JP2746473B2 - 電動射出成形機の射出速度制御方法 - Google Patents

電動射出成形機の射出速度制御方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、電動射出成形機の射出速度制御方法に関す
るものである。
(従来の技術) 従来、加熱シリンダ内で加熱され流動化された成形材
料を高圧によって金型内に射出し、その中で冷却固化又
は硬化させ、次いで金型を開いて成形品を取り出すよう
にした射出成形機においては、射出工程でスクリュ移動
させる際に複数の設定位置でスクリュ速度が変化するよ
うに設定されている。
第2図は従来の電動射出成形機を示す図である。
図において、1は射出用サーボモータであり、該射出
用サーボモータ1の回転は、ボールねじ軸2を介してボ
ールねじナット3に伝達される。該ボールねじナット3
は、部材4と一体的に形成され、該部材4は、図示しな
いフレームの固定部材6,6′,7,7′間に架設されたガイ
ドバー5,5′に沿って、後述するスクリュ10の前後進方
向に移動自在に取り付けられる。したがって、ボールね
じ軸2の回転に伴い、部材4がガイドバー5,5′上を前
後進できる。そして。上記部材4の前後進運動はロード
セル8、ベアリング9を介してスクリュ10に伝えられ
る。
また、図示しない射出シリンダの中をスクリュ10が前
後進することによって、貯えられた溶融樹脂が金型内に
押し込まれて射出成形が行われる。この時、樹脂を押す
力がロードセル8によって反力として検出され、ロード
セルアンプ13によって増幅され、コントローラ15に入力
される。
また、スクリュ10の移動量が分かるように部材4と固
定部材6(6′,7,7′)間に位置検出器(以下、「エン
コーダ」と言う。)11が取り付けられており、該エンコ
ーダ11から出力された信号は増幅器14によって増幅さ
れ、コントローラ15に入力される。コントローラ15は、
オペレータの設定によってそれぞれの工程に応じた電流
指令をサーボアンプ12に出力し、射出用サーボモータ1
を駆動する。
上記構成により、溶融樹脂を金型内に押し込む射出工
程では、スクリュ速度をフィードバックし、金型内に押
し込まれた溶融樹脂に一定圧をかける保圧工程では、ロ
ードセル8にかかる反力をフィードバックし、それぞれ
速度、反力(射出圧)を制御することによって成形が行
われる。
ここで、従来の制御方法においては、射出工程でスク
リュが前進すると、複数のスクリュ位置に対応してスク
リュ速度が多段に変化するようになっている。
第3図は従来の電動射出成形機の射出速度制御方法の
制御ブロック図である。
図において、12はサーボアンプ、14は上記エンコーダ
11から出力された信号を増幅する増幅器、15はコントロ
ーラ、16は位置パターン発生器、17は減算器、19は補償
器である。
上記構成の制御装置において、オペレータが図示しな
い設定器によって切換位置、射出速度等の信号を入力す
ると、位置パターン発生器16はその設定された値に基づ
いて計算して位置設定パターン信号aを出力する。上記
位置設定パターン信号aは、オペレータの意図する射出
速度の設定と切換位置の関係から射出工程中における時
間と位置の関係として生成され、射出工程の開始以降の
所定時間ごとの位置信号として出力される。
上記位置設定パターン信号aは減算器17に送られ、増
幅器14から送られる実際のスクリュ位置の検出信号dが
フィードバックされて、位置偏差信号bとなって補償器
18に出力される。そして、該補償器18において補償演算
された信号は、速度指令信号cとなって上記サーボアン
プ12に出力され、射出速度が位置フィードバックによっ
て制御される。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、上記構成の電動射出成形機の射出速度
制御方法においては、位置設定パターン信号aに対し一
般的な比例制御による位置制御を施しても、その応答性
が低いために設定位置と実際のスクリュ検出位置の間に
は定常速度偏差や定常加速度偏差を生じる。
したがって、位置設定パターン信号aによって射出速
度設定を変化させようとした場合、設定位置と検出位置
に偏差があるため、オペレータの意図した速度切換位置
では速度が切り換わらないことになる。
そのため、例えばオペレータの意図する速度切換位置
に実際のスクリュ位置が達していないのに速度が切り換
わってしまうことになる。
そこで、定常速度偏差を小さくするために上記補償器
18に積分要素を入れることも考えられるが実際は、応答
にオーバシュート(行き過ぎ)が生じたり、振動が発生
したりする。
本発明は、上記従来の電動射出成形機の射出速度制御
方法の問題点を解決して、速度設定切換位置における速
度の切換え精度を向上させるとともに、操作性を向上さ
せることができる電動射出成形機の射出速度制御方法を
提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) そのために、本発明の電動射出成形機の射出速度制御
方法においては、時間に対する速度が設定される速度パ
ターン発生器と、射出開始時のスクリュ位置を記憶する
スクリュ位置記憶装置と、上記速度パターン発生器から
出力された信号を積分してストロークを求める積分器
と、上記射出開始時のスクリュ位置とストロークとを加
算して位置指令信号を生成する加算器と、該加算器から
の位置指令信号に、上記速度パターン発生器からの速度
のフィードフォワードによる操作量と、検出されたスク
リュ位置のフィードバックによる操作量を併せて速度指
令値とするようにしている。
(作用) 本発明によれば、上記のように時間に対する速度が設
定される速度パターン発生器と、射出開始時のスクリュ
位置を記憶するスクリュ位置記憶装置と、上記速度パタ
ーン発生器から出力された信号を積分してストロークを
求める積分器を有しており、上記射出開始時のスクリュ
位置にストロークが加算器によって加算されて位置指令
信号が生成される。
そして、上記加算器からの位置指令信号に、上記速度
パターン発生器からの速度のフィードフォワードによる
操作量と、検出されたスクリュ位置のフィードバックに
よる操作量を併せて速度指令値とし、該速度指令値がサ
ーボアンプに入力されるようになっている。
(実施例) 以下、本発明の実施例について図面を参照しながら詳
細に説明する。
本発明の電動射出成形機の射出速度制御方法において
は、位置制御フィードバックループに加え、速度のフィ
ードフォワードを付加して遅れのない切換えを実現して
いる。
第1図は本発明の電動射出成形機の射出速度制御方法
の制御ブロック図である。
図において、12はサーボアンプ、14はスクリュの位置
を検出するエンコーダに接続され、該エンコーダからの
信号を増幅する増幅器、15はコントローラ、17は減算
器、18は減算器17において求めた位置偏差信号を補償演
算する補償器、19は速度パターン発生器、20は積分器、
21はスクリュ位置記憶装置、22は速度パターン発生器19
において発生した速度設定パターン信号eを補償演算す
る補償器、23は加算器である。
上記構成の電動射出成形機の射出速度制御方法におい
て、オペレータが図示しない設定器によって切換位置及
び速度を設定すると、速度パターン発生器19は設定値に
基づいて速度設定パターン信号eを計算する。
該速度設定パターン信号eは、時間と射出速度の関係
として生成され、射出工程の開始以降の所定時間ごとの
速度信号として出力される。上記速度設定パターン信号
eは積分器20に入力されて積分され、移動ストローク信
号fを出力する。移動ストローク信号fは速度設定パタ
ーン信号eを積分したものであるから、その単位は位置
であり、射出開始位置からのスクリュの移動ストローク
を示す。また、射出工程開始が認識されると、コントロ
ーラ15内の図示しないシーケンス処理装置が射出開始信
号hを出力して、スクリュ位置記憶装置21に入力する。
スクリュ位置記憶装置21は、射出開始信号hを受ける
と、射出工程開始時点の検出信号dを記憶し、一回の射
出工程中その値を保持し、開始時スクリュ位置信号jと
して出力する。
上記開始時スクリュ位置信号jは、加算器23に送られ
上記移動ストローク信号fと加算される。開始時スクリ
ュ位置信号jは、射出工程開始時のスクリュ位置の信号
であり、移動ストローク信号fは射出工程開始時のスク
リュ位置からの時間に対する移動ストロークの信号であ
るから、加算結果の信号a′は、従来の電動射出成形機
の射出速度制御方法において位置パターン発生器(第3
図)から出力される位置設定パターン信号aと同じにな
る。
上記信号a′は検出信号dとともに減算器17に入力さ
れて減算され、位置偏差信号bが生成される。該位置偏
差信号bは、補償器18において補償演算され、位置制御
系としてのサーボアンプ12に対する操作量である信号i
が生成される。
また、上記速度設定パターン信号eは補償器22にも入
力されて補償演算され、遅れのない信号gとなる。そし
て、信号gと信号iを加算器24によって加算することに
よりサーボアンプ12に対する速度指令信号cが生成され
る。
この場合、上記速度指令信号cをサーボアンプ12に入
力することによって、遅れのない速度切換が可能となる
が、信号gだけによる制御の場合には、回路上のゲイン
・ゼロ点の誤差や樹脂の反力などの外乱によって射出開
始時から時間が経過するのに伴い、時間と位置、速度の
関係において実際値と設定値間でずれを生じてしまう。
本発明の電動射出成形機の射出速度制御方法の場合、信
号iによる位置制御を補正することによって遅れの無い
速度切換を行うことができ、高精度の射出速度制御が可
能となる。
なお、補償器22は、速度フィードバック系の逆システ
ムを必要とするが、単なる比例補償器であってもよい。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではな
く、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、
これらを本発明の範囲から排除するものではない。
(発明の効果) 以上詳細に説明したように、本発明によれば、射出開
始時のスクリュ位置にストロークが加算器によって加算
されて位置指令信号が生成され、該位置指令信号に、上
記速度パターン発生器からの速度のフィードフォワード
による操作量と、検出されたスクリュ位置のフィードバ
ックによる操作量を併せて速度指令値とし、該速度指令
値がサーボアンプ入力されるようになっているので、応
答性が高くなり、設定位置と実際のスクリュ検出位置の
間には偏差が生じることがない。
したがって、速度設定切換位置における速度の切換え
精度を向上させるとともに、操作性を向上させることが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の電動射出成形機の射出速度制御方法の
制御ブロック図、第2図は従来の電動射出成形機を示す
図、第3図は従来の電動射出成形機の射出速度制御方法
の制御ブロック図である。 21……サーボアンプ、14……増幅器、15……コントロー
ラ、17……減算器、18,22……補償器、19……速度パタ
ーン発生器、20……積分器、21……スクリュ位置記憶装
置、23,24……加算器。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)時間に対する速度が設定される速度
    パターン発生器と、 (b)射出開始時のスクリュ位置を記憶するスクリュ位
    置記憶装置と、 (c)上記速度パターン発生器から出力された信号を積
    分してストロークを求める積分器と、 (d)上記射出開始時のスクリュ位置とストロークとを
    加算して位置指令信号を生成する加算器と、 (e)該加算器からの位置指令信号に、上記速度パター
    ン発生器からの速度のフィードフォワードによる操作量
    と、検出されたスクリュ位置のフィードバックによる操
    作量を併せて速度指令値とすることを特徴とする電動射
    出成形機の射出速度制御方法。
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