JP2727608B2 - 超伝導物質の製造方法 - Google Patents

超伝導物質の製造方法

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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 本発明は超伝導物質の製法に係わり、特にBi−Sr−Ca
−Cu−O系超伝導体の高Tc相を短時間に形成する製造方
法に関し、 PbO添加技術による焼成時より短い焼成時間でBi−Sr
−Ca−Cu−O系超伝導体の高Tc相の割合を増加させるこ
とを目的とし、 下記(1)式で示される超伝導物質の製法であって、
下記(2)式で示される出発原料組成比からなる混合物
あるいは焼結体に、カルシウム化合物を添加し、900℃
以下の所定の温度で焼成する工程を有して構成する。
BiuPbvSrwCaxCuyOz ・・(1) ただし O:酸素 1≦u≦3 0≦v≦1 1≦w≦2 2≦x≦10 3≦y≦11 6≦z≦35 Biu′Pbv′Srw′Cax′Cuy′Oz′ ・・・・(2) ただし 1≦u′≦3 0≦v′≦1 1≦w′≦3 0≦x′≦12 1≦y′≦12 3≦z′≦39.5 上記焼成温度は750℃〜880℃であり、 上記カルシウム化合物は900℃以下の温度でCaOと液相
の混合状態を生ずるものであり、上記カルシウム化合物
としてはCa2PbOx(x=3,4),CaCl2,Ca3OCl4等を用いう
る。
〔産業上の利用分野〕
液体窒素温度で超伝導が達成されうる高温超伝導材料
の研究・開発が急激に進められ、これを用いる実用化技
術の開発も進められつつある。
臨界温度Tcが100Kを超える高温超伝導体は液体窒素温
度の応用に温度マージンが広くとれる、臨界電流密度J
c,臨界磁界Hcが原理的には上がる、薄膜,線材の応用,
より高いTcを持つ高温超伝導材料の可能性等の観点から
研究・開発が進められている。
〔従来の技術〕
Y−Ba−Cu−O系超伝導物質は、約90Kという高い臨
界温度を持つ物質であるが、化学的に不安定であり、大
気中に放置しておくと、H2O,CO2などと反応し、超伝導
相が破壊されてしまうという応用するにあたっての欠点
があった。臨界温度Tcが100Kを超える高温超伝導物質と
して、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体、Tl−Ba−Ca−Cu
−O系超伝導体が開発されている。(J.J.A.P.vol.27,N
o2,1988,ppL209−L210;日経エレクトロニクス1988,4.18
(No55)p175−177) 上記Bi系では臨界温度Tcが約80Kの低温相と、約110K
の高温相の複数の超伝導相が混在し、上記Tl系では臨界
温度Tcが約105Kの低温相と、約125Kの高温相の複数の超
伝導相が混在し、高温相の超伝導相を単独で取り出すこ
とが出来ていない。
上記Bi系,Tl系は水や酸素の影響を受けにくい、作り
やすい加工が容易である、希土類元素を含まないので資
源の制約を受けにくい、という特徴を有するが上記Bi系
では臨界温度Tcが約80Kの低温相で規定され、上記Tl系
では臨界温度Tcが100Kを超えるものの、毒性があるとさ
れている。
前述の如く、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体は現在ま
でTcの異なる複数の相(高Tc相,低Tc相)が発見されて
いる。低Tc相の作製は容易であるが高Tc相の単相化は困
難である。
従来技術としてBi−Sr−Ca−Cu−O系にPbOを添加す
ることによって高Tc相の割合を増加させる技術がある。
(日経超電導1988.5.16.2〜3頁)上記は、Biの一部をP
bで置換し、原料に所定組成比のシュウ酸塩を用い、800
℃12hrの仮焼と845℃240hrの焼成をなす。仮焼段階で低
Tc相を作らないようにし、CaPb2O3,CaxSr3-xCu5Oy,Bi2S
r2Cu1Ox0の中間物質をつくるにとどめ、本焼成では880
℃以上の高温にせず、845℃で焼成するものである。
Pbは焼成途中で試料からほとんど抜けること,Pbは高T
c相生成の反応経路を新たに作り出すこと,出来上がっ
た高Tc相を安定化させること等を記載する。
しかし、200時間以上という長時間焼成を必要とする
欠点があった。
又、Bi系,Tl系の高温相の単相化が京大・岡山大・三
重大・戸田工業のグループがBi系にPb添加することで85
〜90%の高温相を持つBi系バルクの開発がなされ、大阪
大・ダイキングループがBi系にPbを添加した系で高温相
の100%の単相化を述べている。
硝酸塩共分解法,固体反応法の2つの方法を用い試料
を作成し,いずれもTcend 107.5Kの高温相のみの高温
超伝導体であり、 その組成比はBi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.8:0.2:0.8:1.0:1.4
であることが示される。
この方法は低圧酸素雰囲気で焼成している。
低圧酸素雰囲気で焼成することで、融点を下げ,高温
相出現の範囲を拡大している。
842℃,80hの焼成(固体反応法) 828℃,36hの焼成(硝酸塩共分解法) ともに、酸素圧力の変化によって、800〜820℃の焼成
が可能になり、硝酸塩共分解法による828℃,36h焼成は
高温相が最もでやすく、短時間焼成の例であることを記
載する。(トリガー88−8,91頁,1988.7.8.印刷) Bi−Sr−Cu−O系超伝導体はMichel等(Z.Phys.B68,1
987,421)及び,秋光等(Jpn.J.Appl.Phys.26,1987,L20
80)により発見された。この系のTcは7Kである。
前田等(Jpn.J.Appl.Phys.27,1988,L209)は新しい、
高Tc相Bi−Sr−Ca−Cu−O系を発見した。この系は、式
Bi2Sr2Can-1CunOxにおいて、n=1に対するTc=7Kの
相、n=2に対するTc=80Kの相、及び、n=3に対す
るTc=105Kの相の、三つの超伝導相を有することが見出
された。nが1から3に増加するにつれて、結晶構造中
におけるCuO層の数が増加し、c軸は24Åから、30Å、3
7Åへと変化する。
高Tc単一相の試料が合成されていないので、高Tc層の
研究はまだほとんど報告されていない。
高野等(Jpn.J.Appl.Phys.27,1988,L1041)がBiをPb
で置換することにより、高Tc相の割合が増加することを
報告した。しかしながら、Pbの役割はまだ明確ではな
い。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、従来のPbOを添加する方法によれば200時間以
上という長時間焼成を必要とする欠点があった。
従って、本発明の目的は従来のPbO添加技術による焼
成時間より、短い焼成時間でBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝
導体の高Tc相の割合を増加させることにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題は下記(1)式で示される超伝導物質の製法
であって、下記(2)式で示される出発原料組成比から
なる混合物あるいは焼結体に、カルシウム化合物を添加
し、所定の温度で焼成する工程を有することを特徴とす
る超伝導物質の製造方法 BiuPbvSrwCaxCuyOz ・・(1) ただし O:酸素 1≦u≦3 0≦v≦1 1≦w≦2 2≦x≦10 3≦y≦11 7≦z≦35 Biu′Pbv′Srw′Cax′Cuy′Oz′ ・・・・(2) ただし 1≦u′≦3 0≦v′≦1 1≦w′≦3 0≦x′≦12 1≦y′≦12 3≦z′≦39.5 によって解決される。
本発明においては、出発原料混合物あるいは焼結体に
900℃以下の温度でCaOと液相の混合状態を生じうるカル
シウム化合物(Ca2PbO4,CaCl2,Ca3OCl4等)を添加し、9
00℃以下の温度,好ましくは750℃〜880℃の温度で焼成
することを可能とするものである。
上記(1)式のBiuPbvSrwCaxCuyOzで,2≦x≦10,3≦
y≦11,としたのは、Bi2O2間に挟まれるCuOの層の数が
3〜11層であることを意図して,y=3〜11,またCuO面の
間にはCaが存在するのでx=2〜10とするものである。
(第10図参照) また、Bi系超伝導物質にPbを添加した系では、PbがBi
と置換されたものの形成も確認されており、0≦v≦1
とする。
また、高Tc層の組成はBi2Sr2Ca2Cu3Oz,もしくは,こ
の組成から少しずれたものも推定されており、1≦w≦
2とする。
〔作用〕
Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の高Tc相を作成するた
めに、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体材料の出発物質に
Ca2PbO4,CaCl2,Ca3OCl4などのカルシウム化合物を添加
し、短時間焼成でBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の高Tc
相の割合を増加させる。
第5図及び、第6図は本発明に用いられる、Bi系超伝
導体材料の融点近傍、好ましくは、融点以下の温度で、
Bi系超伝導体材料の焼成が可能な温度でCaOと液相の混
合状態を生ずるカルシウム化合物を添加し、該温度で焼
成する際に用いられる、原料添加物であるカルシウム化
合物の相図を示したものである。
上記焼成温度としては750℃〜880℃程度が好ましい。
上記カルシウム化合物は900℃以下の温度で、CaOと液相
の混合状態を生ずるものが好ましく、上記カルシウム化
合物としてはCa2PbO4,CaCl2,Ca3OCl4等を用いうる。
本発明で900℃以下の温度でCaOと液相の混合状態を生
ずるカルシウム化合物を用いるのは、Bi系超伝導体で
は、結晶格子中のCuO面の数が増すと臨界温度Tcが上が
る経験則に基づき(Bi2O2層とBi2O2層の間にCuO面が1
面でTc7〜22K,2面で約80K,3面で約110K)さらにCuO面が
多い4,5面を有する結晶構造の、より高Tc相を作製する
意図のもとになされたものである。
上記Bi2O2層間のCuO面間にはCaがサンドイッチ状には
さまれており、(第10図)CuO面が多い結晶構造の場合
にはそれだけ多くのCu,Caを供給しておくことが、必要
であり、Caの供給には、Caの拡散が容易な液相状態で行
なうのが有利である 第5図は本発明に適用可能なCaO−PbO系の相図をしめ
す。図よりCaO−PbO系では、CaO 13.5mol%(共晶点)
以上の組成では、822℃以上の温度でCaO+Liq(液体)
の状態の相が形成される。
CaO 13.5mol%以上,66.7mol%以下の組成では、815
℃以上,822℃以下の温度でCa2PbO3(PC2)+Liq(液
体)の相が形成され、815℃より低温度ではPbO+Ca2PbO
3の共晶が形成される。
また,CaO 66.7mol%以上の組成では822℃以上の温度
でCaO+Liq(液体)の相が形成され、822℃より低温度
ではCa2PbO3+CaOの共晶が形成される。
第6図は本発明に適用可能な、他の例である、CaO−C
aCl2系の相図をしめす。図よりCaO−CaCl2では、CaO 1
8.5mol%以上の組成では、835℃以上の温度でCaO+Liq
(液体)の状態の相が形成され、750℃以上,835℃以下
の温度でCaO+Ca3OCl4+Liq(液体)の相が形成され
る。したがって、CaO−CaCl2が系のCaO18.5mol%以上の
組成を用いることにより,750℃以上或いは835℃以上の
温度でCaO+Liq(液体)の状態の相を形成することがで
きる。
実施例 〔比較例〕 第7図及び、第8図は、Bi系超伝導体材料の従来法に
よるPbO添加の効果を示す。
第7図はPbOを添加する従来法により形成したBi系超
伝導体材料の電気特性を示す図であり、第7図(a)〜
(d)は各々焼成時間が10h,50h,99h,200hのものをしめ
す(841℃大気中で焼成)。
又、第8図は従来法により形成したBi系超伝導体材料
の粉末X線回折パターンを示す図であり、第8図(a)
〜(d)は各々焼成時間が10h,50h,99h,200hのものを示
す(841℃大気中で焼成)。
上記従来のBi系超伝導体材料組成に用いた出発原料は
Bi2O3,SrCO3,CaO,CuO,PbOであり、純度99、9%以上,
粒径2〜3μmである。
これらの原料をBi:Sr:Ca:Pb:Cu=0.7:1:1:0.3:1.8と
なるように秤量し、混合、圧粉(200MPa)の後、841℃
大気中で焼成した。そして、焼成時間を10h,50h,99h,20
0hと変化させた試料を作成した。前述のように、第7図
は上記試料の電気抵抗の温度変化を示し、第8図は上記
試料の粉末X線回折パターンを示す。
第8図のX線回折パターンにおいて、2Θ=5.7゜
(C=30Å)が低Tc相の(002)面に対応したピークで
あり、2Θ=4.8゜(C=37Å)が高Tc相の(002)面に
対応したピークである。
焼成時間が長くなるにつれて、高Tc相の(002)面の
ピークが強くなることがわかる。それに対応して第7図
の電気特性に示されるように、Tcendも高くなり、200h
でTcend=103Kとなる。200hの焼成を行ってもX線回折
測定から高Tc相の割合より、低Tc相の割合の方が大きい
ことがわかる。
〔実施例1〕 Bi−Sr−Ca−Cu−O系への、Ca2PbO4添加の効果 次にCa2PbO4添加効果について説明する。第9図に比
較例としての、出発原料比がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3とな
るように秤量し、混合、圧粉(200MPa)の後、841℃9h
大気中で焼成した試料の粉末X線回折測定の経過をしめ
す。2Θ=5.751゜はBi2Sr2CaCu2Oz(低Tc相)の(00
2)面に対応したピークであり、2Θ=4.8゜の高Tc相は
生成していない。この試料を粉砕し、更に、Ca2PbO4を3
5wt%添加し、混合、圧粉(200MPa)の後、841℃,30h,
大気中で焼成する。
得られた試料の粉末X線回折測定の結果を第1図にし
めす。
なお、上記Ca2PbO4は817℃,17h,大気中で焼成して形
成したものを用いた。上記Ca2PbO4の粉末X線回折パタ
ーンを第11図にしめす。
上記第5図のCaO−PbO系の相図には、 PC2=PbO・2CaO 即ち,Ca2PbO3が上げられているが、Ca:Pb=2:1の組成
比のものを、817℃,17h,大気中で焼成して形成した試料
の粉末X線回折パターンはASTMカードよりCa2PbO4であ
ることが同定された。
Pbは価電子が変動し易いものであり、本発明ではCa2P
bO4,Ca2PbO3ともに用いうる。
高Tc相の(002)面に対応したピーク(2Θ=4.8゜)
の方が低Tc相の(002)面に対応したピーク(2Θ=5.8
゜)より強くなることがわかる。第2図にCa2Pb4を添加
し841℃,30h,大気中で焼成して得られた試料の電気抵抗
の温度変化を示す。Tcend=103Kを示した。
従来技術のPbO添加効果と、本発明の技術であるCa2Pb
O4添加効果を比べた結果を表1にしめす。
以上から、Bi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の高Tc相の
割合を増加させる添加剤としては従来のPbOよりも本発
明のCa2PbO4を用いた方が特性が良いことがわかった。
〔実施例2〕 Bi−Sr−Cu−O系(Caを含まない系)へのCa2PbO4添加
効果 出発原料比がBi:Sr:Cu=2:2:3となるようにBi2O3,SrC
O3,及びCuOを秤量し、混合、圧粉(200MPa)の後、840
℃大気中で10h焼成する。X線回折パターンは第9図と
同様に高Tc相の(002)面に対応したピーク(2Θ=4.8
゜)のピークは観測されなかった。
この試料に上記Ca2PbO4をBi−Sr−Ca−Cu−O系での
組成比がBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3となるように添加した後
840℃大気中で40h焼成する。そのX線回折パターンと電
気抵抗の温度変化を第3図及び第4図に示す。
Ca2PbO4添加によって明らかに、高Tc相が出現するこ
とがわかる。第3図のX線回折パターンには高Tc相の
(002)面に対応したピーク(2Θ=4.8゜)のピークが
観測され、第4図の電気抵抗の温度変化から,Tcendは約
101Kであった。
[実施例3] (Bi−Sr−Cu−O系における超伝導特性に及ぼすCa2PbO
x添加の影響) Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系におけるPbの役割を調べ
た。試料はBi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.7:0.3:1:1:1.8の組成を
有し固相反応で調整され、103KのTcendを有する。X線
回折及びマイクロラマン散乱より、Ca2PbOxは750℃以下
の温度でPbOとCaOとの反応により形成されることが判っ
た。
高Tc相は単一CuO層を有するBi−Sr−Cu−O系にCa2Pb
Oxを添加することにより合成される。高Tc相の合成プロ
セスは822℃でのCa2PbOxの分解により生ずる液相中にお
ける低Tc相とCa2+との反応にもとずくものと思われる。
X線回折、ラマン散乱、及び、電気伝導度測定によ
り、Pbの役割を調べた。
[実験] 試料はBi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.7:0.3:1:1:1.8、2:X:2:2:3
(X=0,0.5,1.0)の組成のものを、固相反応により調
整した。出発原料はBi2O3,PbO,SrCO3,CaO,及びCuOであ
る。これらの出発原料粉末はボールミル中24時間混合粉
砕され、次いで、200MPaの圧力で、15mm径約3mm厚さの
ペレットに成型された。試料の調整条件は表2に示され
る。
試料3Cは、840℃で6時間焼成された、Bi:Sr:Cu=2:
2:3のBi−Sr−Cu−O系に、Ca2PbOxを30wt%添加して混
合し、848℃で24時間焼成し、ついで200MPaの圧力で成
型し、そして848℃で50時間焼成して調整された。
直流電気伝導度は四端子法により測定した。試料は低
融点ハンダ電極を設けた。
X線回折により、室温下、試料の結晶構造を調べた。
X線回折パターンはモノクロCuKα線、及び、回折系に
より得た。ラマンスペクトルはCa−Pb−O系及びBi−Pb
−Sr−Ca−Cu−O系について、Arイオンレーザ(5145
Å)とダブルモノクロメータを用いて得た。Bi−Sr−Ca
−Cu−O系、及び、Ca−Pb−O系をミクロ及びマクロラ
マン散乱法で調べた。
[結果] 第12図は、試料1A、1B、1Cの電気抵抗の温度依存性を
示す。試料1Aについは、抵抗ドロップは110Kで観測され
た。しかしながら、この試料のTcendは74Kであった。同
じオンセット温度にかかわらず、試料1BのTcendは74Kか
ら85Kに上昇した。さらに、焼成時間が試料1A及び1Bよ
り長いとき、170Kにおける抵抗は試料1A,1Bの抵抗の約1
/5に減少する、そして、Tcendは103Kに上昇する。
第13図は試料1A,1B,1CのX線回折パターンを示す。焼
成時間が長くなるにつれて、4.8゜のピークは強くな
る。このピークは高Tc相の(002)に対応し、C軸は37
Åである。X線回折パターンは長時間焼成により、高Tc
相の増加を示す。
径約10μmの未同定の物質が試料1Aに観察された。こ
の物質をミクロラマン散乱で同定した。
試料3Bのマランスペクトルと比較した試料1Aの結果を
第14図に示す。試料3BのX線回折パターンは試料がCa2P
bOx(Z.anorg.allgem.Chem.371,1969,237)単一相であ
ることを示す。六つのラマンスペクトル(255,340,354,
422,540,562cm-1)が試料1Aの未同定の物質及び試料3B
の両試料において200〜1000cm-1の間で観察された。Bi
−Sr−Ca−Cu−O系へのPbO添加がCa2PbOxの形成の原因
となることは明らかである。
Ca2PbOxの主なX線回折ピークは、第11図に示す如く1
7.7゜であり、Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系におけるX線
回折パターンの中に観察された(第13図)。焼成時間が
増加するにつれて、このピークは弱くなる。顕微鏡によ
るBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系の表面観察もまた焼成時間
が増加するにつれてCa2PbOxが減少することを示す。
第15図は試料2A,2B,2CのX線回折パターンを示す。X
が0のとき(試料2A)、5.7゜のピーク及び7.3゜のより
小さなピークが観察され、高Tc相の(002)に対応する
4.8゜のピークは観察されない。表2に示される焼成条
件下でBi:Sr:Ca:Cu=2:2:2:3である化学量論組成(試料
2A)では高Tc相は合成されなかった。7.3゜のピークは
C軸が24ÅのBi−Sr−Cu−O系の(002)に対応する。
Xが0.5のとき(試料2B)、高Tc相の(002)に対応す
る4.8゜のピークが観察された。
Xが1.0のとき(試料2C)、高Tc相は観察されず、低T
c相およびBi−Sr−Cu−O系が観察された。Ca2PbOxのピ
ークはPbOの増加とともに増加する。高Tc相はBi:Pb:Sr:
Ca:Cu=2:X:2:2:3の組成で合成された、そしてPbOの適
切な添加量は約X=0.5である。
第16図は750℃9h焼成後室温へクェンチされた試料2D
のX線回折パターンを示す。Bi−Sr−Cu−O系の(00
2)に対応する7.3゜のピークのみが観察された。750℃
でCa2PbOx及びBi−Sr−Cu−O系が合成される。他の相
として、未反応のCuOが見出される。
試料3Aの主相はBi−Sr−Cu−O系である。試料3AにCa
2PbOxを添加した試料3CのX線回折パターンを第17図に
示す。高Tc相が合成され、そして、低Tc相に対する高Tc
相の割合は従来の試料1Cの割合のそれよりも約10倍に増
加する。
試料2DのX線回折結果は、高Tc相および低Tc相は750
℃で形成されないが、Bi−Sr−Cu−O系化合物およびCa
2PbOxは合成されることを示す。841℃15時間焼成後Bi−
Sr−Cu−O系化物は消失し、高Tc相および低Tc相が形成
された。第5図にしめすCaO−PbO系の相図(U.Kuxmann
等,Erzmetall,27,1974,533)はCa2PbOxが822℃でCaO及
び液相に分解することを示す。これら二つの相が高Tc相
の形成に促進剤として作用すると考えられる。CaOおよ
び液相の存在は、Tcend 80Kの超伝導Bi−Sr−Ca−Cu−
O系化合物の二つのCuO相と、液相中を移動する分解さ
れたCaOとの間の、化学反応を強めることが予期され
る。
Ca2PbOxはCa:Pb=2:1として結合することが重要であ
る。試料2B(x=0.5)は高Tc相が形成されうるが、試
料2C(x=1.0)は高Tc相が形成されない理由はCaOとPb
Oとの間の反応がCa:Pb=2:1であるからであると考えら
れる。単一のCuO相を有するBi−Sr−Cu−O系化合物及
びCa2PbOxは750℃以下の温度で合成される。二つのCuO
相を有する低Tc相は800℃以上の温度で形成されうる。
試料2B,0.5molのCa2PbOxは750℃で形成され、そして、
低Tc相は822℃以下の温度で残りのCaイオンを用いて形
成される。822℃において、Ca2PbOxはCaOと液相に分解
する。高Tc相は液相中低Tc相とCaOとの間で形成される
と考えられる。Xが1.0のとき(試料2C)、低Tc相は800
℃ではCaイオンの不足のため形成され得ない。Ca2PbOx
は822℃において初めてCaOをBi−Sr−Cu−O系に供給す
る。
Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系におけるPbの役割を調べ
た。Ca2PbOxは750℃以下の温度で形成され、高Tc相は単
一のCuO層を有するBi−Sr−Cu−O系化合物にCa2PbOxを
添加することにより合成される。
高Tc層は822℃におけるCa2PbOxの分解により生ずる液
相中、低Tc相とCa2+イオンの間の反応で形成されると考
えられる。
その他の添加剤としてCaAl2O4,CaSiO4,CaSO4等が考え
られるが、すべて融点が高く,Bi系超伝導体の焼成中に
液相を作らないため高Tc層を生成することが出来ない。
なお、本実施例では、Bi−(Pb)−Sr−Ca−Cu−O系
超伝導体を上げて説明したが、Tl2Ba2Ca2Cu3Oy系超伝導
体等にも適用しうる。
〔発明の効果〕
本発明によればBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の高Tc
層(110K級)短時間焼成で生成することが出来るので11
0K級超伝導体の厚膜,薄膜の作成に対しても効果があ
り、従来よりもTcの高い超伝導配線を作成することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のCa2PbO4を添加した試料のX線回折パ
ターンを示す図、 第2図は本発明のCa2PbO4を添加した試料の電気抵抗の
温度変化を示す図、 第3図は本発明のBi−Sr−Cu−O系へCa2PbO4を添加し
た試料のX線回折パターンを示す図、 第4図は本発明のBi−Sr−Cu−O系へCa2PbO4を添加し
た試料の電気抵抗の温度変化を示す図、 第5図は本発明のBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の焼成
の際に添加する、900℃以下の温度でCaOと液相の混合状
態を生ずるカルシウム化合物(CaO−PbO系)の相図を示
し、 第6図は本発明のBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体の焼成
の際に添加する、900℃以下の温度でCaOと液相の混合状
態を生ずるカルシウム化合物(CaO−CaCl2系)の相図を
示し第7図は従来法によるPbOを添加した試料の電気抵
抗の温度変化を示す図、 第8図は従来法によるPbOを添加した試料のX線回折パ
ターンを示す図、 第9図は比較例としての添加剤なしの試料のX線回折パ
ターンを示す図、 第10図はBi−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体のBi2O2間に存
在するCuO面,およびCuO面間に介在するCaが層状に積層
された超伝導体の結晶構造を模式的に示す図、 第11図は817℃,17h,大気中で焼成して形成したCa2PbO4
の粉末X線回折パターンを示す図、 第12図は組成Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.7:0.3:1:1:1.8を841℃
10h,50h,200h焼成した試料の電気抵抗の温度依存性を示
す図、 第13図は組成Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.7:0.3:1:1:1.8を841℃
10h,50h,200h焼成した試料の粉末X線回折パターンを示
す図、 第14図は焼成したCa2PbOx及びBi−Pb−Sr−Ca−Cu−O
系のペレットのラマン散乱スペクトルを示す図、 第15図は組成Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=2:X:2:2:3(X=0,0.5,
1.0)を841℃15hで焼成した試料の粉末X線回折パター
ンを示す図、 第16図は組成Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=2:0.5:2:2:3を750℃9hで
焼成し、室温にクェンチした試料の粉末X線回折パター
ンを示す図、 第17図はBr−Sr−Cu−O系にCa2PbOx 30wt%添加した試
料3Cと組成Bi:Pb:Sr:Ca:Cu=0.7:0.3:1:1:1.8の試料1C
の粉末X線回折パターンを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丹羽 紘一 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(1)式で示される超伝導物質の製法
    であって、下記(2)式で示される出発原料組成比から
    なる混合物あるいは焼結体に、カルシウム化合物を添加
    し、900℃以下の焼成温度で焼成する工程を有すること
    を特徴とする超伝導物質の製造方法。 BiuPbvSrwCaxCuyOz ・・(1) ただし O:酸素 1≦u≦3 0≦v≦1 1≦w≦2 2≦x≦10 3≦y≦11 6≦z≦35 Biu′Pbv′Srw′Cax′Cuy′Oz′ ・・・・(2) ただし 1≦u′≦3 0≦v′≦1 1≦w′≦3 0≦x′≦12 1≦y′≦12 3≦z′≦39.5
  2. 【請求項2】上記(1)式においてy=x+1であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の超伝導物質の製造方法。
  3. 【請求項3】前記カルシウム化合物は900℃以下の温度
    でCaOと液相の混合状態を生ずることを特徴とする請求
    項(1)記載の超伝導物質の製造方法。
  4. 【請求項4】上記カルシウム化合物がCa2PbO4,CaCl2,Ca
    3OCl4であることを特徴とする請求項(1)記載の超伝
    導物質の製造方法。
  5. 【請求項5】上記焼成温度が750℃〜880℃であることを
    特徴とする請求項(1)記載の超伝導物質の製造方法。
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