JP2739806B2 - 光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路の製造方法

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JP2739806B2
JP2739806B2 JP5136352A JP13635293A JP2739806B2 JP 2739806 B2 JP2739806 B2 JP 2739806B2 JP 5136352 A JP5136352 A JP 5136352A JP 13635293 A JP13635293 A JP 13635293A JP 2739806 B2 JP2739806 B2 JP 2739806B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、石英系材料よりなる光
導波路の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムの大容量化が進むと同時
に、多機能の高度なシステムが求められている一方で、
光ファイバネットワークの低コスト化の要求が強い。光
導波路は光デバイスの小型化、高集積化、低コスト化に
必要不可欠なものであり、カップラー、スイッチ、フィ
ルタ、変調器などの光導波路のみで構成されるデバイス
に加えて、光導波路が形成された基板の上に半導体レー
ザ、半導体光検出器などのデバイスをハイブリッドに実
装して構成される機能デバイスなど、さまざまな検討が
なされている。現在光導波路を形成する材料としては、
石英系、強誘電体系、有機系、半導体系などが主に扱わ
れている。この中で石英系材料を用いた光導波路は導波
光の伝搬損失が最も小さいため、この光導波路を用いる
ことにより低損失デバイスが容易に実現される。また、
大口径Si基板を用いることができるため、量産が可能
で低コスト化が実現できる特徴を持っている。
【0003】図3は光導波路の構造を示す断面図であ
り、Si基板1上に石英系材料による光導波路(以後、
石英系光導波路と呼ぶ)は、通常、クラッド4−コア3
−クラッド4の3層からなる。低損失光導波路を得るに
はクラッド厚として10μm前後が必要であり、また、
コア厚としては光ファイバとの高効率結合を考慮すると
5μm前後が必要である。従って、低損失な光導波路を
実現するためには3層の合計で少なくとも25μm前後
の膜厚が必要となる。
【0004】現在、主に検討されている石英系材料の堆
積方法は火焔堆積法やシランガスを用いたCVD法であ
る。火焔堆積法は石英の粉を基板の上に堆積した後に、
1500℃前後の熱処理により石英を透明化し、光導波
路を形成する。従って、熱歪が大きいため、石英膜にク
ラックが発生しやすく、6インチなどの大口径Si基板
に適用することは困難である。また、半導体レーザなど
のデバイスをSi基板の上に実装するデバイスにおい
て、あらかじめ半導体レーザ用の電極や電気配線などを
Si基板に形成しておくことはできない。一方、シラン
ガスを用いたCVD法は緻密な石英膜が形成できる反
面、膜歪が大きいため、2インチや3インチなどの小口
径のSi基板を用いれば、低損失な光導波路が実現可能
であるが、6から8インチのSi基板を用いた場合の堆
積膜厚の限界は数μmであり、従って量産が可能で低コ
ストな光導波路デバイスをシランガスを用いたCVD法
で実現することは困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の石英系光導波路用の石英系材料の堆積では、大口径S
i基板上に光導波路形成に必要な厚さの石英系材料を堆
積することは困難であった。また、高温処理が必要なた
め、あらかじめ半導体レーザ用の電極や電気配線などを
Si基板に形成しておくことはできないという欠点があ
る。
【0006】本発明の目的は、低温でかつ大口径Si基
板上に光導波路形成に必要な厚さの石英系材料が堆積で
きる光導波路の製造方法、また光導波路を形成するSi
に光導波路を形成する前に、あらかじめMOSなどの電
子デバイスや電気配線などの各種の金属パターンを形成
することを可能にする低温で行える光導波路の製造方法
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による光導波路の
製造方法は、石英系材料よりなる光導波路において、
CVD法により石英系光導波路材料を堆積する際に、
石英系材料のソースとしてテトラエトキシシラン、テト
ラメチルオルソシリケート、トリエチルボレート、トリ
メチルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリエ
チルホスフェート、トリメチルボレート、テトラメトキ
シゲルマニウムのうちの少なくとも1種以上の有機材料
ソースを用いる。また、これらの有機材料ソースをオゾ
ンにより分解し、石英系光導波路材料を堆積する。また
その際に石英系材料に3mol%以上のPをドーピング
する。
【0008】
【作用】本発明による光導波路の製造方法は、テトラエ
トキシシラン、テトラメチルオルソシリケート、トリエ
チルボレート、トリメチルホスファイト、トリメチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルボレ
ート、テトラメトキシゲルマニウムなどの有機材料ソー
スを用い、これらの有機材料ソースをオゾンにより分解
し、石英系光導波路材料を堆積する方法を用い、かつ石
英系材料に3mol%以上のPをドーピングするため、
200℃から500℃程度の低温での厚い膜の堆積、並
びに膜歪が小さい膜の堆積が可能になる。
【0009】
【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照して
説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例に係わる光導波路
の製造方法を示す図である。図1において石英系材料を
堆積するための有機材料ソースは、気体状態で、ヒータ
ー5により200℃から500℃程度の加熱された基板
1が設置された常圧反応チャンバー2に運ばれる。同様
にオゾン(O3 )及び酸素(O2 )も常圧反応チャンバ
ー2に運ばれる。基板1表面で有機材料ソースはオゾン
により分解されるとともに、酸化などの化学反応が起こ
り、基板1表面に石英系材料が堆積される。つまり、常
圧CVD法である。
【0011】ノンドープのSiO2 (以後、NSGと呼
ぶ)を堆積するときは、有機材料ソースとしてテトラエ
トキシシラン(Si(OC2 5 4 )やテトラメチル
オルソシリケートなどのSi系の有機材料ソースを用い
る。SiO2 に燐(P)、ゲルマニウム(Ge)、ボロ
ン(B)などのドーパントをドーピングされた石英系材
料を得るときには、Si系の有機材料ソースと各ドーパ
ント系の有機材料ソースとを混合して、同時に常圧反応
チャンバー2に運べば、所望の石英系材料が得られる。
たとえば、ゲルマニウム(Ge)がドーピングされたS
iO2 (以後、GeSGと呼ぶ)を堆積するときは、有
機材料ソースとしてテトラエトキシシランやテトラメチ
ルオルソシリケートなどのSi系の有機材料ソースとテ
トラメトキシゲルマニウム(Ge(OCH3 4 )など
のGe系の有機材料ソースを同時に反応チャンバー2に
運べば、GeSGの堆積が得られる。ゲルマニウム(G
e)、燐(P)、ボロン(B)のドーパントがドーピン
グされたSiO2 (以後、GeBPSGと呼ぶ)、ゲル
マニウム(Ge)、燐(P)のドーパントがドーピング
されたSiO2 (以後、GePSGと呼ぶ)、燐
(P)、ボロン(B)のドーパントがドーピングされた
SiO2 (以後、BPSGと呼ぶ)、燐(P)のドーパ
ントがドーピングされたSiO2 (以後、PSGと呼
ぶ)も同様な手法で得られる。B系の有機ソースとして
はトリエチルボレート(B(OC2 5 3 )、トリメ
チルボレート(B(OCH3 3 )などがあり、P系の
有機ソースとしてはトリメチルホスファイト(PO(O
CH3 3 )、トリメチルホスフェート(PO(OCH
3 3 )、トリエチルホスフェート(PO(OC
2 5 3 )などが用いられる。
【0012】このような、有機ソースを用いた常圧CV
Dは膜歪が小さく、また200℃から500℃程度の低
温での堆積であるので熱的な歪が小さい。従って、光導
波路に必要な25μm程度の厚い膜を堆積できる可能性
がある。発明者はドーパント材、並びにドーパントのド
ーピング量の検討により、石英系材料に3mol%以上
のPをドーピングすることにより、6インチSi基板に
25μm以上の厚い石英系材料を堆積できることを見い
だした。また、この厚膜を堆積できるのはPSGに限ら
ず、石英系材料に3mol%以上のPをドーピングして
おけば、BやGeなどの他のドーパントがドーピングさ
れていても、すなわちBPSG、GePSG、GePS
Gなどの石英系材料でも、6インチSi基板に25μm
以上の厚い石英系材料を堆積できることを見いだした。
【0013】図2は、本発明により6インチSi基板に
30μmの厚さで堆積されたBPSGの膜厚分布を示す
特性図である。(a)は膜厚分布を示す斜視図、(b)
は膜厚分布を示す断面図である。
【0014】従って、図3の光導波路の断面図におい
て、本発明による光導波路の製造方法を用いた光導波路
では、コア3及びクラッド4の両者の石英系光導波路材
料に3mol%以上のPをドーピングしている。コアの
屈折率をクラッドに比べて大きくすることは、P、G
e、Bなどのドーパント量をクラッドに比べて多くして
やれば容易に実現できる。
【0015】以上説明したように、本発明による光導波
路の製造方法では、200℃から500℃程度の低温
で、6から8インチの大口径Si基板上に光導波路形成
に必要な30μm以上の厚さの石英系材料が堆積でき光
導波路デバイスの大量生産が可能になり、低コスト化が
得られるとともに、大規模な光導波路回路が構成できる
ようになる。また、半導体レーザ、半導体光検出器、光
スイッチをSi基板上にハイブリッドに集積する光IC
などの製作において、光導波路形成前にSi基板上に電
気配線などの各種の金属パターンやMOSなどの電子デ
バイスをあらかじめ形成することができる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、6から8インチの大口
径Si基板上に光導波路形成に必要な30μm以上の厚
さの石英系材料が堆積でき、光導波路デバイスの大量生
産が可能になり、低コスト化が得られるとともに、大規
模な光導波路回路が構成できるようになる。また、低温
での石英材料の堆積ができるため、半導体レーザ、半導
体光検出器、光スイッチをSi基板上にハイブリッドに
集積する光ICなどの製作において、光導波路形成前に
Si基板上に電気配線などの各種の金属パターンやMO
Sなどの電子デバイスをあらかじめ形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光導波路の製造方法を示す工程図
である。
【図2】本発明により6インチSi基板上に30μmの
厚さで堆積された石英系材料の膜厚分布を示す特性図で
ある。
【図3】本発明による光導波路の製造方法により形成さ
れる光導波路の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基板 2 反応チャンバー 3 コア 4 クラッド 5 ヒーター

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石英系材料よりなる光導波路の製造方法
    において、テトラエトキシシラン、テトラメチルオルソ
    シリケート、トリエチルボレート、トリメチルホスファ
    イト、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
    ト、トリメチルボレート、テトラメトキシゲルマニウム
    のうちの少なくとも1種以上の有機材料ソースを用い
    CVD法により石英系光導波路材料を堆積することを
    特徴とする光導波路の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光導波路の製造方法にお
    いて、前記有機材料ソースをオゾンにより分解し、石英
    系光導波路材料を堆積することを特徴とする光導波路の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の光導波路の製造
    方法において、光導波路のコア及びクラッドをなす石英
    系光導波路材料に3mol%以上の燐(P)をドーピン
    グすることを特徴とする光導波路の製造方法。
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