JP2747960B2 - 熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線 - Google Patents

熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線

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JP2747960B2 JP4300524A JP30052492A JP2747960B2 JP 2747960 B2 JP2747960 B2 JP 2747960B2 JP 4300524 A JP4300524 A JP 4300524A JP 30052492 A JP30052492 A JP 30052492A JP 2747960 B2 JP2747960 B2 JP 2747960B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気カーペットや電気毛
布等の面状採暖具に用いられるヒータ線に関し、更に詳
しくは一線式方式の熔断層を兼ねた感温層を有するヒー
タ線に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より面状採暖具に用いられている一
線式方式のヒータ線の構造及び製造法に関して図6を用
いて説明する。このヒータ線8aはポリエステル繊維,
全芳香族ポリアミド繊維或はポリイミド繊維等の撚り糸
からなる巻芯1の外周に1本或は複数本(本図では1
本)の発熱素線2を定ピッチでスパイラル状に巻回し、
この外周にナイロン−11,ナイロン−12等のポリア
ミド樹脂を押出しして熔断層3aを設け、この熔断層3
aの外周に温度検知線と信号線を兼ねるニッケル線4a
をスパイラル状に巻回し、更に最外層にポリ塩化ビニル
樹脂(PVC)を押出ししてシース7を設けた構造とな
っている。なお、前記PVCを押出ししてシース7を設
ける工程に於いて、ポリアミド熔断層3aのPVCの脱
塩酸による加水分解に起因する劣化を防止する目的でポ
リエステルテープ6を一般に介在させている。
【0003】面状採暖具は上記ヒータ線をカーペット等
の生地に敷線して用いている。またこの面状採暖具の温
度制御は、前記敷線されたヒータ線の全長に渡っての温
度をニッケル線4aの抵抗変化(ニッケル線の抵抗温度
係数=4.5×10-3)として検知し、ヒータ線全長に
渡る平均温度として温度制御を行っているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】面状採暖具は実際に使
用されている状態で局部的に折り曲げられたり、該面状
採暖具上に机や電気コタツ等が乗せられて使用されると
きは、折り曲げられた部分や机等の足が乗せられた部分
の放熱が他の部分より悪くなり、これらの部分のヒータ
線が局部的に保温(局部保温)されて昇温(局部昇温)
し、発熱素線周囲の絶縁材料,特に熔断層のポリアミド
樹脂に悪影響を及ぼし、最悪の場合には熔断層が熔断
し、発熱素線とニッケル線を短絡させ、面状採暖具の機
能を停止させてしまうという問題があった。
【0005】また、面状採暖具の温度制御はニッケル線
の抵抗温度係数の変化を利用して敷線されているヒータ
線の全長に渡る平均温度の制御を行っているが、ニッケ
ル線は温度に対する抵抗値の変化率が小さく、特に40
℃近辺より上の温度領域においては感度が鈍いという欠
点があった。また、ヒータ線の局部昇温を精度良く検知
することは不可能であった。
【0006】上記問題点を解決しようとして、ナイロン
−11,ナイロン−12等のポリアミド系樹脂のインピ
ーダンスの温度依存性(以下サーミスタB定数という)
を利用してポリアミド熔断層を感温層としても利用する
方法が種々提案されているが、何れもポリアミド樹脂の
吸湿性に起因するサーミスタB定数の変動幅が大きくて
安定しないため、殆ど実用化されていなかった。
【0007】以上の理由により、面状採暖具用ヒータ線
はヒータとセンサが別個の線よりなる二線式が主流とな
っている。しかしながら、この二線式の場合も面状採暖
具の全面の発熱温度の平均値を用いて温度制御している
ため、局部保温による局部昇温を精度良く検知して制御
することはできなかった。
【0008】本発明は上記従来技術が有する問題点を解
決するためになされたものであり、従来の一線式ヒータ
線の構造を大幅に変更することなく簡便な構造のまま、
40℃近辺より上の温度領域においても感度が良く、ポ
リアミド樹脂の吸湿によるサーミスタB定数の変動を抑
え、更に局部昇温を精度良く検知して制御することがで
きるヒータ線を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は巻芯1の外周に発熱素線2を定ピッチでスパ
イラル状に巻回し、この外周にポリオレフィンオキサイ
ドにアルカリ金属塩を溶解した高イオン導電性を示す高
分子固体電解質をポリアミド系樹脂に添加してなる熔断
層を兼ねた感温層3を設け、この熔断,感温層3の外周
に、ニッケル線4aの外側に絶縁皮膜10を設けた絶縁
ニッケル線4からなる温度検知線と、金属導体5からな
る信号線とを定ピッチでスパイラル状に並列巻きし、更
に最外層にシース7を設けた熔断層を兼ねた感温層を有
するヒータ線にある。
【0010】前記金属導体5としては銅線、銅合金線或
はめっき線が用いられる。また、アルカリ金属塩として
は過塩素酸リチウムが好ましく用いられるが、過塩素酸
カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、
過塩素酸バリウム等も使用可能である。
【0011】また前記絶縁ニッケル線4の絶縁皮膜10
は、水酸基当量が100〜150のポリオール化合物
と、遊離のイソシアネート基をフェノール,クレゾール
又はキシレノールで安定化し、かつ解離温度が140〜16
0 ℃の範囲にある安定化ポリイソシアネート化合物とを
有機溶剤に溶解したポリウレタン絶縁塗料をニッケル線
4aの外周に塗布,焼付けして設けた、はんだ付け温度
が300〜380℃の範囲にあるポリウレタン絶縁皮膜
(以下低温はんだ付ポリウレタン皮膜と略記する)が好
ましい。なお、前記ポリオール化合物の水酸基当量を1
00〜150と限定した理由は,ポリオールと安定化イ
ソシアネート化合物の反応による架橋密度,皮膜の強度
等から、この範囲のものが最も良好な皮膜が得られるか
らである。
【0012】また前記絶縁ニッケル線4の絶縁皮膜10
は、F種はんだ付け可能ポリエステルイミド絶縁塗料を
ニッケル線4aの外周に塗布,焼付けして設けた、耐熱
性がF種(155℃)以上で、かつはんだ付け可能なポ
リエステルイミド絶縁皮膜(以下はんだ付可能ポリエス
テルイミド皮膜と略記する)でも良い。
【0013】
【作用】従来の一線式ヒータ線では温度検知線と信号線
が1本のニッケル線4aで兼用されていたが、本発明の
ヒータ線では、ニッケル線4aを温度検知線としてのみ
使用し、別に金属導体5からなる信号線を設け、更にニ
ッケル線4aには絶縁皮膜10を設け絶縁ニッケル線4
としているので絶縁ニッケル線4と金属導体5をスパイ
ラル状に並列巻した場合に、ニッケル線4aと金属導体
5との電気的接触が防止され、ニッケル線4aの抵抗値
を温度変化に比例し正確に取り出すことが出来る。な
お、ニッケル線4aと金属導体5をスパイラル状に並列
巻きした場合には、両線材が接触する危険性があり、こ
の様な場合にはニッケル線の抵抗値が一定しなくなり、
温度制御が精度よく行なえなくなってしまう。
【0014】また、絶縁ニッケル線4の絶縁皮膜10と
して前記低温はんだ付ポリウレタン皮膜を用いれば、ヒ
ータ線をコントローラ回路に接続させる際、はんだ付け
温度が300〜380℃の範囲で、皮膜を剥離すること
なく直接はんだ付けが出来、接続作業が容易になる。
【0015】また、絶縁皮膜10として前記F種はんだ付
可能ポリエステルイミド皮膜を用いれば、はんだ付け性
は前記ポリウレタン皮膜より劣るが耐熱性が向上する。
なお、絶縁ニッケル線4はヒータ線の素材として用いら
れるため、絶縁皮膜10の耐熱性は高いほうがよいが、は
んだ付け性の面からみて現状はF種の耐熱性が最も汎用
である。
【0016】また、アルカリ金属塩をポリオレフィンオ
キサイドに溶解してなる高イオン導電性を示す高分子固
体電解質は導電性付与剤であり、この高分子固体電解質
の溶媒(ポリベント)として作用するポリオレフィンオ
キサイド−[-(CH2 )m -O- ]n−(但しm,n=
2〜4)をポリアミド系樹脂のマトリックス中に混合し
て疑似水和させることにより水分の吸着を物理化学的に
抑え、ポリアミド系樹脂の吸湿性を改善させる。
【0017】また、ポリオレフィンオキサイドに溶解し
ているアルカリ金属塩はポリオレフィンオキサイドと錯
体を形成し、導電性を付与するイオン性のキャリアとな
る。そして、ポリアミド系樹脂−ポリオレフィンオキサ
イド系のマトリックスの分子鎖が導電路としての機能を
果たし、更にポリアミド系樹脂の分子鎖の分子運動が重
畳し、ガラス転移点近傍でのイオン移動度が最大となる
ので、サーミスタB定数が大きな値となるものである。
従って、この導電性付与剤を添加したポリアミド系樹脂
は熔断層のみでなく感温層としても有効に作用するもの
である。
【0018】従って、本発明のヒータ線は絶縁ニッケル
線4の抵抗温度係数を利用した温度検知機能と熔断,感
温層のサーミスタB定数を利用した温度検知機能及び熔
断機能(回路ヒューズ機能)の三つの機能を有すること
になる。そして、この三つの機能を有効に利用すること
により、例えば0〜40℃位の温度領域の温度検知は広
い温度範囲に渡り抵抗変化率が一定の絶縁ニッケル線
に、また40℃近辺より上の温度領域はこの温度範囲で
インピーダンス変化率が大きい熔断,感温層に分担さ
せ、更に異常時には熔断,感温層を熔断させることによ
り局部保温,昇温等による異常時の温度上昇を精度良く
検知して制御することができる。
【0019】
【実施例】本発明のヒータ線の実施例及び比較例につい
て図を用いて説明する。なお本発明は本実施例に限定さ
れるものではない。図1は本発明のヒータ線の一実施例
を示す略図であり、同図(a)はヒータ線の構造を示す
斜視図、また同図(b)は絶縁ニッケル線の構造を示す
断面図である。図2はヒータ線の熔断温度を測定するた
めの実装回路図、図3はヒータ線のインピーダンス特性
を示すグラフ図、また図4,5はヒータ線の湿時のイン
ピーダンス特性を示すグラフ図である。
【0020】実施例 1.絶縁塗料の調製 ポリウレタン絶縁塗料の調製 水酸基当量が100〜150のトリメチロールプロパ
ン,エチレングリコール,及びテレフタル酸から合成し
たポリエステルポリオール(分子量600〜800)1
00g、トリメチロールプロパンにトルエンジイソシア
ネートを反応させ、更に遊離のイソシアネート基をフェ
ノールで安定化した3官能ポリイソシアネートブロック
体200g及びクレゾール/キシレン混合溶剤700g
を攪拌機付きの四ツ口フラスコに投入し、120℃の温
度に加温し、3時間攪拌して濃度30%のポリウレタン
絶縁塗料を調製した。
【0021】F種はんだ付可能ポリエステルイミド絶
縁塗料の調製 トリメリット酸無水物,エチレングリコール,グリセリ
ン,テレフタル酸メチルからなるポリエステル樹脂を合
成する際、ポリエステル成分としてジイミドカルボン酸
を一部反応させ、透明な低分子量のイミド基含有のポリ
エステル樹脂を調製し、さらに架橋成分としてポリイソ
シアネートブロック体を一部添加しポリエステルイミド
ウレタン系の絶縁塗料であるF種はんだ付可能ポリエス
テルイミド絶縁塗料を調製した。具体的にはTSB−1
00(東特塗料社商品名)を用いることができる。
【0022】2.絶縁ニッケル線(温度検知線)の製造 ポリウレタン絶縁ニッケル線の製造 ポリウレタン絶縁ニッケル線の製造について図1(b)
を用いて説明する。前記1.で調製したポリウレタン
絶縁塗料を導体径0.13mmのニッケル線4aに塗布,焼
付し、0.004 mm厚さのポリウレタン皮膜10を設け、
ポリウレタン絶縁ニッケル線4を製造した。なお、使用
した焼付炉は炉長4mの熱風循環炉で、炉温400〜4
50℃,線速54m/minの条件で製造した。
【0023】F種はんだ付可能ポリエステルイミド絶
縁ニッケル線の製造 F種はんだ付可能ポリエステルイミド絶縁ニッケル線の
製造について図1(b)を用いて説明する。前記1.
で調製したF種はんだ付可能ポリエステルイミド絶縁塗
料(TSB−100)を導体径0.13mmのニッケル線4
aに塗布,焼付し、0.004 mm厚さのポリエステルイミ
ド皮膜10を設け、F種はんだ付可能ポリエステルイミ
ド絶縁ニッケル線4を製造した。なお、焼付炉は前記
2.で用いた炉と同じ炉を用い、炉温450〜480
℃,線速50m/minの条件で製造した。得られた
,の絶縁ニッケル線のはんだ付け性について試験し
た結果を下記表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】3.熔断,感温層材料(高分子感温体)の
調製 熔断,感温層材料の調製方法としては、220〜240
℃に加熱した溶融混合押出機を用い、下記表2の組成物
配合表に基づいて導電性付与剤をポリアミド樹脂中に均
一に分散,混合した後、次工程のヒータ線の製造時の押
出工程に適した円柱状の粒状ペレットを調製した。この
熔断,感温層材料は高分子感温体となるものである。
【0026】
【表2】
【0027】4.ヒータ線の製造本発明の ヒータ線の製造について図1を用いて説明す
る。外径0.45mm[(250 デニール×2)×3本撚り]
に撚り上げたポリエステル繊維撚糸からなる巻芯1の外
周に発熱素線(0.13mmφ銅線)2を巻きピッチ0.85m
mでスパイラル状に巻線して素線を製造し、一旦ボビン
に巻取った(図示せず)。次に前記ボビンから素線を繰
り出し、この素線の外周に前記3で調製した高分子感温
体をヘッド温度220〜230℃,シリンダー温度22
0〜230℃の押出機を用いて押出しし熔断,感温層3
を設けた。次にこの熔断,感温層3の外周に前記2.
で製造したポリウレタン絶縁ニッケル線4と導体径0.13
mmの銅線(信号線)5を並列に、巻きピッチ1.0 mm
でスパイラル状に巻回した。次にこの外周に 0.1mm厚
さ×3mm幅のポリエステルテープを巻回してポリエス
テルテープ巻回層6を設け、更にこの外周にPVCを
0.4mm厚さに押出ししてシース7を設け、仕上外径が
2.35mmの熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線8を
製造した。
【0028】比較例 比較例のヒータ線の製造について図6を用いて説明す
る。前記実施例1と同じ素線を用い、この素線の外周に
ナイロン−12をヘッド温度220〜230℃,シリン
ダー温度220〜230℃の押出機を用いて押出しし熔
断層3aを設けた。次にこの熔断層3aの外周に導体径
0.13mmφのニッケル線4aを巻きピッチ1.0 mmでス
パイラル状に巻回した。次に実施例1と同様にしてポリ
エステルテープ巻回層6を設け、更にこの外周にPVC
を 0.4mm厚さに押出ししてシース7を設け、仕上外径
が2.35mmのヒータ線8を製造した。
【0029】ヒータ線の特性試験 前記実施例及び比較例で製造したヒータ線の特性につい
て試験した結果を表及び図を用いて説明する。表3は熔
断,感温層の熔断特性試験結果を示す表、また表4はヒ
ータ線のインピーダンス特性試験結果を示す表である。
【0030】熔断特性試験(ヒータ線の均一性試験) 前記実施例及び比較例で製造したヒータ線より3m長を
試験片として採取し、この試験片を10等分し、端末処
理して25cm長の試料を作製した。次にこれらの試料
を恒温槽内に入れてから1℃/分の割合で昇温し、図2
の実装回路を用いて熔断温度を測定した。その結果を表
3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】上記表3から明らかなように実施例のヒー
タ線の熔断温度は比較例より低く、熔断特性が良いこと
がわかる。なお比較例のポリアミド樹脂の融点は172 ℃
近辺であるが、ポリアミド樹脂熔断層の外周に信号線を
スパイラル状に巻線しているため、熔断温度としては通
常165 〜168 ℃となるものである。
【0033】ヒータ線のインピーダンス特性試験 本発明のヒータ線に用いられている熔断,感温層の温度
に対するインピーダンス特性の試験として、前記4で製
造したヒータ線より35.1m長を試験試料として採取し、
次にこの試料を0〜80℃の温度範囲の恒温槽中に放置
し、10℃間隔で、それぞれの温度が安定後1時間後に
熔断,感温層のインピーダンスを測定した。その結果を
表4及び図3に示す。
【0034】
【表4】
【0035】上記表4及び図3から明らかなように、本
発明のヒータ線は40〜80℃にかけてインピーダンス
の変化が大きく温度検知機能が優れていることがわか
る。
【0036】ヒータ線の湿時のインピーダンス特性試
験 本発明のヒータ線の吸湿に対するインピーダンス特性の
影響をみるための試験として、前記4で製造したヒータ
線より35.1m長を試験試料として採取し、次にこの試料
を温度60℃、湿度90%以上の恒温,恒湿槽中に0
(初期値),24,72,162及び312時間放置後
取り出し、0〜80℃の範囲で10℃間隔でインピーダ
ンスを測定し、ヒータ線の湿時のインピーダンス特性を
求めた。その結果を図4,5に示す。なお、実施例3に
ついては試験していない。
【0037】図4,5より明らかなように、本発明のヒ
ータ線は湿時のインピーダンス特性に大きな差がなく吸
湿に対してインピーダンス特性の影響がほとんど無いこ
とがわかる。
【0038】
【発明の効果】本発明のヒータ線は温度検知線と信号線
を分離し、また温度検知線としては絶縁ニッケル線を用
いているので、ニッケル線と信号線との電気的接触が防
止され、ニッケル線の抵抗値を温度変化に比例し精確に
取り出すことが出来る。なお、絶縁ニッケル線としてポ
リウレタン絶縁ニッケル線を用いることにより、プリン
ト基板に取り付けるとき皮膜を剥離することなく容易に
直接はんだ付け出来る。また、絶縁ニッケル線としてF
種はんだ付可能ポリエステルイミド絶縁ニッケル線を用
いることにより、はんだ付けが可能であると共に耐熱性
が向上する。
【0039】また、本発明のヒータ線はポリアミド系樹
脂に導電性付与剤として新規な高分子固体電解質を添加
してなる熔断,感温層を用いているので、ポリアミド樹
脂の吸湿性が改善され、サーミスタB定数の変動が抑え
られるようになり、またサーミスタB定数も40〜80
℃の温度領域において温度制御に充分な傾斜を有するよ
うになった。
【0040】従って、本発明のヒータ線は絶縁ニッケル
線の抵抗温度係数を利用した温度検知機能と熔断,感温
層のサーミスタB定数を利用した温度検知機能と熔断機
能(回路ヒューズ機能)の三つの機能を有するので、例
えば0〜40℃位の温度領域の温度検知は広い温度範囲
に渡り抵抗変化率が一定の絶縁ニッケル線に、また40
℃近辺より上の温度領域はこの温度範囲でインピーダン
ス変化率が大きい熔断,感温層に分担させ、両者を併用
することにより精度の高い温度制御が可能となる。また
局部昇温等による異常時の温度上昇を敏感に捉えること
が出来るようになり、更に異常時には熔断,感温層を熔
断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒータ線の一実施例を示す略図であ
る。(a)はヒータ線の構造を示す斜視図である。
(b)は絶縁ニッケル線の構造を示す断面図である。
【図2】ヒータ線の熔断温度を測定するための実装回路
図である。
【図3】ヒータ線のインピーダンス特性を示すグラフ図
である。
【図4】実施例1のヒータ線の湿時のインピーダンス特
性を示すグラフ図である。
【図5】実施例2のヒータ線の湿時のインピーダンス特
性を示すグラフ図である。
【図6】従来の一線式ヒータ線の構造を示す略図であ
る。
【符号の説明】
1 巻芯 2 発熱素線 3 熔断,感温層 4 絶縁ニッケル線(温度検知線) 4a ニッケル線 5 信号線 6 ポリエステルテープ巻回層 7 シース 8 熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線 10 絶縁皮膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 秀和 長野県上田市大字大屋300番地 東京特 殊電線株式会社 上田工場内 審査官 山岸 利治 (56)参考文献 特開 昭60−235384(JP,A) 実開 昭54−54938(JP,U) 実開 昭58−65794(JP,U)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻芯1の外周に発熱素線2を定ピッチで
    スパイラル状に巻回し、この外周にポリオレフィンオキ
    サイドにアルカリ金属塩を溶解した高イオン導電性を示
    す高分子固体電解質をポリアミド系樹脂に添加してなる
    熔断層を兼ねた感温層3を設け、この熔断,感温層3の
    外周に、ニッケル線4aの外側に絶縁皮膜10を設けた
    絶縁ニッケル線4からなる温度検知線と、金属導体5か
    らなる信号線とを定ピッチでスパイラル状に並列巻き
    し、更に最外層にシース7を設けたことを特徴とする
    断層を兼ねた感温層を有するヒータ線。
  2. 【請求項2】 前記絶縁ニッケル線4の絶縁皮膜10
    は、水酸基当量が100〜150のポリオール化合物
    と、遊離のイソシアネート基をフェノール,クレゾール
    又はキシレノールで安定化し、かつ解離温度が140〜16
    0 ℃の範囲にある安定化ポリイソシアネート化合物とを
    有機溶剤に溶解したポリウレタン絶縁塗料をニッケル線
    4aの外周に塗布,焼付けして設けた、はんだ付け温度
    が300〜380℃の範囲にあるポリウレタン絶縁皮膜
    であることを特徴とする請求項1記載の熔断層を兼ねた
    感温層を有するヒータ線。
  3. 【請求項3】 前記絶縁ニッケル線4の絶縁皮膜10
    は、F種はんだ付け可能ポリエステルイミド絶縁塗料を
    ニッケル線4aの外周に塗布,焼付けして設けた、耐熱
    性がF種(155℃)以上で、かつはんだ付け可能なポ
    リエステルイミド絶縁皮膜であることを特徴とする請求
    項1記載の熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線。
JP4300524A 1992-10-13 1992-10-13 熔断層を兼ねた感温層を有するヒータ線 Expired - Fee Related JP2747960B2 (ja)

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