JP2733654B2 - 複合繊維 - Google Patents

複合繊維

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JP2733654B2
JP2733654B2 JP4066096A JP4066096A JP2733654B2 JP 2733654 B2 JP2733654 B2 JP 2733654B2 JP 4066096 A JP4066096 A JP 4066096A JP 4066096 A JP4066096 A JP 4066096A JP 2733654 B2 JP2733654 B2 JP 2733654B2
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茂 五井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は見掛ヤング率の低い
ポリオレフィン/ポリエステル系の複合繊維に関する。
【0002】
【背景技術】ポリオレフィン系の複合繊維からなるウエ
ブを加熱しながら巻芯に巻き取り、中空円筒状のフィル
ターエレメントを製造する方法が特公昭56−4343
9号公報に開示されている。この方法によれば巻き取り
時の圧力を加減すすことにより所望の空隙率のフィルタ
ーエレメントを得ることができるが、素材がポリオレフ
ィン系複合繊維であることから使用温度の上限が80〜
90℃と低いという欠点があり、濾過する液体によって
はフィルターエレメントが膨潤するという問題もあっ
た。また、高温での使用に耐えるフィルターエレメント
を得る目的で、前記ポリオレフィン系複合繊維に代え
て、低融点の非晶質ポリエステルを鞘成分とし、高融点
の結晶質ポリエステルを芯成分とするポリエステル系複
合繊維を用いる試みもあるが、低融点ポリエステルがガ
ラス質であるため紡糸・延伸工程あるいはフィルターエ
レメントの製造法・使用の工程で粉状に剥離するという
問題が生ずる。更にポリエチレンを鞘成分とし結晶性の
ポリエステルを芯成分とするポリオレフィン/ポリエス
テル系の複合繊維を用いた場合、ポリエステルの見掛け
ヤング率が高いことに起因して、フィルターエレメント
は嵩高で低密度のものとなり微粒子の捕捉が困難となる
のみならず、硬度の低い柔軟なものとなるため実用に耐
えないという欠点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は高温での使用
に耐え、かつ微粒子の捕捉能力の高いフィルターエレメ
ントを製造するための、見掛けヤング率の低いポリオレ
フィン/ポリエステル系の複合繊維を提供しようとする
ものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは従来のフィ
ルターエレメントの上記諸欠点を解消すべく鋭意検討の
結果、ポリオレフィンを鞘成分とし、ポリエステルを芯
成分として複合紡糸した未延伸糸を、110℃より高く
かつポリオレフィンの融点より低い温度範囲で2倍以上
に延伸し、ポリエステルの二次転移点より20℃以上高
くかつポリオレフィンの融点より低い温度の範囲内で3
0秒以上アニーリングして得られるポリオレフィン/ポ
リエステル系の複合繊維は見掛ヤング率が210kg/
mm2以下と小さく、この複合繊維を用いて特公昭56
−43139号公報記載の方法でフィルターエレメント
を製造することにより、所望の空隙率に調整され硬度が
たかく、かつ液体による膨潤の少ないフィルターエレメ
ントが得られることを知り本発明を完成するに至った。
【0005】本発明で用いるポリオレフィンは、従来公
知の高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、結晶性
ポリプロピレン等のポリオレフィンであり、ポリエチレ
ンではメルトフローレートが5以上、特に10以上のも
のが好ましく、結晶性ポリプロピレンではメルトフロー
レートが10以上のものが好ましく用いられる。本発明
で用いるポリエステルは融点が200℃以上で、エチレ
ンテレフタレート単位が分子の50重量%以上を占める
繊維グレードのポリエステルである。これらのポリオレ
フィンとポリエステルは従来公知の方法で鞘芯型に複合
紡糸される。得られた未延伸糸は110℃以上でかつポ
リオレフィンの融点より低いの温度範囲で2倍以上に延
伸され、かつポリエステルの二次転移点より20℃以上
高くかつポリオレフィンの融点より低い温度の範囲内で
30秒以上アニーリングされる。延伸温度が110℃よ
り低いと、得られる複合繊維は見掛けヤング率の高いも
のとなり、これを用いてフィルターエレメントを製造し
た場合、前述のような従来技術に基づく欠点を有するも
のしか得られない。また、延伸温度がポリエステルの二
次転移点以下になると、得られる延伸糸はフィルターエ
レメント製造法の際の加工温度で大きな熱収縮をが発生
するものとなり、得られるフィルターエレメントは表面
に凹凸が生じ内部も空隙率が不均一なものとなる。アニ
ーリング温度が上記範囲以下であったり、アニーリング
時間が30秒未満では得られる複合繊維は見掛けヤング
率の高いものとなり、これを用いたフィルターエレメン
トは空隙率の大きなものとなり精密濾過には不適当であ
る。
【0006】
【実施例】実施例及び比較例によって本発明を更に具体
的に説明する。なお、各例で用いた測定方法を一括して
いかに示す。 見掛けヤング率:JIS L1013(化学繊維フィラ
メント糸試験方法)第7.10項に依って求めた(初期
引張抵抗度)より次式によって算出する。但し、ρはP
P/PETでは1.15、PE/PETでは1.17を
用いた。 見掛けヤング率(kg/mm2)=9×ρ×初期引張抵
抗度(g/d) 濾過試験:研磨微粉(FO#1200、粒径5〜15μ
m90%)20gを50リットルの水に懸濁させた液を
2m3/hrの割でフィルターエレメントの外表面から
中空部へ循環通水し、2分後に採取して濾過水100m
l中の粒子を粒径1μmまで捕集できるメンブレンフィ
ルター上に捕集し3000個の粒子の粒径を(株)ニコ
レ社製”ルーゼックス450”を用いて計測する。 膨潤試験:沸騰水(100℃、2時間)、トルエン(2
0℃、5日間)、熱風(120℃、5日間)の条件で処
理したフィルターエレメントの外径(d’)と長さ
(l’)を測定し、処理前の外径(d)と長さ(l)に
対する比率を下式で算出する。 100×(d×l)/(d’×l’)=膨潤率
【0007】実施例1 ポリエステル(極限粘度0.65、融点255℃)を芯
成分とし高密度ポリエチレン(メルトフローレート:1
90℃ 20、融点130℃)を鞘成分として、複合比
1/1で複合紡糸して単糸繊度10デニールの未延伸糸
とし、次いで110℃で3倍に延伸した後、90℃で3
分間アニーリングして単糸繊度3.5デニールの延伸糸
を得た。この延伸糸を繊維長51mmに切断して得たス
テープルファイバーをカード機を用いて目付20g/m
2のウエブとし、このウエブを水平に送りながら端から
逐次遠赤外線ヒーターにより140〜150℃で20秒
間加熱して高密度ポリエチレンのみを融解させた状態
で、1m当り4kgのステンレス製の中芯(外径30m
m)にその自重で加圧しながら所定重量だけ巻き取っ
た。冷却後中芯を抜き取り、切断し、外径70mm、内
径30mm、長さ250mm、重量240gのフィルタ
ーエレメントを得た。このフィルターエレメントは非常
に固く、内外面共に皺や歪みは無く、切断面を観察した
ところ均一な空隙率を有していた。上記延伸糸の延伸条
件及び見掛ヤング率ならびにフィルターエレメントの濾
過試験及び膨潤試験の結果を第1表に示した。
【0008】実施例2 鞘成分をポリプロピレン(メルトフローレート:230
℃ 15、融点160℃)とした他は実施例1と同様に
複合紡糸して得た未延伸糸(単糸繊度10デニール)を
140℃で3.5倍に延伸し、135℃で5分間アニー
リングした後切断し、単糸繊度3デニール、繊維長51
mmのステープルファイバーとした。このステープルフ
ァイバーを用い実施例1と同様にして、但し加熱温度は
170〜180℃として、フィルターエレメントを得
た。このフィルターエレメントは実施例1のものと同様
に、硬くかつ均質であった。評価の結果を第1表に示し
た。
【0009】比較例1、2 実施例1で得られた未延伸糸を用い、延伸温度を70℃
(比較例1)または90℃(比較例2)として各3倍に
延伸した他は実施例1と同様の工程でステンレス製の中
芯に所定量巻き取り、冷却、切断してフィルターエレメ
ントを得た。得られたフィルターエレメントはいずれも
柔軟で締まりがなく、空隙率も不均一であった。これら
の評価結果を第1表に併せ示した。 参考例 結晶性ポリプロピレン(メルトフローレート:230℃
8、融点 160℃)を芯成分とし、高密度ポリエチ
レン(メルトフローレート:190℃ 20、融点 1
30℃)を鞘成分として、複合比1/1で複合紡糸しし
て得た未延伸糸を90℃で3.5倍に延伸し、100℃
で3分間アニーリングした後切断して、単糸繊度3デニ
ール、繊維長51mmのステープルファイバーを得た。
このステープルファイバーを用い実施例1と同様にし
て、但し加熱温度は130〜140℃として、フィルタ
ーエレメントを得た。このものは良質のフィルターエレ
メントではあったが耐熱性および耐溶剤性が実施例1の
ものより劣っていた。
【0010】
【表1】
【0011】
【発明の効果】本発明は高温での使用に耐え、かつ微粒
子の捕捉能力の高いフィルターエレメントを製造するた
めの、見掛けヤング率の低いポリオレフィン/ポリエス
テル系の複合繊維を提供するものである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィンを鞘成分とし、ポリエス
    テルを芯成分として複合紡糸した未延伸糸を、110℃
    より高くかつポリオレフィンの融点より低い温度範囲で
    2倍以上に延伸し、ポリエステルの二次転移点より20
    ℃以上高くかつポリオレフィンの融点より低い温度の範
    囲内で30秒以上アニーリングして得られる、見掛ヤン
    グ率が210kg/mm2以下のポリオレフィン/ポリ
    エステル系の複合繊維。
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