JP2731785B2 - 接着剤 - Google Patents
接着剤Info
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- JP2731785B2 JP2731785B2 JP8252639A JP25263996A JP2731785B2 JP 2731785 B2 JP2731785 B2 JP 2731785B2 JP 8252639 A JP8252639 A JP 8252639A JP 25263996 A JP25263996 A JP 25263996A JP 2731785 B2 JP2731785 B2 JP 2731785B2
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- Dental Preparations (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属とくに貴金属に対
して優れた接着性を有する接着剤に関する。とくに、本
発明の接着剤は歯科分野において有用である。
して優れた接着性を有する接着剤に関する。とくに、本
発明の接着剤は歯科分野において有用である。
【0002】
【従来の技術】アクリル系モノマー、エポキシ化合物等
の重合性単量体からなる重合硬化型の接着剤は、常温・
常圧で短時間に硬化させる事ができ、作業性に優れてい
る為、金属材料の接着に広汎に使用され、接着剤分野に
おいて重要な位置を占めている。しかしながら、この種
の重合硬化型接着剤では、用途によっては、大きな欠点
が顕在化する。即ち、接着界面を水と常時接触する環境
下におくと、接着力が急速に低下するので、耐水性が要
求される用途には使用できない。
の重合性単量体からなる重合硬化型の接着剤は、常温・
常圧で短時間に硬化させる事ができ、作業性に優れてい
る為、金属材料の接着に広汎に使用され、接着剤分野に
おいて重要な位置を占めている。しかしながら、この種
の重合硬化型接着剤では、用途によっては、大きな欠点
が顕在化する。即ち、接着界面を水と常時接触する環境
下におくと、接着力が急速に低下するので、耐水性が要
求される用途には使用できない。
【0003】近年、歯科材料分野においては、金属に対
する接着強度の耐水性が優れた重合硬化型接着剤を得よ
うとする試みがなされ、成果をあげつつある。例えば特
開昭58−21607号に開示されている、リン酸エス
テル化合物を配合した歯科用接着剤は、鉄、ニッケル、
クロム、コバルト、スズ、アルミニウム、銅、チタン等
の卑金属およびこれ等の元素を主成分とする卑金属合金
に対しては、極めて耐水性の優れた接着力を示し、歯科
用接着剤として実用化されている。しかしながら、歯科
用鋳造体、例えばインレー、クラウン、ブリッジなどの
素材として主に使用されている貴金属合金(金、白金、
パラジウム、銀を主成分とする合金)に対する該接着剤
の接着強度の耐水性は卑金属合金と比べると劣る為、貴
金属合金を被着体とする場合には、接着強度の耐水性を
確保する目的で該貴金属合金の表面にスズメッキや酸化
処理などの表面処理を行う必要があった。
する接着強度の耐水性が優れた重合硬化型接着剤を得よ
うとする試みがなされ、成果をあげつつある。例えば特
開昭58−21607号に開示されている、リン酸エス
テル化合物を配合した歯科用接着剤は、鉄、ニッケル、
クロム、コバルト、スズ、アルミニウム、銅、チタン等
の卑金属およびこれ等の元素を主成分とする卑金属合金
に対しては、極めて耐水性の優れた接着力を示し、歯科
用接着剤として実用化されている。しかしながら、歯科
用鋳造体、例えばインレー、クラウン、ブリッジなどの
素材として主に使用されている貴金属合金(金、白金、
パラジウム、銀を主成分とする合金)に対する該接着剤
の接着強度の耐水性は卑金属合金と比べると劣る為、貴
金属合金を被着体とする場合には、接着強度の耐水性を
確保する目的で該貴金属合金の表面にスズメッキや酸化
処理などの表面処理を行う必要があった。
【0004】最近、N−(4−メルカプトフエニル)メ
タクリルアミドをあらかじめ貴金属表面に塗布して吸着
(プライマー処理)させてから、MMA-トリブチルボラン
系接着剤をその表面に塗布すると、貴金属に対する接着
強度の耐水性が著しく改善される事が見い出され、歯科
材料・器械第5巻92−105頁(1986年)に発表
されている。
タクリルアミドをあらかじめ貴金属表面に塗布して吸着
(プライマー処理)させてから、MMA-トリブチルボラン
系接着剤をその表面に塗布すると、貴金属に対する接着
強度の耐水性が著しく改善される事が見い出され、歯科
材料・器械第5巻92−105頁(1986年)に発表
されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述のように、特開昭
58−21607号で開示されている接着剤で貴金属ま
たは貴金属合金製材料を歯等に接着させる場合には、金
属表面をスズメッキ等の表面処理を行うことが必要であ
り、操作が煩雑であることが問題である。この点、前述
のN−(4−メルカプトフエニル)メタクリルアミドを
含む接着剤を用いると、かかる煩雑さが避けられるが、
接着強度の耐水性が実用的になお不十分であることが問
題である。
58−21607号で開示されている接着剤で貴金属ま
たは貴金属合金製材料を歯等に接着させる場合には、金
属表面をスズメッキ等の表面処理を行うことが必要であ
り、操作が煩雑であることが問題である。この点、前述
のN−(4−メルカプトフエニル)メタクリルアミドを
含む接着剤を用いると、かかる煩雑さが避けられるが、
接着強度の耐水性が実用的になお不十分であることが問
題である。
【0006】したがって、本発明の目的は、金属(とく
に貴金属)物体同士あるいは金属物体と他の物体とを接
着するための接着剤を見い出すことである。
に貴金属)物体同士あるいは金属物体と他の物体とを接
着するための接着剤を見い出すことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的は、下記に述
べる本発明の接着剤によって達成される。 (a) 飽和炭素と結合したメルカプト基またはポリスルフ
イド基を少なくとも1個有し、かつ、オレフイン性二重
結合を少なくとも1個有する化合物 (b) 該化合物と共重合性を有する重合性単量体および (c) 重合開始剤を含有してなる接着剤。
べる本発明の接着剤によって達成される。 (a) 飽和炭素と結合したメルカプト基またはポリスルフ
イド基を少なくとも1個有し、かつ、オレフイン性二重
結合を少なくとも1個有する化合物 (b) 該化合物と共重合性を有する重合性単量体および (c) 重合開始剤を含有してなる接着剤。
【0008】本発明は接着性成分として飽和炭素と結合
したメルカプト基またはポリスルフイド基を少なくとも
1個有し、かつ、オレフイン性二重結合を少なくとも1
個有する化合物(a)を用いることに特徴を有する。本発
明において用いられるかかる化合物を以下に例示する。
したメルカプト基またはポリスルフイド基を少なくとも
1個有し、かつ、オレフイン性二重結合を少なくとも1
個有する化合物(a)を用いることに特徴を有する。本発
明において用いられるかかる化合物を以下に例示する。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】
【化3】
【0012】
【化4】
【0013】
【化5】
【0014】
【化6】
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】
【化9】
【0018】
【化10】
【0019】
【化11】
【0020】
【化12】
【0021】これらの化合物のなかでも、下記〔I〕式
で表されるチオール化合物または下記〔II〕式で表され
るポリスルフイド化合物が好ましく用いられる。 〔I〕 H2C=C(R1)-X-[R2]l−C(R3)(R4)−SH
で表されるチオール化合物または下記〔II〕式で表され
るポリスルフイド化合物が好ましく用いられる。 〔I〕 H2C=C(R1)-X-[R2]l−C(R3)(R4)−SH
【0022】〔上記式において、R1は水素またはメチ
ル基を表し、R2は炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)-
基および/またはメルカプト基を有していてもよい)
を表し、R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜40の有機基
(H2C=C(R1)- 基および/またはメルカプト基を有して
いてもよい)、水素、メルカプト基またはハロゲンを表
し、R3および/またはR4が有機基の場合は、R2、R3およ
びR4の少なくとも2つは互いに結合して環状構造を形成
していてもよく、Xは-COO-、-OOC-、-CONH-、-COS-、-
SOC-、-S- またはフエニレン基を表し、lは0または1
を表す〕
ル基を表し、R2は炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)-
基および/またはメルカプト基を有していてもよい)
を表し、R3およびR4はそれぞれ炭素数1〜40の有機基
(H2C=C(R1)- 基および/またはメルカプト基を有して
いてもよい)、水素、メルカプト基またはハロゲンを表
し、R3および/またはR4が有機基の場合は、R2、R3およ
びR4の少なくとも2つは互いに結合して環状構造を形成
していてもよく、Xは-COO-、-OOC-、-CONH-、-COS-、-
SOC-、-S- またはフエニレン基を表し、lは0または1
を表す〕
【0023】
〔II〕 H2C=C(R1)-X-[R'2]l-C(R'3)(R'4)-(S)n-C(R5)(R6)(R7)
【0024】〔上記式において、R1、lおよびXはそれ
ぞれ上記における定義と同じ、R'2は炭素数1〜40の
有機基(H2C=C(R1)- 基および/またはポリスルフイド
基を有していてもよい)を表し、R'3およびR'4はそれぞ
れ炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)- 基および/ま
たはポリスルフイド基を有していてもよい)、水素、メ
ルカプト基またはハロゲンを表し、R'3および/または
R'4が有機基の場合は、R'2、R'3およびR'4の少なくとも
2つは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
R5、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜40の有機基(H2
C=C(R1)- 基および/またはポリスルフイド基を有して
いてもよい)、水素、メルカプト基またはハロゲンを表
し、R5、R6およびR7の少なくとも2つが有機基の場合、
これらは互いに結合して環状構造を形成していてもよ
く、nは2〜6の整数を表す。〕
ぞれ上記における定義と同じ、R'2は炭素数1〜40の
有機基(H2C=C(R1)- 基および/またはポリスルフイド
基を有していてもよい)を表し、R'3およびR'4はそれぞ
れ炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)- 基および/ま
たはポリスルフイド基を有していてもよい)、水素、メ
ルカプト基またはハロゲンを表し、R'3および/または
R'4が有機基の場合は、R'2、R'3およびR'4の少なくとも
2つは互いに結合して環状構造を形成していてもよく、
R5、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜40の有機基(H2
C=C(R1)- 基および/またはポリスルフイド基を有して
いてもよい)、水素、メルカプト基またはハロゲンを表
し、R5、R6およびR7の少なくとも2つが有機基の場合、
これらは互いに結合して環状構造を形成していてもよ
く、nは2〜6の整数を表す。〕
【0025】さらに、上記〔I〕式および〔II〕式で表
される化合物のなかでも 〔III〕 H2C=C(R1)-C00-(CH2)m-SH (上記式において、R1は前記と同じ、mは6〜20の整
数を表す)で表される化合物および 〔IV〕 H2C=C(R1)-C00-(CH2)q-S-S-(CH2)q'-OOC-C(R'1)=CH2 (上記式において、R1は前記と同じ、R'1はR1と同義、
qおよびq’はそれぞれ2〜20の整数を表す)で表さ
れる化合物がとくに実用的である。
される化合物のなかでも 〔III〕 H2C=C(R1)-C00-(CH2)m-SH (上記式において、R1は前記と同じ、mは6〜20の整
数を表す)で表される化合物および 〔IV〕 H2C=C(R1)-C00-(CH2)q-S-S-(CH2)q'-OOC-C(R'1)=CH2 (上記式において、R1は前記と同じ、R'1はR1と同義、
qおよびq’はそれぞれ2〜20の整数を表す)で表さ
れる化合物がとくに実用的である。
【0026】本発明において接着性成分として用いられ
る前述の化合物(a)は、新実験化学講座第14巻(丸
善、1977−8年刊)、The chemistry of the thiol
group(John Wiley & Sons, 1974年刊)、Comprehe
nsive Organic chemistry Vol. 3 (Pergamon Press, 1
979年刊)などを参考にして合成できる。
る前述の化合物(a)は、新実験化学講座第14巻(丸
善、1977−8年刊)、The chemistry of the thiol
group(John Wiley & Sons, 1974年刊)、Comprehe
nsive Organic chemistry Vol. 3 (Pergamon Press, 1
979年刊)などを参考にして合成できる。
【0027】例えば〔I〕式化合物の合成経路の具体例
として下記の3方法を挙げることができる。 (i) 〔I〕式の化合物のメルカプト基のかわりに、水酸
基、アミノ基、またはハロゲンを有する化合物を出発原
料とし、この水酸基、アミノ基、またはハロゲンをメル
カプト基に置換することにより〔I〕式の化合物を得る
方法。
として下記の3方法を挙げることができる。 (i) 〔I〕式の化合物のメルカプト基のかわりに、水酸
基、アミノ基、またはハロゲンを有する化合物を出発原
料とし、この水酸基、アミノ基、またはハロゲンをメル
カプト基に置換することにより〔I〕式の化合物を得る
方法。
【0028】(ii) (メタ)アクリル酸クロリドまたは
(メタ)アクリル酸無水物と下記の化合物 Y-[R2]l-C(R3)(R4)-SH 〔V〕 (ただし、R2、R3、R4、lは〔I〕式の定義と同じで、
Yはメルカプト基、水酸基またはアミノ基を表す)とを
縮合させる方法。
(メタ)アクリル酸無水物と下記の化合物 Y-[R2]l-C(R3)(R4)-SH 〔V〕 (ただし、R2、R3、R4、lは〔I〕式の定義と同じで、
Yはメルカプト基、水酸基またはアミノ基を表す)とを
縮合させる方法。
【0029】(iii) nが2である〔II〕式の化合物のジ
スルフイド結合を還元的に開裂する方法。 なお、方法(i)を電子吸引基が置換したオレフイン性二
重結合を有する化合物に適用する場合、公知の方法に従
って合成を行うと中間体として生成するメルカプチドイ
オン H2C=C(R1)-X-[R2]l-C(R3)(R4)-Sー 〔VI〕 が二重結合に極めて付加しやすく、〔I〕式化合物を得
ることは困難である。この困難を回避するために、Z
n2+、Pb2+、Ag+、Hg2+などの重金属イオンを反応系に大
過剰に加えておき、生成してくるメルカプチドイオン
〔VI〕を不溶性金属塩として速やかに反応系外に除いて
回収した後、該金属塩を塩酸などの強酸で処理し〔I〕
式化合物を遊離させる方法が有効である。
スルフイド結合を還元的に開裂する方法。 なお、方法(i)を電子吸引基が置換したオレフイン性二
重結合を有する化合物に適用する場合、公知の方法に従
って合成を行うと中間体として生成するメルカプチドイ
オン H2C=C(R1)-X-[R2]l-C(R3)(R4)-Sー 〔VI〕 が二重結合に極めて付加しやすく、〔I〕式化合物を得
ることは困難である。この困難を回避するために、Z
n2+、Pb2+、Ag+、Hg2+などの重金属イオンを反応系に大
過剰に加えておき、生成してくるメルカプチドイオン
〔VI〕を不溶性金属塩として速やかに反応系外に除いて
回収した後、該金属塩を塩酸などの強酸で処理し〔I〕
式化合物を遊離させる方法が有効である。
【0030】また、〔II〕式の化合物の合成経路は下記
の2通りに大別される。 (i) オレフイン性2重結合を有するチオール化合物
〔I〕を合成してからこれを縮合させてポリスルフイド
とする方法。 (ii) ポリスルフイド結合を有する化合物を出発原料と
し、これにオレフイン性2重結合を導入する方法。
の2通りに大別される。 (i) オレフイン性2重結合を有するチオール化合物
〔I〕を合成してからこれを縮合させてポリスルフイド
とする方法。 (ii) ポリスルフイド結合を有する化合物を出発原料と
し、これにオレフイン性2重結合を導入する方法。
【0031】本発明の接着剤は、上記の化合物(a)を用
いて下記(1)のように構成される。 (1) 化合物(a)を該化合物と共重合性のある単量体に溶
解して接着剤を構成する。用いられる共重合性単量体は
後述するが、化合物(a)は濃度0.005〜50重量%
(対該化合物+共重合性単量体)に溶解され、さらに重
合開始剤が加えられる。さらに必要によりフィラー、溶
剤などが加えられる。また、通常用いられている接着剤
(重合性単量体と重合開始剤からなり、フィラーが加え
られていることがある)に化合物(a)を加えても本発明
の接着剤が得られる。なお、この場合も上記のように該
化合物の濃度は0.005〜50重量%〔該化合物+共
重合性単量体に対し〕であってよい。溶剤は粘度の調整
や、重合開始剤の溶剤として使用される量で用いること
ができる。
いて下記(1)のように構成される。 (1) 化合物(a)を該化合物と共重合性のある単量体に溶
解して接着剤を構成する。用いられる共重合性単量体は
後述するが、化合物(a)は濃度0.005〜50重量%
(対該化合物+共重合性単量体)に溶解され、さらに重
合開始剤が加えられる。さらに必要によりフィラー、溶
剤などが加えられる。また、通常用いられている接着剤
(重合性単量体と重合開始剤からなり、フィラーが加え
られていることがある)に化合物(a)を加えても本発明
の接着剤が得られる。なお、この場合も上記のように該
化合物の濃度は0.005〜50重量%〔該化合物+共
重合性単量体に対し〕であってよい。溶剤は粘度の調整
や、重合開始剤の溶剤として使用される量で用いること
ができる。
【0032】上記(1)の場合において、化合物(a)の量が
極めて微量でも接着増強効果が発現するのは、金属表面
に該化合物が単分子吸着すれば効果が発現する為であ
る。本発明の接着剤は接着面に直接塗布して使用され
る。接着強度は接着剤自身の機械的強度にも依るが、通
常は引張接着強度で200kg/cm2以上で、殆んどすべて
の例が接着剤の凝集破壊である。接着界面は極めて耐水
性が優れ、接着物を常温水中に保存する限り、数ヶ月の
期間では目立った強度低下は起きない。
極めて微量でも接着増強効果が発現するのは、金属表面
に該化合物が単分子吸着すれば効果が発現する為であ
る。本発明の接着剤は接着面に直接塗布して使用され
る。接着強度は接着剤自身の機械的強度にも依るが、通
常は引張接着強度で200kg/cm2以上で、殆んどすべて
の例が接着剤の凝集破壊である。接着界面は極めて耐水
性が優れ、接着物を常温水中に保存する限り、数ヶ月の
期間では目立った強度低下は起きない。
【0033】本発明の接着剤に用いられる共重合性単量
体としては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、
メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、エチレングリコール ジメタクリレート、トリ
エチレングリコール ジメタクリレート、ネオペンチル
グリコール ジメタクリレート、2,2−ビス〔4−
(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フエニル〕プロパン(Bis−GMAと称する。)、
2,2−ビス(メタクリロイルオキシエトキシフエニ
ル)プロパン、トリメチロールエタントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4−
(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリテート、
4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水
物、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロ
ジエンホスフエート、2−メタクリロイルオキシエチル
フエニル ハイドロジエン ホスフエート、6−メタク
リロイルオキシヘキシル ジハイドロジエン ホスフエ
ート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジ
エンホスフエート、トリス(2−メタクリロイルオキシ
エチル)ホスフエート、N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルが用
いられる。
体としては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、
メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリ
レート、エチレングリコール ジメタクリレート、トリ
エチレングリコール ジメタクリレート、ネオペンチル
グリコール ジメタクリレート、2,2−ビス〔4−
(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキ
シ)フエニル〕プロパン(Bis−GMAと称する。)、
2,2−ビス(メタクリロイルオキシエトキシフエニ
ル)プロパン、トリメチロールエタントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4−
(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメリテート、
4−メタクリロイルオキシエチルトリメリテート無水
物、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロ
ジエンホスフエート、2−メタクリロイルオキシエチル
フエニル ハイドロジエン ホスフエート、6−メタク
リロイルオキシヘキシル ジハイドロジエン ホスフエ
ート、10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジ
エンホスフエート、トリス(2−メタクリロイルオキシ
エチル)ホスフエート、N,N−ジメチルアミノエチル
メタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルが用
いられる。
【0034】前述のように本発明の接着剤には重合開始
剤が加えられる。重合開始剤としてはベンゾイルパーオ
キサイド−芳香族第3級アミン系、クメンハイドロパー
オキサイドなどの過酸化物、トリブチルボラン、芳香族
スルフイン酸(またはその塩)−芳香族第2級または第
3級アミン−アシルパーオキサイド系などが挙げられ
る。更にカンフアーキノン、カンフアーキノン−第3級
アミン系、カンフアーキノン−アルデヒド系、カンフア
ーキノン−メルカプタン系などの光重合開始剤を挙げる
ことができる。
剤が加えられる。重合開始剤としてはベンゾイルパーオ
キサイド−芳香族第3級アミン系、クメンハイドロパー
オキサイドなどの過酸化物、トリブチルボラン、芳香族
スルフイン酸(またはその塩)−芳香族第2級または第
3級アミン−アシルパーオキサイド系などが挙げられ
る。更にカンフアーキノン、カンフアーキノン−第3級
アミン系、カンフアーキノン−アルデヒド系、カンフア
ーキノン−メルカプタン系などの光重合開始剤を挙げる
ことができる。
【0035】また、本発明の接着剤には、石英、ガラ
ス、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機フイラ
ー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル等のポリマー粉末などが必要に応じて添加され
る。フイラーの配合量は特に限定されないが、組成物全
重量に対して1〜90重量%が好ましい。特に目的とす
る部位にだけ塗布することができるように、接着性組成
物の増粘を図る場合は、5〜50重量%が好ましく、接
着性組成物の硬化物の強度を高めることを目的とし、該
フイラーを補強材として配合する場合は、10〜85重
量%が好ましい。
ス、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機フイラ
ー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩
化ビニル等のポリマー粉末などが必要に応じて添加され
る。フイラーの配合量は特に限定されないが、組成物全
重量に対して1〜90重量%が好ましい。特に目的とす
る部位にだけ塗布することができるように、接着性組成
物の増粘を図る場合は、5〜50重量%が好ましく、接
着性組成物の硬化物の強度を高めることを目的とし、該
フイラーを補強材として配合する場合は、10〜85重
量%が好ましい。
【0036】接着の対象となる金属は、金、白金、パラ
ジウム、銀、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
ジウムなどの貴金属の他に、鉄、ニッケル、コバルト、
銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、チタン、バナジウム、
クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、カドミ
ウム、インジウム、アンチモン等の広汎な卑金属も含ま
れる。更に酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム等の金属酸化物およびこれらの金属酸化物を含む
セラミック材料においても接着増強効果が現れる。次
に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
ジウム、銀、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリ
ジウムなどの貴金属の他に、鉄、ニッケル、コバルト、
銅、亜鉛、スズ、アルミニウム、チタン、バナジウム、
クロム、マンガン、ジルコニウム、モリブデン、カドミ
ウム、インジウム、アンチモン等の広汎な卑金属も含ま
れる。更に酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム等の金属酸化物およびこれらの金属酸化物を含む
セラミック材料においても接着増強効果が現れる。次
に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0037】
【実施例】チオール化合物の製造例
製造例1
500cc3つ口フラスコに10−ヒドロキシデシルメ
タクリレートと、1,10−ジメタクリロイルオキシデ
カンの混合物(10−ヒドロキシデシルメタクリレート
を59%含有)を50g加え、氷浴にて冷却した。p−
トルエンスルホニルクロリド30gをピリジン60cc
に溶解し、滴下ロートに入れ3つ口フラスコに接続し、
フラスコ内を攪拌しながら、p−トルエンスルホニルク
ロリドのピリジン溶液をゆっくり滴下した。
タクリレートと、1,10−ジメタクリロイルオキシデ
カンの混合物(10−ヒドロキシデシルメタクリレート
を59%含有)を50g加え、氷浴にて冷却した。p−
トルエンスルホニルクロリド30gをピリジン60cc
に溶解し、滴下ロートに入れ3つ口フラスコに接続し、
フラスコ内を攪拌しながら、p−トルエンスルホニルク
ロリドのピリジン溶液をゆっくり滴下した。
【0038】滴下終了後2時間は0℃に保ち、その後室
温まで昇温し、2時間攪拌を継続した後、フラスコ内容
物を6NHClで中和し、遊離してきた有機物を塩化メ
チレンで抽出した。水洗を数回行った後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、ハイドロキノンモノメチルエーテル
0.1gを加えて40℃以下で塩化メチレンを減圧留去
し、10−ヒドロキシデシルメタクリレートのp−トル
エンスルホネートと1,10−ジメタクリロイルオキシ
デカンの混合物79gを得た。
温まで昇温し、2時間攪拌を継続した後、フラスコ内容
物を6NHClで中和し、遊離してきた有機物を塩化メ
チレンで抽出した。水洗を数回行った後、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥し、ハイドロキノンモノメチルエーテル
0.1gを加えて40℃以下で塩化メチレンを減圧留去
し、10−ヒドロキシデシルメタクリレートのp−トル
エンスルホネートと1,10−ジメタクリロイルオキシ
デカンの混合物79gを得た。
【0039】この混合物とチオ尿素11g、2,2’−
メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフエノー
ル)0.4gをエタノール150ccに溶かし、加熱し
て30分間環流を行った後、エタノールを減圧留去し
た。残留物からアセトニトリルにてイソチウロニウム塩
を抽出し、アセトニトリルを減圧留去することにより、
イソチウロニウム塩の粗生成物を得た。この粗生物を多
量のn−ヘキサンで洗浄し、1,10−ジメタクリロイ
ルオキシデカンを除去することによって高純度のイソチ
ウロニウム塩を得た。
メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフエノー
ル)0.4gをエタノール150ccに溶かし、加熱し
て30分間環流を行った後、エタノールを減圧留去し
た。残留物からアセトニトリルにてイソチウロニウム塩
を抽出し、アセトニトリルを減圧留去することにより、
イソチウロニウム塩の粗生成物を得た。この粗生物を多
量のn−ヘキサンで洗浄し、1,10−ジメタクリロイ
ルオキシデカンを除去することによって高純度のイソチ
ウロニウム塩を得た。
【0040】このイソチウロニウム塩48gと塩化亜鉛
40gをメタノールに溶かし、激しく攪拌しながら、水
酸化ナトリウムのメタノール溶液を滴下すると、10−
メルカプトデシルメタクリレートの亜鉛塩が白色沈殿と
して生じた。沈殿が新たに生じなくなるまで水酸化ナト
リウム溶液を加えた。塩を濾別して、メタノール、水で
洗浄を行った後、乾燥し31gの塩を得た。この塩20
gにメタノール200mlを加えると懸濁状態になるが
希塩酸を加えていくと塩が溶解し、10−メルカプトデ
シルメタクリレートが遊離してきた。該化合物をn−ヘ
キサンにて抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、n−
ヘキサンを減圧留去したところ無色透明液体の10−メ
ルカプトデシルメタクリレート12gを得た。
40gをメタノールに溶かし、激しく攪拌しながら、水
酸化ナトリウムのメタノール溶液を滴下すると、10−
メルカプトデシルメタクリレートの亜鉛塩が白色沈殿と
して生じた。沈殿が新たに生じなくなるまで水酸化ナト
リウム溶液を加えた。塩を濾別して、メタノール、水で
洗浄を行った後、乾燥し31gの塩を得た。この塩20
gにメタノール200mlを加えると懸濁状態になるが
希塩酸を加えていくと塩が溶解し、10−メルカプトデ
シルメタクリレートが遊離してきた。該化合物をn−ヘ
キサンにて抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥後、n−
ヘキサンを減圧留去したところ無色透明液体の10−メ
ルカプトデシルメタクリレート12gを得た。
【0041】該化合物を10%CDCl3溶液として室温
で90MHzNMRの測定を行ったところ、δ=5.3
5〜5.00および5.90〜6.05にメタクリロイ
ル基のエチレン性プロトンのシグナルを、δ=1.75
〜1.85にメタクリロイル基のメチルプロトンのシグ
ナルを、δ=3.90〜4.10に酸素原子に隣接する
メチレンのプロトンシグナルを、δ=2.15〜2.6
0にイオウ原子に隣接するメチレンのプロトンシグナル
を、δ=0.8〜1.7に残りのメチレンプロトンおよ
びメルカプト基のプロトンのシグナルを観測した。また
マススペクトロスコピーで測定を行ったところ、分子イ
オンピークをm/e 258に観測し、該化合物が10
−メルカプトデシルメタクリレートであることを確認し
た。
で90MHzNMRの測定を行ったところ、δ=5.3
5〜5.00および5.90〜6.05にメタクリロイ
ル基のエチレン性プロトンのシグナルを、δ=1.75
〜1.85にメタクリロイル基のメチルプロトンのシグ
ナルを、δ=3.90〜4.10に酸素原子に隣接する
メチレンのプロトンシグナルを、δ=2.15〜2.6
0にイオウ原子に隣接するメチレンのプロトンシグナル
を、δ=0.8〜1.7に残りのメチレンプロトンおよ
びメルカプト基のプロトンのシグナルを観測した。また
マススペクトロスコピーで測定を行ったところ、分子イ
オンピークをm/e 258に観測し、該化合物が10
−メルカプトデシルメタクリレートであることを確認し
た。
【0042】ジスルフイド化合物の製造例
製造例2
10−メルカプトデシルメタクリレート10gをエタノ
ール200mlに溶解し、これを激しく攪拌しながら、
ヨウ素のエタノール溶液を滴下した。ヨウ素の色が消え
なくなるまでヨウ素のエタノール溶液を加えた後、エタ
ノールを溜去した。残留物にメタノール200mlを加
え、ヘキサンにて有機物を抽出した。ヘキサンを溜去し
残留物中の主成分をカラムクロマトグラフイー〔ワコー
ゲルC−200(和光純薬工業製)、展開溶媒:ヘキサ
ン−酢酸エチル〕にて分離したところ、無色透明液体
6.2gを得た。
ール200mlに溶解し、これを激しく攪拌しながら、
ヨウ素のエタノール溶液を滴下した。ヨウ素の色が消え
なくなるまでヨウ素のエタノール溶液を加えた後、エタ
ノールを溜去した。残留物にメタノール200mlを加
え、ヘキサンにて有機物を抽出した。ヘキサンを溜去し
残留物中の主成分をカラムクロマトグラフイー〔ワコー
ゲルC−200(和光純薬工業製)、展開溶媒:ヘキサ
ン−酢酸エチル〕にて分離したところ、無色透明液体
6.2gを得た。
【0043】該化合物を液体クロマトグラフイーにて分
析したところ、原料の10−メルカプトデシルメタクリ
レートのピークは観測されず、異なる溶出時間に主ピー
ク(95.5%)が観測された。また該化合物を10%
CDCl3溶液として室温で90MHzNMRの測定を行
ったところ、δ=5.00〜5.35および5.90〜
6.05にメタクリロイル基のエチレン性プロトンのシ
グナルを、δ=1.75〜1.85にメタクリロイル基
のメチルプロトンのシグナルを、δ=3.90〜4.1
0に酸素原子に隣接するメチレンプロトンのシグナル
を、δ=2.15〜2.60にイオウ原子に隣接するメ
チレンプロトンのシグナルを、δ=0.8〜1.7に残
りのメチレンプロトンのシグナルを観測し、該化合物が
ビス(10−メタクリロイルオキシデシル)ジスルフイ
ドであることを確認した。
析したところ、原料の10−メルカプトデシルメタクリ
レートのピークは観測されず、異なる溶出時間に主ピー
ク(95.5%)が観測された。また該化合物を10%
CDCl3溶液として室温で90MHzNMRの測定を行
ったところ、δ=5.00〜5.35および5.90〜
6.05にメタクリロイル基のエチレン性プロトンのシ
グナルを、δ=1.75〜1.85にメタクリロイル基
のメチルプロトンのシグナルを、δ=3.90〜4.1
0に酸素原子に隣接するメチレンプロトンのシグナル
を、δ=2.15〜2.60にイオウ原子に隣接するメ
チレンプロトンのシグナルを、δ=0.8〜1.7に残
りのメチレンプロトンのシグナルを観測し、該化合物が
ビス(10−メタクリロイルオキシデシル)ジスルフイ
ドであることを確認した。
【0044】実施例1〜2および比較例1
下記の組成A、Bからなる2ペースト混合型の接着剤を
調合した。 ペーストA Bis−GMA 12.5重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 12.5 10−メルカプトデシルメタクリレート 0.1 N,N−ジエタノール−p−トルイジン 0.5 シラン処理した石英粉末 74.5 ペーストB Bis−GMA 12.5重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 12.5 ベンゾイルパーオキサイド 0.5 シラン処理した石英粉末 74.5
調合した。 ペーストA Bis−GMA 12.5重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 12.5 10−メルカプトデシルメタクリレート 0.1 N,N−ジエタノール−p−トルイジン 0.5 シラン処理した石英粉末 74.5 ペーストB Bis−GMA 12.5重量部 トリエチレングリコールジメタクリレート 12.5 ベンゾイルパーオキサイド 0.5 シラン処理した石英粉末 74.5
【0045】ペーストAとBを同重量ずつ練り合わせた
接着剤を用いて、貴金属に対する接着効果を調べた。1
000グリットのシリコン・カーバイト研磨紙で磨いた
歯科用金合金「ハラドールH」(西独、ヘラウス社製;
Au:79%、Pt:10%、Pd:8%含有)(10X10
X1mm、厚さ4mmのステンレス板で裏面を補強した
もの)の面上に直径5mmの穴を開けた粘着テープを貼
り付けて被着面とした。一方、直径7mmX25mmの
SUS304製丸棒を準備し、棒端面を粒径50μmの
アルミナ砥粒でサンドブラストを行った。等量のペース
トAとBを練り合わせたペーストをSUSの研磨した面
に盛り上げ、被着面に押しつけて接着を行った。1時間
後に接着試料を37℃水中に浸漬し、24時間後に万能
試験機(インストロン製、クロスヘッドスピード2mm/
分)で引張接着強度を測定したところ、接着剤の凝集破
壊を生じ、平均強度(n=8)は234kg/cm2だった
(実施例1)。また、実施例1の接着成分のかわりにビ
ス(10−メタクリロイルオキシデシルジスルフィドを
同様に用いて行ったところ(実施例2)、平均強度は2
01kg/cm2であった。
接着剤を用いて、貴金属に対する接着効果を調べた。1
000グリットのシリコン・カーバイト研磨紙で磨いた
歯科用金合金「ハラドールH」(西独、ヘラウス社製;
Au:79%、Pt:10%、Pd:8%含有)(10X10
X1mm、厚さ4mmのステンレス板で裏面を補強した
もの)の面上に直径5mmの穴を開けた粘着テープを貼
り付けて被着面とした。一方、直径7mmX25mmの
SUS304製丸棒を準備し、棒端面を粒径50μmの
アルミナ砥粒でサンドブラストを行った。等量のペース
トAとBを練り合わせたペーストをSUSの研磨した面
に盛り上げ、被着面に押しつけて接着を行った。1時間
後に接着試料を37℃水中に浸漬し、24時間後に万能
試験機(インストロン製、クロスヘッドスピード2mm/
分)で引張接着強度を測定したところ、接着剤の凝集破
壊を生じ、平均強度(n=8)は234kg/cm2だった
(実施例1)。また、実施例1の接着成分のかわりにビ
ス(10−メタクリロイルオキシデシルジスルフィドを
同様に用いて行ったところ(実施例2)、平均強度は2
01kg/cm2であった。
【0046】一方、ペーストAの組成から10−メルカ
プトデシルメタクリレートを除いた組成を有するペース
トA’を調合し、A’+Bの組み合せで実施例1〜2と
同様の接着を行った。金合金と接着剤の界面に破壊を生
じ、平均接着強度は106kg/cm2だった(比較例1)。
プトデシルメタクリレートを除いた組成を有するペース
トA’を調合し、A’+Bの組み合せで実施例1〜2と
同様の接着を行った。金合金と接着剤の界面に破壊を生
じ、平均接着強度は106kg/cm2だった(比較例1)。
【0047】実施例3
下記の組成C、Dからなる粉液混合型の接着剤を調合し
た。 粉剤C シラン処理されたシリカ粉末 100重量部 ベンゼンスルフイン酸ソーダ 0.4 N,N−ジエタノール−p−トルイジン 0.5 液剤D Bis−GMA 50重量部 1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 39 10−メタクリロイルオキシデシルジハ 10 イドロジエンホスフエート 10−メルカプトデシルメタクリレート 1 ベンゾイルパーオキサイド 1
た。 粉剤C シラン処理されたシリカ粉末 100重量部 ベンゼンスルフイン酸ソーダ 0.4 N,N−ジエタノール−p−トルイジン 0.5 液剤D Bis−GMA 50重量部 1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 39 10−メタクリロイルオキシデシルジハ 10 イドロジエンホスフエート 10−メルカプトデシルメタクリレート 1 ベンゾイルパーオキサイド 1
【0048】粉剤C3gに対して液剤D1gの割合で混
合したペースト状接着剤を用いて、実施例1と同様の方
法で、1000gritのシリコン・カーバイト研磨紙で磨
いた歯科用合金「ハラドールH」(商品名)とサンドブ
ラスト処理を行ったステンレス棒を接着した。接着試料
を37℃水中に24時間浸漬した後、引張接着強度を測
定したところ、接着剤の凝集破壊を生じ、平均強度(試
料個数8)は315kg/cm2あった。
合したペースト状接着剤を用いて、実施例1と同様の方
法で、1000gritのシリコン・カーバイト研磨紙で磨
いた歯科用合金「ハラドールH」(商品名)とサンドブ
ラスト処理を行ったステンレス棒を接着した。接着試料
を37℃水中に24時間浸漬した後、引張接着強度を測
定したところ、接着剤の凝集破壊を生じ、平均強度(試
料個数8)は315kg/cm2あった。
【0049】
【発明の効果】本発明の接着剤は、とくに貴金属に対し
て耐水性の優れた接着力を示す事から、歯科分野におい
て好適に用いられる。例えば、インレー、クラウン、ブ
リッジなどの貴金属鋳造体を歯牙に接着固定する場合、
貴金属からなる歯科補綴物を作製する上での接着作業、
例えば、ブリッジと義歯の接着、分割鋳造された補綴物
の接着による組み立て等において従来技術では得られな
かった性能および作業性の向上が達成される。なお本発
明の接着剤は歯科分野のみならず、金属や金属酸化物の
接着が必要とされるあらゆる産業分野において用いられ
る。
て耐水性の優れた接着力を示す事から、歯科分野におい
て好適に用いられる。例えば、インレー、クラウン、ブ
リッジなどの貴金属鋳造体を歯牙に接着固定する場合、
貴金属からなる歯科補綴物を作製する上での接着作業、
例えば、ブリッジと義歯の接着、分割鋳造された補綴物
の接着による組み立て等において従来技術では得られな
かった性能および作業性の向上が達成される。なお本発
明の接着剤は歯科分野のみならず、金属や金属酸化物の
接着が必要とされるあらゆる産業分野において用いられ
る。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所
C08F 28/02 C08F 28/02
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1. (a) 飽和炭素と結合したメルカプト基またはポリ
スルフイド基を少なくとも1個有し、かつオレフイン性
二重結合を少なくとも1個有する化合物 (b) 該化合物と共重合性を有する重合性単量体および (c) 重合開始剤 を含有することを特徴とする接着剤。 2.該化合物が一般式 H2C=C(R1)-X-[R2]l-C(R3)(R4)-SH 〔上記式において、R1は水素またはメチル基を表し、R2
は炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)- 基および/ま
たはメルカプト基を有していてもよい)を表し、R3およ
びR4はそれぞれ炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)-
基および/またはメルカプト基を有していてもよい)、
水素、メルカプト基またはハロゲンを表し、R3および/
またはR4が有機基の場合は、R2、R3およびR4の少なくと
も2つは互いに結合して環状構造を形成していてもよ
く、Xは-COO-、-OOC-、-CONH-、-COS-、-SOC-、-S- ま
たはフエニレン基を表し、lは0または1を表す〕で表
される化合物である請求項1記載の接着剤。 3.該化合物が一般式 H2C=C(R1)-C00-(CH2)m-SH (上記式において、R1は水素またはメチル基を表し、m
は6〜20の整数を表す)で表される化合物である請求
項2記載の接着剤。 4.該化合物が一般式 H2C=C(R1)-X-[R'2]l-C(R'3)(R'4)-(S)n-C(R5)(R6)(R7) 〔上記式において、R1は水素またはメチル基を表し、X
は-COO-、-OOC-、-CONH-、-COS-、-SOC-、-S- またはフ
エニレン基を表し、lは0または1を表し、R'2は炭素
数1〜40の有機基(H2C=C(R1)- 基および/またはポ
リスルフイド基を有していてもよい)を表し、R'3およ
びR'4はそれぞれ炭素数1〜40の有機基(H2C=C(R1)-
基および/またはポリスルフイド基を有していてもよ
い)、水素、メルカプト基またはハロゲンを表し、R'3
および/またはR'4が有機基の場合は、R'2、R'3および
R'4の少なくとも2つは互いに結合して環状構造を形成
していてもよく、R5、R6およびR7はそれぞれ炭素数1〜
40の有機基(H2C=C(R1)- 基および/またはポリスル
フイド基を有していてもよい)、水素、メルカプト基ま
たはハロゲンを表し、R5、R6およびR7の少なくとも2つ
が有機基の場合、これらは互いに結合して環状構造を形
成していてもよく、nは2〜6の整数を表す。〕で表さ
れる化合物である請求項1記載の接着剤。 5.該化合物が一般式 H2C=C(R1)-C00-(CH2)q-SS-(CH2)q'-OOC-C(R'1)=CH2 (上記式において、R1およびR'1はそれぞれ水素または
メチル基を表し、qおよびq’はそれぞれ2〜20の整
数を表す)で表される化合物である請求項4記載の接着
剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8252639A JP2731785B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | 接着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8252639A JP2731785B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | 接着剤 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62251846A Division JP2677994B2 (ja) | 1986-10-06 | 1987-10-05 | 接着剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09235517A JPH09235517A (ja) | 1997-09-09 |
JP2731785B2 true JP2731785B2 (ja) | 1998-03-25 |
Family
ID=17240156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8252639A Expired - Fee Related JP2731785B2 (ja) | 1996-09-25 | 1996-09-25 | 接着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2731785B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009167430A (ja) * | 2009-05-07 | 2009-07-30 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 芳香族オリゴマ―とその製造方法 |
JP6090717B2 (ja) * | 2013-07-19 | 2017-03-08 | 山本貴金属地金株式会社 | 歯科用接着性組成物、表面処理剤および歯科用レジン |
JP6639220B2 (ja) * | 2015-03-25 | 2020-02-05 | 株式会社トクヤマデンタル | ポリアリールエーテルケトン樹脂材料用接着性組成物 |
-
1996
- 1996-09-25 JP JP8252639A patent/JP2731785B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
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