JP2750524B2 - 印刷物へのニス塗りパターンコーテイング方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は印刷物の絵柄部分など一部の箇所にのみニス
塗りコーティングを施すニス塗りパターンコーティング
方法に関するものである。

〔従来の技術〕

印刷物の紙面にニスを塗布し、汚損を防止したり紙面
に光沢を与えたりするニス塗りコーティングが、例えば
本の表紙やカタログ，パンフレットなど美麗さを要求さ
れる印刷物を主体にして実施されている。

この種のニス塗りコーティングを行う装置は従来、枚
葉輪転印刷機の印刷ユニットと排紙装置との間に設けら
れたり、あるいは独立して設けられたりしており、その
構造としては例えば次のようなものが知られている。す
なわち、この装置はニスを蓄えたニス舟内で回転する元
ローラと、周面にブランケットが巻かれたコータ胴と、
これら元ローラとコータ胴との間に互いに周面を対接さ
せて配設された調量ローラおよび着ローラとを備えてお
り、各ローラが回転すると、元ローラでニス舟内から引
上げられてローラ周面に付着したニス膜は、調量ローラ
で調量されたのち、着ローラでコータ胴のブランケット
面に付着され、このニス膜は、ゴム胴と圧胴との間で挟
持されて走行する紙の印刷面に塗布される。

このようなニス塗りコーティングにおいては、例えば
展開状に印刷される折畳み箱の糊付け箇所にニスを塗り
たくないときなどのように、印刷物の絵柄や模様の部分
のみにコーティングを施すことを要求されることがあ
り、このためにパターンコーティングと呼ばれる部分コ
ーティングが行われている。

従来のパターンコーティング方法は、コータ胴に巻い
たブランケットに印刷直後の未乾燥紙から印刷絵柄を逆
転写により胴刷りしてこのブランケットを胴から取外
し、台上に広げて絵柄部分以外の非ニス塗り対応部分を
カッタで厚みの１層分だけ切剥がしたのち、このブラン
ケットを再びコータ胴に巻いて前記コーティング作業を
行うものである。こうすることにより、ブランケットの
切剥がされない凸面部分に対応する絵柄部分にのみコー
ティングが行われる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来のニス塗りパターンコ
ーティング方法においては、上記のようにブランケット
から不要部分を切剥がさなければならないので、複雑な
模様や絵柄の場合には、作成するのに長時間と多大の労
力を要するという問題があった。また、ブランケットの
剥離面積が大きい場合には、このブランケットをコータ
胴に再装着するときにその引張り強度が減少し、パター
ン絵柄の天地方向が大きくなり左右方向が小さくなる傾
向が出てコーティングの精度が出ないことにより印刷物
の品質が低下するばかりでなく、このずれを修正するた
めに何度もブランケットを張替えることになると、さら
に能率が低下し、労力の負担が増えるという問題があっ
た。

〔課題を解決するための手段〕

このような課題を解決するために本発明では、ニス塗
りパターンコーティング方法として、感光性樹脂凸版材
に凸状のパターンコーティング絵柄を形成した樹脂凸版
を、金属製薄板にパターンコーティング絵柄を焼付けた
刷版上に両方の絵柄を合わせながら重ねて貼り合わせる
ことによりコーティング版を形成し、このコーティング
版をコータ胴の周面に装着してコーティングを行うとい
う方法を採用した。

〔作 用〕

樹脂凸版と金属刷版とを、互いの絵柄を合わせながら
貼合わせるので、絵柄がずれないし、コータ胴に装着す
るときに引張っても伸びない。絵柄によっては、機種版
サイズの大きさの樹脂版を作製しなくてもよい。

〔実施例〕

第１図および第２図は本発明に係る印刷胴へのニス塗
りパターンコーティング方法を説明するために示す図で
あって、第１図はニス塗りパターンコーティング装置の
斜視図、第２図（ａ），（ｂ）はコーティング版の製作
順序の説明図である。図示しない印刷ユニットと排紙装
置との間に配設されたニス塗りパターンコーティング装
置１は、ニスが蓄えられたニス舟２内で回転する元ロー
ラ３を備えており、この元ローラ３の斜め上方には、調
量ローラ４が周面を対接させて配設されている。元ロー
ラ２の側方には、後述するコーティング版11が周面に装
着されたコータ胴５が配設されており、コーティング版
11の周面には、調量ローラ４に対接する着ローラ６が着
脱自在に対接されている。さらにコータ胴５の下方に
は、圧胴７がコーティング版11の周面に圧接されて配設
されており、コータ胴５と圧胴７との間に挟持された印
刷後の紙８は、圧胴７とその両側に周面を対接させて配
設された渡し胴9,10との回転により爪でくわえ替えられ
ながら図に矢印Ａで示す方向に走行している。

そこで前記コーティング版11の構成を説明する。コー
ティング版11は、感光製樹脂凸版材で形成されてその表
面に印刷絵柄と対応する凸状のパターンコーティング絵
柄12aが形成された樹脂凸版12と、両面を接着剤処理さ
れた両面フィルム13と、アルミニウム製薄板で形成され
てその表面に印刷絵柄と対応するパターンコーティング
絵柄14aが形成された刷版14とからなり、樹脂凸版12と
刷版14とは、その間に介挿されたフィルム13により貼合
わされている。

以上のように構成された装置によるニス塗りパターン
コーティング方法を説明する。第２図（ａ）に示すよう
に、感光性樹脂凸版材で形成された樹脂凸版12に、印刷
用の版と同じ方法で印刷絵柄に対応する凸状のパターン
コーティング絵柄12aを形成し、その裏面に両面フィル
ム13を貼着する。一方、第２図（ｂ）に示すように、ア
ルミニウム製薄板で形成された刷板14に、印刷用の版と
同じような方法で印刷絵柄に対応するパターンコーティ
ング絵柄14aを形成する。そして両面フイルム13が貼着
された上記樹脂凸版12を、その絵柄12aと刷板14の絵柄1
4aとを重ねながら台上の刷版14に圧接すると、両面フィ
ルム13が刷版14に貼着されてコーティング版11が完成す
る。

そこで、このコーティング版11をコータ胴５の周面に
装着したのち、印刷作業を開始すると、印刷後の紙８
は、渡し胴9,圧胴7,渡し胴10の順にくわえ替えられなが
ら搬送され、コータ胴５と圧胴７との間を通過する。一
方、ニス舟２内のニスは元ローラ３で引上げられ調量ロ
ーラ４で調量されたのち、着ローラ６により凸状のパタ
ーンコーティング絵柄12aに付着する。この結果、紙８
の絵柄部分にパターンコーティング絵柄12aのニスが転
移して塗布される。この場合、刷版14のパターンコーテ
ィング絵柄14aは、印刷ユニット側の刷版の絵柄と同位
置に正確に形成されており、且つ刷版14が正しい位置に
装着されているとともに、両絵柄12a,14aが精度よく重
ねられているので、印刷絵柄とニス塗布箇所とがずれる
ことがない。また、前記コーティング版11の装着に際し
ては、これが強固な金属板と樹脂版との貼合わせによっ
て形成されているために、絵柄面積が小さくても、コー
ティング版11を天地方向に引張ったときに伸びることが
ない。

なお、装置の胴配列は本実施例における胴の個数，配
列に限定するものではなく、また、本発明の方法は、枚
葉輪転印刷機に組込んだ装置だけでなく、独立したパタ
ーンコーティング装置にも同様に適用することができ、
同様の効果が得られる。

〔発明の効果〕

以上の説明により明らかなように本発明によればニス
塗りパターンコーティング方法として、感光性樹脂凸版
材に凸状のパターンコーティング絵柄を形成した樹脂凸
版の裏面に両面接着剤処理フィルムを貼り、この樹脂凸
板を、金属製薄板にパターンコーティング絵柄を印刷し
た刷板上に両方の絵柄を合わせながら重ねて貼り合わせ
ることによりコーティング版を形成し、このコーティン
グ版をコータ胴の周面に装着してコーティングを行うと
いう方法を採ったことにより、コーティング版の絵柄位
置と印刷ユニット側の絵柄位置とを迅速かつ高精度で合
わすことができるので、印刷位置とニス塗り位置とがず
れず、印刷物の品質が向上するとともに、準備時間が短
縮され、生産性の向上と労力の軽減を計ることができ
る。また、パターンコーティング版が強固な金属板と樹
脂版との貼合わせりよって形成されているので、そのコ
ータ胴への装着に際して天地方向に引張っても伸びて絵
柄がずれるというようなことがなく、張替えがなくなっ
て準備時間がより短縮される。さらに、絵柄によっては
機種版サイズの大きさの樹脂版を製作しなくてもよいの
で樹脂版材料の節減を計ることができるとともに、従来
印刷用紙サイズの変更ごとに行っていたブランケット下
張り用紙サイズの変更，入替え作業を行うことなくコー
ティングが可能になり、作業性が向上する。また、従来
行っていたブランケットの剥離よりも樹脂版の方がレリ
ーフ深度を任意に設定できることにより、これを深くす
れば運転時のニス余りが改善され、ロングラン時に有利
になる。さらにA0判より大きい機種の樹脂パターンコー
ティング版の製作が可能になり、汎用性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本発明に係る印刷胴へのニス塗り
パターンコーティング方法を説明するために示す図であ
って、第１図はニス塗りパターンコーティング装置の斜
視図、第２図（ａ），（ｂ）はコーティング版の製作順
序の説明図である。 ５……コータ胴、11……コーティング版、12……樹脂凸
版、12a,14a……パターンコーティング絵柄、13……両
面フィルム、14……刷版。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】感光性樹脂凸版材の凸状のパターンコーテ
   ィング絵柄を形成した樹脂凸版を、金属製薄板にパター
   ンコーティング絵柄を焼付けした刷版上に両方の絵柄を
   合わせながら重ねて貼り合わせることによりコーティン
   グ版を形成し、このコーティング版をコータ胴の周面に
   装着してコーティングを行うことを特徴とする印刷物へ
   のニス塗りパターンコーティング方法。