JP2737821B2 - 半導体光機能素子 - Google Patents

半導体光機能素子

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JP2737821B2 JP6055813A JP5581394A JP2737821B2 JP 2737821 B2 JP2737821 B2 JP 2737821B2 JP 6055813 A JP6055813 A JP 6055813A JP 5581394 A JP5581394 A JP 5581394A JP 2737821 B2 JP2737821 B2 JP 2737821B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半導体光機能素子に関
し、更に詳しくは、TEモード光とTMモード光のいず
れに対しても動作し、偏波無依存の光スイッチとして有
用な光機能素子に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体を用いた光スイッチにおいては、
最近、その性能を向上させるために、例えば導波路層を
量子井戸構造で構成するものが提案されている。この量
子井戸構造は、厚みが電子のド・ブロイ波長程度の厚み
である薄い半導体をその半導体の禁制帯エネルギーより
も大きい禁制帯エネルギーを有する半導体で挟み込んだ
ものを基本単位の量子井戸とし、この基本単位の量子井
戸を多重に周期的に積層した構造のものが一般的であ
る。
【0003】この基本単位の量子井戸においては、挟み
込まれた半導体とそれを挟み込む半導体とによって、両
者の接触界面を不連続面としてステップ状に変化する量
子閉じ込めポテンシャルが形成される。すなわち、この
単一量子井戸が形成する量子閉じ込めポテンシャルの分
布は、井戸層の厚み方向に対して矩形状になっている。
【0004】ところで、量子井戸においては、電子およ
び正孔のエネルギー準位が量子化されるとともに、電子
および正孔が半導体の非常に薄い領域内に閉じ込められ
るため、室温下にあっても、電子−正孔から成る励起子
の生成に伴う光吸収が明瞭でシャープなピークとして発
現する。そして、この量子井戸において、その井戸層に
対して垂直に電界を印加すると、前記した励起子吸収は
そのシャープなピークを保持したまま長波長側へシフト
して、いわゆる量子閉じ込めシュタルク効果を発揮す
る。その結果、吸収端近傍の波長において、その量子井
戸を有する半導体には、大きな吸収係数の変化とそれに
伴う屈折率変化が発現する。
【0005】したがって、電界印加前の吸収端波長(短
波長)と電界印加後の吸収端波長(長波長)の間に位置
する特定の適当な波長を有する光に対しては、井戸層に
対して垂直な電界を印加することによって半導体へ入射
していた光の出射をオン・オフすることが可能となる。
すなわち、スイッチング動作を実現することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記した矩
形ポテンシャル型の量子閉じ込めポテンシャルを示す量
子井戸においては、バルク半導体でみられる重い正孔と
軽い正孔の縮退が解消していて、それぞれの正孔に対す
る量子化エネルギー準位が分離して存在している。した
がって、吸収端における前記した励起子吸収において、
基底準位の電子−基底準位の重い正孔から成る励起子吸
収における遷移(以後、1E−1HH遷移という)に対
応する吸収ピークが長波長側に、また基底準位の電子−
基底準位の軽い正孔から成る励起子吸収における遷移
(以後、1E−1LH遷移という)に対応する吸収ピー
クが短波長側にそれぞれ分離して発現している。
【0007】上記した状態にある量子井戸の井戸層に対
して垂直な電界を印加すると、前記した1E−1HH遷
移に対応する吸収ピークは長波長側に大きくシフトする
が、しかし1E−1LH遷移に対応する吸収ピークのシ
フト量は小さいという現象が発現する。上記した現象
は、量子閉じ込めシュタルク効果によるエネルギーシフ
ト量は遷移に関与する粒子の実効質量にほぼ比例するた
めである。すなわち、質量が大きな重い正孔を含む1E
−1HH遷移の方がシフト量は大きくなるのである。
【0008】このように、1E−1HH遷移に対応する
吸収ピークは、1E−1LH遷移に対応する吸収ピーク
に比べて長波長側にあり、しかも垂直電界を印加したと
きのエネルギーシフト量は大きい。したがって、垂直電
界を印加したとき、吸収端近傍における吸収係数の変化
や屈折率の変化は、1E−1HH遷移に対応する励起子
吸収によって略決定されることになる。換言すれば、こ
のときの変化波長域内の波長の光を用いたスイッチング
動作は、1E−1HH遷移による励起子吸収で律せられ
ることになる。
【0009】一方、上記した1E−1LH遷移は、井戸
層に対して平行な電界振動を有する光(TEモード光)
と井戸層に対して垂直な電界振動を有する光(TMモー
ド光)とのいずれに対しても感応して相互作用する。し
かし、1E−1HH遷移はTEモード光とのみ相互作用
し、TMモード光とは相互作用しない。しかし、前記し
たように、井戸層に対する垂直電界の印加に伴うスイッ
チング動作は1E−1HH遷移に対応する励起子吸収が
主たる役割を負うのであった。
【0010】それゆえ、従来のような矩形ポテンシャル
型の量子井戸を有する光スイッチの場合、TEモード光
では動作するが、TMモード光では動作しずらいことに
なる。すなわち、矩形ポテンシャルの量子井戸層を有す
る光スイッチは、偏波依存性があり、TMモード光は容
易に変調されないという問題がある。このような偏波依
存性を小さくするためには、上記した説明からも明らか
なように、1E−1HH遷移に対応する吸収ピークと1
E−1LH遷移に対応する吸収ピークとのそれぞれにつ
き、量子閉じ込めシュタルク効果に基づくエネルギーシ
フト量を等しくすればよい。
【0011】上記した考えに基づき、混晶比が徐々に変
化する混晶半導体を順次積層して量子井戸を構成し、そ
の量子閉じ込めポテンシャルが当該量子井戸層の中心か
ら厚み方向で対称な放物線形状となるようにしたものが
提案されている。また、その変形として、いわゆる短周
期超格子列を用い、その厚みと周期を変化させることに
より量子井戸を形成し、その量子閉じ込めポテンシャル
を等価的に放物線形状にするということも提案されてい
る。
【0012】このような量子閉じ込めポテンシャルを有
する量子井戸に対して垂直な電界を印加すると、1E−
1HH遷移に対応するエネルギーシフト量と1E−1L
H遷移に対応するエネルギーシフト量は略等しくなる。
これは、量子閉じ込めポテンシャルが放物線形状または
それに等価的な形状を描いて変化している場合、井戸層
に対して垂直に電界が印加されたときには、中心位置な
どのずれは生ずるがしかし量子閉じ込めポテンシャルの
変化は依然として放物線またはそれに等価な形状を描く
ので、この量子井戸に閉じ込められている重い正孔,軽
い正孔はいずれも上記形状で変化するポテンシャルに感
応するのみであって、ド・ブロイ波の左右対称性は崩れ
ず、エネルギーシフト量の実効質量依存性がなくなるた
めである。
【0013】しかしながら、上記した光機能素子の場
合、混晶半導体の混晶比を徐々に変化させて放物線形状
の量子閉じ込めポテンシャルを形成することは、実際問
題として非常に困難であり、また、短周期超格子列の1
原子層の厚み誤差はスイッチング特性に大きな影響を与
えるため、再現性よく安定した特性を有する素子を製造
することはかなり困難である。
【0014】また、ある格子定数の半導体の厚い層の上
にそれとは異なる格子定数の半導体を積層することによ
り、弾性応力に基づく歪みを有する歪量子井戸を構成し
て偏波依存性を少なくすることも試みられている。この
歪量子井戸のうち、厚い層の格子定数よりも格子定数の
小さい半導体で構成される伸張歪量子井戸の場合、電子
−正孔間の遷移エネルギーは歪みのない量子井戸の場合
に比べて減少する。しかも、1E−1LH遷移に対応す
る遷移エネルギーの方が1E−1HH遷移に対応する遷
移エネルギーよりも大幅に減少する。したがって、歪量
を適切な値となるように調整して歪量子井戸を形成すれ
ば、その伸張歪量子井戸では、1E−1HH遷移に対応
する遷移エネルギーと1E−1LH遷移に対応する遷移
エネルギーとを等しくする、すなわち、1E−1HH遷
移に対応する吸収ピークの位置と1E−1LH遷移に対
応する吸収ピークの位置とを同じ位置にすることがで
き、偏波無依存の状態に近付けることができる。
【0015】しかしながら、上記したような歪量子井戸
の場合、それを形成することができる半導体の種類は限
定され、また歪量の制御は容易でないという問題があ
る。本発明は、量子井戸構造を有する半導体光スイッチ
における上記した問題を解決し、量子井戸構造が後述す
るような簡単な構造であるにもかかわらず、スイッチン
グ特性における偏波依存性を示さない半導体光機能素子
の提供を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】ところで、量子閉じ込め
シュタルク効果に基づく遷移エネルギーのシフト量は当
該粒子の実効質量の軽重だけで決定されるのではなく、
量子井戸の井戸幅の4乗にも比例するという事実が知ら
れている。したがって、重い正孔と軽い正孔の実効質量
差に基づく量子閉じ込めシュタルク効果による1E−1
HH遷移エネルギーと1E−1LH遷移エネルギーとの
エネルギーシフト量の差異は、重い正孔と軽い正孔のそ
れぞれに対し、量子井戸の井戸幅を適切に選択すること
によって解消することが可能になることが推定される。
【0017】また、軽い正孔に対する井戸幅を重い正孔
に対する井戸幅よりも可成りの程度広くすると、軽い正
孔,重い正孔の遷移エネルギーは近接してくる。このこ
とは、前記した伸張歪量子井戸を用いた場合と同様の効
果が得られることを意味する。本発明者らは、上記した
考察に基づき、ある井戸幅の量子井戸の内部を、1E−
1HH遷移エネルギーと1E−1LH遷移エネルギーに
おけるエネルギーシフト量の差異を解消するような井戸
幅に画分すれば、その量子井戸は全体として偏波依存性
を引き起こす要因が解消されているので、偏波無依存に
なり得るとの着想を抱き、本発明の半導体光機能素子を
開発するに至った。
【0018】すなわち、本発明の半導体光機能素子は、
いずれもが半導体から成る、基板,下部クラッド層,導
波路層および上部クラッド層がこの順序で積層され、か
つ前記上部クラッド層の上に上部電極が、また前記基板
の裏側に下部電極がそれぞれ装荷されている半導体光機
能素子において、前記下部クラッド層,前記導波路層お
よび前記上部クラッド層の少なくとも1層は、3個もし
くは5個の個別量子井戸を量子障壁層を介して結合して
成る基本単位の量子井戸または前記基本単位の量子井
を複数個積層して成る多重量子井戸構造を有し、前記
基本単位の量子井戸は、重い正孔を閉じ込める矩形ポテ
ンシャル型の個別量子井戸が中央に配置され、その両脇
に、重い正孔の波動関数は透過できないが軽い正孔の波
動関数は透過できる量子障壁層を介して一対または二対
の矩形ポテンシャル型の個別量子井戸が配置された構造
であることを特徴とする偏波無依存性の半導体光機能素
子である。
【0019】本発明の光機能素子において、基板,下部
クラッド層,導波路層(コア層),上部クラッド層がい
ずれも半導体で構成され、基板の下面と上部クラッド層
の上面には電界印加用の下部電極と上部電極がそれぞれ
装荷されていることは、従来構造と変わらない。しか
し、下部クラッド層,導波路層,上部クラッド層の少な
くとも1層が後述する量子井戸構造を有していることを
特徴としている。
【0020】その量子井戸構造の基本単位は、矩形状ポ
テンシャル型の量子閉じ込めポテンシャルを有する3個
または5個の個別量子井戸が互いの間を量子障壁層で画
分されて構成されている。すなわち、井戸数が3個の場
合、井戸幅方向では、中央に1個の個別量子井戸が存在
し、その両脇に薄い量子障壁層を介して互いに井戸幅が
同じである一対の個別量子井戸が存在し、それら全体は
厚い障壁層で挟まれた構造になっている。
【0021】この基本単位を単一または複数個積層して
前記した量子井戸構造が形成される。また、上記した両
脇の個別量子井戸のそれぞれの外側に量子障壁層を介し
て別の一対の個別量子井戸が存在する基本単位の量子井
戸も可能である。この場合は、個別量子井戸の個数が5
個になる。
【0022】これら量子井戸は、歪みのない量子井戸で
あってもよく、また前記した歪量子井戸であってもよ
く、歪量子井戸としては伸張歪量子井戸を用いるのがよ
い。
【0023】図1に、量子井戸にはGaAsを用い、障
壁層にはAl0.3 Ga0.7 Asを用い、GaAsから成
る3個の個別量子井戸を結合して形成した基本単位の量
子井戸Qにおける量子閉じ込めポテンシャルの具体例を
示す。図中、MLはGaAsまたはAl0.3 Ga0.7
sの1分子層の厚み(2.83Å)を表す。
【0024】この基本単位の量子井戸Qは、厚み38M
LのGaAs層から成る矩形ポテンシャルの個別量子井
戸Wの両脇に、厚み3MLのAl0.3 Ga0.7 As層か
ら成る一対の量子障壁層A1 ,A1 を介して厚み8ML
のGaAsから成る一対の矩形ポテンシャル個別量子井
戸W1 ,W1 が配置され、これら個別量子井戸W1 ,W
1 が厚み30〜50ML程度のAl0.3 Ga0.7 As層
から成る障壁層A2 ,A2 で挟まれた構造になってい
る。
【0025】このように、本発明の量子井戸において
は、中央に位置する個別量子井戸Wの井戸幅の中心Sに
対し各層は左右対称に配置されている。なお、これらの
各層は、いずれもMBE法(分子線エピタキシー法)で
形成される。またMOCVD法(有機金属化学気相堆積
法)などによっても形成可能である。
【0026】
【作用】一般に、実効質量が大きい重い正孔は量子井戸
中に強く閉じ込められ、実効質量が小さい軽い正孔は量
子井戸中への閉じ込められ方が弱い。したがって、図1
の基本単位の量子井戸Qにおいては、重い正孔の波動関
数が、一対の量子障壁層A1 ,A1 で阻止されて井戸層
全体の中央に配置された量子井戸Wに強く閉じ込められ
る。すなわち、重い正孔は井戸幅が38MLである量子
井戸Wに閉じ込められる。
【0027】一方、軽い正孔は、その波動関数がトンネ
ル効果により薄い(3ML)量子障壁層A1 ,A1 を透
過するので、量子井戸Wの両脇に位置する一対の個別量
子井戸W1 ,W1 にまで侵入する。すなわち、軽い正孔
は、この量子井戸構造(井戸幅60ML)全体に閉じ込
められる。すなわち、軽い正孔に対する実効的な井戸幅
は重い正孔に対するそれよりも大きくなる。
【0028】そして、前記したように、量子井戸層と垂
直に電界を印加したときの量子閉じ込めシュタルク効果
に基づく遷移エネルギーのシフト量は、当該粒子の実効
質量と量子井戸幅の4乗に比例する。したがって、図1
で示した量子井戸においては、軽い正孔に対する実効的
な井戸幅は前記したように増大したので、1E−1LH
遷移に対応するエネルギーシフト量も増大する。そこ
で、個別量子井戸W1 ,W1 の井戸幅を適切に選定して
軽い正孔が閉じ込められる全体の井戸幅を調節すれば、
1E−1LH遷移に対応するエネルギーシフト量と1E
−1HH遷移に対応するエネルギーシフト量を同等にす
ることができる。すなわち、偏波無依存の状態を実現す
ることができるようになる。
【0029】しかしながら、個別量子井戸W1 ,W1
井戸幅を過度に広くすると、その基本単位の量子井戸Q
に垂直な電界を印加した場合に、重い正孔の波動関数の
一部がトンネル効果で量子障壁層A1 ,A1 を透過して
重い正孔が個別量子井戸W1,W1 にも侵入するという
事態が発生し、その結果、1E−1HH遷移に対応する
エネルギーシフト量は増大し、1E−1LH遷移に対応
するエネルギーシフト量と1E−1HH遷移に対応する
エネルギーシフト量が同等にならないという問題が生ず
る。したがって、個別量子井戸W1 ,W1 の井戸幅は重
い正孔の波動関数が侵入しない程度に狭くすることが必
要になる。
【0030】また、上記したエネルギーシフト量を等し
くするためには、中央に位置する個別量子井戸Wの井戸
幅を広くすれば、それに比例して個別量子井戸W1 ,W
1 の井戸幅も広くすることが必要になる。しかし、個別
量子井戸W1 ,W1 の井戸幅を広くすると、印加電界の
強度が大きくなった場合に重い正孔が個別量子井戸
1 ,W1 に侵入しやすくなるので、この事態を防止す
るためには、個別量子井戸W1 ,W1 の井戸幅を縮少
し、かわりにそれぞれの外側に、別の量子障壁層を介し
て更に別の矩形ポテンシャル型の個別量子井戸を配置す
ればよい。このことにより、重い正孔は新たに形成され
た量子障壁層で阻止され、軽い正孔のみが新たな最も外
側の個別量子井戸にまで侵入することができるので、重
い正孔と軽い正孔の遷移エネルギーのずれを小さく押さ
えることができる。
【0031】なお、個別量子井戸を伸張歪量子井戸で構
成すると、1E−1HH遷移と1E−1LH遷移の遷移
エネルギーそれ自体も互いに同等にすることができ、し
かも量子閉じ込めシュタルク効果によるエネルギーシフ
ト量までも等しくすることができるので、偏波無依存性
が一層優れた光機能素子にすることができる。
【0032】
【実施例】n+ GaAs基板の上にn型Al0.3 Ga
0.7 Asから成る下部クラッド層を形成した。更にこの
下部クラッド層の上に、図1で示した構造の基本単位の
量子井戸Qを厚みが43MLのAl0.3 Ga0.7 As障
壁層A2 を介して10周期堆積した多重量子井戸構造の
導波路層を形成し、更にその上にp型Al0.3 Ga0. 7
Asから成る上部クラッド層を形成したのちその上面に
上部電極を、また基板の裏側に下部電極をそれぞれ装荷
して本発明の光機能素子とした。
【0033】この光機能素子で導波路層の長さが550
μmであるプレーナ導波路型光スイッチを製作し、上・
下電極間に電圧を印加して波長880nmのTEモード
光とTMモード光を用いたときの出力パワーの変化を調
べた。その結果を図2に示した。図中、○印はTEモー
ド光,□印はTMモード光の場合を表す。図2から明ら
かなように、電圧5Vを印加すると、TEモード光,T
Mモード光はいずれも−28dBの消光比でスイッチン
グされている。
【0034】また、上記スイッチにつき印加電圧5Vの
ときの出力パワー(P5V)と印加電圧0Vのときの出力
パワー(P0V)の比(P5V/P0V)の波長特性を図3に
示した。図中、○印はTEモード光,□印はTMモード
光の場合を表す。図3から明らかなように、このスイッ
チでは、波長域880nm〜906nmでTEモード光
とTMモード光の消光比が一致している。
【0035】比較のために、厚みが36MLのGaAs
層を厚み18MLのAl0.3 Ga0. 7 As障壁層を介し
て30周期積層した従来の矩形ポテンシャル型量子井戸
構造で導波路を形成し、それについても、波長872n
mのTEモード光とTMモード光を用いて印加電圧に対
する出力パワーの変化を調べた。その結果を図4に示し
た。図中、○印はTEモード光,□印はTMモード光の
場合を表す。
【0036】図4から明らかなように、上記量子井戸構
造を有する素子は、偏波依存性を示す。本発明の光機能
素子の場合、吸収係数変化だけではなく、屈折率変化の
偏波依存性も小さくすることができ、実施例として示し
た吸収型光スイッチのみならず、方向性結合器型および
マッハツェンダー型などの屈折率変化を利用する変調器
/スイッチの特性における偏波依存性を解消することも
容易である。
【0037】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
光機能素子は、基本単位の量子井戸が非常に簡単な構造
であるにもかかわらず、TEモード光とTMモード光の
いずれに対しても同等にスイッチング動作/変調動作を
行うことができる。これは、基本単位の量子井戸が、重
い正孔を閉じ込める矩形ポテンシャル型の個別量子井戸
を中央に配置し、その両脇に量子障壁層を介して軽い正
孔が侵入できる一対または二対の矩形ポテンシャル型の
個別量子井戸を配置した構造にしたことがもたらす効果
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光機能素子中に形成された基本単位の
量子井戸の正孔閉じ込めポテンシャル図である。
【図2】本発明の光機能素子における印加電圧と出力パ
ワーとの関係を示すグラフである。
【図3】本発明の光機能素子における消光比の波長特性
を示すグラフである。
【図4】従来の光機能素子における印加電圧と出力パワ
ーとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
W,W1 個別量子井戸 S 個別量子井戸Wの井戸幅の中心 A1 量子障壁層 A2 障壁層 Q 基本単位の量子井戸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−250428(JP,A) 特開 平5−273609(JP,A) PHYSICAL REVIEW B,VOL.42 NO.3 PP.1841 −1844(1990)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 いずれもが半導体から成る基板、下部ク
    ラッド層、導波路層および上部クラッド層がこの順序で
    積層され、かつ前記上部クラッド層の上に上部電極が、
    また前記基板の裏側に下部電極がそれぞれ装荷されてい
    る半導体光機能素子において、前記下部クラッド層,前
    記導波路層および前記上部クラッド層の少なくとも1層
    は、3個もしくは5個の個別量子井戸を量子障壁層を介
    して結合して成る基本単位の量子井戸または前記基本
    単位の量子井戸を複数個積層して成る多重量子井戸構造
    を有し、前記基本単位の量子井戸は、重い正孔を閉じ込
    める矩形ポテンシャル型の個別量子井戸が中央に配置さ
    れ、その両脇に、重い正孔の波動関数は透過できないが
    軽い正孔の波動関数は透過できる量子障壁層を介して一
    対または二対の矩形ポテンシャル型の個別量子井戸が配
    置された構造であることを特徴とする偏波無依存性の
    導体光機能素子。
  2. 【請求項2】 Al0.3Ga0.7As層から成る障壁層の
    上に、厚み8MLのGaAs層から成る矩形ポテンシャ
    ル型量子井戸,厚み3MLのAl0.3Ga0.7As層から
    成る量子障壁層,厚み38MLのGaAs層から成る矩
    形ポテンシャル量子井戸,厚み3MLのAl0.3Ga0.7
    As層から成る量子障壁層,厚み8MLのGaAs層か
    ら成る矩形ポテンシャル量子井戸,Al0.3Ga0.7As
    から成る障壁がこの順序で積層された基本単位の量子井
    戸を有する請求項1の半導体光機能素子。
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