JP2739781B2 - 超伝導シナプス回路 - Google Patents

超伝導シナプス回路

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JP2739781B2
JP2739781B2 JP3024225A JP2422591A JP2739781B2 JP 2739781 B2 JP2739781 B2 JP 2739781B2 JP 3024225 A JP3024225 A JP 3024225A JP 2422591 A JP2422591 A JP 2422591A JP 2739781 B2 JP2739781 B2 JP 2739781B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアーティフィシャルニュ
ーラルネットワークをデバイス上に実現するための基本
素子となるニューロン素子より詳しくは超伝導ニューロ
ン素子に関する。
【0002】
【従来の技術】人間の脳の情報処理方法を模倣したいわ
ゆるアーティフィシャルニューラルネットワークをデバ
イス上に実現するための基本素子となるニューロン素子
は従来半導体集積回路を用いて作られてきた。これに対
してニューロン素子に超伝導体を用いると、超伝導体を
用いた素子は消費電力が極端に小さいため配線部分等で
の発熱が抑制できるという利点がある。また超伝導集積
回路では本質的に能動素子(ジョセフソン素子)が3次
元化しやすく、能動素子の3次元化が難しい半導体集積
回路に比べてニューロン素子間の配線が大幅に容易にな
るという利点もあった。
【0003】本発明者は超伝導体を用いたニューロン素
子として次に示すような超伝導ニューロン素子を案出し
ている。この超伝導ニューロン素子の一例を図7に示
す。
【0004】図7のニューロン素子は他ニューロン素子
または外部からの入力線101、超伝導閉ループ10
2、バイアス入力端103、ジョセフソン素子一個から
なるスイッチングエレメント104、一個のジョセフソ
ン素子からなる出力ゲート105、他のニューロン素子
の超伝導閉ループと磁気的に結合した出力線106、出
力線のリセットゲート107、リセット信号線108か
ら構成される。図7ではファンイン、ファンアウト数は
それぞれ5とした。
【0005】5本の入力線101はそれぞれ独自の相互
インダクタンスで超伝導閉ループ102と磁気的に結合
している。相互インダクタンスM1 、M2 、M3
4 、M5 の値は、それぞれ4pH、1pH、5pH、
2pH、3pHである。超伝導閉ループ102全体のイ
ンダクタンスは配線部分のインダクタンス3pHを合わ
せて18pHとなる。また入力電流は、全て0.6mA
としI1 、I3 、I4 、とI2 、I5 、とでは、超伝導
閉ループ102との結合部に対して、流れる向きを逆に
する。例えば、インダクタンスM1 で超伝導閉ループ1
02と結合した入力線に電流I1 、が流れると、超伝導
閉ループ12にはI1 、によって誘起される磁場を排除
するために、(4/18)・0.6=0.13mAの循
環電流が流れる。加えて入力電流I2 、I3 、I4 、が
流れると全循環電流Icir は、Icir =0.13−0.
03+0.17+0.07=0.34mAとなる。ここ
で第2項の符号がマイナスなのは、電流I2 の向きが他
の電流と逆向きであるため誘起される循環電流の向きが
逆向きになるからである。このため電流I1 、I3 、I
4 は興奮性の信号となり、電流I2 、I5 は抑圧性の信
号となる。
【0006】バイアス入力端103からバイアス電流
0.6mA流すと、出力線108側のブランチおよび入
力線101と磁気結合した側のブランチのインダクタン
スはスイッチングエレメント104を含むブランチのイ
ンダクタンスに比べて著しく大きいため、バイアス電流
はほとんど全てスイッチングエレメント104を含むブ
ランチの方に流れる。スイッチングエレメント104
は、臨界電流値が0.8mAの1個のジョセフソン素子
からなる。このスイッチングエレメント104に上記値
のバイアス電流を流した場合、超伝導閉ループ102に
循環電流Icir が図7に示した向きに、0.20mA以
上流れると、バイアス電流と循環電流が足し合わされて
スイッチングエレメント104に流れる電流がその臨界
電流値を越えるため、スイッチングエレメント104は
電圧状態にスイッチし、バイアス電流0.6mAが出力
線106および入力線101と磁気結合したブランチに
流れる。出力線106側のブランチのインダクタンスは
通常入力線101と磁気結合したブランチのインダクタ
ンスよりずっと大きい。このためバイアス電流は、ほと
んど入力線101と磁気結合したブランチに流れこむ。
このとき出力ゲート105の臨界電流値を0.4mAと
すれば、出力ゲート105はスイッチし、バイアス電流
はすべて出力線106側のブランチに流れ込む。
【0007】このように図7に示した超伝導ニューロン
素子を用いれば、各入力それぞれに重みをつけて足し合
わせ(シナプス動作)、その和があるしきい値を越える
と出力を出す(ニューロン動作)ニューロン素子の基本
動作を行わせることができる。
【0008】また、出力線106に流れた電流は、バイ
アス電流が立ち下がった後も出力線106とスイッチン
グエレメント105を含むパスからなる超伝導閉ループ
に流れ続ける。この電流をリセットするためにリセット
信号線108に適当な電流を流してやりリセットゲート
107を電圧状態にスイッチする。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ニューラルネットワー
クの重要な特徴の一つに入力に対して最適な出力が得ら
れるよう学習により各ニューロン間の結合の強さ(重
み)を調節することがある。そのためには、各ニューロ
ン間の結合の強さは可変である必要がある。しかし前述
の超伝導ニューロン素子では各ニューロン間の結合の強
さは、結合部分の相互インダクタンス値で決定されるた
め変えることはできなかった。
【0010】本発明の目的は、各ニューロン間の結合の
強さを変えることができ、学習による結合の強さ(重
み)の調節が可能となる超伝導シナプス回路を提供する
ことにある。
【課題を解決するための手段】本願第1の発明によれ
ば、他ニューロン回路からの出力の電流または外部から
の信号電流からなる入力電流をゲート電流とするジョセ
フソン素子を用いたゲートと、このゲートに制御電流を
供給する重みメモリと、超伝導ニューロン回路の入力部
超伝導閉ループと磁気的に結合し、かつ前記ゲートと並
列に配置された重みインダクタンスを少なくとも含み、
前記ゲートのスイッチにより前記入力電流を前記重みイ
ンダクタンスに流し前記超伝導閉ループに循環電流を誘
起させることを特徴とする超伝導シナプス回路が得られ
る。
【0011】本願第2の発明によれば、他ニューロン回
路からの出力電流または外部からの信号電流からなる入
力電流をゲート電流とするジョセフソンン素子を用いた
ゲートと、このゲートに制御電流を供給する重みメモリ
と、超伝導ニューロン回路の入力部超伝導閉ループと磁
気的に結合し、かつ前記ゲートと並列に配置された重み
インダクタンスを少くとも含むユニットが微数個直列に
接続され、前記ゲートのスイッチにより前記入力電流を
前記重みインダクタンスに流し、スイッチする前記ゲー
トに付髄した前記重みインダクタンスの値の組み合せに
より所望の値の循環電流を前記超伝導閉ループに誘起す
ることを特徴とする超伝導シナプス回路が得られる。
【0012】本願の第3の発明を用いれば、他ニューロ
ン回路から出力電流、または外部から信号電流からなる
入力電流と重みメモリからの信号電流を制御電流とする
ジョセフソン素子を用いた磁界結合型ANDゲートと、
超伝導ニューロン回路の入力部超伝導閉ループと磁気的
に結合しかつ前記ANDゲートと並列に配置された重み
インダクタンスを少くとも含むユニットが複数個直列に
接続され、前記ANDゲートのスイッチにより前記重み
インダクタンスに電流を流し、スイッチする前記AND
ゲートに付随した前記重みインダクタンスの値の組み合
せにより所望の値の循環電流を前記超伝導閉ループに誘
起することを特徴とする超伝導シナプス回路が得られ
る。
【0013】本願第4の発明を用いれば、ジョセフソン
素子を用いた第1のゲートと、この第1ゲートと磁気的
に結合しかつジョセフソン素子を用いた第2のゲートを
含む超伝導メモリループと、前記第2のゲートにゲート
電流を供給するゲート電流路と、前記第2のゲートに制
御電流を供給する制御電流路と、超伝導ニューロン回路
の入力部超伝導閉ループと磁気的に結合しかつ前記第1
のゲートと並列に配置された重みインダクタンスを少く
とも含み、前記超伝メモリループに蓄えられた循環電流
の有無により前記第1のゲートのスイッチを制御し前記
超伝導ループに誘起される循環電流値を制御することを
特徴とする超伝導シナプス回路が得られる。
【0014】
【作用】ニューロン素子のシナプス回路は、与えられた
入力Xに対してある重みWをかけ合わせ積W・Xを作り
ニューロン回路に送る動作を行う。ニューロン回路で
は、各シナプス回路からの出力を足し合わせその和(下
記の式)があるしきい値を越えると出力を出す働きをす
る。
【0015】
【0016】本発明第1の発明では、入力電流がジョセ
フソン素子を用いたゲートに流れた状態で、重みメモリ
からの出力が“1”であり前記ゲートの制御電流が流れ
ていれば、前記ゲートは電圧状態にスイッチし、入力電
流は前記ゲートに並列に配置された重みインダクタンス
の方に流れる。一方重みメモリからの出力が“0”であ
れば前記ゲートには制御電流は流れず前記ゲートは超伝
導状態を保つ。重みインダクタンスを含むパスのインダ
クタンスを前記ゲートを含むパスのインダクンスよりず
っと大きくしておくか、重みインダクタンスを含むパス
に抵抗成分を挿入しておけば、前記ゲートが超伝導状態
にある間は、重みインダクタンスには電流はほとんど流
れない。重みインダクタンスに電流が流れると重みイン
ダクタンスと磁気的に結合した超伝導ニューロン素子の
入力部超伝導閉ループに循環電流が誘起される。この循
環電流の値Icir は超伝導閉ループの総インダクタンス
をL、重みインダクタンスとの結合インダクタンスを
M、重みインダクタンスに流れる電流をIとするとI
cir =(M/L)Iとなる。以上述べたように重みメモ
リの“1”、“0”を前述した重みWに対応させ、(M
/L)Iを入力Xに対応させれば、本発明の回路はニュ
ーロン回路に入力Xと重みWの積を供給するシナプス回
路である。
【0017】本願第2の発明では、第1の発明で述べた
回路一つのユニットとしそれを複数個直列に結合してい
る。この場合、超伝導閉ループに誘起される循環電流値
cir は次式のようになる。
【0018】
【0019】ここでmは直列に結合された回路の数であ
り、Mi 、Ai はそれぞれi番目のゲートと並列に配置
された重みイングクタンスと超伝導閉ループとの結合イ
ンダクタンス、i番目のゲートに制御電流を与える重み
メモリの“1”、“0”の値である。本発明の回路で
は、重みメモリの値Aiの組み合わせによって、多種類
のIcir の値を得ることができる。つまり選択できる重
みの値が多種類となる。
【0020】本願第3の発明では、入力電流と重みメモ
リからの出力電流がANDゲートの制御電流となってお
り、両者が“1”の場合だけ重みインダクタンスに電流
が流れる回路を一つのユニットとし、そのユニットを複
数個直列に結合している。このことにより入力電流が流
れたときに、重みメモリの値に応じた循環電流を超伝導
閉ループに誘起するシナプス回路を得ることができる。
【0021】本願第4の発明では、重みメモリとしてジ
ョセフソン素子を用いた第2のゲートを含む超伝導メモ
リループを使用している。超伝導メモリループは前記ス
イッチが電圧状態になったときのゲート電流の値に応じ
て、循環電流をその中に貯えることができ、その値は、
次に前記第2のゲートをスイッチさせるまで変わらな
い。超伝導メモリループの一部は、重みインダクタンス
と並列に配置された第1のゲートの制御線となってお
り、超伝導メモリループに貯えられた循環電流に応じ
て、前記第1のゲートをスイッチさせ重みインダクタン
スに電流を流すことができる。このことにより超伝導メ
モリループに貯えられた循環電流に応じて超伝導ニュー
ロン素子の入力部超伝導閉ループに循環電流を誘起する
シナプス回路が得られる。
【0022】
【実施例】(実施例1)図1は第1の発明の実施例を説
明するための図である。以下図1を用いて第1の発明の
実施例の説明を行う。
【0023】本シナプス回路は、ジョセフソン素子を用
いたゲート11、他ニューロン回路からの出力電流また
は外部からの信号電流が本シナプス回路の入力電流Iin
として供給される入力線12、重みメモリ13、ゲート
11と並列に配置された重みインダクタンス14、リセ
ットゲート15、リセット信号線16で構成される。ゲ
ート11は入力線12からゲート電流を供給され、重み
メモリ13から制御電流を供給される。また重みインダ
クタンス14は(従来の技術)の項で述べた超伝導ニュ
ーロン素子の入力超伝導閉ループ102と磁気的に結合
しており、その相互インダクタンスは3pHである。ま
た超伝導閉ループ102の全インダクタンスは60pH
である。リセットゲート15は重みインダクタンス14
と直列に配置される。
【0024】本実施例ではゲート11として、図2に等
価回路に示す2接合量子干渉計を用いる。2接合量子干
渉計は、超伝導閉ループにジョセフソン素子21を2個
含んでおり、ゲート電流23からゲート電流Ig が供給
され、インダクタンス22を介して制御電流路24から
制御電流Ic が供給される。また2接合量子干渉計は図
3に示すしきい値特性を有しており、動作点がしきい値
の山の中にあるときは、超伝導状態にあるが、動作点が
しきい値の山の外に出ると電圧状態にスイッチする。本
実施例では、ジョセフソン素子21の臨界電流値をそれ
ぞれ0.4mA、インダクタンス22の値をそれぞれ
0.85pHとする。
【0025】入力線12を通して入力電流Iinが0.6
mA供給されると、Iinは、ゲート11を含むパスと重
みインダクタンス14を含むパスのインダタンス比に応
じて分流する。ゲート11とリセットゲート15の等価
インダクタンスをそれぞれ0.4pH、重みインダクタ
ンス14の自己インダクタンス値を10pHとすると、
inは約96%がゲート11を含むパスに流れる。この
とき重みメモリからの出力が“1”であり重み電流Iw
が0.6mA流れているとゲート11は電圧状態にスイ
ッチする。
【0026】このスイッチを図3のしきい値特性を用い
て説明する。重み電流Iw だけが流れているときは動作
点は図3の32にあるが入力が電流Iinが供給されると
動作点は33に移りしきい値の山の外に出るためゲート
11は電圧状態にスイッチする。一方入力電流Iinが先
に流れて動作点が31にある場合も重み電流Iw が流れ
ることによって動作点が33に移り、ゲート11は電圧
状態にスイッチする。
【0027】ゲート11が電圧状態にスイッチすると入
力電流Iinはすべて重みインダクタンス14を含むパス
の方向に流れる。重みインダクタンス14に電流が流れ
ると重みインダクタンス14と超伝導ニューロン素子の
超伝導閉ループ102間の相互インダクタンス3pHと
超伝導閉ループ102の全インダクンス60pHおよび
入力電流Iin=0.6mAによって3/60×0.6=
0.03mAの循環電流が超伝導閉ループ102中に誘
起される。この循環電流は、他シナプス回路による循環
電流と足し合わされその値が一定値を超えるとスイッチ
ングエレメント104が電圧状態にスイッチし、出力線
106を通って出される。
【0028】一方重みメモリ13からの出力が“0”で
あり重み電流Iw が流れないと、ゲート11は超伝導状
態のままであり、重みインダクタンス14を含むパスに
は電流は流れず、従って超伝導閉ループ102にはこの
シナプス回路による循環電流は流れない。
【0029】また一度重みインダクタンス14に電流が
流れると、入力電流が立ち下がった後も重みインダクタ
ンス14とゲート11を含む超伝導閉ループには電流が
流れつづける。そこで本実施例では重みインダクタンス
14と直列にリセットゲート15を挿入し、適当なタイ
ミングでリセット信号線を通して電流を流してやること
により、リセットゲート15を電圧状態にスイッチさ
せ、重みインダクタンス14とゲート11からなる超伝
導閉ループの電流をリセットする。このリセットゲート
15としては、図2に示した2接合量子干渉計を用いる
ことができる。
【0030】以上説明したように本実施例の回路を用い
れば、重みメモリの“1”、“0”の値Wと入力電流I
inの積に対応した循環電流を超伝導ニューロン回路の超
伝導閉ループに誘起することができ、本実施例の回路
が、2値の重みを持ったシナプス回路として働くことが
わかる。
【0031】また本実施例では、ゲート11、リセット
ゲート15として2接合量子干渉計を用いたが、インラ
インゲートや3接合量子干渉計等の他の種類のジョセフ
ソン接合を用いたゲートを用いることもできる。さらに
リセットゲート15の代わりに、値の小さな抵抗体を重
みゲート14と直列に挿入することもできる。
【0032】(実施例2)図4は、第2の発明の実施例
を説明するための図である。以下図4を用いて第2の発
明の実施例の説明を行う。
【0033】本シナプス回路は、ジョセフソン素子を用
いたゲート11、他ニューロン回路からの出力電流また
は外部からの信号電流が本シナプス回路の入力電流Iin
として供給される入力線12、重みメモリ13、ゲート
11と並列に配置された重みインダクタンス14、リセ
ットゲート15、リセット信号線16で構成されたユニ
ットが4個直列につながっている。図4上から上記ユニ
ットをA、B、C、Dと名付けるとA、B、C、Dの重
みインダクタンス14と超伝導ニューロン素子の入力部
起伝導閉ループ102間の相互インダクタンスの値の比
は1:2:4:8になっている。4個のゲート11は入
力線12からゲート電流Iinを供給されそれぞれに付属
したメモリ13から制御電流Iw を供給される。またそ
れぞれの重みインダクタンス14は(従来の技術)の項
で述べた超伝導ニューロン素子の入力部超伝導閉ループ
102と磁気的に結合している。
【0034】本実施例ではゲート11として図2に等価
回路を示す2接合量子干渉計を用いる。2接合量子干渉
計は超伝導閉ループにジョセフソン素子21を2個含ん
でおり、ゲート電流路23からゲート電流Ig が供給さ
れ、インダクタンス22を介して制御電流路24から制
御電流Ic が供給される。また2接合量子干渉は図3に
示すしきい値特性を有しており、動作点がしきい値の山
の中にあるときは、超伝導状態にあるが、動作点がしき
い値の山の外に出ると電圧状態にスイッチする。本実施
例ではジョセフソン素子21の臨界電流値がそれぞれ
0.4mA、インダクタンス22の値がそれぞれ0.8
5pHの2接合量子干渉計を用いる。
【0035】入力線12を通して入力電流Iinが0.6
mAが供給されるとIinはゲート11を含むパスと重み
インダクタンス14を含むパスのインダクタンス比に応
じて分流する。ゲート11とリセットゲート15の等価
インダクタンスをそれぞれ0.4pH、A、B、C、D
の重みインダクタンスの自己インダクタンス値をそれぞ
れ10pH、20pH、30pH、80pHとすると、
A、B、C、Dのゲート11にはそれぞれ96%、98
%、99%、99.5%の入力電流Iinが流れる。この
とき重みメモリからの出力が“1”であり重み電流Iw
が0.6mA流れているユニットのゲート11は動作点
が図3の動作点32から動作点33に移りしきい値の山
の外に出るため電圧状態にスイッチし、入力電流はすべ
て重みインダクタンス14を含むパスに流れる。入力電
流Iinが先に流れて、重み電流Iw が後から流れても、
図3動作点は、動作点31から動作点33に移るため同
様にゲート11はスイッチする。一方重みメモリからの
出力が“0”であり重み電流Iw が流れていないユニッ
トのゲート11は超伝導状態を保ち、重みインダクタン
ス14には電流はほとんど流れない。
【0036】本実施例ではA、B、C、D各ユニットの
重みインダクタンス14と超伝導ニューロン素子の入力
部超伝導閉ループ102との相互インダクタンスの比は
1:2:4:8になっているため、ユニットAの重みイ
ンダクタンス14と超伝導閉ループ102間の相互イン
ダクタンスをM、超伝導閉ループ102の総インダクタ
ンスをLとすると、各重みメモリ13からの出力の組み
合せによって、超伝導閉ループには、M/L・(WA
2WB +4Wc +8WD )・Iinの循環電流が誘起され
る。ここでWA 、WB 、WC 、WD はそれぞれユニット
A、B、C、Dの重みメモリ13からの出力で“0”ま
たは“1”の値をもつ。つまり本回路は、WA 、WB
C 、WD の組み合せで、4ビットの異なる値の循環電
流を超電流を超伝導閉ループ102中に誘起できる。
【0037】本回路によって超伝導閉ループ102中誘
起された循環電流は他のシナプス回路による循環電流と
足し合せられ、その値があるしきい値を超えると超伝導
ニューロン素子のスイッチングエレメント104が電圧
状態にスイッチし、出力線106に出力が出される。
【0038】また一度重みインダクタンス14に電流が
流れると、入力電流が立ち下がった後も、重みインダク
タンス14とゲート11を含む超伝導ループには電流が
流れつづける。そこで本実施例では重みインダクタンス
14と直列にリセットゲート15を挿入し、適当なタイ
ミングでリセット信号線を通して電流を流してやること
により、リセットゲート15を電圧状態にスイッチさ
せ、重みインダクタンス14とゲート11からなる超伝
導閉ループの電流をリセットする。このリセットゲート
15としては、図2に示した2接合量子干渉計を用いる
ことができる。
【0039】以上説明したように本実施例の回路を用い
れば、入力電流Iinに対して各ユニットの重みメモリ1
3の値の組み合せにより4ビットの異なる値の循環電流
を超伝導閉ループ中の誘起でき、本実施例の回路は、4
ビットの可変重みを持つシナプス回路として動作する。
本実施例では、ユニット数を4とし各ユニットの重み
インダクタンスの値の比を1:2:4:8としたが、ユ
ニットの数を変えたり、各ユニットの重みインダクタン
スの値の比を変えることで、所望の可変重みを有するシ
ナプス回路を構成できる。
【0040】また本実施例では、ゲート11、リセット
ゲート15として2接合量子干渉計を用いたが、インラ
インゲートや3接合量子干渉計等の他種類のジョセフソ
ン接合を用いたゲートを用いることもできる。さらにリ
セットゲート15の代わりに、値の小さな抵抗体を重み
インダクタンス14と直列に挿入することもできる。
【0041】(実施例3)図5は、第3の発明の実施例
を説明するための図である。以下図5を用いて、第3の
発明の実施例の説明を行う。
【0042】本シナプス回路は、ジョセフソン素子を用
いたゲート11、他ニューロン回路からの出力電流また
は、外部からの信号電流が本シナプス回路の入力電流I
inとして供給される入力線12、重みメモリ13、外部
からのゲート電流Ig によってバイアスされ、入力電流
inと重みメモリ13からの出力電流Iw を制御電流と
する磁界結合型ANDゲート51、ANDゲート51と
並列に配置され超伝導ニューロン素子の入力部超伝導閉
ループ102と磁気的に結合した重みインダクタンス1
4、リセットゲート15、リセット信号線16で構成さ
れたユニットが4個直列につながっている。図5上から
上記ユニットをA、B、C、Dと名付けると、A、B、
C、Dの重みインダクタンス14と超伝導閉ループ10
2間の相互インダクタンスの値の比は、1:2:4:8
になっている。
【0043】本実施例では、ANDゲート51として図
2に等価回路を示す2接合量子干渉計を用いる。2接合
量子干渉計は、超伝導閉ループにジョセフソン素子21
を2個含んでおり、ゲート電流路23からゲート電流I
g が供給され、インダクタンス22を介して制御電流路
24から制御電流Ic が供給される。なお図2では制御
電流路24は一本しか示してないが、本ゲートはAND
ゲートであるため、制御電流路24は2本となる。また
2接合量子干渉計は、図3に示すしきい値特性を有して
おり、動作点がしきい値の山の中にあるときは、超伝導
状態にあるが、動作点がしきい値の山の外に出ると電圧
状態にスイッチする。
【0044】本実施例では、ジョセフソン素子21の臨
界電流値がそれぞれ0.4mA、インダクタンス22の
値がそれぞれ0.85pHの2接合量子干渉計を用い
る。
【0045】ANDゲート51にゲート電流Ig が0.
4mA供給された状態で、入力線12を通して入力電流
inが0.3mA供給されると、ANDゲート51の動
作点は、図3の動作点34から、動作点35に移る。動
作点35はしきい値の山の内側にあるので、これだけで
は、ANDゲート51はスイッチしない。この状態に、
重みメモリ13からの出力電流Iw が0.3mAある
と、動作点は図3の動作点35から動作点36に移りし
きい値の山の外に出るため、ANDゲート51は電圧状
態にスイッチする。また、重みメモリからの出力電流I
w だけが流れており、入力電流Iinが流れていない状態
でも、動作点は動作点35にありANDゲート51はス
イッチしない。
【0046】ANDゲート51が電圧状態にスイッチす
ると、ゲート電流Ig はすべて重みインダクタンス14
を含むパスの方に流れる。重みインダクタンス14に電
流が流れると、超伝導ニューロン回路の超伝導閉ループ
102に循環電流が誘起される。本実施例では、A、
B、C、D各ユニットの重みインダクタンス14と、超
伝導閉ループ102との相互インダクタンス値の比は、
1:2:4:8になっているため、ユニットAの重みイ
ンダクタンス14と超伝導閉ループ102間の相互イン
ダクタンスをM、超伝導閉ループ102の総インダクタ
ンスをLとすると、超伝導閉ループに誘起される循環電
流Icir は次式で表わされる。
【0047】Icir =M/L・(GA +2GB +4GC
+8GD )・Ig ここでGA 、GB 、GC 、GD はユニットA、B、C、
Dのゲートの51のスイッチの有無を表す“1”、
“0”の値である。入力電流Iin、重みメモリからの出
力電流Iw を“1”、“0”のデジタル信号として取り
あつかうと、Gi =Iin・IwiとなるのでIcir は次式
のように書ける。(Gi 、IwiはユニットiのANDゲ
ート51のスイッチおよびIw の有無を表す。) Icir =M/L・(Iin・IwA+2Iin・IwB+4Iin
・IwC+8Iin・IwD)・Ig =M/L・Ig ・I
in(IwA+2IwB+4IwC+8IwD) L、M、Ig の値は一定であるため、本回路は、デジタ
ル信号Iinに対して、0から15までの4ビットの重み
を付けて、その重みに対応した循環電流Icir と超伝導
ニューロン素子の入力部超伝導閉ループ102に誘起す
るシナプス回路である。
【0048】本シナプス回路によって超伝導閉ループ1
02中に誘起された循環電流は、他シナプス回路による
循環電流と足し合せられ、その値があるしきい値を超え
ると超伝導ニューロン回路のスイッチングエレメント1
04が電圧状態にスイッチし、出力線106に出力が出
される。
【0049】また一度重みインダクタンス14に電流が
流れると、入力電流が立ち下がった後も、重みインダク
タンス14とゲート11を含む超伝導ループには電流が
流れつづける。そこで本実施例では重みインダクタンス
14と直列にリセットゲート15を挿入し、適当なタイ
ミングでリセット信号線を通して電流を流してやること
により、リセットゲート15を電圧状態にスイッチさ
せ、重みインダクタンス14とゲート11からなる超伝
導ループの電流をリセットする。このリセットゲート1
5としては、図2に示した2接合量子干渉計を用いるこ
とができる。
【0050】以上説明したように、本実施例の回路を用
いれば、デジタル化した入力信号Iinに対して、各ユニ
ットの重みメモリ13の値の組み合せにより4ビットの
異なる値の循環電流を超伝導閉ループ中に誘起でき、本
実施例の回路は4ビットの可変重みを持つシナプス回路
として動作する。また、入力電流IinをANDゲート5
1のゲート電流として用いてないため、入力線12すな
わち他のニューロン素子の出力線106のインダクタン
ス値がANDゲートのスイッチにより、変化しない。さ
らにこのために重みインダクタンス14を含むパスのイ
ンダクタンスを十分大きくすることができ、ANDゲー
ト51がスイッチしないときのもれ電流を十分小さくす
ることができる。
【0051】本実施例では、ユニット数を4とし各ユニ
ットの重みインダクタンスの値の比を1:2:4:8と
したが、ユニット数を変えたり、各ユニットの重みイン
ダクタンスの値の比を変えることで、所望の可変重みを
有するシナプス回路を構成できる。
【0052】また本実施例では、ゲート11、リセット
ゲート15として2接合量子干渉計を用いたが、インラ
インゲートや3接合量子干渉計等の他のジョセフソン接
合を用いたゲートを用いることもできる。さらにリセッ
トゲート15の代わりに、値の小さな抵抗体を重みイン
ダクタンス14と直列に挿入することもできる。
【0053】(実施例4)図6は、第4の発明の実施例
を説明するための図である。以下図6を用いて、第4の
発明の実施例の説明を行う。
【0054】本シナプス回路は、ジョセフソン素子を用
いた特許請求の範囲の項に示す第2のゲートであるゲー
ト61、ゲート61を含む超伝導メモリループ62、ゲ
ート61にゲート電流Ig を供給するゲート電流路6
3、ゲート61に制御電流Ic を供給する制御電流路6
4、他のニューロン回路からの出力電流または外部から
の信号電流が本シナプス回路の入力電流Iinとして供給
される入力線12、入力線12と超伝導メモリループ6
2を制御線に持つ特許請求の範囲の項に示す第1のゲー
トであるANDゲート51、ANDゲート51と並列に
配置され、超伝導ニューロン回路の入力部超伝導閉ルー
プ102と磁気的に結合した重みインダクタンス14、
重みインダクタンス14と、ANDゲート15を含む超
伝導閉ループに流れる電流のリセットを行うリセットゲ
ート15、リセットゲート15に信号を与えるリセット
信号線16で構成されたユニットが4個直列につながっ
ている。図6の上方から上記ユニットをA、B、C、D
と名付けると、A、B、C、Dの重みインダクタンス1
4と超伝導閉ループ102間の相互インダクタンスの値
の比は1:2:4:8になっている。
【0055】本実施例では、ゲート61、ANDゲート
51として図2に等価回路を示す2接合量子干渉計を用
いる。2接合量子干渉計は超伝導閉ループにジョセフソ
ン素子21を2個含んでおり、ゲート電流路23からゲ
ート電流Igが供給され、インダクタンス22を介して
制御電流路24から制御電流Ic が供給される。なお図
2では、制御電流路24は一本しか示してないが、AN
Dゲート51では、制御電流路24は2本となる。また
2接合量子干渉計は図3に示すしきい値特性を有してお
り、動作点がしきい値の山の中にあるときは超伝導状態
にあるが、動作点がしきい値の山の外に出ると電圧状態
にスイッチする。本実施例ではゲート61としてジョセ
フソン素子21の臨界電流値がそれぞれ0.2mA、イ
ンダクタンス22の値がそれぞれ1.7pHの2接合量
子干渉計を用い、ANDゲート51としてジョセフソン
素子21の臨界電流値がそれぞれ0.4mA、インダク
タンス22の値がそれぞれ1.7pHの2接合量子干渉
計を用いる。
【0056】ゲート電流路63からゲート電流Ig が供
給されるとゲート電流Ig は、超伝導メモリループ62
のゲート61を含むパスと含まないパスとのインダクタ
ンスの比に対応して分流するが、ゲート61を含まない
パスのインダクタンスは、ゲート61を含むパスのイン
ダクタンスよりずっと大きいため、ゲート電流Ig のほ
とんどはゲート61を含むパスに流れる。このときゲー
ト61を含まないパスの方に分流する電流は値が十分小
さいため、ANDゲート51のスイッチに影響を及ぼさ
ない。ゲート61にゲート電流Ig が流れている状態で
制御電流路64に制御電流Ic が流れると、ゲート61
の動作点は図3の動作点31から動作点33に移り、ゲ
ート61は電圧状態にスイッチする。ゲート61がスイ
ッチするとゲート電流Ig は超伝導メモリループ62の
ゲート61を含まないパスの方に流れる。この状態から
制御電流Ic が零になり続いてゲート電流Ig が零にな
ると、超伝導の閉じたループにはその中にある磁束を保
存しようとする性質があるため、ゲート61を含む超伝
導メモリループ62にメモル電流IM が流れ続ける。超
伝導の閉じたループの中の磁束は量子磁束Φ0 =2.0
7×10-15 (Wb/m2 )で量子化されるため、超伝
導メモリループ62のゲート61を含まないパスのイン
ダクタンスをLM 、超伝導メモリループ全体のインダク
タンスをLM0とするとメモリ電流IM は次式で表わされ
る。
【0057】IM =nΦ0 /LM0 ここでnは保存される量子磁束数でありXを越えない最
大の整数を表すガウス記号[X]を用いて次式で表され
る整数である。
【0058】n=(LM g /Φ0 +0.5) 本実施例では、LM 、LM0の値をそれぞれ20pH、2
1pHとし、ゲート電流Ig を0.3mA流すと、メモ
リ電流IMは約0.3mAとなる。この時保存される量
子磁束Φ0 の数は3である。
【0059】一度超伝導メモリループ62中に流れたメ
モリ電流IM を零にもどすには、もう一度ゲート61を
電圧状態にスイッチする必要がある。そのためには、ゲ
ート電流Ig が流れていない状態で制御電流Ic だけを
流してやればよい。ゲート61は、メモリ電流IM によ
って、ゲート電流Ig を流したときに逆向きにバイアス
されており、動作点は図3の動作点37にある。この状
態から制御電流Ic が流れると、動作点は、図3の動作
点38に移りゲート61は電圧状態にスイッチし、超伝
導の閉じたループが破れるためメモリ電流IM は零にな
る。一方メモリ電流IM が流れている状態で、ゲート電
流Ig を流すと、二つの電流は互いに打ち消しあって動
作点は図3の動作点39に移り、制御電流Ic を流して
も、動作点32に移るだけなのでゲート61はスイッチ
しない。
【0060】以上述べたように、本回路では、ゲート電
流Ig と制御電流Ic を同時に流すことによって超伝導
メモリループ62に流れるメモリ電流IM を“1”にす
ることができ、制御電流Ic だけを流すことによって超
伝導メモリループ62に流れるメモリ電流IM を“0”
にすることができる。ANDゲート51は、バイアス電
流Ib でバイアスされた状態で、入力線12からの入力
電流Iinと、超伝導メモリループ62からのメモリ電流
M がともに流れると動作点が図3の動作点34から動
作点35を通り動作点36に移り電圧状態にスイッチす
る。ANDゲート51がスイッチすると、ANDゲート
51をバイアスしていたバイアス電流Ib は、重みイン
ダクタンス14の方に流れる。重みインダクタンス14
に電流が流れると、重みインダクタンス14と磁気的に
結合した超伝導ニューロン素子の超伝導閉ループ102
に循環電流が誘起される。
【0061】本実施例ではA、B、C、D、各ユニット
の重みインダクタンス14と超伝導閉ループ102との
相互インダクタンス値の比は、1:2:4:8になって
いるため、ユニットAの重みインダクタンス14と超伝
導閉ループ102間の相互インダクタンスをM、超伝導
閉ループ102の総インダクタンスをLとすると、超伝
導閉ループに誘起される循環電流Icir は次式で表わさ
れる。
【0062】Icir =M/L・(GA +2GB +4GC
+8GD )・Ib ここでGA 、GB 、GC 、GD はユニットA、B、
C、Dのゲート51のスイッチの有無を表す“1”、
“0”の値である。入力電流Iinメモリ電流IM
“1”、“0”のデジタル信号として取りあつかうとG
i =Iin・IMiとなるのでIcir は次式のように書け
る。(Gi 、IMiは、ユニットiのANDゲート51の
スイッチ、およびIM の有無を表す。) Icir =M/L・(Iin・IMA+2Iin・IMB+4Iin
・IMC+8Iin・IMD)・Ib =M/L・Ib ・I
in(IMA+2IMB+4IMC+8IMD) L、M、Ib の値は一定であるため本回路は、超伝導メ
モリループ62にメモリ電流IM が保存されているかど
うかによって、デジタル信号Iinに対して0から15ま
での4ビットの重みを付けて、その重みに対応した循環
電流Icir を超伝導ニューロン素子の入力部超伝導閉ル
ープ102に誘起するシナプス回路である。
【0063】本シナプス回路によって超伝導閉ループ1
02中に誘起された循環電流は、他シナプス回路による
循環電流と足し合せられ、その値があるしきい値を起え
ると超伝導ニューロン回路のスイッチングエレメント1
04が電圧状態にスイッチし、出力線106に出力が出
される。
【0064】また一度重みインダクタンス14に電流が
流れると、入力電流が立ち下がった後も、重みインダク
タンス14とゲート11を含む超伝導ループには電流が
流れつづける。そこで本実施例では重みインダクタンス
14と直列にリセットゲート15を挿入し、適当なタイ
ミングでリセット信号線を通して電流を流してやること
により、リセットゲート15を電圧状態にスイッチさ
せ、重みインダクタンス14とゲート11からなる超伝
導ループの電流をリセットする。このリセットゲート1
5としては、図2に示した2接合量子干渉計を用いるこ
とができる。
【0065】以上説明したように本実施例の回路を用い
れば、入力電流Iinに対して、超伝導メモリループ62
中に保存されたメモリ電流IM により重み付けを行い、
所望の循環電流を超伝導ニューロン素子の入力部超伝導
閉ループ102に誘起する。超伝導シナプス回路が得ら
れる。また、超伝導メモリループ62中に流れるメモリ
電流IM の有無はゲート電流Ig および制御電流Ic
よって制御できるため、本シナプス回路の重みは可変で
ある。
【0066】本実施例においては、超伝導メモリループ
62は実施例3で述べた回路を組み合せたか、実施例2
で述べた回路と組み合せても同様の効果を期待できる。
【0067】本実施例ではユニット数を4とし各ユニッ
トの重みインダクタンスの値の比を1:2:4:8とし
たが、ユニット数を変えたり、各ユニットの重みインダ
クタンスの値の比を変えることで、所望の可変重みを有
するシナプス回線を構成できる。
【0068】また本実施例では、ゲート11、リセット
ゲート15として2接合量子干渉計を用いたが、インラ
インゲートや3接合量子干渉計等の他のジョセフソン接
合を用いたゲートを用いることもできる。さらにリセッ
トゲート15に代わりに、値の小さな抵抗体を重みゲー
ト14と直列に挿入することもできる。
【0069】
【発明の効果】第1の発明を用いれば、入力電流に対し
て“1”、“0”二値の重み付けが可能な超伝導シナプ
ス回路が得られる。第2の発明を用いれば、入力電流に
対して所望の値の可変重み付けが可能な超伝導シナプス
回路が得られる。第3の発明を用いれば、デジタル化し
た入力電流に対して所望の値の可変重み付けが可能な超
伝導シナプス回路が得られ、しかも、重みの大きさによ
って入力線すなわち他のニューロンの出力線の負荷が変
わることがない。また重みメモリからの出力が“0”の
ときのもれ電流も十分小さくできる。第4の発明を用い
れば超伝導メモリループを用いて可変重み付けが可能な
超伝導シナプス回路が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を説明するための回路図
である。
【図2】2接合量子干渉計を説明するための回路図であ
る。
【図3】2接合量子干渉計の動作を説明するためのしき
い値特性図である。
【図4】本発明の第2の実施例を説明するための回路図
である。
【図5】本発明の第3の実施例を説明するための回路図
である。
【図6】本発明の第4の実施例を説明するための回路図
である。
【図7】従来の超伝導ニューロン素子を説明するための
回路図である。
【符号の説明】
11 ゲート 12 入力線 13 重みメモリ 14 重みインダクタンス 15 リセットゲート 16 リセット信号線 21 ジョセフソン素子 22 インダクタンス 23 ゲート電流路 24 制御電流路 31〜39 動作点 51 ANDゲート 61 ゲート 62 超伝導メモリループ 63 ゲート電流路 64 制御電流路 101 入力線 102 超伝導閉ループ 103 バイアス入力端 104 スイッチングエレメント 105 出力ゲート 106 出力線 107 リセットゲート 108 リセット信号線

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他ニューロン回路からの出力電流または
    外部からの信号電流からなる入力電流をゲート電流とす
    るジョセフソン素子を用いたゲートと、このゲートに制
    御電流を供給する重みメモリと、超伝導ニューロン回路
    の入力部超伝導閉ループと磁気的に結合しかつ前記ゲー
    トと並列に配置された重みインダクタンスを少くとも含
    み、前記ゲートのスイッチにより前記入力電流を前記重
    みインダクタンスに流し前記超伝導閉ループに循環電流
    を誘起させることを特徴とする超伝導シナプス回路。
  2. 【請求項2】 他ニューロン回路からの出力電流または
    外部からの信号電流からなる入力電流をゲート電流とす
    るジョセフソン素子を用いたゲートとこのゲートに制御
    電流を供給する重みメモリと、超伝導ニューロン回路の
    入力部超伝導閉ループと磁気的に結合しかつ前記ゲート
    と並列に配置された重みインダクタンスを少くとも含む
    ユニットが複数個直列に接続され、前記ゲートのスイッ
    チにより前記入力電流を前記重みインダクタンスに流
    し、スイッチする前記ゲートに付随した前記重みインダ
    クタンスの値の組み合せにより所望の値の循環電流を前
    記超伝導閉ループに誘起することを特徴とする超伝導シ
    ナプス回路。
  3. 【請求項3】 他ニューロン回路からの出力電流または
    外部からの信号電流からなる入力電流と重みメモリから
    の信号電流を制御電流とするジョセフソン素子を用いた
    磁界結合型ANDゲートと、超伝導ニューロン回路の入
    力部超伝導閉ループと磁気的に結合しかつ前記ANDゲ
    ートと並列に配置された重みインダクタンスを少くとも
    含むユニットが複数個直列に接続され、前記ANDゲー
    トのスイッチにより前記重みインダクタンスに電流を流
    し、スイッチする前記ANDゲートに付随した前記重み
    インダクタンスの値の組み合せにより所望の値の循環電
    流を前記超伝導閉ループに誘起することを特徴とする超
    伝導シナプス回路。
  4. 【請求項4】 ジョセフソン素子を用いた第1のゲート
    と、この第1のゲートと磁気的に結合しかつジョセフソ
    ン素子を用いた第2のゲートを含む超伝導メモリループ
    と、前記第2のゲートにゲート電流を供給するゲート電
    流路と、前記第2のゲートに制御電流を供給する制御電
    流路と、超伝導ニューロン回路の入力超伝導閉ループと
    磁気的に結合しかつ前記第1のゲートと並列に配置され
    た重みインダクタンスを少なくとも含み、前記超伝導メ
    モリループに蓄えられた循環電流の有無により前記第1
    のゲートのスイッチを制御し前記超伝導閉ループに誘起
    される循環電流値を制御することを特徴とする超伝導シ
    ナプス回路。
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