JP2731067B2 - 結束装置の紐通し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、紐収納部から結束用ニ
ードルに案内具を通して結束紐を供給するように、前記
紐収納部に、先端に紐係止部を備えた可撓材からなる紐
通し具を装備し、この紐通し具を前記案内具に沿って正
逆移送可能に構成した結束装置の紐通し装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の結束装置の紐通し装置と
しては、例えば特開平３−４３３０８号公報に開示され
たもののように、案内具としての案内管内を正逆移送で
きる紐通し具を巻き取り収納し、この紐通し具の繰り出
しを、電動モータで駆動される一対の繰り出しローラで
行っていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来構造のものにあっては、紐通し具を繰り出すためにロ
ーラや電動モータを必要としていたので、それらの配置
により巻き紐収納空間が狭いものとなって組付けに手間
がかかるとともに、部品点数が多くなり、コスト高を招
来するものであった。また、従来、例えば実開昭６３−
１０５６０６号公報に開示されたもののように、エンジ
ンの高圧燃焼ガスを利用して、案内管等の案内具に通し
て紐通し具をニードルへ送り込むものも知られていた
が、この構造のものにあっては、エンジンの燃焼室から
このガスを供給できるようにしていたので、このガス導
出口を燃焼室に設けることによって燃焼室形状が変化し
て出力低下や燃焼効率の低下を招く等の欠点があった。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、紐
通し具を繰り出すための構造を特別な駆動装置を要する
ことなく、簡易な機械的構造により繰り出すことのでき
る結束装置の紐通し装置の提供を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる結束装置
の紐通し装置は、上記目的を達成するために、冒記構造
のものにおいて、前記紐通し具を巻回収納する巻回装置
を備えるとともに、この巻回装置の巻き取り軸に減速機
構を介して連動連結したレバーを揺動自在に枢支して、
かつ、前記巻き取り軸を、前記紐通し具を突出駆動する
がわに弾性付勢して、巻き取り操作状態の前記レバーを
係脱自在に係止保持する係止部を設けてあることを特徴
構成とする。かかる特徴構成による作用・効果は次の通
りである。

【０００５】

【作用】即ち、紐通し具を巻回収納するようにレバーを
巻き取り側に操作して、その状態で係止部でレバーを係
止保持することで、紐通し具を繰り出し可能な状態で待
機させることになり、係止部からレバーを解除すると、
紐通し具は弾性付勢力によって自動的に突出駆動される
ことになり、この紐通し具に取り付けた紐は案内具を通
してニードルまで案内されることになる。

【０００６】

【発明の効果】従って、蓄積保存されたバネ等の弾性付
勢力を解放することによって、自動的に機械的に紐通し
具が繰り出されるものであるから、エンジンからの圧縮
ガスや電動モータ等の特別な駆動装置は不要となり、構
造簡単なものとなるとともに、レバー、巻回装置及び弾
性付勢部材等を一体に組付けたユニット部品で構成する
と、結束装置への組付けも容易にでき、かつ、部品点数
も低減できて、コスト低下を図れるに至った。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図７に、本発明にかかる結束装置を備えたバイン
ダーを示している。このバインダーは、左右一対の走行
車輪１で走行可能に支持された機体後部にエンジン２、
ミッションケース３等を搭載するとともに、機体前部に
引起し装置４、刈取装置５、及び、刈取穀稈を結束する
結束装置６を取り付けて構成している。

【０００８】図７に示すように、引起し装置４、刈取装
置５及び結束装置６等への伝動は、ミッションケース３
より前方に延出された伝動軸７、ベベルギア機構８及び
縦向き伝動軸９を介して行われる。伝動軸７及び縦向き
伝動軸９は伝動ケースに内装されているが、縦向き伝動
軸９では、図５に示すように、引起し装置４に連動連結
される上方側軸部分９ａと、刈取装置５等に連動連結さ
れる筒軸を成す下方側軸部分９ｂとに分割構成されたお
互いの嵌合部分のみ外部に露出するようにしている。そ
して、この露出箇所において、設定値以上の負荷トルク
が加わると破断する安全ピン１０を上方側軸部分９ａと
下方側軸部分９ｂとに軸に交差する状態で嵌入させてト
ルクリミッタ構造を構成している。この安全ピン１０の
抜け止めとして、図５（イ）に示すように、下方側軸部
分９ｂの露出箇所を囲繞するようコイルスプリング１１
を装着しているとともに、このコイルスプリング１１
は、その上端部を内方に折り曲げて下方側軸部分９ｂの
露出箇所の上面部に係止させている。安全ピン１０が破
断した場合は、図５（ロ）に示すように、コイルスプリ
ング１１の上端部の折り曲げ部分を手で押し広げて、コ
イルスプリング１１を下方に下げ、安全ピン１０の抜け
止め解除して新しい安全ピンと交換する。尚、この抜け
止め用のコイルスプリング１１としては、図６に示すよ
うに、安全ピン１０の抜け止め位置のコイル部分を密に
して、それより下方位置のコイル密度を粗く構成した圧
縮バネを用いても良い。

【０００９】図４に示すように、刈取装置５で刈り取ら
れた穀稈は、株元をバネ板１２と横送り案内板１３とで
挟持されながら穀稈搬送装置１４で横送りされる。そし
て、結束装置６の手前箇所に穀稈を集積するため一時停
止させる株元ストッパ１５と、この株元ストッパ１５に
穀稈搬送経路を挟んで対向する位置に穀稈の戻り防止用
の回転パッカ１６とを配設している。前記株元ストッパ
１５は、バネ板部材を屈曲形成したものを、穀稈搬送経
路を横切る状態で一端を前記横送り案内板１３に片持ち
支持してあり、株元ストッパ１５の結束装置側端部を前
記横送り案内板１３に形成した透孔に出退自在に挿通さ
せているとともに、横送り案内板１３の背面側に片持ち
状態で取り付けたバネ板部材１７に、株元ストッパ１５
の結束装置側端部を接当させるようにしており、さら
に、バネ板部材１７の片持ち状の基端部の固定位置を、
当て板１７Ａの左右取り付け位置を変えることで左右に
変更できるようにしているので、バネ板部材１７の先端
部のモーメントが変更されるようになっている。従っ
て、株元ストッパ１５の弾性力をバネ板部材１７によっ
て設定されるようにしているとともに、当て板１７Ａの
取付位置の変更により、株元ストッパ１５の弾性力が変
更されるようにしている。

【００１０】結束装置６は、図２に示すように、ノッタ
ービルや紐ホルダ等を備えた結節部６Ａと、感知ドア、
掻き込みパッカ、ニードル１８等を備えた紐供給部６Ｂ
とで構成されている。そして、この結束装置６の背後上
方側に巻き紐を収納して供給する紐供給部２０を設けて
いる。この紐供給部２０と、停止位置にいるニードル１
８の先端の紐通し孔１８ａとの間に、案内具としての紐
案内管２１を屈曲形成して配設している。

【００１１】そして、巻き紐の取り替え時等において、
巻き紐からの紐１９ａを前記紐案内管２１を介してニー
ドル１８の紐通し孔１８ａに通すための紐通し装置２２
を設けている。詳述すると、紐通し装置２２は、図１及
び図３に示すように、その先端にＶ状に切り欠き形成さ
れた紐係止部２３ａを設け、かつ帯板状で鋼製の屈曲変
形可能な紐通し具２３を、巻回装置としての紐プーリ２
４に巻き取り収納されるようにしているとともに、紐プ
ーリ２４と一体の巻き取り軸としての回動支軸２５に第
１ピニオンギア２６を連設し、この第１ピニオンギア２
６と歯合する大径ギア２７を回動支軸２５と別の中間回
動支軸２８に連設して、またこの中間回動支軸２８に連
設された第２ピニオンギア２９と歯合する大径扇形ギア
３０を前記回動支軸２５や中間回動支軸２８と平行な軸
芯周りで回動可能に枢支して、かつ、前記ギア２６，２
７，２９を介して紐プーリ２４を回動駆動する大径扇形
ギア３０に、紐通し具２３を繰り出すがわに紐プーリ２
４を回転させるよう弾性付勢する巻きバネ３１を係止保
持して構成している。大径扇形ギア３０のギア部から離
れるがわにレバーとしてのレバーアーム部３０Ａを延出
するとともに、巻きバネ３１の付勢力に抗して紐通し具
２３を紐プーリ２４に巻き取り収納するよう大径扇形ギ
ア３０を操作した姿勢で位置保持できる係止部としての
係止突起３２に、レバーアーム部３０Ａを係止できるよ
うに設定している。即ち、レバーアーム部３０Ａは、大
径扇形ギア３０の枢支固定部に対して人手操作で上下に
撓み移動可能に構成しており、レバーアーム部３０Ａを
持ち上げた状態で係止突起３２を迂回させた後、レバー
アーム部３０Ａを通常姿勢にして係止突起３２に係止さ
せるものである。係止突起３２からレバーアーム部３０
Ａを係止解除させると、巻きバネ３１の付勢力及びギア
機構によって紐プーリ２４が増速回転して紐通し具２３
が勢いよく繰り出されることになる。ここで、第１ピニ
オンギア２６、大径ギア２７、第２ピニオンギア２９、
大径扇形ギア３０は、紐プーリ２４からみて大径扇形ギ
ア３０の回転速度が遅くなる減速機構３６を構成するも
のである。

【００１２】さらに、図１に示すように、紐プーリ２４
の外周面に密着する状態で紐通し具２３を、前記紐案内
管２１の入口に安定した姿勢で挿入されるように保持す
る案内プーリ３５を配設している。この案内プーリ３５
に挟持されることで、紐通し具２３が安定した姿勢とな
る。尚、案内プーリ３５はゴム製の円板部材であり、紐
通し具２３への密着性を高くしている。

【００１３】上記構成により、新たに巻き紐を紐収納部
２０に装着して紐１９ａをニードル１８へ送り込む際に
は、予め紐通し具２３を紐プーリ２４に巻き取り収納
し、その状態で大径扇形ギア３０のレバーアーム部３０
Ａを紐繰り出しがわに巻きバネ３１で蓄力付勢されたま
ま係止突起３２に係止しておいて、紐通し具２４の紐係
止部２３ａに紐１９ａを係止した後、レバーアーム部３
０Ａを係止突起３２から引き外す。すると巻きバネ３１
の付勢力で紐プーリ２４が紐通し具２３を勢い良く繰り
出し、その紐通し具２３は紐案内管２１を通って、その
紐係止部２３ａがニードル１８の近傍に至ることにな
る。

【００１４】尚、係止突起３２とレバーアーム部３０Ａ
との係止及び係止解除する手段としては、図１に示すよ
うに、係止突起３２の方を係止位置と係止解除位置とに
移動できるようにしても良い。

【００１５】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】紐通し装置を示す平面図

【図２】結束装置を示す平面図

【図３】紐通し装置を示す側面図

【図４】刈取穀稈の結束装置への案内路を示す横断平面
図

【図５】刈取部への伝動軸におけるトルクリミッタ構造
を示す縦断正面図（イ）と、このトルクリミッタ構造に
おける安全ピンを外部に臨ませるようにコイルスプリン
グを縮めた状態を示す縦断正面図（ロ）

【図６】別実施例としての上記伝動軸におけるトルクリ
ミッタ構造を示す縦断正面図

【図７】バインダを示す全体側面図

【符号の説明】

１８ 結束用ニードル １９ａ 結束紐 ２０ 紐収納部 ２１ 案内具 ２３ 紐通し具 ２３ａ 紐係止部 ２４ 巻回装置 ２５ 巻き取り軸 ３０Ａ レバー ３２ 係止部 ３６ 減速機構

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 紐収納部（２０）から結束用ニードル
   （１８）に案内具（２１）を通して結束紐（１９ａ）を
   供給するように、前記紐収納部（２０）に、先端に紐係
   止部（２３ａ）を備えた可撓材からなる紐通し具（２
   ３）を装備し、この紐通し具（２３）を前記案内具（２
   １）に沿って正逆移送可能に構成した結束装置の紐通し
   装置であって、前記紐通し具（２３）を巻回収納する巻
   回装置（２４）を備えるとともに、この巻回装置（２
   ４）の巻き取り軸（２５）に減速機構（３６）を介して
   連動連結したレバー（３０Ａ）を揺動自在に枢支して、
   かつ、前記巻き取り軸（２５）を、前記紐通し具（２
   ３）を突出駆動するがわに弾性付勢して、巻き取り操作
   状態の前記レバー（３０Ａ）を係脱自在に係止保持する
   係止部（３２）を設けてある結束装置の紐通し装置。