JP2751158B2 - 筆記具用インキ吸蔵体の製造方法 - Google Patents
筆記具用インキ吸蔵体の製造方法Info
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- JP2751158B2 JP2751158B2 JP62133044A JP13304487A JP2751158B2 JP 2751158 B2 JP2751158 B2 JP 2751158B2 JP 62133044 A JP62133044 A JP 62133044A JP 13304487 A JP13304487 A JP 13304487A JP 2751158 B2 JP2751158 B2 JP 2751158B2
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- occlusion body
- oil agent
- ink occlusion
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Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は,各種繊維を集束することによって製造され
る筆記具用インキ吸蔵体の製造方法に係る。 (従来の技術) 従来,筆記具において,水性,油性或いは染料系,顔
料系のインキを貯蔵しておくための手段の一つとして,
各種繊維を集束させてなるインキ吸蔵体がある。 このものは、主にポリアクリロニトリル、ポリエステ
ル、ポリプロピレン、ナイロン等の材質よりなるスライ
バー又はトウを適宜量集束させ、これを樹脂でもって硬
化させたり、或いはその外周にセロファンを被着してな
るもの等様々なものが知られている。 (発明が解決しようとする問題点) 然し乍ら,これらのものは何れについても環境,条件
等が大きく起因してインキの経時的な吸蔵体内での移動
が発生し,よって筆記時インキかすれなどが生じ易いと
いった不都合を有している。この為,従来から繊維素材
そのものを変えたり,又は繊維素材表面の改質を行なう
などしてこの不都合の解消を計っているが,未だ完全に
満足すべきものが得られていないのが実情である。 本発明者は,この経時的なインキ移動についてその根
本原因を追究すべく鋭意研究を重ねたところ,一つの知
見として,予め繊維表面に付着されている油剤が大きく
影響を及ぼしているという知見を得るに至った。即ち,
抑々油剤は繊維の紡糸工程で,帯電防止,摩擦低減,製
織性集束性向上等を目的として処理される結果,繊維の
表面に付着残留するもので,具体的には界面活性剤が使
用されているが,これがインキの繊維に対する濡れ性を
向上させるために繊維間のインキを移動し易くしている
というものである。また,とりわけ顔料系のインキを使
用した際には,顔料と界面活性剤との反応が起こってイ
ンキが凝集することなどの好ましくない例も確認されて
いる。 (問題点を解決するための手段) 本発明は上記した知見に基づきなされたもので,繊維
に付着した油剤を溶剤でもって除去することにより,イ
ンキ吸蔵体内でのインキの経時的移動を極力防止した優
れたインキ吸蔵体を提供することを目的とするものであ
る。 即ち本発明は、繊維を集束することにより筆記具用の
インキ吸蔵体を製造するにあたって、繊維の製造工程に
おける油剤が表面に付着している前記繊維集束物を、該
繊維表面に付着した油剤を除去し得る溶剤であって前記
繊維と非反応性の溶剤に浸漬することを特徴とする筆記
具用インキ吸蔵体の製造方法を要旨とするものである。 また,界面活性剤等の油剤を除去し得る溶剤として
は,ケトン系溶剤或はアルコール系溶剤等が使用でき,
例えば中でもアセトンやメチルアルコールが好ましく用
いられる。 本発明においては,前記繊維集束物を,油剤を除去し
得る溶剤に浸漬後,更にこれを加熱乾燥することが望ま
しい。これは,加熱乾燥工程においても油剤を除去し得
る点にあるからである。 (作用) 紡糸工程を経たスライバー,又はトウの集束物におけ
る各繊維の表面には油剤が付着しているが,この集束物
を,油剤を除去し得る溶剤に浸漬する工程が付加された
ため,油剤は殆ど除去でき,従ってインキ吸蔵体内での
インキの経時的移動が防止できる。 (実施例) 以下,本発明を実施例に基づき詳述する。 第1図において,アクリルスライバー(3デニール,
4.2g/m)1をアセトン槽2に1秒間浸漬後,これを開放
系オーブン3にて加熱乾燥し(200℃±10℃,20秒間),
引き出されたアクリルスライバー1にセロファン4を被
覆して加熱器5によりこれを溶着し,この後,カッター
6で所望の長さに切断し筆記具用インキ吸蔵体7を得
る。この場合,前記オーブン3による加熱乾燥工程は必
要に応じて設けられるものであり,また,アクリルスラ
イバー1のアセトン槽2における浸漬時間は数秒で事足
りるもので,適宜定められるものである。 尚,上記実施例におけるインキ吸蔵体7については,
その外周にセロファンが被覆されたものをもって示した
が,これに限ることなく,例えば,繊維集束物を各種樹
脂によって硬化せしめたものでも勿論差支えない。 上記製造方法によって得られたインキ吸蔵体は,繊維
の表面に付着していた油剤(界面活性剤)が略完全に除
去されており,これを筆記具に組み込んでその特性を調
べてみたところ,経時的インキの移動が阻止され,筆記
時のインキかすれも発生しなかった。とりわけ,このイ
ンキ吸蔵体に顔料系のインキを吸蔵させた場合には,イ
ンキの凝集もみられず,よって好ましい使用態様の一つ
であることが確認された。 (発明の効果) 以上の如く本発明によれば,繊維表面に予め付着しし
かも経時的インキ移動の主たる原因である油剤を溶剤に
よって除去しているため,根本的なインキ吸蔵体内での
インキの移動防止のための解決を図ることができ,これ
を筆記具に組込んだ際にはインキかすれも防止し得るき
わめて優れた筆記具用インキ吸蔵体が提供できるもので
ある。
る筆記具用インキ吸蔵体の製造方法に係る。 (従来の技術) 従来,筆記具において,水性,油性或いは染料系,顔
料系のインキを貯蔵しておくための手段の一つとして,
各種繊維を集束させてなるインキ吸蔵体がある。 このものは、主にポリアクリロニトリル、ポリエステ
ル、ポリプロピレン、ナイロン等の材質よりなるスライ
バー又はトウを適宜量集束させ、これを樹脂でもって硬
化させたり、或いはその外周にセロファンを被着してな
るもの等様々なものが知られている。 (発明が解決しようとする問題点) 然し乍ら,これらのものは何れについても環境,条件
等が大きく起因してインキの経時的な吸蔵体内での移動
が発生し,よって筆記時インキかすれなどが生じ易いと
いった不都合を有している。この為,従来から繊維素材
そのものを変えたり,又は繊維素材表面の改質を行なう
などしてこの不都合の解消を計っているが,未だ完全に
満足すべきものが得られていないのが実情である。 本発明者は,この経時的なインキ移動についてその根
本原因を追究すべく鋭意研究を重ねたところ,一つの知
見として,予め繊維表面に付着されている油剤が大きく
影響を及ぼしているという知見を得るに至った。即ち,
抑々油剤は繊維の紡糸工程で,帯電防止,摩擦低減,製
織性集束性向上等を目的として処理される結果,繊維の
表面に付着残留するもので,具体的には界面活性剤が使
用されているが,これがインキの繊維に対する濡れ性を
向上させるために繊維間のインキを移動し易くしている
というものである。また,とりわけ顔料系のインキを使
用した際には,顔料と界面活性剤との反応が起こってイ
ンキが凝集することなどの好ましくない例も確認されて
いる。 (問題点を解決するための手段) 本発明は上記した知見に基づきなされたもので,繊維
に付着した油剤を溶剤でもって除去することにより,イ
ンキ吸蔵体内でのインキの経時的移動を極力防止した優
れたインキ吸蔵体を提供することを目的とするものであ
る。 即ち本発明は、繊維を集束することにより筆記具用の
インキ吸蔵体を製造するにあたって、繊維の製造工程に
おける油剤が表面に付着している前記繊維集束物を、該
繊維表面に付着した油剤を除去し得る溶剤であって前記
繊維と非反応性の溶剤に浸漬することを特徴とする筆記
具用インキ吸蔵体の製造方法を要旨とするものである。 また,界面活性剤等の油剤を除去し得る溶剤として
は,ケトン系溶剤或はアルコール系溶剤等が使用でき,
例えば中でもアセトンやメチルアルコールが好ましく用
いられる。 本発明においては,前記繊維集束物を,油剤を除去し
得る溶剤に浸漬後,更にこれを加熱乾燥することが望ま
しい。これは,加熱乾燥工程においても油剤を除去し得
る点にあるからである。 (作用) 紡糸工程を経たスライバー,又はトウの集束物におけ
る各繊維の表面には油剤が付着しているが,この集束物
を,油剤を除去し得る溶剤に浸漬する工程が付加された
ため,油剤は殆ど除去でき,従ってインキ吸蔵体内での
インキの経時的移動が防止できる。 (実施例) 以下,本発明を実施例に基づき詳述する。 第1図において,アクリルスライバー(3デニール,
4.2g/m)1をアセトン槽2に1秒間浸漬後,これを開放
系オーブン3にて加熱乾燥し(200℃±10℃,20秒間),
引き出されたアクリルスライバー1にセロファン4を被
覆して加熱器5によりこれを溶着し,この後,カッター
6で所望の長さに切断し筆記具用インキ吸蔵体7を得
る。この場合,前記オーブン3による加熱乾燥工程は必
要に応じて設けられるものであり,また,アクリルスラ
イバー1のアセトン槽2における浸漬時間は数秒で事足
りるもので,適宜定められるものである。 尚,上記実施例におけるインキ吸蔵体7については,
その外周にセロファンが被覆されたものをもって示した
が,これに限ることなく,例えば,繊維集束物を各種樹
脂によって硬化せしめたものでも勿論差支えない。 上記製造方法によって得られたインキ吸蔵体は,繊維
の表面に付着していた油剤(界面活性剤)が略完全に除
去されており,これを筆記具に組み込んでその特性を調
べてみたところ,経時的インキの移動が阻止され,筆記
時のインキかすれも発生しなかった。とりわけ,このイ
ンキ吸蔵体に顔料系のインキを吸蔵させた場合には,イ
ンキの凝集もみられず,よって好ましい使用態様の一つ
であることが確認された。 (発明の効果) 以上の如く本発明によれば,繊維表面に予め付着しし
かも経時的インキ移動の主たる原因である油剤を溶剤に
よって除去しているため,根本的なインキ吸蔵体内での
インキの移動防止のための解決を図ることができ,これ
を筆記具に組込んだ際にはインキかすれも防止し得るき
わめて優れた筆記具用インキ吸蔵体が提供できるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
第1図は筆記具用インキ吸蔵体の製造工程を示す概略図
である。 1……アクリルスライバー,2……アセトン槽,3……開放
系オーブン,4……セロファン,5……加熱器,6……カッタ
ー,7……インキ吸蔵体
である。 1……アクリルスライバー,2……アセトン槽,3……開放
系オーブン,4……セロファン,5……加熱器,6……カッタ
ー,7……インキ吸蔵体
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.繊維を集束することにより筆記具用のインキ吸蔵体
を製造するにあたって、繊維の製造工程における油剤が
表面に付着している前記繊維集束物を、該繊維表面に付
着した油剤を除去し得る溶剤であって前記繊維と非反応
性の溶剤に浸漬することを特徴とする筆記具用インキ吸
蔵体の製造方法。 2.前記繊維集束物を前記溶剤に浸漬後、更に加熱処理
することを特徴とする特許請求の範囲第(1)項記載の
筆記具用インキ吸蔵体の製造方法。 3.前記繊維がポリアクリロニトリル、ポリエステル、
ポリプロピレン、ナイロンより選ばれる1種もしくは2
種以上の混合物よりなることを特徴とする特許請求の範
囲第(1)又は(2)項記載の筆記具用インキ吸蔵体の
製造方法。 4.前記油剤が界面活性剤であることを特徴とする特許
請求の範囲第(1)又は(2)項記載の筆記具用インキ
吸蔵体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62133044A JP2751158B2 (ja) | 1987-05-28 | 1987-05-28 | 筆記具用インキ吸蔵体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62133044A JP2751158B2 (ja) | 1987-05-28 | 1987-05-28 | 筆記具用インキ吸蔵体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63296997A JPS63296997A (ja) | 1988-12-05 |
JP2751158B2 true JP2751158B2 (ja) | 1998-05-18 |
Family
ID=15095499
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62133044A Expired - Fee Related JP2751158B2 (ja) | 1987-05-28 | 1987-05-28 | 筆記具用インキ吸蔵体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2751158B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5756299A (en) * | 1980-09-22 | 1982-04-03 | Shion Kagaku Kogyo Kk | Fiber bundle for occluding liquid |
JPS6160774A (ja) * | 1984-08-31 | 1986-03-28 | Pentel Kk | 筆記具のインキ吸蔵体 |
-
1987
- 1987-05-28 JP JP62133044A patent/JP2751158B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS63296997A (ja) | 1988-12-05 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |