JP2730876B2 - プラント内における微小漏洩ガス雰囲気での新規漏洩発見法 - Google Patents

プラント内における微小漏洩ガス雰囲気での新規漏洩発見法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガス状、液体状または
個体状で、可燃性または有毒な物質を取り扱うプラント
において該プラントの装置、設備から漏洩したガス、蒸
気等を検知するガス、蒸気等の漏洩検知システムに関
し、プラントに固有な微小漏洩存在下でも新規に発生し
た漏洩を低い誤報率/欠報率で発見するための方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】化学工業、石油精製等の産業を規制する
「高圧ガス取締法」によれば、可燃性ガス取扱い施設の
外縁に20mスパン以下となる様にガスセンサ−を設置
しなければならない。従来このガスセンサ−は100−
200PPM程度の低感度であり相当量の新規漏洩が発
生しない限りこれを検知する事は不可能であったが、近
年使い方によっては、1−10PPM程度を検出できる
高感度センサ−が開発され使用され始めた。
【0003】一方、通常のプラント内部には、回転機械
軸受け部、自動弁シャフト部又各種の配管接続部等から
微小の漏洩があり、これを全く0には出来ない様な不可
避的漏洩があるのが普通である。
【0004】この微小漏洩はプラント内に吹いている風
によりプラントの内部に常時ただよっており、風向と風
速の条件で、プラント内部の微小漏洩ガスによるガス濃
度は、時間的に大きく変動している。このプラント固有
の不可避的に低濃度で存在するガスを、ここではBGL
(バックグラウンドガス漏洩)と言う事にする。
【0005】従来の低感度ガスセンサ−では、この低濃
度ガスを検出する事はほとんど不可能であったが近時使
用され出した高感度ガスセンサ−では、場合によっては
検出できる様になってきている。この様にプラント内に
固有に存在するBGLを、プラント内部に設置されたガ
スセンサ−が検出できる様になると、プラント内にBG
L以外の新規の漏洩が起きた場合、ガスセンサ−の指示
だけではこれがはたして新規の漏洩なのか、叉はBGL
濃度自体の風による単なる変動なのかの区別がつかない
事になる。
【0006】これまでは、プラントのオペレ−タが適当
にガスセンサ−の発報設定値をきめ、この設定値を多少
高めにセットして、通常のBGLと区別する様にしてき
たのが一般的であるが、これはBGL自体の漏洩量変動
及び気象条件の変動によるガスセンサ−指示値の変化に
動的についていけず、結局のところはプラントのオペレ
−タの自主的な判断にまかされていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、プラント
内に適当に配置され当該場所のガス濃度を測定するため
の高感度ガスセンサ−群と、プラント内の代表的な気象
条件を測定するために1ないし2個設置される風向風速
計と、これらのガスセンサ−信号を風向風速デ−タと共
に処理するデ−タ処理システムとから構成されるシステ
ムにより、プラント内に不可避的に存在する上記のBG
Lから、それ以外に発生する新規の漏洩を明確に区別し
て検知する方法を提供する。
【0008】従来技術では、プラント内に存在するBG
L漏洩の変動を、各センサ−の指示するガス濃度で監視
しているため、ある1個のセンサ−指示濃度の上昇がB
GL変動によるものか、叉は本当の新規漏洩によるもの
かが分からない。
【0009】本発明では、プラント内に存在するBGL
漏洩の変動は、各場所の濃度ではなく、全センサ−測定
値から計算される各所の漏洩量分布として把握され、リ
アルタイムにモニタ−されている。
【0010】この方法により、各時点のBGL濃度変動
はシステム内部において常時自動的に解析され、BGL
と新規漏洩を区別する判断基準を、本システムがそのと
きどきの状況に応じた設定点に自動的に変更し、プラン
トオペレ−タの感に頼る漏洩判断をすべて不要にする手
段を提供する。
【0011】また、実際はBGL状態であるのにシステ
ムは新規の漏洩と判断して発報する(以後これを誤報と
言う)及び、実際は新規の漏洩であるのにBGL状態と
判断して発報しない(以後これを欠報と言う)という2
種類の誤りに対して定量的な概念を与え、システムが内
部で決定する新規漏洩の判断基準にプラントオペレ−タ
が介入する事によって、プラントオペレ−タがそのとき
どきで希望する誤報率/欠報率に合わせて、システムの
判断基準を変更する手段も併せて提供する事が出来る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、プラント内
に適当に配置され当該場所のガス濃度を測定するための
高感度ガスセンサ−群と、プラント内の代表的な気象条
件を測定するために1ないし2個設置される風向風速計
と、これらのガスセンサ−信号を風向風速デ−タと共に
処理するデ−タ処理システムを用い、そのときどきのB
GLの変動状態(その時のプラントの運転状況、その時
の気象条件、又当該プラント外部の状況等非常に多くの
変動要因に支配される)の特徴を時間的及び場所的に巧
妙にとらえる事によって解決される。
【0013】すなわち、本発明は、可燃性または有害な
物質を取り扱うプラントにおいて、当該プラントに常時
存在するバックグランドガス漏洩である微小漏洩ガス
(BGL)雰囲気がある時、プラントから漏洩するガス
を検知するための高感度ガスセンサー群と、風向風速計
と、これらの各種信号をリアルタイム処理するデータ処
理システムとから構成されるシステムを用い、対象プラ
ント内の適当な位置に複数の仮想的なガス漏洩点群を配
置設定し、次に、新規漏洩のない通常時に、複数のガス
センサー群により観測されるBGL濃度の時系列データ
と、風向風速の時系列データとからなる、適当な大きさ
のデータベースを用意し、理論的なガス拡散モデルを使
用して、前記データベースのBGL濃度指示値のすべて
を最適に近似する様に、前記仮想漏洩点位置にBGLデ
ータを代表する仮想BGL漏洩量を割付け、その仮想B
GL漏洩量と、理論的なガス拡散モデルとから計算され
るBGL対応の濃度値を、前記時系列データベースのそ
れぞれから差引き、BGL成分フィルター後のデータベ
ースである新しいデータベースFを得、データベースF
中に、BGL成分フィルター前のデータベースである前
記BGL信号の実観測値データベースSの持つデータ出
現頻度に関する統計的特徴が、どれほど残存しているか
を解析し、新しいデータがデータベースSに追加される
毎に、前記の仮想BGL漏洩量を使用してそのデータか
らBGL成分をフィルターし、新データのフィルター後
のデータと、前記のデータベースSの統計的特徴の残存
割合とを対比させ、その新データがBGL信号の変動範
囲にあるか、または過去のBGL変動範囲にはないデー
タであるかを判別する事により、BGL雰囲気下での新
規漏洩発生をBGLと区別して検知し、これらの操作を
新データの入力毎に繰り返す事により、データベースS
とデータベースFを、その時点での最新のBGL状況を
表す様に動的に更新し、プラント内に固定的に存在し、
風向の変動と共に常時変動している微小漏洩ガス(BG
L)雰囲気下で、そのBGL漏洩の規模を常時監視しつ
つ、新規に発生する漏洩をこれと明確に区別して、新規
の漏洩を検知する事を特徴とするプラント内における微
小漏洩ガス雰囲気での新規漏洩発見法である。
【0014】上記した本発明においては、データベース
F中に残存している、データベースSの持つデータ出現
頻度に関する統計的特徴を解析して取り出す操作を以下
の(1)項から(4)項までの手段により行なうことが
好ましい。
【0015】(1)データベースSを、たとえば20度
均等刻みの18分類のような適当な風向範囲で分類し、
各風向分類内のおのおのにつき、各センサーデータの平
均値と標準偏差値を計算し、(風向分類された平均値と
標準偏差値の計算) (2)仮想BGL漏洩量を使用して、データベースFを
その初めから最後まで走査し、各センサーデータにつ
き、前記(1)項の各風向分類中で、データベースS中
の前記平均値に対して、前記標準偏差値の何倍に相当す
るかの値である整数近似値を計算する操作を全センサー
データに対して行い、この整数値を全センサーに対して
総和し、データベースFと同一の大きさの時系列である
整数数列を得、(各風向分類内での対偏差値倍数の決定
操作) (3)前記(2)項で得た整数時系列データをその初め
から最後まで順番に走査し、ある時点からのひき続く適
当な個数R、たとえば18個、の整数を順番に積算して
いく操作(1個のデータ、続く2個のデータの
和、...続くR個のデータの和をつぎつぎにとる操
作)を行い、時系列上のどの時点に於いても個数Rの整
数列を持ち、その全データベースの大きさがデータベー
スFより(R−1)個だけ小さい整数列時系列データベ
ースを得、(対偏差値倍数の階数決定操作) (4)前記(3)項で得た整数列時系列データベースを
その初めから最後まで順番に走査し、各時点での大きさ
R個の整数列を、各時点の順番に比較する操作を行い、
その全データベース中で最大であるR個の整数列、すな
わち1番目からR番目のどの整数も他の時点のそれより
大きいR個の整数列であり、これをクラス0のランク値
と言う、を取り出す、(最大ランク値の取り出し操作) 更に、BGL雰囲気下での新規漏洩発生をBGLと区別
して検知する方法が、 (5)これまでのデータベースに、新たに、複数のガス
センサー群により観測されるガス濃度の時系列データ
と、風向風速の時系列データが1セット追加された場
合、それまでに得られている仮想BGL漏洩量、風向分
類された平均値と標準偏差値を使用して、その追加デー
タ1個に対してBGL成分のフィルター、及び前記
(2)及び(3)項の操作を行い、その結果として得ら
れた個数Rの整数列が前記(4)項でのべたクラス0の
ランク値と比較してより大きい数列、1番目からR番目
の整数の内どれか一つでもクラス0のランク値より大き
い整数列、であるか否かを判定する事により、もし大で
あるならこの時点で、BGLでない新規の漏洩がプラン
ト内のどこかに起きたと判定し、その新規漏洩出現の情
報を出力する、(新規漏洩出現の情報を出力) ことが好ましい。
【0016】更に、データベースSとデータベースFを
その時点での最新のBGL状況を表す様に動的に更新す
る方法が、 (6)前記(5)項の判定でもし大でないなら、この時
点のデータはこれまでのBGLの変動範囲内であって、
従って、新規の漏洩はプラント内のどこにも起きてはい
ないと判定し、データベースSにそのデータを追加し、
かつデータベースSから最も古いデータを1セット削除
する操作を行ってデータベースSを同一のサイズを保っ
て更新し、その更新データベースSに対して、前記仮想
BGL漏洩量の割付及びBGL成分のフィルター操作を
行ってデータベースFを更新し、これに対して前記の
(1)から(4)までの操作を再度行う事により、その
時点のBGL信号に対して最も的確であり、かつ動的に
変更された新規漏洩の発見パラメータ(前記(1)から
(4)の出力)を再計算する(データベースの更新)こ
とが好ましい。
【0017】また、新規漏洩を発見できる漏洩の規模
と、これを検知可能な確率の情報を提供し、これをプラ
ント運転中にメニュウとして常時参照し、新規漏洩検知
の判断基準を変更する手段を提供するために、 (7)複数の仮想的なガス漏洩点群位置のそれぞれに、
人工的な漏洩量を適当に仮定し、これによる各センサー
の濃度を理論的なガス拡散モデルで計算し、これを更新
されている時系列データベースFに加算した仮想的な時
系列データベースを作成し、この仮想的な時系列データ
ベースに対して、前記(2)項及び(3)項と同一の操
作を施し、個数Rの整数列時系列データベースを得、こ
の整数列時系列データベース中に前記(4)項で得たR
個の整数列(クラス0のランク値)より大なる整数列
(1番目からR番目の整数の内どれか一つでもクラス0
のランク値より大きい整数列)が存在するか否かを検査
し、全整数列時系列データベース中でのその存在割合を
計算し、各仮想漏洩点位置及び人工的に仮定した各仮想
漏洩量のそれぞれに対応する存在割合を表す数表を得、
(最大ランク値の出現頻度計算) (8)本システム運転中はいつでも、前記(7)項で得
られている数表を参照する事により、対象プラント内の
どの場所にどの程度の新規漏洩が出現したら、これをど
の様な確率で発見出来るかについての情報を、プラント
運転者にメニュウとして提供し、もし多少誤報がでる事
を承知の上でこの発見確率を上げたい場合は、前記
(4)の判定基準であるクラス0のランク値をどの様に
ゆるめたら良いかの情報も併せて提供する、ことが好ま
しい。
【0018】先ず最初に、そのときどきのBGLの変動
状態を動的にとらえこれを解析するために、現時点から
どれほどの過去にさかのぼれば良いかをきめなければな
らない。
【0019】実際のプラントで種々試験した結果とし
て、これは約半日分か長くても1日分あれば良い事が分
かっている。
【0020】例えば、風向風速計のデ−タと全センサ−
のガス濃度指示値デ−タの1組を20秒毎にサンプルす
るものとすれば、過去半日分のデ−タであれば2160
セットであり、1日分であれば4320セットである。
【0021】これは動的にBGL状態を解析し、その統
計的特徴を抽出するための基準デ−タベ−スであり、こ
のデ−タベ−スは新しい1組のデ−タが入力されるたび
に動的に更新され、いつでもその時の直前の過去におけ
る最新の状況を反映させる様にする。
【0022】本システムの始動時には、最初に基準デ−
タベ−スできめられたデ−タ数がそろうまでデ−タ処理
システム内部に全デ−タが記憶される。
【0023】次に、プラント内に無数に存在しかつその
位置が不明なBGLを、適当な複数の点位置に集中近似
するため、対象プラント内に複数の仮想的なガス漏洩点
群を設定する。
【0024】そのため、システムの始動前に仮想BGL
漏洩点の総数とそれらの位置をきめる。
【0025】一方、ガスセンサ−のタイプ、総数及びそ
れらの位置は対象プラントによりさまざまであるが、本
例では特開平5−231979号で提案されている様な
サンプリングモジュ−ルタイプのガスセンサ−を使用す
る。
【0026】本来ガスセンサ−はその設置された地点近
傍のガス濃度を、なるべく高感度で測定できれば良い訳
であるが、従来使用されている高感度ガスセンサ−のプ
ラント内分散配置では、相当多くのガスセンサ−を設置
しない限り、設置点近傍の濃度を表す地域範囲がせま
く、少数のガスセンサ−でプラント内の全域をカバ−し
たい場合は、前記のサンプリングモジュ−ルタイプのセ
ンサ−構成が最適である。
【0027】但し、本発明はこのガスセンサ−タイプに
限定される訳ではなく、プラント内のある面積内のガス
濃度を代表する様なセンサ−が選択されていればよい。
図1に簡単なガスセンサ−の配置とそれに対応する仮想
BGL漏洩点の配置を示す。
【0028】なほ、この様なサンプリングモジュ−ルの
総数とプラント内配置及び、仮想BGL漏洩点の総数と
プラント内配置について、どの様な組み合わせが最適で
あるかは本方法によるシミュレ−ションを行って決定で
きる。
【0029】又本方法では、風によるガス拡散モデルを
使用するが、この理論モデルは例えば、坂上モデル、サ
ットンモデル、パスキル−ギフォ−ドモデル等、これま
でに多くのモデルが開発されている。本方法ではこのど
れを使用してもかまわないが、本例ではこれを単に拡散
モデルと言う事とする。
【0030】前述した様に、本方法ではまずシステム始
動前の準備として、その時のプラントのBGL状態を忠
実に表す様なその直前の過去のデ−タベ−スを必要と
し、このデ−タベ−スを逐次更新しながら漏洩の検知を
行う。
【0031】このデ−タベ−スに含まれているデ−タは
本説明では、風向、風速、M個(例えば8個)のガスセ
ンサ−により測定されたプラント内各所のガス濃度(P
PM)であり、これらのデ−タが、たとえば1秒毎に収
集され、その20秒毎の平均値としてKセット(例えば
半日分)あるものとする。
【0032】先ず本システムを漏洩検知システムとして
走行させる前に、このデ−タベ−スSに対して以下の処
理を行う。
【0033】1.デ−タベ−ス全体を、風向で例えば2
0度刻みの均等18分類し、各分類層中で各センサ−指
示値の平均値と標準偏差値を計算する。
【0034】この分類は風向のみで行い風速では行わな
い。その理由は一般にプラント内部にはさまざまな建造
物があり、プラント上空で計測された風速とプラント内
部の各所での実質的風速とは異なるからであり、プラン
ト内部の風速は一般的に上記測定風速にやや比例するも
のの大きく圧縮されたものとなるからである。
【0035】これまでのプラント内部での多くのデ−タ
解析の結果、この様に約20度程度の風向範囲をプラン
ト内部では同一の風向と考える事で、BGLによる各セ
ンサ−指示値デ−タはほぼ正規分布に従う事が確認され
ている。
【0036】平均値をm、標準偏差値をsとすると、こ
れらは分類風向番号jとセンサ−番号iの2次元の配列で
あらわされる。
【0037】2.次に、上記に仮定した仮想BGL漏洩
点の各位置から1m3 /hrのガス漏洩を仮定し、1項
で分類した各風向による風速1m/secで拡散したと
きの各センサの指示値は、上記の拡散モデルを使用して
計算する事が可能である。
【0038】各センサ−の指示値cは仮想BGL漏洩点
位置番号lk、分類風向j及びセンサ−番号iの3次元の配
列であらわされる。
【0039】仮想BGL漏洩点の各位置にその近傍のプ
ラント内地域を代表させると、その地域にqm3 /hr
の漏洩があり、その時の風速がum/secである場
合、各センサ−の指示値はc*q/uとなる。これはど
の拡散モデルでも、拡散ガス濃度は各点の漏洩量に比例
し、又風速に反比例する事から理論的に証明できる。な
ほ、この作業は一度だけおこなえば良く、本c配列はそ
のプラントに固有のものとなる。
【0040】3.デ−タベ−スS全体で、そのデ−タベ
−スSが最適に近似される様なBGL集中漏洩量を、L
個の仮想BGL漏洩点の各位置に割り振る。つまり、プ
ラント内に無数に分散しているが、その位置も量も不明
な微小BGL漏洩を、プラント内部にほぼ均等に配置す
る様に置かれた仮想BGL漏洩点の各位置に集中的に代
表させて近似する事となる。
【0041】lkを仮想BGL漏洩点の番号(全L個)、
qを各仮想BGL漏洩点の漏洩量、i を各センサ−の番
号(全M個)、k を例えば20秒毎のデ−タ番号(全K
個)uをデ−タ番号kの観測風速、cを2項で説明した
漏洩量1m3 /hr、か つ風速1m/secと仮定し
た時の各センサ−位置の推定計算拡散濃度とし、dを、
実際に観測されてデ−タベ−スSにとりこまれた各セン
サ−の指示値(PP)Mとすれば、理論的に推定される
各センサ−のPPM値と、各実デ−タdとの差の全平方
和SSは、(c*q/u−d)の平方を、すべての仮想
BGL漏洩点(全L個)、すべてのセンサ−(全M個)
及びすべてのデ−タ(全K個)について総計したものと
なる。
【0042】このSSを最小にする様なL個のqは数学
的に一意の最適解となり、SSをL個のqで偏微分し、
0と置いたL個の式を連立させる事により解析的に解け
る。
【0043】これが今与えられたデ−タベ−スにおい
て、そのBGLを最も的確に近似するL個の近似BGL
集中漏洩量である。
【0044】4.次に、デ−タベ−スS全体から、3項
でえられたL個の最適仮想漏洩量を使用し、デ−タベ−
スSのおのおののデ−タからBGL成分をフィルタ−し
た、新しいデ−タベ−スFを構成する操作を行う。
【0045】そのためには、3項で解かれたL個のqに
ついて(c*q/u)を計算し、この全L個の合計値を
デ−タベ−スSの実デ−タdから差し引けば良い。
【0046】もし、理想的にBGLがL個の最適仮想漏
洩量に集約されているならば、デ−タベ−スFのデ−タ
はすべて0となるはずであるが、実際は約半数のデ−タ
が0より小で、残りの約半数のデ−タが0より大、及び
全デ−タの平均値がほぼ0となる様に、デ−タベ−スの
構造が変化する事になるであろう。
【0047】その変化の特徴は、元デ−タベ−スSの持
つデ−タ構造のバラツキ(標準偏差)に対して、n倍平
均値より遠いデ−タの割合が、フィルタ−後デ−タでは
確実に減少する事である。従って、新規漏洩のない過去
のデ−タ群に対して、フィルタ−後デ−タのnがどの様
に変化するかを追跡して、新規漏洩の発見に結びつける
事が可能となる。過去一度も出た事のない様なnが、今
でればそれはおそらく確実に新規の漏洩を意味するであ
ろうし、過去2160デ−タ中に一度しか出た事が無い
デ−タが今出現したら、それは99.95%の確率で漏
洩と言って良いであろう。この事が判断基準としての誤
報率に根拠を与える。
【0048】5.次に、4項で得た時系列デ−タベ−ス
Fをその初めから最後まで走査し、各センサ−デ−タの
それぞれが、1項の風向分類層中で、デ−タベ−スS中
の平均値mに対して、1項の標準偏差値sの何倍に相当
するかの値n(整数近似値)を計算する。この整数値n
は、元信号からBGL成分をフィルタ−したにもかかわ
らず、元信号の持つデ−タの頻度構造を保持している程
度を表している。従って、このnを全センサ−に対して
総和する事によって、デ−タベ−スFと同一のサイズの
整数数列を得る事ができ、これがBGLフィルタ−後デ
−タベ−スFの持つBGL特性となる。nの数学表現
は、フィルタ−後デ−タをd’とすれば、d’<m な
ら n=0、 d’>=m なら、(m+(n−1)*
s)<= d’<(m+n*s)なるnである。
【0049】6.次に、5項で得た整数数列はK個(例
えば2160個)の整数nであり、もしこの内の最大値
だけに注目するなら、これは過去例えば半日の間に、B
GLフィルタ−後デ−タベ−スでこれ以上の数字が出た
事はない事実を表す。従って、新たに追加されるデ−タ
が仮にこれ以上のnを持つなら、そのデ−タはBGLで
はない新規の漏洩を表すものと考えて良いであろう。
【0050】しかしこれだけを新規漏洩の判断基準とす
るなら、相当に規模の大きい漏洩でないとこれを発見す
る事は出来ない恐れがある。
【0051】もし、ある時点のnとひき続く次の時点の
nの和をとり、この全デ−タベ−ス中での最大値を考え
ると、この数字の意味はひき続く2個のデ−タのnの和
としても、前記と同様に過去例えば半日の間に、BGL
フィルタ−後デ−タベ−スでこれ以上の数字が出た事が
ない事実を表す。従って、ただ1個のnでは新規漏洩と
は判断できない場合でも、ひき続く2個のデ−タからは
新規漏洩と判断できる事がある事を表す。これはBGL
信号の波形が、ある種の周期性を持つ事を積極的に利用
している。
【0052】この様にして、5項の時系列整数数列を最
初から走査して、ある時点のnとひき続く次の時点のn
を順番に積算する操作(1個のn、続く2個のnの和、
続く3個のnの和、...、続くR個のnの和)をR個
まで行い、R個の整数数列の(K−R+1)個のデ−タ
ベ−スを作る。(このR個の数列を各時点のランクと言
う) 例えば、5項の時系列整数数列nが仮に、1,
3,0,1,1,4,0,3,2,0,...、 であ
りRを仮に3個とすると、 デ−タベ−スの第1番目の数列: 1,4,4 デ−タベ−スの第2番目の数列: 3,3,4 デ−タベ−スの第3番目の数列: 0,1,2 デ−タベ−スの第4番目の数列: 1,2,6の様にな
る。
【0053】7,6項のRは例えば20秒毎のデ−タベ
−スであれば18個程度が適当である。その理由は、通
常のBGL信号の波形周期としては、長くても5−6分
と考えられるからである。
【0054】次に、R個の数列を(K−R+1)個並べ
この内で、例えば、第1番目の数字での最大値を第1番
目の数字とし、第2番目の数字での最大値を第2番目の
数字とする操作をR番目まで行うと、全デ−タベ−ス中
のR個の整数数列中でどの番目の数字をとっても最大の
新しい数列が得られる。(上記の例ではこの最大値数列
は、3,4,6 となる) この最大値数列を、以後クラス0のランク値と称するが
その意味は次の様に解釈される。
【0055】デ−タベ−スに新しいデ−タが1個追加さ
れてそのnが計算され、その時点より過去の方向へR個
のランクが計算された場合、もしその計算されたnが、
クラス0のランク値の第1番目より大なら新規漏洩と認
識されるが、そうでなくても、もしそのランクの第2番
目が、クラス0のランク値の第2番目より大なら、やは
り新規漏洩と認識して良い事を示し、以下順番にR個ま
でこの判定を繰り返す事ができる。
【0056】つまり、ただ1個のデ−タのみでなくひき
続くR個のデ−タを常時監視する事により、新規漏洩と
BGLとの区別を格段にしやすくしている。この様な方
法で、かなり漏洩規模の小さい新規漏洩でも、明確にB
GLと分離して、しかも誤報なく漏洩の判断ができる。
【0057】8.クラス0のランク値より大の数列は、
対象としているデ−タベ−ス中にはただの1個も含まれ
ていないから、これを基準として新規漏洩の判定をすれ
ば、その結果はほとんど誤報率0での判定となる。
【0058】しかしこの基準の場合、プラント内に起き
る新規漏洩がある程度の規模でない限り、これを発見で
きないおそれがある。
【0059】一般的に、プラント内に新規漏洩が起きた
のに検知できない場合を欠報と言う事にし、もし100
回の真実の新規漏洩生起に対して50回しか発見できな
い場合には、欠報率50%と言う事にする。(この逆
に、プラント内に新規漏洩が起きていないのに新規漏洩
が起きたと報告される場合が誤報であって、これは新規
漏洩とBGLとを区別できない事を表しその発生率を誤
報率と称する。) なほ、誤報率の概念はBGLのデ−タベ−ス中に含まれ
る漏洩判断基準値の割合であるが、一方、欠報率の概念
は、プラント内のどこかに新規漏洩を仮定しないと定義
できない。
【0060】誤報率と欠報率の関係は相互に背反し、誤
報率を小にすれば欠報率は大となり、欠報率を小にすれ
ば誤報率は大となる。
【0061】従って、クラス0のランク値を判定基準と
すれば誤報率は最小(ほとんど0)であるが欠報率は最
大となる。
【0062】そこでR個の数字を持つクラス0のランク
値のおのおのから、各rずつマイナスした数列を新たに
定義し、これをクラスrのランク値と称する。(例えば
上記の例ではクラス1のランク値は、2,3,5であ
り、クラス2のランク値は、1,2,4、以下同様とな
る) この様にして、新規漏洩を判定するクラスを増加させれ
ば、誤報率は増加するが欠報率は減少する。
【0063】クラスrでの判定とは、誤報であるかもし
れないのを知っての上で、なるべく欠報を減らしたいと
言う場合に採用する手段である。
【0064】9.今対象としているデ−タベ−ス中に、
クラスrのランク値より大なる数字が含まれる割合を計
算すると、クラスrのそれぞれの数字に対して誤報率が
いくらになるかを予想できる。(r=0の場合には誤報
率0である) 次に以下の様な操作で、プラント内の適当な場所に適当
な量の漏洩を仮定して仮想のデ−タベ−スを考える事に
より、プラント内のある場所にある量の漏洩源が出現し
た場合に、その漏洩発見をクラスrのランク値で判定す
る場合に、そのケ−スの欠報率がいくらになるかを予想
できる。
【0065】仮想BGL漏洩点群位置にプラント内のそ
の位置近傍の地域を代表させ、その位置おのおのに一つ
ずつ人工的に漏洩量を適当に仮定し(例えば、5m3
hr刻みで6段階等)、これによる各センサ−の予想濃
度値をデ−タベ−ス中の各風向と風速に応じて2項の方
法で計算し、これをデ−タベ−スFに加算した仮想的な
時系列デ−タベ−スを作成する。
【0066】この仮想的な時系列デ−タベ−スは仮想漏
洩位置、仮想漏洩量、仮想漏洩時刻のそれぞれに対して
異なるが、これに対して前記4項以降と同一の操作を本
システム内部で行い、クラスrのランク値以上が含まれ
る割合を計算すれば、その割合は仮想漏洩量に対する仮
想的な誤報率となり、これは、100%とその割合との
差がその仮想漏洩量に対する欠報率となっている事を意
味する。
【0067】この様にして、クラスrで新規漏洩を判定
する場合の「各誤報率の表」及び、もし、プラント内の
ある場所にある量の漏洩が起きた場合、当該場所及び当
該漏洩量のそれぞれに応じて、これをクラスrで判定し
た場合の「各欠報率の表」を提供できる。
【0068】この表は、プラントの運転員に対して、本
システムを運用する場合のメニュウとして使用でき、こ
のメニュウを開き参照する事で、オペレ−タ−はいつで
も新規漏洩の判定基準であるクラスrを動的に変更する
事ができる。
【0069】上記9項の準備が終了した後、本システム
は漏洩検知システムとして機能し始める。
【0070】システムが漏洩検知システムとしてスタ−
トし、例えばその20秒後に各1秒間デ−タの20個平
均として、新たな風向、風速及び各センサ−のPPMデ
−タが入力されるとその新デ−タに対して、上記のnが
計算され、いままで得られているクラスrランク値(r
は任意でありプラント運転員の選択による)との比較が
なされる。
【0071】その時点での過去R個の数字に対して、ク
ラスrランク値のそれぞれを比較し、R個の内どれか一
つでもクラスrランク値のそれより大なる数字があれ
ば、それは現在の判定基準クラスrでは新規の漏洩が起
きたと認定される。
【0072】但しこの場合、もし判定クラスのrが高い
と、この判定による結果は誤報かも知れないから、シス
テムはその内部でrを0まで移行させ、クラス0でも結
論が変わらないか否かを調べる。
【0073】もし、クラス0での判定なら新規の漏洩と
認められない場合なら、システムはプラント運転員に注
意を促す表示をするし、逆にクラス0での判定でも新規
の漏洩と認められる場合なら、運転員に漏洩警報を発し
以下の様に処理のオプションを求める。
【0074】プラント内の新規漏洩点を探してそれを止
めるか叉は減少させる処置を行った後、もし、この処置
をした後の状態を以後のBGLと認めるなら、以後の判
定条件クラス0ランク値をこの処置後デ−タを追加して
更新するし、また、以後もこの漏洩を無視して以前の判
定基準で漏洩判定を行い、適当な時期にこれを変更した
い場合は、以後の判定条件クラス0ランク値を更新しな
い様にする。
【0075】新たなデ−タが入力されこれの判定が行わ
れると、新デ−タはデ−タベ−スSに追加され、同時に
最も古いデ−タ(K個前のデ−タ)がデ−タベ−スSか
ら削除されてデ−タベ−スSは常時更新されている。
【0076】この様にして、いつでもデ−タベ−スSは
現時点からの最新の過去を反映する様に更新され、従っ
て、漏洩判定条件クラス0ランク値は、その過去に忠実
に基ずく様に動的に変更されている。
【0077】システム運転中はいつでも、更新デ−タベ
−スSに対して上記の手順の1から9までを繰り返し、
新たにデ−タの入力がありしだいこの手順は無限にル−
プしている。(但し、手順2はシステム設計時に1度だ
け行えば良いので除く) また上記9項のメニュウはシステム運転中はいつでも参
照でき、プラント運転員はいつでもこれを参照する事に
より、新規漏洩の判定基準を自由に変更出来る。
【0078】本システムでは、新規漏洩の基礎判定基準
(クラス0ランク値)はすべてシステム内部で自動的に
計算されており、その判定基準を意図的に緩和する場合
(クラスrの増加)のみ、プラント運転員の割り込み入
力を許す様になっている。BGLの状況は、プラントの
運転状態及びその時の気象条件により大きく変化する
が、本システムではこの変化を常時監視しており、現時
点でのBGL総量を上記メニュウと同様にいつでも参照
できるし、又、現時点からの直前の過去の状況の常時監
視により、新規漏洩の判断基準(クラス0ランク値)を
自動的に変更している。
【0079】従って、BGLの変動状況がおとなしい場
合はそれなりに、又BGLが大きく変動している様な場
合もその変動状況に応じて新規漏洩を検知することがで
きる。
【0080】又、検知報告がその時点でどの程度の確か
らしさであるかを定量的に算定して、もし望むならば、
その望む誤報率/欠報率に合わせる様に漏洩判断基準を
自由に変更できる。本発明がBGL信号(いわゆる雑音
にたとえられる)と、新規漏洩信号(いわゆる雑音中の
音声にたとえられる)を検出する原理は、概念的には以
下の様に説明される。
【0081】プラント内に仮想的に設置されている仮想
漏洩点(複数)に、その時点でのBGL信号を最適に表
現する様にリアルタイムに仮想漏洩量を割付け、その仮
想漏洩量によりその時点に観察される実信号をリアルタ
イムにフィルタ−する操作によって、BGL成分を除去
した信号を得る。
【0082】この信号は理想的にはすべて0となるはず
であるが、フィルタ−操作の巧拙にもよるが実際上はそ
うはならず、BGL信号がその風向で持っていた平均値
とバラツキをまだ幾らか保持している。(但し、その割
合は大きく減少する) もし、理想的にフィルタ−されてすべて0となっている
ならば、新入力デ−タをフィルタ−してそれが0より大
のデ−タであるなら、これは理論的には即漏洩と認めて
良い事になるが、現実問題としてはこの様な判定は不可
能である。従って、その時点直前のBGLフィルタ−後
デ−タベ−スにまだ残存している非0デ−タについて、
前記平均値からの距離(平均値からその標準偏差値の何
倍遠いかを表す)nを計算し、この距離nを根拠として
新規漏洩を検出しようとするのが特徴である。
【0083】この場合、プラント内に複数あるセンサ−
はそれぞれ独立であるから、この距離nを各センサ−す
べてについて総和する事で、新規漏洩がプラント内のど
こで起こっても、その漏洩出現に対処できる。
【0084】次に本発明の特徴となっている原理は、こ
の各センサ−総和距離nを時系列の1点のみで比較する
のではなく、その時点にひき続く何点かの距離nの和で
も漏洩の判定が行われる事である。
【0085】これは、距離nの時間的継続性もBGL信
号の持つ特性の一つであり、この特性を考えて、例えば
1時点のみの比較では漏洩とは判断できなくても、続く
何点かの和の比較でも漏洩判断ができる事により、判断
の正確性(誤報及び欠報の減少)を改善するための有力
な手段となる。(時系列の連続処理) なほ、上記の手順1から9までは、図2及び図3に概念
的なブロックフロ−ダイアグラムとして説明されてい
る。
【0086】全デ−タベ−ス中で上記距離数列の最大値
を取り出し、もしある時点での新デ−タが持つ距離がこ
の値のどれかより大なら、これはおそらく誤報率0で新
規漏洩と認められて良いであろう。(この距離数列の最
大値より大なる数列がBGLとしてこれまで出現した事
がないから) 又、この距離数列最大値からそれぞれ整数r(クラス)
だけ小さい数列を仮定し、この数列(クラスrの数列)
が全デ−タベ−ス中に含まれる割合を計算すれば、これ
はそのクラスrで新規漏洩判断をする場合の誤報率を示
すはずであり、この様にして判断基準をクラスrだけ緩
和した場合の誤報率を前もって予想する事ができる。
【0087】距離数列最大値は、各時点で刻々とデ−タ
ベ−スを更新する事により、その時点での最適なものに
常時変更されている事は当然である。
【0088】その他の本発明の特徴は、各仮想BGL漏
洩点に人工的に漏洩量を置いて、システム内部でのシミ
ュレ−ションが可能な事である。これでできる仮想的な
デ−タベ−スで上記と同様な操作を行う事により、今度
は、プラント内のある場所にある量の漏洩が起きた場合
について、新規漏洩を捉えられるであろう確率(欠報
率)を事前に予想し得る事であり、これをプラント運転
員にメニュウの様式で提示し判定基準の緩和度であるク
ラスを自由に選択できる。
【0089】
【作用】本発明は、プラント内に複数設置された高感度
センサ−で測定されたBGL濃度の時系列デ−タベ−ス
及び、その時の風向、風速の時系列デ−タベ−スから、
その時点のBGL漏洩量分布を仮想的なプラント内漏洩
点位置に集約して近似し、それによって推定される各セ
ンサ−の濃度値を、時事刻々採取される各センサ−濃度
値から差引き、そのBGLをフィルタ−されたデ−タベ
−スをリアルタイムに解析する事により、そのプラント
にその時点で存在しているBGLの時間的、空間的な性
質をリアルタイムに取り出す方法で、BGLの常時監視
及び新規漏洩の検出を可能にする。
【0090】新規漏洩の検出をするためには、当然その
時点のBGL変動との区別が行われる必要があり、現在
観測されているデ−タがBGLの変動範囲なのか、叉は
BGL以外の新規漏洩による信号なのかを判定しなけれ
ばならない。
【0091】従来の漏洩検知システムは結局の所、高感
度センサ−をプラント内に何個設置しようとも、それら
のセンサ−の測定値であるPPM値を直接漏洩判断の対
象とし、それらの値が高いが低いかの判断は、プラント
の運転員により行われていた。
【0092】従って、その漏洩判断はプラント運転員の
意志により異なる事になり、各センサ−の警報設定値を
どの様にセットするかについての合理的設定基準をきめ
られない事になる。
【0093】もしこの警報設定値を下げすぎれば通常の
BGL変動でいつも発報し(誤報)、システムの信用性
がなくなるし、逆にこの警報設定値を上げすぎれば真実
の新規漏洩でも発報しない(欠報)。
【0094】この意味で、従来の漏洩検知システムは結
局「当たるも八卦当たらずも八卦」的な存在として見ら
れていた。
【0095】本発明では、この漏洩判断基準に明確かつ
定量的な合理的基礎を与え、しかもプラントの運転員が
この設定をする必要が全くなく、その時点の直前の過去
をいつもシステムが内部的に監視し、その設定を現状に
見合う様に自動的に変更している。
【0096】そのうえ、システムに運転員が介入してこ
の判定基準の強度(クラス)を変更する手段も用意され
ており、そのクラスの設定のためには、あるクラスにセ
ットすればどの様な誤報率/欠報率になるかが予想さ
れ、従って期待する誤報率/欠報率にセットするにはど
のクラスにすれば良いかを定量的に参照し得る様になっ
ている。
【0097】本発明をプラント内の漏洩検知システムと
して適用するなら、プラントの運転員は自分自身による
漏洩判断を要求されず、本システムの指示するとうりに
従えば良く、もし、システムの指示に何らかの不安があ
る場合は、いつでもメニュウを参照してその設定につい
ての予想誤報率及び予想欠報率を確認できる。
【0098】
【実施例】次に、本発明を適用した実施例につき図面及
び、実際のプラントから得られたデ−タを参照し、この
シミュレ−ションをとうして説明する。
【0099】図1は本発明を適用した実プラントの簡単
な図面であるが、本適用ではプラント内の高感度センサ
−の代わりに、「ガス、蒸気等の漏洩検知システム、風
向風速測定装置」(特開平5−231979号)の実施
例にあげた多点サンプリングモジュ−ル方式を使用して
いる。
【0100】多点サンプリングモジュ−ル方式によれ
ば、高感度センサ−のプラント内分散配置にくらべて、
より少ないセンサ−総数でその地域一帯のガス濃度を測
定できるため、本発明の特徴を最も生かす事ができる。
【0101】ただし、本発明はこの様な多点サンプリン
グモジュ−ルを用いた実施例に限定されるものではな
く、従来の様に、プラント内に分散的に設置される高感
度ガスセンサ−を使用する方式でも適用可能である。
【0102】要するに、ガスセンサ−が指示する値が、
その設置点近傍地域のガス濃度をほぼ正確に測定できれ
ば良い事になる。
【0103】図1を簡単に説明すると以下の様になる。
【0104】本発明を適用したプラント:東西距離80
m及び南北距離50mの長方形であり、横軸及び縦軸の
数字は、左下を原点とする座標をメ−トル単位で表す。
【0105】設置されているセンサ− :多点サンプリ
ングモジュ−ル方式で8本であり、そのモジュ−ル番号
は図中では円形の中の番号で示してある。
【0106】各多点サンプリングモジュ−ルとは、約2
0mスパンで内径6mm程度の穴があいた内径25mm
程度のパイプであり、モジュ−ル末端から吸引ブロワ−
でモジュ−ル周辺の大気を吸引し、その吸引管に接続さ
れた1個の高感度ガスセンサ−により、そのモジュ−ル
設置地域周辺のガス濃度が測定される様にしたものであ
る。
【0107】従って、もしこの様な多点サンプリングモ
ジュ−ルを使用しないならば、そのモジュ−ルの中央位
置に高感度ガスセンサ−を置き、本モジュ−ル方式と同
様にその周辺地域の濃度を代表させれば良いが、本発明
の主旨からして本システムには、この様な多点サンプリ
ングモジュ−ル方式が最適であろう。
【0108】ここでは、モジュ−ル番号をセンサ−番号
と同一の意味に解釈して説明する。
【0109】仮想BGL漏洩点の位置 :仮想BGL漏
洩点の位置は、対象プラント内にほぼ均等に分散するよ
うに配置されれば良い。多点サンプリングモジュ−ル方
式使用の場合は、各モジュ−ルで囲まれる位置に置くの
が最も適切であり、図中では四角形内の番号で各仮想B
GL漏洩点の位置番号を表している。本実施例では、仮
想BGL漏洩点の位置番号1と2は本プラント内の西側
で機器の密集地域を、仮想BGL漏洩点の位置番号4と
5は本プラント内の西側で機器の密集地域を、仮想BG
L漏洩点の位置番号3は本プラント内の東側で機器の少
ない地域を、仮想BGL漏洩点の位置番号6と7は本プ
ラント内の北側でモジュ−ル外側を、仮想BGL漏洩点
の位置番号8と9は本プラント内の南側でモジュ−ル外
側を、仮想BGL漏洩点の位置番号10は本プラント内
の東側でモジュ−ル外側を、それぞれ表している。
【0110】なほ、これらの仮想漏洩点の高さは、本例
では地上2.5mとしてある。その理由は通常多点サン
プリングモジュ−ルがカバ−する高さが約5Mであるの
で、その中央に置いた事になる。
【0111】図2及び図3に、本発明の概念的なブロッ
クフロ−ダイアグラムをしめす。システム始動前に適当
なデ−タ個数のサイズをきめ、BGLデ−タのデ−タベ
−スを用意し、これから種々のパラメ−タを計算してお
く必要があるが図2はこの手順である。図2でBGLの
デ−タベ−スが完成した後、図3のブロックフロ−ダイ
アグラムに示す様に、新デ−タの入力があるとそのデ−
タベ−スを逐次更新しながら、各種パラメ−タを変更
し、本システムは漏洩検知システムとして機能し始め
る。
【0112】本実施例で使用するために採取された、B
GLに関するデ−タベ−スは例えば表1にしめす様なも
のである。
【0113】このデ−タは1秒毎に採取された各デ−タ
を20秒毎に平均したもので、各行間が時間としては2
0秒を表し、本実施例では2000個をデ−タベ−スと
している。(表1にはこの内の最初の20個のみを示
す。) 上記2000個のデ−タベ−スでは、図1の様に設定さ
れた仮想BGL漏洩点の位置と個数(10個)に割り付
けられた最適仮想漏洩量は以下の様になる。(m3 /h
r) 仮想BGL漏洩点の番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 合計 -0.261 0.713 1.705 0.716 0.740 0.334 0.139 0.157 0.442 0.432 5.115 この様に時として、ある仮想BGL漏洩点の位置に負の
数字が現れる事があるが、これは全デ−タベ−スのBG
Lデ−タ(2000個)に最もフィットする様に、数学
的に解かれた結果であるからこのまま採用する。
【0114】結果として意味する所は、この対象プラン
ト内には合計約5.115m3 /hrのBGL漏洩が現
在存在している事を表している。
【0115】本実施例では、風によるガス拡散モデルと
しては、発明者等によって独自に改良されたパスキル−
ギフォ−ドモデルが使用されているが、このモデルを使
用して上記の最適仮想BGL漏洩量によるフィルタ−操
作を施すと、上記のデ−タベ−スSは下記の表2の様に
変換されたデ−タベ−スFとなる。
【0116】デ−タベ−スFから取り出された、階数1
8の最大ランク値(クラス0のランク値)は以下の様に
なる。 ランク 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ランク値 21 37 51 63 72 80 88 90 92 ランク 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ランク値 93 102 103 107 114 123 128 138 148 従って、2000個の本デ−タベ−ス以後新しく入力さ
れた1個のデ−タが、仮に22以上のランク値を持てば
新規漏洩であろうし、又そうではなくても、その前のデ
−タのランク値との和が38以上であるならやはり新規
漏洩と認められる。
【0117】以後この様な比較を階数18まで行う事が
出来、この操作によって新規の漏洩をBGLと区別して
判定するのが本発明の特徴である。上記の比較はクラス
0のランク値による比較であり、誤報率はほぼ0を期待
できるが、これは逆に、新規漏洩の発見可能漏洩量が大
きい(高漏洩量でないと見つからない)おそれがある事
も意味する。
【0118】従って、もし誤報率が多少増加するのを覚
悟して欠報率の減少を狙う場合は、上記のクラスを、例
えば1として、クラス1ランク値(20,36,50,
62...147)で比較すれば良い。
【0119】本例では、クラスは10個(0,
1,...9)としてあるが、プラント運転員は運転中
はいつでも望むクラスrを選択して、この様に漏洩判定
条件を緩和する事ができる。さて、次にこのデ−タベ−
スを検索した場合、各判定クラスrでどの様な誤報率に
なるかを以下に示す。 判定クラスr 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 誤報率(%) 0.00 0.61 0.81 1.06 1.16 1.21 1.41 1.41 1.66 2.17 次に例として、図1の地域番号3に、漏洩量q(m3
hr)の新規漏洩が起きたと仮定し、これを各判定クラ
スで漏洩判定した場合、どの様な欠報率が予想されるか
を以下に示す。 判定クラスr 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 漏洩量q 欠報率(%) 5.0 90.37 89.91 89.56 88.86 87.90 87.34 86.84 86.08 85.43 84.27 10.0 47.71 46.75 46.04 45.54 44.43 43.57 42.86 42.41 41.45 40.39 15.0 24.41 23.70 23.10 22.54 21.73 21.18 20.47 19.97 19.36 18.71 20.0 12.41 12.20 12.00 11.65 11.20 10.84 10.64 10.39 10.19 9.93 25.0 7.41 7.21 7.06 6.96 6.81 6.71 6.61 6.15 5.95 5.60 30.0 3.73 3.63 3.33 3.13 2.92 2.77 2.67 2.47 2.32 2.27 この各判定クラスrにおける「誤報率の表」と、仮定漏
洩量qにおけるプラント内各地域の「欠報率の表」は、
両者あわせてメニュウとして運転員に随時提示され、警
報発報時の参考及び判定クラスの随時変更を可能にする
様になっている。
【0120】本デ−タベ−ス完成後、新デ−タの入力が
あればいつでも、本システムはそのデ−タが漏洩出現に
相当するのか、叉はBGLの変動範囲なのかを即判定す
る。
【0121】その判定性能を例として説明するのは困難
なので、今、仮に本デ−タベ−スの最初の行(表1の番
号0)の時刻で、図1の地域番号3に漏洩量q(m3
hr)の新規漏洩が起きたと仮定し、これを各判定クラ
スで漏洩判定する場合、このシステムが以下何行目にそ
の漏洩を発見するかをシミュレ−ションすると以下の様
になる。 判定クラスr 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 漏洩量q 発報した行 5.0 109 109 109 109 109 109 94 94 94 94 10.0 17 16 16 16 15 15 15 15 11 11 15.0 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 20.0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 25.0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 30.0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 各デ−タは時間間隔20秒毎にサンプルされているの
で、この結果から言える事は、15m3 /hr以上の漏
洩なら、誤報率0(判定クラス0)でもほとんど瞬時に
検知可能、10m3 /hr程度の漏洩なら、誤報率0
(判定クラス0)でも数分以内に検知可能、もし5m3
/hr以下の漏洩なら、誤報率0(判定クラス0)でも
数十分あれば検知可能となる。
【0122】これは一端の例にすぎないが、どんなデ−
タベ−ス又どんな漏洩場所、又どんな時刻でこの様なシ
ミュレ−ションをおこなっても、ほぼ上記と同様な結果
が確認されており、従って、どんな規模のBGL変動の
ある実プラントでも、プラント運転員は各センサ−の警
報設定値に神経を使う必要は一切なく、本システムが変
動するBGLに動的に対応し、新規漏洩検知を不安なく
行う事ができる。
【0123】
【表1】 BGLに関するデ−タベ−スSの1例(20個のデ−タのみ) 各モジュ−ルの測定値(PPM) 番号 風向 風速 モジュ−ル番号 (度) (M/S) 1 2 3 4 5 6 7 8 全平均値 0 240.05 0.40 0.86 0.00 0.95 0.64 1.14 0.00 3.21 1.61 1.051 1 226.55 1.00 1.14 1.93 0.95 0.64 1.14 0.00 2.25 2.25 1.287 2 202.25 0.70 1.43 0.00 0.95 0.64 1.43 0.00 2.25 2.25 1.119 3 226.55 1.30 2.29 0.00 0.63 0.64 2.00 0.00 1.61 2.89 1.258 4 258.95 0.70 2.86 0.00 0.32 0.32 2.28 0.00 1.29 2.89 1.245 5 221.15 1.00 2.57 0.00 0.63 0.32 2.57 0.00 1.61 2.57 1.284 6 175.25 0.50 2.00 0.00 0.63 0.32 2.00 0.00 2.25 2.57 1.221 7 99.65 0.40 2.00 0.00 0.63 0.32 1.71 0.00 2.25 2.89 1.225 8 175.25 0.40 1.14 2.57 1.27 0.32 0.86 0.00 1.93 1.93 1.253 9 285.95 0.70 2.57 0.00 0.63 0.64 0.86 0.00 1.93 2.57 1.150 10 15.05 0.20 3.14 0.00 0.63 0.96 1.43 0.00 1.61 2.25 1.252 11 188.75 0.20 2.57 0.00 0.63 1.61 1.43 0.00 2.57 2.57 1.422 12 240.05 1.10 2.00 0.00 0.32 2.25 1.14 0.00 3.86 1.93 1.438 13 240.05 1.00 1.71 0.00 0.32 1.93 0.86 0.00 2.89 2.25 1.245 14 231.95 1.10 2.57 0.00 0.32 0.96 1.43 0.00 2.89 2.57 1.343 15 123.95 0.70 2.86 2.25 0.95 1.29 2.00 0.00 2.89 2.25 1.811 16 77.15 0.40 2.57 0.00 2.22 1.29 2.00 2.89 2.25 3.21 2.054 17 294.05 0.30 3.14 0.00 1.90 0.96 2.00 3.54 1.93 5.23 2.337 18 329.15 0.30 3.14 1.61 1.58 1.61 2.00 0.96 1.93 3.54 2.046 19 212.15 0.30 2.57 0.00 1.58 1.61 2.28 0.32 2.89 3.21 1.808
【0124】
【表2】 BGL成分のフィルタ−操作を施したデ−タベ−スFの1例 各モジュ−ルの測定値(PPM) 番号 風向 風速 モジュ−ル番号 (度) (M/S) 1 2 3 4 5 6 7 8 全平均値 0 240.05 0.40 -0.71 -2.17 0.04 -0.99 -0.31 -2.32 0.61 -0.28 0 1 226.55 1.00 0.48 0.98 0.68 0.06 0.59 -0.86 1.26 1.51 0.589 2 202.25 0.70 0.30 -1.59 0.60 -0.07 0.55 -1.01 0.91 0.75 0 3 226.55 1.30 1.78 -0.73 0.42 0.20 1.58 -0.66 0.85 2.32 0.720 4 258.95 0.70 2.07 -1.05 -0.40 -0.85 1.29 -1.52 -0.27 1.81 0 5 221.15 1.00 1.92 -1.03 0.40 -0.22 2.03 -0.78 0.63 1.77 0.591 6 175.25 0.50 -0.34 -2.11 0.10 -0.75 0.55 -1.45 0.62 0.17 0 7 99.65 0.40 -0.22 -1.20 -1.19 -0.54 -1.30 -2.05 0.24 -0.21 0 8 175.25 0.40 -1.79 -0.07 0.61 -1.02 -0.95 -1.82 -0.11 -1.07 0 9 285.95 0.70 2.03 -0.80 -0.43 -0.78 0.25 -1.55 0.43 1.68 0 10 15.05 0.20 0.86 -0.91 -5.47 -3.70 -2.75 -3.37 -1.03 -2.63 0 11 188.75 0.20 -2.25 -5.60 -0.69 -1.10 -1.81 -3.65 -1.88 -3.06 0 12 240.05 1.10 1.43 -0.79 -0.01 1.66 0.61 -0.84 2.92 1.24 0.777 13 240.05 1.00 1.08 -0.87 -0.04 1.28 0.28 -0.93 1.85 1.50 0.519 14 231.95 1.10 1.97 -0.86 0.07 0.43 0.93 -0.78 1.99 1.89 0.707 15 123.95 0.70 1.51 1.37 0.18 0.82 0.49 -1.20 1.98 0.43 0.697 16 77.15 0.40 0.39 -0.74 0.17 -0.01 -1.19 0.78 0.22 0.38 0 17 294.05 0.30 1.89 -1.86 -0.56 -2.35 0.58 -0.08 -1.57 3.15 0 18 329.15 0.30 1.87 0.83 -1.75 -2.14 0.26 -1.53 -1.05 1.46 0 19 212.15 0.30 0.31 -3.64 0.84 -0.07 0.41 -2.05 -0.35 0.06 0 (注:全平均値が負の場合は0として表示してある。)
【0125】
【発明の効果】本発明は、プラント内に固定的に存在す
る無数の微小漏洩ガスが風によって拡散し、その濃度が
変動するいわゆるBGL存在下で、新規に発生する漏洩
を確実に又最小誤報率で検知するべく計画された、全く
新しい発想に基ずく漏洩検知システムであり、以下の様
な効果を持つ。
【0126】(1)従来の漏洩検知システムでは、その
警報設定値がプラント内に設置された個別のガスセンサ
−の濃度測定値そのもののため、BGLに妨害されて本
当の新規漏洩発生を発見する事が困難であった。
【0127】本発明による警報設定値は、ガスセンサ−
の個別の濃度測定値とは直接的には無関係であり、全セ
ンサ−の測定値を総合して計算された、その時点のBG
L変動強度を代表する一つの統計的指標を使用する。
【0128】その指標はその時点のBGL変動に随時追
従して自動的に変化し、プラントの運転員にはそれが見
えない様になっている。
【0129】そのため、真の意味で、プラント内の漏洩
検知システムとしての完全自動化が達成されたと言え
る。プラントの運転員は個別センサ−のPPMの設定値
に頭を悩ます必要がなく、ただ本システムの指示に従う
だけで良い。
【0130】もし、BGLがほとんどない様なプラント
で使用する場合も、これはほとんど0のBGLがある環
境と同一であるから、本発明が全く同様に適用できる事
はもちろんである。
【0131】(2)従来の漏洩検知システムでは、多数
のガスセンサ−の測定値が、濃度マップとして表示され
るだけで量的観念が全くないため、現在いくらのBGL
漏洩があるのかは全く不明であった。
【0132】本発明では、BGLを集約して代表する漏
洩点を、プラント内に仮想的に設定する新しい発想に基
ずくため、常時BGLの量的な側面を監視でき、BGL
漏洩量の変化をリアルタイムにモニタ−できる。
【0133】(3)従来の漏洩検知システムでは、前記
した様に、BGLか新規の漏洩発生かの区別がそのシス
テムだけではできない上に、 a.仮にある1個のセンサ−が警報を出した場合、その
センサ−が、BGL変動を新規漏洩と誤報している確率
がどの程度であるのか、(誤報率) b.又は、どのセンサ−も警報をだしていない場合、新
規の漏洩が起きているかもしれないのに、発報されてい
ない確率がどの程度あるのか、(欠報率) のどちらについても何の情報も提供できなかった。従っ
て従来システムでは、警報が出ても、又出なくても、そ
のどちらのケ−スについてもプラント運転員は不安であ
った。
【0134】本発明では、その時点直前のBGLデ−タ
ベ−スを常時更新しながら保持し、そのデ−タベ−スに
対して、前記仮想BGL漏洩点の思想を適用し、これか
らBGL成分を除去したファイルに仮想的なシミュレ−
ションを行う事により、前記指標が発報を指示する場合
の「誤報率」及び、その指標が発報していない場合の
「欠報率」の両方を、定量的な先験確率に基ずく数字と
してプラント運転員に提示できる。
【0135】プラント運転員は、その予想確率提示情報
を随時開けるメニュウとして参照しながら、警報が出た
場合の処置方法、及び現在のBGL変動状況に応じた漏
洩発見確率を参考として、プラントの運転を不安なく行
う事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施のプラント図
【図2】ブロックフロ−ダイアグラム(BGLデ−タベ
−ス作成)
【図3】ブロックフロ−ダイアグラム(新デ−タ入力
後)
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6,7,8(円形の中の数字)
: 多点サンプリングモジュ−ルの番号 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10(四角の中
の数字) :仮想BGL漏洩点の番号

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可燃性または有害な物質を取り扱うプラ
    ントにおいて、当該プラントに常時存在するバックグラ
    ンドガス漏洩である微小漏洩ガス(BGL)雰囲気があ
    る時、プラントから漏洩するガスを検知するための高感
    度ガスセンサー群と、風向風速計と、これらの各種信号
    をリアルタイム処理するデータ処理システムとから構成
    されるシステムを用い、対象プラント内の適当な位置に
    複数の仮想的なガス漏洩点群を配置設定し、次に、新規
    漏洩のない通常時に、複数のガスセンサー群により観測
    されるBGL濃度の時系列データと、風向風速の時系列
    データとからなる、適当な大きさのデータベースを用意
    し、理論的なガス拡散モデルを使用して、前記データベ
    ースのBGL濃度指示値のすべてを最適に近似する様
    に、前記仮想漏洩点位置にBGLデータを代表する仮想
    BGL漏洩量を割付け、その仮想BGL漏洩量と、理論
    的なガス拡散モデルとから計算されるBGL対応の濃度
    値を、前記時系列データベースのそれぞれから差引き、
    BGL成分フィルター後のデータベースである新しいデ
    ータベースFを得、データベースF中に、BGL成分フ
    ィルター前のデータベースである前記BGL信号の実観
    測値データベースSの持つデータ出現頻度に関する統計
    的特徴が、どれほど残存しているかを解析し、新しいデ
    ータがデータベースSに追加される毎に、前記の仮想B
    GL漏洩量を使用してそのデータからBGL成分をフィ
    ルターし、新データのフィルター後のデータと、前記の
    データベースSの統計的特徴の残存割合とを対比させ、
    その新データがBGL信号の変動範囲にあるか、または
    過去のBGL変動範囲にはないデータであるかを判別す
    る事により、BGL雰囲気下での新規漏洩発生をBGL
    と区別して検知し、これらの操作を新データの入力毎に
    繰り返す事により、データベースSとデータベースF
    を、その時点での最新のBGL状況を表す様に動的に更
    新し、プラント内に固定的に存在し、風向の変動と共に
    常時変動している微小漏洩ガス(BGL)雰囲気下で、
    そのBGL漏洩の規模を常時監視しつつ、新規に発生す
    る漏洩をこれと明確に区別して、新規の漏洩を検知する
    事を特徴とするプラント内における微小漏洩ガス雰囲気
    での新規漏洩発見法。
  2. 【請求項2】 データベースF中に残存している、デー
    タベースSの持つデータ出現頻度に関する統計的特徴を
    解析して取り出す操作を以下の(1)項から(4)項ま
    での手段により行なう請求項1に記載のプラント内にお
    ける微小漏洩ガス雰囲気での新規漏洩発見法。 (1)データベースSを、たとえば20度均等刻みの1
    8分類のような適当な風向範囲で分類し、各風向分類内
    のおのおのにつき、各センサーデータの平均値と標準偏
    差値を計算し、(風向分類された平均値と標準偏差値の
    計算) (2)仮想BGL漏洩量を使用して、データベースFを
    その初めから最後まで走査し、各センサーデータにつ
    き、前記(1)項の各風向分類中で、データベースS中
    の前記平均値に対して、前記標準偏差値の何倍に相当す
    るかの値である整数近似値を計算する操作を全センサー
    データに対して行い、この整数値を全センサーに対して
    総和し、データベースFと同一の大きさの時系列である
    整数数列を得、(各風向分類内での対偏差値倍数の決定
    操作) (3)前記(2)項で得た整数時系列データをその初め
    から最後まで順番に走査し、ある時点からのひき続く適
    当な個数R、たとえば18個、の整数を順番に積算して
    いく操作(1個のデータ、続く2個のデータの
    和、...続くR個のデータの和をつぎつぎにとる操
    作)を行い、時系列上のどの時点に於いても個数Rの整
    数列を持ち、その全データベースの大きさがデータベー
    スFより(R−1)個だけ小さい整数列時系列データベ
    ースを得、(対偏差値倍数の階数決定操作) (4)前記(3)項で得た整数列時系列データベースを
    その初めから最後まで順番に走査し、各時点での大きさ
    R個の整数列を、各時点の順番に比較する操作を行い、
    その全データベース中で最大であるR個の整数列、すな
    わち1番目からR番目のどの整数も他の時点のそれより
    大きいR個の整数列であり、これをクラス0のランク値
    と言う、を取り出す、(最大ランク値の取り出し操作)
  3. 【請求項3】 BGL雰囲気下での新規漏洩発生をBG
    Lと区別して検知する方法が、 (5)これまでのデータベースに、新たに、複数のガス
    センサー群により観測されるガス濃度の時系列データ
    と、風向風速の時系列データが1セット追加された場
    合、それまでに得られている仮想BGL漏洩量、風向分
    類された平均値と標準偏差値を使用して、その追加デー
    タ1個に対してBGL成分のフィルター、及び前記
    (2)及び(3)項の操作を行い、その結果として得ら
    れた個数Rの整数列が前記(4)項でのべたクラス0の
    ランク値と比較してより大きい数列、1番目からR番目
    の整数の内どれか一つでもクラス0のランク値より大き
    い整数列、であるか否かを判定する事により、もし大で
    あるならこの時点で、BGLでない新規の漏洩がプラン
    ト内のどこかに起きたと判定し、その新規漏洩出現の情
    報を出力する、(新規漏洩出現の情報を出力)ことを特
    徴とする請求項2に記載のプラント内における微小漏洩
    ガス雰囲気での新規漏洩発見法。
  4. 【請求項4】 データベースSとデータベースFをその
    時点での最新のBGL状況を表す様に動的に更新する方
    法が、 (6)前記(5)項の判定でもし大でないなら、この時
    点のデータはこれまでのBGLの変動範囲内であって、
    従って、新規の漏洩はプラント内のどこにも起きてはい
    ないと判定し、データベースSにそのデータを追加し、
    かつデータベースSから最も古いデータを1セット削除
    する操作を行ってデータベースSを同一のサイズを保っ
    て更新し、その更新データベースSに対して、請求項1
    にある仮想BGL漏洩量の割付及びBGL成分のフィル
    ター操作を行ってデータベースFを更新し、これに対し
    て前記の(1)から(4)までの操作を再度行う事によ
    り、その時点のBGL信号に対して最も的確であり、か
    つ動的に変更された新規漏洩の発見パラメータ(前記
    (1)から(4)の出力)を再計算する(データベース
    の更新)ことを特徴とする請求項3に記載のプラント内
    における微小漏洩ガス雰囲気での新規漏洩発見法。
  5. 【請求項5】 新規漏洩を発見できる漏洩の規模と、こ
    れを検知可能な確率の情報を提供し、これをプラント運
    転中にメニュウとして常時参照し、新規漏洩検知の判断
    基準を変更する手段を提供するために、 (7)複数の仮想的なガス漏洩点群位置のそれぞれに、
    人工的な漏洩量を適当に仮定し、これによる各センサー
    の濃度を理論的なガス拡散モデルで計算し、これを更新
    されている時系列データベースFに加算した仮想的な時
    系列データベースを作成し、この仮想的な時系列データ
    ベースに対して、前記(2)項及び(3)項と同一の操
    作を施し、個数Rの整数列時系列データベースを得、こ
    の整数列時系列データベース中に前記(4)項で得たR
    個の整数列(クラス0のランク値)より大なる整数列
    (1番目からR番目の整数の内どれか一つでもクラス0
    のランク値より大きい整数列)が存在するか否かを検査
    し、全整数列時系列データベース中でのその存在割合を
    計算し、各仮想漏洩点位置及び人工的に仮定した各仮想
    漏洩量のそれぞれに対応する存在割合を表す数表を得、
    (最大ランク値の出現頻度計算) (8)本システム運転中はいつでも、前記(7)項で得
    られている数表を参照する事により、対象プラント内の
    どの場所にどの程度の新規漏洩が出現したら、これをど
    の様な確率で発見出来るかについての情報を、プラント
    運転者にメニュウとして提供し、もし多少誤報がでる事
    を承知の上でこの発見確率を上げたい場合は、前記
    (4)の判定基準であるクラス0のランク値をどの様に
    ゆるめたら良いかの情報も併せて提供する、ことを特徴
    とする請求項4に記載のプラント内における微小漏洩ガ
    ス雰囲気での新規漏洩発見法。
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