な炭化水素を吹き込み、他方
の外管或いは中心管よりノズルが詰まらない程度のO2
ガスを流すことができる。しかしながら、安定した吹き
込みのためには、3重管を用い、最外管と最内管(中心
管)より炭化水素を吹き込み、その間からO2 を吹き込
むことが好ましい。
【0030】なお、この時のガスの吹き込み量の比率
は、羽口の詰まりや溶損がなく炭化水素を安定して吹き
込めればどのような比率でも良いが、例えば全炭化水素
流量とほぼ同じ流量の酸素を吹き込み、最外管と中心管
の炭化水素流量はほぼ同じ位が良い場合が多い。そし
て、使用する羽口本数は従来と同様1本以上必要である
が、経済的には2〜6本程度が良好である。
【0031】吹き込みガスは基本的には炭化水素である
が、前述した如くこれに少量のAr,N2 , CO,CO2
或いは水素が混ざっていても良い。なお、特にガス切替
え時で炭化水素中のH2 分の吹き込み量が従来攪拌ガス
使用量と同程度の時には炭化水素だけでは羽口前圧力が
低くなってしまうが、これによって羽口の詰まり(溶鋼
の侵入)が問題になる場合には、炭化水素にAr,N2
CO,CO2 と言った従来の攪拌ガスを併用・混入して
羽口前圧力を確保することもできる。
【0032】炭化水素ガス吹き込み量は、従来攪拌ガス
の吹き込み量で決定される。例えば攪拌ガスがCO2
炭化水素がプロパンの場合では、プロパンをCO2
1.0倍(水素分で4倍)の量で吹き込めることになる
が、吹き込み圧力を調整することにより吹き込み量の更
なる増減は可能である。具体的な炭化水素吹き込み量を
例示すれば、プロパンの場合であると溶鋼トン当り 0.1
〜0.5 Nm3/min 程度である。
【0033】ところで、本発明法においては鋼中[H]
が5〜12ppm 程度にまで上昇する場合がある。この場
合には、上吹き酸素の吹き込み停止後に底吹きガスを炭
化水素からAr,N2 ,CO2 ,CO等に切替えて溶鋼の
リンスを行えば、鋼中[H]を5ppm 以下にまで低減す
ることができる。勿論、その後にRH等の真空脱ガス処
理を行う場合にはこのようなリンスは不要である。続い
て、本発明を実施例によって更に具体的に説明する。
【0034】
【実施例】実施例 1 表1に示す化学成分組成の脱りん銑(1300℃)の
100ton を“スクラップ5ton を事前装入した4本の
3重管炉底羽口を有する上下両吹き転炉”に装入し、中
心管,内管,外管の各々から吹き込まれるCO2 の総量
が 0.2Nm3/min・ t の攪拌ガスで攪拌しながら造滓剤
として生石灰12kg/t,硅石3kg/tを添加すると共に、
4孔ラバ−ルノズルを有する上吹きランスより3Nm3/
min ・ t の酸素を上吹きして脱炭吹錬を実施した。
【0035】そして、溶鉄中の[C]濃度が 0.5%にな
った時点で炉底吹き込みガスの変更を行った。即ち、中
心管よりプロパンを 0.1Nm3/min ・ t 、外管よりプロ
パンを 0.1Nm3/min ・ t 、内管よりO2 を 0.1Nm3/
min ・ t を吹き込むように切替え、その後、溶鋼中の
[C]濃度が0.03%となるまで吹錬を続けた。なお、こ
の時、羽口前圧力はCO2 吹き込み時より若干上昇し
た。
【0036】一方、比較実験として、終点に至るまで炉
底ガスとしてCO2: 0.2Nm3/min・ t を使用する従来
の吹錬も実施した。上記各吹錬において“スラグ中T.F
e”,“溶鋼[O]”及び“終点温度”を調査したが、
その結果を表2に対比させて示す。
【0037】
【0038】第2表に示される結果からも明らかなよう
に、本発明法では、同一終点[C]であってもスラグ中
T.Feや溶鋼[O]が低下していることが分かる。なお、
その結果、鉄分歩留が0.15%向上すると共に、脱酸剤Al
の使用量が 1.5kg/tから1.0kg/tに節減できたことも確
認された。
【0039】実施例 2 実施例1と同様であるが、スクラップ装入量を8ton に
した転炉吹錬によって[C]をどこまで吹き下げられる
かの実験を行った。この結果を表3に示す。
【0040】
【0041】表3に示される結果からも明らかなよう
に、本発明法によると、従来レベルのT.Feで[C]:0.
015 %にまで脱炭が進行することが分かる。
【0042】実施例 3 前記表1に示す化学成分組成の脱りん銑(1300℃)
の80ton を、実施例1と同様の転炉に装入し、3重羽
口を用いて総量がCO2: 0.3Nm3/min ・ t の攪拌ガス
で攪拌しながら生石灰15kg/tを添加すると共に、上吹
きランスより3Nm3/min ・ t の酸素を上吹きし、脱炭
昇温吹錬を実施した。
【0043】なお、この際[C]が 0.8%,温度が15
50℃になった時点より、チャ−ジクロム(Cr:60%)
を溶鋼中[Cr]が13.2%となるのに必要な量だけ添加し
て溶解した。そして、[C]が 0.5%になった時点か
ら、それまで炉底羽口から吹き込んでいたCO2 を次の
ガスに切り換えた。即ち、中心管よりプロパンを 0.2N
3/min ・ t 、内管よりO2 を0.05Nm3/min ・ t 、外
管よりプロパンを 0.1Nm3/min ・ t を吹き込むように
変えた。そして、上吹き酸素量を 0.7Nm3/min・ t に
低下させた。
【0044】この吹錬(ト−タルで約55分間)におい
て、[C]:0.025%まで脱炭した時の溶鋼温度は165
0℃,[Cr]は11.4%であった。この後、更に炉底ガス
を中心管,内管,外管の総量がAr:0.3Nm3/min ・ t と
なるように切り換えると共に上吹き酸素を中止し、Fe−
Si20kg/tと生石灰60kg/tを添加して還元期(10分
間)に導入した。その結果、[C]: 0.025%,[C
r]:13.1%で、温度が1700℃のステンレス鋼が溶
製できた。また、比較実験として、前記[C]:0.5%の
時点での底吹きガスの切替えを行わないで吹錬を続けた
結果、[Cr]のみが酸化されて脱炭が進行せず、精錬は
できなかった。
【0045】実施例 4 電気炉で表4に示す化学成分組成の高Mnの溶鋼(150
0℃)を溶解し、実施例3と同様の転炉に注湯した。
【0046】
【0047】この転炉において生石灰15kg/tを添加し
て吹錬を行い、[C]が 1.3%にまで低下した時点よ
り、実施例3の場合と同様、底吹きガスを中心管よりプ
ロパンを 0.2Nm3/min ・ t ,内管よりO2 を0.05Nm
3/min ・ t ,外管よりプロパンを 0.1Nm3/min ・ t を
吹き込むように変えると共に、上吹き酸素を 0.7Nm3/
min ・ t に低下させて脱炭を続けた。そして、[C]が
0.8%にまで低下した時点(計56分)で上吹き酸素を
ストップした。この時の溶鉄温度は1700℃であり、
[Mn]は11.3%まで低下していた。
【0048】この後、底吹きガスを3重管の総量がAr:
0.3Nm3/min ・ t となるように切換えると共に、Fe−S
i21kg/tと生石灰65kg/t添加し、還元期(10分
間)に導入した。その結果、[C]:0.81%,[Mn]:
14.1%で、温度が1730℃の高Mn非磁性鋼が溶製でき
た。
【0049】また、比較実験として、前記[C]:1.3%
の時点の底吹きガスの切替えを実施しないで吹錬を続け
たところ、[Mn]のみが酸化されて脱炭は進行しなくな
り、精錬はできなかった。
【0050】
【効果の総括】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、通常の上下両吹き転炉を用いた吹錬によって一段と
低コスト,高能率で炭素鋼の溶製ができるようになるば
かりか、転炉での高クロム鋼,高マンガン鋼の溶製も可
能となるなど、産業上極めて有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】厚板材用炭素鋼(Mn 1.5%)の吹錬パタ−ン
を、本発明法と従来法とで比較したグラフである。
【図2】薄板材用炭素鋼の吹錬パタ−ンを、本発明法と
従来法とで比較したグラフである。
【図3】通常の上下両吹き転炉によるステンレス鋼の吹
錬パタ−ンを示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 5/28 - 5/35

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上下両吹き転炉を用いて溶鉄を精錬し鋼
    を溶製するに当り、上吹きランスより酸素を上吹きする
    と共に、少なくとも溶鉄中[C]が低下してCO発生量
    が低減する吹錬領域において炭化水素の分解により生成
    する水素の量が 0.3Nm 3 /min t 以上となる量の炭化
    水素を炉底羽口から吹き込み、該炭化水素の分解により
    生成する水素によってCO分圧を低下させて脱炭を促進
    することを特徴とする、転炉精錬方法。
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