JP2729400B2 - 防汚剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水棲生物が船底、漁網等の水中接触物に付
着するのを防止するための防汚剤に関する。

〔従来の技術〕

船底、漁網等の水中接触物に藻類、フジツボ、センブ
ラ、コケムシ類などの水棲生物が付着するのを防止する
ことを目的として、従来一般に、有機錫化合物、アルキ
ル化水銀、酸化水銀、亜酸化銅等の金属化合物類が広く
使用されてきた。

また金属を含まない有機化合物である、テトラアルキ
ルチウラムジスルフィッド類等を成分とする漁網防汚剤
も知られている。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の技術で述べたもののうち金属化合物類は、概し
て毒性が強く、取り扱いには特別の注意を要し、魚体へ
の蓄積に因る奇形の発生や環境汚染が問題化している。
またテトラアルキルチウラムジスルフィッド類を単独で
使用した場合には、防汚効果は不充分である。

本発明は、毒性及び環境汚染の恐れのない防汚剤を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、 次式（１） R¹−Ｓ−R²−NCS ……（１） （式中、R¹はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニ
ル基、アルール基、アラルキル基、R²はアルキレン基を
示す）で表わされるイソチオシアネート化合物と 次式（２−１） （式中、R³〜R⁶は各々独立して、アルキル基を示す）で
表わされるテトラアルキルチウラムジスルフィッド化合
物及び／又は 次式（２−２） R⁷Ｓ_nR⁸ ……（２−２） （式中、R⁷及びR⁸は各々独立して、アルキル基を示す。
又、ｎは１〜10の整数を示す。）で表わされるジアルキ
ルポリスルフィッド化合物とを含有する防汚剤に関す
る。

本発明で用いられるイソチオシアネート化合物に於い
てＲはたとえばメチル、エチル、プロピル、イソブチ
ル、アミル、ヘキシル等のアルキル基、シクロヘキシル
等のシクロアルキル基、２−プロペニル、３−メチル−
２−ペンテニル等のアルケニル基、フェニル、トリル、
ナフチルなどのアリール基、ベンジル、フェネチルなど
のアラルキル基を示し、R¹はメチル、プロピル、ヘキシ
ル、オクチル、ペンタデシルなどのアルキル基を示す。

具体的にはたとえば、６−メチル−チオヘキシルイソ
チオシアネート、７−エチル−チオヘプチルイソチオシ
アネート、８−メチル−チオオクチルイソチオシアネー
ト、フェニルチオメチルイソチオシアネート、ベンジル
チオプロピルイソチオシアネートなどが用いられる。

テトラアルキルチウラムジスルフィッド類として具体
的には、テトラメチルチウラムジスルフィッド、テトラ
エチルチウラムジスルフィッド、テトラブチルチウラム
ジスルフィッドなどが用いられる。

ジアルキルポリスルフィッド類として具体的には、ジ
メチルテトラスルフィッド、ジプロピルテトラスルフィ
ッド、ジターシャリノニルトリスルフィッドの単独また
はそれを主成分とする混合ジターシャリノニルポリスル
フィッド類（TNPS）等である。

本発明の防汚剤は一般的方法により調整できる。すな
わち、上記防汚性を有する化合物を一般塗料用の天然樹
脂、油、合成樹脂、合成ゴム等の樹脂と溶剤、必要に応
じ、顔料、可塑剤、各種添加剤などともに分散または溶
剤に溶解する。好ましい樹脂はロジン、塩化ゴム、アク
リル樹脂、塩化ビニル樹脂等である。

本発明において、防汚剤中の成分の配合量は要求性能
により任意に調整、変更できるが、通常防汚剤100重量
部中にイソチオシアネート化合物１〜15重量部、好まし
くは５〜10重量部を含む。これに対しテトラアルキルチ
ウラムジスルフィッド化合物及びジアルキルポリスルフ
ィッド化合物はそれぞれイソチオシアネート化合物の当
量ないし５倍量、好ましくは当量ないし３倍量を含む。

本発明の防汚剤は塗布または含浸等対象物に適した各
種方法により適用される。

〔実施例〕

本発明を、実施例及び比較例によりさらに詳細に説明
する。

ただし、本発明の範囲は下記実施例により何等の制限
を受けるものではない。

実施例１ 下記のような処方に従い、防汚剤を調製した。

試料１ ６−メチル−チオヘキシルイソチオシアネート５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 10％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 ５％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料２ ７−エチル−チオヘプチルイソチオシアネート５％ テトラメチルチウラムジスルフィッド 10％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 ５％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料３ ６−メチル−チオヘキシルイソチオシアネート５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 15％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料４ ８−メチルチオオクチルイソチオシアネート ５％ テトラメチルチウラムジスルフィッド 15％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料５ フェニルチオメチルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 15％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料６ ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 15％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 試料７ ベンジルチオメチルイソチオシアネート ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 15％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 比較例１ ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート 20％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 比較例２ テトラエチルチウラムジスルフィッド 20％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 比較例３ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド 20％ 弁柄 10％ 硫酸バリウム 10％ ロジン 25％ 塩化ゴム 15％ キシレン 20％ 上記の防汚剤を予め防錆塗料を塗装した鋼板上にそれ
ぞれ２回塗装し風乾した。得られた塗装鋼板を、静岡県
網代漁港内の海面下約1mに浸漬保持し、水棲生物の付着
状況を観察した結果を第１表に示す。

実施例２ 下記のように処方に従い、防汚剤を調整した。

試料８ ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 ５％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料９ ７−エチルチオヘプチルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 ５％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料10 ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 10％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料11 ８−メチルチオオクチルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 10％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料12 フェニルチオメチルイソチオシアネート ５％ テトラエチルチウラムジスルフィッド 10％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料13 ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 10％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 試料14 ベンジルチオメチルイソチオシアネート ５％ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド 10％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 比較例１ ６−メチルチオヘキシルイソチオシアネート 15％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 比較例２ テトラエチルチウラムジスルフィッド 15％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 比較例３ 混合ジターシャリノニルポリスルフィッド類 15％ アクリル樹脂 10％ キシレン 75％ 上記の防汚剤をそれぞれポリエチレン製漁網に浸漬
し、塗布含浸せしめ風乾した。得られた漁網を、静岡県
網代漁港内の海面下約1mに浸漬保持し、水棲生物の付着
状況を観察した結果を第２表に示す。

〔発明の効果〕 第１表及び第２表からわかるように、本発明の化学物
の組み合わせより得られる防汚剤で処理したものは、各
成分単独で処理したものよりも、海水中でより長期間に
わたり水棲生物の付着防止効果が持続した。

本発明は、毒性及び環境汚染の恐れのない防汚剤を提
供するものであり、産業上の意義は極めて大きい。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】次式（１） R¹−Ｓ−R²−NCS ……（１） （式中、R¹はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニ
   ル基、アルール基又はアラルキル基、R²はアルキレン基
   を示す）で表わされるイソチオシアネート化合物と 次式（２−１） （式中、R³〜R⁶は各々独立して、アルキル基を示す）で
   表わされるテトラアルキルチウラムジスルフィッド化合
   物とを含有することを特徴とする防汚剤。