JP2739270B2 - 浄水処理装置の濾過部における滞留水での雑菌の繁殖防止方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は水道水を浄化する浄水
処理装置の濾過部における滞留水での雑菌の繁殖防止方
法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、河川や湖沼等の水道水源の水質の
低下により、有機物やアンモニア性窒素等の除去、消
毒、殺菌のために使用される塩素の量が増加し、このた
め水道水のカルキ臭が強くなっている。また、水質の富
栄養化により藻類が発生し、これによるカビ臭も悪化し
ている。水道水のこのようなカルキ臭やカビ臭は、都市
及びその周辺において顕著である。上記のような状況を
背景として、水道水の不快・有害な異臭、異物を取り除
くための浄水処理装置が一般家庭においても広く普及す
るようになってきている。

【０００３】前記浄水処理装置は活性炭と中空糸膜フィ
ルターを使用したものが多く、活性炭として用いられる
植物質活性炭や石炭質活性炭により水道水中の臭気物質
及び有機物質を吸着して除去した後、０．１μｍ程度の
微細孔を有する中空糸膜フィルターにより濾過されるよ
うになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
浄水処理装置では、浄水停止中に濾過部の滞留水に雑菌
が繁殖し易い。このため、自重による滞留水の排出及び
銀付着活性炭の使用等で対応しているが、密に充填され
た粒状の活性炭間に残留する水は排出しずらく、また銀
付着活性炭で期待する銀イオンの効果は雑菌の繁殖を遅
らせる程度のものでしかない。

【０００５】請求項１、２に記載の発明は、このような
課題を解決するものであって、

【０００６】 浄水処理装置の使用停止中に前記濾過部の
滞留水を容易に排除することができる、浄水処理装置の
濾過部における滞留水での雑菌の繁殖防止方法を提供す
ることを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、この発明の浄水処理装置は、水道から供給される
水を浄化して良質の飲料水を供給する浄水処理装置であ
って、濾過材が収納された濾過部に滞っている、浄水後
の滞留水を排出すべく、前記濾過部を回転可能に設け、
浄水時には、停止した状態で前記水を濾過する前記濾過
部を、浄水後には駆動して回転せしめ、この回転による
遠心力によって前記濾過部に滞った滞留水を排出するこ
とを特徴とするものである。前記濾過部は、この濾過部
に通すことなく使用される水道水の水流により駆動して
回転されるようにしてもよい。

【０００８】

【作用】上記のように構成された浄水処理装置の濾過部
における滞留水での雑菌の繁殖防止方法では、浄水後に
この濾過部が、例えばこの濾過部に通すことなく使用さ
れる水道水の水流により回転され、この回転による遠心
力によって前記濾過部の粒状活性炭間に毛細管現象で滞
った滞留水が排出される。

【０００９】

【実施例】以下に、この発明の実施例について、図１を
用いて説明する。図１は浄水処理装置の概略を示すもの
である。この浄水処理装置の本体ケース１には、水道水
の流入口２、導水通管３、水道水出水口４及び排水口５
が配設されている。前記流入口２は水道蛇口（図示せ
ず）と直結され、手動切換コック６によって後述する濾
過部１０に至る水路７と水道水出水口４とへ切り換えら
れるように構成されている。

【００１０】前記本体ケース１内には、部分メッシュの
２重構造に各々粒状活性炭８及び中空糸膜フィルター９
を内蔵した略円筒状の濾過部１０が、軸受け１１、１２
を介して回転自在に配設されている。この濾過部１０の
上部の浄水出口部１３は水道水通路１４と交差してお
り、この浄水出口部１３には前記水道水通路１４中にお
いて回転翼１５が設けられている。

【００１１】浄水に際して、手動切換コック６を浄水側
に切り換えることにより、これに連動してプランジャー
１６が作動し、かつ排水コック２０が閉じられる。前記
プランジャー１６の作動により、Ｌ字管１７が下方に下
がり、パッキン１８を介して浄水出口部１３の上端に密
着し、濾過部１０が回転されないように固定される。こ
のような動作は、上記の如くプランジャー１６及び電磁
弁を用いたものに限られず、前記手動切換コック６の動
作を機構的に連結したものでも実現できる。前記手動切
換コック６の浄水側への切り換えにより、水道水は図中
の矢印の経路を通り、浄水された後導水通管３を経て出
水口（図示せず）に至る。

【００１２】浄水を停止すべく、手動切換コック６を原
水（水道水）側に切り換えると、排水コック２０が開放
され、濾過部１０に滞った滞留水が、従来のものと同様
にして、その自重で排出される。前記手動コック６のこ
のような切り換えにより、プランジャー１６によってＬ
字管１７が上がり、浄水出口部１３の上端との接続が開
放され、濾過部１０の回転が自在な状態となる。この
際、濾過部１０の内圧が減少することにより、軸受け１
２の漏水防水用パッキン１９も広がり、濾過部１０の回
転が円滑になる。また、前記Ｌ字管１７が上がり、浄水
出口部１３の上端との接続が開放されることにより、導
水通管３の濾過部１０側が開放されたことになり、この
導水通管３中の滞留水が容易に排出される。

【００１３】前記手動切換コック６の原水側への切り換
え後に原水を使用すると、水道水通路１４内に流れる水
流を回転翼１５が受け、これにより濾過部１０が高速で
回転し、粒状活性炭８間に残った水がその回転によって
生じる遠心力により排出される。上記実施例では、一般
家庭においての使用パターンである、浄水−原水の繰り
返し切り換え使用に対応して濾過部１０の滞留水が排出
され、また導水通管３中の滞留水も排出される。

【００１４】尚、上記実施例では、濾過部１０の回転力
を原水使用時の水流より得るようにしたが、モーター等
の動力源により濾過部の回転力を得るようになし、この
動力源を手動切換コック６に電気的に連動させて制御す
るようにしてもよいことは言うまでもない。

【００１５】

【発明の効果】この発明は上記のように構成されている
ので、濾過部１０の滞留水を容易に排出することがで
き、濾過部１０における滞留水での雑菌の繁殖を防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施例を示す浄水処理装置の概略縦
断正面図である。

【符号の説明】

１ 本体ケース ２ 流入口 ３ 導水通管 ４ 出水口 ５ 排水口 ６ 手動切換コック ７ 水路 ８ 粒状活性炭 ９ 中空糸膜フィルター １０ 濾過部 １１ 軸受け １２ 軸受け １３ 浄水出口部 １４ 水道水通路 １５ 回転翼 １６ プランジャー １７ Ｌ字管 １８ パッキン １９ 漏水防水用パッキン ２０ 排水コック

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水道から供給される水を浄化して良質の
   飲料水を供給する浄水処理装置であって、濾過材が収納
   された濾過部に滞っている、浄水後の滞留水を排出すべ
   く、 前記濾過部を 回転可能に設け、 浄水時には、停止した状態で前記水を濾過する前記濾過
   部を、 浄水後には駆動して回転せしめ、この回転による
   遠心力によって前記濾過部に滞った滞留水を排出するこ
   とを特徴とする浄水処理装置の濾過部における滞留水で
   の雑菌の繁殖防止方法。
2. 【請求項２】 前記濾過部に通すことなく使用される水
   道水の水流により、前記濾過部を駆動して回転せしめる
   ようにしたことを特徴とする請求項１記載の浄水処理装
   置の濾過部における滞留水での雑菌の繁殖防止方法。