JP2738471B2 - 最尤系列推定器 - Google Patents

最尤系列推定器

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JP2738471B2
JP2738471B2 JP15356191A JP15356191A JP2738471B2 JP 2738471 B2 JP2738471 B2 JP 2738471B2 JP 15356191 A JP15356191 A JP 15356191A JP 15356191 A JP15356191 A JP 15356191A JP 2738471 B2 JP2738471 B2 JP 2738471B2
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保夫 庄司
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル通信の受信
機等において、伝送路の歪みを補償する等化器として使
用される最尤系列推定器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、このような分野の技術としては、
例えば次のような文献に記載されるものがあった。
【0003】文献;J.G.Proakis “ディジタル コミュ
ニケーションズ(Digital Communications) ”(198
3)McGraw-Hill (米)P.548−627近年、ディ
ジタル移動通信の開発が急速に行われているが、陸上移
動通信では遅延をともなう多数の干渉波と移動端末が高
速に移動することにより、周波数選択性フェージング
(fading)が発生して受信信号波形が著しく歪む
ため、等化器によってこの歪みを補償する必要がある。
この等化器を構成するための最尤系列推定は、周波数選
択性フェージングのように、伝送路の遅延特性に起因し
て歪んだ受信信号波形から、正しい送信データを得るた
めの最も有効な等化方式のひとつである。
【0004】まず、図2〜図4を参照しつつ、ディジタ
ル移動通信について簡単に説明する。
【0005】ディジタル移動通信では、限られた周波数
帯域を効率的に利用するため、また、固定通信網で実施
されているISDN(Integrated Service Digital Net
work、ディジタル総合ネットワーク)サービスと容易に
接続できるようにするため、時分割多重方式(Time Div
ision Multiple Access;TDMA)が用いられる見込み
である。北米標準の場合のTDMAのフレーム構成図を
図2に示す。
【0006】図2において、1フレームは6個のタイム
スロットSlot1〜6から構成されており、一つまた
は二つのタイムスロットを一加入者に割り当てる。各タ
イムスロットSlot1〜6は、28ビットの同期及び
等化器のトレーニングのためのトレーニング系列Syn
c、12ビットの制御用情報の系列SACCH、12ビ
ットの隣接チャネル識別用の系列CDVCC、260ビ
ットのデータ部DATA、及び12ビットの未使用領域
RSVDより構成されている。
【0007】図3は、ディジタル移動通信の送受信機を
示す構成ブロック図である。この送受信機では、送信機
10の出力側に、伝送路20を介して受信機30が接続
されている。送信機10は、符号化器11、送信ローパ
スフィルタ(LPF)12、及び変調器13等で構成さ
れている。受信機30は、復調器31、受信ローパスフ
ィルタ(LPF)32、等化器33、及び復号器34等
で構成されている。
【0008】この送受信機の機能を図を参照しつつ説
明する。送信機10では、入力データbm を符号化器1
1で送信シンボルxn に変換し、送信ローパスフィルタ
12によって帯域制限して送信複素ベースバンド信号s
(t)を生成する。変調器13では、送信複素ベースバ
ンド信号s(t)を搬送波によって変調し、信号s
c (t)として伝送路20へ送信する。
【0009】受信機3は、伝送路20を通った信号rc
(t)を復調器31で複素ベースバンド信号r(t)に
変換し、さらに受信ローパスフィルタ32を通して帯域
制限された受信複素ベースバンド信号y(t)を得る。
この信号y(t)をシンボル間隔Tでサンプリングす
る。等化器33では、信号y(t)のサンプル値yn
ら、周波数選択性フェージングによる伝送路20の特性
を補償し、送信シンボルを推定する。最後に復号器34
で送信シンボルの推定値Exn (但し、Eは推定の意
味)を復号し、送信されたデータEbm を得る。
【0010】例えば、北米標準の場合、符号化器11で
の符号化方式は、π/4シフト4相差動位相変調(DQ
PSK)を用いている。π/4シフトDQPSKは、ま
ず、0、1の2進データ系列bm を2ビットずつ区切
り、その4通りの値の組合せに応じて−3π/4、−π
/4、π/4、3π/4のいずれかの位相差を割り当て
る。割り当てた位相差をΔΦn (n=1,2,…)、時
刻nの送信シンボルの絶対位相をΦn として、 Φn =Φn-1 +ΔΦn …(1.1) xn =ej Φn …(1.2) により送信シンボルxn を生成する。これにより、入力
データbm は、π/4シフトDQPSKの説明図である
図4に示すように、信号空間上の点に変換される。
【0011】図4において、○印中の+は奇数番目のシ
ンボルを、○印中の×は偶数番目のシンボルを表し、あ
る時刻nから次の時刻n+1への位相変化は−3π/
4、−π/4、π/4、3π/4のいずれかとなる。
【0012】次に、前記文献に記載された最尤系列推定
について説明する。最尤系列推定は、ある有限区間での
受信信号系列yN ={y1 ,y2 ,…,yN }が得られ
たときに、伝送路のインパルス応答h(t)を既知とし
てyN を実現する確率(尤度)の最も大きい送信シンボ
ル系列xN ={x1 ,x2 ,…,xN }を推定するもの
である。この最尤系列は、伝送路雑音として白色ガウス
雑音を仮定すると、結局、 を最大にする系列{x1 ,x2 ,…,xN }を求めるこ
とによって得られる。(2)式は、畳み込み符号の復号
法として知られるビタビ・アルゴリズム(Viterbi algo
rithm )を用いて効率的に計算される。
【0013】以下、図3における伝送路モデルを示す図
5を参照しつつ、最尤系列推定におけるビダビ・アルゴ
リズムの原理について簡単に説明する。
【0014】今、伝送路を図5に示すインパルス応答が
有限の離散時間モデルで仮定する。図5において、40
はシンボル間隔Tの遅延素子、41は乗算器、42は累
算器、43は加算器である。hj (j =0,…,L)は
図3における送・受信ローパスフィルタ12,32も含
めた伝送路20のインパルス応答h(t)のシンボル間
隔Tでのサンプル値h(t−jT)であり、インパルス
応答の長さは(L+1)Tである。また、wn は伝送路
の雑音で、加法的な白色ガウス雑音である。この仮定に
より、(2)式は となる。従って、(3)式においてk=nまでの和jn
は、k=n−1までの和Jn-1 を用いて、 と表される。ここで、jn はk=1からnまでの受信信
号系列の対数尤度に比例する量であり、パスメトリック
(経路規準)と呼ばれる。また、(4)式の右辺第2項
は、次に述べる状態遷移についての対数尤度に比例する
量であり、ブランチメトリック(状態遷移規準)と呼ば
れる。
【0015】一方、図5に示した伝送路モデルの時刻n
−1における状態は、状態ベクトル Sn-1 ={xn-1 ,…,xn-L } …(5) によって表される。π/4シフトDQPSKの場合、伝
送路のとり得る状態は4L 個ある。
【0016】次に、時刻n−1の状態Sn-1 から時刻n
における状態Sn への遷移を考えると、4L 個の状態S
n の各々に対して、4通りの状態Sn-1 からの遷移があ
る。例として、π/4シフトDQPSK、L=1の場合
における伝送路状態の時間についての遷移を表す図(ト
リレス図)を図6に示す。図6では4通りのとり得る状
態について0、1、2、3の番号を付して表しており、
各時刻における各状態の数字は図4に示した送信シンボ
ルの番号を表す。時刻間の状態遷移をブランチと呼び、
また、各状態をたどる4n 通りの経路をパスと呼ぶ。
【0017】図4の各時刻の4個のとり得る状態の各々
に対して、一つ前の時刻の4個の状態からのパスがあ
る。ビタビ・アルゴリズムは、各時刻毎に、各状態にお
ける4通りの可能なパスについて(4)式のパスメトリ
ックを計算し、最も値の大きいパスを選択する。従っ
て、各時刻毎に常に4L 通りのパスが残され、過去のパ
スは次第に一つに絞られてくる。最終的に一つに収束し
たパスより、送信シンボル系列の推定値が得られる。
【0018】図7は、従来の最尤系列推定器の構成例を
示すブロック図である。この最尤系列推定器は、ビタビ
・アルゴリズム処理部50、及び伝送路推定部60で構
成されている。
【0019】受信信号のサンプル値yn はビタビ・アル
ゴリズム処理部50と伝送路推定部60に入力される。
伝送路推定部60では、まず、トレーニング系列(図2
のフレームフォーマットのSYNC)とこれに対応する
受信信号のサンプル値yn を用いて伝送路のインパルス
応答をLMS(Least Mean Sguare )等の適応アルゴリ
ズムにより推定する。さらに、伝送路推定部60では、
n と送信シンボルの推定値Exn を用いて伝送路のイ
ンパルス応答の推定を続ける。推定された伝送路のイン
パルス応答{Ehj }(j =0,…,L)はビダビ・ア
ルゴリズム処理部50に入力される。ビタビ・アルゴリ
ズム処理部50では、受信信号のサンプル値yn と推定
された伝送路のインパルス応答{Ehj }を用い、先に
述べた原理に従って送信シンボルの推定を行う。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
最尤系列推定器では、伝送路推定部60において伝送路
のインパルス応答の推定に、ビタビ・アルゴリズムによ
る送信シンボルの推定値Exn を用いるため、誤った送
信シンボルの推定値Exn を用いる場合がある。このよ
うな場合、そのまま続けて伝送路のインパルス応答の適
応推定を行うと、インパルス応答の推定値が次第にずれ
てゆき、その結果、ビタビ・アルゴリズムによる送信シ
ンボルの推定が正しく行われず、誤りが増えてしまうと
いう問題があり、それを解決することが困難であった。
【0021】本発明は、前記従来技術が持っていた課題
として、適応推定を続けるうちに伝送路のインパルス応
答の推定値が正しい値から次第にずれてゆき、ビタビ・
アルゴリズムによる送信シンボルの推定が正しく行われ
なくなるという点について解決した最尤系列推定器を提
供するものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】第1の発明は前記課題を
解決するため、時刻nにおいて送信された可能性のある
複数の送信シンボルの部分系列を状態i(i=1,…,
M)と定義し、ビタビ・アルゴリズム処理部と、伝送路
のインパルス応答を逐次推定する伝送路推定部とを備
え、送信データ系列の間に既知のデータ系列を含んだデ
ータ系列部を差動符号化して得られる送信シンボル系列
を推定する最尤系列推定器において、次のような手段を
講じている。
【0023】ここで、ビタビ・アルゴリズム処理部は、
時刻nにおける状態iに遷移し得る時刻n−1における
複数の状態のブランチメトリックを計算するブランチメ
トリック計算手段と、前記ブランチメトリック計算手段
の出力と時刻n−1のパスのパスメトリックとから時刻
n、状態iの可能な複数のパスのパスメトリックを計算
するパスメトリック計算手段と、前記パスメトリック計
算手段によって計算された時刻n、状態iの複数の可能
なパスのパスメトリックを比較して最も尤度の大きいパ
スを時刻nにおける状態iのパスとして選択するパス選
択手段と、前記パス選択手段によって選択された時刻
n、状態iのパス履歴を更新して保持するパス履歴記憶
手段と、前記パス履歴記憶手段に保持されたパス履歴を
すべての状態iについて一致しているか否かを判定して
一致している時刻までのパス履歴から送信シンボルの推
定値を出力するパス収束判定手段とを有している。
【0024】そして、この第1の発明では、前記ビタビ
・アルゴリズム処理部において、前記既知データ系列の
送信シンボル系列が送信された時刻nの状態iに遷移す
べき時刻n−1の状態を前記既知データ系列に基づいて
予め計算して記憶する中間パス記憶手段と、前記既知デ
ータ系列の送信シンボル系列が送信された時刻nにおい
て状態iに遷移し得る時刻n−1の複数の状態と前記中
間パス記憶手段に記憶された状態との一致/不一致を判
定し、不一致のときには前記パスメトリック計算手段に
よって計算されたパスメトリックの値を尤度が所定の微
小値になる値に置き換えて前記パス選択手段へ出力する
中間パス処理手段とを、設けている。
【0025】第2の発明は、第1の発明の中間パス処理
手段を、前記既知データ系列の送信シンボル系列が送信
された時刻nにおいて状態iに遷移し得る時刻n−1の
複数の状態と前記中間パス記憶手段に記憶された状態と
を比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果が一致
しない状態の前記パスメトリック計算手段によって計算
されたパスメトリックの値を尤度が所定の微小値になる
値に置き換えて前記パス選択手段へ出力する選択手段と
で、構成している。
【0026】
【作用】第1の発明によれば、以上のように最尤系列推
定器を構成したので、差動符号化された送信シンボル系
列を推定するためのビタビ・アルゴリズムを用いた最尤
系列推定器において、中間パス記憶手段では、送信デー
タ系列の間に既知のデータ系列を含んだデータ系列、例
えばTDMAフレームフォーマットの途中にある既知デ
ータ系列(既知データ区間)の伝送路の状態のとるべき
パスが、該既知データに基づいて予め計算され、該計算
値を記憶する。そして、既知データ区間の状態のパスメ
トリックを計算する際に、中間パス処理手段では、一つ
前の時刻の状態からの可能なパスのうち、前記中間パス
記憶手段に記憶されたパスと一致しないパスのパスメト
リックを尤度が非常に小さくなる値とする。これによ
り、既知データ区間のパスが自動的に正しいパスに収束
し、伝送路のインパルス応答の推定値のずれが補正さ
れ、ビタビ・アルゴリズムによる送信シンボルの推定が
正しく行われる。
【0027】第2の発明によれば、第1の中間パス処理
手段を、比較手段と選択手段とで構成したので、比較手
段によって一つ前の時刻の状態からの可能なパスと中間
パス記憶手段に記憶されたパスとの一致/不一致が判定
される。この比較手段の比較結果が不一致のときには、
該比較手段の出力に基づき、選択手段では、パスメトリ
ック計算手段によって計算されたパスメトリックの値を
尤度が非常に小さくなる値に置き換えてパス選択手段へ
出力する。これにより、的確な中間パスの処理が行え
る。したがって、前記課題を解決できるのである。
【0028】
【実施例】図1は、本発明の一実施例を示す最尤系列推
定器の機能ブロック図である。この最尤系列推定器は、
従来の図7と同様に、受信信号のサンプル値yn と推定
された伝送路のインパルス応答{Ehj }(但し、j =
0,…,L)を用いて送信シンボルの推定値Exn を求
めるビタビ・アルゴリズム処理部70と、トレーニング
系列とこれに対応する受信信号のサンプル値yn を用い
て伝送路のインパルス応答{Ehj}を推定する伝送路
推定部100とで、構成されている。この最尤系列推定
器は、大規模集積回路(LSI)等を用いた個別回路、
あるいはプロセッサによるプログラム制御等で構成され
る。
【0029】ビタビ・アルゴリズム処理部70は、前述
したビタビ・アルゴリズムの原理に従い最尤系列を推定
するものであり、受信信号のサンプル値ynを入力する
ブランチメトリック計算手段71を有し、それにはパス
メトリック計算手段71、パス選択手段73、及びパス
履歴記憶手段74が接続されている。パス履歴記憶手段
74には、パス収束判定手段75が接続されると共に、
第1および第2のカウント手段81,82が接続され、
さらに中間パス処理手段91が接続されている。中間パ
ス処理手段91には、中間パス記憶手段92が接続され
ている。記憶手段74,92は、ランダム・アクセス・
メモリ(RAM)のような半導体メモリ等で構成されて
いる。
【0030】図8は、図1中の中間パス処理手段91及
び中間パス記憶手段92の構成ブロック図である。中間
パス処理手段91は、比較手段である比較回路91a
と、その出力によって信号の選択を行う選択手段として
の選択回路91bとで、構成されている。
【0031】ここで、前記(5)式で表したML 個の可
能な状態のうちの一つを状態番号iで定義する。但し、
Mは送信シンボルの種類である。次に、状態iに遷移す
る一つ前の時刻の状態をブランチ状態と呼ぶことにし、
その番号をj(i)で定義する。QPSKの場合、状態
数は4L であり、すべての状態iについてj(i)は4
通りである。また、時刻kにおける推定送信シンボルの
候補をexk (但し、eは候補の意味)で表し、時刻n
−1での状態番号jのパス履歴を、 H(n−1,j)={exn-1 ,exn-2 ,…,ex1 } …(6) で定義する。
【0032】次に、図1に示す最尤系列推定器の動作を
説明する。受信信号のサンプル値yn はビタビ・アルゴ
リズム処理部70と伝送路推定部100に入力される。
伝送路推定部100では、まず、トレーニング系列とこ
れに対応する受信信号のサンプル値yn を用いて、伝送
路のインパルス応答をLMS等の適応アルゴリズムによ
り推定する。さらに、伝送路推定部100では、yn
送信シンボルの推定値Exn を用いて伝送路のインパル
ス応答の推定を続ける。推定された伝送路のインパルス
応答{Ehj }はビタビ・アルゴリズム処理部70内の
ブランチメトリック計算手段71に入力される。
【0033】このビタビ・アルゴリズム処理部70で
は、受信信号のサンプル値yn が入力されると、第1の
カウント手段81が状態番号iを1からML まで順に発
生する。第2のカウント手段82では、一つの状態番号
iが発生されると、ブランチ状態番号j(i)を順に発
生する。ブランチメトリック計算手段71では、状態i
及びブランチ状態j(i)によって決まる送信された可
能性のあるシンボルの部分系列{exn ,exn-1
…,exn-L }と、受信信号のサンプル値yn と、推定
された伝送路のインパルス応答{Ehj }とを用いて、
(7)式によりブランチメトリックF(i,j(i))
を計算する。 L F(i,j(i))=|yn −Σexn-j ・Ehj 2 …(7) j=0 パスメトリック計算手段72では、ブランチメトリック
F(i,j(i))と状態番号j(i)の時刻n−1の
パスメトリック値J(j(i))を用いて、状態iとブ
ランチ状態j(i)のパスのパスメトリックI(i,j
(i))を(8)式により計算する。 I(i,j(i))=J(j(i))−F(i,j(i)) …(8) 中間パス処理手段91の動作については後で説明する。
パス選択手段73では、一つの状態iについて、すべて
のブランチ状態j(i)の中からパスメトリックI
(i,j(i))の値の最も大きいものを選択する。選
択されたブランチの状態番号j(i)を生き残りのパス
の状態番号ejとすると、パスメトリックの最大値I
(i,ej)はJ()として次の時刻n+1のパスメ
トリックの計算のために、パスメトリック計算手段72
に保持される。パス履歴記憶手段74では、状態番号i
のパス履歴を生き残りパスの状態番号ejから H(n,i)={exn ,H(n−1,ej)} …(9) により更新して保持する。
【0034】以上の動作を1からML までのすべての状
態番号iについて繰り返した後、パス収束判定手段75
で、すべての状態番号iについてパスが一致しているか
どうか、パス履歴記憶手段74の内容を検索し、該パス
履歴記憶手段74の内容の一致している部分を送信シン
ボル系列の推定値{Exk }として出力する。さらに、
以上の動作をすべての受信信号のサンプル値yn につい
て繰り返し行うことにより、送信シンボル系列の推定値
{Exn }がすべて得られる。
【0035】次に、本実施例の特徴である中間パス処理
手段91と中間パス記憶手段92の動作を、図8を参照
しつつ説明する。本実施例は、TDMAのフレームフォ
ーマットの中間に既知のデータがある場合に、これを伝
送路のインパルス応答の推定に利用するものである。例
えば、図2に示した北米標準のフレーム構成の場合、T
DMAのフレームフォーマットの中間に隣接チャネル識
別用の系列CDVCCがある。これは、通話開始時に設
定され、通話中受信したデータが自分のチャネルのもの
か、あるいは同じ周波数を用いている他のチャネルのも
のかを識別するために用いる。従って、伝送路のインパ
ルス応答の推定に、この既知データのシンボル系列をト
レーニング系列として用いれば、推定を正しく行うこと
ができるわけであるが、差動符号化の場合、データがわ
かっていても、シンボルの位相変化量が決まるだけで、
既知データのシンボル系列を確定することができない。
そこで、中間パス処理手段91と中間パス記憶手段92
では、次の動作を行うことにより、既知データ区間のシ
ンボル系列を確定する。
【0036】ビタビ・アルゴリズムでは、時刻nの状態
番号iが決まると、時刻nに送信された可能性のあるシ
ンボルが一つ決まる。このシンボルの絶対位相と既知デ
ータのシンボル系列の位相変化量とから、状態iに至る
べき一つ前の時刻の状態のシンボル系列の絶対位相が計
算され、状態iに至るべきブランチ状態の番号が決ま
る。既知データ区間の時刻nにおいて状態iに至るべき
ブランチ状態の番号jx(i,n)をすべての状態番号
iについて、ビダビ・アルゴリズム処理を開始する前に
予め計算し、中間パス記憶手段92に保持しておく。
【0037】中間パス処理手段91内の比較回路91a
で、既知データ区間の時刻nにおいて状態iのブランチ
状態j(i)とjx(i,n)とを比較し、一致しない
場合には、パスメトリック計算手段72で計算されたパ
スメトリックI(i,j(i))の値を、選択回路91
bで非常に小さな値Kに置き換えてパス選択手段73へ
出力する。これにより、先に述べたビタビ・アルゴリズ
ムの繰り返し処理を行うと、パス選択手段73ではパス
メトリックI(i,j(i))の最も大きいパスを選択
するので、既知データ区間の時刻のパスは、既知データ
の位相変化量に対応した正しいパスに自動的に収束す
る。従って、既知データ区間の正しいシンボル系列が確
定する。
【0038】以上のように、本実施例では次のような利
点を有している。
【0039】(a)TDMAフレームフォーマットの途
中にある既知データ区間の伝送路の状態のとるべきパス
を、該既知データに基づいて予め計算して中間パス記憶
手段92に記憶しておき、該既知データ区間の状態のパ
スメトリックを計算する際に、一つ前の時刻の状態から
の可能なパスのうち、前記中間パス記憶手段92に記憶
されたパスと一致しないパスのパスメトリックを非常に
小さな値とすることによって、既知データ区間のパスが
自動的に正しいパスに収束するようにしている。そのた
め、既知データ区間においては正しい送信シンボルの推
定値{Exn }が得られ、伝送路のインパルス応答推定
値が正しい値からずれてゆくのを防止でき、誤り率を改
善できる。
【0040】(b)効果の一例として、2波モデルの周
波数選択性フェージング伝送路の場合のビット誤り率の
シミュレーション結果を図9に示す。横軸は1ビット当
りの信号電力対雑音電力比Eb/N0(dB)、縦軸は
ビット誤り率BERである。シミュレーション条件は、
シンボル間隔Tが41μSEC 、フェージング周波数60
Hz、遅延波の遅延が1.0Tである。図9より、本実
施例の最尤系列推定器では、従来の最尤系列推定器に比
べて約2.5dB少ないEb/N0でBER102 を得
ることができ、従って、本実施例による効果は非常に大
きい。
【0041】なお、本発明は上記実施例に限定されず、
種々の変形が可能である。その変形例としては、例えば
次のようなものがある。
【0042】(i)上記実施例では、パスメトリックの
計算式として(3)式に示した対数尤度に比例する量を
用いて説明しているが、(3)式の絶対値をパストリッ
クとしてもよい。この場合、パス選択手段73でパスメ
トリックの最小値を選択するようにし、中間パス処理手
段91では中間パス記憶手段92に保持されたパスと一
致しないパスのパスメトリックを非常に大きな値とすれ
ば良い。
【0043】(ii)最尤系列推定器として、例えば、図
5に示した構成に整合フィルタや白色化整合フィルタ等
を加え、該白色化フィルタの出力をビタビ・アルゴリズ
ム処理部70に入力する構成例がある。これらの構成の
最尤系列推定器はパスメトリックの計算式が異なるだけ
であり、従ってこれらの構成の最尤系列推定器にも、本
実施例をまったく同様に適用することができる。
【0044】(iii) 図8において、中間パス処理手段9
1は、比較回路91a及び選択回路91bの個別回路で
構成したが、この中間パス処理手段91をプロセッサに
よるプログラム制御等で構成しても良い。
【0045】(iv)上記実施例では、図2に示すように
北米標準の場合のTDMAフレーム構成を用いて送信シ
ンボルの推定値を求めるようにしたが、他のデータ系列
を用いて上記実施例を適用することも可能である。
【0046】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、第1の発明
によれば、差動符号化された送信シンボル系列を推定す
るためのビタビ・アルゴリズムを用いた最尤系列推定器
において、送信データ系列中の既知のデータ系列におけ
る伝送路の状態のとるべきパスを、該既知データ系列に
基づき予め計算しておいて中間パス記憶手段に記憶して
おき、該既知データ系列の状態のパスメトリックを計算
する際に、中間パス処理手段により、一つ前の時刻の状
態からの可能なパスのうち該中間パス記憶手段に記憶さ
れたパスと一致しないパスのパスメトリックを非常に小
さな値とし、パス選択手段へ出力するようにしている。
そのため、既知のデータ系列のパスが自動的に正しいパ
スに収束し、該既知データ系列においては正しい送信シ
ンボルの推定値が得られる。そのため、伝送路のインパ
ルス応答推定値が正しい値からずれてゆくのを防止で
き、誤り率を改善でき、送信シンボルの推定精度が向上
する。第2の発明によれば、中間パス処理手段を比較手
段と選択手段とで構成したので、一つ前の時刻の状態か
らの可能なパスと中間パス記憶手段に記憶されたパスと
の一致/不一致が比較手段で求められ、該比較手段の出
力によって不一致のときには選択手段により、パスメト
リックが非常に小さな値となり、既知のデータ系列のパ
スが正しいパスに収束し、正しい送信シンボルの推定値
が簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す最尤系列推定器の機能ブ
ロック図である。
【図2】TDMAのフレーム構成図である。
【図3】ディジタル移動通信の送受信機を示す構成ブロ
ック図である。
【図4】π/4シフトDQPSKの信号空間ダイヤグラ
ムである。
【図5】図3における伝送路モデルを示す図である。
【図6】図5のトリレス図である。
【図7】従来の最尤系列推定器の構成ブロック図であ
る。
【図8】図1中の中間パス処理手段91及び中間パス記
憶手段92の構成図である。
【図9】図1のビット誤り率のシミュレーション結果を
示す図である。
【符号の説明】
70 ビタビ・アルゴリズム処理部 71 ブランチメトリック計算手段 72 パスメトリック計算手段 73 パス選択手段 74 パス履歴記憶手段 75 パス収束判定手段 81,82 第1,第2のカウント手段 91 中間パス処理手段 91a 比較回路 91b 選択回路 92 中間パス記憶手段 100 伝送路推定部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−67028(JP,A) 特開 平2−67851(JP,A) 特開 平3−195129(JP,A) 特開 昭64−86645(JP,A) 特開 昭61−3529(JP,A) 特開 平5−55932(JP,A) 国際公開91/7035(WO,A) 英国特許出願公開2252702(GB,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 時刻nにおいて送信された可能性のある
    複数の送信シンボルの部分系列を状態i(i=1,…,
    M)と定義し、時刻nにおける状態iに遷移し得る時刻
    n−1における複数の状態のブランチメトリックを計算
    するブランチメトリック計算手段と、前記ブランチメト
    リック計算手段の出力と時刻n−1のパスのパスメトリ
    ックとから時刻n、状態iの可能な複数のパスのパスメ
    トリックを計算するパスメトリック計算手段と、前記パ
    スメトリック計算手段によって計算された時刻n、状態
    iの複数の可能なパスのパスメトリックを比較して最も
    尤度の大きいパスを時刻nにおける状態iのパスとして
    選択するパス選択手段と、前記パス選択手段によって選
    択された時刻n、状態iのパス履歴を更新して保持する
    パス履歴記憶手段と、前記パス履歴記憶手段に保持され
    たパス履歴をすべての状態iについて一致しているか否
    かを判定して一致している時刻までのパス履歴から送信
    シンボルの推定値を出力するパス収束判定手段とを有す
    るビタビ・アルゴリズム処理部と、 伝送路のインパルス応答を逐次推定する伝送路推定部と
    を備え、 伝送データ系列の間に既知のデータ系列を含んだデータ
    系列を差動符号化して得られる送信シンボル系列を推定
    する最尤系列推定器において、 前記既知データ系列の送信シンボル系列が送信された時
    刻nの状態iに遷移すべき時刻n−1の状態を前記既知
    データ系列に基づいて予め計算して記憶する中間パス記
    憶手段と、 前記既知データ系列の送信シンボル系列が送信された時
    刻nにおいて状態iに遷移し得る時刻n−1の複数の状
    態と前記中間パルス記憶手段に記憶された状態との一致
    /不一致を判定し、不一致のときには前記パスメトリッ
    ク計算手段によって計算されたパスメトリックの値を
    度が所定の微小値になる値に置き換えて前記パス選択手
    段へ出力する中間パス処理手段とを、設けたことを特徴
    とする最尤系列推定器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の最尤系列推定器におい
    て、 前記中間パス処理手段は、前記既知データ系列の送信シ
    ンボル系列が送信された時刻nにおいて状態iに遷移し
    得る時刻n−1の複数の状態と前記中間パス記憶手段に
    記憶された状態とを比較する比較手段と、前記比較手段
    の比較結果が一致しない状態の前記パスメトリック計算
    手段によって計算されたパスメトリックの値を尤度が所
    定の微小値になる値に置き換えて前記パス選択手段へ出
    力する選択手段とで、構成した最尤系列推定器。
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