JP2750673B2 - 多気筒内燃機関の空燃比検出装置 - Google Patents

多気筒内燃機関の空燃比検出装置

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JP2750673B2 JP17679695A JP17679695A JP2750673B2 JP 2750673 B2 JP2750673 B2 JP 2750673B2 JP 17679695 A JP17679695 A JP 17679695A JP 17679695 A JP17679695 A JP 17679695A JP 2750673 B2 JP2750673 B2 JP 2750673B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は多気筒内燃機関の空燃
比検出装置に関し、より具体的には排気ポートから空燃
比センサまでの距離が全気筒または一部の気筒の間で異
なる排気マニホルドを備えた多気筒内燃機関において、
集合部ないしはその下流に単一の空燃比センサを配置す
ると共に、その空燃比センサ出力のサンプリング値を気
筒排気ポートからセンサまでの距離や運転状態の変化の
如何に関わらず最適なタイミングで選択し、空燃比を精
度良く検出するようにした多気筒内燃機関の空燃比検出
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の排気系に空燃比センサを設け
て空燃比を検出することは良く行われており、その一例
として特開昭59−101562号公報記載の技術を挙
げることができる。また、本出願人も先に特願平3−3
59339号(特開平5−180059号)において、
排気系の挙動を記述するモデルを設定して排気系集合部
に設けた単一の広域空燃比センサの出力を入力し、オブ
ザーバを介して各気筒の空燃比を推定する技術を提案し
ている。また特開平1−313644号公報記載の技術
は、所定クランク角度毎に検出の適否を判定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、内燃機関に
おいて排気ガスは排気行程で排出されることから、多気
筒内燃機関の排気系集合部において空燃比の挙動をみる
と、明らかにTDCに同期している。従って、内燃機関
の排気系に前記した広域空燃比センサを設けて空燃比を
サンプリングするときもTDCに同期して行う必要があ
るが、検出出力を処理するコントローラのサンプルタイ
ミングによっては空燃比の挙動を正確に捉えられない場
合が生じる。
【0004】即ち、例えば、TDCに対して排気系集合
部の空燃比(A/F)が図26のようであるとき、コン
トローラ(ECU)で認識する空燃比(A/F)は図2
7に示す如く、サンプルタイミングによっては全く違っ
た値となる。この場合、実際の空燃比センサの出力変化
を可能な限り正確に把握できる位置、具体的には変局点
でサンプリングするのが望ましい。
【0005】更に、空燃比の変化は排気ガスのセンサま
での到達時間やセンサの反応時間などによっても相違す
る。その中、センサまでの到達時間は排気ガス圧力、排
気ガスボリュームなどに依存して変化する。更に、TD
Cに同期してサンプリングすることはクランク角度に基
づいてサンプリングすることになるので、必然的に機関
回転数の影響を受けざるを得ない。このように、空燃比
の検出は機関の運転状態に依存するところが大きい。そ
のために上記した従来技術(特開平1−313644
号)においては所定クランク角度毎に検出の適否を判定
しているが、構成が複雑であって演算時間が長くなるた
め高回転域では対応しきれなくなる恐れがあると共に、
検出を決定した時点で空燃比センサの出力の変局点を徒
過してしまう不都合も生じる。
【0006】更に、多気筒内燃機関の排気(エキゾース
ト)マニホルドの集合部ないしはその下流に単一の空燃
比センサを設けるとき、排気マニホルドによっては、排
気ポートから空燃比センサまでの距離が全気筒または少
なくとも一部の気筒の間で同一ではないものも存する。
例えば、V型6気筒内燃機関でしばしば用いられる後で
図1に示すものの場合、片バンクの3気筒はそれぞれセ
ンサまでの距離が同一ではない(以後、これを「歯ブラ
シ・エキマニ」と呼ぶ)。従って、近距離の気筒の排気
ガスがセンサに到達するまでの時間は、遠距離の気筒の
それに比して、同一の運転状態でも、短くなる。よっ
て、単に運転状態からセンサ出力のサンプリング値を選
択するのみでは必ずしも最適な値とならない。
【0007】従って、この発明の第1の目的は上記した
不都合を解消し、機関運転状態と気筒センサ間の離間距
離に応じて空燃比センサ出力のサンプリング値を最適に
選択して実際の挙動を可能な限り反映する空燃比を検出
し、もって検出精度を向上させるようにした多気筒内燃
機関の空燃比検出装置を提供することにある。
【0008】この発明の第2の目的は、機関運転状態と
気筒センサ間の離間距離に応じて空燃比センサ出力のサ
ンプリング値を最適に選択して実際の挙動を可能な限り
反映する空燃比を気筒ごとに精度良く検出し、もって気
筒ごとの空燃比制御を可能とした多気筒内燃機関の空燃
比検出装置を提供することにある。
【0009】この発明の第3の目的は、運転状態と気筒
センサ間の離間距離に応じて空燃比センサ出力のサンプ
リング値を最適に選択して実際の挙動を可能な限り反映
する空燃比を精度良く検出すると共に、構成として簡易
な多気筒内燃機関の空燃比検出装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の目的を解決するた
めに請求項1項にあっては、多気筒内燃機関の排気マニ
ホルドの集合部ないしはその下流に配置された単一の空
燃比センサの出力をサンプリングして空燃比を検出する
装置で、前記排気マニホルドにおいて気筒の排気ポート
から前記空燃比センサまでの距離が前記多気筒内燃機関
の全部または一部の気筒の間で異なるものにおいて、前
記多気筒内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手
段、前記空燃比センサの出力を所定時間ないしは所定ク
ランク角度ごとにサンプリングして順次記憶する記憶手
段、前記検出された運転状態と各気筒の前記センサまで
の距離に応じて予め設定された特性に従って前記記憶さ
れたサンプリング値群の中の少なくともいずれかを選択
する選択手段、および、前記選択されたサンプリング値
に基づいて空燃比を検出する空燃比検出手段を備える如
く構成した。
【0011】第2の目的を解決するために請求項2項に
あっては、前記空燃比検出手段は、選択されたサンプリ
ング値に基づいて空燃比を気筒ごとに検出する如く構成
した。
【0012】第1および第2の目的を解決するために、
請求項3項にあっては、前記特性が気筒ごとに予め設定
されている如く構成した。
【0013】第3の目的を解決するために、請求項4項
にあっては、前記特性が一部の気筒についてのみ予め設
定されている如く構成した。
【0014】同様に第3の目的を解決するために、請求
項5項にあっては、前記選択手段は、残余の気筒につい
て前記特性を補正した値を求め、求めた値に従って前記
記憶されたサンプリング値群の中の少なくともいずれか
を選択する如く構成した。
【0015】同様に第2および第3の目的を達成するた
めに、請求項6項にあっては、前記選択されたサンプリ
ング値に基づいて検出された空燃比を入力して多気筒内
燃機関の排気系の挙動を記述するモデル、および前記モ
デルの内部状態を観測して前記多気筒内燃機関の各気筒
の空燃比を推定するオブザーバ、を備え、前記空燃比検
出手段は、前記オブザーバの出力に基づいて空燃比を気
筒ごとに検出する如く構成した。
【0016】
【作用】請求項1項に係る内燃機関の空燃比検出装置に
あっては、検出された運転状態と各気筒の前記センサま
での距離に応じて予め設定された特性に従って前記記憶
されたサンプリング値群の中の少なくともいずれかを選
択する選択手段、および、前記選択されたサンプリング
値に基づいて空燃比を検出する空燃比検出手段を備える
如く構成したため、機関の運転状態や気筒センサ間の離
間距離の如何にかかわらず、最適のサンプリング値を選
択することができる。よって実際の空燃比の挙動に近似
する空燃比を検出することができて検出精度が向上し、
また検出値に基づいて空燃比を制御するときの精度も向
上する。
【0017】尚、ここで空燃比は気筒ごとに検出するも
のであると否とを問わない。また運転状態は機関回転数
と機関負荷とを少なくとも意味する。更に、所定数のサ
ンプリング値群は、1TDC内のサンプリング値群でも
良く、数TDC間にまたがるサンプリング値群であって
も良い。
【0018】請求項2項にあっては、前記空燃比検出手
段は、選択されたサンプリング値に基づいて空燃比を気
筒ごとに検出する如く構成したので、検出値に基づいて
空燃比を気筒ごとに精度良く制御することが可能とな
る。
【0019】請求項3項にあっては、前記特性が気筒ご
とに予め設定されている如く構成したので、運転状態や
気筒センサ間の離間距離の如何にかかわらず、空燃比、
特に気筒ごとの空燃比を精度良く検出することができ
る。
【0020】請求項4項にあっては、前記特性が一部の
気筒についてのみ予め設定されている如く構成したの
で、運転状態や気筒センサ間の離間距離の如何にかかわ
らず、空燃比、特に気筒ごとの空燃比を精度良く検出す
ることができると共に、構成として簡易となる。
【0021】請求項5項にあっては、前記選択手段は、
残余の気筒について前記特性を補正した値を求め、求め
た値に従って前記記憶されたサンプリング値群の中の少
なくともいずれかを選択する如く構成したので、運転状
態や気筒センサ間の離間距離の如何にかかわらず、空燃
比、特に気筒ごとの空燃比を精度良く検出することがで
きると共に、構成として一層簡易となる。
【0022】請求項6項にあっては、前記選択されたサ
ンプリング値に基づいて検出された空燃比を入力して多
気筒内燃機関の排気系の挙動を記述するモデル、および
前記モデルの内部状態を観測して前記多気筒内燃機関の
各気筒の空燃比を推定するオブザーバ、を備え、前記空
燃比検出手段は、前記オブザーバの出力に基づいて空燃
比を気筒ごとに検出する如く構成したので、前記した作
用効果に加えて、単一の空燃比センサの出力から多気筒
内燃機関の各気筒の空燃比を精度良く推定することがで
きる。
【0023】
【実施例】以下、添付図面に即してこの発明の実施例を
説明する。
【0024】図1はこの発明に係る多気筒内燃機関の空
燃比検出装置を示す全体構成図である。
【0025】以下説明すると、図において符号10は、
左右のバンクに3気筒づつ配置されたV型6気筒の内燃
機関を示す。該機関において、吸気路12の先端に配置
されたエアクリーナ14から導入された吸気は、スロッ
トル弁16でその流量を調節されつつ吸気マニホルド1
8を経て#1ないし#6気筒に流入される。各気筒の吸
気弁(図示せず)の付近にはインジェクタ20が設けら
れて燃料を噴射する。噴射されて吸気と一体となった混
合気は、各気筒内で図示しない点火プラグで点火されて
燃焼してピストン(図示せず)を駆動する。また吸気路
12には、スロットル弁配置位置付近に、それをバイパ
スするバイパス路22が設けられる。
【0026】先に述べた如く、内燃機関10は2個のバ
ンク23a,23bを備え、「歯ブラシ・エキマニ」と
通称される形状の排気マニホルドを備える。即ち、第1
のバンク23aは、#1から#3気筒の排気ポート(図
示せず)から延びる3本の排気パイプからなる第1の排
気パイプの組24aを備える。第1の排気パイプの組2
4aは、1本の排気パイプ部26aに集約される。第2
のバンク23bも、#4から#6気筒の排気ポート(図
示せず)から延びる3本の排気パイプからなる第2の排
気パイプの組24bを備え、それらも1本の排気パイプ
部26bに集約される。
【0027】燃焼後の排気ガスは排気弁(図示せず)お
よび排気ポートを介して第1または第2の排気パイプの
組24a,24bのいずれかに流れ、そこから排気パイ
プ部26aまたは26bを経て三元触媒コンバータ28
aまたは28bで浄化されつつ機関外に排出される。各
バンク23a,23bにおいて、#1から#6気筒の排
気ポートから延びる排気パイプの組24a,24bがそ
れぞれ一体化する集合部31a,31bには、酸素濃度
検出素子からなる広域空燃比センサ30a,30bが設
けられる。
【0028】空燃比センサ30aまたは30bのそれぞ
れは、集合部31a,31bにおける、理論空燃比を中
心としてリーンからリッチにわたる広い範囲において排
気ガス中の酸素濃度に比例したリニアな特性からなる出
力を生じる。その詳細は先に本出願人が提案した別の出
願、特願平3−169456号(特開平4−36947
1号)に述べられているので、これ以上の説明は省略す
る。尚、以下の説明において、このセンサを「LAFセ
ンサ」(リニア・エーバイエフ・センサ)と称する。L
AFセンサ30a,30bの出力は制御ユニット32に
送られる。
【0029】また排気パイプ部26aまたは26bには
三元触媒コンバータ28a,28bが設けられると共
に、その下流にはO2 センサ34a,34bが設けられ
て排気ガス中の酸素濃度に応じて理論空燃比を中心にオ
ン/オフ信号を出力する。O2センサ34a,34bの
配置位置の下流において排気パイプ部26a,26bは
合体する。このように排気パイプの組24a,24bお
よび排気パイプ部26a,26bからなる排気マニホル
ドの後段には、排気管36が接続される。排気管36に
は更に第3の三元触媒コンバータ38が配置される。図
示の如く、各気筒、より正確には各気筒の排気ポートか
らLAFセンサ30a,30bまでの離間距離は、#1
(#4)>#2(#5)>#3(#6)と異なってお
り、全気筒で同一ではない。
【0030】また、内燃機関10のディストリビュータ
(図示せず)内にはTDC位置でTDC信号と、TDC
周期を6分割して得られるクランク角度20度ごとに
(この角度範囲を「ステージ」と言う)CRK信号(後
で図3に示す)と、TDC信号とCRK信号の気筒との
関係を特定するためのCYL信号を出力するクランク角
センサ40が設けられると共に、スロットル弁16の開
度を検出するスロットル開度センサ42、スロットル弁
16下流の吸気圧力を絶対圧力で検出する絶対圧センサ
44も設けられる。
【0031】図2は制御ユニット32の構成を示すブロ
ック図で、LAFセンサ30a,30bの出力は検出回
路46a,46bに入力される。検出回路46a,46
bの出力はCPUに入力され、マルチプレクサ48を介
してA/D変換回路50に入力される。またO2 センサ
34a,34bの出力もその検出回路52a,52bを
介してCPUに入力され、後述する燃料噴射量の目標空
燃比KCMDの決定に反映させられると共に、三元触媒
コンバータ28a,28bの劣化判定などに使用され
る。同様にスロットル開度センサ42および絶対圧セン
サ44の出力もCPUに入力され、マルチプレクサ48
を介してA/D変換回路50に入力される。CPUはC
PUコア54、ROM56およびRAM58ならびにカ
ウンタ60を備える。
【0032】クランク角センサ40の出力は波形整形回
路62を介してCPUに入力され、カウンタ60に入力
される。クランク角センサ40の出力はそこで所定時間
カウントされて機関回転数Neが検出される。このカウ
ンタ値および前記したA/D変換値は、RAM58に格
納される。CPUコア54はそれらに基づいて適宜な手
法で操作量を演算し、駆動回路66を介してインジェク
タ20を駆動して燃料噴射を制御すると共に、駆動回路
68を介して電磁弁70を駆動し、図1に示すバイパス
路22を通過する2次空気量を制御する。
【0033】ここで、ROM56はタイミングマップ
(請求項で述べた「特性」に相当)を備えると共に、R
AM58は格納バッファおよび演算バッファを少なくと
も2組備える。即ち、RAM58は、1組の格納バッフ
ァおよび演算バッファをバンク23a,23bごとに備
える。LAFセンサ出力は、クランク角センサ40から
CRK信号が20度間隔で入力される度に、A/D変換
されて2TDC間にわたって順次12個のデータを記憶
する格納バッファに格納される。格納されたサンプリン
グ値群は図3に示すように、所定のタイミングで同数個
のデータを収納する演算バッファに一度に移される。演
算バッファにおいて12個のデータ記憶欄は、0から1
1までのNoが付される。
【0034】図3には#1ないし#3気筒について第1
のLAFセンサ30aの出力をサンプリングする場合を
示す。この例で、前々回TDCが#1気筒の排気TDC
とすれば、今回TDCのタイミングで演算バッファに移
されたデータで、#1気筒の空燃比を決定ないしは検出
することになる。尚、図示はしないが、#4ないし#6
気筒についての他方のLAFセンサ30bの出力をサン
プリングする場合も全く同様である。また、ここでは2
TDC間にまたがるサンプリング値群を例にとったが、
3TDC以上の間にまたがるサンプリング値群を使用す
る場合には、演算バッファをバンクごとに2組以上設け
る必要がある。即ち、バッファは、使用目的や内燃機関
の種類に応じて個数が決められる。
【0035】図4は、この発明に係る空燃比検出装置の
動作を示すフロー・チャートである。但し、実施例に係
る検出装置は、排気系の挙動を記述するモデルを設定
し、排気系集合部に配置した単一の広域空燃比センサの
出力を入力すると共に、モデルの内部状態を観測するオ
ブザーバを設け、その出力から各気筒の空燃比を推定す
る技術を前提としているので、同図の説明に入る前に、
そのオブザーバによる空燃比推定についてここで簡単に
説明する。尚、以下では直列4気筒内燃機関を例にとっ
て説明する(V型6気筒内燃機関については後述す
る)。
【0036】先ず、1個のLAFセンサの出力から各気
筒の空燃比を精度良く分離抽出するためには、LAFセ
ンサの検出応答遅れを正確に解明する必要がある。そこ
で、とりあえずこの遅れを1次遅れ系と擬似的にモデル
化し、図5に示す如きモデルを作成した。ここでLA
F:LAFセンサ出力、A/F:入力A/F、とする
と、その状態方程式は下記の数1で示すことができる。
【0037】
【数1】
【0038】これを周期ΔTで離散化すると、数2で示
すようになる。図6は数2をブロック線図で表したもの
である。
【0039】
【数2】
【0040】従って、数2を用いることによってセンサ
出力より真の空燃比を求めることができる。即ち、数2
を変形すれば数3に示すようになるので、時刻kのとき
の値から時刻k−1のときの値を数4のように逆算する
ことができる。
【0041】
【数3】
【0042】
【数4】
【0043】具体的には数2をZ変換を用いて伝達関数
で示せば数5の如くになるので、その逆伝達関数を今回
のセンサ出力LAFに乗じることによって前回の入力空
燃比をリアルタイムに推定することができる。図7にそ
のリアルタイムのA/F推定器のブロック線図を示す。
【0044】
【数5】
【0045】続いて、上記の如く求めた真の空燃比に基
づいて各気筒の空燃比を分離抽出する手法について説明
すると、先願でも述べたように、排気系の集合部の空燃
比を各気筒の空燃比の時間的な寄与度を考慮した加重平
均であると考え、時刻kのときの値を、数6のように表
した。尚、F(燃料量)を制御量としたため、ここでは
『燃空比F/A』を用いているが、後の説明においては
理解の便宜のため、支障ない限り「空燃比」を用いる。
尚、空燃比(ないしは燃空比)は、先に数5で求めた応
答遅れを補正した真の値を意味する。
【0046】
【数6】
【0047】即ち、集合部の空燃比は、気筒ごとの過去
の燃焼履歴に重みC(例えば直近に燃焼した気筒は40
%、その前が30%...など)を乗じたものの合算で
表した。このモデルをブロック線図であらわすと、図8
のようになる。
【0048】また、その状態方程式は数7のようにな
る。
【0049】
【数7】
【0050】また集合部の空燃比をy(k)とおくと、
出力方程式は数8のように表すことができる。
【0051】
【数8】
【0052】上記において、u(k)は観測不可能のた
め、この状態方程式からオブザーバを設計してもx
(k)は観測することができない。そこで4TDC前
(即ち、同一気筒)の空燃比は急激に変化しない定常運
転状態にあると仮定してx(k+1)=x(k−3)と
すると、数9のようになる。これは、u(k)を目標空
燃比としても同様である。
【0053】
【数9】
【0054】ここで、上記の如く求めたモデルについて
シミュレーション結果を示す。図9は4気筒内燃機関に
ついて3気筒の空燃比を14.7にし、1気筒だけ1
2.0にして燃料を供給した場合を示す。図10はその
ときの集合部の空燃比を上記モデルで求めたものを示
す。同図においてはステップ状の出力が得られている
が、ここで更にLAFセンサの応答遅れを考慮すると、
センサ出力は図11に「モデル出力値」と示すようにな
まされた波形となる。図中「実測値」は同じ場合のLA
Fセンサ出力の実測値であるが、これと比較し、上記モ
デルが多気筒内燃機関の排気系を良くモデル化している
ことを検証している。
【0055】よって、数10で示される状態方程式と出
力方程式にてx(k)を観察する通常のカルマンフィル
タの問題に帰着する。その荷重行列Q,Rを数11のよ
うにおいてリカッチの方程式を解くと、ゲイン行列Kは
数12のようになる。
【0056】
【数10】
【0057】
【数11】
【0058】
【数12】
【0059】これよりA−KCを求めると、数13のよ
うになる。
【0060】
【数13】
【0061】一般的なオブザーバの構成は図12に示さ
れるようになるが、今回のモデルでは入力u(k)がな
いので、図13に示すようにy(k)のみを入力とする
構成となり、これを数式で表すと数14のようになる。
【0062】
【数14】
【0063】ここでy(k)を入力とするオブザーバ、
即ちカルマンフィルタのシステム行列は数15のように
表される。
【0064】
【数15】
【0065】今回のモデルで、リカッチ方程式の荷重配
分Rの要素:Qの要素=1:1のとき、カルマンフィル
タのシステム行列Sは、数16で与えられる。
【0066】
【数16】
【0067】図14に上記したモデルとオブザーバを組
み合わせたものを示す。シミュレーション結果は先の出
願に示されているので省略するが、これにより集合部空
燃比より各気筒の空燃比を的確に抽出することができ
る。
【0068】オブザーバによって集合部空燃比より各気
筒空燃比を推定することができたことから、PIDなど
の制御則を用いて空燃比を気筒別に制御することが可能
となる。具体的には、図15に示すように、センサ出力
(集合部A/F)と目標空燃比とからPID制御則を用
いて集合部フィードバック補正項KLAFを求めると共
に、オブザーバ推定値#nA/Fから気筒毎のフィード
バック補正項#nKLAF(n:気筒)を求める。気筒
毎のフィードバック補正項#nKLAFはより具体的に
は、集合部A/Fを気筒毎のフィードバック補正項#n
KLAFの平均値の前回演算値で除算して求めた目標値
とオブザーバ推定値#nA/Fとの偏差を解消するよう
にPID則を用いて求める。
【0069】これにより、各気筒の空燃比は集合部空燃
比に収束し、集合部空燃比は目標空燃比に収束すること
となって、結果的に全ての気筒の空燃比が目標空燃比に
収束する。ここで、各気筒の燃料噴射量#nTout (イ
ンジェクタの開弁時間で規定される)は、 #nTout =Tim×KCMD×KTOTAL×#nK
LAF×KLAF で求められる。上記で、Tim:基本値、KCMD:目
標空燃比、KTOTAL:その他の補正項、である。更
にバッテリ補正などの加算項もあるが省略する。尚、か
かる制御の詳細は本出願人が先に提案した特願平5−2
51138号に述べられているので、これ以上の説明は
省略する。
【0070】ここで、実施例で用いたV型6気筒内燃機
関について、上述したオブザーバによる空燃比の推定を
簡単に説明する。
【0071】V型6気筒内燃機関にオブザーバを適用す
る場合は、バンク23a,23bのそれぞれについて構
成することになるため、一方のバンク、例えばバンク2
3aに着目すれば、直列型3気筒内燃機関と同様にな
る。この場合、数6に示した気筒ごとの過去の燃焼履歴
を意味する重みCは、C1およびC3の3個となる。従
って、数7に示した状態方程式は、この場合、数17の
ようになる。
【0072】
【数17】
【0073】先と同様に集合部空燃比をy(k)とおく
とき、出力方程式は数18のように示すことができる。
【0074】
【数18】
【0075】同様に、u(k)は観測不可能でこの状態
方程式からオブザーバを設計してもx(k)は観測でき
ないことから、1サイクル前(V型6気筒においては6
TDC前)の同一気筒の空燃比が急激に変化しないと仮
定し、x(k+1)=x(k−2)とすると、数19の
ようになる。
【0076】
【数19】
【0077】以下、同様に数10ないし数14の式も3
次の式となり、数15、数16に示したカルマンフィル
タのシステム行列も同様に与えられる。
【0078】即ち、オブザーバによる空燃比の推定は、
その推定すべき気筒数に応じて状態方程式および出力方
程式の次数を決定すれば良い。例えば、直列6気筒型で
図16に示すような、いわゆる6−1集合型の集合部3
1に単一のLAFセンサ30を設けた機関の場合は、6
次の式となる。また図17に示す如き6−2−1集合型
の集合部31a,31bにそれぞれ1個のLAFセンサ
30a,30bを設けた機関にあっては、V型機関と同
じく、3次の式となる。
【0079】同様に、図18の5−1集合型の直列5気
筒内燃機関では、5次となる。また上述した4気筒内燃
機関を例にとれば、図19の4−1集合型および図20
の4−2−1集合型の場合、いずれも集合部31に単一
のLAFセンサ30を設けていることから、推定すべき
気筒が4個となって4次の式となる。いずれの例であっ
ても、同一気筒の1サイクル前の空燃比は急激に変化し
ないと仮定することで、オブザーバを設計することがで
きる。
【0080】ここで、図4フロー・チャートに戻ってこ
の発明に係る空燃比検出装置の動作を説明する。図示の
プログラムは、図3に「演算」と示すクランク角度位置
で起動される。
【0081】先ず、S10において機関回転数Neおよ
び吸気圧力Pbを読み出し、S12に進んで気筒数をカ
ウントする気筒カウンタCYL−COUNTの値が0か
否か判断する。ここで、点火(燃焼)順序は、#1,#
4,#2,#5,#3,#6気筒と約束すると共に、気
筒カウンタ値たる0ないし5がその順序に以下の通り対
応すると約束する。
【0082】従って、S12で肯定されるときは、今点
火され燃焼した気筒は#1気筒、詳しくはその演算時期
であると判断し、S14に進んで#1気筒のタイミング
マップを検索する。
【0083】図21はそのタイミングマップの特性を示
す説明図であり、図示の如く特性は、機関回転数Neが
低く、または吸気圧力(負荷)Pbが高いほど早いクラ
ンク角度でサンプリングされた値を選択するように設定
される。ここで、「早い」とは前のTDC位置により近
い位置でサンプリングされた値(換言すれば古い値)を
意味する。逆に、機関回転数Neが高く、または吸気圧
力Pbが低いほど遅いクランク角度、即ち、後のTDC
位置に近いクランク角度でサンプリングされた値(換言
すれば新しい値)を選択するように設定される。
【0084】即ち、LAFセンサ出力は図27に示した
ように、実際の空燃比(A/F)の変局点に可能な限り
近い位置でサンプリングするのが最良であるが、その変
局点、例えばピーク値は、センサの反応時間を一定と仮
定すれば、図22に示すように、機関回転数が低くなる
ほど早いクランク角度で生じる。また、負荷が高いほど
排気ガス圧力や排気ガスボリュームが増加し、従って排
気ガスの流速が増してセンサへの到達時間が早まるもの
と予想される。その意味から、特性を図21に示すよう
に設定した。
【0085】更に、排気マニホルドの気筒排気ポートか
らセンサまでの離間距離の違いについて説明すると、図
1において、各気筒の排気ポートからLAFセンサまで
の離間距離は同一ではない。即ち、#1または#4気筒
の排気ポートからLAFセンサ30a,30bまでの距
離は、#2または#5気筒のそれより大きく、#2また
は#5気筒の距離は#3または#6気筒のそれより大き
い。従って、排気ガスがLAFセンサ30a,30bに
到達するまでの時間も、運転状態が同一であれば、その
距離に比例して相違する。
【0086】その結果、図3に示すように、センサ出力
の変局点(折曲点)を選択しようとするとき、例えば#
2または#5気筒で言えば、それが8回前(バッファN
o.8)または2回前(バッファNo.2)の値とする
と、#1または#4気筒ではそれが例えば7回前(バッ
ファNo.7)または1回前(バッファNo.1)とな
る。即ち、#1または#4気筒の排気ガスは#2または
#5気筒のそれより到達時間が長いため遅く到達し、#
3または#6気筒は、#2または#5気筒のそれより早
く到達する。
【0087】従って、予めそれぞれの気筒について、排
気ポートとLAFセンサ間の離間距離を計測しておくと
共に、運転状態に応じた最良のセンシングタイミング
(サンプリング値)をバッファ番号で求めておき、機関
回転数Neおよび吸気圧力Pbとから検索自在にマップ
化しておく。
【0088】続いて、S16に進んで、マップ検索値、
より具体的には#1気筒のタイミングマップを検索して
得たバッファNoに対応するサンプリング値を選択し、
それに基づいて当該気筒(#1気筒)の空燃比を決定
(検出)する。続いてS18に進んで気筒カウンタ値を
インクリメントする。尚、気筒カウンタ値は5に達した
後、図示しないステップでCYL信号による気筒判別結
果に基づいて0にイニシャライズされる。
【0089】他方、S12で否定されるときはS20に
進み、気筒カウンタ値が1か否か判断し、肯定されると
きは直近の燃焼気筒は#4気筒と判断してS22に進
み、#4気筒のタイミングマップを検索する。以下、S
24からS34において同様の作業を継続し、S32で
否定されるときはS36に進んで#6気筒のタイミング
マップを検索する。かかる手順を経て当該気筒のタイミ
ングマップを検索し、前記した12個のデータを記憶し
ている演算バッファのいずれかをそのNoで選択し、そ
こに記憶されているサンプリング値を選択し、それに基
づいて空燃比を決定(検出)する。
【0090】この実施例は上記の如く、センサ出力をほ
ぼ忠実に反映する比較的短い間隔でサンプリングすると
共に、その比較的短い間隔でサンプリングされた値をバ
ッファ群に順次記憶しておき、機関回転数と吸気圧力
(負荷)と更には気筒センサ間の離間距離に応じてセン
サ出力の変局点を予測してバッファ群の中からそれに対
応する値を所定クランク角度において選択し、それに基
づいて空燃比を決定(検出)するようにしたことから、
機関回転数や機関負荷の変動の如何にかかわらず、いわ
ゆる歯ブラシ・エキマニなどにおいて気筒排気ポートと
センサ間の離間距離が気筒によって異なるものにおいて
も、空燃比を精度良く検出することができる。即ち、制
御ユニット側はセンサ出力の最大値と最小値を正確に認
識することができる。
【0091】従って、この構成により前記したオブザー
バを用いて各気筒の空燃比を推定するときも、実際の空
燃比の挙動に近似する値を使用することができてオブザ
ーバの推定精度が向上し、結果として図15に関して述
べた気筒別の空燃比フィードバック制御を行うときの精
度も向上する。
【0092】これに関して図23を参照して説明を補足
する。尚、説明に際しては4気筒内燃機関を再び例にと
る。
【0093】全ての気筒でその排気ポートからLAFセ
ンサまでの距離が均一とすると、各気筒から出力される
排気ガスは同一の距離を流れ、同図の左方に示す如く、
流量は周期的に最大となる。従って、例えば時点(1)
(#2気筒の排気TDCを示す時刻k)で集合部空燃比
を検出すると、燃焼直後の#2気筒から出力される排気
ガスの集合部空燃比への寄与度は、数8の出力方程式お
よび図8のモデルなどの重みCに示した通り、最大とな
る。
【0094】しかしながら、LAFセンサへの距離が気
筒間で異なる場合、ある気筒から出力される排気ガスは
比較的長い距離を、また他の気筒から出力されるそれは
比較的短い距離を移動することになり得る。その結果、
図23の右方に示す如く、各気筒から生じる排気ガスの
流量が最大となる時点の間隔は、均一性を失う。従っ
て、時点(1)で検出する空燃比は、#2気筒の排気ガ
スの挙動を正しく反映しない。これは、前記した出力方
程式およびモデルの前提と異なる。
【0095】このとき、空燃比を時点(2)で検出すれ
ば、集合部空燃比への寄与度において支配的な直近燃焼
気筒(#2気筒)の排気ガスの挙動を検出値に反映させ
ることができ、集合部空燃比に対する各気筒の寄与度
は、前記した出力方程式およびモデルが前提とする状況
に完全には一致しないが、それと近似する程度には一致
させることができ、検出値に基づいて各気筒の空燃比を
所期の如く推定することが可能となる。
【0096】ここで、前記した従来技術(特開平1−3
13644号)との関係に触れると、前記した従来技術
のようにサンプルタイミングそのものを運転状態に応じ
て任意に変えることも考えられるが、実施例の如く構成
したことで、結果的にサンプルタイミングそのものを任
意に変えることと等価の効果を持つことができる。即
ち、前記した従来技術(特開平1−313644号)と
等価の効果を持つと共に、検出を決定した時点で変局点
が徒過してしまう、即ち、最適検出ポイントを追い越し
てしまう不都合がなく、また構成も簡易である。
【0097】図24はこの発明の第2の実施例を示す、
図4と同様なフロー・チャートである。
【0098】第1実施例との相違に焦点をおいて説明す
ると、第2実施例の場合、タイミングマップは3個のみ
用意した。即ち、左右のバンクにおいてセンサまでの距
離は、第1バンク23aの#1気筒と第2バンク23b
の#4気筒、第1バンク23aの#2気筒と第2バンク
23bの#5気筒、第1バンク23aの#3気筒と第2
バンク23bの#6気筒は略同一と予想されるので、両
バンクに共通するようにタイミングマップを3個のみ設
定した。
【0099】以下説明すると、S100において機関回
転数Neなどを読み出してS102に進み、気筒カウン
タの値が1以下であるか否か判断する。肯定されると
き、気筒カウンタ値が0であれば直近燃焼気筒は#1気
筒、1であれば#4気筒であるので、S104に進んで
#1および#4気筒に共通のタイミングマップを検索す
る。続いてS106に進み、#1気筒であるときは第1
バンク23a用のバッファから検索値に対応するサンプ
リング値を選択し、それに基づいて#1気筒の空燃比を
決定(検出)する。また#4気筒であるときは第2バン
ク23b用のバッファから該当のサンプリング値を選択
し、それに基づいて空燃比を決定(検出)する。次いで
S108に進んで気筒カウンタ値をインクリメントす
る。
【0100】S102で気筒カウンタ値が1より大きい
と判断されたときはS110に進み、気筒カウンタ値が
3以下であるか判断する。肯定されるとき、直近燃焼気
筒は気筒カウンタ値が2であれば#2気筒、3であれば
#5気筒であるので、S112に進んで#2および#5
気筒に共通のタイミングマップを検索し、S106に進
んで#2気筒であれば第1バンク23a用のバッファ、
#5気筒であれば第2バンク23b用のバッファから対
応するサンプリング値を選択し、それに基づいて#2気
筒であれば#2気筒の空燃比を、#5気筒であれば#5
気筒の空燃比を決定(検出)する。
【0101】またS110で気筒カウンタ値が3より大
きいと判断されたときには、直近燃焼気筒は気筒カウン
タ値が4であれば#3気筒、5であれば#6気筒である
ので、S114に進んで#3および#6気筒に共通する
タイミングマップを検索し、S106に進んで当該する
方のバンク用のバッファから対応するサンプリング値を
選択し、それに基づいて空燃比を決定(検出)する。
【0102】第2実施例は上記の如く構成したので、第
1実施例と同様に各気筒の排気ポートから空燃比センサ
設置位置までの距離が1個のバンク内で異なる場合にお
いても、運転状態の如何にかかわらず、サンプリング値
の中で空燃比の実際の挙動を良く反映する最適な値を選
ぶことができる。更に、第1実施例に比べ、タイミング
マップの数を半分の3個に減少させたので、構成として
簡易となる。
【0103】図25はこの発明の第3実施例を示す、図
24と同様のフロー・チャートである。
【0104】図示の如く、第3実施例は更に簡略化し、
#2気筒および#5気筒に共通するタイミングマップを
1個のみ設定し、残余の気筒については、そのマップ検
索値を増減してサンプリング値を選択するようにした。
【0105】以下説明すると、S200で機関回転数N
eなどを読み出してS202に進み、気筒カウンタ値が
1以下であるか否か判断する。説明の便宜上、S202
で気筒カウンタ値が1より大きいと判断されたとすると
S204に進み、そこで気筒カウンタ値が3以下か否か
判断する。肯定されるとき、直近燃焼気筒は#2(気筒
カウンタ値=1)または#5気筒(気筒カウンタ値=
3)であるので、S206に進んで#2および#5気筒
共通のタイミングマップを検索し、S208に進んで検
索値に基づいて該当する第1バンク23aまたは第2バ
ンク23b用のバッファから検索値に対応するサンプリ
ング値を選択し、それに基づいて該当する#2気筒また
は#5気筒の空燃比を決定(検出)する。そして、S2
10に進んで気筒カウンタをインクリメントする。
【0106】他方、S202で気筒カウンタ値が1以下
と判断されたとき、直近燃焼気筒は#1気筒(気筒カウ
ンタ値=0)または#4気筒(気筒カウンタ値=1)で
あるので、S212に進んで#2および#5気筒共通の
タイミングマップを検索する。そして検索値に運転状態
に応じて決定される所定の数αを減算し、該当する側の
バンク用のバッファから減算値に対応するサンプリング
値を選択し、それに基づいて該当する#1または#4気
筒の空燃比を決定(検出)する。
【0107】即ち、図1において#1気筒および#4気
筒はセンサまでの距離が、#2気筒および#5気筒より
大きいので、#1および#4気筒から排出された排気ガ
スがLAFセンサ30a,30bに到達するのに要する
時間は、#2および#5気筒のそれより長くなる。その
ことは、サンプリング値は#2および#5気筒の値より
時間的に遅い値、即ち、図3のタイミング・チャートで
言えば、右側の減算される値となることを意味する。
【0108】従って、予め#2および#5気筒の排気ガ
スの到達時間とのずれを計測し、それに対応する値αを
算出し、#2および#5気筒共通のタイミングマップよ
り検索したバッファNoから減算することで、#1およ
び#4気筒の空燃比を求めることができる。
【0109】S204で気筒カウンタ値が3より大きい
と判断されるときは燃焼直近気筒が#3または#6気筒
であるので、S214に進んで#2および#5気筒共通
のタイミングマップ検索値(バッファNo)に所定値β
(αと同様に運転状態に応じて決定される)を加算し、
該当する方のバンク用のバッファから加算値に対応する
サンプリング値を選択し、それに基づいて該当する方の
気筒の空燃比を決定(検出)する。
【0110】これは言うまでもなく、図1において#3
および#6気筒からセンサまでの距離は、#2および#
5気筒のそれより小さくて到達時間が短く、先にサンプ
リングした値を選択すべきだからである。ここで値αお
よびβは、運転状態、例えば機関回転数、吸気圧力、排
圧、流速などに応じて決定される。また値α,βは整数
値に限らず、分数値でも良く、分数値であれば隣接する
バッファ間の補間演算値を求めるものであっても良い。
また値αおよびβは、適用する機関の特性から所定の定
数(固定値)であることも考えられる。
【0111】第3実施例は上記の如く構成したので、従
前の実施例と同様に、1個のバンク内において各気筒の
排気ポートからLAFセンサ位置までの距離が異なる場
合においても、運転状態の変動の如何にかかわらず、サ
ンプリング値の中で空燃比の実際の挙動を良く反映する
最適な値を選ぶことができると共に、タイミングマップ
の数を1個に減少させたので、第2実施例に比して構成
が更に簡易となる。
【0112】尚、上記において気筒排気ポートとセンサ
間の離間距離が全気筒または一部の気筒で異なる例とし
て、V型6気筒および直列型の5−1集合型の5気筒内
燃機関などの例を挙げたが、それ以外にも、特公平5−
30966号公報に記載される技術の如く、排気干渉を
避けるために各排気ポートと空燃比センサを取り付ける
べき排気集合部までの離間距離を異ならせた、5−2集
合型、5−3集合型などと通称される直列5気筒機関に
用いることも可能である。
【0113】更に、上記において、LAFセンサごとに
検出回路を設けて出力を処理するようにしたが、2個の
LAFセンサの出力を1個の検出回路で処理しても良
い。但し、その場合でもバッファについては既述の如
く、バンクごとに設ける必要がある。
【0114】尚、上記した第1ないし第3の実施例は、
排気系の挙動を記述するモデルを設定し、その内部状態
を観測するオブザーバを使用して空燃比制御を行う場合
を例にとって説明してきたが、この発明に係る空燃比検
出技術はそれに限定されるものではなく、空燃比センサ
の実測値に基づいて空燃比を制御する技術に全て妥当す
る。
【0115】更に、空燃比を気筒ごとに検出する例を示
したが、気筒と対応づけることなく検出しても良い。
【0116】また運転状態を機関回転数と吸気圧力など
から検出したが、これに限られるものでなく、その他の
パラメータを追加しても良い。また機関負荷を示すパラ
メータは吸気圧力に限られるものではなく、吸入空気
量、スロットル開度などでも良い。また大気圧に応じて
マップ値を変更しても良い。
【0117】また空燃比センサとして広域空燃比センサ
を使用する場合を例にとって説明したが、いわゆるO2
センサを用いて空燃比を制御する場合にも妥当する。
【0118】
【発明の効果】請求項1項にあっては、機関の運転状態
や気筒センサ間の離間距離の如何にかかわらず、最適の
サンプリング値を選択することができる。よって実際の
空燃比の挙動に近似する空燃比を検出することができて
検出精度が向上し、また検出値に基づいて空燃比を制御
するときの精度も向上する。
【0119】請求項2項にあっては、検出値に基づいて
空燃比を気筒ごとに精度良く制御することが可能とな
る。
【0120】請求項3項にあっては、運転状態や気筒セ
ンサ間の離間距離の如何にかかわらず、空燃比、特に気
筒ごとの空燃比を精度良く検出することができる。
【0121】請求項4項にあっては、運転状態や気筒セ
ンサ間の離間距離の如何にかかわらず、空燃比、特に気
筒ごとの空燃比を精度良く検出することができると共
に、構成として簡易となる。
【0122】請求項5項にあっては、運転状態や気筒セ
ンサ間の離間距離の如何にかかわらず、空燃比、特に気
筒ごとの空燃比を精度良く検出することができると共
に、構成として一層簡易となる。
【0123】請求項6項にあっては、前記した作用効果
に加えて、単一の空燃比センサの出力から多気筒内燃機
関の各気筒の空燃比を精度良く推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る多気筒内燃機関の空燃比検出装
置を全体的に示す全体構成図である。
【図2】図1中の制御ユニットの詳細を示すブロック図
である。
【図3】図1中の空燃比センサ出力のサンプリングを示
すタイミング・チャートである。
【図4】図1装置の動作を示すフロー・チャートであ
る。
【図5】図1装置で前提とする空燃比センサの検出動作
をモデル化した例を示すブロック図である。
【図6】図5に示すモデルを周期ΔTで離散化したモデ
ルである。
【図7】空燃比センサの検出挙動をモデル化した真の空
燃比推定器を示すブロック線図である。
【図8】図1装置で前提とする多気筒内燃機関の排気系
の挙動を示すモデルを表すブロック線図である。
【図9】図8に示すモデルを用いて4気筒内燃機関につ
いて3気筒の空燃比を14.7に、1気筒の空燃比を1
2.0にして燃料を供給する場合を示すデータ図であ
る。
【図10】図9に示す入力を与えたときの図8モデルの
集合部の空燃比を表すデータ図である。
【図11】図9に示す入力を与えたときの図8モデルの
集合部の空燃比をLAFセンサの応答遅れを考慮して表
したデータと、同じ場合のLAFセンサ出力の実測値を
比較するグラフ図である。
【図12】一般的なオブザーバの構成を示すブロック線
図である。
【図13】図1装置で前提とするオブザーバの構成を示
すブロック線図である。
【図14】図8に示すモデルと図13に示すオブザーバ
を組み合わせた構成を示す説明ブロック図である。
【図15】図1装置で検出した空燃比に基づく空燃比の
フィードバック制御を示すブロック図である。
【図16】空燃比センサまでの距離が気筒間で異なる例
としての6−1集合型の直列型6気筒内燃機関について
の空燃比のオブザーバによる推定を説明する説明図であ
る。
【図17】空燃比センサまでの距離が気筒間で異なる例
としての6−2−1集合型の直列型6気筒内燃機関につ
いての空燃比のオブザーバによる推定を説明する説明図
である。
【図18】空燃比センサまでの距離が気筒間で異なる例
としての5−1集合型の直列型5気筒内燃機関について
の空燃比のオブザーバによる推定を説明する説明図であ
る。
【図19】空燃比センサまでの距離が気筒間で異なる例
としての4−1集合型の直列型4気筒内燃機関について
の空燃比のオブザーバによる推定を説明する説明図であ
る。
【図20】空燃比センサまでの距離が気筒間で異なる例
としての4−2−1集合型の直列型4気筒内燃機関につ
いての空燃比のオブザーバによる推定を説明する説明図
である。
【図21】図4フロー・チャートで使用するタイミング
マップの特性を示す説明図である。
【図22】図21の特性を説明する、機関回転数および
機関負荷に対するセンサ出力特性を示す説明図である。
【図23】4気筒内燃機関を例にとってこの実施例の特
徴を説明するタイミング・チャートである。
【図24】この発明の第2実施例を示す、図4と同様の
フロー・チャートである。
【図25】この発明の第3実施例を示す、図24と同様
のフロー・チャートである。
【図26】多気筒内燃機関のTDCと排気系集合部の空
燃比との関係を示す説明図である。
【図27】実際の空燃比に対するサンプルタイミングの
良否を示す説明図である。
【符号の説明】 10 内燃機関 18 吸気マニホルド 20 インジェクタ 23a,23b 排気パイプの組 26a,26b 排気パイプ部 30a,30b 空燃比センサ(LAFセンサ) 32 制御ユニット 34a,34b O2 センサ 40 クランク角センサ 42 スロットル開度センサ 44 絶対圧センサ 50 A/D変換回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−187842(JP,A) 特開 平5−180059(JP,A) 特公 平3−37020(JP,B2) 実表 平4−505490(JP,U)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多気筒内燃機関の排気マニホルドの集合
    部ないしはその下流に配置された単一の空燃比センサの
    出力をサンプリングして空燃比を検出する装置で、前記
    排気マニホルドにおいて気筒の排気ポートから前記空燃
    比センサまでの距離が前記多気筒内燃機関の全部または
    一部の気筒の間で異なるものにおいて、 a.前記多気筒内燃機関の運転状態を検出する運転状態
    検出手段、 b.前記空燃比センサの出力を所定時間ないしは所定ク
    ランク角度ごとにサンプリングして順次記憶する記憶手
    段、 c.前記検出された運転状態と各気筒の前記センサまで
    の距離に応じて予め設定された特性に従って前記記憶さ
    れたサンプリング値群の中の少なくともいずれかを選択
    する選択手段、および d.前記選択されたサンプリング値に基づいて空燃比を
    検出する空燃比検出手段、を備えたことを特徴とする多
    気筒内燃機関の空燃比検出装置。
  2. 【請求項2】 前記空燃比検出手段は、選択されたサン
    プリング値に基づいて空燃比を気筒ごとに検出すること
    を特徴とする請求項1項記載の多気筒内燃機関の空燃比
    検出装置。
  3. 【請求項3】 前記特性が気筒ごとに予め設定されてい
    ることを特徴とする請求項1項または2項記載の多気筒
    内燃機関の空燃比検出装置。
  4. 【請求項4】 前記特性が一部の気筒についてのみ予め
    設定されていることを特徴とする請求項1項または2項
    記載の多気筒内燃機関の空燃比検出装置。
  5. 【請求項5】 前記選択手段は、残余の気筒について前
    記特性を補正した値を求め、求めた値に従って前記記憶
    されたサンプリング値群の中の少なくともいずれかを選
    択することを特徴とする請求項4項記載の多気筒内燃機
    関の空燃比検出装置。
  6. 【請求項6】e.前記選択されたサンプリング値に基づ
    いて検出された空燃比を入力して多気筒内燃機関の排気
    系の挙動を記述するモデル、および f.前記モデルの内部状態を観測して前記多気筒内燃機
    関の各気筒の空燃比を推定するオブザーバ、を備え、前
    記空燃比検出手段は、前記オブザーバの出力に基づいて
    空燃比を気筒ごとに検出することを特徴とする請求項2
    項ないし5項のいずれかに記載の多気筒内燃機関の空燃
    比検出装置。
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