JP2732342B2 - オンデマンド型プリンティング方式による記録方法 - Google Patents

オンデマンド型プリンティング方式による記録方法

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士郎 山宮
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は使用する券又はカード一
枚毎に異なる個別的な画像情報の記録方法に関し、更に
詳しくは肉眼では解読不能であり、且つ赤外線によって
のみ読み取り可能な個別的な画像情報の記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来、銀行通帳、小切
手、航空券、道路通行券、乗車券、入場券、プリペイド
カード類、例えば、電話料金カード、乗車券購入カー
ド、入場券購入カード、遊戯料金カード等及び身分証明
証、銀行の預金番号カード等の銀行自動支払いに関連し
たカード等の個別的に使用される券類又はカード類等に
記録した文字、数字、記号、模様等の個別的な画像情報
について第三者に秘密にし、悪用されない様に隠蔽する
必要があることがあり、それらの多くの場合は磁気イン
キを利用して磁気記録を利用していた。
【0003】しかしながら、磁気インキを利用したシス
テムにおいては、使用される磁性体が熱にさらされた
り、強い磁場の環境等におかれたりすると磁気の強さが
変ったり或いは消えたりするという問題がある。又、磁
気マークの形成時においては、磁性体をインキ中に均一
に分散させることもかなり困難であり、安定に貯蔵して
均一に塗工することもかなり困難が伴ない、その形成方
法が煩雑であるという問題がある。従って、本発明の目
的は、情報の記入、記録等の入力が簡単且つ容易に行な
い得、又、一般的には肉眼では読み取り不能であって、
特定の手段によってのみ読み取りが可能である個別的な
画像情報の記録方法を提供することである。
【0004】
【問題点を解決する為の手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、基体上に赤外線吸収性領域
赤外線反射性領域を着色領域して形成する画像情
報の記録方法において、基体が券又はカードとして使用
されるものであり、印字機器としてオンデマンド型イン
クジェット装置を用い、赤外線吸収性色素を含む水性顔
料組成物からなる赤外線吸収性インクジェットインキ及
びカップリング成分として2−ヒドロキシ−α−ベンゾ
カルバゾール−カルボン酸アリルアミド及びその誘導体
を使用したアゾメチン基含有アゾ顔料を赤外線反射性色
素として含む水性顔料組成物からなる赤外線反射性イン
クジェットインキとを水性系黒色インキとして使用し
て、券又はカード上に文字、数字、記号、模様等の個別
的画像情報を前記着色領域の少なくとも一方として出力
印字して前記着色領域を並列又は重ねて形成すること
で、肉眼で実質的に判別不能又は判別困難である画像情
報が券又はカード一枚毎に異なって印字されることを特
徴とするオンデマンド型インクジェットプリンティング
方式による記録方法である。
【0005】
【作用】任意の基体上に赤外線吸収性色素からなる着色
領域と赤外線反射性色素からなる着色領域とからなる個
別的な画像情報を並列又は重ねてオンデマンド型インク
ジェットプリンティング方式によって記録することによ
って、情報の記入、記録等の入力が簡単且つ容易に行な
い得、又、一般的には肉眼では読み取り不能であって、
特定の手段によってのみ読み取りが可能である個別的な
画像情報を記録することが出来る。
【0006】
【好ましい実施態様】次に好ましい実施態様を挙げて本
発明を更に詳細に説明する。本発明において使用される
基体としては、各種の券類やカード類として使用されて
いるものであって、例えば、紙、化学繊維混抄紙、合成
紙、プラスチックフイルム、プラスチックシート等、従
来公知の記入或いは記録可能な基体が使用される。利用
される基体の形状は規格の各サイズの他、裁断されたカ
ードサイズ等でも用いられる。上記基体に後記の赤外線
吸収性色素及び赤外線反射性色素により情報を記録する
方法はオンデマンド型インクジェットプリンティング方
式であり、インクジェットプリンターから出力されて各
券類又はカード類に記録される情報としては、例えば、
文字、数字、記号、模様等の本質的には、例えば、カー
ド毎に異なるもであることを前提とする個別的な画像
情報が挙げられる。
【0007】本発明の記録方法において、文字、数字、
記号、模様等の個別的な画像情報を形成させるのに使用
される赤外線吸収性色素は、検知に利用される赤外線領
域に大きな吸収があり、従って赤外線の反射率が明白に
低いか或いは殆ど無いことが必要である。
【0008】又、上記の画像情報を肉眼的に隠蔽又は欺
まんする為に使用される赤外線反射性色素は、上記の検
知に利用される赤外線領域に上記の吸収による低反射率
と明白な差異を示すに足る充分な反射率を有することが
必要である。
【0009】前記した如きオンデマンド型インクジェッ
トプリンティング方式を用いる画像情報の入力、記録に
使用される赤外線吸収性色素としては、かかる性質を有
する従来公知の顔料又は染料がいずれも使用することが
出来、特に好ましいものは、例えば、カーボンブラック
顔料、アニリンブラック顔料、酸化鉄ブラック顔料、酸
化チタン系ブラック顔料及びスピネル型構造系ブラック
顔料等が挙げられる。
【0010】画像情報を肉眼的に隠蔽或いは欺まんし
て、識別不能にする為に使用する赤外線反射性色素とし
ては、下記のアゾメチン基を有するアゾ顔料を必須色素
とし、かかる性質を有する従来公知の色素を必要により
1種以上併用することが出来、例えば、従来公知の有機
顔料及び染料としては、フタロシアニン系、アゾ系、ア
ゾメチン系、アゾメチンアゾ系、アンスラキノン系、ペ
リノン・ペリレン系、インジゴ・チオインジゴ系、ジオ
キサンジン系、キナクリドン系、イソインドリノン系等
の顔料及び染料であり、無機顔料としては、酸化チタン
系、酸化鉄系、焼成顔料系、金属粉顔料、体質顔料等の
白色ないし有彩色の顔料が挙げられる
【0011】本発明で使用する必須のアゾメチン基を有
する赤外線反射性色素は、例えば、 特開昭58−174446号公報、 特願昭59−4775号明細書、 特許第1063816号明細書、 特許第1052019号明細書、 特許第1141514号明細書、 特許第1141515号明細書、 特願昭60−168540号明細書、 特願昭60−277929号明細書に開示されている色
素である。
【0012】特にカップリング成分として2−ヒドロキ
シ−α−ベンゾカルバゾール−カルボルボン酸アリルア
ミド及びその誘導体を使用したアゾメチン基を有するア
ゾ顔料は、可視光線下では暗緑色〜黒色の色調を示し、
特に黒色においては黒色度の高い鮮明な黒色を示す。し
かるに赤外線に対しては殆ど吸収を示さず、高い反射性
を示す好ましい色素である。上記で述べたアゾメチン基
を有する色素は耐熱性、耐光性、耐水性、耐薬品性に優
れ、更に高い着色力を有している。又、顔料タイプの色
素では更に耐溶剤性に極めて優れた性質を示す。
【0013】以上は本発明において特に好ましく使用さ
れる赤外線反射性色素の例であるが、本発明において
は、その他の色素や混合色、例えば、赤、青、黄、橙、
紫、緑、茶色の色素を混合して得られる配合色も赤外線
反射性色素として使用することが出来る。尚、本発明に
おいて「赤外線反射性色素」とは、その物自体が赤外線
を反射する場合と、その物自体は赤外線を透過するが、
色素が施こされた基体、例えば、紙やプラスチックシー
ト、金属等によって赤外線が反射され、再度該着色部分
を透過して赤外線を出す性質を有する色素の双方を意味
するものである。従って本発明においては赤外線透過性
の高い色素も本発明におけ「赤外線反射性色素」に包含
される。
【0014】前記した色素は、これらを含む水性顔料組
成物からなるインクジェットプリンター水性系黒色
ンキとして、例えば、従来公知の水性系インクジェッ
プリンター用インキと同様な構成で水性溶液系、水
性エマルジョン系、水性分散液系或いはそれらの混合系
の水性系インキとして使用される。
【0015】それらのインクジェットプリンター用イン
キに使用される樹脂成分としては従来公知のものであ
り、水性系用樹脂としては、カゼイン、アルギン酸ソー
ダ、アラビアゴム、エチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール、スチレン−マレ
イン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリ
ルエステル系(共)重合体の水溶性塩、スチレン−(メ
タ)アクリルエステルラテックスの水溶性塩、水溶性ア
ルキッド系樹脂、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテ
ックス、(メタ)アクリルエステル系共重合体ラテック
ス、スチレン−(メタ)アクリルエステル系共重合体ラ
テックス、エチレン−酢酸ビニル系共重合体ラテック
ス、ポリエチレン系ディスバージョン、エチレン系共重
合体系ディスバージョン等が挙げられる。
【0016】又、油性系用樹脂成分としては、セルロー
スアセテートブチレート系樹脂、ニトロセルロース系樹
脂、酢酸ビニル系(共)重合体、スチレン系(共)重合
体、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−酢
酸ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール系樹脂、ア
ルキッド系樹脂、フェノール変性アルキッド系樹脂、ス
チレン化アルキッド系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、
ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルポ
リオールウレタン系重合体、可溶性ポリアミド系重合
体、フェノール系樹脂、ロジン変性フェノール系樹脂、
ロジン変性マレイン酸系樹脂等が挙げられる。
【0017】前記した如く、印字された文字、数字、記
号模様等の画像情報の赤外線に対する吸収性即ち低反射
性、及びそれらの個別的な画像情報を肉眼的に隠蔽或い
は欺まんする為に施こされた着色面の赤外線に対する反
射性及びそれらの程度については、赤外線読取機や赤外
線写真等のよって確認することが出来る。例えば、赤外
線読取機では、先ず、700〜900nmの近赤外線を
出す半導体レーザーや790nm付近の赤外線を出す赤
外線発光ダイオードを利用する。これらの赤外線はその
まま或いは変調を加えて受光の感度を高めた形で照射す
る。
【0018】次いで基材、例えば、券或いはカード上に
おいて画像情報が記録されていない着色部分で反射した
赤外線は、受光センサーにて受光されて反射を示す電気
信号に変換し、又、画像情報が記録されている部分では
照射された赤外線は吸収されてしまい、赤外線受光セン
サーには受光は殆どないか或いは非常に低いものとして
感知され、反射を示さないか低い電気信号に変換され
る。これらの電気信号は陰極線管によるディスプレー等
の各種の認識方式に連結されて明確な情報として認識さ
れる。
【0019】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明す
る、尚、文中、部又は%とあるのは特に断りのない限り
重量基準である。 実施例1 カーボンブラック顔料5部、スチレン−メタクリレート
酸ジエタノールアミン塩系共重合体2部、エチレングリ
コール20部、グリセリン8部及び水65部の組成の水
性顔料分散液を作り、超遠心分離機で分散しえなかった
顔料粗粒子を除去し、インクジェットプリンター用水性
黒色インキA−1を得た。
【0020】別に、3−(4′−アミノフェニルイミ
ノ)−1−オキソ−4,5,6,7−テトラクロルイソ
インドリンをジアゾ化し、2−ヒドロキシ−α−ベンゾ
カルバゾール−3−カルボ−(2′−メチル−4′−メ
トキシ)アニライドとカップリング反応を行なって得た
黒色アゾメチンアゾ顔料7.5部、スチレン−アクリレ
ート−メタクリル酸ジエタノールアミン塩系共重合体3
部、エチレングリコール22部、グリセリン8部及び水
59.5部の水性顔料分散液を作り、超遠心分離機で分
散しえなかった顔料粗粒子を除去し、インクジェット
リンター用水性黒色インキR−1を得た。
【0021】ピエゾ振動子を有するオンデマンド型のイ
ンクジェットプリンターで上記の黒色インキA−1を用
いて文字、数字、記号、模様等の個別的な画像情報を印
字した。次いで上記の黒色インキR−1を用いて、先に
印字した画像情報部分の全体に重ねて黒色の印字を行な
った。これらの印字物について自記分光光度計で分光反
射率を測定したところ、黒色インキR−1のみを用いて
印字した部分は紫外部及び可視部において殆ど反射を示
さず、近赤外部に於て非常に高い反射を示すのに対し
て、黒色インキA−1で印字した上に黒色インキR−1
を重ねて印字した部分は紫外部、可視部、近赤外部の全
ての領域において反射を全く示さなかった。この関係を
下記表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】上記の結果は紫外部及び可視部に於ては、
いずれも殆ど反射を示さず吸収しており黒色を示すもの
であるが、近赤外部において黒色インキR−1のみから
印字された部分が非常に高い反射を示すのに対して、黒
色インキA−1の印字部分の上に黒色インキR−1を重
ねて印字した部分は、A−1のカーボンブラック顔料に
起因する吸収が起こり、その為反射を全く示していな
い。この両者の差異は非常に大きい。
【0024】この結果に基づき、インキA−1で記録さ
れた画像情報は、インキR−1で隠蔽されて肉眼では識
別不能であったが、赤外線読取機によれば記録された画
像情報の明瞭な読み取りが可能であった。上記の赤外線
読取機は、赤外線発光ダイオード(例えば、東京芝浦電
気製TLN105)により赤外線を発生させ、これに変
調を加えて光度を高め、印字物で反射した赤外線を受光
センサー(例えば、東京芝浦電気製TPS703)にて
受光し、反射の有無及び反射の程度を電気信号に変換
し、情報を認識することが出来る様にしたものである。
【0025】
【効果】以上の如き本発明の記録方法によれば、オンデ
マンド型インクジェットプリンターから出力されて各券
類又はカード類に印字された個別的な記録情報が肉眼的
に隠蔽又は欺まんされる様に、同一又は更に濃い色相に
着色しているので肉眼では識別することが出来ず、赤外
線によってのみ識別可能である。従って高い秘密性が要
求される個別的な画像情報の記録方法として非常に有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山宮 士郎 東京都練馬区富士見台3−24−1 (72)発明者 堀口 正二郎 埼玉県大宮市片柳2−77−1 (56)参考文献 特開 昭51−37294(JP,A) 特開 昭58−134782(JP,A) 特開 昭59−26288(JP,A) 特開 昭61−297192(JP,A) 特開 平1−188386(JP,A) 特開 昭55−84671(JP,A) 特開 昭55−65573(JP,A) 特開 昭55−81174(JP,A) 特開 昭61−92885(JP,A) 特開 昭61−217280(JP,A) 特開 昭62−199451(JP,A) 特開 昭62−97880(JP,A) 特開 昭62−138857(JP,A) 特開 昭55−53568(JP,A) 特開 昭57−152958(JP,A) 特開 昭58−107359(JP,A) 特開 昭62−119280(JP,A) 特開 平6−171198(JP,A) 特公 昭61−49347(JP,B2) 特公 平2−40267(JP,B2) 特公 昭56−2102(JP,B2) 特公 昭55−45100(JP,B2) 特公 昭57−27137(JP,B2) 特公 昭62−138857(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に赤外線吸収性領域と赤外線反射
    領域を着色領域して形成する画像情報の記録方法
    において、基体が券又はカードとして使用されるもので
    あり、印字機器としてオンデマンド型インクジェット装
    置を用い、赤外線吸収性色素を含む水性顔料組成物から
    なる赤外線吸収性インクジェットインキ及びカップリン
    グ成分として2−ヒドロキシ−α−ベンゾカルバゾール
    −カルボン酸アリルアミド及びその誘導体を使用したア
    ゾメチン基含有アゾ顔料を赤外線反射性色素として含む
    水性顔料組成物からなる赤外線反射性インクジェットイ
    ンキとを水性系黒色インキとして使用して、券又はカー
    ド上に文字、数字、記号、模様等の個別的画像情報を前
    着色領域の少なくとも一方として出力印字して前記着
    色領域を並列又は重ねて形成することで、肉眼で実質的
    に判別不能又は判別困難である画像情報が券又はカード
    一枚毎に異なって印字されることを特徴とするオンデマ
    ンド型インクジェットプリンティング方式による記録方
    法。
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