JP2750626B2 - 位置決め装置の粘性摩擦係数同定方法 - Google Patents
位置決め装置の粘性摩擦係数同定方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、工作機械、プリンタ、プロッタあるいは半
導体製造装置などに広く用いられている位置決め装置に
おける物理パラメータの同定方法に関するものであり、
特に回転機構と直動機構それぞれの粘性摩擦係数を簡単
に求める方法に関する。
導体製造装置などに広く用いられている位置決め装置に
おける物理パラメータの同定方法に関するものであり、
特に回転機構と直動機構それぞれの粘性摩擦係数を簡単
に求める方法に関する。
[従来の技術] 工作機械、プリンタ、プロッタ機器あるいは半導体製
造装置などには、モータなどの回転駆動手段による回転
運動を変換器を介し直線運動に変換し、搬送物体を直動
方向所望の位置に高速高精度にポジショニングする位置
決め装置が多く採用されている。このような装置は、モ
ータ、カップリングおよびボールネジなどから構成され
る回転機構と案内機構および搬送物体からなる直動機構
とから構成されているが、高度の制御アルゴリズムをイ
ンプリメントしたり、あるいはシミュレーションシステ
ムを開発するためには上記機構の正確な動特性を把握す
る必要がある。
造装置などには、モータなどの回転駆動手段による回転
運動を変換器を介し直線運動に変換し、搬送物体を直動
方向所望の位置に高速高精度にポジショニングする位置
決め装置が多く採用されている。このような装置は、モ
ータ、カップリングおよびボールネジなどから構成され
る回転機構と案内機構および搬送物体からなる直動機構
とから構成されているが、高度の制御アルゴリズムをイ
ンプリメントしたり、あるいはシミュレーションシステ
ムを開発するためには上記機構の正確な動特性を把握す
る必要がある。
さて、モータなどの回転運動を変換器を介して直線運
動に変換する位置決め装置の一例を第2図に示す。この
ような位置決め装置の動特性は、回転機構側を構成する
モータ1、カップリング2およびボールネジ3のイナー
シャと直動機構側の搬送物体4の重量、回転・直動機構
それぞれの粘性摩擦係数Dm,DWおよび回転・直動機構間
に介在するバネ定数(図示せず)によって支配される。
一般に、イナーシャと搬送重量の値は設計時点でほぼ正
確に捉えられる。また、バネ定数もインパルス応答試験
あるいは位置決め装置の周波数特性を測定することによ
ってある程度正確な同定値は求められる。しかし、回転
と直動機構が共に組み込まれた状態でそれぞれの粘性摩
擦係数を同定することは従来から困難であった。
動に変換する位置決め装置の一例を第2図に示す。この
ような位置決め装置の動特性は、回転機構側を構成する
モータ1、カップリング2およびボールネジ3のイナー
シャと直動機構側の搬送物体4の重量、回転・直動機構
それぞれの粘性摩擦係数Dm,DWおよび回転・直動機構間
に介在するバネ定数(図示せず)によって支配される。
一般に、イナーシャと搬送重量の値は設計時点でほぼ正
確に捉えられる。また、バネ定数もインパルス応答試験
あるいは位置決め装置の周波数特性を測定することによ
ってある程度正確な同定値は求められる。しかし、回転
と直動機構が共に組み込まれた状態でそれぞれの粘性摩
擦係数を同定することは従来から困難であった。
例えば、文献『オブザーバによるサーボモータ系の個
体摩擦の推定と位置決め制御への応用(山田一郎)』
(計測自動制御学会論文集Vo1.24,No.2,pp.162−169)
では、オブザーバ理論に基づいてサーボモータ系の摩擦
を同定する方法を明確に提示している。しかし、この方
法は、本質的に、本発明で扱うような回転機構に直動機
構が接続された位置決め装置に対する同定方法ではな
い。
体摩擦の推定と位置決め制御への応用(山田一郎)』
(計測自動制御学会論文集Vo1.24,No.2,pp.162−169)
では、オブザーバ理論に基づいてサーボモータ系の摩擦
を同定する方法を明確に提示している。しかし、この方
法は、本質的に、本発明で扱うような回転機構に直動機
構が接続された位置決め装置に対する同定方法ではな
い。
また、従来からモータ軸に換算した等価的な粘性摩擦
係数は容易に求められていた。すなわち、等速度運動を
行わせた場合のモータ軸でみた運動方程式は次式で表現
される。
係数は容易に求められていた。すなわち、等速度運動を
行わせた場合のモータ軸でみた運動方程式は次式で表現
される。
(Dm+P2Dw)m=τm …(1) 上式において、入力トルクがτm1のときモータ軸の回
転角速度がm1であり、入力トルクをτm2とした場合に
回転角速度がm2になったとすれば、モータ軸でみた等
価粘性摩擦係数Deffは次式から求められる。
転角速度がm1であり、入力トルクをτm2とした場合に
回転角速度がm2になったとすれば、モータ軸でみた等
価粘性摩擦係数Deffは次式から求められる。
ここで、Dmは回転機構の粘性摩擦係数、Dwは直動機構
の粘性摩擦係数である。また、Pは回転運動から直線運
動への変換定数であり、ボールネジのピッチをLとする
とL/2πである。
の粘性摩擦係数である。また、Pは回転運動から直線運
動への変換定数であり、ボールネジのピッチをLとする
とL/2πである。
上式から明かなように、モータ軸でみた粘性摩擦係数
は、回転機構の粘性摩擦係数と直動機構の粘性摩擦係数
が変換定数を介して回転側に変換された量との総和であ
り、回転側および直動側それぞれの粘性摩擦係数を上述
のような等速運動試験から求めることはできない。
は、回転機構の粘性摩擦係数と直動機構の粘性摩擦係数
が変換定数を介して回転側に変換された量との総和であ
り、回転側および直動側それぞれの粘性摩擦係数を上述
のような等速運動試験から求めることはできない。
さらに、回転機構あるいは直動機構のみの粘性摩擦係
数を求めようとした場合、装置を分解して回転機構およ
び直動機構の粘性摩擦係数を別個に求めるという方法も
考えられる。あるいは、組み立て前に回転および直動機
構それぞれの粘性摩擦係数を求めるということも考えら
れる。しかしながら、直動機構の偏重心が及ぼす回転機
構への影響、あるいは案内機構に対する直動機構の摺動
状態は、予圧条件によって変化させられるようになって
いるため、粘性摩擦係数を回転・直動機構が共に組み立
てられる以前に、あるいは組立後に再度分解して同定す
ることは無意味である。
数を求めようとした場合、装置を分解して回転機構およ
び直動機構の粘性摩擦係数を別個に求めるという方法も
考えられる。あるいは、組み立て前に回転および直動機
構それぞれの粘性摩擦係数を求めるということも考えら
れる。しかしながら、直動機構の偏重心が及ぼす回転機
構への影響、あるいは案内機構に対する直動機構の摺動
状態は、予圧条件によって変化させられるようになって
いるため、粘性摩擦係数を回転・直動機構が共に組み立
てられる以前に、あるいは組立後に再度分解して同定す
ることは無意味である。
[発明が解決しようとする課題] 上述のように、従来技術では、本発明が対象とするよ
うな回転・直動機構の粘性摩擦係数を分離した状態で精
度よくしかも、煩雑なアルゴリズムの組み込みなしで求
めることは困難であった。
うな回転・直動機構の粘性摩擦係数を分離した状態で精
度よくしかも、煩雑なアルゴリズムの組み込みなしで求
めることは困難であった。
本発明の目的は、回転・直動機構の粘性摩擦係数を簡
便かつ精度よく同定する方法を提示することである。し
かも、回転・直動機構が共に組み込まれた完成品として
の位置決め装置の姿のままで同定できることが特徴とな
っている。
便かつ精度よく同定する方法を提示することである。し
かも、回転・直動機構が共に組み込まれた完成品として
の位置決め装置の姿のままで同定できることが特徴とな
っている。
[課題を解決するための手段および作用] 本発明は上述の課題を解決するためになされたもので
あり、モータなどの回転運動をボールネジとナットで構
成されるような変換器を介して直線運動に変換する回転
・直動機構の粘性摩擦係数を同定する方法である。しか
も、粘性摩擦係数は先ず直動機構側について単独で求め
られ、次にモータ軸に換算される。最後に、予め求めら
れている回転および直動機構全体としてのモータ軸に換
算した粘性摩擦係数から直動機構側の寄与分である前記
モータ軸に換算された直動機構側の粘性摩擦係数を差し
引くことによって回転機構側単独の粘性摩擦係数を算出
する。すなわち、回転機構側と直動機構側それぞれの粘
性摩擦係数を分離して導出する。
あり、モータなどの回転運動をボールネジとナットで構
成されるような変換器を介して直線運動に変換する回転
・直動機構の粘性摩擦係数を同定する方法である。しか
も、粘性摩擦係数は先ず直動機構側について単独で求め
られ、次にモータ軸に換算される。最後に、予め求めら
れている回転および直動機構全体としてのモータ軸に換
算した粘性摩擦係数から直動機構側の寄与分である前記
モータ軸に換算された直動機構側の粘性摩擦係数を差し
引くことによって回転機構側単独の粘性摩擦係数を算出
する。すなわち、回転機構側と直動機構側それぞれの粘
性摩擦係数を分離して導出する。
以下詳細に、粘性摩擦係数の同定方法を説明する。
第2図に示した位置決め装置を第3図のような1自由
度モデルで表現する。この機構の運動方程式は図示の記
号を使って次式となる。
度モデルで表現する。この機構の運動方程式は図示の記
号を使って次式となる。
(Jm+Jc+Jb)m+Dm m+K(Pθm−x)P =τm−Tfc W+Dw+K(x−Pθm)=−Ffc ……(3) 但し、Jmはモータのイナーシャ、Jcはカップリングの
イナーシャ、Jbはボールネジのイナーシャ、Dmは回転機
構の粘性摩擦係数、Kは回転と直動機構の間に介在する
バネ定数である。Pは回転運動から直線運動への変換定
数であり、ボールネジのピッチをLとしてL/2πとな
る。さらに、Wは直動機構の重量、Dwは直動機構の粘性
摩擦係数、θmは回転角度、xは直動機構の変位、τm
は入力トルク、Tfcは回転機構に対する静止摩擦トル
ク、Ffcは直動機構に対する静止摩擦力である。(・)
は時間微分を表わす。
イナーシャ、Jbはボールネジのイナーシャ、Dmは回転機
構の粘性摩擦係数、Kは回転と直動機構の間に介在する
バネ定数である。Pは回転運動から直線運動への変換定
数であり、ボールネジのピッチをLとしてL/2πとな
る。さらに、Wは直動機構の重量、Dwは直動機構の粘性
摩擦係数、θmは回転角度、xは直動機構の変位、τm
は入力トルク、Tfcは回転機構に対する静止摩擦トル
ク、Ffcは直動機構に対する静止摩擦力である。(・)
は時間微分を表わす。
上式の各変換θm、x、TfcおよびFfcをラプラス変換
してそれぞれθm(s)=£(θm)、x(s)=£
(x)、Tfc(s)=£(Tfc)およびFfc(s)=£(F
fc)とおき、上式を整理すると次式となる。
してそれぞれθm(s)=£(θm)、x(s)=£
(x)、Tfc(s)=£(Tfc)およびFfc(s)=£(F
fc)とおき、上式を整理すると次式となる。
但し、 D(s)=(Js2+Dms+KP2)(Ws2+Dms+K)−K2P
2 今、Tfc0,Ffc=0とおいて、アクチュエータであるモ
ータ側のセンサすなわちタコジェネレータ出力から、バ
ネ要素を介してアクチュエータとは反対側に位置する搬
送物体速度までの伝達関数を求めると 但し、 A=KPUP/KTG,ωn=(K/W)1/2,ζ=Dw/(KW)1/2 となる。ここで、kTGはモータのタコジェネレータ感
度、KPUは搬送物体側速度検出器感度、ωnは固有角周
波数、ζはダンピング係数、Aは利得である。したがっ
て、上式で表現される2次系の周波数特性を周波数特性
分析器、例えばサーボアナライザを使って実測し、共振
値MPと共振周波数fpを実測し、かつ搬送物体の重量Wが
既知ならば、直動機構の固有角周波数ωnとダンピング
係数ζおよび直動機構の直接的物理パラメータであるバ
ネ定数Kと粘性摩擦係数DWは以下の手順によって算出可
能になる。
2 今、Tfc0,Ffc=0とおいて、アクチュエータであるモ
ータ側のセンサすなわちタコジェネレータ出力から、バ
ネ要素を介してアクチュエータとは反対側に位置する搬
送物体速度までの伝達関数を求めると 但し、 A=KPUP/KTG,ωn=(K/W)1/2,ζ=Dw/(KW)1/2 となる。ここで、kTGはモータのタコジェネレータ感
度、KPUは搬送物体側速度検出器感度、ωnは固有角周
波数、ζはダンピング係数、Aは利得である。したがっ
て、上式で表現される2次系の周波数特性を周波数特性
分析器、例えばサーボアナライザを使って実測し、共振
値MPと共振周波数fpを実測し、かつ搬送物体の重量Wが
既知ならば、直動機構の固有角周波数ωnとダンピング
係数ζおよび直動機構の直接的物理パラメータであるバ
ネ定数Kと粘性摩擦係数DWは以下の手順によって算出可
能になる。
共振値MPの実測値より 共振周波数fpの実測値と上記算出のζより fn=fp/(1−2ζ2)1/2 fnとWより K=4π2fn 2W fn、ζおよびWより DW=4πfnζW 上記算出手順から分かるように、本同定法の特徴は以
下のとおりである。
下のとおりである。
(a)バネKと粘性摩擦係数DWの導出においては、タコ
ジェネレータ感度kTGおよび搬送物体の速度検出器感度k
PUの校正値が不必要となっている。すなわち、周波数特
性の測定に必要な分解能さえ備えた検出器ならばこれら
の値は未知でかまわない。
ジェネレータ感度kTGおよび搬送物体の速度検出器感度k
PUの校正値が不必要となっている。すなわち、周波数特
性の測定に必要な分解能さえ備えた検出器ならばこれら
の値は未知でかまわない。
(b)第2図の位置決め装置に対して、速度制御系ある
いは位置制御系が構成されていても(5)式の構造は不
変となるため、本同定法に何等の変更もない。換言すれ
ば、速度制御系あるいは位置制御系を構成したときの制
御系列得が本同定法に及ぼす影響は皆無である。
いは位置制御系が構成されていても(5)式の構造は不
変となるため、本同定法に何等の変更もない。換言すれ
ば、速度制御系あるいは位置制御系を構成したときの制
御系列得が本同定法に及ぼす影響は皆無である。
さて、上記手順によって搬送物体側の物理パラメータ
である粘性摩擦係数DWは求めることができた。従って、
(2)式によって、回転軸でみた等価粘性摩擦係数Deff
が求められていれば、 Dm=Deff−P2DW ……(6) として回転機構のみの粘性摩擦係数Dmが位置決め装置を
分解することなしに求められる。
である粘性摩擦係数DWは求めることができた。従って、
(2)式によって、回転軸でみた等価粘性摩擦係数Deff
が求められていれば、 Dm=Deff−P2DW ……(6) として回転機構のみの粘性摩擦係数Dmが位置決め装置を
分解することなしに求められる。
なお、回転軸からみた等価粘性摩擦係数Deffは、前記
(2)式によって求める以外に、周波数応答を測定して
も算出することができる。この方法を以下に示す。先
ず、位置制御状態にある位置決め装置に対して、拘束位
置の周りで正弦波加振する。そして、電流指令端子Viか
らタコジェネレータ出力kTGまでの周波数応答を測定す
る。第2図の位置決め装置のモデルを参照して電流指令
Viからタコジェネレータ5の出力まで周波数応答は次式
となる。
(2)式によって求める以外に、周波数応答を測定して
も算出することができる。この方法を以下に示す。先
ず、位置制御状態にある位置決め装置に対して、拘束位
置の周りで正弦波加振する。そして、電流指令端子Viか
らタコジェネレータ出力kTGまでの周波数応答を測定す
る。第2図の位置決め装置のモデルを参照して電流指令
Viからタコジェネレータ5の出力まで周波数応答は次式
となる。
但し、Jeffは回転軸でみた等価イナーシャ、Deffは回
転軸でみた等価粘性摩擦係数、Kiは電流アンプゲイン、
Ktはトルク定数である。等価イナーシャJeffは既知であ
るから、周波数特性の折れ点周波数fc[Hz]を読みとれ
ば、 Deff=2π Jefffc ……(8) から等価粘性摩擦係数Deffが求められる。次に、(6)
式を使用することによって回転機構側の粘性摩擦係数Dm
は容易に算出される。
転軸でみた等価粘性摩擦係数、Kiは電流アンプゲイン、
Ktはトルク定数である。等価イナーシャJeffは既知であ
るから、周波数特性の折れ点周波数fc[Hz]を読みとれ
ば、 Deff=2π Jefffc ……(8) から等価粘性摩擦係数Deffが求められる。次に、(6)
式を使用することによって回転機構側の粘性摩擦係数Dm
は容易に算出される。
[実施例] 第1図は、本発明の一実施例に係る位置決め装置の粘
性摩擦係数同定法の流れ図を示す。この流れ図に従って
第2図の位置決め機構に対する物理パラメータの同定法
を説明する。
性摩擦係数同定法の流れ図を示す。この流れ図に従って
第2図の位置決め機構に対する物理パラメータの同定法
を説明する。
第4図は、(5)式の周波数特性の実測結果である。
ただし、直動機構の案内面への押し付け力をパラメータ
にとっている。すなわち、摺動面への押し付け予圧をパ
ラメータにして、タコジェネレータ出力から搬送物体側
の速度までの周波数特性を測定した結果である。当然、
予圧を大きくすると摺動面間の油膜が薄くなって個体接
触が頻繁になるため、位置決め物体に対するダンピング
は大きくなる筈である。第4図の実験結果は、予圧を大
きくするにしたがって共振値が徐々に下がってきて、ダ
ンピングが増加していることを示している。同図から共
振値MPと共振周波数fpを読み取り、搬送物体の質量は既
知であるとすれば、物理パラメータは、上述した方法に
したがって下記の表1のように算出される。
ただし、直動機構の案内面への押し付け力をパラメータ
にとっている。すなわち、摺動面への押し付け予圧をパ
ラメータにして、タコジェネレータ出力から搬送物体側
の速度までの周波数特性を測定した結果である。当然、
予圧を大きくすると摺動面間の油膜が薄くなって個体接
触が頻繁になるため、位置決め物体に対するダンピング
は大きくなる筈である。第4図の実験結果は、予圧を大
きくするにしたがって共振値が徐々に下がってきて、ダ
ンピングが増加していることを示している。同図から共
振値MPと共振周波数fpを読み取り、搬送物体の質量は既
知であるとすれば、物理パラメータは、上述した方法に
したがって下記の表1のように算出される。
なお、周波数特性の測定においては、位置決め装置を
速度制御系の状態にしておき、速度指令端子へ正弦波を
入力して、これを低周波数から高周波数まで掃引させ
て、タコジェネレータ出力から直動機構側の速度までの
周波数特性を測定している。また、高感度のサーボ式加
速度計を搬送物体に装着し、得られる加速度出力を積分
して速度信号に変換することによって、直動機構側の速
度を得ている。
速度制御系の状態にしておき、速度指令端子へ正弦波を
入力して、これを低周波数から高周波数まで掃引させ
て、タコジェネレータ出力から直動機構側の速度までの
周波数特性を測定している。また、高感度のサーボ式加
速度計を搬送物体に装着し、得られる加速度出力を積分
して速度信号に変換することによって、直動機構側の速
度を得ている。
また、本例では回転機構側の状態検出器としてタコジ
ェネレータを選んだが、パルスジェネレータの出力をF/
V変換した信号でも構わないことは言うまでもない。さ
らに、搬送物体側の状態検出器として、本例では加速度
検出器を使ったが、高精度の位置決め装置において一般
的に使用されているレーザ干渉計の出力信号を用いても
よい。
ェネレータを選んだが、パルスジェネレータの出力をF/
V変換した信号でも構わないことは言うまでもない。さ
らに、搬送物体側の状態検出器として、本例では加速度
検出器を使ったが、高精度の位置決め装置において一般
的に使用されているレーザ干渉計の出力信号を用いても
よい。
さて、直動機構側の粘性摩擦係数DWは表1のように求
められた。次に、回転機構側の粘性摩擦係数Dmを求め
る。表2では(7)式に基づいて等価粘性摩擦係数Deff
を求め、そこから先に求めた直動機構側の粘性摩擦係数
DWを回転機構側へ変換した量だけ差し引くことによって
回転機構側の粘性摩擦係数Dmが求められている。
められた。次に、回転機構側の粘性摩擦係数Dmを求め
る。表2では(7)式に基づいて等価粘性摩擦係数Deff
を求め、そこから先に求めた直動機構側の粘性摩擦係数
DWを回転機構側へ変換した量だけ差し引くことによって
回転機構側の粘性摩擦係数Dmが求められている。
[他の実施例] 上述の実施例では、回転機構側のタコジェネレータ出
力に対する直動機構側の速度の周波数応答を測定し、得
られる2次ローパスフィルタの特性値である共振値MPと
共振周波数fpを読み取り、搬送物体の重量を既知量とし
て、粘性摩擦係数を導出した。しかしながら、回転駆動
手段側の状態検出器はタコジェネレータ出力に代わって
パルスジェネレータの出力でもかまわない。さらには、
直動機構側すなわち搬送物体側の状態検出器は、搬送物
体に装着した加速度検出器そのものの出力信号でもよい
し、搬送物体の移動量を非接触で計測するレーザ干渉計
の出力信号でもよい。
力に対する直動機構側の速度の周波数応答を測定し、得
られる2次ローパスフィルタの特性値である共振値MPと
共振周波数fpを読み取り、搬送物体の重量を既知量とし
て、粘性摩擦係数を導出した。しかしながら、回転駆動
手段側の状態検出器はタコジェネレータ出力に代わって
パルスジェネレータの出力でもかまわない。さらには、
直動機構側すなわち搬送物体側の状態検出器は、搬送物
体に装着した加速度検出器そのものの出力信号でもよい
し、搬送物体の移動量を非接触で計測するレーザ干渉計
の出力信号でもよい。
[発明の効果] 以上述べてきたように、本発明によれば、回転・直動
機構からなる位置決め装置の粘性摩擦係数を回転および
直動側それぞれについて組立状態のままで求められる効
果がある。したがって、回転機構と直動機構とにわざわ
ざ分解した状態で粘性摩擦係数を求めるというような煩
雑な作業は不要である。また、本発明の同定法は制御工
学が教えるところのオブザーバ理論などを使った煩雑な
アルゴリズムではないので、物理的直感が明白であると
いう特徴がある。
機構からなる位置決め装置の粘性摩擦係数を回転および
直動側それぞれについて組立状態のままで求められる効
果がある。したがって、回転機構と直動機構とにわざわ
ざ分解した状態で粘性摩擦係数を求めるというような煩
雑な作業は不要である。また、本発明の同定法は制御工
学が教えるところのオブザーバ理論などを使った煩雑な
アルゴリズムではないので、物理的直感が明白であると
いう特徴がある。
第1図は、本発明の一実施例に係る位置決め装置の粘性
摩擦係数同定法を示す流れ図、 第2図は、位置決め装置の一例を示す図、 第3図は、位置決め装置の1自由度モデル、 第4図は、予圧をパラメータにとったときの、タコジェ
ネレータ出力から直動機構側の速度までの周波数特性、 である。 1:モータ、2:カップリング、3:ボールネジ、4:搬送物
体、5:タコジェネレータ。
摩擦係数同定法を示す流れ図、 第2図は、位置決め装置の一例を示す図、 第3図は、位置決め装置の1自由度モデル、 第4図は、予圧をパラメータにとったときの、タコジェ
ネレータ出力から直動機構側の速度までの周波数特性、 である。 1:モータ、2:カップリング、3:ボールネジ、4:搬送物
体、5:タコジェネレータ。
Claims (3)
- 【請求項1】回転機構の回転運動を変換器を介して直動
機構の直線運動に変換して搬送物体を直動方向に位置決
めする位置決め装置において、前記回転機構側の状態に
対する前記搬送物体側の状態の周波数特性を測定して共
振周波数fpと共振値Mpを読み取り、前記共振周波数fpと
前記共振値Mpを用いてダンピング係数ζと固有周波数fn
を算出し、前記ダンピング係数ζと前記固有周波数fnと
前記搬送物体を含む前記直動機構側の重量Wを用いて前
記直動機構側の粘性摩擦係数DWを、 DW=4πfnζW として算出し、前記直動機構側の粘性摩擦係数DWが求め
られた後、前記回転駆動手段側から見た等価粘性摩擦係
数Deffと前記変換器の回転運動から直線運動への変換定
数Pを用いて前記回転機構側の粘性摩擦係数Dmを、 Dm=Deff−P2DW として算出することにより、前記直動機構側の粘性摩擦
係数DWと前記回転機構側の粘性摩擦係数Dmを分離して導
出することを特徴とする位置決め装置の粘性摩擦係数同
定方法。 - 【請求項2】前記ダンピング係数ζを、 として算出し、前記固有周波数fnを、 fn=fp/(1−2ζ2)1/2 として算出することを特徴とする請求項1に記載の位置
決め装置の粘性摩擦係数同定方法。 - 【請求項3】前記変換器がピッチLのボールネジを有す
る時、前記変換定数Pを、 P=L/2π として算出することを特徴とする請求項2に記載の位置
決め装置の粘性摩擦係数同定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8104490A JP2750626B2 (ja) | 1990-03-30 | 1990-03-30 | 位置決め装置の粘性摩擦係数同定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8104490A JP2750626B2 (ja) | 1990-03-30 | 1990-03-30 | 位置決め装置の粘性摩擦係数同定方法 |
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