JP2748176B2 - 液晶素子 - Google Patents

液晶素子

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JP2748176B2 JP6256490A JP6256490A JP2748176B2 JP 2748176 B2 JP2748176 B2 JP 2748176B2 JP 6256490 A JP6256490 A JP 6256490A JP 6256490 A JP6256490 A JP 6256490A JP 2748176 B2 JP2748176 B2 JP 2748176B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、液晶表示素子や液晶−光シャッター等で用
いる液晶素子に関し、更に詳しくは液晶分子の配向状態
を改善した液晶素子に関するものである。
[従来の技術] 強誘電性液晶分子の屈折率異方性を利用して偏光素子
との組み合わせにより透過光線を制御する型の表示素子
がクラーク(Clark)及びラガーウォル(Lagerwall)に
より提案されている(特開昭56−107216号公報、米国特
許第4367924号明細書等)。この強誘電性液晶は、一般
に特定の温度域において、非らせん構造のカイラルスメ
クチックC相(SmC)又はH相(SmH)を有し、この
状態において、加えられる電界に応答して第1の光学的
安定状態と第2の光学的安定状態のいずれかを取り、且
つ電界の印加のないときはその状態を維持する性質、す
なわち双安定性を有し、また電界の変化に対する応答も
速やかであり、高速ならびに記憶型の表示素子としての
広い利用が期待され、特にその機能から大画面で高精細
なディスプレーとしての応用が期待されている。
この双安定性を有する液晶を用いた光学変調素子が所
定の駆動特性を発揮するためには、一対の平行基板間に
配置される液晶が、電界の印加状態とは無関係に、上記
2つの安定状態の間での変換が効果的に起るような分子
配列状態にあることが必要である。
また、液晶の複屈折を利用した液晶素子の場合、直交
ニコル下での透過率は、 で表わされる。前述の非らせん構造におけるチルト角θ
は第1と第2の配向状態でのねじれ配列した液晶分子の
平均分子軸方向の角度として現われることになる。上式
によれば、かかるチルト角θが22.5゜の角度の時最大の
透過率となり、双安定性を実現する非らせん構造でのチ
ルト角θが22.5゜にできる限り近いことが必要である。
ところで強誘電性液晶の配向方法としては、大きな面積
に亙ってスメクチック液晶を形成する複数の分子で組織
された液晶分子層を、その法線に沿って一軸に配向させ
ることが必要であることから、通常ラビング処理を行っ
たポリイミド膜が広く用いられてきた。特に、非らせん
構造のカイラルスメクチック液晶の為の配向方法として
は、例えば米国特許第4561726号明細書等が知られてい
る。しかしながら、これまで用いられてきたラビング処
理されたポリイミド膜による液晶配向方法を、前述のク
ラークとラガウォールによって発表された双安定性を示
す非らせん構造の強誘電性液晶に対して適用した場合に
は下記の如き問題点を有していた。
即ち、本発明者らの実験によれば、従来のラビング処
理したポリイミド膜によって配向させて得られた非らせ
ん構造の強誘電性液晶でのチルト角θ(後述の第3図に
示す角度)がらせん構造をもつ強誘電性液晶でのチルト
角(後述の第2図に示す三角錐の頂角の1/2の角度)
と較べて小さくなっていることが判明した。特に、ラビ
ング処理したポリイミド膜によって配向させて得た非ら
せん構造の強誘電性液晶でのチルト角θは、一般に3゜
〜8゜程度で、その時の透過率はせいぜい3〜5%程度
であった。
この様に、クラークとラガウォールによれば双安定性
を実現する非らせん構造の強誘電性液晶でのチルト角が
らせん構造をもつ強誘電性液晶でのチルト角と同一の角
度をもつはずであるが、実際には非らせん構造でのチル
ト角θの方がらせん構造でのチルト角より小さくなっ
ている。しかも、この非らせん構造でのチルト角θがら
せん構造でのチルト角より小さくなる原因が非らせん
構造での液晶分子のねじれ配列に起因していることが判
明した。つまり、非らせん構造をもつ強誘電性液晶で
は、液晶分子が第4図に示す様に基板の法線に対して上
基板に隣接する液晶分子の軸42より下基板に隣接する液
晶分子の軸43(ねじれ配列の方向44)へ連続的にねじれ
角δでねじれて配列しており、このことが非らせん構造
でのチルト角θがらせん構造でのチルト角より小さく
なる原因となっている。
尚、図中41は上下基板に形成したラビング処理や斜方
蒸着処理によって得られた一軸性配向軸を表わしてい
る。
また、従来のラビング処理したポリイミド配向膜によ
って生じたカイラルスメクチック液晶の配向状態は電極
と液晶層の間に絶縁体層としてのポリイミド配向状態の
存在によって第1の光学的安定状態(例えば、白の表示
状態)から第2の光学的安定状態(例えば、黒の表示状
態)にスイッチングするための一方極性電圧を印加した
場合、この一方極性電圧の印加解除後、強誘電性液晶層
には他方極性の逆電界Vrevが生じ、係る逆電界Vrevがデ
ィスプレイ時における残像現象を引き起こしていた。上
述の逆電界発生現象は、例えば吉田明雄著、昭和62年10
月「液晶討論会予稿集」142〜143頁の「SSFLCのスイッ
チング特性」で明らかにされている。
一方、ポリイミド被膜の形成方法として、ラングミュ
ア・プロジェット法により形成したポリイミド被膜から
なる配向膜を用いた強誘電性液晶素子が提案されてい
る。
また、前述した残像現象の原因となる逆電界Vrevは配
向膜の電気容量に反比例するため、配向膜厚が薄いほど
残像現象は軽減される。
したがって、配向膜にラングミュア・プロジェット法
により形成されたポリイミド被膜を用いれば、その成膜
方法の特徴から膜厚10Å〜100Å程度の配向膜を均一に
形成することが可能なため、前記残像現象を著しく軽減
させる効果が期待される。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、ラングミュア・プロジェット法により
形成された膜(LB膜)では、前述したスメクチック層内
での液晶分子のねじれを解消することは困難であり、従
って非らせん構造でのチルト角の減少を回避することが
困難であった。
本発明は、この様な従来技術の欠点を改善するために
なされたものであり、一軸性配向処理を施さない場合に
は強誘電性液晶に対して垂直配向を与えるLB膜を少なく
とも一方の基板に形成し、さらにそのLB膜に一軸性配向
処理を施すことにより、非らせん構造でのチルト角の減
少がなく、高コントラストの表示ができ、且つ残像を生
じない液晶素子を提供することを目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段] すなわち、本発明は、一対の基板及び該一対の基板間
の間隔に配置した強誘電性カイラルスメクチック液晶を
有する液晶素子において、前記一対の基板のうちの少な
くとも一方の基板は、無−一軸配向処理時に垂直配向性
を生じるLB膜に、一軸配向処理を施してなる配向膜を有
することを特徴とする液晶素子である。
以下、本発明を詳細に説明する。
第1図は、本発明の液晶素子の一例を示す模式図であ
る。同第1図において、11aと11bは各々In2O3やITO(イ
ンジウム チン オキサイド;Indium Tin Oxide)等の
透明電極12aと12bで被覆されたガラス基板であり、その
上に200〜1000Å厚の絶縁膜13aと13b(例えば、SiO
2膜、TiO2膜、Ta2O5膜など)と、例えば下記の一般式
(I)で示される構造を有する各種のポリイミド被膜で
形成された10〜100Å厚の配向膜14aと14bが各々積層さ
れている。前記配向膜14a,14bとの間には強誘電性スメ
クチック液晶15が配置され、その間隔の距離は強誘電性
スメクチック液晶15のらせん配列構造の形成を抑制する
のに十分に小さい距離(例えば、1μm〜3μm)に設
定され、強誘電性スメクチック液晶15は双安定性配向状
態を生じている。上述の十分に小さい強誘電性スメクチ
ック液晶15が配置されている液晶間距離は、配向膜14a
と14bとの間に配置されたビーズスペーサー16(例え
ば、シリカビーズ、アルミナビーズ等)によって保持さ
れる。また、17a,17bは偏光板を示す。
一般式(I) (式中、R3はフェニル基、ジフェニル基、ナフタレン
基、ジフェニルメタン基、ジフェニルスルフィド基、ジ
フェニルエーテル基及びこれらの基への1ケ以上のメチ
ル基又はエチル基置換体、トリフルオロメタン基置換
体、2,2−ビスフェニルヘキサフルオロプロパン基及び
それへの1ケ以上のトリフルオロメタン基置換体、R4,R
5はフェニル基、ジフェニル基、ナフタレン基、ジフェ
ニルメタン基、ジフェニルスルフィド基、ジフェニルス
ルホン基、ジフェニルエーテル基、フェノキシフェニル
基及びこれらの基への1ケ以上のメチル基、エチル基置
換体、トリフルオロメタン基置換体を示す。) 本発明で用いられる配向膜は前述の一般式(I)に示
される構造を含むポリイミド膜によって形成されるが、
これらのポリイミド膜はカルボン酸無水物とジアミンと
を縮合反応させることによって合成されるポリイミド酸
を加熱閉環させることによって得られる。
本発明で用いられるカルボン酸無水物としては、例え
ば、ピロメリット酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテト
ラカルボン酸無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルテトラ
カルボン酸無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボ
ン酸無水物、2,2′,3,3′−ジフェニルテトラカルボン
酸無水物、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸無
水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパ
ン無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホ
ン無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテ
ル無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルフ
ィド無水物及びこれらの1ケ以上のメチル基又はエチル
基置換体、1,1,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)プロパン無水物及びそれらへ
の1ケ以上のトリフルオロメチル基置換体等を挙げるこ
とができる。
一方、本発明で用いられるジアミンとしては、例え
ば、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス[4−(2−アミノフェノキシ)フェニ
ル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ
フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−
(4−アミノフェニルスルフィド)フェニル]ヘキサフ
ルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノベンジ
ル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェニルスルホン酸)フェニル]ヘ
キサフルオロプロパン、2,2−ビス(5−アミノナフチ
ル)ヘキサフルオロプロパン及びこれらへの1ケ以上の
メチル基,エチル基及び/又はトリフルオロメチル基置
換体等を挙げることができる。
本発明に用いられるポリイミドは、そのポリマー主鎖
中に前述の構造単位が一部含まれているだけでもよいの
で、2種以上のカルボン酸無水物及び/又は2種以上の
ジアミンを用いた共重合体ポリイミドの利用も可能であ
る。
次に、本発明で用いられるLB法によるポリイミド配向
膜の基板上への堆積方法について述べる。LB法は、分子
内に親水性部位と疎水性部位とを有する構造において両
者のバランス(両親媒性のバランス)が適度に保たれて
いる時、分子は水面上で親水基を水面方向に向けた形で
単分子の層を形成することを利用し、係る水面上単分子
膜を基板上に移しとることによって、該基板上に単分子
膜、又はその累積膜を作成する方法のことである。従っ
て、係るLB法を用いることによって分子長オーダーに制
御された膜厚を有する有機超薄膜を大面積に亘って、均
一,均質かつ安定に供給することができる。本発明のポ
リイミド配向膜を上記LB法を用いて形成する為には、前
駆体であるポリアミド酸を水面上に展開する。この際、
前述した様に、分子内に疎水性部位及び親水性部位を導
入する必要があるが、これには長鎖アルキルアミン類を
混合し、ポリアミド酸のカルボキシル基に対してアミン
塩を形成させることによって達成される。
即ち、長鎖アルキルアミンの窒素が四級化することで
親水性部位が、また長鎖アルキル部によって疎水性部位
が導入される。長鎖アルキルアミンとしては、n−ヘキ
サデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ドコサ
デシルアミン等の一級アミン、ジ−n−デシルアミン、
ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−テトラデシルアミン
等の二級アミン、N,N−ジメチル−n−ヘキサデシルア
ミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N−
メチル−ジ−n−デシルアミン、N−メチル−ジ−n−
ドデシルアミン、N−メチル−ジ−n−テトラデシルア
ミン,トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミ
ン、トリ−n−ドデシルアミン等の三級アミンが用いら
れる。その混合比としてはポリアミド酸のカルボキシル
基を全てアミン塩化させる程度とすることが好ましい。
即ち、ポリアミド酸の1繰り返し単位当り通常2ケの
カルボキシル基が存在するが、この場合、ポリアミド酸
の繰り返し単位数の総和:アミンのmol数が1:2〜1:3、
より好ましくは1:2〜1:2.5とすることが好ましい。この
時の溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミドを使用
することが好ましいが、ポリアミド酸及びアミンが十分
に溶解し、かつ水面上に係る溶液を容易に展開すること
が可能な溶媒であれば何を用いても構わない。又、濃度
にも特に制限はないが、展開性の面から、1×10-7〜10
-5繰り返し単位数/の範囲とすることが好ましい。
以上の様にして作成したポリアミド酸アミン塩の溶液
を水相上に静かに展開する。この時水相としては5〜20
℃の純水が一般に用いられるが、各種金属イオンの添加
や酸,アルカリを加えてpHの調整を行っても構わない。
次に、水面上に展開したポリアミド酸アミン塩を圧縮
し、水面上にポリアミド酸アミン塩の単分子膜を形成す
る。この時の表面圧としては、用いるポリアミド酸或い
はアミンの種類に依存するが、概ね5〜35mN/mの範囲内
にある。この様にして作成した水面上単分子膜に対し、
前述した液晶セル用基板を表面圧を一定に保ったまま、
水面上単分子膜を横切る方向に浸漬し、引き続き引上げ
ることによって、2層の単分子膜を基板上に累積するこ
とが可能となる。この時の基板上下速度はポリアミド酸
アミン塩の種類も因るが、概ね3〜50mm/min程度であ
る。係る操作を繰り返すことによって、所望の層数を有
するポリアミド酸アミン塩の単分子層累積膜を得ること
ができる。なお、LB膜が4層以上からなるものが好まし
い。
以上の様にして基板上に作成されたポリアミド酸アミ
ン塩の単分子膜又は単分子層累積膜を加熱することによ
り、脱水閉環化(イミド化)反応及び脱アミン化反応を
行わしめ所望のポリイミド膜を得ることができる。この
際の焼成は、150〜300℃で10〜60分間程度行われ、窒素
雰囲気下又は減圧下で焼成することが望ましい。
又、その引き上げ方向に関して、セル組した時に上下
の基板間で同一方向になる様に(例えば、第1図Aの方
向)成膜することが望ましい。
以上の様に皮膜されたLB膜の形成された一対の基板間
に強誘電性液晶を配置した場合には、垂直方向(ホメオ
トロピック配向)又は略垂直配向とすることができる。
即ち、本発明は垂直配向させる機能をもつLB膜を形成
し、そのLB膜に一軸性配向処理を施すものである。一軸
性配向処理としてはラビング処理を用いることができ、
ラビング処理は、例えばナイロン毛等により、前記LB膜
の引き上げ方向に対して平行又は反平行に施すことがで
きる。
ラングミュアーブロジェット法によって配向膜を形成
する場合には、膜厚を概ね10〜100Å、好ましくは10〜8
0Åとすることが望ましい。
第2図は、強誘電性液晶の動作説明のために、セルの
例を模式的に描いたものである。21aと21bは、In2O2、S
nO2あるいはITO等の薄膜からなる透明電極で被覆された
基板(ガラス板)であり、その間に液晶分子層22がガラ
ス基板面に垂直になるよう配向したSmC(カイラルス
メクチックC)相又はSmH(カイラルスメクチック
H)相の液晶が封入されている。太線で示した線23は液
晶分子を表わしており、この液晶分子23はその分子に直
交した方向に双極子モーメント(P)24を有してい
る。この時の三角錐の頂角をなす角度がかかるらせん構
造のカイラルスメクチック相でのチルト角を表わして
いる。基板21aと21b上の電極間に一定の閾値以上の電圧
を印加すると、液晶分子23のらせん構造がほどけ、双極
子モーメント(P)24がすべて電界方向に向くよう、
液晶分子23は配向方向を変えることができる。液晶分子
23は、細長い形状を有しており、その長軸方向と短軸方
向で屈折率異方性を示し、従って例えばガラス基板面の
上下に互いにクロスニコルの偏光子を置けば、電圧印加
極性によって光学特性が変わる液晶光学変調素子となる
ことは、容易に理解される。
本発明の配向膜を有する液晶素子で用いる双安定性配
向状態の表面安定型強誘電性液晶セルは、その厚さを充
分に薄く(例えば、1〜3μm)することができる。こ
のように液晶層が薄くなるにしたがい、第3図に示すよ
うに、電界を印加していない状態でも液晶分子のらせん
構造がほどけ、非らせん構造となり、その双極子モーメ
ントPaまたはPbは上向き(34a)又は下向き(34b)のど
ちらかの状態をとる。このようなセルに、第3図に示す
如く一定の閾値以上の極性の異なる電界Ea又はEbを電圧
印加手段31aと31bにより付与すると、双極子モーメント
は、電界Ea又はEbの電界ベクトルに対応して上向き34a
又は下向き34bと向きを変え、それに応じて液晶分子
は、第1の安定状態33aあるいは第2の安定状態33bの何
れか一方に配向する。この時の第1と第2の安定状態の
なす角度の1/2がチルト角θに相当する。
この強誘電性液晶セルによって得られる効果は、その
第1に応答速度が極めて速いことであり、第2に液晶分
子の配向が双安定性を有することである。第2の点を、
例えば第3図によって更に説明すると、電界Eaを印加す
ると液晶分子は第1の安定状態33aに配向するが、この
状態は電界を切っても安定である。又、逆向きの電界Eb
を印加すると、液晶分子は第2の安定状態33bに配向し
てその分子の向きを変えるが、やはり電界を切ってもこ
の状態に留まっている。又、与える電界Eaが一定の閾値
を越えない限り、それぞれの配向状態にやはり維持され
ている。
次に、第5図(a)は本発明の配向膜を用いた配向方
向により配向した液晶分子の配向状態を模式的に示す断
面図、第5図(b)はそのC−ダイレクタを示す図であ
る。
第5図(a)に示す51a及び51bは、それぞれ上基板及
び下基板を表わしている。50は液晶分子52で組織された
液晶分子層で、液晶分子52が円錐53の底面54(円形)に
沿った位置を変化させて配列している。
第5図(b)は、C−ダイレクタを示す図であり、同
図中のU1は一方の安定配向状態でのC−ダイレクタ81
で、U2は他方の安定配向状態でのC−ダイレクタ81であ
る。C−ダイレクタ81は、第5図(a)に示す液晶分子
層50の法線に対して垂直な仮想面への分子長軸の写影で
ある。
一方、従来のラビング処理したポリイミド膜によって
生じた配向状態は、第5図(c)のC−ダイレクタ図に
よって示される。第5図(c)に示す配向状態は、上基
板51aから下基板51bに向けて分子軸のねじれが大きいた
め、チルト角θは小さくなっている。
次に、第6図(a)は、C−ダイレクタ81が第5図
(b)の状態(ユニフォーム配向状態という)でのチル
ト角θを示す説明図、および第6図(b)はC−ダイレ
クタ81が第5図(c)の状態(スプレイ配向状態とい
う)でのチルト角θを示す説明図である。図中、60は、
前述した本発明のポリイミド配向膜をLB法によって形成
する際の基板の引き上げ方向及び/又はラビング方向を
示し、61aは配向状態U1での平均分子軸、61bは配向状態
U2での平均分子軸、62aは配向状態S1での平均分子軸、6
2bは配向状態S2での平均分子軸を示す。平均分子軸61a
と61bとは、互いに閥値電圧を超えた逆極性電圧の印加
によって変換することができる。同様のことは平均分子
軸62aと62bとの間でも生じる。
次に、逆電界Vrevによる光学応答の遅れ(残像)に対
するユニフォーム配向状態の有用性について説明する。
液晶セルの絶縁層(配向制御膜)の容量Ci、液晶層の容
量をCLC及び液晶の自発分極をPsとすると、残像の原因
となるVrevは下式で表わされる。
第7図は液晶セル内の電荷の分布、自発分極Psの方向
及び逆電界Vrevの方向を模式的に示した断面図である。
第7図(a)はパルス電界印加前のメモリー状態下にお
ける及び電荷の分布状態を示し、この時の自発分極
Psの向きは電荷から電荷の方向である。第7図
(b)はパルス電界解除直後の自発分極Psの向きを示
し、自発分極Psは第7図(a)の時の向きに対して逆向
き(従って液晶分子は一方の安定配向状態から他方の安
定配向状態に反転を生じている)であるが、及び電
荷の分布状態は第7図(a)の時と同様であるため、液
晶内に逆電界Vrevが矢印B方向に生じている。この逆電
界Vrevはしばらくした後、第7図(c)に示すように消
滅し、及び電荷の分布状態が変化する。
第8図は従来のポリイミド配向膜によって生じたスプ
レイ配向状態の光学応答の変化をチルト角θの変化に換
えて示した説明図である。第8図に示す様に、パルス電
界印加時においては、矢印X1の方向に沿ってスプレイ配
向状態下の平均分子軸S(A)から最大チルト角の付
近のユニフォーム配向状態下の平均分子軸U2迄オーバー
シュートし、パルス電界解除直後においては、第7図
(b)に示す逆電界Vrevの作用が働いて、矢印X2の方向
に沿ってスプレイ配向状態下の平均分子軸S(B)迄チ
ルト角θが減少し、そして第7図(c)に示す逆電界V
revの減衰の作用により矢印X3の方向に沿ってスプレイ
配向状態下の平均分子軸S(C)迄チルト角θが若干増
大した安定配向状態が得られる。第9図はこの時の光学
応答の状態を示すグラフである。
本発明によれば、前述した一般式(I)の構造を有す
るフッ素原子含有ポリイミド膜をLB法によって作成し、
かつラビング処理した配向膜を用いることで、液晶配向
状態として、第8図に示したスプレイ状態下の平均分子
軸S(A),S(B)及びS(C)を生じることが無く、
従って最大チルト角に近いチルト角θを生じる平均分
子軸に配列させることができる。
第10図は本発明のポリイミド配向膜を用いた時の光学
応答の状態を示すグラフである。第10図によれば、残像
に原因する光学応答の遅れを生じないこととメモリー状
態下での高いコントラストを引き起こしていることが認
められる。
[実施例] 以下、実施例を示し本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例1 基板として、1500Å厚のITO膜上に600ÅのTa2O5膜が
設けられている、1.1mm厚のガラス基板を2枚用意し、
これらの基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し
た後、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)の飽和蒸気中に
一昼夜放置して疎水処理を行った。続いて、前記基板上
にLB法を用いてポリイミド配向膜を形成した。以下にポ
リイミド配向膜の作成方法の詳細を記す。
下記の(1)式に示すフッ素含有ポリアミド酸ジ−n
−デシルアミン塩溶液を調製した。
係る溶液を水温20℃の純水からなる水相上に展開し、
水面上に単分子膜を形成した。
表面圧を15mN/mに迄高めた後、係る表面圧を一定に保
ちながら先の浸漬中の基板を水面を横切る方向に速度5m
m/minで静かに引上げ、8層のフッ素含有ポリアミド酸
ジ−n−デシルアミン塩(1)の単分子膜を形成した。
次に、係る基板を300℃で20分間の熱処理を行ない、
ポリアミド酸アミン塩をアミド化し、下記の式(2)で
示される8層のポリイミド単分子層累積膜から成るポリ
イミド配向膜を得た。このラビング処理を施さないポリ
イミド配向膜は、偏光顕微鏡観察によって調べたとこ
ろ、強誘電性液晶に対して垂直(ホメオトロピック)配
向であった。
さらに、このポリイミド膜に引き上げ方向と平行方向
にラビング処理を施した。その後、平均粒径約1.5μm
のアルミナビーズを一方の基板上に散布した後、各々の
基板引き上げ方向が互に平行、かつ同一方向になる様に
2枚の基板を重ね合わせて液晶セルを作成した。この液
晶セル内に液晶を注入した。
用いた液晶はフェニルピリミジンを主成分とする混合
液晶で、コーン角は室温で12゜、層傾斜角は10゜、相転
移温度は以下のとおりであった。
上述の液晶セルを一対の90゜クロスニコル偏光子の間
に挟み込んで、50μsecの30Vパルスを印加してから90゜
クロスニコルを消光位(最暗状態)にセットし、この時
の透過率をホトマルチプレターにより測定し、続いて50
μsecの−30Vパルスを印加し、この時の透過率(明状
態)を同様の方法で測定したところ、チルト角θは10゜
であり、最暗状態時の透過率は0.9%に対し明状態時の
透過率は45%となり、従ってコントラスト比は50:1であ
った。又、残像の原因となる光学応答の遅れは0.2秒以
下であった。
比較例1 ポリイミドLB膜の単分子累積層数を2層とした他は実
施例1と全く同様にして液晶セルを作成した。このとき
ラビング処理を施さない場合は水平(プラーナー)配向
であった。また、実施例1と同様にラビング処理を施し
た液晶セルでは第5図(C)で示されるスプレイ配向と
なりコントラストの低い表示が得られた。
[発明の効果] 以上説明した様に、本発明の液晶素子によれば、チル
ト角の減少がなく、明状態と暗状態でのコントラストが
高く、しかも目ざわりな残像現象が生じることがない効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の液晶素子の一例を示す模式図、第2図
はらせん構造をもつカイラルスメクチック液晶の配向状
態を示した斜視図、第3図は非らせん構造の分子配列を
もつカイラルスメクチック液晶の配向状態を示す斜視
図、第4図は基板の一軸性配向軸と非らせん構造の強誘
電性液晶分子の軸との関係を表わす説明図、第5図
(a)は本発明の配向膜による配向方法で配向したカイ
ラルスメクチック液晶の配向状態を示す断面図で、第5
図(b)はそのユニフォーム配向状態におけるC−ダイ
レクタ図、第5図(c)はスプレイ配向状態におけるC
−ダイレクタ図、第6図(a)はユニフォーム配向状態
におけるチルト角θを示す説明図、第6図(b)はスプ
レイ配向状態におけるチルト角θを示す説明図、第7図
(a)〜(c)は強誘電性液晶内の電荷分布、自発分極
Psの向き及び逆電界Vrevの向きを示す断面図、第8図は
電界印加時及び印加後のチルト角θの変化を示す説明
図、第9図は従来例の液晶素子における光学応答特性を
示すグラフおよび第10図は本発明の配向膜を用いた液晶
素子における光学応答特性を示すグラフである。 11a,11b……ガラス基板 12a,12b……透明電極 13a,13b……絶縁膜 14a,14b……配向膜 15……強誘電性スメクチック液晶 16……ビーズスペーサー 17a,17b……偏光板 21a,21b……基板 22……液晶分子層 23……液晶分子 24……双極子モーメント 31a,31b……電圧印加手段、32……垂直層 33a……第1の安定状態 33b……第2の安定状態 34a……上向き双極子モーメント 34b……下向き双極子モーメント ……らせん構造でのチルト角 θ……非らせん構造でのチルト角 Ea,Eb……電界 41……上下基板に形成した一軸性配向軸 42……上基板に隣接する液晶分子の軸 43……下基板に隣接する液晶分子の軸 44……ねじれ配列の方向、δ……ねじれ角 50……液晶分子層 51a……上基板、51b……下基板 52……液晶分子 53……円錐 54……底面 60……基板引き上げ方向またはラビング方向 61a……配向状態U1での平均分子軸 61b……配向状態U2での平均分子軸 62a……配向状態S1での平均分子軸 62b……配向状態S2での平均分子軸 81……C−ダイレクタ

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の基板及び該一対の基板間の間隔に配
    置した強誘電性カイラルスメクチック液晶を有する液晶
    素子において、前記一対の基板のうちの少なくとも一方
    の基板は、無−一軸配向処理時に垂直配向性を生じるLB
    膜に、一軸配向処理を施してなる配向膜を有することを
    特徴とする液晶素子。
  2. 【請求項2】前記配向膜が両方の基板に設けられてなる
    請求項1記載の液晶素子。
  3. 【請求項3】前記強誘電性カイラルスメクチック液晶が
    双安定性を有する請求項1記載の液晶素子。
  4. 【請求項4】前記LB膜がフッ素原子を分子内に有する膜
    である請求項1記載の液晶素子。
  5. 【請求項5】前記一軸配向処理がラビング処理である請
    求項1記載の液晶素子。
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