JP2749383B2 - 車輪のブレーキシステム - Google Patents

車輪のブレーキシステム

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JP2749383B2 JP18386789A JP18386789A JP2749383B2 JP 2749383 B2 JP2749383 B2 JP 2749383B2 JP 18386789 A JP18386789 A JP 18386789A JP 18386789 A JP18386789 A JP 18386789A JP 2749383 B2 JP2749383 B2 JP 2749383B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、航空機等の車輪を制動する油圧ブレーキシ
ステムの改良に関する。
(従来の技術) 航空機等の車輪を制動するブレーキシステムは、例え
ば第4図に示すように操縦者がブレーキペダル8を踏み
込むとマスタシリンダ24を介してブレーキバルブ21が開
き、油圧源6からブレーキバルブ21を介してブレーキピ
ストン3に供給される油圧により摩擦材4がホイール1
の回転を制動するようになっている。
また、ホイール1のスキッドを防止するために、アン
チスキッドバルブ22がブレーキバルブ21とブレーキ2の
間に介装され、アンチスキッドバルブ22を制御するため
にアンチスキッドコントローラ23が設けられる。アンチ
スキッドコントローラ23はホイール1に備えた回転速度
センサ10と信号回路で接続され、回転速度センサ10の検
出する回転速度を走行速度に換算する一方、この速度を
機上の速度計から信号入力される機体速度と比較して、
ホイール1のスキッド(滑り)の有無を判定し、スキッ
ドの発生に対してはアンチスキッドバルブ22に信号を出
力して、ブレーキバルブ21からブレーキピストン3に供
給される油圧を低下させる。
このようにして、ブレーキピストン3にはホイール1
がスキッドを起こさない範囲でブレーキペダル8の踏み
込み量に対応した油圧が供給される。
(発明の課題) ところが、このようなブレーキシステムにおいて摩擦
材4にカーボン系の材料を使用すると、静止摩擦係数が
動摩擦係数より大幅に小さいというカーボン特有の摩擦
特性のために、機体の停止状態でブレーキ2を使用した
場合に、摩擦材4によるホイール1の拘束力が不足がち
になる傾向があった。
一方、滑走時や地上走行時にはカーボン材の特性とし
てブレーキピストン3の加圧直後にピークトルクが発生
し、ブレーキ2がいわゆるガク効きを起こしやすいの
で、乗り心地を悪化させたり、ホイール1を支持する支
持脚に過大な荷重が作用するのを防ぐために、極めて微
妙なブレーキ操作を必要としていた。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもの
で、滑走ないし地上走行状態においては安定した制動ト
ルクを発生させる一方、停止状態では最大のホイール拘
束力が得られるような油圧ブレーキシステムを提供する
ことを目的とする。
(課題を達成するための手段) 本発明は、第1図に示すように、車輪を制動する油圧
ブレーキ101と、圧力信号に応動してこの油圧ブレーキ
への供給圧力を調整するバルブ機構102と、制動指示量
の入力手段103と、入力された制動指示量に基づいて走
行時の目標制動トルクを演算するとともに演算結果に応
じた走行時用圧力信号を出力する手段104と、同じく制
動指示量に基づいて停止時用の圧力信号を出力する手段
105と、油圧ブレーキが走行時の車輪に及ぼす制動トル
クを検出する手段106と、検出した制動トルクが目標制
動トルクと一致するように前記走行時の圧力信号を補正
する手段107と、機体の速度を検出する手段108と、検出
された機体速度がゼロの場合には停止時用圧力信号を、
それ以外の時は走行時用圧力信号をバルブ機構に切換出
力する手段109とを備えている。
(作用) 走行時には実際に発生するトルクが制動指示量に基づ
き演算された目標制動トルクと一致するように走行時の
圧力信号を補正することにより、ピークトルクが平均化
され、目標制動トルクに一致した制動トルクが安定的に
発生する。
また、機体速度がゼロの時には停止時用の圧力信号
を、それ以外の時は走行時用の圧力信号を出力すること
により、静止摩擦係数と動摩擦係数との違いが補償さ
れ、停止した車輪に対する十分な拘束力が得られる。
(実施例) 第2図及び第3図に本発明の実施例を示す。
この図において、1は航空機のホイール、2はホイー
ル1を制動するブレーキで、油圧で作動するブレーキピ
ストン3がカーボン製の摩擦材4を介してホイール1に
制動トルクを及ぼすようになっている。
この制動用の油圧を調整するバルブ機構として、ブレ
ーキ2と油圧源6との間にブレーキ油圧モジュール5が
介装される。ブレーキ油圧モジュール5は信号回路で接
続されたブレーキコントロールコンピュータ7から入力
される圧力信号に応じてブレーキピストン3へ供給する
油圧を調整する。
ブレーキコントロールコンピュータ7には、制動指示
量の入力手段であるブレーキペダル8の踏み込み角度を
検出する角度センサ9と、ホイール1の回転速度を検出
する回転速度センサ10と、機体速度の検出手段としてコ
ックピットに備えた速度計11と、制動トルクの検出手段
としてのトルクセンサ12がそれぞれ信号回路で接続され
る。
トルクセンサ12は歪みゲージや圧電素子を用いて構成
され、ブレーキ2とブレーキ2を支持する部材との間に
介装され、ブレーキ2がホイール1に及ぼす制動トルク
をその反力を介して検出し、制動トルク信号としてブレ
ーキコントロールコンピュータ7に出力する。
ブレーキコントロールコンピュータ7は目標制動トル
クを演算して走行時用の圧力信号を出力する手段と、制
動トルクが目標制動トルクと一致するようにこの圧力信
号を補正する手段と、停止時用圧力信号を出力する手段
と、機体速度に応じて停止時用圧力信号と走行時用圧力
信号とをブレーキ油圧モジュール5に切換出力する手段
として機能する。すなわち、第3図にも示されるよう
に、速度計11から入力される速度信号がゼロでない時
は、角度センサ9からの入力信号に基づき、目標制動ト
ルクを演算し、対応する圧力信号をブレーキ油圧モジュ
ール5に出力する。そして、トルクセンサ12から入力さ
れた制動トルク信号をこの目標制動トルクと比較し、制
動トルクを目標制動トルクに一致させるように圧力信号
を補正してブレーキ油圧モジュール5に出力する。
一方、速度計11から入力される速度信号がゼロの時
は、ブレーキコントロールコンピュータ7は角度センサ
9からの入力信号に対して停止時用にあらかじめ高めに
設定された圧力信号をブレーキ油圧モジュール5に出力
する。
さらに、ブレーキコントロールコンピュータ7は滑走
及び地上走行時には、回転速度センサ10から信号入力さ
れるホイール1の回転速度から機体速度を算出し、これ
を速度計11の速度信号と比較してスキッドの有無を判定
する。そして、スキッドの発生に対しては圧力信号を所
定の幅で圧力低下方向に補正して、ブレーキ油圧モジュ
ール5に出力する。
次に作用を説明する。
滑走ないし地上走行状態でパイロットがブレーキペダ
ル8を踏むと、踏み込み角度に応じた制動量指示信号が
角度センサ9からブレーキコントロールコンピュータ7
に入力される。これに対して、ブレーキコントロールコ
ンピュータ7は、まず速度計11から入力される速度信号
がゼロでないことを確認し、制動量指示信号から目標制
動トルクを演算し、対応する走行時用圧力信号をブレー
キ油圧モジュール5に出力する。ブレーキ油圧モジュー
ル5は、油圧源6からブレーキピストン3へ供給される
作動油の圧力をこの圧力信号に対応して調整する。
ブレーキ2においては、この油圧に駆動されたブレー
キピストン3が、摩擦材4を介してホイール1に制動ト
ルクを及ぼし、これに伴い摩擦材4にトルク反力が作用
する。トルクセンサ12はこのトルク反力を検出して、ブ
レーキコントロールコンピュータ7に制動トルク信号を
出力する。
ブレーキコントロールコンピュータ7は、この制動ト
ルク信号を目標制動トルクと比較し、制動トルクが目標
制動トルクを下回る場合には圧力を増加させるように、
制動トルクが目標制動トルクを上回る場合には圧力を低
下させるように、走行時用圧力信号をそれぞれ補正して
ブレーキ油圧モジュール5に出力する。この信号補正
は、制動トルク信号が目標制動トルクと一致するまで続
けられる。こうして、ブレーキペダル8の踏み込み量に
正確に対応した制動トルクが得られる。
さらに、ブレーキコントロールコンピュータ7は回転
速度センサ12から信号入力されるホイール1の回転速度
を機体の速度に換算し、これを速度計11の速度と比較
し、これらの差が一定以上に広がると、直ちに走行時用
圧力信号を圧力低下方向へ補正してブレーキ油圧モジュ
ール5に出力する。この結果、ブレーキピストン3へ供
給される油圧が下がり、制動トルクは目標制動トルクに
関係なく低下する。このような制御により、スキッドの
発生は抑制され、制動トルクはスキッドを起こさない範
囲で目標制動トルクに最も近いレベルに維持される。
一方、機体が停止した状態でパイロットがブレーキペ
ダル8を踏むと、ブレーキコントロールコンピュータ7
は速度計11から入力される速度信号がゼロであることか
ら、ブレーキペダル8から角度センサ9を介して信号入
力される制動指示量に対してあらかじめ高めに設定され
た停止時用圧力信号を走行時用の圧力信号に代えてブレ
ーキ油圧モジュール5に出力する。この結果、滑走時や
地上走行時と同じブレーキペダル8の踏み込み量に対し
て、より大きな圧力がブレーキ2に供給されるので、静
止摩擦係数が動摩擦係数より小さなカーボン材の摩擦特
性が補償され、ブレーキ2は停止状態のホイール1に十
分な拘束力を及ぼして機体を停止状態に保持する。
(発明の効果) 以上のように、本発明は走行時には検出した制動トル
クが目標制動トルクと一致するように走行時用圧力信号
を補正してバルブ機構へ出力する一方、機体の速度がゼ
ロの場合には別に設定された停止時用圧力信号をバルブ
機構へ出力するようにしたので、滑走時や地上走行時に
は制動指示量に対応した安定した制動トルクが得られる
一方、停止状態では車輪の拘束力を最大に保つことがで
きる。
このため、特にカボーン系の摩擦材をブレーキに使用
した航空機において、制動動作をスムーズにするととも
に停止状態の機体保持力を高める効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のクレーム対応図、第2図は本発明の実
施例を示すブレーキシステムのブロック図、第3図は制
動動作の要部を説明するフローチャートである。 また、第4図は従来例を示すブレーキシステムのブロッ
ク図である。 1……ホイール、2……ブレーキ、3……ブレーキピス
トン、4……摩擦材、5……ブレーキ油圧モジュール、
6……油圧源、7……ブレーキコントロールコンピュー
タ、8……ブレーキペダル、9……角度センサ、10……
回転速度センサ、11……速度計、12……トルクセンサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−242758(JP,A) 特開 昭62−38334(JP,A) 特開 昭62−110552(JP,A) 特開 昭61−202964(JP,A) 特開 昭59−18054(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B60T 8/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車輪を制動する油圧ブレーキと、圧力信号
    に応動してこの油圧ブレーキへの供給圧力を調整するバ
    ルブ機構と、制動指示量の入力手段と、入力された制動
    指示量に基づいて走行時の目標制動トルクを演算すると
    ともに演算結果に応じた走行時用圧力信号を出力する手
    段と、同じく制動指示量に基づいて停止時用の圧力信号
    を出力する手段と、油圧ブレーキが走行時の車輪に及ぼ
    す制動トルクを検出する手段と、検出した制動トルクが
    目標制動トルクと一致するように前記走行時の圧力信号
    を補正する手段と、車体の速度を検出する手段と、検出
    された車体速度がゼロの場合には停止時用圧力信号を、
    それ以外の時は走行時用圧力信号をバルブ機構に切換出
    力する手段とを備えたことを特徴とする車輪のブレーキ
    システム。
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