JP2751513B2 - 音響信号再生装置 - Google Patents

音響信号再生装置

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JP2751513B2
JP2751513B2 JP2008515A JP851590A JP2751513B2 JP 2751513 B2 JP2751513 B2 JP 2751513B2 JP 2008515 A JP2008515 A JP 2008515A JP 851590 A JP851590 A JP 851590A JP 2751513 B2 JP2751513 B2 JP 2751513B2
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    • H04S1/00Two-channel systems
    • H04S1/002Non-adaptive circuits, e.g. manually adjustable or static, for enhancing the sound image or the spatial distribution
    • H04S1/005For headphones

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Description

【発明の詳細な説明】 A 産業上の利用分野 本発明は、音響信号をヘッドホン装置により再生する
音響信号再生装置に関する。
B 発明の概要 本発明は、音響信号をヘッドホン装置により再生する
音響信号再生装置において、基準信号源から送出される
位置検出用の基準信号を聴取者の頭部上の2箇所に配設
される一対の信号検出器により感受し、これら信号検出
器の出力信号に基づいて演算手段により上記基準信号源
に対する上記頭部の相対距離及び回転角度を算出し、上
記基準信号源を基準位置として任意に位置される仮想音
源に対する伝達特性を上記相対距離及び回転角度の情報
から求め、この伝達特性に基づいて音響信号を処理する
ことによって、仮想音源に対する適正なバイノーラル再
生を行うことができるようにしたものである。
C 従来の技術 従来、音響信号をヘッドホンユニットにより再生する
ヘッドホン装置のように、聴取者の頭部に装着されるこ
とにより両耳介近傍の対応して支持される一対のヘッド
ホンユニットによりを用いて音響信号の再生を行う場合
に、音像の方向感や頭外定位感等を良好なものとする方
法として、バイノーラル方式が知られている。
このバイノーラル方式を採用した音響再生システム
は、例えば、特公昭53−283号公報に記載されているよ
うに、ヘッドホン装置により再生される音響信号に対し
て、予め所定の信号処理を施すものである。
ここで、音像の方向感や頭外定位感等は、左耳及び右
耳の聴取する音の音量差や時間差、位相差等により決定
される。
上記信号処理とは、例えば聴取者から離間させ配置さ
れたスピーカ装置により音響再生を行う場合に、音源す
なわちスピーカ装置から聴取者の左右の耳までの距離を
差異及び聴取者の頭部近傍での反射や回折等により生ず
る音響効果と等化な音響効果が、ヘッドホン装置により
再生される音響出力において生ずるようにする信号処理
である。このような信号処理は、例えば、左耳用及び右
耳用の音響信号に上記音響効果に対応するインパルスレ
スポンスを畳込み積分する処理により行われる。
ところで、聴取者から離間させて配置されたスピーカ
装置により音響再生を行う場合には、聴取者が移動した
り頭部の方向を回転させても音像の絶対的な位置は変化
しないので、聴取者の感じる音像の相対的な方向及び位
置が変化する。これに対し、ヘッドホン装置を用いてバ
イノーラル方式により音響再生を行う場合には、聴取者
が頭部の方向を回転させるとヘッドホン装置も該頭部と
ともに回転させられるので、聴取者の感じる音像の相対
的な方向及び位置は変化しない。
このようにヘッドホン装置を用いてバイノーラル再生
を行う場合には、聴取者の頭部の方向変化に対する音像
の変位状態の差異によって、音場が聴取者の頭部内に形
成されてしまい、音像を聴取者の前方に定位させること
が困難であり、しかも、その前方の音像は上昇してしま
う傾向がある。
そこで、従来、特開昭42−227号公報や特公昭54−192
42号公報に記載されているように、聴取者の頭部の方向
変化を検出し、この検出結果に基づいて上記信号処理の
状態を変化させることにより、ヘッドホン装置において
良好な前方定位感が得られるようにした音響信号再生シ
ステムが提案されている。このような音響信号再生シス
テムにおいては、聴取者の頭部に所謂ジャイロコンパス
や磁針等の方向検出装置が配設されている。そして、上
記方向検出装置による検出結果に基づき、音響信号を処
理する上記レベル調整回路や遅延回路等を製するように
して、聴取者から離間されて配置されたスピーカ装置に
よる音響再生と同様の音場感を得ようとするものであ
る。
D 発明が解決しようとする課題 ところで、上述の如きジャイロコンパス等による方向
検出装置をヘッドホン装置に設けた従来のバイノーラル
再生システムでは、聴取者の頭部の方向変化に応じて音
響信号に施す信号処理の内容を制御することにより、聴
取者が一定位置に居る限り良好な音像定位感を得ること
ができる。
しかし、聴取者が移動した場合には、聴取者の移動と
ともに音像も移動してしまい、極めて不自然な音像定位
感となってしまう。
通常、スピーカ装置等の音源に聴取者が近づくと音圧
レベルが高くなる。また、スピーカ装置等の音源には指
向性があるので、聴取者の移動により上記指向性の影響
も現れ、これらによって、頭外定位感が与えられる。
そこで、本発明は、上述の如き従来の実情に鑑み、聴
取者が移動した場合にもヘッドホン装置により仮想音源
位置が移動することのない極めて自然な音像定位感の得
られる適正なバイノーラル再生を行うことができる音響
信号再生装置を提供することを目的とする。
E 課題を解決するための手段 本発明に係る音響信号再生装置は、上述の目的を達成
するために、位置検出用の基準信号を送出する基準信号
源と、聴取者の頭部上の2箇所に配設され、上記基準信
号源から送出される基準信号を感受する一対の信号検出
器と、上記一対の信号検出器の出力信号に基づいて上記
基準信号源に対する上記頭部の相対距離及び回転角度を
算出し、上記基準信号源を基準位置として任意に位置さ
れる仮想音源に対する伝達特性を上記相対距離及び回転
角度の情報から求める演算手段と、上記演算手段により
求められた伝達特性に基づいて左チャンネル及び右チャ
ンネルの音響信号をそれぞれ処理する音響信号処理手段
とを備え、上記音響信号処理手段を介した音響信号をヘ
ッドホン装置により再生することを特徴とする。
F 作用 本発明に係る音響信号再生装置において、演算手段
は、基準信号源から送出される位置検出用の基準信号を
感受する一対の信号検出器の出力信号に基づいて、上記
基準信号源に対する上記頭部の相対距離及び回転角度を
算出し、上記基準信号源を基準位置として任意に位置さ
れる仮想音源に対する伝達特性を上記相対距離及び回転
角度の情報から求めて、上記伝達特性を示す情報を音響
信号処理手段に与える。そして、音響信号処理手段は、
上記演算手段により求められた伝達特性に基づいて左チ
ャンネル及び右チャンネルの音響信号をそれぞれ処理
し、信号処理済の音響信号を一対のヘッドホン装置に供
給する。
G 実施例 以下、本発明に係る音響信号再生装置の一実施例につ
いて、図面に従い詳細に説明する。
本発明に係る音響信号再生装置は、第1図に示すよう
に、ヘッドバンド(1)により聴取者の頭部(M)に装
着された該聴取者の左右両耳介の近傍に対応して一対の
ヘッドホンユニット(2L),(2R)を支持するようにし
たヘッドホン装置(10)を備える。
このヘッドホン装置(10)の上記ヘッドバンド(1)
には、支持アーム(3L),(3R)を突出形成した2個の
スライダ(4L),(4R)が摺動自在に装着されており、
基準信号源(11)から送出される位置検出用の基準信号
を感受する一対の信号検出器(5L),(5R)が上記支持
アーム(3L),(3R)の先端部分に設けられている。す
なわち、上記一対の信号検出器(5L),(5R)は、上記
ヘッドバンド(1)に摺動自在に装着されたスライダ
(4L),(4R)に突出形成された支持アーム(3L),
(3R)の先端部分に設けられることにより、上記ヘッド
バンド(1)及び一対のヘッドホンユニット(2L),
(2R)すなわちヘッドホン本体から離隔した位置に上記
支持アーム(3L),(3R)により支持されている。
この実施例において、上記基準信号源(11)は、超音
波信号源(12)と、この超音波信号源(12)からの超音
波信号を基準信号として送出する超音波スピーカ(13)
とから構成されている。そして、上記基準信号を感受す
る一対の信号検出器(5L),(5R)には、それぞれ超音
波マイクロホンが用いられる。
上記超音波スピーカ(13)から送出された超音波すな
わち上記位置検出用の基準信号は、第2図のAに示すよ
うに、所定の時間毎に所定レベルの超音波が間歇的に送
出されるバースト波や、あるいは、所定周期でレベルが
所定の変動をするようになされた所謂レベル変調波等の
ように、位相検出が可能になされた超音波である。
上記ヘッドホン装置(10)に設けられた上記一対の信
号検出器(5L),(5R)は、上記超音波スピーカ(13)
から送出される超音波を用いた位置検出用の基準信号を
感受して、聴取者と上記超音波スピーカ(13)との相対
位置関係に応じた時間遅れを有する第2図のB及びCに
示すような各検出信号を出力する。
上記一対の信号検出器(5L),(5R)は、上記ヘッド
バンド(1)に摺動自在に装着されたスライダ(4L),
(4R)に突出形成された支持アーム(3L),(3R)の先
端部分に設けられ、上記ヘッドバンド(1)及び一対の
ヘッドホンユニット(2L),(2R)すなわちヘッドホン
本体を聴取者の頭部に装着した状態で、ヘッドホン本体
から離隔した位置に上記支持アーム(3L),(3R)によ
り支持されるので、聴取者が移動したり、頭部を回転さ
せた場合にも、聴取者の頭部の陰になることなく、上記
超音波スピーカ(13)から送出される超音波を極めて良
好に感受して、上記位置検出用の基準信号を安定に且つ
正確に検出することができる。また、上記一対の信号検
出器(5L),(5R)は、上記ヘッドバンド(1)に沿っ
て上記スライダ(4L),(4R)を摺動させて、上記位置
検出用の基準信号の検出に最適な位置に調整することが
できる。例えば、上記ヘッドバンド(1)により聴取者
の頭部(M)に装着された該聴取者の左右両耳介の近傍
に対応して支持される上記ヘッドホンユニット(2L),
(2R)の位置は、聴取者の頭部(M)の形状や大きさに
依存し、個人差があるので、上記ヘッドホンユニット
(2L),(2R)の位置に対応するように上記一対の信号
検出器(5L),(5R)の位置を調整する。
これらの信号検出器(5L),(5R)により得られる各
検出信号は、演算装置(14)に供給される。
上記演算装置(14)は、上記位置検出用の基準信号の
上記各信号検出器(5L),(5R)による各検出信号が供
給される第1及び第2のエッジ検出回路(15),(16)
と上記超音波信号源(12)からの超音波信号すなわち上
記位置検出用の基準信号が供給される第3のエッジ検出
回路(17)を備える。
上記第1及び第2のエッジ検出回路(15),(16)
は、上記各信号検出器(5L),(5R)による各検出信号
の各立ち上がりエッジを検出して、上記立ち上がりエッ
ジに対応する第2図のD及びEに示すような各パルス信
号を出力する。上記第1及び第2のエッジ検出回路(1
5),(16)により得られる各パルス信号は、距離算出
回路(18)及び両耳時間差検出回路(19)に供給され
る。また、上記第3のエッジ検出回路(17)は、上記超
音波信号源(12)からの超音波信号の立ち上がりエッジ
を検出して、上記立ち上がりエッジに対応する第2図の
Fに示すようなパルス信号を出力する。上記第3のエッ
ジ検出回路(17)により得られるパルス信号は、上記距
離算出回路(18)に供給される。
上記距離算出回路(18)は、第2図中のΔT1で示す上
記第3のエッジ検出回路(17)により得られるパルス信
号と上記第1のエッジ検出回路(15)により得られパル
ス信号における対応するパルス間の時間差t1と、第2図
中にΔT2で示す上記第3のエッジ検出回路(17)により
得られたパルス信号と上記第2のエッジ検出回路(16)
により得られパルス信号における対応するパルス間の時
間差t2とを検出する。そして、これら各時間差t1,t2
音速Vとに基づき、第3図中に矢印l0で示す、上記超音
波スピーカ(13)と上記聴取者の頭部(M)の中心との
距離l0を算出する。
なお、上記音速Vは、予めこの距離算出回路(18)に
定数として設定しておいてもよく、また、気温、湿度、
気圧等の変動に伴って変更されるようにしておいてもよ
い。また、上記距離lの算出に際しては、上記各信号検
出器(5L),(5R)と上記頭部(M)の中心との位置関
係や、上記頭部(M)の形状や大きさに基づく補正を行
うようにしてもよい。
上記距離l0及び上記各時間差t1,t2を示す信号は、伝
達特性算出回路(20)に送られる。
上記両耳時間差検出回路(19)は、第2図中にΔT3
示す上記第1のエッジ検出回路(15)のパルス信号と上
記第2のエッジ検出回路(15)のパルス信号における対
応するパルス間の時間差t3を検出する。この時間差t3
示す信号は、上記伝達特性算出回路(29)に送られる。
上記伝達特性算出回路(20)では、上記各時間差t1,t
2,t3、上記距離l0、上記音速V及び上記頭部(M)の半
径rとを用いて、第3図中に矢印θで示す、上記頭部
(M)の方向を示す角度θを算出する。上記角度θ
は、例えば、 θ≒sin-1{V2(t1+t2)t3/4rl} ……(第1式) により求めることができる。そして、上記超音波スピー
カ(13)の位置を仮想音源の基準位置として、この基準
位置と聴取者の頭部(M)との相対位置関係を示す上記
角度θ及び距離l0の情報から、所望の仮想音源位置に
対する頭部(M)の上記頭部の回転角度θ位置及び仮想
音源からの相対距離lを算出して、上記所望の仮想音源
の指向性等を考慮した伝達特性を求める。
この伝達特性算出回路(20)により得られる仮想音源
の指向性等を考慮した伝達特性情報は、音響信号処理回
路(21)に供給される。
そして、上記ヘッドホンユニット(2L),(2R)に
は、音響信号供給源(22)から出力される左チャンネル
及び右チャンネル音響信号SL,SRが、上記音響信号処理
回路(21)から一対の増幅器(23L),(23R)を介して
供給される。
上記音響信号供給源(22)は、所定の左チャンネル及
び右チャンネル音響信号SL,SRを出力する装置であっ
て、例えば、各種の記録ディスク再生装置、記録テープ
再生装置、又は、電波受信装置等である。
上記音響信号処理回路(21)は、上記音響信号供給源
(22)から送られる上記左チャンネル及び右チャンネル
音響信号SL,SRに所定の信号処理を行う回路であり、こ
の伝達特性算出回路(20)により得られる仮想音源の指
向性等を考慮した伝達特性情報が供給される第1乃至第
4の信号処理部(24a),(24b),(24c),(24d)を
備えてなる。これら各信号処理部(24a),(24b),
(24c),(24d)では、上記伝達特性情報に基づいて、
聴取者に対向して離間されて配置された左チャンネル用
及び右チャンネル用の一対のスピーカ装置を仮想音源と
して左チャンネル及び右チャンネル音響信号SL,SRを再
生する場合の該聴取者の各耳に対する伝達特性を表現す
るインパルスレスポンスが設定される。
すなわち、上記第1の信号処理部(24a)は、右チャ
ンネル音響信号SRが再生された音響の右耳に対する伝達
特性を表現するインパルスレスポンス{hRR(t,θ)}
を設定する。上記第2の信号処理部(24b)は、右チャ
ンネル音響信号SRが再生された音響の左耳に対する伝達
特性を表現するインパルスレスポンス{hRL(t,θ)}
を設定する。上記第3の信号処理部(24c)は、左チャ
ンネル音響信号SLが再生された音響の右耳に対する伝達
特性を表現するインパルスレスポンス{hLR(t,θ)}
を設定する。上記第4の信号処理部(24d)は、左チャ
ンネル音響信号SLが再生された音響の左耳に対する伝達
特性を表現するインパルスレスポンス{hLL(t,θ)}
を設定する。
なお、これら各インパルスレスポンスは、予め仮想音
源の指向性等を考慮した伝達特性に対応させて設定し、
メモリ装置(ROM)等に記憶させておき、上記距離lと
角度θにより読出しアドレスを決定して読出すようにし
てもよい。
この音響信号処理回路(21)において、上記右チャン
ネル音響信号SRは、上記第1及び第2の信号処理部(24
a),(24b)に送られる。上記第1の信号処理部(24
a)では、上記インパルスレスポンス{hRR(t,θ)}の
畳み込み積分による信号処理を上記右チャンネル音響信
号SRに施す。また、上記第2の信号処理部(24b)で
は、上記インパルスレスポンス{hRL(t,θ)}の畳み
込み積分による信号処理を上記右チャンネル音響信号SR
に施す。
さらに、上記左チャンネル音響信号SLは、上記第3及
び第4の信号処理部(24c),(24d)に送られる。上記
第3の信号処理部(24c)では、上記インパルスレスポ
ンス{hLR(t,θ)}の畳み込み積分による信号処理を
上記左チャンネル音響信号SLに施す。また、上記第2の
信号処理部(24d)では、上記インパルスレスポンス{h
LL(t,θ)}の畳み込み積分による信号処理を上記左チ
ャンネル音響信号SLに施す。
そして、上記第1の信号処理部(24a)及び第3の信
号処理部(24c)の出力信号は、右側用加算器(25R)に
より互いに加算される。この右側用加算器(25R)の出
力信号は、上記右側増幅器(23R)を介して右耳用音響
信号ERとして上記右側ヘッドホンユニット(2R)に送ら
れて再生される。
また、上記第2の信号処理部(24b)及び第4の信号
処理部(24d)の出力信号は、左側用加算器(25L)によ
り互いに加算される。この左側用加算器(25L)の出力
信号は、上記左側増幅器(23L)を介して右耳用音響信
号ELとして上記左側ヘッドホンユニット(2L)に送られ
て再生される。
上述のように構成されてなる本発明に係る音響信号再
生装置においては、上記超音波スピーカ(13)の位置を
仮想音源の基準位置として、この基準位置と聴取者の頭
部(M)との相対位置関係を示す上記角度θ及び距離
l0の情報から、所望の仮想音源位置に対する頭部(M)
の上記頭部の回転角度θ位置及び仮想音源からの相対距
離lを算出して、上記所望の仮想音源の指向性等を考慮
した伝達特性を求め、この伝達特性を示す情報に基づい
て左チャンネル及び右チャンネルの各音響信号SL,SR
実時間で処理される。したがって、この音響信号再生装
置によれば、聴取者の移動及び頭部(M)の回転に伴う
伝達特性の変化に実時間で対応させた信号処理を行うこ
とにより、例えば、第4図のA,B,Cに仮想音源と聴取者
との相対位置関係を示すように、聴取者(P)に対向す
るように離間して前方に設置された一対のスピーカ装置
(SL),(SR)により音響信号を再生する場合と同様に
仮想音源が移動することのない良好な頭外定位感及び前
方定位感が得られる。
ここで、第4図には、聴取者(P)が一対のスピーカ
装置(SL),(SR)すなわち仮想音源に対してAに示す
ように位置している状態から仮想音源に近づいた状態を
Bに示し、さらに、聴取者(P)が頭部(M)を右スピ
ーカ装置(SR)側に回転した状態をCに示してある。本
発明に係る音響信号再生装置では、上述のように聴取者
の移動及び頭部(M)の回転に伴う伝達特性の変化に実
時間で対応させた信号処理を行うことにより、仮想音源
が移動することのない良好な頭外定位感及び前方定位感
が得られ、上記第4図のA,B,Cのいずれの状態にも対応
するバイノーラル再生を行うことができる。
なお、この実施例の音響信号再生装置に用いた上記ヘ
ッドホン装置(10)は、その原理的な構成として、ヘッ
ドホンユニット(2lL),(2lR)の片チャンネル分を第
5図に示してあるように、ヘッドホンユニットの筐体に
より形成した音響管(31)と、この音響管(31)の内周
面に設けたスピーカユニット(32)とを備えてなる。
上記音響管(31)は、外耳道(A)の内径W0と略同一
の内径Wに形成されている。この音響管(31)は、均一
な内径Wを有する長尺な管状体により構成され、その一
端側開口部(31a)に耳介装着部(33)が設けられ、ま
た、他端側開口部(31b)が音声の無反射終端となされ
ている。
上記耳介装着部(33)は、可撓性を有する合成樹脂等
により先端部側が肉薄状に形成されている。この耳介装
着部(33)は、上記先端部を外耳道(A)の入口部
(C)に挿入されて装着される。
なお、上記耳介装着部(33)の内径W1は、上記音響管
(31)の内径Wと同一すなわち外耳道(A)の内径W0
略同一に形成されている。
上記音響管(31)には、その内周面と略面一の状態で
放音面(32a)を管内方に臨ませて、上記スピーカユニ
ット(32)が取り付けられている。このように、上記放
音面(32a)と音響管(31)の内周面とを略面一とする
ことによって、上記音響管(31)の音響インピーダンス
特性を乱すことなく、上記スピーカユニット(32)が上
記音響管(31)に取り付けられる。
そして、上記耳介装着部(33)の先端部を外耳道
(A)の入口部(C)に挿入させて上記音響管(31)を
装着した状態では、上記外耳道(A)内の鼓膜(B)か
ら上記音響管(31)の無反射終端となされた他端側開口
部(31b)に亘って、略一定の内径を有して連続するこ
とにより、音響インピーダンスが一定の音道となる。
このため、上記スピーカユニット(32)からの音声出
力は上記音響管(31)を介して外耳道(A)側に伝播す
る際に反射されることがなく、また、鼓膜(B)による
反射音が外耳道(A)側から上記音響管(31)側に伝播
する際にも反射されることがない。
しかも、上記音響管(31)は、その他端側開口部(31
b)が音声の無反射終端となされているので、上記音響
管(31)に上記スピーカユニット(32)から伝播される
音声出力及び上記外耳道(A)側から伝播される反射音
を上記他端側開口部(31b)で反射することがない。従
って、上記鼓膜(B)による反射音が上記スピーカユニ
ット(32)側で反射されて上記外耳道(A)側に再度伝
播されることがないので、バイノーラル再生による前方
の頭外定位感を得ることができる。
H 発明の効果 上述のように、本発明に係る音響信号再生装置では、
演算手段により、基準信号源から送出される位置検出用
の基準信号を感受する一対の信号検出器の出力信号に基
づいて、上記基準信号源による仮想音源の基準位置に対
する上記頭部の距離及び回転角度から、任意の仮想音源
に対する伝達特性を求められる。そして、音響信号処理
手段により、上記演算手段により算出された伝達特性に
基づいて左チャンネル及び右チャンネルの音響信号をそ
れぞれ処理し、信号処理済の音響信号をヘッドホン装置
に供給するので、聴取者が移動した場合にも仮想音源位
置が移動することのない極めて自然な音像定位感の得ら
れる適正のバイノーラル再生を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る音響信号再生装置の構成を模式的
に示すブロック図、第2図は上記音響信号再生装置の演
算装置に供給される信号の状態を概略的に示すタイムチ
ャート、第3図は上記音響信号再生装置の演算装置によ
り算出される距離及び角度を示す模式図、第4図は上記
音響信号再生装置によるバイノーラル再生の動作を説明
するための仮想音源と聴取者との相対位置関係を示す平
面図、第5図は上記音響信号再生装置に用いた上記ヘッ
ドホン装置の原理的な構成を示す片チャンネル分の要部
断面図である。 (2L),(2R)……ヘッドホンユニット (5L),(5R)……信号検出器 (10)……ヘッドホン装置 (11)……基準信号源 (14)……演算装置 (21)……音響信号処理回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 進 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭58−116900(JP,A) 特開 昭60−204200(JP,A) 実開 昭54−117208(JP,U) 特許2971327(JP,C2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】位置検出用の基準信号を送出する基準信号
    源と、 聴取者の頭部上の2箇所に配設され、上記基準信号源か
    ら送出される基準信号を感受する一対の信号検出器と、 上記一対の信号検出器の出力信号に基づいて上記基準信
    号源に対する上記頭部の相対距離及び回転角度を算出
    し、上記基準信号源を基準位置として任意に位置される
    仮想音源に対する伝達特性を上記相対距離及び回転角度
    の情報から求める演算手段と、 上記演算手段により求められた伝達特性を示す情報に基
    づいて左チャンネル及び右チャンネルの音響信号をそれ
    ぞれ処理する音響信号処理手段とを備え、 上記音響信号処理手段を介した音響信号をヘッドホン装
    置により再生することを特徴とする音響信号再生装置。
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