JP2747698B2 - フイルム巻き装置およびブル巻きフィルムの作成方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はフィルムをスプールを用いずに巻くフィルム
巻き装置およびブル巻きフィルムの作成方法に関する。

（発明の背景） 最近、フィルムがカメラ本体内に予め内蔵されていて
撮影が終了したらカメラごと現像に出すフィルム一体型
カメラ（いわゆる使い捨てカメラ）が出回っている。

この種のカメラは、通常のカメラと違って撮影終了後
はフィルムを巻きもどさず巻き取ったままにしておく
が、その後の現像処理でフィルム自体は一旦明室に出す
ための関係から撮影を終えたフィルムは露光しないよう
にパトローネに収納しておく必要がある。フィルム一体
型カメラでも、コストアップを避け汎用の現像処理機が
そのまま使えるようにとの観点から通常のパトローネ入
りの35mmフィルム（ロールフィルムJ135JIS7519）が使
用されているが、上述したように撮影ずみのフィルムは
巻きもどさないために巻取り側に新たに空のパトローネ
を用意しそのパトローネに撮影ずみフィルムを巻き込む
ようにしたダブルパトローネ式のフィルム一体型カメラ
が市販されている。ところがフィルム一体型カメラは撮
影ずみのフィルムを巻きもどさないために、上記のダブ
ルパトローネ式ではフィルムの全コマ分撮影終了後は最
初に未露光フィルムが収納されていた方のパトローネは
空のままとなりその後使用されることもないためパトロ
ーネが無駄になり、コスト上不利である。

この点に着目した結果、通常のパトローネ入り35mmフ
ィルムをカメラに収納する前にパトローネに収納されて
いる未露光フィルムを暗室で全部引き出してスプールに
またはスプールを用いずに巻き（いわゆるブル巻き）、
その巻いた部分をカメラ本体のフィルム収納室に収納
し、空のパトローネをフィルム巻取室に収納するように
したフィルム一体型カメラが開発されている。

従来パトローネ入り35mmフィルムで未露光フィルムを
パトローネから引き出したスプールを用いずにブル巻き
する手段や方法は知られていない。

（発明の目的および構成） 本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、フィ
ルムをスプールを用いずに巻く装置を提供することを目
的とし、この目的を達成するために、フィルムを長手方
向に送るフィルム送り手段と、フィルムの送り方向にほ
ぼ直角に軸線を有するほぼ円筒状の空間を有し、該空間
の内面が前記フィルム送り手段により送り込まれるフィ
ルムを案内する滑動面となっている巻き込み手段と、該
巻き込み手段の円筒状空間内に挿入され回転する軸手段
とを有し、前記フィルム送り手段によりフィルムの先端
を前記巻き込み手段のフィルム挿入のための間隙から前
記円筒状の空間に導入して前記滑動面に沿って案内させ
るとともに、該空間内にフィルムを送り込みながら前記
軸手段を回転させ、フィルム前記軸手段上に巻き付ける
ように構成したものである。

（実施例） 以下本発明を図面に基づいて説明する。

第１図は本発明によるフィルム巻き装置の一実施例の
斜視図である。

このフィルム巻装置は、パトローネ入りの35mmのフィ
ルムのパトローネ１を支持する支持腕２と、パトローネ
１から引き出されたフィルム1aを挾んで引き出し白矢印
方向に送り出す一組のフィルム送りローラ3a,3bと、ギ
ヤ4a,4bを介して一方の送りローラ3aを駆動するモータ
５と、フィルムをスプールを用いずに巻き込むフィルム
巻込み機６と、フィルム送りローラ3a,3bにより送り出
されるフィルム1aを巻込み機６まで案内するガイド板7
a,7bとから構成されている。

フィルム巻込み機６は一対の対向して配置された案内
部材6a、6bから成り、各案内部材の対向面は断面がほぼ
半円形状をなすように凹んでいて、その内面には小さな
ローラ（直径２〜3mm程度）８が何列にも並んで配置さ
れている。両案内部材6aと6bを対向して配設すると、そ
の間にほぼ円筒状の空間が形成される。第２図はフィル
ム巻込み機６の断面を示し、第３図は一方の案内部材6b
の内面を示している。複数の小ローラ８は回転自在とな
っている。

案内部材6aおよび6bの外側には、両部材を接近させた
り離間させたりするための油圧または空圧シリンダ9aと
9bが固定されている。

一方、巻込み機６の側方には軸方向に３分割されるコ
レットチャック10が設けられていて、このコレットチャ
ック10は同軸的に離れて配置された先端が円錐形の拡開
棒11をシリンダ等でコレットチャック10に押し当てると
３分割されたチャック片が第２図に示すように拡開され
るようになっている。コレットチャック10はチャック片
が拡開した状態で軸方向に前進して全体が案内部材6aと
6bの間の円筒状空間に進入できるとともに高速回転でき
るようになっている。

さらに、パトローネ１とフィルム送りローラ3a,3bと
の間でフィルム通路の近傍にフィルムの側縁近くと挾持
できるように構成された挾持片12が設けられている。

次に、この装置を用いてフィルムをブル巻きする場合
の動作について説明する。

パトローネ入り35mmフィルムをパトローネ１を支持腕
２に支持し、パトローネ１から予め引き出されているフ
ィルム1aの線をフィルム送りローラ3aと3bとの間に差し
込む。

一方、拡開棒11をコレットチャック10に押し当ててチ
ャック片を拡開させた状でコレットチャック10全体を案
内部材6a,6b間の空間に挿入する。

以上の準備がととのたところでモータ５を回転させる
とともにコレットチャック10を高速回転させると、フィ
ルム送りローラ3aが回転してフィルム1aはパトローネ１
から引き出され、その先端はガイド板7aと7bにより案内
されて巻込み機６の案内部材6a,6bとの隙間6cから両部
材間の空間に導入される。

巻込み機６に導入されたフィルム1aはまず案内部材6b
の内面に設けられた多数の小ローラ８により内面に沿っ
て滑らかに案内され、さらに進んで今度は案内部材6aの
内面に達し、そこに設けられた多数の小ローラ８により
内面に沿って滑らかに案内される。

送りローラ3a,3bによりフィルム1aがさらに送り出さ
れると、フィルム先端はそのとき案内部材6bの内面に沿
って滑っているフィルムの内側に沿って進み、フィルム
自体のもともと有するカールが働いて第２図に鎖線で示
すようにフィルムの内側に沿って進んでいき、やがてフ
ィルムの先端は高速回転しているコレットチャック10に
すべりながら接触し最終的には巻きついてフィルムは巻
き上げられていく。

パトローネ１からフィルムが全部引き出されたところ
でモータ５およびコレットチャック10の回転を停止して
スクロールの形成が終了する。このとき挾持片12により
フィルム1aの一部を挾持する。

その後シリンダ9a,9bを働かせて案内部材6aと6bをや
や離し、巻き取られたフィルムをコレットチャック10に
巻きつけたまま巻込み機６から外し、次の工程、たとえ
ばカメラ本体のフィルム収納室に搬送する工程に移る。
この搬送作業については本発明の要旨ではないのでこれ
以上説明しない。

コレットチャック10から巻き取ったフィルムを外す際
は拡開棒11をコレットチャック10から引き離すように引
込めると３分割したチャック片が拡開前の状態にもどっ
て径が小さくなるのでブル巻きフィルムとして簡単に抜
くことができる。

上記実施例においてはフィルム巻取りを容易にするの
にコレットチャック10を用いたが、これを用いなくても
ブル巻きは可能である。また、巻込み機６において各案
内部材の内面に小ローラ８を多数配列したが、小ローラ
を設ける代りに内面を平滑にしてフィルムが滑り易くし
てもよい。

さらに、フィルムをパトローネから引き出して長手方
向に送る手段としては、実施例として示した一対のロー
ラ3a,3bのほかに、フィルムの両側縁に設けられたパー
フォレーションを利用したスプロケットでもよい。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明においては、パトローネ
入りフィルムのパトローネからフィルムを引き出し、こ
のフィルムをフィルムの送り方向に対してほぼ直角方向
の軸線を有する円筒状空間を形成する１対の対向配置さ
れた案内部材間に導入し、各案内部材の対向する内面に
設けられた滑動手段によりフィルムを滑動させながら内
側に巻込んでいくように構成したので、一方にパトロー
ネを有するブル巻きフィルムが容易に形成できる。この
ようなブル巻きフィルムをフィルム一体型カメラの製造
に用いれば製造上、コスト上有利になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるフィルム巻き装置の一実施例の斜
視図、第２図は第１図に示したフィルム巻装置の巻込み
機のＡ−Ａ断面図、第３図は同巻込み機の一方の案内部
材の内面を示す図である。 １……パトローネ、1a……フィルム、２……支持腕、3
a、3b……フィルム送りローラ、５……モータ、６……
巻込み機、6a,6b……案内部材、7,8……小ローラ、９…
10……コレットチャック、11……拡開棒、12…挾持片

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フィルムを長手方向に送るフィルム送り手
   段と、 フィルムの送り方向にほぼ直角に軸線を有するほぼ円筒
   状の空間を有し、該空間の内面が前記フィルム送り手段
   により送り込まれるフィルムを案内する滑動面となって
   いる巻き込み手段と、 該巻き込み手段の円筒状空間内に挿入され回転する軸手
   段とを有し、 前記フィルム送り手段によりフィルムの先端を前記巻き
   込み手段のフィルム挿入のための間隙から前記円筒状の
   空間に導入して前記滑動面に沿って案内させるととも
   に、該空間内にフィルムを送り込みながら前記軸手段を
   回転させ、フィルム前記軸手段上に巻き付けることを特
   徴とするフィルム巻き装置。
2. 【請求項２】前記滑動面は回転自在に設けられた小ロー
   ラ群により構成されていることを特徴とする特許請求の
   範囲第１項に記載のフィルム巻き装置。
3. 【請求項３】前記軸手段は、コレットチャックにより構
   成されており、該コレットチャックが拡開した状態で回
   転され、フィルムを拡開したコレットチャックに巻き付
   けることを特徴とする特許請求の範囲第１項または第２
   項に記載のフィルム巻き装置。
4. 【請求項４】フィルムの送り方向にほぼ直角な方向に軸
   線を有するほぼ円筒状の空間を有し該空間の内面がフィ
   ルムを案内する滑動面となっている巻き込み手段のフィ
   ルム挿入のための間隙から、フィルム送り手段によりフ
   ィルムを前記円筒状の空間に導入して前記滑動面に沿っ
   て案内させるとともに、該空間内にフィルムを送り込み
   ながら円筒状空間内に挿入された軸手段を回転させ、フ
   ィルムを前記軸手段上に巻き付けるブル巻きフィルムを
   作成することを特徴とするブル巻きフィルムの作成方
   法。