JP2731569B2 - みかげ調合成樹脂板およびその製造方法 - Google Patents

みかげ調合成樹脂板およびその製造方法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はみかげ調風合いを有する合成樹脂板およびそ
の製造方法に関し、主として建築物の内装材として使用
するみかげ調合成樹脂押出成形品に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、建築物の内装材、美術工芸品等に使用されてい
るみかげ調合成樹脂板及び台所の流し台、洗面台、風呂
桶等に使用されている斑点模様を付し花崗岩様のみかげ
調風合いを有する合成樹脂成形品の製造方法としては、
黒色などに着色している岩石、ガラス、陶磁器なとの
粉砕粒子、着色されたガラス等の無機質繊維微小充填材
を含有させる方法(特開昭63−86729号公報)あるいは
合成樹脂成形品と同組成で黒色系色調の成形品を造
り、これを破砕し含有させる方法(特開昭62−197346号
公報)などがとられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかるに前記従来のの方法では、主として鋳型重合
法により適用されるため連続生産ができず、生産性が低
くコストが高くならざるを得ないと共に、重合性単量体
又はシラップと無機質充填材との比重差が大であり、分
散ムラ等の欠点が発生しやすいという問題があり、また
の方法では、花崗岩のような無機質重厚感すなわち深
みのある本来のみかげ石の風合いが出にくいといった問
題があり、加工性に優れ深みのある美麗なみかげ調の合
成樹脂板を安価に効率良く大量生産できないという問題
点を有していた。
したがって本発明の目的は、上記課題を解決すべく、
加工性に優れた美麗なみかげ調の合成樹脂板を提供し、
さらには高生産性を適し、安価なみかげ調合成樹脂板を
製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結
果、上記目的は低全光線透過率となるように、金属箔粉
末と白色系無機顔料とを配合した樹脂層を有する多層押
出板により達せられることを見出し本発明の完成に至っ
た。すなわち、上記目的は本発明によれば、金属箔粉末
と白色系無機顔料を含む熱可塑性樹脂層Aと金属箔粉末
を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以下である熱可塑性
樹脂層Bとからなり、樹脂層Aの片面又は両面が樹脂層
Bで覆われているみかげ調合成樹脂板によって達成され
る。
また、上記目的は、複数の押出機とこれらの押出機よ
り供給される溶融樹脂を合流せしめて多層板を形成する
手段とを用いて熱可塑性樹脂板を製造する方法におい
て、金属箔粉末と白色系無機顔料を含む溶融樹脂と金属
箔粉末を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以下である層
を形成する溶融樹脂とを合流せしめ、金属箔粉末を含ま
ず十点平均粗さRzが1.5μm以下である樹脂層により樹
脂板の表裏の少なくとも一表面を形成するみかげ調合成
樹脂板の製造方法によっても達成される。
以下本発明をより詳細に説明する。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂とは、メタクリル樹
脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、MS樹脂等の樹脂をいい、耐候性等の点からメタク
リル酸メチルを80重量%以上を含むコポリマーまたはホ
モポリマーであるメタクリル樹脂が好ましく用いられ、
紫外線吸収剤、熱安定剤、着色剤、フィラー等の添加剤
を含有することができる。
本発明の樹脂層Aに用いられる金属箔粉末の材質とし
ては、アルミニウム、銅、真鍮等の銅合金などがあげら
れ、箔粉末とは、箔の厚みが1〜50μm、好ましくは6
〜12μmで、一辺の大きさが0.03〜1ミリメートル、好
ましくは0.05〜0.8ミリメートルのほぼ正方形ないしこ
れに相当する大きさの多角形状に切断又は切り抜きした
ものなどをいう。金属箔粉末の大きさは、前記の如くで
あるが、箔の厚味の選択の巾が少ないため本発明では一
辺の大きさを代表させ実質的に0.03〜1ミリメートル、
好ましくは0.05〜0.8ミリメートルで表わすものとし、
ここで使用する“実質的”とは厚味を別途考慮するとい
う意味であり、また、大きさを粒子径で表現するとすれ
ば、重量沈降法により測定((株)セイシン企業製:透
過式粒度分布測定器SKA5000)した重量平均粒子径が50
〜300μm、好ましくは60〜260μmのものである。この
金属箔粉末は、大きさの異なる箔粉末を混合して使用す
ることもでき、また、前記大きさの箔粉末より大きいも
のを若干量混合して使用することもできる。この箔粉末
の大きさが0.03ミリ未満の場合は箔粉末粒子が細か過ぎ
てみかげ調の傾向がうすれ好ましくなく、一方1ミリを
超える場合には箔粉末が折れ曲りやすくなり、成形品表
面の凹凸が大きくなり易く好ましくない。またその配合
量は、目的とする用途あるいはみかげ調の度合いによっ
て異なるが、美麗なるみかげ調の成形品を得るためには
樹脂層(A)を形成する熱可塑性樹脂100重量部に対し
て0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1.0重量部である。
この配合量が0.05重量部未満の場合にはみかげ調の風合
いが出にくく好ましくなく、一方2重量部を超える場合
には、みかげ調の風合いがほとんど変化せず経済的メリ
ットもなく好ましくない。本発明の金属箔粉末は、成形
品の機械的強度を低下させない目的で、または着色する
目的で箔表面を変性アクリル樹脂により被覆することが
でき、これにより更に耐薬品性の向上、光沢性向上等を
図ることができる。
本発明の樹脂層Aに用いられる白色系無機顔料として
は、通常骨白顔料、乳白色顔料として用いられるものが
使用でき、例えば酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カル
シウム、シリカ、ガラスビーズ、白雲母等が挙げられ
る。その添加量は樹脂層(A)を形成する熱可塑性樹脂
100重量部に対して0.1〜3重量部、好ましくは0.5〜2
重量部である。白色系無機顔料の添加量が0.1重量部未
満の場合には、透けやすくなり全光線透過率が大きくな
り好ましくなく、一方その添加量が3重量部を超える場
合には、成形品の機械的強度等の物性が低下しやすく好
ましくない。
また本発明の樹脂層Aと樹脂層Bに使用される前記熱
可塑性樹脂については、密着性・反りの点から同種の樹
脂であることが好ましいが、異種の樹脂の組み合せでも
差しつかえない。これらの組み合せのうち表面性及び耐
候性等の点から樹脂層Bはメタクリル樹脂であることが
好ましく、樹脂A及びB共にメタクリル樹脂であること
が最も好ましい。樹脂層Bは金属箔によってできる樹脂
層Aの表面凹凸を覆い平滑な表面を得る目的で設けられ
るもので、みかげ調合成樹脂板の少なくとも一表面を形
成する樹脂層Bの表面粗さが十点平均粗さRzで1.5μm
以下、好ましくは1.0μm以下となるような厚みである
ことが必要であり、樹脂層Bは通常150μm以上、好ま
しくは200μm以上の厚味で樹脂層(A)の片面又は両
面に設けられる。樹脂層Bは平滑さを目的として設けら
れるもので、金属箔粉末を含有しない透明樹脂又は着色
樹脂により構成されるが、高級感を出す目的から艶消剤
を含有せしめることができる。艶消し剤としては市販の
ものを使用できるが透過性・均一性の点から、雲母微粒
子あるいは当該熱可塑性樹脂と共に混練押出しをしても
実質的に溶融しないポリマー微粒子が好ましく用いられ
る。本発明で好ましく用いられる雲母微粒子とは、平均
粒子径7〜30μmの白雲母破砕粒子又は合成雲母破砕粒
子をいい、樹脂層Bの熱可塑性樹脂100重量部に対して
5〜20重量部添加され、またポリマー微粒子とは、平均
粒子径7〜30μmの架橋ポリマー微粒子又は高重合度ポ
リマー微粒子をいい、樹脂層Bの熱可塑性樹脂100重量
部に対して5〜25重量部添加される。
前記本発明のみかげ調合成樹脂板は、第1図および第
2図に示す如く、金属箔粉末と白色系無機顔料を含む熱
可塑性樹脂層Aと当該金属箔粉末を含まない熱可塑性樹
脂Bとからなり、樹脂層Aの片面又は両面が樹脂層Bで
覆われているものであり、インテリアとして供する場合
は金属箔粉末等の添加量を少なめとし、色も明るくした
方が一般的に好ましく、一方エクステリアの様に明るい
所で用いる場合は、金属箔粉末等の添加量を多めとし、
色も少し濃くした方が好ましい。
前記本発明のみかげ調合成樹脂板の製造方法として
は、例えば複数の押出機とこれらの押出機より供給され
る溶融した樹脂を合流せしめて多層板を形成する手段を
用いて熱可塑性樹脂板を製造する方法において、金属箔
粉末と白色無機顔料を含む溶融樹脂と金属箔粉末を含ま
ず十点平均粗さRzが1.5μm以下である層を形成する溶
融樹脂とを合流せしめ、金属箔粉末を含まず十点平均粗
さRzが1.5μm以下である樹脂層により樹脂板の表裏の
少なくとも一表面を形成させる方法、あるいは金属箔粉
末と白色系無機顔料を含む溶融樹脂を押出し、これに金
属箔粉末を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以下である
同種又は異種の樹脂フィルムをラミネートする方法等が
挙げられる。また艶消し表面を有する本発明のみかげ調
合成樹脂板の製造方法としては、ラミネート法によって
も製造できるが、より好ましくは複数の押出機とこれら
の押出機より供給される溶融樹脂を合流せしめ多層板を
形成する手段を用いて熱可塑性樹脂板を製造する方法に
おいて、金属箔粉末と白色系無機顔料を含む溶融樹脂
と、艶消し剤を含有する溶融樹脂とを合流せしめ、艶消
し剤を含有し十点平均粗さRzが1.5μm以下である樹脂
層により少なくとも表層の一つを形成したのち、このよ
うにして形成された溶融樹脂板状体を所望の板厚を与え
る一対のロールの間を通過せしめた後引き続くロール間
では加圧することなく冷却する方法が挙げられる。
また、上記の如くして製造された本発明のみかげ調合
成樹脂板は、全光線透過率が10%以下、好ましくは5%
以下である。全光線透過率が10%を超える場合には、光
の透過量が多くなるため、金属箔粉末が輝やきメタリッ
ク調となるため、みかげ調の風合いは得られない。この
点が本発明の一つの大きなポイントであり、前記白色系
顔料の隠蔽効果との相乗効果により金属箔単独では得ら
れないみかげ調風合いが形成される。
〔実施例〕
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明す
る。
実施例−1 アクリル酸メチル6%を含有する分子量160,000のメ
タクリル酸メチル共重合体100重量部に対し、大きさが
0.07〜0.12ミリの緑色に着色された厚さ0.012ミリのア
ルミニウム箔の粉末(重量平均粒子径70μm)0.2重量
部、平均粒子径が0.3μの酸化チタン0.8重量部を添加混
合し、これを第1の押出機で押出し、一方第2の押出機
で前記メタクリル酸メチル共重合体を第1の押出機で押
出された樹脂の両面に厚さが0.25ミリとなるように押出
し、厚味5ミリのみかげ調メタクリル樹脂押出板を得
た。このみかげ調の3層押出板は全光線透過率1%、光
沢度86%の光学的性質を示した。またこの板は加熱成形
しやすく、表面は滑らか(十点平均粗さRz=0.6μm)
で、天然のみかげ石とほぼ同様の外観を示した。
実施例−2 実施例1における第2の押出機で押出す樹脂を平均粒
径10μの白雲母であるマスコバイト10重量部含有するメ
タクリル酸メチル共重合体とし、5ミリの板厚を与える
一対のロールの間を通過後引き続くロール間では加圧す
ることなく冷却するほかは、実施例−1と同様の方法に
より表面が艶消し状の美しいみかげ調多層押出板を得
た。この板の光学的性質は全光線透過率1%、光沢度12
%を示した。
実施例−3 実施例−1のポリメチルメタクリレート樹脂の代わり
にポリカーボネート樹脂とするほかは実施例−1と同様
の方法で美しいみかげ調多層押出板を得た。
実施例−4〜7 アルミニウム箔粉末を厚味0.012ミリ、大きさ0.1×0.
14ミリ(重量平均粒子径95μm);厚味0.012ミリ、大
きさ0.2×0.28ミリ(重量平均粒子径140μm);厚味0.
012ミリ大きさ0.4×0.5ミリ(重量平均粒子径185μ
m);および厚味0.012ミリ、大きさ0.9×1ミリ(重量
平均粒子径260μm)とする以外は実施例1と同様にし
てメタクリル樹脂押出板を得た。これらの樹脂板はすべ
て表面が滑らかで美麗なみかげ調外観を有していた。
比較例−1 実施例−1における第2の押出機を使用しないほかは
実施例−1と同様の方法で単層押出板を得たが、アルミ
ニウム箔粉末が不均一に表面に浮き出て、凹凸状となり
外観を損ね、美しいみかげ調の板は得られなかった。
比較例−2〜4 実施例−1における第2の押出機で押出すメタクリル
酸メチル共重合体を第1の押出機で押出された樹脂の両
面に厚さ0.05,0.1および0.15ミリとなるよう押出すほか
は実施例−1と同様の方法で製板したが、比較例−1よ
り良いが、表面が平滑で美しいみかげ調の板は得られな
かった(Rz=2.9,2.3および1.9)。
〔発明の効果〕
以上述べたように本発明によれば、本発明のみかげ調
合成樹脂板は、金属箔粉末と白色系無機顔料を含む熱可
塑性樹脂層Aと金属箔粉末を含まず十点平均粗さRzが1.
5μm以下である熱可塑性樹脂層Bとからなり、樹脂層
Aの片面又は両面が樹脂層Bで覆われている合成樹脂板
であるから、表面の平滑性及び加熱加工性にすぐれた美
麗なみかげ調合成樹脂板を提供することができ、また樹
脂層Bに雲母等の艶消し剤を含有せしめることにより高
級感を付与することができ、建築物の内装材、水まわり
用品等に有用である。
また本発明は、複数の押出機とこれらの押出機より供
給される溶融樹脂を合流せしめて多層板を形成する手段
を用いて熱可塑性樹脂板を製造するに際し、金属箔粉末
と白色系無機顔料を含む溶融樹脂と金属箔粉末を含まず
十点平均粗さRzが1.5μm以下である層を形成する溶融
樹脂とを合流せしめ、金属箔粉末を含まず十点平均粗さ
Rzが1.5μm以下である樹脂層により樹脂板の表裏の少
なくとも一表面を形成するみかげ調合成樹脂板の製造方
法であるから、高生産性に適し、安価にみかげ調合成樹
脂板を製造する方法を有利に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第2図は本発明のみかげ調合成樹脂板の構
成概略図である。 A……金属箔粉末と白色系無機顔料を含む熱可塑性樹脂
層 B……金属箔粉末を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以
下である熱可塑性樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 信幸 新潟県北蒲原郡中条町協和町4番7号 協和ガス化学工業株式会社中条工場内 (72)発明者 阿部 研 新潟県北蒲原郡中条町協和町4番7号 協和ガス化学工業株式会社中条工場内 審査官 増田 亮子

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属箔粉末と白色系無機顔料を含む熱可塑
    性樹脂層(A)と、金属箔粉末を含まず十点平均粗さRz
    が1.5μm以下である熱可塑性樹脂層(B)とからな
    り、樹脂層(A)の片面又は両面が樹脂層(B)に覆わ
    れていることを特徴とするみかげ調合成樹脂板。
  2. 【請求項2】金属箔粉末の実質的大きさが0.03〜1ミリ
    メートルであることを特徴とする請求項1記載のみかげ
    調合成樹脂板。
  3. 【請求項3】樹脂層(B)が、雲母微粒子又は熱可塑性
    樹脂と共に混練押出しをしても実質的に溶融しないポリ
    マー微粒子を含むことを特徴とする請求項1又は請求項
    2記載のみかげ調合成樹脂板。
  4. 【請求項4】複数の押出機とこれらの押出機より供給さ
    れる溶融した樹脂を合流せしめて多層板を形成する手段
    を用いて熱可塑性樹脂板を製造する方法において、金属
    箔粉末と白色系無機顔料を含む溶融熱可塑性樹脂と、金
    属箔粉末を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以下である
    層を形成する溶融熱可塑性樹脂とを合流せしめ、金属箔
    粉末を含まず十点平均粗さRzが1.5μm以下である樹脂
    層により樹脂板の表裏の少なくとも一表面を形成するこ
    とを特徴とするみかげ調合成樹脂板の製造方法。
  5. 【請求項5】金属箔粉末と白色系無機顔料を含む溶融熱
    可塑性樹脂と、艶消し剤を含有する溶融熱可塑性樹脂を
    合流せしめ、艶消し剤を含有する熱可塑性樹脂により少
    なくとも表層の一つを形成したのち、このようにして形
    成された溶融樹脂板状体を所望の板厚を与える一対のロ
    ール間では加圧することなく冷却することを特徴とする
    請求項4記載のみかげ調合成樹脂板の製造方法。
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