JP2736004B2 - セラミックスの製造方法およびこれに用いられる多孔質成形型 - Google Patents

セラミックスの製造方法およびこれに用いられる多孔質成形型

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、セラミックス、特に頭
頂部が閉止された小径の中空円筒形の中心コア部とこの
中心コア部から半径方向に延長する大径の笠部とを有す
る懸垂碍子および同様のセラミックスの製造方法および
これに用いる多孔質成形型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上述したように、頭頂部が閉止さ
れた小径の中空円筒形の中心コア部とこのコア部から半
径方向に延長した大形笠部とを有する懸垂碍子等のセラ
ミックス(窯業製品)の製造に際しては、成形すべきセ
ラミックスの外形、すなわち小径中心コア部および大形
笠部の外形にそれぞれ対応する形状の成形型表面を有す
る多孔質の型中央部および型外周部を具える多孔質成形
型を用い、成形型表面に可塑性杯土を押しつけ、例え
ば、成形型表面に沿って成形型内に埋設した多孔チュー
ブを経て、成形型表面全体に負圧を作用させて可塑性杯
土を成形型表面に密着させて正確な形状に成形し、成形
後、成形型表面から加圧空気を噴出させて成形体を離型
して成形型から取出している。
【0003】しかしながら、上述した従来方法では、成
形型の気孔が多いことによる型強度の低下により成形時
の荷重により生じる型割れ、離型時のエアーブローの空
気圧による成形体表面の変形、エアーブローの空気圧不
足による離型不可能、成形体の小径中心コア部と大径笠
部との境界部分での破断、成形体の頭頂部の浮き上がり
による変形等の問題が生じている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上述し
た問題を解決するよう改良した懸垂碍子その他のセラミ
ックスの製造方法を提供しようとするものである。
【0005】本発明の他の目的は、本発明方法を実施す
るために用いる多孔質成形型を提供しようとするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の要旨によ
れば、頭頂部が閉止された小径の中空円筒形の中心コア
部とこのコア部から半径方向に延長した大径笠部とを有
する懸垂碍子その他同様のセラミックスを前記中心コア
部および大径笠部の外形にそれぞれ対応する形状の成形
型表面を有する型中央部および型外周部を含む型本体を
具える多孔質成形型の成形型表面に可塑性杯土を押し付
けて成形した後、成形型表面から気体を噴出させて成形
体を離型して成形型から取出す懸垂碍子その他同様のセ
ラミックスを製造する方法において、前記型外周部の型
表面側部分の吸水率が前記型中央部の吸水率より高い多
孔質成形型を用いる。
【0007】本発明の第2の要旨によれば、頭頂部が閉
止された小径の中空円筒形の中心コア部とこのコア部か
ら半径方向に延長した大径笠部とを有する懸垂碍子その
他同様のセラミックスの外形に対応する形状の成形型表
面を有する型中央部および型外周部を含む型本体を具え
る多孔質成形型において、前記型外周部の型表面側部分
の吸水率が前記型中央部の吸水率より高いことを特徴と
する。
【0008】本発明によれば、前記型外周部の型表面側
部分の吸水率を好ましくは20〜30%とし、前記型中
央部の閉止頭頂部分の吸水率を好ましくは10〜20%
とする。
【0009】また、本発明によれば、前記型外周部の型
表面側部分の吸水率Aと前記型中央部の閉止頭頂部分の
吸水率Bとの差A−Bを5〜20%とするのがよい。
【0010】また、本発明によれば、多孔質成形型の型
中央部および型外周部を含む型本体を石膏、合成樹脂、
多孔質セラミックス、焼結金属およびこれらの混合物の
ような多孔質体で形成することができるが、なかでも石
膏は安価で、補修が容易に可能であるので好ましい。
【0011】合成樹脂材料としては、エポキシ、ウレタ
ン、フェノール、アクリル、シリコンおよび同様の樹脂
が、セラミック材料としては、ムライト、コージェライ
ト、アルミナ、ジルコン、ガラスおよび同様の材料が、
焼結金属材料としては、鉄、銅、ニッケル、ステンレス
鋼、アルミニウム、黄銅および同様の材料が用いられ
る。
【0012】また、本発明によれば、多孔質成形型の型
中央部の頭頂部分および型外周部の型表面側部分の吸水
率を制御する手段として、多孔質成形型の気孔率を局部
的に変えるのがよい。
【0013】また、本発明によれば、多孔質成形型の頭
頂部分および型表面側部分の吸水率を相違させる手段と
して、多孔チューブを型外周部の成形型表面のみに沿っ
て型本体内に埋設するのがよい。
【0014】
【作用】本発明によれば、上述したように、型外周部の
型表面側部分の吸水率が型中央部の頭頂部分の吸水率よ
り高い多孔質成形型を用いることによって成形体の離型
時に大径笠部に対して中心コア部に対するよりも多量の
気体が噴出され、これによって、笠部が中心コア部より
先に離型され、これに追従して中心コア部が離型され、
この結果として、成形型から成形体を変形または損傷す
ることなく容易に取出すことができる。
【0015】
【実施例】図4は本発明方法により製造されるセラミッ
クスの一例を示し、図示の例は頭頂部15が閉止された
小径の中空円筒形の中心コア部16と、この中心コア部
16から半径方向に延長する大径笠部17とを有する典
型的懸垂碍子を示す。
【0016】上述した図4に示す懸垂碍子の製造に際し
ては、図1に示す多孔質成形型の成形型表面に可塑性杯
土を押しつけ、成形型表面に負圧を作用させて可塑性杯
土を成形型表面に密着させて成形し、成形後、成形型表
面から加圧空気を噴出させて成形体を離型して成形型か
ら取出す。
【0017】図1は図4に示した懸垂碍子を成形するた
めに用いられる多孔質石膏型を示し、この多孔質石膏型
は、アルミニウム等の金属で造られた型枠1と、この型
枠1の内面上に流し込み成形された連続気孔を有する多
孔質石膏型本体2とを具え、この型本体2は成形すべき
懸垂碍子の大型笠部17および小径中心コア部16の外
形にそれぞれ対応する形状の型表面3および6を有する
多孔質の型外周部型表面側部分7と型中央部8とを有す
る。
【0018】図示の例では型外周部の型表面側部分7の
型表面3に沿ってのみ、例えば、型表面3から約25m
m離間した位置で多孔質石膏型本体2の内部に多孔チュ
ーブ4が埋設されている。多孔チューブ4としては、例
えば、サイジングチューブと呼ばれるガラス繊維チュー
ブが用いられる。
【0019】多孔チューブ4は図2に示すように扇風機
のガードのような形状の鉄製の芯材5の外側にスパイラ
ル状に巻付けられており、その両端はビニールチューブ
10に接続されて型枠1の下端部の接続金具11に達し
ており、懸垂碍子の成形に際し、接続金具11を真空源
(図示せず)に接続することによって、多孔チューブ4
を経て型表面3および6に負圧を作用させて可塑性杯土
を型表面3および6に密着させて正確な形状に成形し、
また成形後、接続金具11を圧縮空気源(図示せず)に
接続することによって、多孔チューブ4を経て型表面3
および6から加圧空気を噴出させて型から成形体を離型
し得るよう構成されている。なお、9は型中央部からの
空気の噴出を防止するため型枠1の下端部の内側に設け
られた非通気性石膏である。
【0020】上述した図示の石膏型では、多孔チューブ
4が型外周部の型表面側部分7の成形型表面3だけに沿
ってこの表面から25mm離間した位置で多孔質型本体2
の石膏内部に埋設されている。これがため、吸水率を測
定した結果、型外周部7の型表面側部分7で20〜30
%の吸水率が、また型中央部8の頭頂部分8aで10〜
20%の吸水率が測定される。しかもこの吸水率を型外
周部の型表面側部分7において型中央部8より大きくす
ることができ、型表面側部分7の吸水率Aと型中央部の
頭頂部分8aの吸水率Bとの差A−Bを5〜20%とす
ることができる。
【0021】上述した型表面側部分7の吸水率が30%
より大きくなると、気孔が多くなるため型外周部の型強
度が低下し、成形時の荷重によって型割れが生じ、ま
た、離型時の噴出空気量が多くなり過ぎる。このため噴
出空気によって成形体が図5にaおよびbで示すように
変形される問題がある。これに反し、型表面側部分の吸
水率が20%より低くなると成形体の離型が不可能とな
り、強制的に離型させようとすると図5にCで示すよう
に成形体の首部が破断する問題が生じる。
【0022】他方、型中央部8の頭頂部分8aの吸水率
が20%より大きくなると噴出空気量が大きくなり過ぎ
て、離型時の噴出空気によって図5にdで示すように成
形体の頭頂部5が浮き上がり変形するという問題が生じ
る。また、頭頂部分の吸水率が10%より低くなると、
成形体を離型させることが不可能になる問題の発生が多
くなる。
【0023】また、型外周部の型表面側部分7と型中央
部8の頭頂部分8aの吸水率の差を5〜20%にしない
と離型時の圧力バランスが悪く、やはり成形体が変形す
る問題が生じる。
【0024】次に上述した多孔質石膏型の製造方法につ
いて図を参照して説明する。
【0025】先ず、図2に示すように鉄製の芯材5の外
側にサイジングチューブよりなる多孔チューブ4をスパ
イラル状に巻付けることにより所定形状を保持させたも
のを作成する。このように形成した多孔チューブ4を製
造すべき懸垂碍子の外表面に対応する外形を有する内型
12の外表面から所定寸法、例えば25mm離した位置
に図3に示すように、スペーサー13に上に載置して浮
き上がらせた状態でセットする。なお、これに先立ち、
石膏等よりなる内型12の外表面上には石鹸水のような
離型材を塗布しておき、注型石膏の半硬化状態での離型
性を良くするものとする。次に、アルミニウム製の型枠
1を内型12および多孔チューブ4の外側にセットす
る。次に多孔チューブ4の端部に接続されたビニールチ
ューブ10の先端を型枠1外に引き出し、脱気された石
膏2を型枠1と内型12との間の間隙に注入する。石膏
は多孔チューブ4がセットされた空間内部を下方より順
次埋めて上昇し、石膏の上面が所定位置まで達したとき
に注入を止め、その上に多孔質石膏とは異なる非通気性
石膏9を注入する。
【0026】この状態で室温に静置すると石膏は次第に
硬化するので、半硬化状態となったときに内型12を離
型し、反転し、図1の状態として図示しない空気圧送装
置上にセットし、圧縮空気源(図示せず)を接続金具1
1に接続し、ビニールチューブ10を経て多孔チューブ
4の内部に圧縮空気を導入する。圧縮空気の導入は、例
えば0.5〜1.0kg/cm2 で10分程度、1.5〜
2.0kg/cm 2 で5〜10分程度、最後に、2.5〜
3.0kg/cm2 と3段階に順次に圧力を高めつつ合計で
約30〜40分間にわたって行われる。
【0027】なお、石膏型脱水後期には空気流量を50
0リットル/分に調整する。この時、型中央部8の型表
面6に油粘土のかたまりを乗せ、これをピストンで3kg
/cm2 の押圧力で押し付け密封する。
【0028】このようにしてサイジングチューブよりな
る多孔チューブ4内に導入された圧縮空気は繊維状の多
孔チューブ4の外周壁から噴出し、半硬化状態の石膏の
内部に分散する。しかし、型中央部および多孔チューブ
4よりも型枠1の側の部分は型枠1によって密閉されて
いるのに対し、型表面3,6の側は開放されているた
め、噴出空気が型表面3,6の滑らかさを保ったまま型
表面3,6から内部の水分を伴った気泡となって泡出す
る。そしてこのときに、多孔チューブ4より型外周部の
型表面側部分7の石膏に他の部分より多くの気孔を形成
し、この型外周部の型表面側部分7が型中央部8の頭頂
部8aよりも高い気孔率を持った多孔質石膏となる。圧
縮空気を連続的に送気し、石膏中の水分泡出がほぼ終わ
るまで30〜40分間この操作を継続し、この間に注入
石膏を硬化させる。この送気中の石膏硬化に伴って、水
分泡出路が微細な気孔として石膏中に残留し、その後に
赤外線加熱等により石膏の完全硬化を行わせれば、多孔
質の石膏型が形成される。
【0029】このように構成された本発明の多孔質成形
型は、従来品と同様に懸垂碍子等のセラミックスの成形
型として用いることができる。成形に際して、接続金具
を経て空気を吸引することによって、多孔チューブ4を
通して多孔質成形型の型表面3,6の全体を減圧にし、
成形体を型表面3,6に密着させて正確な形状に成形す
ることができる。また成形体の成形後は、接続金具11
を経て多孔チューブ4によって多孔質成形型の内部に空
気を吹込めば、石膏型の型表面3,6から空気が噴出し
て成形体を強制的に型表面3,6から容易に離型させる
ことができる。しかも、本発明によれば空気は気孔率、
したがって吸水率の高い型表面側部分から集中的に噴出
するので、例えば、重量の重い碍子の製造にも十分な空
気噴出量が得られるうえ、碍子頭頂部に対する空気噴出
量を低く抑え碍子頭頂部が変形することを防止すること
ができる。
【0030】以上に説明したように、本発明のセラミッ
クスの製造方法およびこれに用いられる多孔質成形型
は、例えば、碍子製造に適する気孔率と表面の滑らかさ
をもたせることができ、成形時の内表面部の減圧脱気に
より成形型に沿った正確な成形が可能で、しかも離型時
の内部加圧によるエアーブロー離型により容易に離型を
行うことができる。またこの多孔質成形型は表面の一部
が欠けたりしたような場合にも容易に修復することがで
きるので、製作費のみならずメンテナンス費も安価であ
る。
【0031】表1は本発明による多孔質石膏型の吸水率
の範囲を示す比較テストの結果を示す。
【表1】
【0032】本発明による多孔質石膏型の比較テストで
は、多孔チューブの位置、多孔チューブに導入される圧
縮空気の圧力および時間ならびに油粘土の押圧力を変え
ることによって型外周部の型表面側部分と型中央部の頭
頂部分での吸水率の組合わせを相違させた図1に示す構
造の多孔質石膏型を用い、これらの多孔質石膏型で中心
コア部16の直径が60mm、大径笠部17の直径が2
54mm、高さ100mmの送電線用懸垂碍子を、アル
ミナ10〜35%、長石20〜35%および粘土30〜
40%の組成のセラミックス材料を用いて多数準備し、
良否を判定した。
【0033】型の吸水率は各型の型表面側部分および頭
頂部分から石膏試料を15×15×15mm程度の大き
さに切断し、その表面をサンドペーパーで仕上げ、その
試料体を40〜45℃の熱風乾燥機にて恒量になるまで
約24時間乾燥し、次に室温まで冷却した試料体の重量
を計り、乾燥重量を求め、その後試料体を常温水へ投入
し、直ちにそのまま700mmHg以上で1時間減圧
し、次に試料体を水中より取り出し、ぬれた布で手早く
表面を拭いて水滴を除去したのちその試料体の重量を計
って吸水重量を求め、下記の計算式で吸水率を求めた。
【数1】 表1中、発生した不良率を%で示し、その総合評価を良
○、稍良△および不良×で示す。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、品質の良い懸垂碍子を
極めて高歩留りで製造することができ、不良品の発生を
実質的に零にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多孔質石膏型の一実施例を示す縦断面
図である。
【図2】芯材によって保持された多孔チューブの正面図
である。
【図3】本発明による多孔質石膏型を製造する方法を示
す断面図である。
【図4】本発明により製造されるセラミックスの一例を
その半部を断面として示す正面図である。
【図5】図4に示した懸垂碍子を従来の多孔質石膏型を
用いて製造する際に生じる変形等の問題の説明図であ
る。
【符号の説明】
1 型枠、2 多孔質型本体、3 型表面、4 多孔チ
ューブ、5 芯材、6 型表面、7 型外周部型表面側
部分、8 型中央部、8a 型中央部頭頂部分、9 非
通気性石膏、10 ビニールチューブ、11 接続金
具、12 内型、13 スペース、15 頭頂部、16
中心コア部、17 大径笠部、

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】頭頂部が閉止された小径の中空円筒形の中
    心コア部と、このコア部から半径方向に延長した大径笠
    部とを有するセラミックスを、前記中心コア部および大
    径笠部の外形に対応する形状の成形型表面を有する型中
    央部および型外周部を含む型本体を具える多孔質成形型
    の前記成形型表面に杯土を押し付けて成形した後、前記
    成形型表面から気体を噴出させて成形体を離型するセラ
    ミックス製造方法において、 前記多孔質成形型の型本体の吸水率が前記型外周部の表
    面側部分において前記型中央部より高い多孔質成形型を
    用いるセラミックスの製造方法。
  2. 【請求項2】前記型外周部の表面側部部分の吸水率が2
    0〜30%であり、前記型中央部の頭頂部分の吸水率が
    10〜20%である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記型外周部の表面側部分の吸水率Aと前
    記型中央部の頭頂部分の吸水率Bとの差A−Bが5〜2
    0%である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】頭頂部が閉止された小径の中空円筒形の中
    心コア部とこのコア部から半径方向に拡開した大形笠部
    とを有する懸垂碍子その他同様のセラミックスの前記中
    心コア部および大径笠部の外形にそれぞれ対応する形状
    の成形型表面を有する型中央部および型外周部を含む型
    本体を具える多孔質成形型において、前記型外周部の型
    表面側部分の吸水率が前記型中央部の吸水率より大きい
    セラミックス製造用多孔質成形型。
  5. 【請求項5】前記型外周部の型表面側部分の吸水率が2
    0〜30%であり、前記型中央部の頭頂部分の吸水率が
    10〜20%である請求項4記載の多孔質成形型。
  6. 【請求項6】前記型外周部の表面側部分と前記型中央部
    の頭頂部分との吸水率の差が5〜20%である請求項5
    記載の多孔質成形型。
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