JP2737721B2 - 磁気抵抗効果素子 - Google Patents
磁気抵抗効果素子Info
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- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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- H—ELECTRICITY
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気抵抗効果素子
に関し、詳細には、磁気媒体などにおいて、磁界強度を
信号として読み取るための磁気抵抗効果素子に関する。
特に、本発明は、小さい外部磁場で抵抗変化率が大き
く、2層以上の磁性層が非磁性層を介して積層された人
工格子磁気抵抗効果膜を使った磁気抵抗効果ヘッドと、
検出される磁界の変化として上記磁気抵抗効果素子の抵
抗変化率を検出する方法を備えた磁気抵抗検出システム
に関する。
に関し、詳細には、磁気媒体などにおいて、磁界強度を
信号として読み取るための磁気抵抗効果素子に関する。
特に、本発明は、小さい外部磁場で抵抗変化率が大き
く、2層以上の磁性層が非磁性層を介して積層された人
工格子磁気抵抗効果膜を使った磁気抵抗効果ヘッドと、
検出される磁界の変化として上記磁気抵抗効果素子の抵
抗変化率を検出する方法を備えた磁気抵抗検出システム
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気センサ−の高感度化及び磁気
記録における高密度化が進められており、これに伴い、
磁気抵抗効果型磁気センサ−(以下“MRセンサ−”と
いう)及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下“MRヘッ
ド”という)の開発が盛んに進められている。
記録における高密度化が進められており、これに伴い、
磁気抵抗効果型磁気センサ−(以下“MRセンサ−”と
いう)及び磁気抵抗効果型磁気ヘッド(以下“MRヘッ
ド”という)の開発が盛んに進められている。
【0003】ところで、MRセンサ−もMRヘッドも、
磁性材料からなる読み取りセンサ−部の抵抗変化により
外部磁界信号を読みだすものであるが、このMRセンサ
−及びMRヘッドは、記録媒体との再生出力が相対速度
に依存しないことから、MRセンサ−では高感度が得ら
れ、また、MRヘッドでは、高密度磁気記録においても
高い出力が得られるという特長がある。
磁性材料からなる読み取りセンサ−部の抵抗変化により
外部磁界信号を読みだすものであるが、このMRセンサ
−及びMRヘッドは、記録媒体との再生出力が相対速度
に依存しないことから、MRセンサ−では高感度が得ら
れ、また、MRヘッドでは、高密度磁気記録においても
高い出力が得られるという特長がある。
【0004】最近、非磁性層を介して2層以上の複数の
磁性薄膜からなり、外部磁場で大きな磁気抵抗変化を示
す人工格子磁気抵抗効果膜が発表された[“フィジカル
レビュ−レタ−(Phys.Rev.Lett.)”第61巻(1988年)の
第2472頁参照]。なお、この人工格子磁気抵抗効果膜は
、外部磁場により数%〜数10%の大きい抵抗変化率を
示す。そして、この人工格子磁気抵抗効果膜を使用した
“高感度で高出力なMRヘッド”が提案されている。
磁性薄膜からなり、外部磁場で大きな磁気抵抗変化を示
す人工格子磁気抵抗効果膜が発表された[“フィジカル
レビュ−レタ−(Phys.Rev.Lett.)”第61巻(1988年)の
第2472頁参照]。なお、この人工格子磁気抵抗効果膜は
、外部磁場により数%〜数10%の大きい抵抗変化率を
示す。そして、この人工格子磁気抵抗効果膜を使用した
“高感度で高出力なMRヘッド”が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の人工格
子磁気抵抗効果素子において、非磁性層としてCu材を
用い、磁性層としてNi系磁性体を使用した人工格子膜
では、CuとNiとが互いに固溶する組み合せであると
ころから、熱処理によりCu/NiFe界面で拡散が起
こり、人工格子の磁気特性が劣化し、抵抗変化率が低下
(劣化)してしまうという問題があった。
子磁気抵抗効果素子において、非磁性層としてCu材を
用い、磁性層としてNi系磁性体を使用した人工格子膜
では、CuとNiとが互いに固溶する組み合せであると
ころから、熱処理によりCu/NiFe界面で拡散が起
こり、人工格子の磁気特性が劣化し、抵抗変化率が低下
(劣化)してしまうという問題があった。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑み成されたもの
であって、その目的とするところは、熱処理によっても
抵抗変化率が劣化しない人工格子磁気抵抗効果膜及びこ
の人工格子磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗検出システ
ムを提案することにある。
であって、その目的とするところは、熱処理によっても
抵抗変化率が劣化しない人工格子磁気抵抗効果膜及びこ
の人工格子磁気抵抗効果膜を用いた磁気抵抗検出システ
ムを提案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、2層以上の磁
性層とCu系非磁性層が積層された人工格子磁気抵抗効
果素子において、特に熱処理による抵抗変化率の劣化を
防ぐため、Cu系非磁性層にRe,Crを特定量(0.01
〜10原子%)添加することを特徴とする。
性層とCu系非磁性層が積層された人工格子磁気抵抗効
果素子において、特に熱処理による抵抗変化率の劣化を
防ぐため、Cu系非磁性層にRe,Crを特定量(0.01
〜10原子%)添加することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る人工格子磁気
抵抗効果素子について詳細に説明する。まず、本発明で
Cu系非磁性層に添加する「Re,Cr」の作用につい
て説明すると、Re,Crは、Cuと非固溶の材料であ
るところから、例えばCu(Re)タ−ゲットを用いてス
パッタリングすると、Cuの粒界にReが析出した膜が
生成する。この膜生成を利用して、NiFe/Cu(Re)/
NiFe膜を作製し、これを熱処理すると、Cu粒界にRe
が析出しているために、NiFeは、Cu層への粒界拡散が
し難くなり、Cu/NiFe界面での拡散が生じることがな
く、その結果、磁気特性の劣化が抑制されることにな
る。
抵抗効果素子について詳細に説明する。まず、本発明で
Cu系非磁性層に添加する「Re,Cr」の作用につい
て説明すると、Re,Crは、Cuと非固溶の材料であ
るところから、例えばCu(Re)タ−ゲットを用いてス
パッタリングすると、Cuの粒界にReが析出した膜が
生成する。この膜生成を利用して、NiFe/Cu(Re)/
NiFe膜を作製し、これを熱処理すると、Cu粒界にRe
が析出しているために、NiFeは、Cu層への粒界拡散が
し難くなり、Cu/NiFe界面での拡散が生じることがな
く、その結果、磁気特性の劣化が抑制されることにな
る。
【0009】以上、Cu系非磁性層に添加する“Re”
について説明したが、このReのかわりにCrを用いた
場合でも、上記と同一のメカニズムで磁気特性の劣化を
抑制することができる。
について説明したが、このReのかわりにCrを用いた
場合でも、上記と同一のメカニズムで磁気特性の劣化を
抑制することができる。
【0010】次に、本発明で添加するRe,Crの濃度
について説明すると、本発明において、添加元素:R
e,Crの濃度としては、0.01原子%から10原子%であ
る。この濃度が0.01原子%未満であると、粒界に析出す
るRe,Crの量が少なすぎ、拡散が起こり易く、耐熱
性もあまり良くないので好ましくない。逆に10原子%を
超えると、耐熱性は良好となるが、人工格子膜の比抵抗
率が高くなり、抵抗変化率が減少してしまうので好まし
くない。
について説明すると、本発明において、添加元素:R
e,Crの濃度としては、0.01原子%から10原子%であ
る。この濃度が0.01原子%未満であると、粒界に析出す
るRe,Crの量が少なすぎ、拡散が起こり易く、耐熱
性もあまり良くないので好ましくない。逆に10原子%を
超えると、耐熱性は良好となるが、人工格子膜の比抵抗
率が高くなり、抵抗変化率が減少してしまうので好まし
くない。
【0011】以下、本発明の磁性薄膜に用いる非磁性薄
膜及び磁性薄膜について説明すると、本発明において、
非磁性薄膜を構成する非磁性体の種類としては、Cuな
いしはCuを主成分とする合金の使用が好ましい。具体
的には、CuAu,CuNi,CuPd,CuVのCu
系合金が望ましい。
膜及び磁性薄膜について説明すると、本発明において、
非磁性薄膜を構成する非磁性体の種類としては、Cuな
いしはCuを主成分とする合金の使用が好ましい。具体
的には、CuAu,CuNi,CuPd,CuVのCu
系合金が望ましい。
【0012】本発明において、非磁性薄膜の膜厚として
は、50オングストロ−ム以下が好ましい。その理由は、
一般に膜厚が50オングストロ−ムを超えると、この非磁
性薄膜により抵抗が決ってしまい、スピンに依存する散
乱効果が相対的に小さくなってしまい、その結果、磁気
抵抗変化率が小さくなってしまうからである。一方、非
磁性薄膜の膜厚が4オングストロ−ム以下になると、磁
性薄膜間の磁気相互作用が大きくなりすぎ、また、磁気
的な直接接触状態(ピンホ−ル)の発生が避けられないこ
とから、両磁性薄膜の磁化方向の反平行状態が生じにく
くなるので好ましくない。
は、50オングストロ−ム以下が好ましい。その理由は、
一般に膜厚が50オングストロ−ムを超えると、この非磁
性薄膜により抵抗が決ってしまい、スピンに依存する散
乱効果が相対的に小さくなってしまい、その結果、磁気
抵抗変化率が小さくなってしまうからである。一方、非
磁性薄膜の膜厚が4オングストロ−ム以下になると、磁
性薄膜間の磁気相互作用が大きくなりすぎ、また、磁気
的な直接接触状態(ピンホ−ル)の発生が避けられないこ
とから、両磁性薄膜の磁化方向の反平行状態が生じにく
くなるので好ましくない。
【0013】本発明の磁性薄膜を構成する磁性体の種類
としては、Ni,NiFe,NiCo,NiFeCo又
はこれらを主成分とする合金の使用が好ましい。各磁性
薄膜の膜厚の上限は、200オングストロ−ムが好まし
い。その理由は、膜厚を200オングストロ−ム以上とし
ても効果は落ちないが、膜厚の増加に伴って効果が増大
することもなく、逆に該膜の作製上無駄が多く、不経済
であるからである。
としては、Ni,NiFe,NiCo,NiFeCo又
はこれらを主成分とする合金の使用が好ましい。各磁性
薄膜の膜厚の上限は、200オングストロ−ムが好まし
い。その理由は、膜厚を200オングストロ−ム以上とし
ても効果は落ちないが、膜厚の増加に伴って効果が増大
することもなく、逆に該膜の作製上無駄が多く、不経済
であるからである。
【0014】一方、各磁性薄膜の膜厚の下限について
は、本発明で特に限定するものではなく、任意である
が、4オングストロ−ム以下では、キュリ−点が室温よ
り低くなり、実用性に問題が生じる。そして、4オング
ストロ−ム以上とすれば、膜厚を均一に保つことが容易
となり、膜厚も良好となる。また、飽和磁化の大きさが
小さくなりすぎることもない。
は、本発明で特に限定するものではなく、任意である
が、4オングストロ−ム以下では、キュリ−点が室温よ
り低くなり、実用性に問題が生じる。そして、4オング
ストロ−ム以上とすれば、膜厚を均一に保つことが容易
となり、膜厚も良好となる。また、飽和磁化の大きさが
小さくなりすぎることもない。
【0015】なお、磁気抵抗効果素子中に存在する磁性
薄膜の磁気特性については、直接測定することができな
いので、通常次のようにして測定する。即ち、測定すべ
き磁性薄膜を磁性薄膜の合計厚さが200〜400オングスト
ロ−ム程度になるまで非磁性薄膜と交互に蒸着して測定
用サンプルを作製し、これについて磁気特性を測定する
手段を採用する。なお、この場合、磁性薄膜の厚さ及び
非磁性薄膜の厚さ並びに非磁性薄膜の組成については、
磁気抵抗効果測定素子におけるものと同じにする。
薄膜の磁気特性については、直接測定することができな
いので、通常次のようにして測定する。即ち、測定すべ
き磁性薄膜を磁性薄膜の合計厚さが200〜400オングスト
ロ−ム程度になるまで非磁性薄膜と交互に蒸着して測定
用サンプルを作製し、これについて磁気特性を測定する
手段を採用する。なお、この場合、磁性薄膜の厚さ及び
非磁性薄膜の厚さ並びに非磁性薄膜の組成については、
磁気抵抗効果測定素子におけるものと同じにする。
【0016】磁性薄膜又は非磁性薄膜の各膜厚は、透過
型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、オ−ジェ電子分光分
析等により測定することができる。また、薄膜の結晶構
造は、X線回析や高速電子線回析等により確認すること
ができる。
型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、オ−ジェ電子分光分
析等により測定することができる。また、薄膜の結晶構
造は、X線回析や高速電子線回析等により確認すること
ができる。
【0017】
【作用】本発明に係る人工格子磁気抵抗効果素子では、
前記したとおり、非磁性層中に“Re又はCr”が0.01
〜10原子%混合している点を必須構成要件とするもので
ある。このRe,Crは、Cu及びNiと非固溶であ
り、例えばCuにReを添加して成膜すると、Cuの粒
界にReが析出してNiが拡散しにくくなり、そのため
人工格子磁気抵抗効果膜の耐熱性が向上する作用が生じ
る。
前記したとおり、非磁性層中に“Re又はCr”が0.01
〜10原子%混合している点を必須構成要件とするもので
ある。このRe,Crは、Cu及びNiと非固溶であ
り、例えばCuにReを添加して成膜すると、Cuの粒
界にReが析出してNiが拡散しにくくなり、そのため
人工格子磁気抵抗効果膜の耐熱性が向上する作用が生じ
る。
【0018】ここで、本発明に係る人工格子磁気抵抗効
果素子について、従来技術と対比して更に詳細に説明す
る。ハ−ドディスクドライブヘッドでは、高密度磁気記
録及び小型化が進み、それと共に媒体上で読み書きされ
る磁気エリアが小さくなってきている。これに対して、
大きな抵抗変化を示す人工格子磁気抵抗効果素子を用い
た出力の大きなMRヘッドがこれまでに提案されてい
る。
果素子について、従来技術と対比して更に詳細に説明す
る。ハ−ドディスクドライブヘッドでは、高密度磁気記
録及び小型化が進み、それと共に媒体上で読み書きされ
る磁気エリアが小さくなってきている。これに対して、
大きな抵抗変化を示す人工格子磁気抵抗効果素子を用い
た出力の大きなMRヘッドがこれまでに提案されてい
る。
【0019】このような人工格子磁気抵抗効果素子で
は、非磁性層を介して磁性層の向きが平行,反平行にな
ったときに膜の抵抗が変化する。そして、非磁性材料と
しては、大きな抵抗変化を示すCu系人工格子が使用さ
れており、一方、磁性材料としては、小さい外部磁界で
磁化が反転するような軟磁性を示すNiFe,NiFe
Co系合金が使用されているが、この2種類の材料を組
み合わせた“NiFe/Cu人工格子、又は、NiFeCo/Cu人工
格子”では、NiとCuが固溶するため、熱処理すると
抵抗変化率が劣化してしまうという欠点を有している。
は、非磁性層を介して磁性層の向きが平行,反平行にな
ったときに膜の抵抗が変化する。そして、非磁性材料と
しては、大きな抵抗変化を示すCu系人工格子が使用さ
れており、一方、磁性材料としては、小さい外部磁界で
磁化が反転するような軟磁性を示すNiFe,NiFe
Co系合金が使用されているが、この2種類の材料を組
み合わせた“NiFe/Cu人工格子、又は、NiFeCo/Cu人工
格子”では、NiとCuが固溶するため、熱処理すると
抵抗変化率が劣化してしまうという欠点を有している。
【0020】この人工格子を用いてHDD用磁気ヘツド
を製造する場合、PR工程で300℃前後の熱が人工格子
磁気抵抗効果素子に加わることになり、この熱処理によ
り抵抗変化率が劣化してしまう。例えばNiFe/Cu
膜では、250℃まで熱が加わると抵抗変化率が劣化する
ことになる。
を製造する場合、PR工程で300℃前後の熱が人工格子
磁気抵抗効果素子に加わることになり、この熱処理によ
り抵抗変化率が劣化してしまう。例えばNiFe/Cu
膜では、250℃まで熱が加わると抵抗変化率が劣化する
ことになる。
【0021】これに対し、本発明に係る人工格子磁気抵
抗効果素子のように、Cu層にReを加えたNiFe/Cu(R
e)膜では、Cu層粒界にReが析出し、これによりNi
Feの拡散が抑制され、250℃以上の熱が加わっても抵
抗変化率が劣化することはない。Cu層にCrを添加混
合した場合でも、同じく熱処理により抵抗変化率が劣化
することがない。
抗効果素子のように、Cu層にReを加えたNiFe/Cu(R
e)膜では、Cu層粒界にReが析出し、これによりNi
Feの拡散が抑制され、250℃以上の熱が加わっても抵
抗変化率が劣化することはない。Cu層にCrを添加混
合した場合でも、同じく熱処理により抵抗変化率が劣化
することがない。
【0022】
【実施例】次に、本発明の実施例を比較例と共に挙げ、
本発明で生じる効果を含めて具体的に説明する。
本発明で生じる効果を含めて具体的に説明する。
【0023】図1は、本発明に係る磁気抵抗効果素子の
1例を示す斜視図である。本発明に係る磁気抵抗効果素
子は、図1に示すように、非磁性層2と磁性層3を互い
に積層した人工格子膜1と、それに続く電極4によって
構成されている。
1例を示す斜視図である。本発明に係る磁気抵抗効果素
子は、図1に示すように、非磁性層2と磁性層3を互い
に積層した人工格子膜1と、それに続く電極4によって
構成されている。
【0024】(比較例)最初に、比較のため、非磁性層
として純Cu母材を用いた人工格子膜を作製し、この耐
熱性を調べた。即ち、NiFe(100Å)/Cu(25Å)/NiFe
(100Å)/FeMn(100Å)人工格子膜をガラス基板上にスパ
ッタリング法で成膜し、この膜をパタ−ン幅5μmに微
細加工した後、150〜350℃で1時間、真空中で熱処理
し、その際の熱処理温度に対する抵抗変化率を測定し
た。
として純Cu母材を用いた人工格子膜を作製し、この耐
熱性を調べた。即ち、NiFe(100Å)/Cu(25Å)/NiFe
(100Å)/FeMn(100Å)人工格子膜をガラス基板上にスパ
ッタリング法で成膜し、この膜をパタ−ン幅5μmに微
細加工した後、150〜350℃で1時間、真空中で熱処理
し、その際の熱処理温度に対する抵抗変化率を測定し
た。
【0025】なお、抵抗測定は、外部磁界を面内に電流
と垂直方向になるように印加しながら、−500〜500Oe
まで変化させたときの抵抗を4端子法により測定し、そ
の抵抗から磁気抵抗変化率△R/Rを求めた。抵抗変化
率△R/Rは、最大抵抗値をRmax、最小抵抗値をRmin
とし、次式により計算した。
と垂直方向になるように印加しながら、−500〜500Oe
まで変化させたときの抵抗を4端子法により測定し、そ
の抵抗から磁気抵抗変化率△R/Rを求めた。抵抗変化
率△R/Rは、最大抵抗値をRmax、最小抵抗値をRmin
とし、次式により計算した。
【0026】
【数1】
【0027】この比較例である人工格子膜の熱処理前の
抵抗変化率は3.9%であった。図2は、熱処理後の熱処
理温度と抵抗変化率の関係を示すグラフである。図2か
ら明らかなように、純Cu層を使用した人工格子膜(○
印:比較例)では、200℃より高温になると抵抗変化が劣
化し始め、300℃では、3.0%とかなり小さくなってしま
うことが認められた。
抵抗変化率は3.9%であった。図2は、熱処理後の熱処
理温度と抵抗変化率の関係を示すグラフである。図2か
ら明らかなように、純Cu層を使用した人工格子膜(○
印:比較例)では、200℃より高温になると抵抗変化が劣
化し始め、300℃では、3.0%とかなり小さくなってしま
うことが認められた。
【0028】(実施例)本実施例では、非磁性層として
“CuにReを0.01原子%,1原子%,10原子%”をそ
れぞれ添加したNiFe(100Å)/Cu(Re)(25Å)/NiFe
(100Å)/FeMn(100Å)人工格子膜 ”を作製し、この膜
の熱処理温度に対する抵抗変化率を前記比較例と同一測
定法で測定した。その測定結果を図2に表示する。な
お、図2において、Cu層にReを0.01原子%,1.0原
子%,10原子%添加した人工格子膜の「熱処理温度と抵
抗変化率の関係」をそれぞれ×印,△印,□印で示し
た。
“CuにReを0.01原子%,1原子%,10原子%”をそ
れぞれ添加したNiFe(100Å)/Cu(Re)(25Å)/NiFe
(100Å)/FeMn(100Å)人工格子膜 ”を作製し、この膜
の熱処理温度に対する抵抗変化率を前記比較例と同一測
定法で測定した。その測定結果を図2に表示する。な
お、図2において、Cu層にReを0.01原子%,1.0原
子%,10原子%添加した人工格子膜の「熱処理温度と抵
抗変化率の関係」をそれぞれ×印,△印,□印で示し
た。
【0029】Reを0.01原子%添加した人工格子膜(×
印)では、熱処理が250℃以上になると、比較例に比して
若干耐熱性の向上が認められる。また、1%原子添加し
た人工格子膜(△印)では、膜の比抵抗値が少し大きくな
るため、熱処理前の抵抗変化率も小さくなるが、耐熱性
は向上し、抵抗変化率の減少の度合は小さい。10原子%
添加した人工格子膜(□印)では、さらに耐熱性は向上す
るが、膜の比抵抗値が大きく、熱処理前の抵抗変化率も
少々小さくなっている。
印)では、熱処理が250℃以上になると、比較例に比して
若干耐熱性の向上が認められる。また、1%原子添加し
た人工格子膜(△印)では、膜の比抵抗値が少し大きくな
るため、熱処理前の抵抗変化率も小さくなるが、耐熱性
は向上し、抵抗変化率の減少の度合は小さい。10原子%
添加した人工格子膜(□印)では、さらに耐熱性は向上す
るが、膜の比抵抗値が大きく、熱処理前の抵抗変化率も
少々小さくなっている。
【0030】また、Cr添加Cu層を用いて人工格子膜
を作製し、同じく熱処理温度に対する抵抗変化率を測定
したところ、Cr添加により若干抵抗変化率が減少する
が、耐熱性はやはり向上することが確かめられた。
を作製し、同じく熱処理温度に対する抵抗変化率を測定
したところ、Cr添加により若干抵抗変化率が減少する
が、耐熱性はやはり向上することが確かめられた。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上詳記したとおり、2層以
上の磁性層とCu系非磁性層が積層された人工格子磁気抵
抗効果素子において、Cu系非磁性層にRe,Crを特
定量(0.01〜10原子%)添加することを特徴とし、これに
より、特に熱処理による抵抗変化率の劣化を防止するこ
とができる効果が生じる。そして、本発明によれば、耐
熱性の高い磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッドを提
供することができるものである。
上の磁性層とCu系非磁性層が積層された人工格子磁気抵
抗効果素子において、Cu系非磁性層にRe,Crを特
定量(0.01〜10原子%)添加することを特徴とし、これに
より、特に熱処理による抵抗変化率の劣化を防止するこ
とができる効果が生じる。そして、本発明によれば、耐
熱性の高い磁気抵抗効果素子、磁気抵抗効果ヘッドを提
供することができるものである。
【図1】本発明に係る磁気抵抗効果素子の1例を示す斜
視図。
視図。
【図2】純Cu層及びRe添加Cu層を使用した人工格
子膜の熱処理温度と抵抗変化率の関係を示すグラフ。
子膜の熱処理温度と抵抗変化率の関係を示すグラフ。
1 人工格子膜 2 非磁性層 3 磁性層 4 電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 邦彦 東京都港区芝五丁目7番1号日本電気株 式会社内 (56)参考文献 特開 平6−325934(JP,A) 特開 平8−49063(JP,A)
Claims (3)
- 【請求項1】 基板上にCu,Cuを主成分とするCu
合金からなる非磁性層を介して磁性層が積層された構造
の人工格子磁気抵抗効果素子において、前記Cu層,C
u合金層にReを0.01〜10原子%添加したことを特徴と
する磁気抵抗効果素子。 - 【請求項2】 基板上にCu,Cuを主成分とするCu
合金からなる非磁性層を介して磁性層が積層された構造
の人工格子磁気抵抗効果素子において、前記Cu層,C
u合金層にCrを0.01〜10原子%添加したことを特徴と
する磁気抵抗効果素子。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の磁気抵抗効果素
子において、磁性層がNi,NiFe,NiCo,Ni
FeCo又はこれらを主成分とする合金からなることを
特徴とする磁気抵抗効果素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7276519A JP2737721B2 (ja) | 1995-09-30 | 1995-09-30 | 磁気抵抗効果素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7276519A JP2737721B2 (ja) | 1995-09-30 | 1995-09-30 | 磁気抵抗効果素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0997935A JPH0997935A (ja) | 1997-04-08 |
JP2737721B2 true JP2737721B2 (ja) | 1998-04-08 |
Family
ID=17570609
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7276519A Expired - Fee Related JP2737721B2 (ja) | 1995-09-30 | 1995-09-30 | 磁気抵抗効果素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2737721B2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2637360B2 (ja) * | 1992-10-30 | 1997-08-06 | 株式会社東芝 | 磁気抵抗効果素子 |
JPH0849063A (ja) * | 1994-05-30 | 1996-02-20 | Sony Corp | 磁気抵抗効果膜 |
-
1995
- 1995-09-30 JP JP7276519A patent/JP2737721B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0997935A (ja) | 1997-04-08 |
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Legal Events
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