JP2751938B2 - 骨セメント組成物および硬化体 - Google Patents

骨セメント組成物および硬化体

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【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、骨および人工骨等の接着に特に適した骨セ
メント組成物およびこの組成物の反応硬化体に関する。
発明の技術的背景 従来から、金属で作られた人工関節を骨に固定する際
には、過酸化ベンゾイル(BPO)などの過酸化物と第3
級アミンとを組み合わせた触媒を使用して、メチルメタ
クリレート(以下「MMA」と記載する)を常温で重合硬
化させる方法が採られている。
しかしながら、この硬化体と骨との間の接着力はな
く、そのうえこのMMAの硬化反応は発熱反応であり、し
かも反応速度が大きい場合には、MMAが硬化する際に
は、重合熱によって骨の組織が変性される可能性があ
る。
すなわち、MMAが重合する際に、例えば従来から一般
的に使用されているBPOとアミンの組合せによる重合開
始剤を使用して重合を行うと、反応が急激に進行して、
短時間に反応熱が放出されるため、MMA(あるいはその
硬化体)の温度が一時的に相当高温になる。従ってMMA
の硬化体と接触する骨の組織が変性される可能性が高い
のである。
このような従来の骨セメントは骨との接着力がない
上、仮に上記のようにして骨の組織が変性されればこの
部分から新生骨が発育することは困難になり、人工関節
として埋め込まれた金属および骨自体は実質的に接合力
を有していないことになるため、時間の経過と共に人工
関節などの人工骨と骨セメントあるいは骨セメントと骨
との境界面でゆるみが生じてしまうという問題があっ
た。
このような状況下に、人工骨自体に骨との親和性をも
たせ、時間の経過と共に成長した骨が人工骨表面と結合
することにより、人工骨と骨とを一体化させる方法が提
案されている。すなわち、骨に対して親和性の高いハイ
ドロキシアパタイト(以下「HAP」と記載する)などの
リン酸カルシウムで人工骨の表面を被覆することによ
り、人体側に時間の経過と共に成長してくる新生骨とリ
ン酸カルシウムとを一体化させることにより人工骨を固
定するとの試みである。
しかしながら、このような人体の自然治癒力に期待し
て人工骨を骨に固定する方法は、新生骨の成長に長時間
を要するため、この間、患部を固定しなければならな
い。こうした固定によって、筋力および関節の運動機能
の低下などの副作用が発生し、低下した機能を回復させ
るためには、相当期間リハビリテイションを行う必要が
あり、患者にとって相当の負担であった。特に高年齢者
は、新生骨の成長が遅く、治療に長時間を要するため、
このような負担は深刻である。
他方、骨と比較的近似した組織を有する歯の修復の分
野において、金属からなる補綴物と歯質との接着の際
に、4−(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリ
ット酸無水物(以下「4−META」と記載する)またはこ
れを加水分解した4−(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)オリメリット酸(以下「4−MET」と記載する)
と、MMAおよびトリ−n−ブチルボラン(以下「TBB」と
記載する)とからなる接着剤が使用されている。
歯質と骨の成分とは、比較的近似しており、本発明者
は、現在歯科の領域で利用されている接着技術を、人工
骨の分野で利用しようと試みたが、このような接着技術
を利用したとしても、接着剤と骨との親和性が充分では
なく、水中に長期にわたり浸漬しておくと接着力が低下
する傾向がある。従って歯科の領域で利用されている接
着技術を人工骨の埋め込みの際に利用し、骨組織を変性
させずに強固に接着することは困難であった。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決
しようとするものであって、例えば金属から形成される
人工骨と骨を良好に接着することができる骨セメント組
成物およびこの骨セメント組成物から得られる反応硬化
体を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る骨セメント組成物は、炭素原子数1〜4
のアルキル基を有するメタクリレートから誘導されるポ
リアルキルメタクリレートと、HAPなどのリン酸カルシ
ウムと、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキ
ルメタクリレートと、4−METAおよび/または4−MET
と、重合開始剤とからなることを特徴としている。
本発明に係る反応硬化体は、炭素原子数1〜4のアル
キル基を有するメタクリレートから誘導されるポリアル
キルメタクリレートと、HAPなどのリン酸カルシウム
と、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキルメ
タクリレートと、4−METAおよび/または4−METと、
重合開始剤とからなる組成物の反応硬化体である。
本発明の骨セメント組成物に配合されたリン酸カルシ
ウムは骨の成分と近似した構造を有しているため、成長
した新生骨がこのリン酸カルシウムと一体化する。しか
も、特定のポリアルキルメタクリレートを主成分とする
骨セメントは、金属に対しても優れた接着性を示すた
め、人工関節等の人工骨を長期間使用したとしても、人
工骨と骨との間にゆるみが生ずることは極めて少ない。
さらに、重合開始剤としてトリ−n−ブチルボラン(TB
B)を用い、さらにこれに反応性成分として、4−META
などを含有する組成物は、TBBが水分や酸素を有効に活
用して硬化するため、水分を多く含む生体に対して有効
に使用することができる。また、リン酸カルシウムを配
合することによって、重合熱が分散し、硬化による反応
温度が低く抑えることができる。従って、本発明の骨セ
メント組成物を用いて人工骨を骨に接着することによ
り、接着した初期には骨と硬化体が高い接着力で接着し
ており、さらに長期的には、新生骨の成長が阻害される
ことがないので硬化体と骨とが接合し、その結果人工
骨、骨セメント組成物の硬化体および骨が接着した初期
及び長期的には非常に強い接着力で一体化する。このた
め、本発明の骨セメント組成物を使用することにより、
従来のように患部を長期間固定する必要がなくなり、患
部周囲の機能低下が非常に少なくなる。
発明の具体的説明 次に本発明の骨セメント組成物及びその反応硬化体に
ついて具体的に説明する。
本発明の骨セメント組成物において、ベースとなるポ
リマーは、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するポリ
アルキルメタクリレートである。
このようなベースポリマーの具体的な例としては、ポ
リMMA、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタ
クリレート、ポリブチルメタクリレートを挙げることが
できる。このようなベースポリマーは、単独で使用する
こともできるし、組み合わせて使用することもできる。
これらのベースポリマーの中でもポリMMAは、人体に
対する為害性(人体に対して害を及ぼす蓋然性)が極め
て低いため、ベースポリマーとして特に好ましい。
このようなベースポリマーとしては、GPCにより測定
したポリスチレン換算の分子量が、通常は103〜108、好
ましくは104〜106のポリアルキルメタクリレートを使用
する。
このようなポリアルキルメタクリレートは、粉末の状
態で使用するのが好ましい。
本発明の組成物中にはリン酸カルシウムが配合されて
いる。
このリン酸カルシウムは、骨の成分と比較的近似した
構造を有しているため、骨の成長にともなって最終的に
は新生骨と一体化して骨セメント組成物と骨との間に非
常に高い接合力を発現させる。
本発明で用いられるリン酸カルシウムとしては、具体
的には、ハイドロキシアパタイト(HAP)、フッ素アパ
タイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウムなど
が挙げられ、これらとたとえば酸化カルシウムとの混合
物であってもよい。
また、本発明で用いられるリン酸カルシウムは、熱処
理をしたものでも熱処理をしていないものでもよく、さ
らに多孔質であっても緻密質であってもよい。
本発明においては、種々の形状のリン酸カルシウムを
使用することができるが、特に1〜20μmの平均粒子径
を有するリン酸カルシウムを使用することにより、骨と
骨セメント硬化体との接着強度および圧縮強度が非常に
高くなる。特に好ましくは2〜15μmの平均粒子径を有
するリン酸カルシウムを使用することにより、接着強度
および圧縮強度がさらに優れた硬化体を形成し得る組成
物を得ることができる。
このリン酸カルシウムは、ポリアルキルメタクリレー
ト粉末と混合しておくことが好ましい。この場合、リン
酸カルシウムとポリアルキルメタクリレート[成分
(P)]は、重量比で、通常は、0.1:99.9〜90:10の範
囲内、好ましくは10:90〜80:20の範囲内の混合比率で混
合されて使用される。
本発明の骨セメント組成物では、重合性の単量体成分
として、炭素原子数1〜4のアルキル基を有するアルキ
ルメタクリレートを使用する。このようなアルキルメタ
クリレートの例としては、MMA、エチルメタクリレー
ト、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレー
トなどのアルキルモノメタクリレートまたはエチレンジ
メタクリレートおよびプロピルジメタクリレートなどの
アルキルジメタクリレートを挙げることができ、これら
は単独で、あるいは組み合わせて使用することができ
る。これらの内でも、MMAは、重合物の人体に対する為
害性が少ないので、本発明においては、単量体成分とし
てMMAを使用することが好ましい。
さらに、本発明の骨セメント組成物では、単量体成分
として、次式で示す構造を有する4−METAおよび/また
は4−METを使用する。
上記のアルキルメタクリレートと4−METAおよび/ま
たは4−METとは、通常、液体状態で用いられ、前述の
ポリアルキルメタクリレートおよびリン酸カルシウムと
は別に、液状のメタクリレート中に4−METAおよび/ま
たは4−METを予め溶解させて使用することが好まし
い。
この場合、この液体状の成分(L)は、アルキルメタ
クリレートと4−METAおよび/または4−METとを、通
常は99.9:0.1〜85:15の範囲内の重量比、好ましくは99.
5:0.5〜90:10の範囲内の重量比で混合することにより調
製される。4−METAおよび/または4−METとアルキル
メタクリレートとを上記とのような割合で使用すること
により、組成物の接着強度および硬化物の強度が特に高
くなる。
さらに、上記の固体状(粉末状)である成分(P)
と、液体状である成分(L)とを、成分(P)/成分
(L)の値が、通常は、0.01〜10の範囲内、好ましくは
0.1〜5の範囲内で含むように配合する。
本発明で使用される重合開始剤としては、アクリル系
重合体を常温付近で製造する際に一般に使用されている
ベンゾイルペルオキシド(BPO)とアミンの組合せによ
るレドックス系の重合開始剤、アルキルボロン等を使用
することができるが、特にTBBおよび/またはその部分
酸化物を使用することが好ましい。このTBBおよび/ま
たはその部分酸化物を使用することにより、この化合物
が大気中などにある酸素および水と反応してラジカルが
発生し、このラジカルによって組成物中に含まれるアル
キルメタクリレートおよび4−METAおよび/または4−
METの重合反応が進行し、本発明の骨セメント組成物が
水や酸素の存在下で硬化する。
上記のような重合開始剤は、重合反応を引き起こすに
足りる量で使用すればよく、4−METAおよび/または4
−METとアルキルメタクリレートとの合計重量1重量部
に対して、0.1〜1重量部の割合で使用される。特にTBB
を使用する場合には、0.3〜0.4重量部の割合で使用する
ことが好ましい。このようなTBBの使用量は、歯科用接
着剤組成物の重合開始剤として使用される場合の使用量
よりも多く、このような量で用い、4−METAおよび/ま
たは4−METとHAPなどのリン酸カルシウムとを併用する
ことにより、本発明の骨セメント組成物が、特に人工骨
と骨を強固に接着するのに適した硬化性、接着強度およ
び圧縮強度などの特性を有するようになる。
本発明の骨セメント組成物は、それぞれの成分を個別
に用意し、使用する際にこれらの成分を混合して用いる
こともできるが、上述のように予め固体成分と液体成分
と重合開始剤とを別々に調製し、これらを使用直前に混
合して用いるのが有利である。
この場合、固体成分は、ベースポリマーであるポリア
ルキルメタクリレートおよびリン酸カルシウムを混合す
ることにより得られるが、この固体成分中には、硫酸バ
リウムのようなX線像影剤、抗生物質あるいは他の充填
剤等を配合することもできる。さらに、上記のような固
体成分としては、滅菌処理したものを使用することが好
ましい。なお、重合開始剤として、ベンゾイルペルオキ
ドなどの過酸化物系の重合開始剤を使用する場合には、
この固体成分中に重合開始剤を配合することができる。
また、液体成分は、アルキルメタクリレートと4−ME
TAおよび/または4−METとを相互に溶解させることに
より得られる。なお、この液体成分中には、保存中にお
ける上記単量体成分の重合反応を抑制するために、ハイ
ドロキノンなどの重合禁止剤を配合することもできる
し、さらに抗生物質、X線像影剤などを配合することも
できる。また、液体成分中にN,N−ジメチル−p−トル
イジンなどを配合することにより、生体内における骨セ
メント組成物の硬化反応を促進させることができる。
重合開始剤は、上記のように固体成分中に混合される
か、あるいは上記の液体成分とは別に保存・移送され
る。殊にTBBのように、大気中の酸素あるいは水分と反
応してラジカルが形成される重合開始剤を使用する場合
には、例えばアンプルなどに密封して保存・移送するの
が一般的である。
例えば上記のようにして固体成分、液体成分および重
合開始剤にそれぞれパッケイジングされた本発明の骨セ
メント組成物を使用直前に混合することにより、硬化反
応が進行しはじめ、使用可能な状態になる。
上記のようにして調製された本発明の骨セメント組成
物は、例えば次のようにして使用される。
第1図に、本発明の骨セメント組成物で接着された人
工股関節の例を模式的に示す。
まず、大腿骨1に人工関節2を挿入するための空洞3
を形成した後、この空洞3に骨セメント組成物4を充填
する。次いで、この骨セメント組成物が充填された空間
3に人工関節2を挿入する。こうして挿入された人工関
節2は、骨セメント組成物が硬化するに伴い、骨セメン
ト硬化体に発現する化学的な接着力によって大腿骨1に
接着される。このような接着が完了するまでの時間は、
使用する骨セメント組成物の組成によっても異なるが、
通常は、0.5〜3時間程度であり、従来の骨セメント組
成物を使用した場合よりもやや長い。このため、本発明
の骨セメント組成物は、上記のようにして硬化する際の
発熱温度が低く、骨セメント硬化体と接触している大腿
骨の生体組織が破壊されることが少ない。このため、新
生骨の成長が期待できる。そして、本発明の骨セメント
硬化体中に含まれるリン酸カルシウムは、この新生骨の
成分と非常に近似した構造を有しているため、最終的に
硬化体中のリン酸カルシウムと成長した新生骨とが一体
化する。このように本発明の骨セメント組成物を使用す
ることにより、大腿骨と人工関節とは、単に骨セメント
硬化体の有する化学的な接着力だけでなく、新生骨とリ
ン酸カルシウムとが一体化することに伴う接合力によっ
ても結合されるため、長期間の使用に際してもゆるみが
発生しにくいのである。
本発明の骨セメント組成物は、上記のように人工関節
の接着のために使用される他、骨の欠損部に充填して代
用骨としても使用することもできる。
発明の効果 本発明の骨セメント組成物には、HAPなどのリン酸カ
ルシウムが含有されており、このリン酸カルシウムは骨
の構造と近似した構造を有しているため、成長した新生
骨が、このリン酸カルシウムと一体化する。しかも、特
定のポリアルキルメタクリレートを主成分とする骨セメ
ントは、金属に対しても優れた接着性を示すため、移植
用材料、たとえば人工関節等の人工骨を長期間使用した
としても、移植用材料とこれが移植される骨との間にゆ
るみが生ずることがない。
本発明の骨セメント組成物を用いて移植用材料を骨に
接着することにより、新生骨の成長が阻害されることが
ないので、移植用材料、骨セメントの硬化物および骨と
が短時間で非常に強い接合力で一体化する。このため、
本発明の骨セメント組成物を使用することにより、従来
のように患部を長期間固定する必要がなくなり、患部周
囲の機能低下が非常に少なくなる。
さらに、本発明の骨セメント硬化体では、単量体成分
であるアルキルメタクリレートと4−METAおよび/また
は4−METの溶出量が非常に少なく、これらの成分の溶
出に伴う人体の刺激も少なくなる。
本発明の骨セメント組成物を骨の表面に塗布して硬化
させた後、この接着面を走査型電子顕微鏡で観察するこ
とにより、骨と本発明の骨セメント硬化体とが強固に接
着していることが確認できる。
次に本発明を実施例を示してさらに詳細に説明する
が、本発明は、これら実施例によって限定的に解釈され
るべきではない。
実施例1〜4および比較例1 ポリメチルメタクリレート(アクリベース、ME−3F、
藤倉化成(株)製)93gと硫酸バリウム7gとを混合して
ポリアルキルメタクリレート成分を調製した。
この粉末0.8gと、平均粒子径5μmの多孔質球状のHA
P 0.2gを混合して、HAP(Ca/P=1.67)の含有率が20重
量%の固体成分(P)を調製した。
別に、MMA 19.0gと4−META 1.0gとを混合して液体
成分を調製した。
上記の液体成分0.4gに、TBBを3滴(約0.15〜0.20g)
加えてよく混合し、次いで、上記固体成分(P)1gを配
合して混和して本発明の骨セメント組成物を調製した。
上記のようにして調製した骨セメント組成物を用いて
4.0mm×4.0mm×3.0mmおよび直径6mm、長さ8mmの硬化体
試料を調製し、前者はそのまま、後者は2カ月間水中に
浸漬した後、オートグラフ((株)島津製作所製、DSS5
00)を使用して圧縮強度を測定した。なお、圧縮強度
は、試料が破壊されるときの強度である。
上記と同様にして固体成分(P)中のHAPの含有率
を、40%(実施例2)、60%(実施例3)、80%(実施
例4)とした骨セメント組成物を調製し、この組成物を
用いて硬化体試料を調製し、圧縮強度を測定した。
なお、対照としてHAPを配合しない組成物(比較例
1)を調製し、この組成物を用いて硬化体試料を調製
し、圧縮強度を測定した。
結果を表1に示す。
実施例5〜7 実施例1〜4において、平均粒子径15μmのHAPを20
重量%(実施例5)、40重量%(実施例6)、60重量%
(実施例7)と変えた以外は同様にして骨セメント組成
物を調製し、この組成物を用いて硬化体試料を調製し、
この硬化体試料の圧縮強度を測定した。
結果を表1に併せて記載する。
表1から明らかなように、HAPを添加すると、圧縮強
度が高くなり、今回の配合率の範囲では、HAPの配合率
の増加とともに硬化体の強度が高くなる傾向にある。こ
のことは、HAPには、硬化体の圧縮強度を向上させる役
割があることを示唆している。さらに、HAPの配合量を
多くすることにより、骨セメント硬化体と骨との親和性
が向上することから、本発明の範囲内で、HAPを配合さ
せると、骨と骨セメント硬化体との接着強度を長期間維
持することができる。
実施例8〜10 ヒトの大腿骨の断面にマスキングテープを貼着し、大
腿骨を0.22cm2露出させた。
直径5mmのアクリル棒に実施例1〜3で製造した骨セ
メント組成物を盛り、上記大腿骨の露出部分に圧接しな
がら垂直に固定して、30分間放置した。
次いで、このアクリル棒が接着している大腿骨を1日
間水中に浸漬した後、オートグラフを用いて、クロスヘ
ッドスピード2mm/分で大腿骨とアクリル棒との接着強度
を測定した。
同様に、人工骨の素材の一つであるステンレス(sus
−304)との接着強度を測定した 結果を表2に示す。
実施例11〜13および比較例2 ヒトの大腿骨の断面にマスキングテープを貼着し、大
腿骨を0.22cm2露出させた。
直径5mmのアクリル棒に実施例5〜7で製造した骨セ
メント組成物を盛り、上記大腿骨の露出部分を圧接し
て、30分間放置した。
次いで、このアクリル棒が接着している大腿骨を1日
間水中に浸漬した後、オートグラフを用いて、大腿骨と
アクリル棒との接着強度を測定した。
結果を表2に示す。
同様にステンレス(sus−304)との接着強度を測定し
た。
また、対照としてHAPを配合しない場合の接着強度を
測定した。
実施例14、15および比較例3 実施例2で製造した骨セメント組成物のうち、4−ME
TA濃度を液体成分に対して3重量%(実施例14)、10重
量%(実施例15)、0重量%(比較例3)に変えた以外
は同様にしてヒト大腿骨とステンレス(SUS−304)とを
接着させて、接着強度を測定した。
結果を表3に示す。
4−METAは、ヒト大腿骨およびステンレスの接着に極
めて有効であり、今回の濃度範囲では、4−META濃度が
3〜5重量%の範囲で特に有効性が高かった。
実施例16〜18および比較例4 実施例1〜3で調製した骨セメント組成物を円柱状
(直径6mm,長さ8mm)にして硬化させた。
次いでこの円柱状の硬化体をメタノール中に1週間浸
漬した後、メタノール中に溶出した単量体(MMA,4−MET
A)の量を測定した。
対照として、HAPを配合しない組成物に次いても同様
に溶出量を、液体クロマトグラフ(WATERS Micro Borda
pac 18;MeOH:H2O=7:3,1ml/分)で測定した。
結果を表4に示す。
実施例19〜21 実施例5〜7で調製した骨セメント組成物を円柱状に
硬化させた。
次いで、この円柱状の硬化体をメタノール中に1週間
浸漬した後、メタノール中に溶出したMMAの量を実施例1
6と同様にして測定した。
対照として、HAPを配合しない組成物に次いても同様
に溶出量を測定した。
結果を表4に示す。
実施例22〜24 HAPの代わりに下記の多孔質リン酸カルシウムを用い
た以外は、実施例1と同様にして骨セメント組成物を得
た。
a)950℃で4時間熱処理したCa/P=1.5のリン酸カルシ
ウム(実施例22)、 b)950℃で4時間熱処理したCa/P=1.60のHAPとリン酸
三カルシウムとの混合物(実施例23)、 c)950℃で4時間熱処理したCaMP=1.75のHAPと酸化カ
ルシウムの混合物(実施例24)。
得られた実施例22〜24の骨セメント組成物は、いずれ
も実施例1の組成物と同様の良好な効果を示した。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の骨セメント組成物で接着された人工
股関節の例を模式的に示す図である。 1……大腿骨 2……人工関節 3……空洞 4……骨セメント組成物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 隆司 山口県玖珂郡和木町和木6丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメ
    タクリレートから誘導されるポリアルキルメタクリレー
    トと、リン酸カルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキ
    ル基を有するアルキルメタクリレートと、4−(2−メ
    タクリロイルオキシエチル)トリメリット酸および/ま
    たはその無水物と、重合開始剤とからなることを特徴と
    する骨セメント組成物。
  2. 【請求項2】上記組成物が、リン酸カルシウムとポリア
    ルキルメタクリレートとを0.1:99.9〜90:10の範囲内の
    重量比で含む成分(P)およびアルキルメタクリレート
    と4−(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリッ
    ト酸および/またはその無水物とを99.9:0.1〜85:15の
    範囲内の重量比で含む成分(L)を、成分(P)/成分
    (L)の値が0.01〜10の範囲内になる量で含有してお
    り、かつ該組成物中における重合開始剤の量が、前記成
    分(L)1重量部に対して0.1〜1重量部の範囲内にあ
    ることを特徴とする請求項第1項記載の骨セメント組成
    物。
  3. 【請求項3】ポリアルキルメタクリレートが、メチルメ
    タクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタク
    リレートおよびブチルメタクリレートよりなる群から選
    ばれたメタクリレートの単独重合体またはこれらの共重
    合体であり、アルキルメタクリレートが、メチルメタク
    リレートであることを特徴とする請求項第1項記載の骨
    セメント組成物。
  4. 【請求項4】リン酸カルシウムがハイドロキシアパタイ
    トである請求項第1項記載の骨セメント組成物。
  5. 【請求項5】リン酸カルシウムの平均粒子径が1〜20μ
    mの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の
    骨セメント組成物。
  6. 【請求項6】重合開始剤が、トリ−n−ブチルボランお
    よび/またはその部分酸化物であることを特徴とする請
    求項第1項記載の骨セメント組成物。
  7. 【請求項7】炭素原子数1〜4のアルキル基を有するメ
    タクリレートから誘導されるポリアルキルメタクリレー
    トと、リン酸カルシウムと、炭素原子数1〜4のアルキ
    ル基を有するアルキルメタクリレートと、4−(2−メ
    タクリロイルオキシエチル)トリメリット酸および/ま
    たはその無水物と、重合開始剤とからなる組成物の反応
    硬化体。
  8. 【請求項8】上記組成物が、リン酸カルシウムとポリア
    ルキルメタクリレートとを0.1:99.9〜90:10の範囲内の
    重量比で含む成分(P)およびアルキルメタクリレート
    と4−(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリッ
    ト酸および/またはその無水物とを99.9:0.1〜85:15の
    範囲内の重量比で含む成分(L)を、成分(P)/成分
    (L)の値が0.01〜10の範囲内になる量で含有してお
    り、かつ該組成物中における重合開始剤の量が、前記成
    分(L)1重量部に対して0.1〜1重量部の範囲内にあ
    ることを特徴とする請求項第7項記載の硬化体。
  9. 【請求項9】ポリアルキルメタクリレートが、メチルメ
    タクリレートもしくはエチルメタクリレートの単独重合
    体またはこれらの共重合体であり、アルキルメタクリレ
    ートが、メチルメタクリレートであることを特徴とする
    請求項第7項記載の硬化体。
  10. 【請求項10】リン酸カルシウムがハイドロキシアパタ
    イトである請求項第7項記載の硬化体。
  11. 【請求項11】リン酸カルシウムの平均粒子径が1〜20
    μmの範囲内にあることを特徴とする請求項第7項に記
    載の硬化体。
  12. 【請求項12】重合開始剤が、トリ−n−ブチルボラン
    および/またはその部分酸化物であることを特徴とする
    請求項第7項記載の硬化体。
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