JP2731592B2 - ヘミセルロース加水分解物およびその製造法ならびにそれを含有する食品 - Google Patents

ヘミセルロース加水分解物およびその製造法ならびにそれを含有する食品

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明はフスマに由来するヘミセルロースの加水分解
物およびそれを含有する食品に関する。
[従来の技術] 近年、成人病の予防、整腸作用、大腸ガンの予防等の
点から繊維質食品の摂取の必要性が再認識されている。
それに伴って食物繊維(ダイエタリーファイバー)が健
康食品として注目を集めており、食物繊維を各種食品に
添加することが試みられている。この場合の食物繊維と
しては、例えばグアガム、ローカストビーンガム、タラ
ガム、トラガガントガム等のガム類やコンニャクマンナ
ン等の難消化性多糖類が広く用いられているが、これら
の難消化性多糖類はそのまま直接摂取しにくいため、通
常、水に溶解させたり食品に添加して摂取されている。
そしてこれらの難消化性多糖類は、一般に、取り扱いに
くくかつ嗜好性の劣る粘稠な高粘度水溶液を形成するた
め、水溶液にして用いる場合は、1%以下の低濃度水溶
液にせざるを得なかった。しかし、かかる低濃度水溶液
にすると目的量の食物繊維を摂取するのに多量で摂取し
なければならず食物繊維の必要量の摂取が困難であっ
た。また上記の難消化性多糖類を食品中に添加して使用
する場合にも食品の粘度を上昇させ、食品の種類によっ
てはその食感を損なうことが多かった。
そこで、ガム類やコンニャクマンナン等の難消化性多
糖類に関する上記欠点の解消を目的として、上記難消化
性多糖類を植物繊維組織崩壊酵素により部分加水分解
し、得られた加水分解物の1%水溶液が10mPa・S以下
になるように調整して、それを食物繊維として使用する
ことが試みられている(特開昭63-269993号公報)。こ
の場合に加水分解物の1%水溶液は確かに10mPa・S以
下と低い粘度を示すが、高濃度の水溶液(例えば5%水
溶液)にすると粘度が極めて高くなって取扱性および食
感が大幅に低下するため高濃度溶液での使用が困難にな
り、食物繊維の必要量の摂取の妨げになっていた。その
上、かかる従来技術では、ガム類等の難消化性多糖類の
主鎖が選択的に切断されるために得られた加水分解物は
分解前のものよりも分子量がかなり小さくなっており食
物繊維としての機能も大幅に劣ったものになっていた。
更に、上記のガム類やコンニャクマンナン等の他にヘ
ミセルロースを食物繊維として利用することも従来から
知られており、また本発明者等は小麦フスマから純度の
高いヘミセルロースを高収量で得ることについても研究
を続け先に出願を行った(特願昭63-269502号)。そこ
で得られたヘミセルロースは水溶性であり、その1%濃
度の水溶液の粘度はオストワルド粘度計を使用して25℃
で測定したときに約10センチポアズ(以下cPと表す)以
下の低い値を示すが、5%水溶液にすると25℃で粘度が
約150〜180cPにまで上昇し、高粘度で取り扱いにくいも
のであった。
[発明の内容] 本発明者等は上記のフスマ由来のヘミセルロースの物
性や有効利用について更に研究を続けてきた。その結
果、該フスマ由来のヘミセルロースを部分加水分解する
と、その加水分解物は5%という高濃度の水溶液にした
場合にも低い粘度を示し取り扱い易く且つ食感が良いこ
と、そして加水分解物自体の分子量は加水分解前のヘミ
セルロースの分子量に比べてさほど低下しておらず、食
物繊維としての高機能を維持したままであることを見出
して本発明を完成した。
すなわち、本発明は、スフマ由来ヘミセルロース加水
分解物であって、その5%水溶液の粘度がオストワルド
粘度計を用いて25℃で測定したときに5〜30cPであるフ
スマ由来ヘミセルロース加水分解物、およびスフマ由来
ヘミセルロースを加水分解し急激な粘度低下が終了した
時点で部分加水分解反応を停止させることによりフスマ
由来ヘミセルロース加水分解物を製造する方法である。
更に、本発明は、かかるスフマ由来ヘミセルロース加
水分解物を含有する食品をも包含する。
フスマ由来ヘミセルロースは、通常、小麦、大麦、カ
ラス麦、ライ麦、エン麦等の麦類のフスマをアルカリで
処理してフスマに含まれるヘミセルロースを抽出するこ
とによって得られる。
そして、本発明では使用する原料ヘミセルロースとし
て、麦類のフスマから得られるヘミセルロースであれば
いずれのものも使用でき、麦類の種類、フスマの形態や
種類、ヘミセルロースの調製方法は問わない。そのうち
でも特に小麦フスマに由来するヘミセルロースが高い水
溶性を示すので好ましい。また、フスマ由来ヘミセルロ
ースは、フスマをアルカリ抽出して得られる粗製ヘミセ
ルロースであっても、または粗製ヘミセルロースを更に
精製処理して塩類等の不純物を除去したり水溶性を高め
たものであってもよく、特に精製処理して不純物を除去
したり水溶性を高めたものが好ましい。本発明で使用す
るかかるヘミセルロースの調製法については、例えば特
公昭62-6691号公報および上記した特願昭63-269502号の
明細書に記載されているが、勿論それらに限定されな
い。
そして、本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解
物は、その5%水溶液がオストワルド粘度計を用いて25
℃で測定したときに5〜30cPの範囲の粘度を示すものを
いう。5%水溶液の粘度が5cPより低いと加水分解物の
食物繊維としての機能が低下または失われるので好まし
くなく、また5%水溶液の粘度が30cPより高いと食品等
に添加した場合にその粘度を上昇させその取扱い性や食
感を劣ったものにする。
加水分解前の小麦フスマ由来ヘミセルロースの場合
は、その5%濃度の水溶液をオストワルド粘度計を用い
て、25℃で測定した時の粘度が上記したように通常約15
0〜180cPであるのに対して、本発明の加水分解物の5%
濃度の水溶液の粘度が5〜30cPであり極めて低粘度であ
ることがわかる。
そして、本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解
物は、後記の方法によってその平均分子量を測定したと
きに、通常、その約70重量%以上が約70万〜150万の平
均分子量の範囲にある。一方、加水分解前のフスマ由来
ヘミセルロースではその約85〜95重量%が、通常、約70
万〜150万の平均分子量の範囲にあるから、両者を対比
すると、本発明の加水分解物はその5%濃度の水溶液の
粘度が極めて低く保たれるにも拘らず、その平均分子量
が部分加水分解前のフスマ由来ヘミセルロースの平均分
子量とさして変わらないことがわかる。
本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解物は、フ
スマ由来ヘミセルロースを酵素、酸、アルカリ等によっ
て部分加水分解処理することにより調製されるが、その
うちでも酵素による加水分解処理が、温和な条件下で、
目的とする粘度を示す加水分解物を効率良く精製し得る
ので好ましい。
フスマ由来ヘミセルロースを部分加水分解するための
酵素としては、ヘミセルラーゼ(例えばヤクルト社製の
“オノズカ”、盛進製薬社製のペクトリアーゼ)、セル
ラーゼ等の植物繊維組織崩壊酵素等が使用できる。その
際に酵素は遊離の状態で使用しても担体に固定化して使
用してもよい。また部分加水分解処理は連続法で行って
もバッチ法で行ってもよい。フスマ由来ヘミセルロース
の種類、酵素を遊離の状態で使用するかまたは固定化し
て使用するか、連続法で行うかまたはバッチ法で行うか
等に応じて酵素の種類、その使用量、部分加水分解時の
温度、圧力、pH、時間等を選択して部分加水分解を行う
とよい。その場合に酵素の使用量が多いほど加水分解物
を短時間で生成させることができるが、その量が多すぎ
ると食物繊維としての機能を持たない単糖やオリゴ糖等
の平均分子量が通常約1000以下の低分子物が生成するの
で望ましくない。
例えば、小麦フスマ由来のヘミセルロースを上記ヤク
ルト社製の“オノズカ”を使用して部分加水分解する場
合は、小麦フスマ由来ヘミセルロースの約1〜5重量%
水溶液(pH約3.5〜7.0)を形成し、この水溶液に約1〜
50ppm(w/v)の“オノズカ”を加えて約40〜60℃の温度
で約5分〜1時間加水分解すると目的とする加水分解物
を得ることができる。この部分加水分解反応において、
フスマ由来ヘミセルロース水溶液の粘度は当初急激に低
下しその後は徐々に低下してゆくが、本発明では急激な
粘度低下が終了した時点で加水分解反応を停止させるこ
とが必要であり、それによって粘度が低いにも拘らず平
均分子量の大幅な低下のない食物繊維としての機能を保
持した分子量の高いフスマ由来ヘミセルロース加水分解
物を得ることができる。急激な粘度低下が終了した後も
加水分解反応を継続すると、粘度低下はあまり進まない
がヘミセルロース加水分解物の分子量が低下してゆき食
物繊維としての機能を失うことになり、目的とするフス
マ由来ヘミセルロース加水分解物を得ることができなく
なる。
ここで、本発明における「急激な粘度低下が終了した
時点」とは、急激な粘度低下が止まって緩やかな粘度低
下へと移行する時点とその後30分以内の間の時点をい
う。
本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解物は水溶
性の白色粉末であって、糖質代謝作用、脂質代謝作用、
消化管の生理機能の向上作用等の食物繊維としての機能
を有しており、これを摂取したときには例えば血糖値の
低下、血中の脂質の低下、消化管の生理機能の向上、血
圧降下および上昇抑制等の優れた作用を有する。そし
て、かかる生理活性を得るためには、本発明のフスマ由
来ヘミセルロース加水分解物を成人1日当たり約5g以上
の量で摂取するのがよい。
そして、摂取の方法としては該加水分解物をそのまま
直接粉末状で、ペレットや他の形状に成型して、または
水溶液等の液状にして摂取することができる。
更に本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解物は
食品中に含有させて使用することができ、したがって本
発明は該フスマ由来ヘミセルロース加水分解物を含有す
る食品をも包含する。フスマ由来ヘミセルロース加水分
解物を食品中に配合する場合は、上記の生理活性を得る
ために、食品の全重量を基準にして該ヘミセルロース加
水分解物を1.5%以上、特に3%以上含有していること
が好ましい。フスマ由来ヘミセルロース加水分解物の含
有量の上限値は食品の食感や他の諸特性を著しく損なわ
ない限りは特に限定されない。フスマ由来ヘミセルロー
ス加水分解物を含有する食品の一日の摂取回数、一回に
摂取される量、一日当りに必要な摂取量等に応じてその
食品中への配合量を決めるのがよい。
フスマ由来ヘミセルロース加水分解物を含有する本発
明の食品は、医療用の栄養食、一般人用の食品のいずれ
をも含み、液状物、乳化状物、ペースト状物、固体状物
のいずれでもよく、その形態を問わない。またここでい
う食品にはそのまま直ちに喫食できるもの、調理等を行
って喫食するもの、食品用のプレミックス材料等のいず
れもが含まれる。本発明の食品の例としては、栄養飲
料、ジュース、炭酸飲料、乳酸菌飲料、清涼飲料、嗜好
飲料(コーヒー、ココア、昆布茶等)などの各種液状ま
たは粉末状飲料、ソース類、クリーム類、マヨネーズ、
ケチャップ、ドレッシング等の調味料、アイスクリー
ム、せんべい、干菓子、クッキー、ケーキ、スナック等
の各種菓子類、パン類ならびにうどん、中華麺、マカロ
ニおよびスパゲテイ等の麺類などが含まれる。
上記の食品のうちでも1日に喫食する量や回数の多い
もの、または喫食する量を多くしても体に支障がなく多
量の喫食が苦にならないものが、上記のような生理機能
の向上に必要な量のフスマ由来ヘミセルロース加水分解
物を摂取できるという点から好ましく、例えば、パン
類、麺類または飲料類がこれに該当する。パン類および
麺類中にフスマ由来ヘミセルロース加水分解物を含有さ
せる場合は、小麦粉等の原料粉中にフスマ由来ヘミセル
ロース加水分解物の粉末を他の常用の添加剤とともに添
加して常法によってパン類や麺類を製造すればよい。パ
ン類、麺類または飲料類中へのフスマ由来ヘミセルロー
ス加水分解物の含有量は、通常、約5〜10重量%とする
のがよい。
また、スフマ由来ヘミセルロース加水分解物を配合し
てパン類を製造する際に、アスコルビン酸類を併用する
と、パン体積がより大きくしかも品質のより良好なパン
が得られる。
[発明の効果] 本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解物は高濃
度の水溶液(例えば5%水溶液)にした場合でも低い粘
度を示し取扱い易いので、高濃度溶液の形態で使用でき
る。
その結果、本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分
解物は、食物繊維である該加水分解物の1度の多量摂取
が可能であり、また食品中に配合した場合には製造上の
取扱いにくさがなく、しかも食品の食感を損なうことが
少ない。
その上、本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解
物ではその分子量が加水分解前のヘミセルロースの分子
量に比べてさして低下していないため、高分子量多糖類
からなる食物繊維としの機能をそのまま保持しており、
糖質代謝作用、脂質代謝作用、消化管の生理機能の向上
作用等の優れた作用効果を有し、血糖値の低下、血中の
脂質の低下、消化管の生理機能の向上等をはかることが
できる。
更に、本発明のフスマ由来ヘミセルロース加水分解物
を配合してパン類を製造した場合には、予想外にもパン
体積が大きく且つ品質の良好なパンを製造できる。
以下に、本発明を例を挙げて具体的に説明するが本発
明はそれらによって限定されない。
下記の例中の%は総て重量による。
また、下記の例中ならびに上記したフスマ由来ヘミセ
ルロースおよびその加水分解物の平均分子量は次のよう
にして測定した。
[平均分子量の測定法] 精製されたヘミセルロースまたはその加水分解物を超
純水に溶かして1%水溶液を形成する。
その水溶液を20μl採取して80℃に保温された高速液
体クロマトグラフィー分離カラム(ウルトラハイドロジ
ェル1000:米国Waters社製)に注入し、そこに超純水か
らなる溶出液を流速0.5ml/分で流して、溶出液(超純
水)の屈折率とカラムからの流出液の屈折率との差であ
る示差屈折率をチャートとして経時的に測定記録した。
一方、平均分子量が既知のプルランを5種類用意し
(平均分子量が2万〜150万の間のもの)、上記と同様
にして分離カラムから流出させてその示差屈折率のチャ
ートを経時的に記録し、該チャートに表れた各々の平均
分子量のプルランに相当する5つのピークの現出時間と
平均分子量との関係から検量線を作成し標準とした。
ヘミセルロースまたはその加水分解物の流出に伴う示
差屈折率を経時的に記録した上記のチャートにおけるピ
ークの現出時間を上記標準検量線と照合してヘミセルロ
ースおよびその加水分解物の平均分子量を求めた。
参考例 [小麦フスマ由来ヘミセルロースの調製] 精選小麦フスマ2kgを50℃の温水20lに分散させ5分間
攪拌する。その後遠心濾過機(田辺鉄工所製)で濾過し
て固形分を回収し、得られた固形分3kgを70℃、0.2N水
酸化ナトリウム水溶液20lに入れ、90分間攪拌する。放
冷後、0.8N塩酸水溶液5lを攪拌下に徐々に加えて中和す
る。中和溶液を5,000Gで10分間遠心分離する。その上澄
み液を分取し、全糖量が5mg/mlになるように水で希釈
し、液温50℃に保温する。全溶液を管状限外濾過膜(日
東電工製:NTU3520-P18型、膜面積0.76m2、内径11.5mm)
の管内を通し、圧力8kg/cm2、流速13l/minの条件下で3
時間処理する。この時、膜透過溶液と同量の水を常に管
内に補給し膜処理液量を一定とする。3時間後水の供給
を止め、前記と同様の条件で濃縮を開始しフラックスの
低下を考慮することなく濃縮を行い、水溶液の糖濃度が
約10mg/mlになるまで約1.5時間行う。処理液をオルガノ
社製陽イオン交換樹脂IR-120E500ccに1時間当たりイオ
ン交換樹脂容量の10倍の流速で溶出し、次いで同社製の
陰イオン交換樹脂IRA-93に同流速で流す。イオン交換処
理後、得られた水溶液を真空凍結乾燥し(温度30℃、真
空度0.1Torr以下)、白色のヘミセルロース粉末を得た
(精選小麦フスマに対する回収率:7.5%)。
得られた生成物は25℃の水に完全に溶解した(水不溶
分0%)。また、該生成物中の各成分の含有量および全
糖量の内訳は以下の表−1に示すとおりであった。
上記の表−1中、全糖量は下記のようにして求めた。
糖分中の各構成成分(キシロース、アラビノース、グル
コース等)の含有量は参考例で最終的に得られた生成物
をTARIO,BHATTI等の方法〔Biochim.Biophys.Acta222(1
970)339-347〕により加水分解した後メチル化し、これ
をガスクロマトグラフィーを使用して分析することによ
り求めた。表中の値は全て乾物として換算した値であ
る。
[全糖量の測定法] 糖類を含有する水溶液を蒸留水で100倍に希釈する。
次にこの希釈された水溶液0.5mlに5%フェノール水溶
液0.5mlを添加して攪拌した後濃硫酸3mlを加えて更に攪
拌した。そのまま20分間放置して空冷した後、波長490n
mの吸光度を測定する。測定値をキシロースを基質とし
た標準曲線に照合して全糖量を求めた。
実施例1 [小麦フスマ由来ヘミセルロース加水分解物の調製] 上記の参考例で調製されたヘミセルロース5gを酢酸塩
緩衝水溶液(酢酸塩含有量50ミリモル、pH5.5)100mlに
溶解してヘミセルロースの5%水溶液を調製した(A
液)。
このA液の粘度をオストワルド粘度計を使用して25℃
で測定したところ182cPであった。
次いで、上記のA液を予め40℃で10分間加温した後、
植物繊維組織崩壊酵素“オノズカ”(ヤクルト社製)を
250μg添加し、同温度に保ってヘミセルロースの部分
加水分解を行わせ、その粘度を上記と同様にして経時的
に測定したところ、図に示した結果を得た。
図の結果から、液の粘度は加水分解開始後約30分まで
は急激に低下し、それ以後は徐々にしか低下しないこと
がわかる。すなわち、ここでは、加水分解開始後約30分
〜60分の間の任意の時点が本発明における「急激な粘度
低下が終了した時点」に相当する。
そして、上記の加水分解処理において、液の急激な粘
度低下が生じなくなった時点(約30分)から30分後の加
水分解開始後60分の時点で加水分解液の1部(B液)を
採取してその粘度を同様にして測定したところ25cPであ
った。
更に、加水分解開始後120分後の液の1部(C液)を
採取してその粘度を同様にして測定したところ10.5cPで
あった。
また、上記A液中に含まれる加水分解前のヘミセルロ
ースの平均分子量並びにB液およびC液中に含まれるヘ
ミセルロース加水分解物の平均分子量を上記した方法に
よって測定したところ、下記の表−2に示すとおりであ
った。
上記の結果から、本発明の小麦フスマ由来ヘミセルロ
ース加水分解物は、部分加水分解前のヘミセルロースに
比べて粘度が大幅に低下しているにも拘らず、平均分子
量の低下が少なく、また急激な加水分解の終了後も加水
分解を停止させずに継続すると粘度はそれ以上あまり低
下しないが、平均分子量が大幅に低下することがわか
る。
実施例2 [小麦フスマ由来ヘミセルロース加水分解物の調製] 植物繊維組織崩壊酵素“オノズカ”を5mg使用した外
は実施例1と同様にして小麦フスマ由来ヘミセルロース
を部分加水分解してヘミセルロース加水分解物含有液を
調製した(D液)。このD液の粘度を上記と同様にして
測定したところ8cPであり、またD液中のヘミセルロー
ス加水分解物のうち85%が平均分子量75万〜150万の範
囲であった。
実施例3および4 下記の食パン配合を準備した。
[食パン配合] 小麦粉 300g イースト 6g 食塩 4.5g 砂糖 9g ショートニング 6g 上記の食パン配合に水240mlを加え、更に実施例1で
得られたB液から回収された小麦フスマ由来ヘミセルロ
ース加水分解物15gを添加し、または添加せずに、ミキ
サー(三英製作所製:万能混合機)を使用して62回/分
の回転速度で1分間、更に126回/分の回転速度で5分
間混捏してパン生地を調製した。次いでこれを温度27
℃、湿度75%で2時間発酵させた。これを250gずつに分
割して丸め、30分間ベンチタイムを採った後成型して温
度37℃、湿度85%で約40分間ホイロを採り、温度210℃
で30分間焼成して食パンを製造した(実施例3)。
また、実施例1で得られたB液から回収された小麦フ
スマ由来ヘミセルロース加水分解物の代わりに実施例2
で得られたD液から回収されたフスマ由来ヘミセルロー
ス加水分解物を用いた以外は実施例3と同様にして食パ
ンを製造した(実施例4)。
また、比較例として、小麦フスマ由来ヘミセルロース
加水分解物を添加しなかった外は上記実施例3と同様に
して食パンを製造した。
各々で得られた食パンの体積を測定するとともにその
品質を下記の表−4に示す評価基準に基づいて評価し
た。その結果を下記の表−3に示す。
ここで、表−3中のパンの品質の評価結果は、10名の
パネラーによる評価結果の平均値を採ったものである。
上記表−3の結果から、本発明の小麦フスマ由来ヘミ
セルロース加水分解物を配合してパンを製造すると、配
合しない場合に比べてパン体積が大きくかつパンの品質
および食感の優れたパンが製造されることがわかる。
【図面の簡単な説明】
添付図面は、小麦フスマ由来ヘミセルロースを酵素を用
いて部分加水分解処理した場合の加水分解処理時間と粘
度変化との関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野田 秀夫 兵庫県尼崎市武庫町1丁目49番7号 (72)発明者 倉谷 伸行 兵庫県尼崎市武庫之荘本町3丁目17番23 号

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フスマ由来ヘミセルロース加水分解物であ
    って、その5%水溶液の粘度がオストワルド粘度計を用
    いて25℃で測定したときに5〜30センチポワズであるフ
    スマ由来ヘミセルロース加水分解物。
  2. 【請求項2】フスマ由来ヘミセルロースを部分加水分解
    し、急激な粘度低下が終了した時点で加水分解反応を停
    止させることを特徴とする請求項1記載のフスマ由来ヘ
    ミセルロース加水分解物の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のフスマ由来ヘミセルロース
    加水分解物を含有する食品。
JP1163849A 1989-06-28 1989-06-28 ヘミセルロース加水分解物およびその製造法ならびにそれを含有する食品 Expired - Lifetime JP2731592B2 (ja)

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